ソニーは11月19日、4,096×2,160ドットの有機ELパネルを搭載した30型マスターモニター「BVM-X300」を発表した。2015年2月の発売予定で、希望小売価格は3,880,000円。BVM-X300は放送局や映像制作プロダクションに向けた業務用モニター。業界で初めて、4K対応の30型有機ELパネルを搭載し、より忠実な黒の再現性や100万:1以上の高コントラスト、優れた応答性を提供する。表示可能な色域は、デジタルシネマ要求仕様の「DCI-P」を完全に包含するほか、次世代放送の映像制作規格「ITU-R BT.2020」のほとんどをカバーする。
2014年11月19日大阪大学(阪大)は11月10日、有機半導体の表面では結晶内部と大きく異なる構造が実現していることを明らかにしたと発表した。同成果は、同大大学院 基礎工学研究科の若林裕助准教授らによるもの。東京大学の竹谷純一教授、堀田知佐准教授、理化学研究所の是常隆上級研究員らと共同で行われた。詳細は、「Nature Communications」に掲載された。有機半導体は安価、軽量なデバイス素材として、有機ELディスプレイなどで、すでに実用化されている。通常のシリコンの代わりに有機半導体を使ってトランジスタを作った場合、有機半導体の表面近傍数ナノメートルを電気が流れるが、このような表面付近の狭い領域で分子がどのように並んでいるかはほとんど知られていなかった。研究グループでは、高エネルギー加速器研究機構(KEK) 放射光科学研究施設 フォトンファクトリー(PF)の放射光を用い、ホログラフィの考え方を応用した特殊な解析法によって、表面付近の分子の並び方が結晶内部と大きく異なる例を発見した。さらに、この変化によって電気伝導性も表面と内部で差が出ることを理論計算によって確認したという。今回発見されたような自発的に生じる表面構造は、自己修復機能を持つ極薄膜が半導体表面に形成されることを示している。このため、利用する分子を選び、分子一層レベルで伝導性を制御することで、精密かつ安定な微細デバイス製造技術に繋がることが期待されるとコメントしている。
2014年11月13日カネカは10月9日、約5万時間の寿命と色変化の小さい有機EL照明デバイスを開発したと発表した。有機得EL照明デバイスにおいて世界最高水準の寿命になるという。一般的なLED照明の推定寿命は約4万時間とされているのに対し、これまでの同社の有機EL照明デバイスは推定寿命が約1万7000時間で、寿命の短さが課題となっていた。今回、白色を構成する数種類の異なる波長の発光層の劣化挙動に着目し、材料や積層構成などのデバイス構造や厚みなどの製膜条件を最適化することで、寿命の大幅な延長を実現したと共に、色の変化量を抑制することに成功した。同社は今回開発したデバイスを美術館・博物館、レストランなどの商業店舗、ホテルや病室用照明、高級住宅用のデザイン照明など、有機EL照明の特長がいきる国内および欧米の市場へ積極的に販促展開することにより、2020年には売り上げ500億円を目指すという。
2014年10月09日京都大学は7月14日、不斉有機分子触媒の新技術として、ラジカル反応を促進・制御する不斉有機硫黄ラジカル触媒を実現したと発表した。同成果は、同大 理学研究科の橋本卓也助教、川又優博士課程学生、丸岡啓二教授らによるもの。詳細は、英国化学誌「Nature Chemistry」に掲載された。農薬や医薬品などに使われる分子は、実際には立体的な構造をしており、その空間的な広がり方が薬としての作用に決定的な役割を果たす。構造が単純で安価な分子から医薬品などに使えるような、複雑で付加価値の高い分子を作るには、そのような空間的配置をコントロールしながら、分子と分子を繋げることのできる不斉触媒を用いることが効果的である。このような触媒としては、金属を活性中心に持つものが多用されているが、資源量・環境毒性などが懸念されている。そこで、持続型・環境調和型の不斉触媒として、炭素・窒素・酸素といった地球上どこにでもある元素を巧みに利用したメタルフリー有機分子触媒が注目され、目覚ましい発展を遂げている。しかし、この十数年、盛んに研究されてきた不斉有機分子触媒は簡単なイオン反応という形式でしか分子を繋ぐことができず、原料に使える分子・作られる分子(成物)ともに金属触媒の汎用性には遠くおよんでいない。今回、研究グループでは、この現状を打開する手段として、従来の不斉有機分子触媒では利用されてこなかった、ラジカルという化学種を使うことに着目した。具体的には、有機分子である有機硫黄ラジカルに、不斉触媒としての機能を持たせラジカル反応をコントロールしながら、分子を繋ぐという技術の開発である。ラジカル反応は、イオン反応と相補性のある反応形式で、アクリル樹脂のような日用品に含まれる高分子を作る際に使われている。また、ラジカルは元来高い反応性を示す化学種であることから、医薬品など複雑な立体を持つ低分子の合成に使う研究はほとんど行われていなかった。中でも、有機硫黄ラジカルは不安定な化学種であり、安定なジスルフィドという分子に光(紫外線)を当てて、硫黄と硫黄の結合を均一開裂させることで発生させる。しかし、光の照射を止めると、ジスルフィドに戻ってしまうため、この有機硫黄ラジカルを触媒として使うには反応を行っている間、光を当て続ける必要がある。通常の実験では光源として水銀ランプを用いているが、環境調和の観点から太陽光を利用することもできるという。将来的には、この研究を拡張していくことで、不斉有機分子触媒がより汎用性の高い有機合成ツールになると期待される。しかし、現状では未熟な技術であるので、触媒の単純化、触媒量の低減、触媒概念の一般化を検討し、さまざまな化合物の効率的供給ができる技術になるよう、研究を推し進める。また、今回の研究で得られた知見を基に、有機分子触媒と太陽光を組み合わせた新しい環境調和型不斉触媒の発展にも努めていきたいとコメントしている。
2014年07月15日東京工業大学(東工大)は6月19日、有機結晶が光で融解するメカニズムを放射光X線による結晶構造観察で突き止めたと発表した。同成果は、同大大学院 理工学研究科の星野学研究員、腰原伸也教授らによるもの。産業技術総合研究所(産総研)の則包恭央主任研究員、阿澄玲子グループ長、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の足立伸一教授と共同で行われた。詳細は、米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に掲載された。今回、対象とした長鎖アルキル基を有したアゾベンゼン誘導体が、"アゾベンゼンが整列した領域"と"長鎖アルキル基が結晶内で激しく運動している領域"の2領域が共存した特異な結晶構造をしていることを明らかにした。さらに、この結晶に紫外光を照射すると、アゾベンゼンが光異性化反応を起こして整列が壊れ、結晶中にもかかわらず液体のように激しく運動している長鎖アルキル基の領域と均一化されることで、融解が起こることを解明した。この結晶構造観察は、放射光X線を利用した単結晶X線構造解析であり、実験室系では得られないX線回折データを高精度に集めることによって実現したという。通常、結晶を融解させるには室温以上に加熱する必要があるが、光照射という簡便な手段で結晶融解を実現できる技術を利用すれば、有機材料の成形・加工の生産コストを大幅に削減できる。今回の研究は、光照射による融解技術を産業化するための分子材料設計方針を提供するものであると説明している。
2014年06月23日三菱化学は3月24日、大成建設と共同で、有機薄膜太陽電池を用いた発電する建物外壁ユニットを開発し、大成建設が都市型ゼロエネルギービル(Zero Energy Building:ZEB)の実現に向け、建設を進めている建物へ導入し、実証試験を開始すると発表した。近年、建物の省エネや災害時における機能維持に関する要求が高まっており、快適性を損なわずに消費エネルギー量を削減し、その上で必要なエネルギーを再生可能エネルギーなどで賄うことで年間の消費エネルギーを限りなくゼロにするZEBの実現へ向けた取り組みが加速している。太陽光発電は、その要素技術において重要な再生可能エネルギーだが、パネルの設置面積が限られる都市部の建物においては、より多くの発電量を確保するために、屋根や屋上面への設置に加え、壁や窓などの側面を有効活用することが必須となる。しかし、建物の外壁へ設置するためには、サイズや色など建物に求められるデザインに対応できるフレキシブル性や軽量性、また、建物の長寿命化に伴う機器更新の容易さなどが必要となり、本格的な建物の外壁対応型太陽光発電パネルは今まで実用化されていなかった。今回、両社が開発した有機薄膜太陽電池外壁ユニットは、薄くて軽く、色の自由度を持ち合わせ意匠性が高い三菱化学の有機薄膜太陽電池を使用し、建物外装に関する設計・施工において多くの実績とノウハウを有する大成建設の技術を用いることで、クリーンで持続可能なエネルギーを供給しつつ、建物の多様な階高やスパンへの適応、多様な色の選定が可能な意匠性、軽量性、将来の機器更新の容易性などを併せ持つ本格的な発電する外壁ユニットとなっている。今後、大成建設の技術センター(横浜市戸塚区)内に建設中のZEB実証棟へ、同有機薄膜太陽電池外壁ユニットを導入し、実用化に向けた実証を進めていくとしている。
2014年03月25日有機や特別栽培の農産物などの食品宅配をインターネットで提供する「Oisix」を運営するオイシックスはこのほど、コネクシオおよび凸版印刷との協業のもと、法人企業向けに旬の野菜セットなどのさまざまなセットから自由に商品を選べる「Oisixギフトカード」の販売を開始した。今回発行するOisixギフトカードは、法人企業向けのノベルティとして販売され、3800円のエクセレントと5500円のプレミアムの2種類がある(いずれも非課税) 。これまでも「Oisix」の商品を法人企業がノベルティとして活用するケースがあったが、届け日の確認や、不在・転居に対する対応など、企業に煩雑な手間が発生していたという。Oisixギフトカードは、「Oisix」のWebサイト上で好きなセットと届け日を選択することができ、従来の手間が省ける。同サービスにおいて、コネクシオはカード発行者となり、カード発送業務、販売促進業務などを担当する。また、コネクシオは凸版印刷が富士通エフ・アイ・ピーと提供する「ギフトカード ASP サービス」を利用するとともに、凸版印刷との協業により、ギフトカード発行拡大施策などの提案も行うという。
2014年02月28日同成果は、山形大 有機エレクトロニクス研究センターの時任卓越研究教授、宇部興産 有機機能材料研究所のグループによるもの。詳細は、3月14日に山形県米沢市で開催される「高分子学会 有機エレクトロニクス研究会 第3回異業種交流会」、および3月17日~20日に青山学院大学 相模原キャンパスで開催される「第61回応用物理学会春季学術講演会」にて発表される。プラスチックフィルム上に回路を印刷して電子デバイスを作製するプリンテッドエレクトロニクス技術は、タッチパネルの配線などで実用化が始まりつつある。今後は、より複雑な電子デバイスである半導体集積回路に同技術を応用することが期待されており、高性能な導電インク、絶縁樹脂、半導体インクなどの材料開発が活発に行われている。半導体は、p型半導体とn型半導体を組み合わせることで電気の流れをコントロールすることができ、集積回路にはこれら2種類の半導体が使われている。これまで、有機溶媒に溶かすことができ、印刷法に適用可能な、移動度が高いp型有機半導体は数多く報告されてきたが、n型有機半導体はほとんど報告がなかった。これは、n型有機半導体が、大気中の水や酸素に対して化学的に弱いことが原因で、電子デバイスに用いても高い電気特性を維持することが難しかったためである。今回、課題となっていたn型有機半導体の安定性を大幅に改善し、有機溶媒に溶けやすい性質と、高い電気特性を両立することに成功した。同材料を用いることでp型、n型両方の半導体が揃い、低価格で低消費電力な有機集積回路の実現が可能となり、ウェアラブル、モバイル、フレキシブルといった用途に使われる新しい電子デバイスの開発への寄与が期待できるとしている。具体的には、山形大学の高性能半導体に関する材料設計の知見、および印刷法による電子デバイス作製・評価技術と、宇部興産の有機合成に関する知見と技術を活かし、共同で大気中での安定性と溶解性、高い電気特性を兼ね備える有機半導体の分子設計の検討を進め、材料合成、高純度化、トランジスタ素子作製、素子性能評価およびトランジスタ素子構造の最適化を行った。これにより、3cm2/Vs以上の高い電子移動度が得られた。さらに、従来のn型有機半導体では、大気中の水、酸素によって有機半導体層の中での電子移動が妨げられやすいことが問題となっていたが、水、酸素による電子伝導への影響を大きく低減することを目的に、分子全体に強い電子受容性(電子の受け取り易さ)を付与することで、従来のn型有機半導体では実現が困難だった高い安定性を実現している。現在、同材料を有機集積回路に応用するためのトランジスタ素子の構造の最適化と、CMOS回路などの試作の検討と並行して、さらに移動度と溶解性を改善するなど、より使いやすい有機半導体とする目的で分子構造の改良を進めている。加えて、この有機半導体を用いたインクジェット印刷などによる印刷集積回路の試作に取り組み、同技術を応用して、有機トランジスタを用いたRFIDタグ、フレキシブル生体センサやフレキシブルディスプレイなどの開発を進めていくとしている。なお、宇部興産は、同n型有機半導体材料のサンプル提供を開始する。
2014年02月19日阪神電気鉄道は16日、はちみつの生産と商品化を手がける「阪神電車みつばちプロジェクト」の商品化第二弾として、有機野菜宅配を手がける大阪愛農食品センターと共同開発した有機JAS認定のドレッシング「六甲山アカシアはちみつと有機野菜の魔法のドレッシング 颪(おろし)」を阪神梅田本店及び「颪」特設webサイトで発売を開始した。この「颪」ドレッシングは、「お客さまの食卓に魔法を」をコンセプトに、「美味しく」「安心に」「楽しく」の三つのキーワードで開発したドレッシングで、天然はちみつの甘さと有機野菜が持つ力強い味を絶妙なバランスで引き出しているという。使用しているはちみつ、農産物等は天然由来の素材のみを使用し、添加物や保存料は一切使用していない。農林水産省の有機JAS認証において「有機加工食品」の認証を受けており、安心して食べられるほか、サラダはもちろん、肉料理、魚料理及びパスタのソースとしても使えるなど使い勝手が良く、「第二の塩麹」とも言える一品とのこと。同プロジェクトで商品化した製品は、昨年10月6日に六甲山上で発売を開始した「六甲山ミツバチ やまみつ」瓶詰め商品が発売後約1か月で完売するなど、高い人気を集めているという。同社では、今後も遊休地を活用したはちみつの生産を行い、採取したはちみつを使った新しい商品を考案・販売していくとしている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2013年01月18日エコソリューションズは、有機EL照明デバイス(パネル・モジュール)において、従来の電球色(3,000K)に加え、昼白色(5,000K)と白色(4,000K)を追加発売する。厚さ約2mmの薄型「有機EL照明パネル」は、出光興産との合弁会社であるパナソニック出光OLED照明社が、7月20日より発売。パネルに制御回路を内蔵した使いやすい「有機EL照明モジュール」は、エコソリューションズが8月中旬より発売する。寿命は1万時間(光束維持率70%)。パネルは厚さ約2mm、モジュールは厚さ約9mm、最大枠幅約11mm機器に組みやすい薄型・狭枠設計であるほか、「スライドイン」構造により、パネル交換が容易となっている。効率は、白熱電球を超えるパネル単体で26~30lm/W、モジュールで17lm/W。日本市場でニーズの高い昼白色を含む3色(昼白色、白色、電球色)での展開により、用途に応じた選択が可能になる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年07月20日いわき市の農林水産部 農政水産課が、いわき産の農作物に関して消費者の求める情報が網羅的・直観的に閲覧できるWeb サイト「見せます!いわき情報局」をこのたび開設した。このwebサイトは福島県いわき市が、JAや生産者と一緒に東日本大震災による東京電力㈱福島第一原子力発電所の事故に伴う、いわき産農作物の風評被害対策として開設したもので、単に安全・安心を訴えるのではなく、“安全・安心”を消費者自身で判断してもらうための材料となる正しい情報を発信することが目的だ。農作物はもちろん、それを育む土、水、そして大気の検査結果のほか、いわき市やいわきの農業関係者の取組みに関する情報を、随時Webサイトを通じて公開していくという。「放射性物質等の測定結果」や「放射能のはかりかた」、安全・安心の判断材料となる検査結果や関連情報など、主婦のみなさんが気になるコンテンツが充実している。このほか、消費者の視点で落語家がいわきの農家をめぐる「見せます!いわき農家」や、種まきから収穫、放射能測定といった一連の作業を動画でレポートする「見せます 菜園」など、数字では伝えられない農家たちの想いや様々な取り組みを楽しく、分かりやすく紹介している。 ただ“怖いから”と東北の食材を避けるのではなく、正しい情報を得て安心・安全な食品を自ら選択していく知識と力を養うことが、これからは必要となっていくだろう。 取材/おうちスタイル編集部
2011年10月12日