「ヌードマウスに毛を生やすことに成功!」という衝撃の写真がさる4月17日に公開されて世界中を驚かせました。これは、東京理科大学の辻 孝教授のチームが開発した細胞操作技術の成果。「最近なんだか毛が薄いかも!?」と悩んでいる人には希望を抱かせる研究です。辻教授に詳細を伺いました。――今回の成果は、毛髪再生のための技術開発、「毛包再生の技術」ということですが。知識なしの筆者のために、まず「毛包」について教えてください。辻教授「毛包」というのは毛髪を作るための「工場」です。この毛包は数年に1回、新しく作り直されます。これがヘアサイクルです。毛包には再生するための幹細胞があり、そのおかげで髪は何度でも生え代わることができます。――つまり、毛包を人工的に作って頭皮に移植して、それがちゃんと働けば毛はまた生えてくるってことですか?辻教授そうです。毛包を作り直すことができれば毛髪は生えてくるはずです。毛髪再生の大事なポイントは、毛包を作るための幹細胞が、大人になっても毛包の中にあって利用できるという点ですね。――「大人になっても」というのは?辻教授ほかの器官、例えば肝臓でも、歯でも、その器官を作り出すための幹細胞というのは胎児の時にしか見つかっていません。ところが、毛髪の場合は、大人になっても毛包さえあれば誰でもその幹細胞を持っています。――では、自分の毛包の幹細胞を取ってきて、「同じ機能を持つ毛包」が作製できれば解決できるわけですか?辻教授そういうことになります。そのための技術が今回の発表ですね。辻教授の話をお伺いしているとなんだか簡単にように思えますが、もちろんそんな簡単に「実現」できることではありません。今回の成果は、今までの同様の研究とは一線を画す、確固とした技術確立です。●毛包の再生の段取りちょっと難しい説明です。毛包というのは、「上皮性毛包幹細胞」と「間葉性の幹細胞」である毛乳頭細胞という2つの「幹細胞」がセットになって働いて初めてできます。なので、この2つの幹細胞を組み合わせた「再生毛包原基」という、毛が生えてくるための、いわば「種」を作ります。この「種」を皮膚に「植える」と、それが毛包になって、毛が生えてくるという仕組みです(再生毛包原基移植と呼びます)。あるいは「種」から毛が生える段階までにまで育てて、それを株分けして、皮膚に植えてもいいわけです(再生毛包移植と呼びます)。稲作を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。「種もみ」の一粒一粒が「再生毛包原基」です。これを田んぼに直接まけば芽が出てきますが、「苗」(毛包→発毛)の段階まで育てて「田植え」した方が効率がいいですね。田んぼに直接まくのが再生毛包原基移植。「田植え」するのが「再生毛包移植」というわけです。●ヌードマウスに毛が生えた!しかも元通りの毛を再現!今回の実験では、マウスくんのヒゲから作製した「種」(再生毛包原基)を皮膚に移植してみた、と。すると約73%の頻度で元と同様の毛を発毛させることができたのです!●今回の成果のスゴイ点今までの「毛髪再生」の成果というのは非常に大ざっぱなもの。例えば、胎児の皮膚組織を持ってきて、細胞2,000万個(毛髪10,000本分)を使って生えてきた毛が500本。しかも毛が異常な密度で生えたり、生える方向もまちまちであったり。とても人に応用できると言えるような精度ではありませんでした。しかし!今回の成果は、毛包への発生頻度の高さ、前述の「種」(再生毛包原基)を製作する技術の精度の高さなど、どれをとっても超一級なのです。――元はないところに毛を生やすことができるなんて!辻教授ただ生えただけじゃないんです。「毛周期」もきちんと元通りなんですよ。――毛周期って何ですか?辻教授先ほど説明した毛包の、成長期-退行期-休止期のサイクルです。人間の場合は7年で1サイクルなんですが、このサイクルが繰り返し行なわれないと、毛は生え代わりません。――毛周期も元通りということは、このマウスに生えてきた毛は抜けてもまた生えてくるってことなんですか?辻教授そうです。元からあったのと同じように。――人間でも同じようにできるんでしょうか?辻教授できるでしょう。もうひとつ、移植した「種」から「毛包」が発生して、周辺の組織ときちんと「接続できているか」も確認できています。――と言いますと?辻教授例えば動物の場合は、寒い時に毛を立たせて保温効果を高めます。横になった毛が立ち上がる、立毛機能と言うんですが。私たちが「生やした毛」でも、この立毛機能があることが確認できています。――ということは、最初から生えていた毛と変わらない、自分の毛になるということでしょうか?辻教授その通りです。これは大事なことですよ。先ほどの毛周期もそうですが、立毛筋(毛を動かす小さな筋肉)や神経ときちんと接続されているということですから。●「生える治療」は10年後から!?――すごいですね!もうスグにでも薄毛治療が始められそうですが、この技術で治療が受けられるようになるのはいつごろになるでしょうか?辻教授ヒトの毛包から取り出した細胞を使った動物実験での検証、それが終わったら臨床試験ですが、それに3~5年かかるのではないかと思います。実際に医療として行われるようになるまでには……10年後を目指したいですね。私は臨床医ではないですが、それぐらいかかると思いますね。――ここまで完成されているとスグにでも治療が始められそうですが?辻教授いえいえ。例えば毛周期。人間の場合は7年です。きちんと毛周期を持っているかを確認するだけでも7年かかるわけです、ほかにも、移植した細胞がガン化しないかなどの重要な点を確認してからでないとできません。――そうですか。ちょっと残念ですが……。辻教授今回発表したのは、緻密(ちみつ)に、細かく技術の土台を組みあげて作った、ある意味非常に日本的な精密な技術の結果なんですよ。治療の実施も性急に行うべきではないと思っています。――世界中から注目されていると思いますが?辻教授そうですね(笑)。発表後、世界中からメールを頂きます。やはり症状が重い方からは深刻なメールが来ます。でも、だからこそ検証を慎重にするべきでしょう。●今からお金を貯めておこう!辻先生のお話を伺って、筆者もすっかり興奮して取材から帰ってきました。今まさに薄毛に悩んでいるあなた。まったく心配要らないです!将来は再生毛髪を「生やす」ことができるんです。最初はちょっと高価な医療になりそうですから、今からお金をためておきましょう!(高橋モータース@dcp)注……ヌードマウスは、正確には「ヌード」ではなく「うぶ毛」のような毛が生えるんだそうです。しかし、固い毛で、ある長さになるとポキンと折れるのでいつまでも「ヌード」な状態なんですね。
2012年05月12日むだ毛処理剤ブランド「エピラット」から敏感肌ライン発売クラシエホームプロダクツは、むだ毛処理剤ブランド「エピラット」から敏感肌ラインの、除毛クリーム「エピラット除毛クリームキット敏感肌用」(医薬部外品150g)、「エピラット脱色クリーム敏感肌用」(医薬部外品55g+55g)、 「エピラット脱色クリーム敏感肌用<ミニタイプ>」(医薬部外品(18g+18g)×2)を、3月12日に新発売する。価格は全てオープンプライス。*画像はニュースリリースより従来と同等の除毛力・脱色力で、肌への負担を軽減新商品は、アクティブ成分(除毛成分、脱色成分)のバランス配合技術により、従来と同等の除毛力・脱色力を保ちながら、肌に極力、負担をかけず除毛・脱毛を実現したという。「エピラット除毛クリームキット敏感肌用」は、うるおい保護成分(カモミールエキス、海藻エキス、セラミド)を配合。肌をいたわりながら、根元からすっきり除毛し、処理後の毛の断面も丸くなめらかで、チクチクしない。やさしく香るグリーンフローラルの香りで、お風呂でも快適に除毛できる。「エピラット脱色クリーム敏感肌用」は、うるおい保護成分(カモミールエキス、海藻エキス、植物性スクワラン、ローヤルゼリーエキス)を配合。肌をいたわりながら、むだ毛を自然なうぶ毛の色に脱色するという。嫌なにおいのしない無臭タイプ。元の記事を読む
2012年03月06日カールキープ力アップ!ロレアルパリから新しいマスカラが到着。ダブルエクステンションシリーズの新商品で「ダブルエクステンションカール」という。販売開始は3月16日だ。“カール”ということで、まつげの美しいカールをキープする力が従来よりもぐんとアップしたところがポイント。維持会まつげも根元から立ち上げ、長時間崩れない美しいカールを生みだしてくれる。これまでのシリーズマスカラと同様、マスカラベースが反対側にセットされた一体型なっているので、2本持ちする必要がなく、リーズナブルかつ便利に使用できる。(画像は現在発売中のダブルエクステンションシリーズ)ベースでまつげケアも完璧!マスカラベースには、まつげをしなやかに、なめらかに、強く美しいものへとケアしてくれる、アルガンオイルやホホバオイルなどが配合れている。メイクしながら、ケアもばっちりできるところがうれしい。カラーもグレー色なので、マスカラと自然になじみ、不自然な白浮きをしたりする心配もない。マスカラはカール状のブラシで、上向きのカールをだれでもつくりやすく、キレイを簡単演出。独自のウォーターブロックテクノロジーにより、ごわつきは感じさせないなめらかな仕上がりでありながら、水や汗、涙には強い、崩れにくい仕様となっている。上品に、しなやかにカールする、美しいまつげを演出&キープしたいなら、ぜひこのマスカラをチェックしておこう。元の記事を読む
2012年03月03日大正製薬は、女性の髪と頭皮を考えた、女性のための発毛エッセンス「リアップリジェンヌ」を11月1日に発売する。「リアップリジェンヌ」は、女性の頭皮に着目し、発毛成分「ミノキシジル」に、頭皮環境をととのえる3種類の有効成分を配合した女性用の発毛エッセンス。「ミノキシジル」が、毛包に直接作用して、細胞の増殖やタンパク質の合成を促進することによって新たな髪を生み出す。さらに、乾燥しがちな女性の頭皮に配慮し、低刺激性の基剤「1,3-ブチレングリコール」(添加物:溶剤)、「ヒアルロン酸ナトリウム」(添加物:湿潤剤)を採用した。詳しい情報は、大正製薬(株)ホームページにて。・PCサイト ・モバイルサイト お問い合わせ:お客様119番室TEL:03-3985-1800プレスリリース提供元: 日経プレスリリース
2011年10月31日女性の身だしなみの一つともいえるムダ毛処理。男性からしてみれば、女性たちの日々の苦労は計り知れないものがあります。しかし、男性もムダ毛処理をするのがエチケットになりつつある時代。ムダ毛に関する意識を男女で共有しておくというのは、それはそれで大切なことのような気がします。本記事では、本来はベールに包まれているはずの「女性がムダ毛処理を始めたきっかけ」について、COBS ONLINE読者の女性を対象にアンケートを実施しました。調査期間:2011/7/12~2011/7/15アンケート対象:COBS ONLINE会員有効回答数 300件(ウェブログイン式)Q.(お聞きづらいことですが)ムダ毛処理を始めたのはいつですか?中学校時代55%小学校時代22%高校時代21%大学・短大時代1%社会人時代1%多感な時期でもある「中学校時代」がもっとも多いという結果に。「小学校時代」を含めると、約8割もの女性が小中学生の時期にムダ毛処理を始めているようです。続いて、「どんなきっかけでムダ毛処理を始めたのか」も聞いてみました。■小学校時代「プールの授業で友達から『毛深いね』と突っ込まれ、恥ずかしくて……」(31歳/精密機器)「きれいな女の先生にムダ毛がないことに気付いて」(25歳/医薬品・化粧品)「友達がムダ毛を気にし始めたので、やらないとまずいかなって……」(24歳/アパレル・繊維周囲の言動や行動に影響を受けて、ムダ毛処理を始める人が多いようです。分かってはいたことですが、そうやって人は大人になっていくんですね。■中学時代「好きな男子に『おれより毛がいっぱいだ~!』と言われて(特に悪気はなかったと思うのですが)」(24歳/印刷・紙パルプ)「先輩がムダ毛処理をしていない人の悪口を言っていたのを聞いたので」(22歳/電機)「好きな男子ができたので、きれいにしなきゃと」(25歳/医療・福祉)異性を意識し始めたことをきっかけに、ムダ毛処理のスイッチが入った方も多いのではないでしょうか。着々と大人の階段をのぼる女子が増える一方で、まだまだ幼くて無邪気な男子が多いのもこの時期です。■高校時代「クラスの女の子と腕がぶつかったときに『チクチクする~』と言われて」(28歳/商社・卸)「妹の方が私より先にムダ毛処理をしていたのを目撃して」(24歳/学校・教育関連)「初体験の時……」(23歳/情報・IT)この時期になると、ムダ毛処理を始めるきっかけもいろいろですね。いろいろな人生があるように、ムダ毛処理のきっかけもいろいろです。■大学・短大~社会人時代「勉強ばかりしていたけれど、ある日『このままで本当にいいのかな……』って思い始めて」(31歳/研究職)「きれいになりたいと、思ったから……」(30歳/技術職)最後の方のコメントがすべてを表しているように思えましたが……皆さんはいかがでしょうか。ムダ毛処理は「やらなければならないような気がしてきた」ときが、まさに「やるべきとき」なのかもしれません。人はムダ毛がないから美しいのか、美しいからムダ毛がないのか……。私たちにとってムダ毛処理とはいかなるものか、今この機会にあらためて考え直してみたいところです。(根岸達朗/プレスラボ)【関連リンク】【コラム】男性のムダ毛どう思う?働く女子の緊急座談会編【コラム】男性の知らない世界。女性のムダ毛処理の実態【コラム】苦手だなと思う女子メイクとは?男女それぞれ目線で大検証
2011年10月07日使えば使うほどにくるんとカール!株式会社イザヴェルは、10日、セルフエステコスメ「サロンドメイクアップ」第3弾商品となる「まつ毛カールマスカラ」を発売した。全国のバラエティストア、ドラッグストアなどで購入可能だ。「サロンドメイクアップ」シリーズは、家でも手軽にサロンのような本格的なケアができる商品をと生みだされたもので、第1弾商品の“塗って寝るだけ”でまつ毛のカールをクセづけするまつ毛カールトリートメントが大ヒット。今回はそのユーザーらの声に応え、塗るだけでまつ毛のカールができるマスカラを開発、発売に至ったそうだ。手軽でも本格的!まつ毛は常に上へカールをキープ☆手軽に購入できる製品だが、その中身はかなり本格派。サロンでまつ毛パーマにも使用されている成分『アセチルシステイン』を配合。しっかりカールをつくりだす。さらに99%含有の天ねんトルマリンが外側からまつ毛のカールを形状固定。綺麗なカールをキープしてくれる。ブラシは毛が逆向きにそろった逆立てブラシで、マスカラ液がまつ毛へ均一に密着するよう工夫されたものになっているから、上手く塗れないといった心配もない。センブリエキスやオリーブオイルなどまつ毛のケアによいとされる養毛美容成分もたっぷり含まれている。まさに使えば使うほど、美しいまつ毛になれる理想的なマスカラだ。くるんとカールのまつ毛にこだわるなら、ぜひ一度チェックを。元の記事を読む
2011年08月13日クセ毛の人にとって雨は大敵です。変な風にカールはするし、無駄にボリュームは出るし、まとまりの悪いことこの上ない。とくに筆者はクセ毛でもありながら、剛毛であり、さらにボリュームも人一倍多いため、寝起きなんてもはやドリフの爆発コントさながら、収拾のつかない状態になっていることも多いのです。梅雨のシーズンも近づいております。なんとかする方法はないのか、美容師の方に伺ってみました。――長年付き合ってきた髪質とはいえ、梅雨の時期は本当に憎くなります。どうすればいいのでしょうか?私は一体、どうすれば!「まあ、落ち着いてください。まず一つの対処法は水にぬらしてから、髪を引っ張りつつしっかりとドライヤーで乾かすことです。髪は水素結合と呼ばれる状態で結びついていて、水にぬれるとその結合が切れます。髪に形が付くのはその水素結合ができたとき、つまり髪が乾く瞬間です。伸ばしながら乾かせば、クセは多少抑えられます」(東京・下北沢、BURNING BLOOD店長・高野さん、以下同)――ふむふむ、ドライヤーですか「あとは、整髪料でがっちりと固めてしまうというのも手です。ただし、ここでは水分があまり含まれていない、ハード系のスプレーを使いましょう。髪にハリが出るようなタイプのものです。ジェルやワックスはスプレーよりも水分が含まれているため、実はあまりおすすめできません。雨の日に髪に湿気が含まれている状態だと、なおさらうねってしまいます」――スプレーですか、あとで薬局へ行ってきます「また、男性の中にはお風呂で髪を洗うときにシャンプーしかしないという方もいらっしゃいますが、クセを抑えるためのトリートメントなどを使ってみてはいかがでしょうか。美容院にいけばクセが目立たなくなるようなカットもしてくれますし、根元からクセを和らげていけばスタイリングも楽になりますよ」――ストレートパーマや縮毛矯正という手も?「どうしてもクセが気になるのであればそれもありでしょう。また逆に、ボリュームアップするような、ウェーブやカール系の強いパーマなどをかけるのもスタイルとしてはあります。ただし、パーマは髪を傷めることがあります。無理やり本来の髪質に逆らうのではなく、できることなら持って生まれたクセを生かす方向で、自然なスタイリングができるようになればいいですよね」――分かりました、ありがとうございました雨の日が多くなることを恐れるあまり、一瞬、取り乱してしまいましたが、「そのままでいいのだ」と言われたような気がして心が救われました。毎日のスタイリングはそれなりに大変ですが、これからもがんばって自分のクセ毛と仲良くしていこうと思います。(根岸達朗/プレスラボ)【関連リンク】女性の髪型で萌えるのは……?読者アンケート!!職場の異性のドキッとするしぐさランキング森ガールVS盛りガール(盛り髪ギャル)あなたはどっちに共感する?
2010年05月27日日本で、67か国目となる初登場1位を記録し、鑑賞後の満足度という点でも驚異的な高支持を集めている『カールじいさんの空飛ぶ家』。1995年の『トイ・ストーリー』から数えて、ピクサーとして記念すべき10作目となった本作でも、キャラクター、ストーリー、そして映像世界など“ピクサーらしさ”を余すところなく発揮している。ずばり、ピクサー作品の面白さの秘密はどこにあるのか?今回監督を務めたピート・ドクターは「新しいもの、人々が観たことない作品を作リ、驚きを与えるのがピクサー」と語る。彼を含む数々のクリエイターの発想を汲み上げ、作品ごとに異なる個性を発揮しつつ、“ピクサー作品”として質の高い作品を送り出し続ける秘訣は?スタッフの立場で数々のピクサー作品に携わり、本作でもプロデューサーを務めたジョナス・リヴェラに「ピクサー映画の作り方」を聞いてみた。こちらのリヴェラ氏は大学で映画製作を学んだのち、レコードショップの店員やハードロック・バンドのメンバーを経てピクサーに入社したという変わり種。こうした人物のアイディアをどんどん取り込んでいくところにも、ピクサーが常に面白い作品を作り続ける秘密があるのかも。まずは単刀直入に、ピクサーではどのように映画作りが始まり、どのようなプロセスを辿って製作されていくのか聞いてみた。「ピクサーの作品は、常に非常に“有機的”と言えるプロセスで進んでいき、そのプロセスは毎回異なるんだ。今回はまず、(監督の)ピート・ドクターが『モンスターズ・インク』の監督の仕事を終えて、しばらくバカンスに入ったのちに、再びクリエイティブ部門に戻ってきた。3つか4つのアイディアを持っていたんだけど、そのひとつが『ウォーリー』だったんだ(※『ウォーリー』でピート・ドクターはアカデミー賞の脚本賞にノミネート)。ただ、『ウォーリー』も最初はなかなかうまく話が進まず、いったん企画を横に置いておいた時期があった。そのときに、『カールじいさんの空飛ぶ家』の原型とも言えるおとぎ話のようなアイディア――お城が空を飛ぶというイメージが出てきたんだ」。ひとつの企画を進めつつ、行き詰まったところでいったん横に置いて全く別の企画に着手。何とも面白い進め方だが、そもそも、このアイディア自体も意外なところから出てきたそうで…。「ピート自身が仕事のプレッシャーから逃げ出したいと思ってて『飛んで消えたい!』っていう願望からアイディアが浮かんできたらしいよ(笑)。彼自身、一人でいるのが好き、ということも関係しているみたいだね。そして、次のきっかけとなったのは、ピートが偶然描いたある絵なんだ。老人が風船を持っているというもので、すごく笑える絵だった。その絵と空飛ぶ城の発想を混ぜ合わせて、結果的に老人が家を飛ばすという物語になったんだ」。何と!仕事からの逃避願望が新たな仕事へのアイディアを生むとは、何と言うクリエイティビティ…“サラリーマンの鑑”である(涙)。こうして、ぼんやりとしたアイディアが物語となり、いよいよピクサー作品として映画となるにはどんなプロセスを踏むのか?ここでリヴェラ氏の口から、ピクサーの“チーフ・クリエイティブ・オフィサー”ジョン・ラセターの名が。「映画作りの最初の段階、“ラフな鼓動”とでも言うのかな、作品の大まかなコンセプトが決まった時点で、ピートとボブ・ピーターソン(本作の共同監督・脚本)がプレゼンテーションを行ったんだ。その場にはジョン・ラセターやエド・キャットムル(ピクサー社長)、アンドリュー・スタントン(『ウォーリー』などを監督)がいて、その時点では視覚的なものは一切なかったので、とにかく内容を伝えたんだ。カール・フレドリクセン(=カールじいさん)という人物が、幼い頃にエリーという女性に会って恋に落ち、一緒に年をとっていく。その妻を亡くした彼が、約束を果たすために家を飛ばす、とね。すると彼らは『物語の中核となる部分、感情的な核心があって面白い』と言ってくれた。そして、ジョン・ラセターから『(コンセプトを)絵コンテに仕上げて、映画にしてみよう』ってGOサインが出たんだ」。来日した際の記者会見では、本作について古いディズニー・アニメーションへの“オマージュ”といった言葉も聞かれた。その意図は?「純粋に文字通りのオマージュという意味ではありません。言うなれば、この作品を作る上で、ディズニーの古き良き作品――『ピノキオ』や『ダンボ』、『バンビ』など、かつての黄金時代の作品を“指針”とした、というところかな。これらの作品には、嫌味な部分や皮肉っぽさがなく、優しさ、誠実さが伝わってくる。最近のアニメーションは、最先端の技術はあるけれど、とても早いペースで進んでいくでしょ?そういうものではなく、もう少し優しさのある作品を作りたかったんだ。僕たちが子供の頃に観た作品に影響を受けたように、いまの子供たちにインスピレーションを与えるようなね」。自身の仕事を「ライン上にいる350人ものクリエイターを見守り、まとめるレフェリーのようなもの」と語るリヴェラ氏。作品ごとに異なるクリエイターと仕事をしてきた彼から見て、今回のピート・ドクター監督はどのようなタイプのクリエイターなのだろうか?「確かに、ピクサーにはそれぞれ全く違った才能を持ったクリエイターがいるからね。うん、そうだな…アンドリュー・スタントンは、まず脚本家であるという点が、彼の作品づくりの大きな特徴となっているし、ブラッド・バード(『レミーのおいしいレストラン』監督)は、“純粋主義者”といえる要素を強く持っていて、それは彼が自身の作品づくりにおいて大切にしてる部分でもある。ジョン・ラセターは“庶民派”だね。そして多くの人を率いて仕事をするという素晴らしい能力を持っている。ではピートはどうか?まず言えるのは、彼には“ハート”があって、それが彼の作品と大きく関わってるということ。ときどき、奇想天外な発想もするけど(笑)、子供のような無垢な心、無邪気さを失っていない監督だね。彼がいるからこの世は少しは素晴らしい、そんな風に思えるくらい素晴らしい感性を持っているんだ」。来年は『トイ・ストーリー3』、さらに再来年には『カーズ2』など今後も話題作が目白押し。まずは、“最初の10分で泣けること必至”と言われる『カールじいさんの空飛ぶ家』でピクサーの底力を体感してみては?■関連作品:カールじいさんの空飛ぶ家 2009年12月5日より全国にて公開© WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS.ALL RIGHTS RESERVED.トイ・ストーリー3 2010年7月、全国にて公開トイ・ストーリー/トイ・ストーリー2 3D 2010年2月6日より2本立てにて全国公開© DISNEY / PIXARウォーリー 2008年12月5日より全国にて公開© 2008 WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.レミーのおいしいレストラン 2007年7月28日より全国にて公開© DISNEY / Pixar. All rights reserved.■関連記事:美しい映像だけでない、ストーリーにぜひ注目してほしい『カールじいさんの空飛ぶ家』公開直前!カールじいさんの家が浮かび上がる瞬間の特別映像をお届けアニメ界のアカデミー賞候補が発表!『コララインとボタンの魔女』が一歩リードノムさん、ウエディング姿の夫人を優しくエスコート「母ちゃんのおかげで私がいる」ディズニー・ピクサー最新作『カールじいさんの空飛ぶ家』独占試写会に30組60名様ご招待
2009年12月28日今回の主人公は78歳のカールじいさん。強面で、いつも不機嫌で、頑固な性格だけれど、それは愛する妻に先立たれ彼女との思い出が詰まった家に固執するあまり意固地になってしまったという、妻・エリーへの大きすぎる愛情ゆえ。カールとエリーの結婚生活を綴った冒頭のモンタージュ・シーンはグッと涙がこみ上げてくるだろう。そして、エリーが生きている間に果たせなかった2人の夢を叶えるために、カールじいさんは家に無数の風船を付けて旅に出ることに。空を飛ぶ方法はいくらでもあるけれど、風船で、しかも家をまるごと飛ばすというアイディアは意外なほど新鮮に映し出される。それは「風船で空を飛びたい!」という、幼い頃に誰もが一度は抱いたことがあるのに、いつの間にか忘れかけていた夢だからなのかも。さらに、後半には『インディ・ジョーンズ』級のアドベンチャーが待ち受け、想像以上にハラハラドキドキさせられる。本作はディズニー/ピクサー初の3D作品としても話題を集めているが、3Dはあくまでオプション。映像は確かに美しい、でもストーリーの素晴らしさあってこそ。カールじいさんと妻・エリーのように人生を送れたら…そんなふうに自分の人生を重ね合わせ幸せについて考えさせられる、アドベンチャー・ラブ・ストーリーなのだ。(text:Rie Shintani)■関連作品:カールじいさんの空飛ぶ家 2009年12月5日より全国にて公開© WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS.ALL RIGHTS RESERVED.■関連記事:公開直前!カールじいさんの家が浮かび上がる瞬間の特別映像をお届けアニメ界のアカデミー賞候補が発表!『コララインとボタンの魔女』が一歩リードノムさん、ウエディング姿の夫人を優しくエスコート「母ちゃんのおかげで私がいる」ディズニー・ピクサー最新作『カールじいさんの空飛ぶ家』独占試写会に30組60名様ご招待『カールじいさん』来日会見にアニマル浜口夫妻が気合いの乱入!
2009年12月04日ディズニー/ピクサーにとって記念すべき10作目の長編作品となる『カールじいさんの空飛ぶ家』の強力スタッフ陣が揃って来日!6日(火)に記者会見が行われた。アニメーション作品として初めてカンヌ国際映画祭のオープニングを飾り、その後も世界各国で公開されヒットを記録している本作。日本では12月5日(土)より公開されるがピート・ドクター監督とプロデューサーのジョナス・リヴェラは「最後に残された日本は、パフェのてっぺんにあるチェリーのようなもの。一番いいものを最後までとっておいたんです」と口を揃えた。アロハ姿で登場したのは、共同監督で、原案と脚本にも携わり、劇中に登場する犬のダグの声も務めるボブ・ピーターソン。「Hello!」とダグの声で挨拶し「ピクサーのユニフォームとも言える、ジョン・ラセター(※ピクサーのチーフ・クリエイティブ・オフィサー)がいつも着てるアロハシャツで来ました(笑)。ジョンもきっと喜んでくれると思います」と笑顔を見せた。そしてストーリー・スーパーバイザーのロニー・デル・カルメンも満面の笑みを浮かべ「この作品に携わることができて光栄ですし、大好きなキャラクターたちをみなさんに紹介できるのが嬉しいです」と挨拶した。監督は「とにかく新しいもの、人々が観たことない作品を作リ、驚きを与えるのがピクサー」と本作、および過去の9作品に共通するピクサーの理念を説明。リヴェラ氏は「何よりも大切にしているのはストーリー」とうなずきつつ、本作における挑戦について「『ダンボ』や『ピノキオ』、『バンビ』などこれまで我々が強く影響を受けてきた作品へのオマージュが捧げられています」と語った。物語について、ロニー氏は「カールの感情と彼と他人との関係性を伝えたかった」と語り、特にお気に入りの場面として「最初の10分間と中盤でカールが旅の意味を知るシーン」を挙げ「ほとんどセリフがない中で、表情で感情を伝えた」と説明した。78歳の老人を主人公としている点について監督は「もし、フリーの立場でL.A.のスタジオにこの企画持って行っても全くダメだったと思う。でも、ジョン・ラセターのところに持って行ったら、感情の部分に反応して、セリフだけで涙を流してくれました。これは…後ろで誰かがタマネギでも切っていたのでしょうが(笑)」とピクサーだからこそ作り得た作品であると強調した。最後に一同に、どんな78歳になりたいか?という質問が。「(自身の)祖父のようになりたいね。単純なことでも祖父が話すとすごく面白いんです。それから、もちろん風船で家を飛ばすよ」とはリヴェラ氏。監督は「カールは映画の中で“UP”(※本作の原題)したけど、本当は“DOWN”して社会や人々と繋がる必要がある。僕もそうありたいと思ってるよ」と語った。ピーターソンは「78歳まで生きるとなったら今日から運動しないといけないね(笑)。僕は家族と一緒に年を取れたらいいな、と思ってます」と冗談を交えつつ語った。そしてロニー氏は「僕は案外、カールのように家の前に腰掛けて、侵入してきた人を追い払うようなタイプの78歳になりそうです」と笑いつつ「この映画の最後に描かれているカールのようになれたら、と思います」とコメントしてくれた。この日は、スペシャルゲストとしてアニマル浜口、初枝夫妻も登場。一足早く作品を鑑賞したアニマルさんは「涙があふれました。人生は夢。夢があるからこそ生きられると教えられました」と感動を語った。さらに劇中の主人公とその妻の愛に触発されたようで、夫人との馴れ初めや娘の京子さん誕生秘話まで自ら暴露。最後は得意の「気合いだ」10連発“カールじいさん”バージョンを披露し会場を盛り上げた。『カールじいさんの空飛ぶ家』は12月5日(土)より全国にて公開。■関連作品:カールじいさんの空飛ぶ家 2009年12月5日より全国にて公開© WALT DISNEY PICTURES/PIXAR ANIMATION STUDIOS.ALL RIGHTS RESERVED.■関連記事:世界制覇目指す還暦ランナー・寛平、ニューヨークの街を風船で大冒険!『カールじいさんの空飛ぶ家』がピクサー史上3位の6,820万ドルで全米初登場1位【カンヌ現地レポ 01】ディズニー3Dアニメで開幕!「宮崎駿に学んだ」
2009年10月06日