染谷将太と前田敦子が共演する映画『さよなら歌舞伎町』の予告編映像とポスタービジュアルが解禁された。ラブホテルに集う男女のある1日を描いた作品で、トロント映画祭や釜山映画祭に出品されるなど、公開前から大きな注目を集めている。『さよなら歌舞伎町』予告編映像映画は、新宿・歌舞伎町のラブホテルにやってきた年齢も職業もばらばらな訳アリな男女の1日を描いた群像劇。『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』の廣木隆一監督と脚本家の荒井晴彦が3度目のタッグを組むほか、南果歩、松重豊、大森南朋、村上淳、忍成修吾、田口トモロヲ、イ・ウンウらが出演する。ポスタービジュアルは、ラブホテルを被写体にした作品を撮り続けているフォトグラファー、TAKAMURADAISUKEが新宿の街で撮り下ろしたもので、染谷は本作で一流ホテルマンだと彼女に嘘をついているラブホテルの店長・徹を演じる。予告編映像は、前田演じる、徹とマンネリな同棲生活を続けている沙耶の「ねぇ、しよ」というひと言からはじまり、秘密を抱えた男女がラブホテルという人間の性があらわになる場所で、交錯していくさまが映し出されている。なお、11月8日(土)よりテアトル新宿ほかで、本作の特典付き前売券の発売が開始され、劇場窓口で購入すると先着で“歌舞伎町ポストカードセット”がプレゼントされる。『さよなら歌舞伎町』2015年1月24日(土)テアトル新宿ほか全国順次公開
2014年11月07日10月30日(木)、第27回東京国際映画祭にてクロージング作品『寄生獣』の完成報告会見が行われ、主演の染谷将太、深津絵里、橋本愛、東出昌大、山崎貴監督が登壇した。原作は、人間に寄生し、支配と捕食を行うパラサイトとの共生と戦いを描いた、累計1200万部の売上を誇る岩明均の大人気コミック。パラサイトの襲撃を受けながら、脳だけは乗っ取りから免れた高校生・新一(染谷さん)と、新一の右腕に寄生したパラサイトのミギー(声:阿部サダヲ)が、さまざまなパラサイトたちと遭遇し、戦う姿を描く。「VFXの仕事を始めた時から、いつかVFXを担当したいと思っていた作品で、まさか監督を務めることになるとは」と、長年にわたる念願が叶った喜びを語り、感無量の面持ちを浮かべた山崎監督。一度はハリウッドが映画化権を獲得した経緯などをふり返り、「アメリカに嫁に行ったものと思っていたものが戻ってくることになって、だったら自分のところに嫁に来てほしいと思った」と、本作への熱い想いと執念を感じさせた。だがその一方で、劇中でパラサイトの寄生によって“顔が割れる”ことになる深津さんにオファーをするのは「怒られるんじゃないかと思って、言いづらかった」と告白。これに対し、深津さんは、顔が割れた自分の映像を観た時のことを「抵抗はありませんでした。気持ち悪かったですが、欲が出てしまって、『もっと割れろ』と思ってしまいました」と述懐し、笑いを巻き起こした。さらに、右手を乗っ取ったミギーがCGで描かれるため、ミギーとのやりとりをパントマイムのように演じた染谷さんは「阿部さんがアクション・キャプチャーで魅力的なミギーを作ってくれたので、ミギーが自分を魅力的に見せてくれるし、僕もミギーを魅力的に見せられるようにと思って演じました」と語り、「長い道のりだったけど、(完成した映画で)ミギーに出会えて涙が出そうでした」と喜びを語った。そして、「あっという間に終わってしまって、早く完結編を見せろと思いました」と、完結編への期待ものぞかせ、「ミギーが右手にいるのは世界で自分だけなので自慢なんですけど、ちょっと顔も割れたいです…」と茶目っ気たっぷりに語り会場を沸かせていた。映画『寄生獣』は11月29日(土)より全国東宝系にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年10月30日芝浦工業大学は、同学・情報工学科の米村俊一教授と、同学・工業経営学科の卒業生で作家の中村航氏が、小説執筆の支援ソフト「ものがたりソフト」を共同開発したことを発表した。「ものがたりソフト」は、芝浦工大と中村航氏が共同で開発を始めた小説執筆の支援ソフト。2012年から二者による共同研究がスタートし、のちに小説家・中田永一氏も参画した。開発にあたり、米村教授が認知心理学で用いられる「プロトコル解析法」という手法を用い、中村氏の発話内容を書き出して思考の規則性を整理。こうした手順により、小説家の思考をシステム化した。また、このソフトは書き手の頭の中にある断片的な思考をつないで、ひとつのあらすじを作る過程をサポートする機能を持つもので、画面に出る質問項目に沿って答えを入力していくと、小説を全く書いたことのない人でもあらすじを作ることができる仕組みとなっている。ヘルプボタンを使えば、あらかじめソフト中にデータベース化されている文言がランダムで表示され、書き手の発想を広げる役割を果たすという。なお、同ソフトは現在も改良中で、公開予定は未定。今後、インターネットとの連携により、時代背景の調査を補助する機能の追加などを検討しており、最終的には小説本体の執筆までサポート可能なものを目指していくとのことだ。ちなみに、ソフトの公開に先駆け、11月1日、同ソフトで作成したプロット(小説の設計図)をもとに執筆された、中村航氏と中田永一氏の合作青春小説「僕は小説が書けない」が発売される。
2014年10月28日ラブホテルを舞台に染谷将太&前田敦子が倦怠期の同棲カップルを演じる、「R15+」指定の話題作『さよなら歌舞伎町』。先日14日に終了した第39回トロント国際映画祭ワールドプレミアで高評価受けた本作が、10月2日(現地時間)より始まる第19回釜山国際映画祭「アジア映画の窓」部門に出品、この度、染谷さん、前田さんを含めたキャストが現地入りすることが明らかになった。一流ホテルマンと周囲に偽るラブホテルの店長・徹(染谷将太)。彼は有名ミュージシャンを目指す沙耶(前田敦子)と同棲しているがちょっぴり倦怠期。ある日、徹は、勤め先の歌舞伎町のラブホテルでいつもの苛立つ1日を過ごすはずだった。そこに集まる年齢も職業も違うさまざまな男と女たち。彼らの人生が鮮やかに激しく交錯したときにあらわれる欲望や寂しさ、そして秘密。徹の人生もまた予期せぬ方へ変わっていく…。メジャーからインディペンデントまで多彩な作品を手掛け、官能的な映像で男女の心の機微をすくい取ってきた廣木隆一が監督を務める本作。主演の徹役には、『TOKYO TRIBE』『神さまの言うとおり』『寄生獣』など次々と話題作に出演する染谷さん。相手役・沙耶を、トップアイドルから本格派女優の道を歩む前田さんが好演する。さらに群像劇を彩るのは脚本の面白さに集結した南果歩、松重豊、大森南朋、村上淳、忍成修吾、田口トモロヲほかキム・ギドク最新作『メビウス』出演の女優イ・ウンウと豪華個性派俳優陣たち。出品が決定した第19回釜山国際映画祭では、2日のオープニングセレモニー/レッドカーペットにて、南果歩、イ・ウンウ、廣木監督が参加、2回目の公式上映には染谷さん、相手役の前田さんが廣木監督とイ・ウンウとともに登壇する予定だ。本年度は浅野忠信&二階堂ふみがタブーの愛憎劇を描き話題となった『私の男』が同部門での出品を決定している。そして今回の映画祭参加に併せて本作の第一弾ビジュアルが解禁。「不器用で愛おしい人々へ―― 新宿 歌舞伎町のラブホテルのある1日。身も心も触れ合う場所で、さまざまな男女の人生が交錯したとき、きっと何かが見えてくる――」というキャッチコピーのもと、自転車に主演の染谷さんと彼女役の前田さんが新宿の街を2人乗りして疾走する姿が。彼らの向かう先に何があるのか?2人が前を向く姿勢に温かみを感じるビジュアルに思いを馳せてみて。『さよなら歌舞伎町』は2015年1月24日(土)よりテアトル新宿ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2014年09月30日全日本海員組合(以降JSU)と国際船員労務協会(以降IMMAJ)は、外航日本人船員の人材確保を支援するプロジェクト「J-CREWプロジェクト~やっぱり海が好き~」を実施している。この度、同プロジェクトの2代目応援大使に就任した女優の足立梨花さんは、東京都・六本木の全日本海員組合で行われた応援大使就任発表会に出席。大使としての今後の活動や意気込みを語った。○制服は「背筋がピシっと伸びるよう!」海上輸送は日本経済を支える重要なパイプであるが、国内外航海運企業の船舶に乗組む船員約5万人のうち、日本人はわずか5%に留まる。「J-CREWプロジェクト~やっぱり海が好き~」は、日本の若者に外航船員の魅力を伝え、人材確保を支援する目的で立ち上げられたという。2代目応援大使に就任した足立さんは、NHK連続ドラマ小説「あまちゃん」にも出演した若手女優。外航船員の制服姿で就任式に出席し、「長崎県と三重県という、海を身近に感じられる場所で暮らしてきました。たくさんの方に外航船員という仕事を知ってもらえるように、たくさん応援していきたいと思います」と、意気込みを語った。続いて行われたインタビューでは、制服の着心地についても質問も。足立さん「ちゃんとした制服を着たのが学生以来だったので、久しぶりな感じで楽しいです。またこれを着ると、ピシっと背筋が伸びるようで、かっこいい制服だと思います」外航船については、「大きくて格好いいイメージ」だとのこと。また、船長や航海士、機関士の仕事についても言及した。足立さん「航海士は映画とかで目にする機会もありますね。進路を決めて、格好良く指示する人っていうイメージです。機関士はあまり世の中に知られているわけではないけど、この人がいないと船が動かない、すごく大事な仕事だと思いますし、絶対いなければいけない存在というイメージです」○外航船員を目指す学生にエールまた会場には、制服姿の東京海洋大学の学生たちも登場。外航船員を目指し、海技を学ぶ彼らは、「海という自然を肌で感じ、世界を駆け巡り、様々な国の港町を見ることができる『ロマン』あふれる仕事」と外航船員という仕事の魅力を語った。足立さんは、外航船員を目指す同大学生たちに対して、「すごく素敵で格好いい仕事だと思います。世界を駆け巡って、素敵な海を見て、素敵な外航船員になって欲しいと思います。私も力いっぱい応援していますので、頑張ってください!」とエールを贈った。同プロジェクトでは、今後「"やっぱり海が好き"愛情動画コンテスト」などの活動を行う。コンテストの詳細はホームページより確認できる。
2014年07月04日岡田准一(V6)が12月2日(月)、主演作『永遠の0(ゼロ)』の完成披露試写会に出席。共演した染谷将太を「可愛くてしょうがない」と評し、「撮影中『この映画は、君にかかっているよ』と追い込むと、いいリアクションをしてくれた」とデレデレだった。百田尚樹の同名ベストセラーを映画化。現代を生きる青年が、誰よりも「生きて帰りたい」と願いながらも戦場に赴き、いまの自分と同じ年で特攻に散った祖父の人生について調べ上げていくさま、60年の時を超えて明かされる深い“愛”を壮大なスケールで描き出す。東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催された完成披露試写会には、5,000人のファンが駆けつけ、岡田さんや染谷さんを始め、出席した三浦春馬、井上真央、濱田岳、新井浩文、染谷将太、三浦貴大、上田竜也、山崎貴監督に熱い声援を送った。岡田さんは“帝国海軍一の臆病者”と称された天才零戦パイロット・宮部久蔵を演じ、「しんどい役でした。当時を知っていらっしゃる方に認めてもらいたいという思いがあったので」と胸中を告白。その分、本作への思いは格別で「壮大な愛の物語。現場が命を削りながら、大切に撮りあげた作品なので、みなさんにとっても大事な作品になれば」と期待を寄せていた。現代を生きる青年役の三浦さんは、戦時下に生きた自身の祖父のエピソードを披露しながら「自分のルーツに触れるきっかけになった」と感慨深げ。また、田中泯、橋爪功、今年5月に亡くなった夏八木勲さんらと共演し、「素晴らしいキャリアを積み上げたみなさんのお姿に、刺激を受けました」としみじみ語った。また、井上さんは久蔵の妻・松乃を演じており「誰かを大切に思う気持ちは、時代を超えて共感できる部分。愛に包まれた絆を感じられる作品なので、ぜひ女性にも観ていただければ」とアピールしていた。『永遠の0』は12月21日(土)より全国東宝系にて公開。(内田涼(cinema名義))■関連作品:永遠の0 2013年12月21日より全国東宝系にて公開(C) 2013「永遠の0」製作委員会
2013年12月02日自信は輝きに変わる。そして、その輝きがまた自信をもたらす──。映画『桐島、部活やめるってよ』に続き、映画『悪の教典』という話題作に出演、俳優・浅香航大の2012年はまさに自信と輝きを得た年となった。『悪の教典』で浅香さんが演じるのは、 私立晨光学院高校2年4組の夏越雄一郎。伊藤英明さん演じる担任の“ハスミン”こと蓮実聖司に追い詰められていく生徒のひとりだ。戦慄のエンターテインメントでありながらも撮影現場は「いい雰囲気」だったそうで、「特に男子生徒役の俳優は同世代、年齢が近いこともあっていまでも交流があるんです。旅行に行ったり、富士急(ハイランド)に行ったり、仲良くしています。彼らとの出会いは一生の宝物」と笑顔を見せる。けれど、その裏には緊張と不安もあったと胸の内を明かす。「『悪の教典』のおかげで度胸がつきました」「この映画は、三池崇史監督、主演の伊藤英明さんを始め、染谷将太くん、二階堂ふみちゃん、林遣都くんなど、すでにキャリアのある人たちに囲まれた現場で。当然、緊張はありました。でも、初日に三池監督から『自分らしく、自分の芝居をすればいい』という言葉をかけてもらったことで、その場の空気を吸って息をしていたらいいんだと、自分らしさを持って臨めたんです。それだけでなく、『悪の教典』のおかげで度胸がついたというか。僕、基本的に“緊張しい”で(苦笑)。役を演じているとき、例えば、舞台で何千人っていう人を前にしていても役として立っているので緊張はしないけれど、それがトークショーになると何を喋っていいのか…って、緊張しちゃうんですよね。その緊張が軽くなったというか、動じなくなりました」。また、伊藤さんに対しては「現場では先輩後輩関係なくひとりの役者として接してもらえた」と憧れと尊敬の眼差しを向けるが、伊藤さんが徐々に狂気と化していく様は「恐かったですね」と険しい顔に。たしかに、クライマックスに用意されているバイオレンスは、想像以上にショッキング!「完成した映画を観て、台本以上にガツンときたというか、衝撃的でしたね。さらに高揚感と爽快感もあるんです」と見どころを語る。今年、20歳を迎え「俳優を仕事として捉えるようになりました」と新しい一歩を踏み出した浅香さん。『悪の教典』では大人しくて温和な夏越を演じ、役柄について「ちょっとおっとりな性格」と語っているが、浅香さん自身はどんな高校生だった?「高校1年のときは普通科の学校に通ったんですが、仕事の都合もあって2年と3年は通信制を選んだんです。いまとなってはちゃんと通えば良かったなとも思うんですけどね…。でも、1年生の間はバイトもしたし、普通に学生を楽しんでいました。その頃の好きなタイプですか?学生時代に好きだったのは、変わった子、何を考えているのか分からない子、ふわふわした感じの子が好きでしたね。男でも女でも自分を持っている人に惹かれます」。芸能界入りのきっかけは「好奇心」自分の好みをはっきり伝えるあたりがまたカッコいい。181.5センチという長身にキリッとした顔立ちももちろんカッコいい。しかしながら、いわゆる“イケメン”とカテゴライズされるのはあまり嬉しくないと苦笑いしつつ、「少し前はイケメンと一括りにされるのがイヤだったけれど、いまはありがたいと思うし、それをプラスにしていきたいって思います」。そう言えてしまうことを含めて、やはりカッコいいものはカッコいい。16歳のときに事務所のオーディションを受け、その後は舞台を中心に活躍、2011年には「花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011」(フジテレビ)でドラマデビューを飾り、そして今年2本の映画と出会い、俳優・浅香航大は銀幕の世界へ降り立った。「きっかけは、単純に芸能界で生きてみたいという好奇心だった」と少し前の自分を懐かしむ。その好奇心は本気の仕事へと変わりつつある。「いまは徐々に役者としてどうするか考えるようになりました。もともと単館系でかかるような映画が好きで、山﨑努さんのような個性的な雰囲気を持った役者さんが好きなんです。自分自身もいつかそんなふうに評価されるようになりたくて…。それが目標ですね」と語る浅香さんの瞳は初々しく力強く輝いていて、いま以上の輝きを期待させる。(text:Rie Shintani)特集:年下のカレ「悪の教典―序章―」『悪の教典』特集■関連作品:悪の教典 2012年11月10日より全国東宝系にて公開© 2012「悪の教典」製作委員会
2012年11月08日男女の性器が入れ替わる斬新なアイデアで恋とセックスの根源的関係を描く、異色の青春ラブストーリー『恋に至る病』。本作に出演した染谷将太が、木村承子監督が提示した強烈な世界観に圧倒されながらも、自分なりに答えを出したという本作のテーマについて語った。その他の写真新人監督の木村承子氏が、第21回ぴあフィルムフェスティバルのスカラシップを得て撮り上げた長編デビュー作。超絶妄想少女の女子高生ツブラ(我妻三輪子)と彼女が好意を抱く高校の生物教師マドカ(斉藤陽一郎)の“性器”が突然入れ替わってしまい、ツブラを慕う同級生のエン(佐津川愛美)と彼女を追いかけるマル(染谷)の四角関係を軸に、恋愛にまつわる人同士のコミュニケーションについて問う一作だ。染谷は「全体像が最初はイメージできず、撮影中も不思議な感覚でした」と特異な世界観に戸惑ったものの、完成した映画を観て「ツブラは木村監督そのものだと思いました(笑)」と感想を抱いたという。木村監督のパーソナルな想いを投影したと染谷が指摘するツブラは、愛するマドカと“溶けて混ざってひとつになったらいい”と妄想する、他者とつながりたい主人公だ。そこにある木村監督のメッセージについて、「男女は違う、別々の生きもので、どうしても分かり得ない壁がありますよね。この映画は明確に提示しないけれど、マルを演じる上でも出てきた壁でした」と語る染谷。違うからこそひとつになりたい衝動が生まれるわけだが、「女性特有の葛藤だと僕は思いました。木村監督だからこそ撮れたテーマで、ご本人の意見を僕も聞きたいです(笑)」と主題の解説を木村監督に委ねていた。本作を読み解くヒントとして、4人の名前―ツブラ、マドカ、エン、マル―が、すべて漢字の“円”で表現できるということを指摘しておきたい。染谷も“女性特有の葛藤”としながらも、「男女が完全に分かり合うことは無理にしても、ぶつかってまとまるしかないってことは考えました(笑)」と自分なりに答えを出した。単なる青春映画の枠を超えて、恋愛コミュニケーションの本質についても言及した本作。公開後の反響が楽しみな意欲作だ。『恋に至る病』2012年10月13日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー取材・文・写真:鴇田 崇
2012年10月12日BS-TBSで9月4日(火)から放送開始となる『戦国BASARA-MOONLIGHT PARTY-』でダブル主演を務めた林遣都と武田航平が、オリジナルのゲームやアニメーションに囚われずに伊達政宗や真田幸村という戦国武将に新たな血を通わせたことを説明し、ライバル同士を演じる過程で本人たちも友情を培ったと語った。その他の写真シリーズ累計310万本突破の大ヒットゲーム『戦国BASARA』初の実写テレビドラマ化で、甲斐の虎・武田信玄に立ち向かう奥州筆頭・伊達政宗を林が、そのライバル役で武田軍の熱血漢・真田幸村を武田が演じるCGアクション・ドラマ。完成版を観た林は「原作ゲームのようにCGや激しいアクションがバリバリかと思えば、政宗と幸村の行方がめちゃくちゃ気になる展開に驚きました」とストーリーにハマってしまったと言い、武田も「『戦国BASARA』らしい本格アクションが見ものですが、最終的に織田信長(GACKT)にどう立ち向かっていくかというドラマも面白くて。わくわくする作品になっています」と自信を示した。政宗も幸村も実在した人物だが、政宗は異国語を操るなど、史実に囚われない個性的な設定が『戦国BASARA』の世界だ。そこで初めての実写作品を演じる上で軸にしたものが、キャラクターの“感情”だったという。「第2話に幸村が葛藤するシーンがありますが、ゲームのキャラクターにはない感情に満ちていました。その時、これは僕たち人間が演じるわけだから、自分たちの感情を軸にして駆け抜けようと改めて思いました」(林)。この林の想いを初めて聞いた様子の武田は、「それを林君に感じてほしくて、感情をぶつけたシーンです(笑)」と告白。「以前ドラマで共演した時の印象で、林君は全力で作品や役柄に向かってくる人ということが分かっていました。だから僕も全力で主張をしないと、思っていることを理解してもらえないような気がして、それを感じ取ってくれたことはうれしいですね」。そしてライバル武将の関係を築く過程で、お互いの心の中でも“何かが着火したようだった”とも回想する。「政宗と幸村の姿を見て、ライバルは単に負けたくない関係だけではなくて、究極にはお互いに大好きだと思いました。コイツがいるからこそオレがいる、いなければ無意味みたいな関係。だから航平君とも負けたくないという関係だけじゃなく、認め合いながらも自分にないものを持っていれば遠慮なく頼っていました。そういう関係が真のライバルだと思います」(林)、「彼らは、信長は通過点で、その先にあるものこそが自分たちが決着をつけることと言って走り続けますが、僕たちも先を見てお互いに頑張っていこうという想いを共有した現場でした。それは政宗と幸村の関係にシンクロしていった瞬間でしたね」(武田)。ドラマ『戦国BASARA-MOONLIGHT PARTY-』MBS:毎週木曜深夜1時25分 放送中BS-TBS:9月4日(火)深夜3時よりスタート取材・文・写真:鴇田 崇(C)「戦国BASARA-MOONLIGHT PARTY-」製作委員会
2012年08月28日映画『生きてるものはいないのか』が2月18日(土)に公開され、石井岳龍監督を始め、染谷将太、白石廿日、飯田あさと、高橋真唯、池永亜美、札内幸太、羽染達也、青木英李、田中こなつ、渋川清彦、津田翔志朗、芹沢興人、杉浦千鶴子、村上淳の総勢15名による舞台挨拶が行われた。石井監督の『五条霊戦記 GOJOE』(’00)以来となる長編映画で、前田司郎の戯曲を映画化。怪しい都市伝説がささやかれる大学を舞台に、次々と謎の最期を迎える登場人物たちの姿を描いていく。石井聰互から石井岳龍へと改名した監督は「心機一転、デビュー作のつもり」と語る。キャスト陣14人には、制限時間30秒の中での自己紹介と、監督の改名にちなんで「自分自身の変えたい部分」というお題が与えられた。それぞれ「性別を変えたい」(津田さん)、「性格を変えたい」(飯田さん)、「肩こりがひどいので肩から首筋を替えたい」(杉浦さん)などなど、個性豊かな回答がなされた。渋川さんの口からは「浮気性なところを変えたい!」と意味深発言が飛び出したが、これには村上さんがなぜか壇上で大爆笑。最後の最後に順番が回ってきた染谷さんは「こんなに考える時間があったのに、何も思いつけないダメな自分を変えたい…」と嘆息まじりに語り、会場は笑いに包まれた。さらに「爆発してしまうときは?」という奇妙なお題が出されたが、渋川さんは「彼女とケンカしたとき…あのときは爆発してますね」とプライベートネタで堂々と勝負!村上さんは「日々、映画館で爆発してます」と飄々とした表情で謎の回答を寄せた。そんな2人を見ながら染谷さんは「僕も先輩方くらい爆発したいです…。石井監督が長編を撮られると聞いて役者として以前に、個人的に興奮しました。まさか自分が参加できるとは思ってなかったので、現場では爆発しっぱなしでした」とキレイにまとめた。『生きてるものはいないのか』はユーロスペースほか全国にて公開中。■関連作品:生きてるものはいないのか 2012年2月18日よりユーロスペースほか全国にて公開© DRAGON MOUNTAIN LLC.■関連記事:染谷将太、「周りでどんどん人が死んでいく」現場に困惑ヴェネチア映画祭新人賞の染谷将太主演『生きてるものはいないのか』試写会に5組10名様ご招待染谷将太、「トイレでふと思い立って」役作りで喫茶店のバイトを経験
2012年02月20日映画『生きてるものはいないのか』のプレミア試写会が1月24日(火)に都内劇場で開催され、石井岳龍(※石井聰亙改め)監督を始め、染谷将太、高梨臨、高橋真唯、白石廿日、飯田あさと、田島ゆみか、池永亜美、札内幸太、師岡広明、羽染達也、青木英李、田中こなつ、津田翔志朗、芹澤興人の15名が登壇した。石井監督にとって10年ぶりの長編映画となる本作。劇作家・前田司郎の戯曲を原作に、怪しい都市伝説がささやかれる大学で登場人物たちの奇怪な最期の瞬間が次々と描き出されていく。撮影はシーンごとに別々に行われたため「これだけのキャストが顔を合わせるのは初めて」と石井監督は興奮気味に語る。オーディションでキャストを選んだが「日本映画の若手たちと映画が作れて勇気づけられました」と若手俳優の台頭を喜んだ。染谷さんは「周りで次々と人が死んでいくのは味わったことのない感覚でした」とふり返った。また「リハーサルで田中さんと歩いているときに人が死んでいくという場面で、僕はラストシーンに向けて行かなくちゃいけないんだけど、監督に『助けないのか?』と言われて葛藤を味わいました」と個性的な石井監督の演出の一端を明かした。ほかのキャスト陣からも「オーディションのときから『派手に死んでほしい』と言われて、死ぬシーンはプレッシャーでした」(札内さん)、「いかに派手に無様に死ぬか…。隣の部屋から『ギャーッ!』って声が聞こえてきました(笑)」(高梨さん)など“死にざま”にまつわるエピソードが次々と語られた。キャスト陣を代表して、タイトルにちなんで「生きている」と実感する瞬間を尋ねられた染谷さんは「俺に聞かない方が…」と苦笑。司会者から「演じてる瞬間は?」と助け舟を出されるも「いや…(演技中は)いっぱいいっぱいです!」と照れくさそうに語っていた。『生きてるものはいないのか』は2月18日(土)よりユーロスペースほかにて公開。■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ生きてるものはいないのか 2012年2月18日よりユーロスペースほか全国にて公開© DRAGON MOUNTAIN LLC.■関連記事:染谷将太×二階堂ふみ、ガチの殴り合い!原作にない『ヒミズ』本編映像が到着第66回毎日映画コンクール最高賞は『一枚のハガキ』、男優賞に『モテキ』森山未來染谷将太が二階堂ふみの現場でのイタズラ告発するも「覚えてないですね」『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき
2012年01月25日昨年のヴェネチア国際映画祭で、日本人初の快挙となる最優秀新人賞(マルチェロ・マストロヤンニ賞)を染谷将太と二階堂ふみがW受賞して以来、一気に脚光を浴び、先週末より満席続出の大ヒットを記録している『ヒミズ』。世界の映画通たちを唸らせた注目の若き才能の圧倒的な存在感を証明する、本編の見どころ映像の一部がシネマカフェに到着した!「行け!稲中卓球部」で知られる古谷実の漫画を原作に、“普通の大人になること”を願う住田(15歳)と“愛する人と守り守られ生きること”を夢見る茶沢(15歳)が、ある事件を発端に対面する壮絶なドラマを描いた青春感動作。今回シネマカフェに届いたのは、本編から厳選された2本の映像。一本目は原作にはない園監督によるオリジナルシーンで、染谷さん扮する住田と二階堂さん扮する茶沢が“ガチ”で殴りあうシーンだ。どしゃ降りの雨の中、茶沢が「5・7・5」の韻に合わせて住田にいきなりビンタを喰らわせれば、最初は戸惑っていた住田も売られたケンカを買ったとばかりに容赦ないパンチで茶沢を追い込む始末…。本人談によれば「お互い本気で叩き合っていた」というが、「生まれて初めて女の子をビンタしました」という染谷さんに対して「カットがかかった瞬間、(染谷くんは)『大丈夫?』って急に優しくなるんです。優しくされると涙が出そうになるからやめてくださいって(笑)」(二階堂さん)というエピソードも。その次に映し出されるのは、原作漫画を忠実に再現したシーンの一つ。普通の中学生でありたいと願いながらも親に捨てられてしまった住田のもとに茶沢が押しかけ、慰めつつも住田以上にパニックに陥っている姿は可笑しくもある。迫真の混乱ぶりを見せる二階堂さんとマイペースな染谷さんのあうんの呼吸を感じさせる、こちらも見逃せないシーンだ。初日を迎えた週末には園子温監督や原作ファンなどのコア層に加えてシニア層やカップルまで幅広い客層を集客し、渋谷シネクイントでのレイトショーでは立ち見も出るほどの大盛況を見せている本作。芸能界の著名人の数々が自身のブログ等で本作をプライベートで鑑賞したという書き込みも多く見られているのだとか。観た人の多くが絶賛するワケとは?それを裏付ける、世界に誇る2人の堂々の演技をこちらで確かめてみて。『ヒミズ』は新宿バルト9、シネクイントほか全国にて公開中。※こちらの映像はMOVIE GALLERYにてご覧いただけます。MOVIE GALLERY■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:第66回毎日映画コンクール最高賞は『一枚のハガキ』、男優賞に『モテキ』森山未來染谷将太が二階堂ふみの現場でのイタズラ告発するも「覚えてないですね」『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り
2012年01月19日古谷実の漫画を映画化した『ヒミズ』が1月14日(土)に公開初日を迎え、主演の染谷将太、二階堂ふみ、園子温監督が舞台挨拶に登壇した。普通に生きたいと願いつつもクズのような親のせいで苦難の道を歩むことになる中学生・住田。彼と彼を愛する同級生の茶沢が死よりもつらい現実を乗り越え、生きていくさまを描き出す。これまでオリジナル作品だけを世に送り出してきた園監督。「原作の魂に忠実でありたい、原作の良いところを壊さないようにと思って取り組んだ」と初の原作ものの映画化について語る。染谷さんは園監督の現場について「とてつもなく自由な現場でした。やりたいことをやっていい雰囲気を監督が作ってくれました」と述懐。「泥だらけになるシーンもその日、雨だったからそうしたんです。想像もできないような発想を現場で監督がくださって、毎日刺激を受けてました」と感謝の思いを込めてふり返った。二階堂さんはクランクアップの翌日、学校に登校する途中に事故に遭いかけたことを告白。あまりに役に入り込んでいたことで、撮影終了後もなかなか役が抜けず、日常になじめずにいたという。撮影現場でのエピソードを尋ねると、染谷さんが「(二階堂さんが)控室でちょっかい出してきて、イライラしました」と明かしたが、告発された二階堂さんは「覚えてないですね。私は真面目に現場に取り組んでたんで…」としらを切り通す。これに対して染谷さんは「メイキングを見てください!」と怒り心頭の様子。2人のやり取りに会場では温かい笑いが起こった。園監督は2人の芝居について、染谷さんに「65点」、二階堂さんに「64点」という採点をつけたが「満点あげようかとも思ったけど、まだピークではないからね。まだ天狗になるときじゃない」とエール。「2人とも現場では、まだまだ素晴らしい芝居ができるはずだと可能性を信じて、どんどん成長していった」と称賛を贈った。この日はさらに、映画に感動したという原作者の古谷さんから、劇中の2人の様子を描いたメッセージ入りのイラストが届けられた。染谷さんは「映画をやらせてもらった身として、(原作者との)距離の取り方が難しいものですが、嬉しいです」とホッとした表情を見せていた。『ヒミズ』は新宿バルト9、シネクイントほか全国にて公開中。■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:『ヒミズ』染谷将太×二階堂ふみインタビュー重なり合う若き魂、互いをどう見てる?二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り染谷将太と二階堂ふみが“ヴェネチア”トロフィーとご対面!なんとモグラも祝福!?衝撃の青春感動作『ヒミズ』夫婦&カップル限定試写会に35組70名様をご招待
2012年01月15日2人が醸し出しているのは“独特の存在感”なんていう生やさしいシロモノではない。異彩、違和感…いや異物感?10代にして染谷将太と二階堂ふみは、ほかの同世代の俳優たちにはない、形容しがたい“何か”を身にまとっている。そしてそれは映画『ヒミズ』において、鬼才・園子温の手を介して化学変化を遂げ、衝撃と共に観る者の心を貫く。彼らの叫びは、言葉にならない魂の咆哮は、痛みはどのように生まれたのか?2人に話を聞いた。「行け!稲中卓球部」などのギャグ漫画で知られる古谷実が笑いを封印して送り出した異色の漫画作品を原作とする本作。一切の夢も希望も持たず、ごくごく普通に生きることだけを望みつつも、そんな思いとは裏腹に絶望的な非日常に巻き込まれていく住田と彼を慕ってやまない茶沢の壮絶な青春を描き出す。さらには3.11の東日本大震災発生を受け、設定を「震災後の日本」に変更し、全ての撮影が終わった後で被災地での撮影が敢行された。少年は佇む。雨の中に、崩れ落ちた被災地の静寂の中に。もがき、這いずる。泥の中を。住田という役を演じる上で、園監督に染谷さんが与えられたのは、ただひたすらの“自由”。だが、自由に演じるほど難しいことはない。「(脚本の)ト書きがないんです。いや、あるけど関係ない。無視して勝手に動いて、セリフも自分が言いたいように変えながら演じました。でも単に『自由に』と言われてもできなかったですよ、最初。一番初めのリハーサルなんて(二階堂さんと)2人で突っ立ってただしゃべってるだけでしたから。確かにそれじゃ面白くないですよね(笑)。自由にやらせてくれるんですが、自由にやれるように園さんはリハーサルを何度も重ねてくれたんです。そうやってリハーサルを重ねるにつれて体が軽くなっていくのが分かりました」。本作に限らず、ひと癖もふた癖もある役どころを演じることが多い染谷さん。役柄へのアプローチについては「毎回、監督によって違いますが…」と前置きし“捨てること”の重要性を説く。「調べ物をして知識を蓄えたり、用意したりするんですが、常に一貫しているのは、クランクインしたときにそれらを全て一度、捨てるんです。正確に言うと捨てざるを得ない。(蓄えてきたものが)無意識に出ること?はい、それはありますよ。でも意識すると出過ぎちゃう。なるべく影響されないように…と言ってもどこかしらで影響されるものなので。何て言うか…やってみたら分かるんですよね」。二階堂さんは時に強烈なパンチを浴び、河原を転げ落ちながら、突飛で破天荒でひたむきな茶沢を体現した。「基本的にあまり考えるタイプではないので、いわゆる“役作り”はしません」。真っ直ぐな瞳でこちらを見つめながら茶沢になりきっていく過程を明かしてくれた。「特に今回は現場で感じたままをそのまま出すのがいいかなと思いました。とにかくやってみようと、現場でのテンションや雰囲気、空気感を大切にしました。役柄に関してはどんな役もやっぱり私自身だから、演じながら『この子はこういう子だな』とか感じたりすることはほとんどないんです。その中で今回、茶沢になって、ものすごく住田が好きで、『守ってあげたい、守りたいよ』という気持ちが素直に込み上げてきましたね。クランクインしたその日から、自分が茶沢としてそこに立っているというのがすごく感動的でした。茶沢として成長するというよりも、私にとっては住田との距離を縮めていくということが何より重要でしたね。2人の距離が茶沢に直結しているというか…日に日に住田との距離が近くなっていくのをひしひしと感じていました」。「住田と茶沢の若さがエネルギーの塊だったと思う」(二階堂さん)、「人間力…人の力ってすごいなというのをこの映画に関わる役者や全てのスタッフを見て感じた」(染谷さん)と、2人はこの作品の根底にある“強さ”を分析する。特に観る者の心に突き刺さってくるのが、ヴェネチア国際映画祭でも反響を呼んだという、茶沢による「がんばれ住田!」の連呼。汗と涙にまみれながら茶沢は住田を励まし続ける。気安く言われたら腹が立つ「がんばれ」という言葉だが、少女の叫びは素直に心に響くと同時に一緒に叫び出したくなるような衝動さえももたらす。「心の底から…本当に嘘のない『がんばれ』を言いましたね。セリフではなく自然と出てくる言葉でした。ラストがああいう形で本当によかったと思うし、私自身もあのシーンでオールアップだったんですが、ものすごく感動しました」(二階堂さん)。役柄やシーンについて2人で話し合うことは「全編を通じて一度もなかった」(染谷さん)という一方で、撮影の合間には他愛もないおしゃべりで盛り上がることもあったとか。映画の中でこれだけの“化学反応”を見せている2人が普段はどのように絡み、互いをどのように見ているのか気になるが…。染谷さんが明かす。「ふみちゃんはイタズラっ子ですね。どんなことされたか?いや、特にイタズラされてないかもしれないんですが(笑)、何かイタズラっぽい悪い顔をするんですよね。(二階堂さんを指しつつ)ほら、こういう顔です(笑)」。一方の二階堂さんは染谷さんについてしみじみとこう語る。「お父さん…ですかね(笑)?父親のように見守ってくれます。前世ではきっとお兄ちゃんですね。兄妹だったんじゃないかって思ってます」。ここに描き出されるのは底なしの絶望でも単純な希望でもない。生と死、肯定と否定、愛と憎悪が入り混じり、3.11以降の新しい世界を静かに照らし出す。2つの若き魂が引き起こしたディープインパクトを肌で感じてほしい。(photo/text:Naoki Kurozu)■関連作品:ヒミズ 2012年1月14日より新宿バルト9、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:二階堂ふみの「朝帰り」願望にどよめき被災地支援、出産、離婚までセレブたちの2011年をふり返り染谷将太と二階堂ふみが“ヴェネチア”トロフィーとご対面!なんとモグラも祝福!?衝撃の青春感動作『ヒミズ』夫婦&カップル限定試写会に35組70名様をご招待ヴェネチア国際映画祭で喝采!『ヒミズ』レビュアー限定試写会に15組30名様ご招待
2012年01月12日第68回ヴェネチア国際映画祭でマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人俳優賞)に輝いた『ヒミズ』の染谷将太と二階堂ふみが9月11日(日)、都内で会見を行い、受賞の喜びを語った。「行け!稲中卓球部」で知られる古谷実の原作を『冷たい熱帯魚』の鬼才・園子温が映画化した本作。ヴェネチア国際映画祭ではコンペティション部門に出品され、公式上映では8分間ものスタンディングオベーションが起こった。イタリアが誇る名優の名を冠した新人俳優賞を受賞した2人だが、まだ実感が伴わない様子。「いまもまだフワフワしています」(染谷さん)、「染谷くんからの電話で知りましたが、いまでもウソとしか思えない」(二階堂さん)と心境を語った。現地の反応については「スタンディングオベーションが初体験でした。(劇中の)『ガンバレ、スミダ』という日本語のセリフで声を掛けてもらいました」と染谷さん。二階堂さんは「拍手がずっと止まらなくてウルウル来てました。『ガンバレ』という言葉と拍手が一番心にきました」とふり返った。オーディションを経ての園監督の現場について染谷さんは「監督は段取りの後、テストなしで、ぶっつけ本番で撮影するんですが、いままでで一番、自由にやらせてもらった」と明かす。一方の二階堂さんは、リハーサルで監督から「(100点満点で)4点」とこき下ろされたこともあったとか。「次のリハでは笑顔で『よかったよ。12点』と言われました(苦笑)。60点を目指していたのでそう言ったら『60点に限りなく近い12点だ』って(笑)。優しい、愛のある監督でした」と語った。東日本大震災の発生を受けて監督は脚本を変更。原作とは異なる結末が描かれることになった。このラストについて染谷さんは「感動しました」と語り、「監督が『希望に負けた。希望を持たざるを得なくなった』とおっしゃっていて…。人間はどこかで希望を見つけ、すがるもの。それが描かれていると思います。僕らはこのラストに対して前向きでした」と胸の内を明かしてくれた。さらに撮影最終日には被災地でも撮影が行われたが、被災地に足を踏み入れた染谷さんは「それまで、どういう心情になるか想像できなかったんですが言葉が出ず、頭の中が真っ白になりました」と衝撃を語る。さらに「ここである意味、記憶が塗り替えられた」という監督の言葉を紹介し、「監督が決意しなかったらありえなかった映像を、海外の映画祭に持って行けたことを誇りに思います」と語った。二階堂さんは「震災を受けて立ち上がっていく同世代の人々への『頑張れ』という思いがあるのではと感じています」と今回の受賞を受け止め「魂のこもった作品なので、そのままの自分で、素直に感じ取ってもらえたら」と同世代の若者たちへの思いを語った。『ヒミズ』は2012年春、シネクイントほか全国にて順次公開。■関連作品:ヒミズ 2012年春、シネクイントほか全国にて順次公開© 『ヒミズ』フィルムパートナーズ■関連記事:第68回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞はソクーロフ監督に。日本映画人も健闘園子温監督、震災後に『ヒミズ』シナリオ変更し被災地で撮影していたことを明かす窪塚洋介、鈴木杏が『ヒミズ』で園子温作品初出演!西島隆弘&吉高由里子も再びヴェネチア、モントリオールにトロント…世界の映画祭での邦画の奮闘に期待!『冷たい熱帯魚』の衝撃再び?『ヒミズ』に吹越満、でんでんら“園組”が勢揃い
2011年09月12日