『時をかける少女』(’06)、『サマーウォーズ』(’09)と幅広い世代に支持されるアニメーションを手がけてきた細田守監督の最新作が2012年夏に公開されることが決定。これを受けて12月13日(火)、都内某所にて記者会見が行われ、細田監督とプロデューサーの奥田誠治が出席。全世界の期待を集める最新作の一端を明らかにした。前2作では“青春”や“家族”といった普遍的なテーマとクオリティの高いアニメーション映像で国内外から高い評価を得た細田監督。最新作『おおかみこどもの雨と雪』でも磐石の布陣で臨む。前2作からの続投で脚本を担当するのは、今年大ヒットを記録した永作博美&井上真央主演の『八日目の蝉』の脚本を務めた奥寺佐渡子。さらに、キャラクターデザインを『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの貞本義行が担当。細田監督の出身地である富山県を舞台に、“おおかみおとこ”との間に授かった2つの命を懸命に育てる19歳の人間の母親の奮闘記をファンタジックに描き出す。現在製作中の本作について、細田監督は「(今回は)“お母さん”が主人公です。母親の理想像と言えるような凛とした、背筋が伸びた素敵な女性を描きたいなと思いました」と説明し、人間と“おおかみおとこ”の間に誕生する“おおかみこども”たちについては「(主人公の)花が育てていく子供たち2人がかわいらしくて、活き活きとしていて、バイタリティにあふれています」と愛しそうに我が子を紹介し“親バカ”っぷりを見せた。また、本作のテーマを“親子の絆”に据えたきっかけは自身の友人に子供が誕生したことだと明かす監督。「友人たちが子供を可愛がっているのを見ていると、素晴らしいなと思えて。そういった当たり前なものへの憧れをそのまま映画にしてみました」。実は、3月の大震災の際には映画製作のために設立したスタジオで初打ち合わせをしていたという細田監督はそこで被災体験もしたそうで「影響はあります。震災以降、世界が変わってしまいました。親子というテーマを強くしたきっかけにもなりました」と神妙な面持ちで語った。日本での成功はもちろん、世界各国にファンをもつ細田監督の最新作とあって海外での評価も気になるところ。プロデューサーを務める奥田氏は「前作(『サマーウォーズ』)ではベルリン映画祭での上映で多くのヨーロッパの方々に楽しんでいただきました。今回はさらに大きく、“細田アニメ”を世界で展開させていこうと思っております。ぜひ、お楽しみに」と含みのある言葉で本作への期待を煽った。ジブリ作品を始め、“ジャパニメーション”と呼ばれる良質な日本アニメの一翼を担う力作となりそうだ。『おおかみこどもの雨と雪』は2012年7月、全国東宝系にて公開。■関連作品:おおかみこどもの雨と雪 2012年7月、全国にて公開© 2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会
2011年12月13日『時をかける少女』『サマーウォーズ』の細田守監督の最新作『おおかみこどもの雨と雪』の製作発表と記者懇親会が13日に東宝本社で行われ、細田監督とエグゼクティブプロデューサーの奥田誠治氏が登壇した。『おおかみこどもの雨と雪』ポスター『おおかみこどもの雨と雪』は、“おおかみおとこ”と結婚し、“雨”と“雪”というふたりの子を授かった人間の女性・花が、“おおかみおとこ”の死後、都会を離れて豊かな自然に囲まれた土地で懸命に子を育てる姿を描く。前2作が日本だけでなく、世界で高い評価を得た細田監督が新作のモチーフに選んだのは“母子”のドラマ。細田監督は「僕の友人たちのなかに子どもをもうけるカップルが何組もいて、それを見ていてたまらなく素敵だと思った。そんな“あこがれ”を映画にできたら」と語り、劇中に登場する“おおかみこども”について「子どものバイタリティをうまく描くためには、そのまま描くのではなく、何かに比喩して描くのがいいと思った」と解説。“おおかみこども”は、完全の人間の姿から四つ足で歩行するオオカミの姿まで数段階に“変身”するそうで「ふたりの子どもたちが本当に愛らしい。生命力のある生き生きとした映画をつくりたい」と意気込みを語った。本作は、奥寺佐渡子が脚本、貞本義行がキャラクターデザイン、山下高明が作画監督を務めるなど前2作のスタッフが続投するが、細田監督は「本作をいい状態で作りたい」という願いから新スタジオ“スタジオ地図”を設立。作品ごとに観客の期待は高まっているが奥田氏は「監督は何も変わらない」といい「日本だけでなく世界の人々に楽しんでもらいたい」と海外での配給や映画祭での紹介も視野に入れていると述べた。本作の絵コンテはすでに完成しており、現在、製作中。来年5月に完成予定で、7月に全国公開される。『おおかみこどもの雨と雪』2012年7月公開
2011年12月13日