鳥取大学は3月30日、カニ・エビ殻を原材料とする極細繊維であるキチンナノファイバー(キチンNF)の塗布によってアトピー性皮膚炎が抑制されることを確認したと発表した。同成果は同大農学部の東和生 助教、同工学部の伊福伸介 准教授らの研究グループによるもので、オンライン科学誌「Carbohydrate Polymers」に掲載された。キチンNFはカニ殻の主成分であるキチンをナノファイバーとして取り出したもので、幅が約10nmの極細繊維。これまでの研究で、肌の保湿効果および傷の修復促進効果などが確認されている。今回の研究では、アトピー性皮膚炎モデルマウスを用いた実験で、キチンNFを塗布することでアトピー性皮膚炎の症状の進行を抑えられ、かつ皮膚の炎症の進行も抑えられることが確認された。キチンNF塗布により、炎症などの免疫反応で中心的な役割を果たす転写因子NF-KBの働きが抑制され、血液中の免疫グロブリンE濃度が減少したという。これに対し、従来のキチンにはそれらの効果は認められなかったことから、ナノファイバーという形態が皮膚のバリア機能の維持を可能にしていると見られている。同研究グループは、今回の成果によりキチンNFの皮膚炎への応用が期待されるが、実際の使用に向けては今後さらなる検討が必要だとしている。
2016年03月31日初対面で目を合わせた瞬間に「あなた貧血でしょう?」とか、握手する手を見ただけで「タンパク質をあまり食べてませんね?」などと指摘され、それがぴったり合っていたら驚きますよね。それが医師ならなおさらのこと!斎藤糧三先生は、まさにそんなドクター。専門は「機能性医学」という新しい医療です。海外ではすでに定着しつつあるこの「機能性医学」、一体どのようなものなのでしょう。根本原因を探り、生活改善で治す 「機能性医学」とは?機能性医学… 日本ではあまり聞き慣れない言葉ですが、おおまかに言えば「よくある慢性的な病気や原因不明の不調に対して、薬などの対症療法に頼らず、根本原因を探って生活改善によって治す」という考えに基づくもの。もう少し詳しく、先生にお話を伺いましょう。「機能性医学は、1990年にアメリカのジェフリー・ブランド博士が提唱した新しい医学です。アメリカではここ20年ほどで定着し、かなりポピュラーになってきました。熱があるから解熱剤を出し、咳が止まらないから咳止めを処方するというのではなく、熱や咳の原因を調べ、その原因を取り除くことで健康を取り戻す方式ですね。アメリカではもう、従来の投薬に重きを置いた対症療法では無理だと国民が気づいただけ。日本は保険制度が完備されていて、誰もが平等に医療が受けられるしくみが整っていますが、アメリカは、病気になったから治療を受けたのでは高額の治療費がかかる。知恵のある人はいかに病気を避け、病院に頼らない方法を追求する傾向があります。機能性医学が広く受け入れられる下地があったわけです」(斎藤先生)近年は日本でも、機能性医学が求められているはず。生活習慣病などの慢性病(治療が長引き、慢性の経過をたどるさまざまな病気)が、日本の医療費に占める割合はおよそ8割だからです。花粉アレルギーや、アトピー、うつ病、頭痛、冷え症、ぜんそく、蕁麻疹、リウマチ、便秘、糖尿病などは、多くの人が悩む慢性病の代表的なもの。学校へ行けないとか仕事を休まなくてはならないというほどひどくはないけれど、仕事や勉強の能率を著しく下げてしまうような病気が増え続けていることは、社会が抱える重大な問題です。最近では、ガンさえも生活習慣によるものと言われていること、見逃せません。病気は “医者に治してもらう” のでなく患者さんと医師が「一緒に」治すもの「多くの人が医者から処方された薬を飲み続けています。それでも治らない。その結果ドクターショッピング(あちこちの病院、さまざまな科、主治医を転々と変えること)をし、時間もお金も使ってしまう。対症療法でなく、症状の原因に目を向けて診断すると、その方が栄養バランスが悪かったり、病気を呼ぶような環境にいることがわかったりします。栄養の偏りを正したり、足りない栄養素を補ったりするだけで症状が軽くなる人が多く、中には何十年も苦しめられていた頑固な持病がすっかり治ってしまうケースもあるほど。『先生のように、私の生活の中に原因があるのではないかと探ってくれた医者は今までいなかった』と感謝されると、本当に良かったなと思いますよね」(斎藤先生)斎藤先生が機能性医学と出会ったのは、自分が長年悩んでいた花粉症をこの医学が治してくれたからでした。そもそもアンチエイジングに力を注ぐ医師でありながら、慢性疾患になすすべがない従来型の医療に疑問を感じていた先生は、2006年、うっかりカビの生えた燻製肉を食べたことがきっかけで、腸の調子が悪くなりました。お腹の張り、ガス、下痢などに散々悩まされた挙げ句、1カ月後に症状は全身に広がり、手のひらや足の裏にまで炎症が起こり、膝にはリウマチを思わせるような関節痛まで生じてしまったのです。なぜ、カビ毒からそんな全身の症状が引き起こされるのか、従来型の医療では説明がつかない。何かないのだろうか… と考えていたところ、アンチエイジングの国際学会の仕事をしていた折りに、腸と全身疾患の関係を解いた『機能性医学』というものを知り、急に興味を持ちました。2007年からは、アメリカで機能性医学のプログラムに参加し、この医学を系統的に学び、日本人として初めて「機能性医学認定医」の資格をアメリカで取得。日本ではまだ紹介されていなかった機能性医学研究所を設立します。そして2008年、機能性医学の底力を自ら体感するターニングポイントがやってきたのです。「その年の機能性医学のトピックのひとつがビタミンDだったのですが、機能性医学では、ビタミンDを“免疫系を整えるのに必須の栄養素”ととらえているんです。そこで『小さいときから抱えているアトピーや花粉症などのアレルギー疾患は、ビタミンDの慢性的な欠乏によるものかも』と思うようになりました。そして、実際にビタミンDを摂取することで自分の花粉症が治ってしまったんですよ。ほんとに、これだ! と思いましたね」(斎藤先生)「生活」を変えるのは、患者さん本人病気には「遺伝的要因」と「環境的要因」の2つがあります。遺伝的な要素は両親から受け継いだものなので生涯変化しませんが、環境的なものは食生活などの生活習慣や、その人の置かれている生活環境によってコントロールが可能です。遺伝子に関わらず最大の健康を得るためには、生活習慣・生活環境を最適化することが大切。もちろん、人の体は代謝ひとつとっても十人十色。なので、一人一人に合わせた見極めも必要です。「日本人は『病気になったら病院で薬をもらって治してもらおう』という発想に陥りがちですが、生活を変えるのは患者さん本人。医者にはできません。医師と患者さんが二人三脚で疾病に立ち向かうこと。治してもらうのではなく、一緒に治すという気持ちを持ってもらうことも大切なんですよね」(斎藤先生)慢性病を改善するための「5つの習慣」機能性医学では、これまでとは全く違ったアプローチで原因を特定していきます。例えば、精神的な悩みにも栄養不足を疑ったり、頭痛であれば肝機能の低下を疑う、など。女性に多いむくみや冷え症はタンパク質不足が原因であることが少なくないのだそうです。「普通の医師ならばたいして深く注意を払わないような対人関係や、睡眠環境といった領域まで、聞き出すこともありますね。それも、機能性医学においては慢性病を治す上で欠かせないポイントなんですから」(斎藤先生)そして慢性病を改善するために「5つの習慣」を提案します。1:栄養精製糖や白い穀物を控えて、良質のたんぱく質・脂質をしっかり摂り、ビタミンやミネラルが不足しないように気をつけること2:ストレスと対処力置かれている状況を把握したうえで、ストレスを味方にするようなものの考え方をする3:運動と活動30分ほどの速歩や自宅で行える簡単な筋トレを取り入れるだけで、メタボもロコモも防げて、認知症リスクが下げられる4:睡眠と休息栄養状態を整えると同時に、光をコントロールし、睡眠時無呼吸症候群などにも対処5:家族とソーシャルネットレジャーや運動などを介して人とのつながりを増やすことが、それぞれの慢性疾患のリスク軽減これらはすべて、治療薬を飲み続けるよりも低コストでできること。患者さんにできそうなものから薦めますが、5つのなかでも要となるのは1つめの「栄養」。1日3回、無意識のうちに口にしている食事の中身(=栄養バランス)、これを整えるだけで、慢性疾患のリスクが下げられるためです。食生活を整える「ファンクショナル栄養学」機能性医学に基づく栄養の考え方は「ファンクショナル栄養学」と言われます。従来の栄養学が慢性病を招いているのだとしたら、それを予防する食事法が必要。これが「ケトジェニックダイエット」と呼ばれるものです。勘違いされがちなのですが、「ダイエット」とは、日本ではこの30年ほどの間に「減量」を指す言葉になってしまいました。そもそも英語では「食事法」という意味です。現代人には必要のない糖質の過剰摂取をやめ、栄養のバランスを考えたケトジェニックダイエットを広めるため、斎藤先生は2013年、「一般社団法人 日本ファンクショナルダイエット協会」を立ち上げました。全米では、名門病院クリーブランド・クリニックにも2014年に機能性医学の外来が開設。全米から患者さんが殺到して、常に200人以上のウエイティングリストができているそうです。アメリカで広まりつつある機能性医学は、医療費がパンク状態の日本においても、近い将来、不可欠な医療になると考えられているのです。斎藤糧三先生 プロフィール1973年東京都生まれ。医師。1998年に日本医科大学を卒業後、産婦人科医に。現在、日本機能性医学研究所所長、一般財団法人日本ファンクショナルダイエット協会副理事長、サーモセルクリニック院長、ナグモクリニック東京・アンチエイジング外来医長。機能性医学をいち早く日本に紹介し、日本人として初めての機能性医学認定医に。栄養療法、アレルギーの根本治療、ケトジェニックダイエットの啓蒙・指導、更年期症候群の治療、アスリートの栄養管理など、得意分野は多岐に渡る。著書に『慢性病を根本から治す「機能性医学」の考え方』(光文社新書)。『スーパーフード事典 BEST50―栄養素、効能、おいしい食べ方がわかる』(監修/主婦の友社)。そして話題の新刊『糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる!ケトジェニックダイエット』(講談社)が2月24日発売に。
2016年03月26日京都大学(京大)は3月25日、植物由来成分である「プテロシンB」が変形性関節症に効果があることを明らかにしたと発表した。同成果は、京都大学 iPS細胞研究所(CiRA)/富山大学の大学院生 箭原康人氏、CiRA 妻木範行教授、医薬基盤・健康・栄養研究所 竹森洋プロジェクトリーダーらの研究グループによるもので、3月24日付けの英国科学誌「Nature Communications」オンライン版に掲載された。変形性関節症は、膝や足の付け根、肘、肩などの関節に痛みや腫れが現れる病気で、骨の末端を覆う関節軟骨が変性することにより起こる。変形性関節症のリスク要因としては、加齢や関節への過剰な負荷、メタボリックシンドロームがある。加齢によって関節軟骨が薄くなること、また加齢とともに変形性関節症の患者数が増えることはよく知られているが、軟骨が薄くなることが変形性関節症の原因となるかどうかは不明となっていた。これまでの研究で、変形性関節症の軟骨細胞は、通常の軟骨細胞に比べてより成熟した細胞(肥大軟骨細胞)の性質を持っていることがわかっていた。また、妻木教授らのグループはSik3遺伝子を欠失したマウスでは、軟骨細胞の成熟が抑制され、軟骨細胞が増えることを見いだしている。同研究グループは今回、変形性関節症患者の軟骨では、症状が重症であるほど活性型のSIK3が検出される細胞の数が多いことに着目。薬剤によりSik3遺伝子を欠失させたマウスの関節軟骨を観察した結果、軟骨層がより厚くなっていることを確認した。またマウスに変形性関節症が起こりやすくなる手術を行ったところ、Sik3欠失マウスはSik3遺伝子を持つマウスと比較して変形性関節症になりにくいことがわかった。また、植物成分由来の化合物ライブラリを調べ、プテロシンBがSik3の活性を抑制することを明らかにした。実際に変形性関節症モデルのマウスの関節にプテロシンBを注入すると、変形性関節症の症状を抑えることができた。さらに、ヒト健常者のiPS細胞から軟骨を作製し、軟骨細胞が肥大化する環境でプテロシンBを加えて4週間培養したところ、プテロシンBが軟骨細胞の肥大化を抑制していることがわかった。同研究グループは以上の結果より、変形性関節症の治療ターゲットとしてはSIK3が有用であり、プテロシンBは変形性関節症治療薬開発のヒントになりえるとしている。
2016年03月25日【ママからのご相談】もうすぐ1歳になる子どもを持つ母親です。最近、周囲で同じくらいの月齢のお子さんが胃腸風邪にかかって大変だった……!というSNS投稿をよく目にします。かかってしまうと大人でも大変な胃腸風邪ですが、 もし離乳食期の子どもが胃腸風邪にかかった場合、どんな対応をしてあげればいいのでしょうか。●A. まずは家庭内感染に細心の注意を払い、嘔吐・下痢の症状に合わせた食事・休養で治療を。ご相談いただきありがとうございます。ママライターのましゅままです。胃腸風邪は感染力が高く、体が小さい赤ちゃんは感染しやすいので注意が必要です。そして、胃腸風邪にかかった赤ちゃんをお世話するママが真っ先に感染してしまうことが多いので、細心の注意が必要です。●ママの胃腸風邪感染を防ぐポイント3つ●(1)部屋を暖かくして、湿度を上げる胃腸風邪のウイルスは、気温と湿度が低いときに増えやすくなります。部屋を暖かくし、同時に加湿器を使用したり濡れタオルを干したりして湿度も保つようにしましょう。こまめに空気の入れ替え を行うことも大切です。●(2)嘔吐物や下痢の処理には注意胃腸風邪患者の嘔吐物や下痢には大量のウイルスが潜んでいます。赤ちゃんの場合、下痢便が紙おむつから漏れてしまうことが多く、嘔吐もトイレ以外の場所でしてしまいます。おむつ・嘔吐物を処理する際は、使い捨てのビニール手袋・マスクを着用し、紙おむつは菌が飛散しないよう すぐにビニール袋に入れます。手についた場合は念入りに石鹸で洗い、アルコール消毒を行いましょう。●(3)汚れた洗濯物は別で洗う汚れてしまった洗濯物は、普段の洗濯物とは別で洗います。大きなバケツや洗濯槽に洗剤を入れてつけ置きしておき、時間ができたらまとめて洗います。洗濯後は塩素系漂白剤 か85度以上の熱湯 で1分間煮て除菌をしましょう。洗えない枕やベッドに嘔吐物などが付着してしまった場合は、アイロンのスチームを衣類を焦がさないよう少し浮かせて当てて、高温殺菌しましょう。●症状別の食事の与え方名古屋市のある小児科のHPに、乳児が胃腸風邪に感染した際の食事の与え方について以下の記載があります。**********『嘔吐が強いときは、経口摂取を(5〜6時間)さけ、口をしめらす程度の水分を与えます。嘔吐が治まったら、アクアライト、OS1、番茶、ゆざまし、重湯などを始めに与えます。落ち着いてきたら、お粥、林檎果汁等を与えます。食欲が出ていろいろほしがっても、蜜柑、お菓子、砂糖の多いものなどは避けて下さい』**********嘔吐が激しいときは、食べ物を無理に与えてももどしてしまい、体力を消耗させてしまうだけなので、水分補給のみ にとどめましょう。にんじんとりんごのすりおろしは、嘔吐・下痢にとても効果があるのでおすすめです。食欲が戻ってからも、しばらくは離乳食も1段階前のものをあげるようにしましょう。筆者の1歳児の長女も胃腸風邪にかかりました。状態が良くなり食欲が戻って普通の便も出たので、消化に良さそうなお菓子を与えてしまったのですが、その晩再び下痢をしてしまいました。このように、食欲が戻った後も胃腸は弱っているので、しばらくは警戒が必要です。●胃腸風邪は赤ちゃんもつらいがママがかかるともっとつらいいかがでしたか?小さな体で胃腸風邪と戦う赤ちゃんは本当につらそうで、かわいそうです。しかし、その赤ちゃんを看病しなくてはならないママが胃腸風邪になってしまっては本当に大変です。赤ちゃんが完治してもママが胃腸風邪でダウンしてしまっていては、日々の育児すらままならない状態になってしまいます。もしも赤ちゃんが胃腸風邪にかかってしまったら、家族にうつらないよう徹底しながら、1日も早く治るように看病をしてあげてくださいね。【参考リンク】・胃腸風邪について | よしだこどもクリニック()●ライター/ましゅまま(ママライター)
2016年03月14日おじいちゃんやおばあちゃんが認知症になったとき、みなさんはどうするでしょうか。まずは医者に行って診断をしてもらい、お薬を受け取るのではないでしょうか?しかし、宅老所よりあい代表の村瀬孝生さんとフリーライター兼編集者の東田勉さんの共著書『認知症をつくっているのは誰なのか』(SBクリエイティブ)には、衝撃的な内容が書かれています。なんと、“認知症の問題行動の8割は薬のせいではないか”というのです。また、薬害認知症も認知症全体の3割はいるのではないか、という話も出ています。そこで今回は本書より抜粋した、「認知症の薬物療法を勧めない理由」をご紹介していきたいと思います。■知っておきたい認知症の「症状」まず、認知症には、大きくふたつの症状があるそうです。ひとつは、認知機能が障害されたことで出る中核症状。具体的には記憶障害(直前のことを忘れる、出来事全体を忘れる)、見当障害(ここがどこで、いまいつか、自分が誰だかわからなくなる)、実行機能障害(これまでできていた家事や趣味がなくなる)など。もうひとつが周辺症状で、かつては問題行動と呼ばれていたもの。現在は「BPSD」とも呼ばれているようです。具体的には徘徊、暴力、介護抵抗、失禁、不潔行為、昼夜逆転、幻覚、妄想、不穏などがこれにあたります。■認知症の薬物療法には問題がある筆者が問題提起するのは、この認知症の薬物療法です。中核症状については抗認知薬を、周辺症状については向精神薬(抗精神病薬、抗うつ薬、精神安定剤、睡眠薬など)が使われるのが一般的だそう。最初に抗認知薬の問題点を上げてみましょう。(1)抗認知薬は認知症を治す薬ではない厚生労働省や医学会、医者、マスコミによる認知症キャンペーンでは、よく「早期受診・早期診断・早期治療」を勧めています。その後に必ず「進行を遅らせる薬があるから」といわれるそうです。しかし、アリセプトに代表される抗認知症薬は進行が止まるものではなく、飲み続けても緩やかに進行していきます。一部の人(4~6割)で9カ月~1年間は進行速度が弱まるものの、その時期を過ぎたら効かなくなるそうです。飲むのをやめれば飲まなかったのと同じ症状になってしまうとのこと。認知症を治す薬ではないので、効果に過剰な期待はしないほうがいいようです。(2)抗認知症薬のうち3種は興奮系の薬剤ということ確実に存在する“副作用”について見ていきましょう。抗認知症薬のうちメマリーという薬を除く3種は興奮系の薬剤で、「病的な怒り」を引き起こす点が大きな問題です。高齢者が認知症の薬を飲んで、興奮して暴れたという報告はものすごく多いとのこと。認知症の人を介護する側はこれらの薬によって、かなり大変なことになってしまうようです。(3)抗認知症薬には必ず増量規定があるそのような副作用が出るにも関わらず、抗認知症薬には増量規定があります。たとえばアリセプトという薬は1日3mgから服用を開始し、3週目からは5mgに増量しなければなりません。個人差があっても増量です。約20%に出てしまう“病的な怒り”にもお構いなく、医者は規定通りに増量しようとするそうです。それは、規定以外で処方すると、医者の診療報酬がカットされて保険診療にならず、薬代が病院・医院の自腹になる可能性があるから。抗認知症薬の副作用で大変な思いをした家族は医者にすがると、今度は多くの医者が増量規定を守りながら、お年寄りを鎮静させる「向精神薬」を処方します。これはつまり、アクセルとブレーキを両方踏むような薬物療法です。これが現在の70歳代、80歳代、90歳代のお年寄りに行われているのです。■問題行動の約8割が薬害性の疑い著者は「問題行動といわれるものの約8割は薬害性なのではないか」と疑っています。一昔前までは、認知症でも悩まず明るく、混乱もしていないお年寄りがいたそうです。しかし、いまでは「早期受診・早期診断・早期治療」で大量の薬を飲まされているから、“病的なボケ”が蔓延しているとのこと。お年寄りは医療では生活の支援が受けられず、著者の施設のような所へ来るのですが、みんな薬漬けになって来るそう。そして、薬によって元々もっている人間としての排泄や睡眠のリズムが崩れてしまいます。薬ではコントロールができていないのです。著者は経験として、薬を断ったお年寄りが心身ともに安定した例を多数見てきたこともあり、「できれば薬を使わない、減らしていくことが必要」と訴えています。また、著者と同じ考えで協力してくれる医者もいるとのことです。*自分の身近な人が認知症になったとき、医者の指示どおり、処方された薬を飲ませてしまう人は少なくないでしょう。しかし、薬はどんなものであっても、効き目には個人差があり、たくさん飲めば副作用も出てくるかもしれません。だからこそ、その時々で本人の様子を観察し、本当にこの薬でいいのか疑う目も必要なのではないでしょうか。認知症に関する疑問や興味がある人は、ぜひ読んでほしい本だと思います。(文/齊藤カオリ) 【参考】※村瀬孝生・東田勉(2016)『認知症をつくっているのは誰なのか』SBクリエイティブ
2016年03月01日「最近、胃腸の調子が悪いな」「胸焼けがするな」という方は、睡眠不足が続いていたりしませんか? というのは、胸焼けを引き起こす胃食道逆流症は、睡眠と密接な関係があるといわれているからです。どのような関係があるのでしょうか?胃酸が逆流する?胃食道逆流症(GERD)という病気があります。これは食道に起こる炎症で、胃酸や膵液、胆汁酸などが胃から食道へと逆流することで発症します。通常であれば、胃と食道の間には下部食道括約帯と呼ばれる部分があり、通常は閉じているため、このような逆流は起こらないのですが、ゲップが出るときや嚥下運動の際などに、一時的に開くことがあるそうです。下部食道括約筋が開いたときに逆流してしまうことがある、というわけ。この部分が頻繁に開いてしまうことが、胃食道逆流症の原因といわれています。一般的に、胃食道逆流症になると、食道に逆流してきた胃酸などの酸性物質によって、胸焼けや喉の痛みが出ます。睡眠障害との関係は?一見すると、睡眠障害とは何の関係もなさそうな胃食道逆流症ですが、アメリカの大学の研究者に、この2つには「関係がある可能性がある」と指摘されました。胃食道逆流症の患者は、ゲップや嚥下のとき以外にも下部食道括約筋が開いて、逆流が起きてしまうことがあります。つまり、その状態は睡眠中にも逆流が起こりうることを示しているのです。睡眠中に胃食道逆流症の症状が頻繁に現れることで、睡眠不足になるケースもあるそうです。さらに、「ニワトリが先か、卵が先か」ではありませんが、睡眠不足が胃食道逆流症をさらに悪化させる可能性もあるのだとか。さらに、胃食道逆流症の患者は睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害の症状がよく見られるともいわれています。胃食道逆流症になりやすい人胃食道逆流症になりやすいのは、生活習慣に問題がある人と、おなかに圧力がかかる姿勢をとっている人、そして肥満体質の人、といわれています。生活習慣から見ていくと、例えば早食いや大食いの人は胃に大きな負担がかかるので、逆流を起こしやすいのだそう。アルコールや喫煙も悪影響を及ぼすという報告もあります。ほかにも、仕事柄、常時、前かがみの姿勢をしている人や肥満体質の人は、おなかに圧力が常にかかっている状態なので、逆流が起こりやすくなるといわれています。最近、胸焼けがひどいと感じる方は、胃食道逆流症の可能性もあるので、早めに医師の診察を受けるようにしましょう。photo by acworks
2016年02月15日新潟大学は2月3日、多発性硬化症および視神経脊髄炎の神経変性に関わる新たな仕組みを発見したと発表した。同成果は、同大学 脳研究所 神経内科 河内泉 講師、西澤正豊 教授、穂苅万李子 大学院生、横関明子 医師らの研究グループによるもので、2月2日付けの米科学誌「Annals of Neurology」に掲載された。多発性硬化症(MS)および視神経脊髄炎(NMO)は、視神経や脊髄、脳に炎症が起こることで、視力の障害、手足の麻痺、しびれや認知機能障害などの症状が現れる神経難病。異常な免疫反応により、MSでは神経軸索を覆うミエリンが破壊され、NMOでは神経細胞・軸索に隣接しサポートするアストロサイトが破壊される。この結果、神経機能が重度に障害される神経変性が起こる。MSとNMOでは異なる免疫制御治療が開発されており、異常な免疫因子をある程度制御することが可能となっているが、神経を保護する治療法は未だ開発されていない。今回、同研究グループは、MSとNMOでは視力障害がしばしば起こるが、NMOではMSに比較して、より重度で回復が不良な視力障害に進展すること、MSのミエリン障害、NMOのアストロサイト障害に加え、MS・NMOともに、視神経軸索と網膜の神経細胞が強く変性していることを明らかにした。また、MSでは「未知の異常な免疫因子」によるミエリンの破壊に引き続き神経変性が起こる一方で、NMOでは「アクアポリン4抗体」によるアストロサイトの破壊に引き続き神経変性が引き起こるが、MSとNMOで障害された神経軸索には、変性したミトコンドリアや陽イオンチャネル「transient receptor potential cation channel subfamily M member 4 (TRPM4)」が異常に集積しており、MSとNMOの神経軸索減少に関与していることがわかった。さらに神経軸索の障害は、網膜の神経細胞にも変化を及ぼすことがわかった。特にNMOではMSと比較してより多くの異常なミトコンドリアが、変性した神経軸索に含まれるため、疾患の早期から免疫制御治療を行うことに加え、神経保護治療を追加する必要があることが示唆された。同研究グループは、異常な免疫分子を制御する「免疫制御治療」と「神経保護治療」の組み合わせにより、患者のQOL向上が期待されるとしている。
2016年02月04日東北大学(東北大)は1月28日、全ゲノム解析情報を用いて急性リンパ芽球性白血病の治療効果判定に成功したと発表した。同成果は、同大学 東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と東北大学病院 血液・免疫科の研究グループによるもので、1月29日付けの英科学誌「British Journal of Haematology」オンライン版に掲載される。ToMMoは、2013年より地域住民コホート調査を実施しており、同調査では原則としてすべての参加者から採血を行っている。その血液はバイオバンクの構築に用いられるとともに、一部は参加者への結果回付などのために通常の健康診断よりも詳細な検査に付される。今回、同調査への参加者に対する詳細血液検査において、急性白血病の疑いのある参加者が発見され、本人への説明と同意のもとに、診断と治療のため東北大学病院血液・免疫科への紹介が行われた。同科における検査から、同参加者は初期前駆T細胞性急性リンパ芽球性白血病(ETP-ALL)に罹患していると診断された。ETP-ALLは急性リンパ芽球性白血病のうちでも比較的まれで、治療が困難なタイプの白血病。白血病の発症には骨髄細胞で後天的に発生した遺伝子変異が関連しているが、ETP-ALLではそのような分子基盤の解明が進んでいない。そこで今回、治療方針の策定と効果判定に包括的な遺伝子解析が有用であるとし、ToMMoで全ゲノム解析を実施。その後、治療経過に沿って、全ゲノム解読によって得られた情報を活用し、次世代シークエンサーによる治療効果の判定支援を行ったという。今回の成果は、コホートでの偶発的所見が早期に研究参加者に直接還元されたケースであり、今後ToMMoでは、今回のような直接的な貢献だけではなく、これまでの研究で得た知見を各種悪性腫瘍の治療効果判定へ応用することで、地域医療の進歩へ貢献していきたいとしている。
2016年01月29日米ロックバンド・イーグルスの創立メンバーでギタリストのグレン・フライさんが、67歳で死去した。急性潰瘍性大腸炎、急性肺炎、リウマチ性関節炎などを患っており、さまざまな疾患が重なったことで死に至ったという。同バンドの公式ウェブサイトには、「われわれの悲しみ、彼が僕らに与えてくれたもの全てに対する私たちの愛と尊敬を言葉では表すことはできません」と家族とバンドメンバーたちからの言葉が記載されている。さらにTMZ.comは、グレンさんが11月に手術を受けた後、経過は順調だったにもかかわらず、最近になって症状が急変していたと伝えている。イーグルスは『ホテル・カリフォルニア』『ならず者』『テイク・イット・イージー』『テキーラ・サンライズ』などでヒットを飛ばして人気を博し、グレンも多くの代表曲の曲作りに参加。6回のグラミー賞受賞も果たしたイーグルスは1980年に解散したが、グレンはその後もソロシンガーとしての活動を続けて『ヒート・イズ・オン』『ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ』などのヒット曲を世に生み出した。先月にはイーグルスの復活パフォーマンスがケネディ・センター名誉賞の席で行われる予定だったが、グレンさんの体調不良により中止となっていた。(C)BANG Media International
2016年01月20日国立感染症研究所は1月19日、1月4~10日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果より、一度は縮小の気配を見せたノロウイルス由来とみられる「感染性胃腸炎」の感染に対し、まだまだ警戒が必要なことがわかった。厚生労働省によると、ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、一年を通して発生しているが、特に冬季に流行。「ノロウイルスは手指や食品などを介して経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします」としている。国立感染症研究所は、全国約3,000カ所の定点医療機関から1月4~10日(2016年第1週)の期間中に報告があった患者数を集計。その数は2万4,300人にのぼったという。2015年の第50週から週間当たりの患者数は3万人を超え、第52週まで3万人台を維持していた。第53週(12月28日~1月3日)の患者は1万3,852人で、その前週の3万1,861人よりも半減以下に落ち込み、感染縮小の兆しをみせた。ところが、1月4~10日の期間に第53週の倍近い2万4,300人を記録。まだまだ感染に注意する必要があることが示された。また、第1週の時期における1医療機関ごとの患者数も、例年に比べて高水準だ。2016年の第1週時の定点当たり報告数は、7.74人。2011年から2015年間までの過去5年間と比較すると、2011年の7.98人に次ぐ2番目に高い数値で、2015年(3.47人)の倍以上となっている。2016年の第1週において、都道府県別での患者数が最も多かったのは東京都で2,142人。2位以下は神奈川県(1,869人)、埼玉県(1,560人)、愛知県(1,324人)、大阪府(1,237人)と続く。大都市圏や関東圏において、依然として患者が多い傾向がみてとれる。厚労省は、ノロウイルスによる感染性胃腸炎を防ぐため、「食事の前やトイレの後などには、必ず手を洗いましょう」「子どもやお年寄りなど抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱して食べましょう」などの予防策をよびかけている。※写真と本文は関係ありません
2016年01月19日理化学研究所(理研)と熊本大学は1月18日、エイズ(後天性免疫不全症候群)の原因ウイルスである「HIV-1」が細胞から細胞へと感染拡大する際の新たなメカニズムを解明したと発表した。同成果は、理化学研究所 統合生命医科学研究センター 粘膜システム研究グループの大野博司 グループディレクター、環境資源科学研究センター ケミカルバイオロジー研究グループの長田裕之 グループディレクターと熊本大学 エイズ学研究センター・国際先端医学研究拠点施設(鈴プロジェクト研究室)の鈴伸也 教授らの研究グループによるもので、1月15日付けの米科学誌「Journal of Immunology」に掲載された。免疫系細胞は、細胞膜が細長く伸びた細胞膜ナノチューブ(TNT:Tunneling NanoTube)を作り、離れた2つの細胞を物理的に連結して、細胞間で物質交換を素早く確実にやりとりする機能を持っているが、この性質を逆手に取り、エイズウイルスなどのウイルスやウイルスの病原タンパク質が細胞から細胞へと移動することで、感染を拡大させたり、免疫機能を抑制して病態を悪化させたりすることが知られている。HIV-1は、CD4という表面分子を持つTリンパ球(CD4+Tリンパ球)とマクロファージという2種類の免疫細胞に感染し、これらの免疫細胞の中で増殖。未感染のCD4+T細胞やマクロファージへと感染することで、免疫細胞の機能不全や減少を引き起こす。このようにHIV-1が感染拡大していく経路には、一度HIV-1が感染細胞の外に出て周囲の未感染細胞に感染する経路のほかに、TNTを介してHIV-1が感染細胞から未感染細胞に移る経路が知られていたが、そのメカニズムは明らかにされていなかった。今回の研究では、ヒト血液由来のマクロファージにHIV-1を感染させ、TNTの形成促進を観察した。この結果、ウイルスタンパク質であるNefを欠損した変異HIV-1を感染させるとTNTの形成促進は観察されなかった。一方、HIV-1をCD4+Tリンパ球に感染させても、このHIV-1によるTNTの形成促進は見られなかった。そこで同研究グループは、マクロファージには発現しているが、CD4+Tリンパ球には発現していないTNT形成因子「M-Sec」に着目。マクロファージ細胞株にNefを強制的に発現させるとTNTの形成促進が見られたが、M-Secの発現を抑制したマクロファージ細胞株では、Nefを強制的に発現させてもTNTの形成促進が見られなかったことから、NefによるTNTの形成にはM-Secが必要であることを明らかにした。同研究グループはさらに、理研の化合物バンクを用いて、6800の化合物の中から、M-SecによるTNT形成の抑制活性を指標として、TNT形成を可逆的に阻害する「NPD3064」という化合物を見いだした。この化合物を用いたTNT形成の抑制により、HIV-1の産生は約2分の1に減少したという。このメカニズムが解明されると、HIV-1の感染やそれによる病態形成の詳細がわかり、エイズの治療や発症予防に貢献すると考えられる。さらにTNTの形成阻害薬が、これまでの抗エイズ薬と異なる作用メカニズムにもとづく、新たなエイズの治療薬の開発につながる可能性があると同研究グループは説明している。
2016年01月18日国立感染症研究所は1月12日、2015年12月21~27日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中における1週間当たりの「RSウイルス感染症」の患者が全国で6,000人近くになることが判明。過去10年間の同時期と比較しても、高い水準で患者が増え続けていることが明らかになった。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。風邪のように発熱や鼻水などの症状が出るが、重度の場合だと肺炎や気管支炎になるケースもある。通常、RSウイルスに感染してからの潜伏期間は2~8日で、典型的な潜伏期間は4~6日とされている。同研究所によると、生後1歳までに半数以上の子どもがウイルスに感染し、同2歳までにはほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するとのこと。厄介なことに、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の定点医療機関から12月21~27日(第52週)の期間中に報告があった全国の患者数は5,756人。第50週の7,469人をピークに2週続けて減っており、感染縮小の兆しはみえてきている。ただ、2005年シーズンからの第52週時期における患者数と比較すると、5,756人は2番目に高い数字となる。2014年シーズンこそ第52週に6,110人を記録していたが、2009年からは5年連続で3,000人台で推移。この数字からも、今シーズンはRSウイルスが長期間にわたって猛威を振るっていることがわかる。12月21~27日の期間中において、都道府県別での患者数が最も多かったのは大阪府の562人。2位以下は兵庫県(479人)、愛知県(345人)、東京都(277人)、北海道252人)と続く。RSウイルス感染症には特効薬やワクチンがないため、予防が肝要となる。感染経路は飛沫(ひまつ)感染と接触感染で、発症の中心は0歳児と1歳児。一方、再感染以降ではくしゃみ・鼻水といったような症状が出ていても、RSウイルス感染症であるとは気づかない年長児や成人もいる。そのため、厚生労働省は「咳等の呼吸器症状を認める年長児や成人は、可能な限り0歳児と1歳児との接触を避けることが乳幼児の発症予防につながります」としている。※写真と本文は関係ありません
2016年01月13日帝京平成大学はこのほど、不安症に共通する疾患感受性遺伝子2カ所を発見したと発表した。同成果は同大の音羽健司 教授と米国バージニア・コモンウェルス大学のジョン・ヘッテマ 准教授らの国際共同研究グループによるもの。1月12日(現地時間)の米科学誌「Molecular Psychiatry」に掲載された。不安症とは、不安反応が過剰に長期間持続するため日常生活に支障をきたす疾患のことで、これまで神経症と呼ばれていた。同疾患には全般性不安症、パニック症、社交不安症、恐怖症などがあり、比較的頻度の高い疾患として知られている。これまでの研究から遺伝的要因が関与していることが報告されていたが、確立して遺伝部位は発見されていなかった。今回の研究では、米国、欧州、豪州を中心とした研究者によるる国際共同研究グループを結成し、計1万8000人を対象とした全ゲノム関連解析のメタ解析を行い、不安症の発症に関与する遺伝子の探索を行った。解析は患者と健常者を比較する方法と、不安に固有の因子を用いて全対象者を調べる方法の2通りが実施された。解析の結果、患者・健常者を比較する方法では3番染色体に位置する非コードRNA領域上の特定の遺伝子変異が、また全対象者を調べる手法では2番染色体に位置するCAMKMT遺伝子上の特定の遺伝子変異が不安症のなりやすさに関係することがわかった。今後、これらの遺伝領域が不安症の発症に影響を与えるメカニズムを解明することで、新しい診断法や治療薬の開発、予防方法の解明につながることが期待される。
2016年01月12日東京大学や科学技術振興機構などは1月5日、血液中のタンパク質・AIMが急性腎不全の治癒に役立つ可能性を示唆した研究成果が得られたことを明らかにした。腎臓は血液中の老廃物をろ過し、尿として排せつする役割を持つ。その機能が低下すると血液中に老廃物がたまり、身体のさまざまな臓器の働きに支障をきたす。一方で、出血による腎臓の虚血や細菌感染、薬剤などの原因により、急速に腎機能が低下する状況を急性腎不全と呼ぶ。急性腎不全は自然に改善する場合もあるが、致死率も高く、これまでに確実な治療法が確立されていなかった。東京大学大学院医学系研究科の宮崎徹教授らの研究グループは今回、血液中のタンパク質・AIMが直接腎臓に働きかけ、急性腎不全を治癒させることを明らかにした。急性腎不全が生じると、腎臓の中の尿細管に細胞の死骸が詰まり、この詰まりが腎機能の低下を招く引き金となる。通常、AIMは血液中に存在するが、腎臓の機能が低下すると尿中に移行し細胞の死骸に付着。この付着したAIMが"目印"となって、周囲の細胞が一斉に細胞の死骸を掃除することで、迅速に詰まりが解消され、結果的に腎機能が速やかに改善される仕組みとのこと。研究グループは、マウスでの比較実験を実施。AIMを持たないマウスが急性腎不全になると、細胞の死骸が掃除されずに死んでしまったことや、AIMを正常に持っているマウスでも、重度の急性腎不全が起きた場合は、腎臓内の詰まりが解消されないまま、その多くが死んでしまうことも発見した。ただ、いずれの場合でも、AIMを静脈注射することで、尿細管の詰まりは劇的に解消され、腎機能が速やかに改善。致死率が著しく低下することを見いだしたという。腎機能低下時の血中AIMの尿中への移行および細胞の死骸への付着は、ヒト急性腎不全患者でも同様に観察される。そのため、研究グループは「マウスだけでなくヒト急性腎不全患者においても、AIMによる治療は有効であると考えられる」としている。なお、同研究成果は、「Nature Medicine」オンライン版にて公開されている。
2016年01月06日東京大学は1月5日、動物モデルにおいて治療用転写因子のmRNAを関節内へ送達することで変形性関節症の進行を抑制することに成功したと発表した。同成果は同大学大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻のハイラトアニ 特任研究員、大庭伸介 特任准教授、鄭雄一 教授(医学系兼担)と医学系研究科附属疾患生命工学センターの位高啓史 特任准教授、片岡一則教授らの研究グループによるもの。※位高特任准教授の苗字「位高」の高ははしご高変形性関節症は関節軟骨がさまざまな原因により変性し「クッション」と「ちょうつがい」としての機能を失うことで発生する。患者は、膝関節だけで国内に2530万人以上いると推測されている。これまでの治療では、人工関節置換術などの外科的治療を除いて薬物により痛みを取り除いたり、炎症を抑えたりする対症療法が主となっている。一方、変形性関節症の分子病態が次第に明らかになるにつれ、関節軟骨細胞の内部でその発症や進行に働く分子を標的にした病態修飾薬剤の開発が期待されており、治療に有効な遺伝子発現を調節する転写因子を細胞内で発現させることが、直接的かつ効率的な病態修飾療法の1つであると考えられている。ゲノムDNAから始まる内因性の遺伝子発現においては、タンパク質の遺伝情報をコードするDNA領域がメッセンジャーRNA(mRNA)としてコピーされ、タンパク質合成の設計図として働くことから、DNAの段階を経ずに、目的とするタンパク質合成を細胞内で迅速に誘導するための新しい核酸医薬として、mRNAの応用が期待されている。今回の研究では、治療用転写因子mRNAを高分子ミセル型mRNA送達システムを用いて、マウスに投与した。まず、mRNA内包高分子ミセルをマウス正常膝関節内に投与したところ、投与24時間後から4日後まで、関節軟骨細胞におけるmRNA由来蛋白質の発現を確認することができた。次に、変形性膝関節症を発症するモデルマウスの膝関節内に、3日に1回のペースで1カ月間、軟骨形成に働く転写因子RUNX1のmRNAを内包した高分子ミセルを投与した。その結果、RUNX1 mRNA投与群の関節軟骨では、送達したmRNAに由来するタンパク質の発現を認め、コントロールmRNA投与群と比べて変形性関節症の進行が有意に抑制されました。さらに、主要な軟骨基質蛋白質の1つであるII型コラーゲン、軟骨形成に必須の転写因子SOX9、細胞増殖マーカーである増殖細胞核抗原の発現が高い度合いまで進んでいた。同研究グループはこれらの結果について「膝関節内に送達したmRNAに由来するRUNX1蛋白質が関節軟骨内部で治療用転写因子として働くことで、軟骨細胞としての形質の維持や増殖に関わる遺伝子群の発現を調節し、変形性関節症の進行が抑制されたことを示すものです。」と説明している。
2016年01月06日国立感染症研究所は1月5日、2015年12月14~20日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中における1週間当たりの「感染性胃腸炎」の患者が、2015年で最多だったことがわかった。感染性胃腸炎の症状としては、一般的に発熱を伴った下痢や腹痛、おう吐などがある。厚生労働省は、特に冬季は食品などを通じて感染するノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行するとしている。国立感染症研究所によると、全国約3,000カ所の定点医療機関から12月14~20日(第51週)の期間中に報告があった全国の患者数は3万3,709人。第50週に2015年で初めて患者数が3万人を突破(3万2,022人)し、さらに第51週にも増加していた。また、1医療機関あたりの患者数も第50週に初めて10人を超えており、第51週には10.67人まで数値を伸ばしている。ただ、過去5年間の同時期の患者数と比較すると、2015年が最少。過去5年間では2013年が18.07で最多で、2012年が17と続いている。第51週において、都道府県別での患者数が最も多かったのは東京都の3,957人。2位以下は神奈川県(3,139人)、埼玉県(2,016人)、愛知県(1,909人)、大阪府(1,904人)となっており、大都市圏にて患者が増えている傾向がみてとれる。全国的なウイルス感染拡大を受けて、Twitter上には「年明け早々息子のノロウイルス。看病疲れか私も風邪」「ノロウイルスの胃腸炎かかりました」「2年ぶり4回目のノロウイルス」などのコメントが多くみられる(コメントは原文)。※写真と本文は関係ありません
2016年01月05日暮れの忘年会から年明けの新年会までフル活動の胃腸。何となく体がだるい、胃腸の調子があまりよくない……そんな場合は、意識的に胃腸を休めることで体調を整えましょう。胃腸を休めるには、消化しやすいものを食べるほか、胃を空っぽにすることも良いと言われています。消化吸収のために余計な体力を使わずに済み、体の回復力が高まるのがその理由とか。年末年始の暴飲暴食でお疲れモードなときに試したい、胃腸を癒す3つの方法を紹介します。1. 江戸時代からの習慣七草粥1月7日に七草粥を食べる習慣があります。これは、薬効成分の期待できる7種の野菜や野草を食べることで胃腸を整えるだけでなく、消化の良いおかゆにすることで吸収率も高めるという、いわばナチュラルな療法。江戸時代にはすでにこの七草粥の習慣がありました。セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ(かぶ)、スズシロ(大根)。地域によって多少の違いもあったようですが、これらが疲れた胃腸に効くことを昔の人は何となく感じていたのですね。2. 朝スムージーでプチ断食胃腸が消化しやすい食事を取ることも有効です。酵素がたっぷり入ったスムージーは、胃腸に負担をかけずに栄養素を消化吸収できるので、疲れているときにぴったり。とくに、朝ごはんをスムージーにすることで、夕食以降何も入っていない胃を引き続き休めることができ、プチ断食にもなるのでオススメです。3. 週末断食で胃腸をリセット断食は、胃腸にはやさしくても、身体活動を行なううえでは大きな負担になります。仕事のある平日は避けたほうが無難かも。でも、気分的にもスケジュール的にもゆったりしている週末なら、できそうでは?さまざまな方法がありますが、固形物をとらないこと、カフェインやアルコールをとらないこと、水をたっぷり飲むことを意識するだけでも断食になります。手づくりジュースで野菜とフルーツのビタミンやミネラルを補給すれば、お肌にも良さそうですよね!なんとな~く重くダルくなった、お正月明けの体。すっきりとリセットさせましょう。
2016年01月01日イージェイが運営するコールドプレスジュースとスープの専門店「EJ JUICE&SOUP」はこのほど、冬季限定商品を発売した。「EJ JUICE&SOUP」は、忙しい現代人が抱えるカラダの悩みを解決することをテーマにした、コールドプレスジュースとスープの専門店。東京都千代田区の麹町本店と渋谷区の渋谷店の2店舗で展開している。同店では、管理栄養士・野菜ソムリエが監修し機能性にこだわったコールドプレスジュースやスープを提供している。使用する素材は、生産者直送の旬の野菜・果物。熱の発生や空気による酸化を抑えて作ったコールドプレスジュースは、素材が持つ栄養素・酵素を消化器官に負担をかけず、摂取できるという。冬季限定コールドプレスジュースは3種類。1本にイチゴ約10個を使用した「SERUM MILK / セラムミルク」(700円)は、イチゴのビタミンのほか、3種のナッツに含まれるオメガ3など、肌とアンチエイジングによい栄養素が入ったジュース。「ORANGE DIET / オレンジダイエット」(650円)には、大腸内の善玉菌を増やすといった整腸作用があるヤーコンを使用した。抗酸化力のあるにんじんやビタミンCが豊富なりんごやみかんも入っており、風邪予防にも効果的とのこと。「VEGGIE DETOX / ベジーデトックス」(650円)は、抗酸化力の強い食材を用いたジュース。スーパーフード・クレソンのほか、ケールや白菜、春菊など旬の食材も多く使用した。「CHARGE SOUP / チャージスープ」(450円)は、朝食の代わりや昼食時におすすめの冬季限定スープ。野菜の旨味を煮出したベジブロスで、野菜の栄養を効率よく摂取できる。"1日置き換え"ジュースクレンズにも、冬季限定メニューが登場した。ジュースクレンズは、肝臓が活発になる時間や糖分が必要な時間など、消化器官のリズムに合わせて食材を選定。消化器官への負担を抑え、栄養素や酵素を効率よく摂取することでカラダをクレンズ(洗浄)することができるという。「スタンダードクレンズ」(4,200円)は、バランスよくクレンズしたい人や、初めての人に向けたメニュー。タンパク質・脂質も摂取でき、無理せずチャレンジできる飲みやすさとのこと。内容は、MORNINGREEN MILK、RED DIGESTER、VEGGIE DETOX、DAILY NUTRITION1/2、SERUM MILK、SHOJIN DASHIの6種。よりクレンズ効果を高めたい人や、クレンズに慣れている人には「ディープクレンズ」(4,200円)がおすすめとのこと。ナッツ類を除いて野菜類を増やし、糖質・カロリーを抑えている。内容は、MORNINGREEN、RED DIGESTER、VEGGIE DETOX、DAILY NUTRITION1/2、REST SUPPORTER、SHOJIN DASHIの6種。なお、ジュースクレンズには予約が必要。専用ページまたは電話で注文を受け付ける。商品は、クレンズ実施の当日午前中、または前日19時~20時の間、麹町店もしくは渋谷店の店頭で受け取ることができる。※価格はすべて税込
2015年12月25日いよいよ冬本番が近づいてきました。インフルエンザやノロウイルスなど感染症が流行するこのシーズンは、小さなお子さんがいるママは何かと心配がつきませんね。しかも今年は「ノロウイルスの“新型”が大流行する恐れがある」と国立感染症研究所が発表していますから、例年以上に警戒したほうがよさそうです。ウイルス界のフェラーリ!? 新型ノロウイルスが大流行の兆しノロウイルスは、感染性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種です。激しい嘔吐や下痢、発熱などを引き起こし、その感染力の高さから「ウイルス界のフェラーリ」なんて呼ばれることも。小さなお子さんは、脱水など重症化しやすいので、とくに注意が必要です。今年は年明けから、これまで主流だった「G2・4」という遺伝子型ではなく、 「G2・17」変異株という新型ノロウイルスの感染が広がっています。ですから、「1度かかっているから免疫がある」と安心はできません。そもそもノロウイルスは免疫システムがほとんど効かず、再び感染するおそれが高いといわれているのです。※「G2・4」と「G2・17」の2は正式にはローマ数字。ノロウイルスは、かかったお子さんが辛いのはもちろんですが、ケアをするママの負担も大きいですよね。感染力が高いので家族にうつらないかヒヤヒヤしますし、嘔吐で汚れた衣類やシーツの処理もとても大変。できれば、感染せずに乗り切りたいものです。ノロウイルス予防のための3カ条ノロウイルスの感染経路は大きく分けて、「食べ物」と「人」の2つ。そのため、体の内側と外側の両方から対策することが必要です。(1)手洗いは流水で30秒以上ノロウイルスは口から感染するので、予防の基本は「手洗い」です。液体せっけんで、手首から指先まで丁寧にこすり洗いし、30秒以上水道水で洗い流します。ノロウイルスは石鹸だけでは殺せないので、しっかり洗い流すことが大切です。(2)食材の加熱でノロウイルス撃退食材の中心の温度を85度以上に保ち、1分以上加熱するとノロウイルスの活動を止めることができます。またウイルスに汚染されやすいカキやアサリなどの二枚貝は85~90度で90秒以上加熱するのが望ましいとされています。ちなみに嘔吐で汚れたものを片づける際は、エプロンやマスク、手袋で完全防備をして、汚染されたものをビニール袋へ。そのまま捨てるのがベストですが、捨てられないものは熱湯をかけたり、大きい鍋で煮洗いしたりするなど85度以上を1分以上保てばOKです。(3)ノロウイルスの感染を抑える食品を摂る体の中から感染を予防するには、ノロウイルスの感染を抑制する食品を摂るのも効果的です。最近では「ラクトフェリン」が注目を集めています。1年中摂りたい! 注目成分「ラクトフェリン」とはノロウイルスの感染を抑える成分として注目を集めている「ラクトフェリン」。夏には食中毒菌対策としても話題になったので、覚えている方もいるのではないでしょうか。ラクトフェリンとは、母乳に含まれているタンパク質の一種。出産直後の初乳にとくに多く含まれており、赤ちゃんをさまざまな細菌やウイルスから守ってくれます。もともと人間の体内にあるものですから、副作用もなく、とても安全なものです。ラクトフェリンには、ノロウイウルスの体内への侵入を防ぐ効果があります。また、腸内環境を整え、免疫力を高める働きもあります。そのため、万が一ノロウイルスが体内に入っても、ある程度その発症をおさえたり、発症しても症状が軽くすんだりする可能性があると考えられています。また、前述のとおり、食中毒菌にも効果があるとされ、サルモネラなど食中毒菌の増殖を抑える力も確認されています。夏は食中毒対策、冬はノロウイルス対策と一年中大活躍してくれるラクトフェリン。最近ではさらに風邪やインフルエンザなどのウイルスの抑制にも力を発揮するとして、研究が進められています。体を強くし、健康を保つために、年間を通して摂取したい成分なのです。ラクトフェリンはどんな食品に含まれている?ラクトフェリンは母乳だけでなく、加熱殺菌前の牛乳やナチュラルチーズなど非加熱の乳製品にも含まれています。ただ残念ながら、熱に弱いという特性があるため、高温で殺菌される一般的な牛乳やその他の乳製品にはほとんど含まれていません。効率的に摂取できるのは、ラクトフェリンを配合したヨーグルトなどの食品やサプリメントです。なお、ラクトフェリンは一度に大量に摂取するよりも、継続的に摂るのがよいとされています。最近では、5歳未満の保育園児を対象に行った調査で、ラクトフェリンを継続的に摂取したところ、ノロウイルス感染の予防に効果があったことを示す結果も報告されています。毎日賢くラクトフェリンを摂って、ノロウイルスから上手に身を守りたいですね。取材協力:森永乳業
2015年12月16日トレンドマイクロは、Twitter上で話題となった「vvvウイルス」が、日本でも相当数流入しているとして、注意を喚起した。vvvウイルスとは、12月6日頃にTwitter上で「被害に遭った」との情報が拡散されたウイルスの俗称。感染すると、コンピュータ内のファイルの拡張子を「.vvv」に変更、暗号化し、元に戻すことと引き換えに金銭を要求する。同社調査によると、これは暗号化型ランサムウェア「CrypTesla」の新型亜種とみられる。CrypTeslaによる攻撃は、Twitterで話題となったような脆弱性攻撃サイトの閲覧(脆弱性を自動的に攻撃する不正広告も含む)のほか、マルウェアスパムに添付されているJavaScriptファイルの実行でも確認。CrypTesla関連による不正URLのブロック数は12月9日時点で500以上と急増しており、同社は「日本にも相当数流入していることを確認できた」とする。日本への流入が推測されている、CrypTeslaを使ったスパムメールは、タイトル・本文ともに英語。添付のZIPファイル内にあるJavaScriptファイルを実行すると、Web上から実行ファイルを取得する。ダウンロードされる実行ファイルは、CrypTeslaファミリの不正プログラムの場合と、ウイルス対策用の正規ソフト「Avira」インストーラの場合があり、正規サイトがWordPressの脆弱性を突かれて改ざんされ、不正ファイル配布に利用されている様子もあるという。攻撃者から見た場合、メール受信者をランサムウェアに感染させるためには、添付されているZIPファイル内のJavaScriptファイルをダブルクリックさせた上、実行前に表示される警告ダイアログでも「はい」をクリックさせる必要がある。同社は、この流れのどこかでファイルに不信感を持ち、実行を取りやめれば感染を防げるとし、「ダウンロードしたファイルを不用意に実行しないこと」を推奨している。
2015年12月15日マンゴースイーツ専門店「マンゴーチャチャ」はこのほど、冬季限定クリスマス・お正月向けケーキやHOTなマンゴースイーツを販売開始した。○冬季限定クリスマス・お正月向けケーキや、あったかマンゴースイーツを販売日本ではマンゴーは夏にしか食べられないが、高級台湾産アップルマンゴーを使用している同店では、1年中鮮度を維持したおいしいマンゴーを楽しめるという。今回は、冬でもマンゴーを多くの人に味わってもらえるよう、冬季限定販売メニューを用意。パテイシエによる、一つ一つ手作りしたケーキとなっている。「マンゴーとイチゴのクリスマスケーキ」は、しっとりスポンジケーキの間にマンゴーとイチゴをふんだんに挟み、上品な味の生クリームで覆った。原宿店・有楽町イトシア店のみでの販売となる。価格は4,500円。「マンゴークリスマスケーキ」は、マンゴームースとホワイトチョコムースを組み合わせたケーキの上にフルーツ・赤と黒のベリーソースを乗せた。価格は4,500円。「ロールクリスマスケーキ」は、マンゴープリンを真ん中に入れて巻いたロールケーキに、フランス産バローナのチョコレートでコーテイングし、クリスマス風に仕上げた。価格は3,500円。「マロンパウンドケーキ」は、アーモンド風味のバターケーキに日本酒を入れ、国産しぶかわ甘露煮の栗を12個入れたリッチなこの冬限定のパウンドケーキ。お正月・贈り物に最適という。価格は1本4,500円。なお、クリスマスケーキは12月23日までの事前予約で、お得な特典がついている。12月23日までに予約すると、原宿店では紅茶無料サービス、有楽町イトシア店では5%OFFサービスを実施する。また、原宿店では昨年人気だったマンゴー風味のマンゴーフォンデユを開始。このほか、パンケーキや冬限定の温かいメニューもそろえている。さらに、有楽町イトシア店ではマンゴーにちなんだ物販商品も開始した。※価格はすべて税込
2015年12月11日IPAは、コンピュータウイルスや不正プログラムの状況分析から、「今月の呼びかけ」を発表している。今月は、ウイルス感染するマクロが仕込まれたばらまき型メールについて取り上げている。○10月に検知されたばらまき型メールIPAによると、10月8日、27日、30日にウイルス感染させることを目的とした多数のメールが検知された。具体的には、図1のようなメールである。まず、特徴的なことであるが、日本語に不自然な点がまったく見受けられない点である。そして、実在する組織からのメールのように装うことだ。さらに、共通なのは、不正なマクロが仕掛けられたWordの文書ファイルが添付されていた。上述の3日間にIPAなどで確認されたばらまき型メールは、以下の通りである。マクロであるが、実行されると別のウイルスをインターネットからダウンロードし、感染させるという活動を行う。これらのマクロは、ばらまき型メール用に作成されたものらしく、セキュリティ対策ソフトでは検知されなかった。同様の手口であるが、標的型攻撃などでも使われることがある。標的型攻撃と異なるのは、特定の攻撃対象にメールが送られるのに対し、今回は不特定多数に送られた点である。関連性などについては、不明とのことである。なお、IPAによれば、日本語ではなく英文であるが、添付ファイルがExcelのばらまき型メールも確認されたとのことである。Wordファイル同様、ウイルスをダウンロードするマクロが仕込まれていた。それ以外にも、PDFファイルに偽装した実行形式のファイル(アイコンをPDFに偽装し、実体はexeファイル)がアーカイブされたzipファイルが添付されたばらまき型メールもあったとのことだ。○ばらまき型メールへの対策IPAによれば、1通だけでなく、2~3通のばらまき型メールを受信した事例もあるとのことだ。11月以降、ばらまき型メールの確認は行われていないが、今後も同じようなばらまき型メールが送信される可能性もある。IPAでは、以下の対策を紹介している。マクロが自動で有効になるような設定は行わない安全性が確認できないファイルはマクロを有効にするための[コンテンツの有効化]を絶対にクリックしないまた、組織内での感染を防ぐために、以下の対策が有効となる。ウイルス感染の影響がない環境(万が一、ウイルスに感染しても組織運営への支障を最小限に留められる端末など)で添付ファイルを開く必要に応じて、添付ファイル(メール)の送信者に対して送信有無を確認するそして、添付ファイルを開き、マクロを実行してしまった場合への対処であるが、以下の手順を推奨する。当該端末をネットワークから切り離す(LANケーブル外す、無線LAN機能の無効化)セキュリティ対策ソフトでウイルススキャン(できれば完全スキャン)を実施する必要に応じて、スキャン結果や開いてしまったファイルの情報、セキュリティ対策ソフトの定義ファイルの情報などをまとめ、セキュリティベンダに相談する通信ログを確認(監視)するウイルス感染が確認できた場合は、当該端末の初期化または保全を検討する最後の初期化であるが、ウイルス対策ソフトなどでウイルスの検知・駆除が行われたとしても、未知のウイルスが残る可能性もある。そこで、初期化を行うのである。また、今後の解析などのために、端末を保全することも意味がある。○情報提供受付専用メールアドレスの新設IPAでは、これまで相談窓口として、情報セキュリティ安心相談窓口を開設していた。こちらは、今後も変わることない。被害や対策などについて相談が可能である。しかし、新たな手口による攻撃に備え、その兆候を察知することを目的とした情報受付専用メールアドレスを新設した。teikyo@virus.ipa.go.jp受付専用なので、相談などはできない点には注意してほしい。一方、不審を感じた事例などがあれば、積極的に情報提供を行ってほしい。
2015年12月03日国立感染症研究所は12月1日、11月16~22日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査の結果から、同期間中における1週間あたりの「RSウイルス感染症」の患者が、2015年で最多だったことがわかった。RSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。ウイルスの典型的な潜伏期間は4~6日とされている。風邪のように発熱や鼻水などの症状が出るが、重度の場合だと肺炎や気管支炎になるケースもある。同研究所は、生後1歳までに半数以上の子どもが感染するとしており、同2歳までにはほぼ100%の子どもがRSウイルスに初感染するという。ただ、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高まるとされている。全国約3,000カ所の定点医療機関から11月16~22日(第47週)の期間中に報告があった全国の患者数は6,687人。第43週に1週間あたりの患者数が4,000人を超え、第47週に2015年になって初めて6,000人を突破した。直近5年間の同時期の患者数と比較しても、2015年が最も多い。2番目に同時期の患者数が多かったのが2014年で、その数は5,151人。最少だった2011年は2,389人となっているから、いかに今年の患者数が多いかがわかる。第47週において、都道府県別での患者数が最も多かったのは大阪府の580人。2位以下は北海道(499人)、愛知県(354人)、東京都(335人)、埼玉県(291人)と続く。第46週の患者数も大阪府、北海道、東京都、愛知県、埼玉県の順に多かったため、この5地域において患者が増加傾向にあることがうかがえる。また、ノロウイルス由来の患者が冬場に多くなる「感染性胃腸炎」も患者数が増加している。第47週における、1医療機関からの感染性胃腸炎患者の報告数は「7.18人」。第43週には4.33人だっただけに、1カ月間で約1.66倍にはねあがっている。※写真と本文は関係ありません
2015年12月02日ジャストシステムはこのほど、「胃腸薬に関するアンケート」の結果を発表した。調査は11月17~20日にインターネット上で行われ、20歳以上の男女555名から回答を得た。はじめに、胃腸薬の服薬経験がある人に「名前から最も効きそうな胃腸薬」を尋ねた結果、「ガスター10」(25.6%)という回答が最も多かった。また、「名前が最も覚えやすい胃腸薬」としては「キャベジン」(25.6%)、「最も親しみやすい名前の胃腸薬」には「太田胃散」(25.0%)があがった。次に、直近1年間で飲んだ薬のうち、「最も頼りにしている胃腸薬」について調査した。結果は、40代と50代では「大正漢方胃腸薬」が1位となった。また、20代、40代、60歳以上では「太田胃散」が最も多く、同社は「幅広い世代から頼りにされているようです」とコメントしている(40代では「太田胃散」と「大正漢方胃腸薬」が同率1位)。さらに市販の胃腸薬を購入する際、男女共に「以前飲んだことがあって、効いたもの」を重視して選ぶ人が最も多いこともわかった。男性の2位は「漢方や生薬など、体にやさしいイメージがあるもの」(30.0%)、女性の2位は「効きそうな成分が入っているもの」(42.0%)となっている。
2015年12月01日国立感染症研究所は11月24日、11月9~15日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、ノロウイルス感染由来とみられる感染性胃腸炎およびRSウイルス感染症の患者が全国的に増加していることが明らかになった。食品などを通じて感染するノロウイルスによって引き起こされる症状は、おう吐や下痢、腹痛などがある。ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は通年で発生しているが、特に冬季に流行する傾向がある。同研究所によると、全国約3,000カ所の定点医療機関から11月9~15日(第46週)の期間中に報告があった感染性胃腸炎の患者数は2万1,696人。第42週(10月12~18日)は1万393人だったため、約1カ月の間に1週間あたりの患者数が約2.1倍に増加していることになる。第46週において、都道府県別での感染者が最も多かったのは東京都(1,871人)だった。以下、大阪府(1,680人)、福岡県(1,561人)、神奈川県(1,323人)、兵庫県(1,235人)と続き、前週と同じ地域が上位5つに入っている。一方のRSウイルス感染症は、RSウイルスによって引き起こされる呼吸器の感染症。風邪のように発熱や鼻水などを伴う症状が出るが、重度の場合は肺炎や気管支炎になるケースもある。同研究所は、生後数週間~数カ月間程度の乳児が初めて感染した場合は、重篤な症状が出る可能性が高いとしている。同じく、全国約3,000カ所の定点医療機関から11月9~15日(第46週)の期間中に報告があった全国の感染者数は5,465人。第42週(10月12~18日)は3,861人だったため、1カ月間で1週間あたりの患者数は約1.4倍になっている。第46週に都道府県別での感染者が最も多かったのは、536人を記録した大阪府。以下、北海道(423人)、東京都(310人)、愛知県(258人)、埼玉県(250人)となっており、東京都はどちらも患者が多く報告されている。周囲でも感染者が増加していることを受けてか、Twitter上では「ノロウイルスは防げねえがな…」「ノロウイルスほんまにこわいよ~」「RSウイルスがこわい」などの不安な気持ちをつづったコメントが多数見られている(コメントは原文)。※写真と本文は関係ありません
2015年11月24日「AKB48」の“ぱるる”こと島崎遥香の主演映画『劇場霊』が11月25日(土)に公開。島崎さんは、急性胃腸炎による高熱と嘔吐の症状から舞台挨拶出席が危ぶまれたが、本人の強い希望で登壇し、主演として映画をアピールした。『リング』『女優霊』の中田秀夫監督の最新ホラーとなる本作。島崎さん、中田監督に加え、共演の足立梨花、高田里穂、町田啓太、小市慢太郎も登壇した。島崎さんは急性胃腸炎による高熱と嘔吐で、前日より病院で療養しており、この日、予定されていた舞台挨拶のうち、2か所を欠席することになった。新宿ピカデリーでの舞台挨拶では、島崎さんの負担を減らすために内容を少し変更して行われたが、島崎さんは時折、笑顔を浮かべつつ「主演ということで気合いが入ってます!ぜひ楽しんでください」と上映前の観客に呼びかけた。撮影中のエピソードを尋ねられると「中田監督はいつもタオルを頭に巻いてるんですが、それが靴の色と一緒だったのは合わせてたんですか?」と監督に質問。監督は照れくさそうに「ちょっと色気を出しました。撮影が盛りだくさんの時は黄色、ヤバい時は赤だとどギツイのでピンク、楽な時は青とか緑にしてました」と明かした。映画の中では女優たちの裏での戦い、足の引っ張り合いが見られるが、足立さんは「裏では仲良しで普通にお話してました」と語り「“胸が育つブラジャー”が話題になってました(笑)。私が一番必要なんですが(苦笑)、結局、買いに行ってなくて、メイクさんとスタイリストさんが(買いに)行ったらしいです。女子トークすごいですよ(笑)」と裏話を明かした。なお、本作はロシア、ブルネイ、シンガポールなど11か国での公開も決定。中田監督は「Jホラーの地平を広げ、拡大していければという思いで新しい試みをしてます!」と作品への自信をのぞかせた。『劇場霊』は公開中。(text:cinemacafe.net)■関連作品:劇場霊 2015年11月21日より全国にて公開(C) 2015『劇場霊』製作委員会
2015年11月21日「教えて!『かくれ脱水』委員会」はこのほど、ノロウイルスとインフルエンザに関するセミナーを東京都内で開催。感染症の有識者が登壇し、2015-2016シーズンの傾向や感染した際の対処法などについて講演した。○医療機関あたりの患者数はノロの方が多い首都大学東京の矢野一好客員教授は「ノロウイルス感染症とインフルエンザに関する今シーズンの特徴」との題で講演した。ノロウイルスは冬季の感染性胃腸炎や食中毒の原因となるウイルスで、感染すると下痢やおう吐、吐き気などの症状を引き起こす。冬に流行するウイルスといえばインフルエンザを真っ先に思い浮かべる人も少なくないだろうが、ノロウイルスの感染力も相当な驚異だ。矢野客員教授はその証拠として、全国に数千カ所ある定点医療機関からの患者報告数を挙げる。2000年から2011年までの12年間においては、1つの医療機関から感染性胃腸炎の患者が年間平均で321.17人報告された。一方で、インフルエンザの患者は255.52人と、感染性胃腸炎の約8割にとどまっている。○今冬は「新型ノロウイルス」が流行か多くの患者をうみだすノロウイルスだが、今シーズンはウイルスの遺伝子型がこれまでと微妙に異なる「新型ノロウイルス」が流行しそうだと矢野客員教授は懸念している。「2006年、2012年、昨年に主に流行していた遺伝子型は『GII.4』です。今年は今まで流行していなかったウイルスの『GII.17』が、少し変異して流行しそうということで注意喚起をしているところです」。「新型ノロウイルス」の症状や感染経路は従来と変わりはない。ただ、これまで日本で流行したことがない遺伝子型がやや変異しているため、私たちの体に免疫がなく、今冬に一気に感染が広まる恐れがある。例年以上に予防や感染防止対策に努めたほうがよいだろう。矢野客員教授はインフルエンザに関しても言及。今年は11月初旬の時点において、AH3亜型やB型など複数のウイルスが検出されており、どれが流行するか予測しづらいという。ただ、検出されているすべてのウイルスは今年のワクチン株に含まれているとのことなので、予防接種の効果は見込めそうだ。○ウイルスに感染した際は脱水に注意だが、どれだけ予防をしていたとしても、ノロとインフルエンザという2つの強力なウイルスから体を100%守りきることは不可能だ。そのため、有事に備えて発病してしまった際のケア方法について、済生会横浜市東部病院 小児肝臓消化器科の十河剛医師が解説してくれた。十河医師はウイルスに感染した際、「自分の免疫で体からウイルスを排除するまでの期間をどのように過ごすかが重要」としたうえで、特に大事な取り組みとして「脱水予防」を挙げた。脱水は、体に入ってくる水分より出て行く水分が多くなるために起きる。ノロウイルスやロタウイルスなどの消化管感染症は下痢やおう吐、食事摂取量低下などが、インフルエンザやRSウイルスなどの気道感染症では、食事摂取量低下や発汗などが脱水の主な原因となる。○経口補水療法の効果特に感染性胃腸炎に由来する下痢・おう吐では、体内の水分と共にナトリウムやカリウムなどといった電解質も失われてしまう。電解質は筋肉細胞や神経細胞の働きなどに関わっているため、これらの症状に悩まされた際は水分と一緒に電解質も摂取することが重要だ。市販されているスポーツドリンクにもナトリウムやカリウムが含まれているが、含有量が十分ではない。そこで、十河医師は手軽に失われた電解質を補うためには、電解質と糖質の配合バランスが考慮されている「経口補水液」が有効だと話す。実際、患者に経口補水液を摂取させる「経口補水療法」は、点滴と同等の効果が得られるそうで、「ほとんどの人が経口補水療法だけで大丈夫だと示唆するデータも出ています」。経口補水療法で重要なのは「1回5ccを、1~5分ごとに飲ませる」ことだ。5ccはティースプーン1杯分に相当し、「おう吐があっても少しずつ飲ませましょう」と十河医師は力を込める。感染性胃腸炎のおう吐のピークは半日から1日程度のため、吐き気が止まれば少しずつ一度に飲ませる量を増やしていくとよい。○水分と一緒に電解質の補給をノロウイルスもインフルエンザウイルスも、感染拡大を防ぐためには「手洗い」や「マスク」が基本となるのは共通している。そして、原因は違えど脱水症状につながる恐れがある点も共通している。今冬はできる限りの予防をしたうえで万一、感染してしまった場合は水分と一緒に電解質もしっかりと補給するようにしよう。
2015年11月21日アッヴィ合同会社はこのほど、「RSウイルス感染症と保育施設利用に関する意識調査」を実施し、その結果を発表した。同調査は、2歳以下の子どもを保育施設に預けている両親(母親515名、父親515名)を対象とし、7月にマクロミル・ネットモニターを利用したオンライン調査によって実施された。まず、RSウイルス感染症を知っているのかを調べたところ、保育施設に子どもを預ける両親のうち、「RSウイルス感染症がどのような病気か知っている」と答えた両親は33.2%、「名前は聞いたことがある」と答えた両親は43.1%、「知らない」と答えた両親は23.7%を占めた。RSウイルス感染症をどのような病気か詳しく知らない両親が66.8%を占めることが明らかになった。次に、RSウイルス感染症の重症化のリスクを知っているのかを質問。「生後6カ月の乳児が感染すると重症化し、入院治療が必要になることがあることを知っていた」人は全体の21.5%、「重症化すると脳症や死に至る可能性があることを知っていた」人は全体の17.3%、「重症化すると将来的にぜんそくや喘鳴(ぜんめい)の症状が出る可能性をあることを知っていた人」は全体の16.7%であった。この1年間で、年長の子どもが病気の疑いがあっても保育施設を利用した経験があるのかをたずねると、「ある」と答えた両親は全体の56.9%であった。さらに、子どもがどのような体調のときに保育施設を利用したことがあるのかをきくと、「鼻水が出ている時」が70.6%、「微熱がある時」が63.5%、「咳(せき)をしている時」が52.2%となっている。子どもが病気の疑いがあるにも関わらず保育施設に預ける背景を調べたところ、78.7%の両親が、子どもが保育施設を休む場合やお迎えに行く場合に「母親が仕事を休んだ」と回答しているが、「子どもの病気やケガのためとはいえ仕事を休みづらい」と感じている両親は78.7%いることが分かった。さらに、子どもの病気やケガの際に早退・遅刻しやすくなったりするためには、職場の上司や同僚の理解が必要であると答えた人は約8割(75.1%)、配偶者のサポートを求める母親は5割以上(52.1%)となっている。同調査の監修を務めた、東京都保険医療公社 多摩北部医療センター 小児科の小保内俊雅部長は、「RSウイルス感染症は、生後6カ月以内の乳児や早産児、慢性肺疾患、先天性心疾患などの基礎疾患をもっている乳幼児が感染すると症状が重症化しやすく、肺炎や細気管支炎や無呼吸を引き起こし、死に至る場合もあります。また、重症化すると将来的に喘息等の原因となることが知られています」とコメント。そして、「初期症状が出ているにも関わらず保育施設を利用することは、子どもの容態を悪化させるのみでなく、保育施設における感染の拡大につながります」としながら、予防法について次のように述べている。「重症化や感染拡大を防ぐためには、職場環境や家庭内での両親の育児の配分など、子どもの病気の際に両親が仕事を休みやすい環境が整えられることが必要です。また、RSウイルス感染症には予防ワクチンや治療薬がないため、両親や保育施設の職員など周囲の大人が、手洗いなどの基本対策でかからないように予防することが最も重要です」。
2015年11月20日おう吐や下痢などの症状に悩まされるノロウイルス。自分が苦しいのはもちろんだが、恐ろしいのが「もしかしたら……感染させてしまったのではないか」と思う瞬間だ。周囲にも自分と同じつらさを経験させてしまった罪悪感は、計り知れないものがあるのではないだろうか。今回はノロウイルスの感染経験があるマイナビニュース会員300人に、「ノロウイルスを周囲に感染させた、もしくは感染させてしまったのではないかと思ったことがあるか」尋ねた。Q.ノロウイルスを周囲に感染させた、もしくは感染させてしまったのではないかと思ったことがありますか?はい: 11.3%いいえ: 88.7%Q.「はい」と回答した人にお聞きします。そのときの状況を具体的に教えてください■看病してくれた人が感染・「看病してくれていた奥さんの具合が悪くなったとき」(33歳男性/電機/技術職)・「子どもの看病にお手伝いに来てもらった私の母にもうつり、母から父にもうつり、大変だったらしい」(38歳女性/情報・IT/事務系専門職)・「看病に来た母親と彼氏にうつった」(27歳女性/その他/その他)■友人や職場の人に感染・「旅館の宴会の時に感染したっぽい」(30歳男性/学校・教育関連/専門職)・「親友と前日もいっしょにいて、翌日いっしょにノロにかかったとき」(24歳女性/商社・卸/事務系専門職)■家族が感染・「家族の前でマスクを外している時に大きなくしゃみをしてしまった」(26歳男性/農林水産/技術職)・「最初は普通の腹痛だと思い、家族のお弁当や食事を作っていて、家族にうつった」(33歳女性/建設・土木/事務系専門職)・「家族でタオルなどを共有していたので」(30歳女性/人材派遣・人材紹介/秘書・アシスタント職)■その他・「ブラック企業勤務だった当時にノロウイルスに感染し症状もあったが出社した。結局帰宅中に倒れて病院に担ぎ込まれたがブラック企業ゆえ会社を休むと叱責(しっせき)されるため、そのまま会社をトンズラした。トンズラしたので後のことはどうなったか分からない」(31歳男性/機械・精密機器/事務系専門職)Q.「いいえ」と回答した人にお聞きします。感染を防げたと思う理由について具体的に教えてください■消毒を徹底・「トイレの消毒を徹底した」(36歳女性/医療・福祉/専門職)・「つらい中、家族に感染させたくなったので、トイレ使用後自分で除菌作業しました」(50歳以上女性/その他/その他)・「母が私の行くところへアルコールを持ってついてきていたからだと思う」(24歳女性/生保・損保/事務系専門職)■隔離された・「部屋に隔離されていたから」(32歳女性/金融・証券/事務系専門職)・「自分だけ別の部屋でひたすらこもっていたから」(38歳女性/生保・損保/事務系専門職)■その他・「トイレが2カ所あったので片方だけをつかった」(47歳女性/医療・福祉/専門職)・「理由はわからない。特に対策はしていなかった。運が良かっただけかもしれない」(24歳女性/食品・飲料/専門職)・「子ども→主人→自分と、自分(の感染)が最後だった」(32歳女性/自動車関連/事務系専門職)・「空気清浄機をつかっていたから」(29歳男性/建設・土木/事務系専門職)■総評結果としては、「感染させてしまった(感染させたかもしれない)」と回答した人は約1割にとどまった。症状が発症する前に気づかず感染させてしまったケースや、看病してくれた人や家族など、身近な人への感染が防げなかったケースが主だった。およそ9割の人が感染の拡大を防げたのはなぜだろうか。理由としては「徹底して消毒を行った」という対策をとっていた人が多かったことがあるだろう。「徹底的に効果があると書いてあったアルコール剤で除菌していたから(母が)」(26歳男性/マスコミ・広告/営業職)など周囲が気をつけていたり、自らトイレを消毒したりしていたという回答もあった厚生労働省はノロウイルスの感染について、「ふん便や吐ぶつからの二次感染、ヒトからヒトへの直接感染、飛まつ感染を予防する必要があります」と指摘。「吐ぶつやふん便は乾燥しないうちに速やかに処理し、十分に換気を行う」「感染者が使用した食器は次亜塩素酸ナトリウム液で消毒する」などの対策が必要としている。自らの感染を防ぐことももちろんだが、症状の苦しみを周囲の人に広げないためにも、感染してしまった場合には対策の徹底をお願いしたい。※写真と本文は関係ありません調査時期: 2015年11月6日~11月13日調査対象: マイナビニュース会員調査数: 男性122名 女性178名 合計300名調査方法: インターネットログイン式アンケート
2015年11月20日国立感染症研究所は11月17日、11月2~8日の期間中の感染症発生動向調査を公開した。同調査により、ノロウイルス感染由来とみられる感染性胃腸炎の全国患者が、直近1カ月で1.8倍に増加していることが明らかになった。食品などを介して感染するノロウイルスはおう吐や下痢、腹痛などの症状を引き起こす。ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は通年で発生しているが、特に冬季に流行する傾向がある。厚生労働省によると、ウイルスの潜伏期間は24~48時間で、吐き気や下痢などの症状が1~2日続いた後、症状は回復に向かうという。ただ、症状が治まってからも長いときで4週間程度、ウイルスは体内から排出され続けるため、二次感染に注意が必要となる。国立感染症研究所によると、全国約3,000カ所の定点医療機関から11月2~8日(第45週)の期間中に報告があった感染性胃腸炎の患者数は1万8,010人。第42週(10月12~18日)は1万393人だったが、そこから1万3,628人(第43週)、1万5,919人(第44週)と患者は増加の一途をたどっている。第41週(10月05~10月11日: 1万224人)から第45週の約1カ月の間で、1週間あたりの患者数は約1.8倍となっている。第45週において、都道府県別での感染者が最も多かったのは東京都(1,394人)だった。以下、大阪府(1,350人)、福岡県(1,215人)、神奈川県(988人)、兵庫県(953人)と続き、大都市圏での感染者が増えている。東京都だけに限ってみると第41週の患者は911人で、約1カ月の間に1週間あたりの患者数が約1.5倍へと増えている。ノロウイルスに効果のある抗ウイルス剤はなく、治療は対症療法に限られるため、予防が肝心となる。予防に関しては手洗いや食品の加熱調理が有効とされており、厚労省は「子どもやお年寄りなどの抵抗力の弱い方は、加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱することが重要」と注意を呼びかけている。※写真と本文は関係ありません
2015年11月17日