東京都・上野の上野の森美術館にて、平面分野の現代アートで、国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的とした「VOCA展2015 現代美術の展望 -新しい平面の作家たち」が開催される。開催期間は3月14日~3月30日。開館時間は10:00~18:00。入場料は一般・大学生が500円、高校生以下は無料。同展は、現代アートにおける平面の領域で、国際的にも通用するような将来性のある若い作家の支援を目的に1994年より毎年開催している美術展。全国の美術館学芸員、研究者、ジャーナリストなどから推薦委員を選出し、それぞれ40歳以下の若い作家1名を推薦し、推薦された作家全員に展覧会への出品を依頼している。こうしたシステムのため、東京のみならず全国で活躍する作家たちにスポットがあたることが同美術展の特徴のひとつという。過去には福田美蘭(1994年VOCA賞)、やなぎみわ(1999年VOCA賞)、蜷川実花(2006年大原美術館賞)、清川あさみ(2010年佳作賞)など多方面で活躍している作家たちが出品している。同展では、作家34名による出品作の中から、グランプリとなるVOCA賞に、シルクスクリーンで数十から100回ほどインクを重ねるという独自のスタイルで作品を制作する小野耕石さん(美術家・版画家/岡山 県出身、埼玉県在住)の「Hundred Layers of Colors」が決定したほか、VOCA奨励賞には岸幸太さん、水野里奈さん、佳作賞には松岡学さん、松平莉奈さんが選出された。また、大原美術館賞には川久保ジョイさんが同美術館独自の選考を経て選出された。選出に際して、受賞作家によるアーティスト・トークとして3月14日15:00~16:00には小野耕石さん・水野里奈さん・松平莉奈さんが、3月21日(土)15:00~16:00には岸幸太さん、松岡学さん、川久保ジョイさんが自作について語る。また、上野の森美術館学芸員が出品作品を紹介するトークが開催される。開催日時は3月15日、22日の15:00~16:00。また、シンポジウム「VOCA展とは?」が開催される。開催日時は3月13日15:00~17:00。参加の際は、FAXまたはeメールによる申し込みが必要となる。定員は150名。そのほか、会場では同展にゆかりのある作家として、「VOCA展’97」でVOCA賞を受賞した小池隆英さんの個展も同時開催されているということだ。いずれも催しも参加費は無料だが、同展の入場券が必要となる。
2015年02月25日ロンシャン(LONGCHAMP)が、15SS広告キャンペーンムービーを公開した。このムービーは昨年に公開された、同広告キャンペーンのビジュアルと共に撮影されたもの。キャンペーンモデルにアレクサ・チャンを起用し、南フランス・マルセイユのアートセンター「MAMO」の屋上で収録されている。撮影当日はこの日初めて解放されたアートセンターの屋上に、現代美術家ダニエル・ビュランの作品が並べられた。そのグラフィカルなカラーリングと共に、ブランドのオプティミスティックな世界観を演出したのがアイコンバッグ「ル・プリアージュ・エリタージュ」。アレクサがバッグを携えて、吹き抜ける風と青空の下を歩くという、解放感に溢れるムービーが完成している。BGMにはジャングルの「Busy earnin」を採用。配信は公式サイトとSNSで行われ、更に2月16日からの1週間は地下鉄表参道駅をロンシャンがジャックする。
2015年02月10日水戸芸術館の現代美術ギャラリーで「山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ」が開催される。期間は2月21日から5月17日まで。山口晃とは馬を模るバイクに武士を乗せるなど、個性的な芸術観で注目を集める画家。13年には「ヘンな日本美術史」で小林秀雄賞を受賞するなど、キャンバスには美術や歴史に対する批判精神が描き込まれ、そのタッチは大和絵や浮世絵を思わせる。細部を緻密に書き込む作風も有名で、『Tokio山水』シリーズといった都市の鳥瞰図、合戦図などを数多く手掛けてきた。今回の展覧会では大作『続・無残ノ介』が50m規模の大展示室に飾られる他、代表作『忘れじの電柱』が発表時とは別の形で展示される。その他、小道のような通路につながる各部屋には、それぞれに異なる山口の作品世界が広がり、その先には新作のインスタレーションが待ち受けるという構成だ。3月21日と4月19日には山口によるトークイベントが開催される予定。また、5月2日には「お絵描き道場」として、会場を訪れた人から提案されたお題を元に、山口がその場で絵を描き上げる。その他、3月7日から5月17日までは週末に、市民ボランティアによるギャラリートークも催される。【イベント情報】山口晃展 前に下がる 下を仰ぐ会場:水戸芸術館 現代美術ギャラリー住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8会期:2月21日から5月17日時間:9:30から18:00(入館は閉館の30分前まで)休館日:月曜日(5月4日は開館)入場料:一般800円(中学生以下、65歳以上は無料)
2014年12月23日東京都・六本木の国立新美術館で、若手作家の登竜門「シェル美術賞2014」の受賞・入賞作品を展示する「シェル美術賞展2014」が開催される。開催日時は12月10日~12月23日(12月16日休館)。開場時間は10:00~18:00(入館は17:30まで)、12月12日・19日は10:00~20:00(入館は19:30まで)、12月23日は10:00~16:00(入館は15:30まで)。入場料は一般400円、大学生200円。同展は、国内の現代美術の発展に寄与する事を目的に昭和シェル石油が1956年に創設、今回で43回目の開催となる"若手作家の登竜門"シェル美術賞の受賞・入賞作品を展示する展覧会だ。今年度は、815点の作品の中から選ばれた計52点の作品、および審査員・昭和シェル石油推薦の作家4名の近作・新作を展示する「シェル美術賞アーティストセレクション」が展示される。また、受賞作家7名と審査員によるトークショーが展覧会場内で実施される。開催日時は12月13日14:00~15:00。会場では同時に、各受賞・入選者の過去作品が参照できる「ポートフォリオファイル」の閲覧スペースも設置。さらに、展覧会来場者による投票により受賞・入選作品の中から「オーディエンス賞」が選出される。選出作品はWebサイトにて展覧会終了後に発表予定とのことだ。なお、同展の入場料に関して、シェル美術賞公式Webサイトより、100円の割引券をダウンロードできるとのこと。
2014年12月08日東京・初台のNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]は11月22日より、展覧会「大友良英音楽と美術のあいだ」を開始した。音楽と美術の領域を越境するアーティスト・大友良英による大型インスタレーション作品と、本展のための最新作を展示する。2008年制作の「quartets」は、音響と映像の大型インスタレーション作品。大きな展示室を丸ごと使ったこの作品では、8名の演奏家による即興演奏を事前に記録し、それらをコンピュータ・プログラムによって四つのカルテットに再編成した演奏音が流れる。中央に設置した白いキューブの各側面には、各演奏家達のシルエットが投影され、キューブの側面ごとに正対する展示室の壁面スクリーンには、木、鉄、液体などで作られたオブジェのディテールが映し出される。これらの映像は、演奏音に合わせて振動し変化していく。本展のために制作された「guitar solos 1」は、館内の階段を利用したサウンドインスタレーション。8対のスピーカーが階段の段上に設置され、それぞれのスピーカーから、事前に録音されたギターの音がランダムに再生される。スピーカーの前を通過したり、立ち止まったりしながら、複雑に変化していく演奏音を楽しむ。異なる芸術表現である「音楽」と「美術」は、お互いにそれぞれの歴史を持ち、各々独自の発展を遂げてきた。近年、両者の領域を横断する多様な表現が生み出されてきているが、それらは従来の芸術ジャンルの外枠を大きく拡げた一方、各分野の間にあった境界線は曖昧なものとなった。大友は「(音響作品である)『quartets』は時間を掛けてゆっくりと“観”ほしい作品」と語る。本展は美術館における音響インスタレーション作品の存在意義を、鑑賞者に再び問うものである。大友の作品は、固定化した聴覚音源とも、一過性のライブ体験とも異なる、「展示による上演」という新しいシステムを鑑賞者に観せてくれる。今一度「音楽」と「美術」それぞれに目を向けながら、それらの「あいだ」にあるもの、それらの「あいだ」を繋ぐものとはなにかを考えさせる展覧会だ。【イベント情報】「大友良英音楽と美術のあいだ」会場:NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]ギャラリーA住所:東京都新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー4階会期:11月22日から2015年2月22日時間:11:00から18:00休館日:月曜日(祝日の場合翌日)、12月29日から1月5日、2月8日入場料:一般・大学生500円、高校生以下無料
2014年11月23日東京国立近代美術館は、現代美術家・高松次郎の回顧展「高松次郎ミステリーズ」を開催する。期間は12月2日から3月1日まで。高松の作品は時期によって素材や表現方法が大きく変わり、彼の作風や意図をわかりにくいものとしていた。そこで、今回は3人のキュレーターが初期、中期、後期の作品をそれぞれ担当。美術誌などに残された言葉を引用しながら、高松という人物像とその作品をわかりやすく紐解いている。会場ではオブジェや彫刻、絵画など、約50点に及ぶ作品を展示。その他、約150点のドローイングが公開される。その中には、高松を代表する「影」シリーズの他、木や鉄を用いた立体シリーズ「単体」「複合体」なども収録。絵画へと傾倒していた晩年に発表された「異食材」シリーズも一挙公開される。会場構成はトラフ建築設計事務所が担当。「影」シリーズの仕組みを体験できる「影ラボ」や、高松の脳内世界を一望にできる「ステージ」など、様々な仕掛けを用意した。グラフィックデザイナーの菊地敦己が担当した、オリジナルタイトルロゴにも注目したい。開催期間中には12月7日を皮切りに、各キュレーターによるリレートークが全3回にわたって開催される。また、6日には、ゲストに美術評論家の高島直之などを招いての講演会「高松次郎を知る人々」を開催。12月20日にはトラフ建築設計事務所の鈴野浩一などによる座談会「展覧会をつくる」も催される。2月20日には高松の誕生日を記念したミステリーイベントも開催予定だ。【イベント情報】高松次郎ミステリーズ会場:東京国立近代美術館1階企画展ギャラリー住所:東京都千代田区北の丸公園3-1会期:12月2日から3月1日時間:10:00から17:00(金曜日は20:00まで)休館日:月曜日(1月12日は開館)、12月28日から1月1日、1月13日入場料:一般900円大学生500円
2014年11月16日東京都・市ヶ谷のミヅマアートギャラリーでは、現代美術家・天明屋尚の新作個展「韻 II」を開催している。開催期間は11月22日まで(日月祝は休廊)、開場時間は11:00~19:00。入場無料。同展は、西洋や日本の騎馬図、合戦図に着想を得て描いた絵画と真紅に染まった枯山水のインスタレーションを発表した2年前の個展「韻」展の続編と言える内容。平面作品「荒」のほか、岸和田地車(だんじり)祭り専門の地車彫刻家に依頼し、天明屋の下図をもとに制作された木彫立体の塔も展示されている。視覚的・造形的にも"傾(かぶ)いた"内容で、会場に華美で破格な空間が立ち上がる。また、ギャラリー内の別室には「ネオ地獄極楽図」も登場。これはフジテレビの新年広告として表参道駅前の巨大看板や雑誌広告に使用され、2014年の新年早々、ちまたで物議を醸した問題作だ。さらに、渋谷のパルコミュージアムでは過去の代表作を一堂に展示する「天明屋尚一筆入魂展」(10月31日~11月10日)、川崎市岡本太郎美術館では「TARO賞の作家 II」展(2015年1月12日まで)が立て続けに開催されているほか、作品集「Masterpiece」の出版、シンガポールにて自身がキュレーションするグループ展や、ニューヨークのジャパン・ソサエティでのグループ展「異形の楽園:池田学・天明屋尚&チームラボ」へも参加。多角的に天明屋尚を検証する試みが、さまざまに展開されている。
2014年10月27日韓国を代表する現代美術作家、ヂョン・ヨンドゥの大規模個展「地上の道のように」が、茨城・水戸芸術館現代美術ギャラリーにて11月8日より開催される。初期作品から最新作まで、ヂョンの作品を一挙公開。各国からの移民が地域ごとに暮らす街の特性を活かして制作された映像作品『Six Points』、見慣れた街の風景を映像トリックで異世界に変化させる『日常の楽園』、鑑賞者が映画の登場人物になった気分を味わえる体験型映像インスタレーション作品『ドライブ・イン・シアター』に加え、ヂョンが水戸で出会った盲目のマッサージ師・白鳥建二が撮影した写真をもとにした映像作品や、3D映像によるバーチャルリアリティ体験ができるヘッドセットモニター・オキュラスリフトを用いた新作、水戸を舞台にイリュージョンアーティストのイ・ウンギョルやジャズピアニストの小曽根真が出演する映像作品などを展示する。なお、展覧会名は魯迅の短編小説『故郷』の一説からの引用で、新たな視覚体験やウィットに富んだ映像作品を通して記憶と忘却、希望の意味を問い掛ける。ヂョンは1969年韓国・晋州生まれ、ソウル在住のアーティスト。2007年に最年少で韓国のアーティスト・オブ・ザ・イヤー賞を受賞し、市井の人々の夢や思い出を題材とする作品をヴェニスや上海のビエンナーレ、ニューヨーク近代美術館、東京の国立新美術館等で発表している。【イベント情報】ヂョン・ヨンドゥ展「地上の道のように」会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8会期:2014年11月8日から15年2月1日時間:9:30から18 :00(入場は17 :30 まで)休館日:月曜日(ただし祝日は開館し翌火曜閉館)、年末年始(14年12月27日から15 年1月3日)入場:800 円
2014年10月09日原美術館では企画展や演奏パフォーマンスなど、今秋に掛けて三つのイベントを開催する予定だ。「『アート・スコープ2012-2014』-旅の後(あと)もしくは痕(あと)』は7月12日から開催中の展覧会。この「アート・スコープ」とは日独2国間で互いに現代美術家を招聘しあうダイムラー・ファウンデーション ジャパンの芸術支援プログラムのことで、派遣されたアーティストは異文化での生活を体験しながら、その経験を踏まえた新作を発表。異国への旅程で何を感じ、それが創作活動にどのように反映されたのか。その体験を作品の中に感じ取ることができる。2012年にはドイツからリタ・ヘンゼン、およびベネディクト・パーテンハイマーを招聘。一方、日本からは2013年に今村遼佑と大野智史を派遣しており、今回の展覧会ではプログラムに参加した4人の作品が展示された。リタ・ヘンゼンは日本での滞在の記録を写真に収め、それをドイツの風景と織りまぜた。更に、日本での体験をモチーフとしたオブジェやドローイングなどを出品している。また、ベネディクト・パーテンハイマーは、人物の後ろ姿をロングショットでとらえた「方向転換」シリーズで定評があり、今回も日本で撮影した写真や映像作品も出品した。一方、日本勢では今村遼佑が新作のインスタレーションを、大野智史は新作絵画をそれぞれ出品している。10月25日からは「開館35周年記念 原美術館コレクション展」を開催。一昨年に収蔵した「対話」を始め、「線より」「点より」「風と共に」「関係項」など、リ・ウーファン(李禹煥)の代表作を俯瞰できる展示となる予定である。リ・ウーファンは自然素材に最小限の手を加えるという独特の芸術手法で知られるアーティスト。代表作には石や鉄板を配した彫刻や、広い余白にわずかな筆を残した絵画などが挙げられ、その作品は見るものを深い思索に誘うと言われている。また、彼の作品は60年代後半になると、木や石などの自然素材を用いる「もの派」の作家に大きな影響を与えた。会場では、そんな「もの派」のほか、50年代半ばの前衛美術「具体」の作品も見られる。9月20日には2人のサウンド・アーティストによるデュオイベント「鈴木昭男/恩田晃 デュオ・パフォーマンス」も開催される予定。鈴木昭男は日本を代表するサウンド・アーティストの一人で、創作楽器を制作することでも知られている。96年からは街のエコーポイントを探る「点音(おとだて)」プロジェクトをスタート。世界各国の美術館や音楽祭などに招待され、高い評価を受けている。一方、恩田晃は音楽カセットを使ったフィールド・レコーディングをライフワークとしており、その音源を使った作曲やパフォーマンスが人気。会場では創作楽器「アナラポス」やカセットテープなど、それぞれが独自の音源を用いた演奏を繰り広げる。ともにヨーロッパを中心に活動してきた2人にとっても初の経験となる、貴重な共演を間近で見られる唯一の機会だ。【イベント情報】「アート・スコープ2012-2014」-旅の後(あと)もしくは痕(あと)会場:原美術館住所:東京都品川区北品川4-7-25会期:7月12日から10月13日時間:11:00から17:00(水曜日は20:00まで。入館は閉館の30分前まで)料金:一般1,100円大高生700円小中生500円(学期中の土曜日は小中生無料)休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、7月22日、9月16日鈴木昭男/恩田晃 デュオ・パフォーマンス会期:9月20日時間:17:30から(開場は17:00)料金:4,000円(予約制・入場料込み)開館 35 周年記念 原美術館コレクション展会期:10月25日から1月12日時間:11:00から17:00(水曜日は20:00まで。入館は閉館の30分前まで)料金:一般1,100円大高生700円小中生500円(学期中の土曜日は小中生無料)休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、11月4日、11月25日、年末年始
2014年08月24日豊かな木立ちと緑に囲まれ、恵まれた立地に佇む世田谷美術館。現在は「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展―印象派を魅了した日本の美」が開催中です。この世田谷美術館へはいつも、田園都市線用賀駅から美術館へと続くプロムナードと砧公園を通って10数分、散歩しながら向かうのが楽しみなのですが、会期中は用賀駅と美術館を往復する直行バスが出ていると知り、乗ってみたらすぐ着いてしまってびっくり。これは便利です。(休館日は除く)ジャポニスムとは、19世紀半ばの開国以来、日本の文物が浮世絵をはじめ、陶磁器、絹織物、扇子、団扇など、美術品から日用品に至るまで欧米に伝わり大流行しましたが、こうした日本美術や品々が西洋の文化芸術に与えた影響全体を現在はそう呼んでいます。その最たる作品たちに迫ります。世界初公開! モネの傑作《ラ・ジャポネーズ》の修復後世界屈指の印象派と日本美術のコレクションを所蔵するボストン美術館が、1年余という渾身の修復プロジェクトを経て、まず最初にお目見えさせたのが今展の日本です。クロード・モネが最初の妻カミーユを描いた、その名も《ラ・ジャポネーズ》。壁に散る団扇(うちわ)、手に持った扇子、謡曲「紅葉狩」の一場面が描かれているという赤綸子(あかりんず)と思われるゴージャスな打掛、床には絨毯でなくゴザ? と、たちまち細部に目を奪われてしまいます。クロード・モネ 《ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)》 1876年1951 Purchase Fund 56.147この打掛を目の当たりにしたモネに、チャレンジ魂をムラムラとさせたであろう気概が伝わる作品。最新技術の粋を駆使した修復により、1876年完成当時のカンヴァスが蘇ったと思うとドキドキしますね。修復って、別に大したことないんでしょ?と思ったら大間違い。ミケランジェロが描くシスティーナ礼拝堂の天井画は、洗浄によって明るくなったあまり、天動説と地動説の違いほどの衝撃を与えたし、近年、洗浄が完了したダ・ヴィンチの「最後の晩餐」も、皿の中身が確認され、当時の風俗や文化研究に影響を及ぼしています。西洋人には斬新だった「浮世絵」のシンプルな構図と背景当時、日本で流行していた美人画に描かれるのは、美しくあることがプロフェッショナルの花魁(おいらん)、芸者たち。それが、西洋人を魅了し、日本といえば“フジヤマ、ゲイシャ”モードが長く続いているのはご存じの通り。浮世絵では、着物や装身具、仕草などは細部まで繊細に描き込まれていますが、顔は全部、線だけで表された誰もが同じツリ目の顔立ち。これが子供の頃は不思議でした。日本人の美意識は個々の顔より細部に宿るのですね。とはいえ、西洋人もさすがに日本人の顔は取り入れていません。でも、構図や背景には多大な影響を受けました。アメリカで生まれパリで活躍したメアリー・カサットは、熱烈な浮世絵ファン。1803年に描かれた喜多川歌麿の《母子図 たらい遊》を、1891年《湯浴み》(ゆあみ)という作品に反映させています。線が活かされたシンプルな構図、すっきりしたテクスチャーは、一見西洋画には見えず、とてもおもしろいです。(左)喜多川歌麿 《(母子図 たらい遊)》 江戸時代 享和3年(1803)頃 William Sturgis Bigelow Collection 11.22154(右)メアリー・スティーヴンソン・カサット 《湯浴み》 1891年頃 Gift of William Emerson and The Hayden Collection-Charles Henry Hayden Fund 41.806ゴッホと浮世絵の共通点「装飾性の強い背景」日本美術に表現された、女性たちの親密な生活空間、つまりインテリアや子どもへの優しいまなざしは、西洋の芸術家たちの心をワシづかみしたみたいです。カサットの《湯浴み》もそうですが、ゴッホの《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》の背景の壁紙が、歌川国貞(三代豊国)と歌川広重による《当盛十花撰 夏菊》に描かれた、花火のように華やかに背景を彩る大輪の菊から影響を受けていたとは、今まで知りませんでした。しばし絵の前に佇んで、ゴッホの胸中に思いを馳せました。(左)フィンセント・ファン・ゴッホ 《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》 1889年Bequest of John T. Spaulding 48.548(右)歌川国貞[三代豊国]・歌川広重《当盛十花撰 夏 菊 二代目沢村訥升、初代沢村由次郎 》安政5年(1858)William Sturgis Bigelow Collection 11.42317この展覧会は、世田谷美術館では2014年9月15日まで。その後、京都市美術館で2014年9月30日~11月30日、名古屋ボストン美術館に2015年1月2日~5月10日、巡回します。傑作揃いをこの機会にぜひ! ・「ボストン美術館 華麗なるジャポニスム展―印象派を魅了した日本の美」 ・ モネ《ラ・ジャポネーズ》の修復プロジェクト最新情報 <料金>・東京展(世田谷美術館) 一般:¥1,500/ 65歳以上:¥1,200 大高生:¥900 / 中小生:¥500・京都展(京都市美術館) 一般:¥1,500/ 大高生:¥1,000 / 中小生:¥500・名古屋店(名古屋ボストン美術館) 一般:¥1,300/ 大高生:¥900※前売/団体料金は異なります。詳しくは展示会公式サイトをご確認ください。All photographs(c)2014 Museum of Fine Arts, Boston.
2014年08月15日東洋と西洋の近現代美術コレクションを持つ世界トップクラスの台湾コレクター「ヤゲオ財団」。その全面的な協力を得て、ユーモアとチャレンジに満ちた展覧会「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」が、東京国立近代美術館で6月20日よりスタートした。展覧会には珍しく、一見多弁に見えるタイトル。しかし、ここに記された「世界の宝」という言葉には二つの意味が込められている。一つは、展示作品の市場価格・保険評価額からしてまぎれもなく「世界の宝」であるということ。一体、どれほど「宝」なのか。一例を挙げるなら、パリで活躍した北京生まれのザオ・ウーキーの作品が、2013年12月1日に行われたサザビーズのオークション(北京)で8,968万元(約15.3億円)、また、フランシス・ベーコンにおいては、2011年2月10日に行われた同オークション(ロンドン)で2,300万1,250ポンド(30億822万円)という莫大な金額でそれぞれ落札されている。もう一つは、美術史的に見ても「世界の宝」であること。今回、展示される作品を生み出したアーティスト達はアートの長い歴史を踏まえつつ、「今」にフォーカスし、「今」表現すべきことを表現し、同時に移ろうことのないメッセージを未来に向けて伝えようとしてきた。本展では、マン・レイ、アンディ・ウォーホル、ゲルハルト・リヒターといった西洋の現代美術の大御所並びに、サンユウ(常玉)やツァイ・グオチャン(蔡國強)、リウ・ウェイなど、中国近現代美術を代表する面々、東西混合計40人のアーティストによる74点の作品が「ミューズ」「崇高」「記憶」「新しい美」といったキーワードを元に、10章に分けられて展示されている。この展覧会のポスターにも使われているマーク・クインの「ミニチュアのヴィーナス」やアンドレアス・グルスキーによる「メーデー(May Day)」、今回、唯一の日本人アーティストである杉本博司の「最後の晩餐」や「ティレニア海、コンカ」などを始め、多種多様な見応えある作品群が並ぶ。開幕にあたって、来日したヤゲオ財団代表のピエール・チェン氏はこう語る。「優れた作品とは、倉庫の中に大事にとって眠らせておくものではないのです。アートはもっと身近なもの。生活の中に溶け込ませて、共に生きてこそ、意味がある」かつて苦学生だったというチェン氏。大学の学費をアルバイトで稼ぎながら、1年半掛けて貯金した1万5,000元(約5万1,000円)で初めてアート作品を購入した。「台湾にあるチェン氏のご自宅にお邪魔したのですが、バスルームにマン・レイがあったり、リビングにウォーホルがあったり。アートと共に生活する。これをまさに地で行くライフスタイルに仰天しました」と同美術館主任研究員の保坂健二朗氏。作品の展示と共に、ヤゲオ財団のコンセプトである“living with art”“art is accessible”を表現すべく、チェン氏の自宅やゲストハウス、オフィスなどに飾られたアート写真も見所の一つだ。また、同美術館館長の加茂川幸夫氏は「若い人達にもぜひ親しんでいただきたい」と語り、来場者には作品を楽しみつつ、アートコレクターの感覚を追体験できる「ゲーム」も用意した。東京国立近代美術館での開催後は、9月6日から名古屋市美術館、12月20日から広島市現代美術館、2015年3月31日からは京都国立近代美術館と3都市を巡回する。【イベント情報】現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展会場:東京国立近代美術館住所:東京都千代田区北の丸公園3-1会期:6月20日から8月24日時間:10:00から17:00(金曜日は20:00まで)料金:一般1,200円、大学生500円、高校生以下無料休館日:月曜日124
2014年06月20日美術家・中村ケンゴがディレクションするエキシビジョン「ギフト・オブ・アート(GIFT of ART)」展が伊勢丹新宿店本館2階グローバルクローゼットギャラリーで開催されている。12月31日まで。本展は、昨年末から今年初めに掛けてメグミオギタギャラリーにて開催された「XYZ」展の作品展示が契機となり企画がスタート。中村がディレクションを務める。今回は12月開催のため、クリスマスを意識してラインアップ。中村氏は「百貨店の中で美術品を展示販売するというのは日本独自の文化であるが、本展では更に発展させ、ファッションフロアで美術品を展示販売する試み」と語る。美術品を購入すると後日発送されることが多いが、本展では一部の作品は購入してその場で持ち帰ることができる。「アートは鑑賞するものという視点で触れることが多いが、今回のエキシビションでは『この作品は欲しいか欲しくないか』『自分の部屋にふさわしいかどうか』という感覚で作品に触れることができる珍しい機会。展示のタイトルにもある通り『アートをギフトとして贈ってみる』という視点でもぜひ楽しんでもらいたい」と中村氏。中村は伝統的な日本画の技法を用いて、マンガの吹き出しやキャラクターのシルエット、ワンルームマンションの間取り図、メールの返信を意味する「Re:」など、現代社会を生きる私たちにとって身近なモチーフからインスパイアされたユニークな絵画を制作。また、百貨店の美術画廊での展覧会開催実績はあるが、ファッションフロアで作品を展示するのは初だという。中村の作品「心文一致」(47万2,500円)はフロアレジの壁に展示され、スタッフが接客するシーンの背景とされた。美術作品と店頭のファッションアイテム、スタッフの接客シーンが融合するところにも面白さがある。「自分の創作活動において、“今を生きている”という感覚を大事にしている。作品には『Re:』のようにEメールをモチーフにしたものや、住宅情報誌に載っている間取りをモチーフにしたものなど、まさに“今”目の前にあるイメージと、連綿と続く美術史とを合わせていくように作品を制作している。コンテンポラリーアートは“今を生きている作家の作品”。今後有名になるのか無名で終わるのかは未知の世界。だからこそ、コンテンポラリーアート作品を手に入れるということは、作家との歴史を一緒に作っていくことにつながる。この機会をきっかけに、ぜひギャラリーにも脚を運んで欲しい」(中村氏)。
2013年12月13日「アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)」は、イギリスを代表する現代美術家ダミアン・ハースト(Damien Hirst)とのコラボレーションによる限定のスカーフコレクションを発売した。同コレクションは、03SSに登場して以来ブランドを象徴するアイテムとなったスカルスカーフの10周年を記念したもので、マックイーンが他のアーティストとデザインで協業するのは今回が初めての試み。イギリス・ロンドンを拠点に、元々スカルや自然界から強く影響を受けた作品を発表してきた、ハーストとマックイーンの美学的観点に共通点が多く存在していたことから実現したという。スカーフには、ハーストの作品を代表する「エントモロジー(昆虫学)」シリーズから、蝶、クモ、セミ、セミの幼虫、玉虫、クワガタなどのさまざまな昆虫たちが、リアルな描写で万華鏡のように幾何学的に表現されている。その蝶の身体や羽根の模様など、必ずどこかにマックイーンのスカルモチーフが落とし込まれているのが特徴。また、それぞれのデザインには「パーフェクト・モーメント・スカ ル」など、メッセージ性の強い名前が付けられた。30種のデザインを各1色ずつそろえている。素材はシフォン、ポンジー、ツイル、ウールの4種類で、サイズは90cm×90cm、133cm×133cm、140cm×140cmの3タイプ。価格は5万9,850円から13万7,550円。アレキサンダー・マックイーンワールドワイドストアとオンラインのスカーフブティックで取扱い、日本では、マックイーンの世界初のアクセサリーストアとして今春オープンした六本木ヒルズ店と、オンラインのみで購入できる。また、フォトグラファーのソルヴァ・スンツボ(Solve Sundsbo)が作成したキャンペーン画像とショートフィルムも公開されている。
2013年11月16日テレビや教科書で見たあの名画をぜひ見てみたい「モナリザ」や「最後の晩餐」など、世界にはさまざまな名画・名作美術品があります。旅に行ったら、このような美術品を見るのが楽しみという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、414名のマイナビニュース会員の男性に、直接見てみたい名画、名作美術品をアンケートしました。歴史的名作がたくさんランクインしています。>>女性編も見るQ.直接見てみたい名画、名作美術品を教えてください(複数回答)1位モナ・リザ/ダヴィンチ(ルーヴル美術館/パリ)38.9%2位最後の晩餐/ダヴィンチ(サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院/ミラノ)31.4%3位叫び/ムンク(オスロ国立美術館/ノルウェー)20.3%4位最後の審判/ミケランジェロ(バチカン美術館/バチカン)16.7%5位ヴィーナスの誕生/ボッティチェリ(ウフィッツィ美術館/フィレンツェ)15.5%■モナ・リザ/ダヴィンチ(ルーヴル美術館/パリ)・「テレビや本などでよく見たことがあるが、一度、本物を見てみたい」(45歳/医療・福祉/専門職)・「あのやさしいほほ笑みを間近に見てみたい」(22歳/建設・土木/技術職)・「ダヴィンチの作品は一度でいいから見たいと思っています」(25歳/金融・証券/事務系専門職)■最後の晩餐/ダヴィンチ(サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院/ミラノ)・「テレビや教科書で何回も見ているものが、実際どんなものか見てみたい」(24歳/機械・精密機器/技術職)・「かなり大きい作品とのことなので、どれくらいの大きさなのか、現物を見てみたいと思う」(32歳/運輸・倉庫/事務系専門職)・「人物が多く書かれている絵画は迫力があると思うので、ぜひ本物を見てみたい」(29歳/情報・IT/技術職)■叫び/ムンク(オスロ国立美術館/ノルウェー)・「あの独特の世界観を近くで見てみたい」(27歳/運輸・倉庫)・「ずっと見たいと思っています。いまだに叫びの意味を知らないので知りたい」(26歳/小売店/販売職・サービス系)・「叫びのマネをして、並んで写真をとりたい」(41歳/その他)■最後の審判/ミケランジェロ(バチカン美術館/バチカン)・「精緻(せいち)さを間近で見てみたい」(33歳/情報・IT/技術職)・「実際に見たら感動したので、また見てみたい」(43歳/電機/技術職)・「バチカン美術館に行きたいから」(26歳/金融・証券/事務系専門職)■ヴィーナスの誕生/ボッティチェリ(ウフィッツィ美術館/フィレンツェ)・「よく教科書で見る絵画だから」(26歳/学校・教育関連/事務系専門職)・「テレビでは見たことがあるけど、実際は見たことはないので、一度は見てみたいと思っています」(28歳/食品・飲料/販売職)・「おそらく感動すると思うから」(25歳/学校・教育関連/事務系専門職)■番外編:実際に見たら、その世界に引き込まれそう・睡蓮/モネ(オランジュリー美術館/パリ)「オランジュリー美術館の睡蓮の間で見たときに感動したから、また見てみたい」(33歳/団体・公益法人・官公庁/技術職)・落穂拾い/ミレー(オルセー美術館/パリ)「『ビブリア古書堂の事件手帖』に出てきたから見てみたい」(30歳/学校・教育関連/技術職)・青いターバンの少女/フェルメール(マウリッツハイス美術館/オランダ)「吸い込まれそうな瞳を実際に見てみたい」(30歳/情報・IT/事務系専門職)総評数ある名画、名作美術品の中から1位に輝いたのは、「モナ・リザ/ダヴィンチ(ルーヴル美術館/パリ)」でした。誰もが思い浮かべられる作品ですが、実際どんな絵なのか確かめてみたいという人が多かったです。世界中の人が知っているあのほほ笑み、ぜひ近くで感じてみたいですよね。2位は同じくダヴィンチの「最後の晩餐(サンタ・マリア・デッレ・グラツィエ修道院/ミラノ)」でした。教科書などで見ると大きさが分かりませんが、実際は4.2m×9.1mの大きな壁画。その大きさと迫力を間近で感じてみたいという声が多く集まりました。3位には「叫び/ムンク(オスロ国立美術館/ノルウェー)」がランクイン。こちらもおなじみの作品ですが、実際どんな絵なのか興味がある人多数。ちなみに、絵に描かれている人物が叫んでいるのではなく、大地の叫びにおののいて耳をふさいでいるといわれています。その辺りも実際に見て確かめてみるといいかもしれません。4位には「最後の審判/ミケランジェロ(バチカン美術館/バチカン)」、5位に「ヴィーナスの誕生/ボッティチェリ(ウフィッツィ美術館/フィレンツェ)」が入りました。「最後の審判」は、作品はもちろんのこと、バチカンという土地に興味を持った人も多かったようです。ほかにも、「睡蓮」「落穂拾い」「青いターバンの少女」などの名画が挙げられました。特にモネの「睡蓮」が人気。実は全部で200点以上の連作。実際に見に行った人が「感動した」とコメントを寄せているように、これはぜひ現地で見てみたい作品ですよね。(文・OFFICE-SANGA二宮由紀子)調査時期:2013年2月15日~2013年2月21日調査対象:マイナビニュース会員調査数:男性414名調査方法:インターネットログイン式アンケート■関連リンク【男性編】一度は訪れたいディズニー映画の夢の世界ランキング【男性編】行ってみたい名作アニメの舞台ランキング【男性編】あなたが行ってみたいアニメ・漫画ミュージアムランキング完全版(画像などあり)を見る
2013年03月11日どんな世界にも「ヘー!」となってしまうトリビアがあるように、美術の世界にも思わず「ヘー!」と言ってしまう見事なトリビアがあるのです。今回は、ダ・ヴィンチにピカソにモネにダリといった、世界的に有名な画家にまつわる美術のトリビアを紹介します。●ダ・ヴィンチは未完製作品だらけ『モナ・リザ』、『最後の晩餐』などでおなじみのレオナルド・ダ・ヴィンチだが、依頼された絵画作品で無事に完成させて納品した作品は生涯で3本ほど。大半が製作途中で投げ出され、依頼者の元に納品されることはなかった。中には途中で友人に渡してトンズラした作品もあったという。そのため完成作品として後世に残されたものは非常に少ない。●寡作のフェルメールフェルメール・ブルーという鮮やかな青色を使った絵で知られるオランダの画家・ヨハネス・フェルメールも非常に寡作な画家だった。現存する作品は30点ほどと非常に少なく、また研究者によってはもっと少ない作品数であるとされている。●人違いに怒るマネ『笛を吹く少年』などの絵画を残した印象派の画家エドゥアール・マネは、ことあるごとに同じ印象派の画家であるクロード・モネと間違われていた。上品で紳士的であると評判だったマネも、いくどとなく間違われることにいつも怒っていたという。1866年にフランスでも行われた展覧会ではマネの名前でモネの作品が飾られる事件が起きた。マネとモネ、確かに紛らわしい。●マネのアスパラガスモネ、もといマネの作品の中で『一束のアスパラガス』というアスパラガスを描いた静物画がある。マネがこの作品を描き上げた後、シャルル・エフリュシという人物に800フランで売却。ところがこの絵をいたく気に入ったエフリュシ氏は、マネの希望額より多い1000フランを支払った。するとマネはアスパラガスが1本だけの絵を描き、「先日お送りしたアスパラガスの束から1本抜け落ちていました」というメッセージを添えてエフリュシ氏に贈ったという。●ムンクの叫びは叫んでない有名なムンクの絵画『叫び』だが、あれは叫んでいる所を描いたのではない。一見すると人が頬に手を当てて叫んでいるように見えるが、実は耳に手を当てているだけ。描かれているのはムンク本人で、「自然を貫く果てしない叫び」が聞こえるのでそれにおびえて耳をふさいでいる姿なのだとか。思い違いをしている人も多いトリビア。●世界一高額な絵有名な絵画は度々競売にかけられ、高額で取り引きされていくが、史上最高落札額がついた作品はムンクの『叫び』である。2012年の5月2日にニューヨークで競売にかけられ、1億1990万ドル(現在の日本円価格で約94億円)で落札された。●演技派のダリシュールレアリスムの画家として知られるサルバドール・ダリ。象に乗って凱旋門を訪れる、フランスパンを頭にくくりつけて「ほらリーゼント」と言うなど、奇人として知られる彼だが、実はその奇行はすべて演技だった。実際のダリはまじめで内気な性格だったらしい。●ピカソはタフボーイキュビスムの創始者であり、『ゲルニカ』や『アヴィニョンの娘たち』といった名画を残したパブロ・ピカソだが、スキあらばモデルの女性とイケナイことをしていた。その結果かどうか、ピカソの人生は離婚騒動や未婚の母、複数の愛人といった非常に華やかなものだったという。以上、美術の世界の「へー!」な話でした!一般の人は知らなかったりする話題なので、ここぞというときにひけらかせば「へー!」と言ってくれること間違いなし!特に『マネのアスパラガス』の話はちょっとした小話としても使えるのでぜひ!(貫井康徳@dcp)
2012年09月26日みなさん秋のプランはもうたてましたか?食欲の秋、読書の秋、レジャーの秋、いろいろな秋の楽しみ方がありますが、この秋にぜひ堪能していただきたいのが芸術。感性を磨いて女子力をアップさせてくれそうな美術展が各地で開催されています。中でもイチオシの3つの展覧会をご紹介します。■マウリッツハイス美術館展どっぷりと絵画を堪能したい方はぜひマウリッツハイス美術館展へ。オランダの宝箱・マウリッツハイス美術館から、貴重な名作約50点が来日しています。注目はオランダを代表する画家、フェルメールの「真珠の耳飾りの少女」。静謐でおくゆかしい表現方法が日本人好みと評されるフェルメールは、西洋美術のキラーコンテンツともいわれ、展覧会が開かれる度、絶大な集客力を誇っています。そんなフェルメールの代表作ともいえるのがこの作品。今回も、神戸に先駆けて展覧会が開催された東京会場では、50万人以上の人びとがこの少女にくぎ付けになりました。大きな真珠に、透き通った瞳、半分開いた瑞々しい口元、高価な顔料ウルトラマリン(別名フェルメールブルー)をふんだんに使って描かれた青いターバン。彼女には見る価値があります。tel: 078-391-0035開催時間: 9:30~17:30(土・日曜 ~19:00)休室日: 月曜日当日券: 一般¥1,500 大学・高校生¥1,100 小・中学生¥600 公式サイト ■FUTURE BEAUTY 日本ファッションの未来性本格的な絵画はちょっと敷居が高い…という人にはこちらの展覧会がオススメ。1980年代から2000年代までの30年にわたる日本のファッションの変遷を一挙公開しています。三宅一生や山本耀司にはじまり、時代を色濃く反映しながら日々進化して、世界のファッションをもリードし続けてきた日本のファッション。私たちにも身近な「ファッション」がテーマなので興味をもちやすいのではないでしょうか。今に続く歴史を知り、ファッションをもっと楽しみたくなること間違いなし。おしゃれ女子必見の展覧会です。tel: 03-5777-8600開催時間: 10:00~18:00休館日: 月曜日当日券:一般¥1,000 大学生・65歳以上¥800 中・高校生¥500 小学生以下無料 公式サイト ■アラブ・エクスプレス展この秋、新しい世界を知りたいという方はこちらへ。近年なにかと世界から注目されているアラブ世界。しかし注目されているのは政治や経済の面だけではありません。経済の発展とともに、アラブ諸国のアートも発展し、今まさに成熟を迎えつつあるようです。アラブに生きる一般の人々は日々何を思い、どんな風に生きているのでしょうか。その実態は意外と知られていません。日本ではじめてアラブの現代美術に焦点をあて、複数のアーティストの作品が集うこの展覧会で、世界が注目するアラブの「今」を感じてみましょう。tel: 03-5777-8600(ハローダイヤル)開催時間: 10:00~22:00(火曜 ~17:00)休館日: 会期中無休当日券: 一般¥1,500 高校生・大学生¥1,000 4歳~中学生¥500 公式サイト アートは日常では感じられない刺激を脳に与えて私たちを別世界に導き、癒しや、何かを考えるきっかけをくれます。この秋は、ぜひさまざまな芸術の世界に触れて感性に磨きをかけましょう。※おでかけの際には各自で最新情報をお問い合わせください。(金沢 霞)
2012年09月23日夢をかなえるため学生へ!タレントとしてもはばひろく活躍する、人気モデル、マリエ。彼女がニューヨークの名門美術大学Persons The New School for Design(パーソンズ美術大学)に入学、学生になったそうだ。4日、自身のブログで報告している。彼女が本当に憧れだったというこの大学。ファッション業界では、ロンドンのセントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザイン、ベルギーのアントウェルペン王立芸術学院と並ぶ世界の3大校とも称されるほどの名門校だ。同校はダナ・キャラン、アナ・スイ、マーク・ジェイコブスら世界で活躍する有名デザイナーを多数輩出している。マリエの今後に期待!ブログで入学写真を撮影して公開している彼女。初日ということでかなり緊張したようだ。「表情がひきつっています笑」と、本人もコメントしているが、たしかに普段見るマリエのイメージではない表情だ。これからの学生生活がどんなものなのか、クラスメイトとかなり世代も違うのでは?といったことなど、不安も抱いているようだが、挑戦を応援してくれる人たちに感謝しつつ、頑張りたいと抱負を語る彼女は、いつになく輝いても見える。今後のさらなる飛躍に期待して、見守りたい。元の記事を読む
2011年10月06日絵画や彫刻など、美術館や博物館が海外から展覧会のために借りる美術品損傷リスクを国が補償する法案について、開会中の臨時国会に政府が提出することになりそうだ。これは朝日新聞が報じたもの。画像:kubotake’s photostreamこれまで展覧会を開く主催者は、事故や地震などによる損壊に備え、掛け捨て保険を掛けている。しかし近年は、美術品の評価額が国際的に高騰し、またテロなどによる保険料率自体も上昇しているため、展覧会の規模縮小や開催すら断念する事例が生じているという。海外へ出かけずとも著名作品の鑑賞が可能に!このため、菅首相が20日の参院決算委員会で、「制度の内容が固まり次第、法案を国会に提出していきたい」と、提出を急ぐ姿勢を示したもので、来年4月の施行を目指しているとのこと。この内容は、被害額が50億円を超える(最大1千億円までの)部分については国が補償し、これ以下の被害は展覧会主催者が民間保険でまかなうため、国の負担額は最大950億円となる。また補償対象の展覧会は、文化審議会の意見を踏まえ、国公立の施設に限らず年10件程度を選ぶ予定とのこと。美術館の負担が軽くなれば、世界的に著名な作品の展覧会を地方でも行われ易くなるため、わざわざ海外へ出かけずとも作品を鑑賞することができることになりそうだ。
2010年10月22日