ひとことにソムリエと言うと、ワインが頭に浮かぶと思うのですが、実はいろいろなカテゴリにあることを知っていましたか?今回、ご紹介するのは「だしソムリエ」という資格。この資格を持っていると、どんなことができるのか、今回、だしソムリエのMaki(鵜飼真妃)さんに、料理研究家の私オガワチエコがお話を聞いてみました。彼女は以前から、だしを取り入れることで食生活がより豊かになるのではという思いがあったそう。実家が乾物屋ということもあり、なぜまわりの人たちがだしにこだわらないのか、いつもジレンマに陥っていました。その後、印刷会社に就職、出版社のネットコンテンツ企画、編集&ライターを経て、2010年3月、満を持してだしソムリエ協会を設立したのです。だしソムリエ協会WEBサイト――早速ですが、だしソムリエってどんな資格なんでしょうか?「日本で唯一『だし』に特化した資格です。4級から1級まで、昆布やかつおなど、日本のだしをベースにフレンチ、イタリアン、中華、韓国料理なども学びます。『だし』というと干物系の和風だしを思い浮かべる方が多いと思いますが、野菜、肉類、魚介類などの生鮮物も『だし』なのです」――この資格をとった人はどのような活躍をしているのですか?「趣味や仕事に役立てたいと思うなど受講の目的は幅広く、受講生もさまざまな方がいます。だしソムリエ検定を受講したことがきっかけになって、料理コンテストで優勝した方もいらっしゃるんですよ。また、だしは料理の基本です。これをマスターするのですから、ほかの料理家の方たちに一歩抜きんでるとも言えますよね。よく『だしソムリエをとったらどうなるの?』というようなことを尋ねられますが、大切なのはそれをとったうえで、どう生かすのか、どのようにアピールするかを考えることだと思います。自分の戦略が定まれば、だしソムリエであるということはとても有効に働きだすと思っています」――だしソムリエを提案してよかった点はどんなことでしょう?「思った以上にたくさんの方とつながれる点です。老若男女、そして日本全国いろんな地方の人と、『だし』という共通のワードで盛り上がることができます。私自身も国内旅行が大好きなので、地方の話はとっても楽しくて」現在はFacebookも活用しているというMakiさん。「Facebookの勢いはブログ以上にすごいものがあると感じています。ここから地方の方ともつながるし、ページを見て検定を受けに来てくださる方もいます。PR会社から仕事の依頼がくることもあります。ゆくゆくは海外の方ともつながれたらいいですね」型にはまらず直感を信じて活動してきたというMakiさんのこと、『だし』で世界中をつなげる日がもうすぐやってきそうですね。そんなMakiさんが大切にする『だし』に重きをおいたレシピを、私オガワチエコが考案いたしました。皆さんもお試しあれ!だしかけ鶏まぶし【材料】 2人ぶん水300cc塩小さじ1/2炊いたごはん1合ぶん鶏モモ肉150g(小さめの一口サイズにカット)くず野菜(あればでOK。今回は万能ねぎの根を使用)タレ(しょうゆ大さじ2、酒大さじ2、砂糖大さじ2)薬味(きざみねぎ・ごま・わさび漬け・のり)各適量【作り方】1.鍋に水を入れ、鶏肉とくず野菜を入れて弱火で静かに2~3分沸騰させ、塩を加える。これが最後にかけるダシになる。2.鶏肉を鍋から取り出してフライパンに入れ、タレの調味料を加えて火にかけ、半分くらいになるまで肉とからめる。3.フライパンに残ったタレをごはんに入れて混ぜて器にもり、鶏肉を乗せて、きざみねぎを散らし薬味を添えて完成。※最初はそのままノーマルにどうぞ。次は薬味をかけて楽しみ、最後は1のダシをかけてお茶漬けに。(オガワチエコ)※撮影:ヤマグチアキノブ
2012年04月19日人間の奥底の心理を突くような鋭い描写と巧みな演出力で、世界中で称賛を集める韓国の鬼才、ポン・ジュノ。待望の長編4作目『母なる証明』で彼は、子を想う“母”の情念、そして時に怖ろしいほどの“愛”を描き上げた。本作で、その母を突き動かす息子役として彼が抜擢したのが、実に5年ぶりの俳優復帰となるウォンビンだった。なぜ、監督は彼を選んだのか?そして、ウォンビンはなぜこの作品を復帰作に選んだのか――?先日行われた来日会見でも、“母”を題材にした理由を「(韓国の母と称される)キム・ヘジャさんと一緒に仕事したかった」と語っていた監督だが、もう一方で「前作からの反動もあった」と話す。「『殺人の追憶』や『グエムル−漢江の怪物−』では、母親は登場しません。『グエムル〜』はソン・ガンホさんとピョン・ヒボンさんという2人の父親を中心とした物語だったので、意図的に母親を排除したところがあったんですね。また、『殺人の追憶』も失敗してしまった男の物語。どちらも女性の姿をきちんと描いてなかったのですが、後回しにしていたことが一気に爆発して、やるしかないぞという気持ちになって。今回こそは、女性や母親をしっかりと描きたいと思ったんです」。では、監督の頭に描かれる母親像とは?その思惑は、いきなり冒頭から、殺伐とした野原で母親が虚ろな表情で踊るシーンにも表れており、観る者の心をとらえて離さない。「映画のオープニングというのは、監督と観客の間で交わされる“約束”。今回の場合は突然、母親が出てきていきなり踊り出しますよね。キム・ヘジャさんの表情にも狂気がにじみ出てて。この映画がこの女性のように、常軌を逸していくかもしれないということを、観客に宣戦布告してみたかったんです」。本作に登場する母親(キム・ヘジャ)は、言ってみればどこにでもいる母親。だが愛息が殺人事件の犯人として捕われたとき、その無実を証明するため、母親の底知れぬ強靭さと行動力が発揮される。この母親を動かす揺るぎない力、これこそがウォンビンの起用理由となった。「今回の映画は『母親がどこまで息子のために暴走できるか?』ということが核だったので、ではどういう息子だったら母親はあそこまでのめり込めるのか、逆に考えてみたんです。どんな息子だったら、1分1秒たりとも目を離せないだろうと。そう考えたら、息子はおそらく純粋で、どこか不安要素がある存在だと思ったんです。それを演じられるのは、ウォンビンさんしかいないと思いました。実は、TVや映画で見る姿ではなくありのままの姿のウォンビンさんに会う機会があったのですが、そのときに受けた印象というのが、田舎で生まれ育った、すごく自然な姿で、農村で育った経緯というのが伝わってきたんです。演技にもきっとそれが役に立つだろうと思い、100%ウォンビンさんだと確信しました。あとはシナリオを読んでいただいてOKが出るのをずっと待っていました」。こうして、ウォンビンには子供の心を持ったまま成長したような、純粋無垢な青年・トジュンという役が課せられた。ウォンビン自身は、敢えてこのハードルの高い役を選んだ理由を「シナリオを読んでとても大きな魅力を感じたから」と語る。「まず、トジュンという人物自体に魅力を感じました。彼は母親を動かす導火線のような、この映画にはなくてはならない人物ですよね。自分でがやったことのない役だったので、ぜひやらせてもらいたいと思いました。なのでためらうことなく出演を決めました。ポン・ジュノ監督やキム・ヘジャさんの存在というのも大きな決め手になりました」。トジュンという役について「突拍子もないところもあるけど、僕の中では愛おしい、勇気づけてあげたい存在」と語るウォンビンだが、「映画を観た人からは『トジュンにはゾッとする、おぞましい部分がある』という意見もあるんです」と自身も予期していなかった反応があったことを明かす。そう、彼が劇中で見せる不安定な“目”は時折、相手の暗部を見抜くような、謎めいた怖ろしさを帯びる瞬間があるのだ。監督は、その“目”の持つ力を語る。「今回、意味深長なシーンのときには側面からクローズアップすることが多かったのですが、あるときは顔を背けたりうつむいたり。特に、ウォンビンさんの“側面”にはこだわりました。顔の片側しか見えないということは、もう一方は隠されている状態になりますよね。トジュンには何か、他人が知りえない秘密が隠されているのではないか、というのを示したかったんです」。中でも、トジュンが片目を手で隠し、ふと思い出した幼少期のある記憶を母親に告げるシーンでは鳥肌が立つような、怖ろしさがある。「顔は正面を向いてるけど、手で目を隠すことで側面のような表情になる。やがてその手を離すと傷があるという、そういう映像に惹かれたんです。個人的には、このシーンのウォンビンさんの目がとても好きですし、ウォンビンさんにしか出来なかったと思います。彼の目は、まるで魚の目を見たときのような気持ちにさせるんです。何の表情もないようだけど怖い気持ちになるような。とても素敵な目が撮れたと思います」。これに対して、ウォンビンの解釈はあくまで“純粋さ”という枠から外れない。彼の言葉からは、トジュンへの愛情を感じることができる。「いま監督の話を聞いて、そういう意味だったんだと改めて思ったんですけど、あのシーンで僕は、トジュンはたくさんのことを考えていたわけではないと思うんです。トジュンは何かを計画して話したり、母親に隠してることを打ち明けようとして話すような人物では決してなく、本当に自然に思いついたままに話す人。目の傷については、知りえない何らかの心の傷かもしれないなと感じながら演じていましたが、彼の発する言葉は、ふと心の中から湧き出たものをそのまま口にしたものなんだと思います」。5年のブランクを全く感じさせることない、むしろ表現の幅を広げて完全なる復帰を遂げたウォンビン。そして、彼のいままでに見たことのない表情を見事にカメラに収めたポン・ジュノ監督。2人の類まれなる才能の化学反応をぜひ、その“目”で確かめてほしい。■関連作品:母なる証明 2009年10月31日よりシネマライズ、シネスイッチ銀座、新宿バルト9ほか全国にて公開©2009 CJ ENTERTAINMENT INC. & BARUNSON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED■関連記事:兵役から復帰のウォンビンに500人の黄色い声援!鶏と漢方で胃もたれに?韓国四天王・ウォンビン「自分の母も全てを投げ出すと思う」と故郷の母に思い馳せる韓国の鬼才ד母”×四天王が見事に融和最後まで目が離せない『母なる証明』最も浴衣が似合うと思う俳優は?「MTV」オリジナル携帯ストラップを10名様プレゼント【カンヌ現地レポ 04】スクリーン復帰のウォンビン、拍手喝采に涙!
2009年11月05日