山登りやハイキングなどに役立つ「方位磁針」。「方位磁石」や「コンパス」と呼んだりもしますが、初めての土地など知らない場所で方角を知るのに役立ちますね。でも、なぜ方位磁針はちゃんと北の方角を指し示すことができるのでしょうか。■ 地球は巨大な磁石方位磁針のN極の針がいつも北を向くのは、地球そのものが磁気を帯びた巨大な磁石としての機能を持っているからです。ご存じの通り、磁石には「N極」と「S極」があり、N極はS極に引き寄せられる性質があります。方位磁針が常に一定の方向を指すのもこれと同じ理由で、N極の赤い針は地球上のどこかに存在するS極に引き付けられているため、北を指すことができるわけです。では、その「どこか」とはどこでしょう?そんなの「北極」に決まってるでしょ~と多くの方は思うでしょうが、実はそうではありません。そのどこかとは…ズバリ「磁北極」という場所です。えっ、「磁北極」ってナニ?赤い針は北極の方向を指しているわけじゃないの?…って思いますよね。というのも、地球が磁石だとしたら、何となく北極にS極、南極にN極があるという感じがします。しかし、厳密に言うと北極にS極は存在しません。S極は北極から少しずれたところにあり、その場所こそが「磁北極」と呼ばれる地点なのです。また磁北極と同じように、南極から少しずれた場所にはN極に相当する「磁南極」があります。■ 方位磁針は磁北極を指しているわけでもない?さて、ここまで読んできた人は、方位磁針の北は地球のS極がある磁北極を指しているんだ…と思うかもしれません。けれども、事実はさらに複雑です。方位磁針の針が指す北を「磁北」といいますが、この磁北は、磁北極以外にも存在する強い磁場の影響を受けるため、磁北極ともまた違う場所を指していることがあります。実際、現在の磁北極は日本から見ると北極よりやや東の方向にあるのですが、実際の方位磁針は北極よりもやや西の方向を向いています。では、なぜこのようなことが起こるのでしょう?日本付近で磁北が北極よりも西を向いているもっとも大きな理由としては、ロシアのシベリア地方(特にバイカル湖の北の方)付近にあるとされる地磁気の異常分布の影響が挙げられます。この辺りは、磁北極からはかなり離れていますが、なぜかとても地磁気が強い地域であることが分かっています。そのため、方位磁針の針もこれに引き寄せられて、北極よりも西の方を向いているわけです。■ 方位磁針の針の長さはN極とS極で違うところで、磁北極で方位磁針を使うと、N極の針はどこを指そうとすると思いますか?答えは「下」です。これは、磁力線が地球の表面を地面と平行に走っているわけではなく、地中に向かって進むような方向に走っているためです。磁力線が地中に向かう角度(これを「伏角」といいます)は、地球上のどの場所にいるかによって異なりますが、赤道付近を除くどのような場所でも起こっています。ちなみに、北半球の場合、方位磁針の針はN極側が常に斜め下を向いたような状態になってしまうことから、それを避ける目的で、日本製のものは、S極側を少し重くするように作られています。そのため、方位磁針をよーく見ると、南を示すS極側の針の方が長かったり太かったりします。■ まとめ身近なところで役立っている方位磁針。しかし、N極の赤い針は正確に真北を指しているわけではありません。地球はそれ自身が巨大な磁石の役割を果たしていますが、そのS極は北極にあるのではなく、そこから少しずれた「磁北極」と呼ばれる場所にあります。加えてそれ以外の場所に存在する地磁気の異常分布など、いくつかの要因が複雑に絡み合っているのです。方位磁針といえども、奥が深いですね。(文/TERA)●著者プロフィール小さい頃から自然科学に関心があり、それが高じて科学館の展示の解説員を務めた経験も持つ。現在は、天文に関するアプリケーションの作成や、科学系を中心としたコラムを執筆している。
2012年12月09日本田技研工業は15日、人の歩行のような全方位への自由自在な動きと、両足の間に収まるコンパクトなサイズを両立したというパーソナルモビリティー「UNI-CUB」を発表した。UNI-CUBは、2009年に公開した「U3-X」をベースに進化したパーソナルモビリティーで、同社独自のバランス制御技術に加えて、前輪に全方位駆動車輪機構(Honda Omni Traction Drive System)、後輪に旋回を目的とした横方向に駆動するオムニホイールを配置。これにより、身体を傾ける体重移動で速度や方向の調整ができ、前後移動に加えて真横や斜め方向などに動いたり、曲がることやその場での旋回といった機敏な動きも実現したという。また、両足の間に収まるコンパクトサイズを実現し、乗った際の足着き性が良く、目線の高さを周囲の人と同等としている。同社では、6月から日本科学未来館と共同実証実験を開始し、施設内での活用の可能性を検証していくとともに、国内外のさまざまな使用環境において、実用性の検証を進めていくとのこと。最高速度は6km/hで、航続距離は6km、使用環境条件は屋内バリアフリー対応空間。リチウムイオンバッテリーを搭載し、サイズは全長520×全幅345×全高754mmで、シート高さは745~825mm。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月15日