アルファタウリは、先日開催された第102回目を迎えたピッティ・ウオモで2023年春夏コレクションを発表しました。今後さらに世界展開を加速させていきます。アルファタウリ ピッティーウオモ ブース■新たに拡充されたコレクションと世界展開の強化自在にその姿を変えるブランド体験スペース「モバイル・イノベーション・ラボ」とその周辺のラウンジエリアで構成される100m2超の空間を駆使し、いつものように機能的ディテールとイノベーションをフィーチャーした2023年春夏新作コレクションをお披露目。数多くの革新性に彩られた上品なコレクションがフィレンツェを訪れる入場者を迎えました。2022年秋冬と比べておよそ2倍の規模を誇る新作コレクションにより、スタイル、コンビネーションの可能性、そしてシーズンをまたいだ着こなしをより多く提案。ニット作品の数も20%増え、3Dニットのコレクションもこれまでとは異なる品質のものを取り揃えました。パフォーマンスヤーンも従来のベーシックなものに加えて、キャッシュミックス、プリマロフト、テンセル混紡などを用意。アクセサリーには今回初めてアップルレザーを使用。「サフィアーノ構造」の再生素材を利用したアップルレザーは動物由来のレザーに代わるヴィーガン志向のアイテムです。2023年春夏コレクションは2回のデリバリーで提供します。アルファタウリ ピッティーウオモ会場内ディスプレー1アルファタウリCEO アーメット・メルカンは次のように述べています。「これまで順調にコレクションを発表し続け、好意的な反応も数多く受け取ってきました。革新的なアウターウエアや3Dニットにおけるブランドの強みが確認できたので、これらをトータルルックとして提案しています。国内外のビジネスパートナーの間でも好評を博しており、実に喜ばしい限りです」ドイツ語圏に加え、2022年秋冬コレクション以降はその他多くの欧州諸国でも事業を展開しています。2023年春夏コレクションから新たに追加された市場は統合され、欧州内外のネットワークも拡充。2022年後半には、ロンドンでブランド初となる旗艦店もナイツブリッジ地区にオープンします。自社サイト alphatauri.com や主要なパートナーの販路などを通じたオンライン事業にも注力しています。アルファタウリ ピッティーウオモ会場内ディスプレー2アルファタウリ ピッティーウオモ会場内ディスプレー3■アルファタウリ2023年春夏コレクションについて「プライベートアイランド」。アルファタウリ2023年春夏コレクションは、ささやかで無邪気な現実逃避を味わいたい方をプライベートアイランド(=個人所有の島)の旅へと誘います。今シーズンならではの特色は日差しをたっぷりと浴びたような鮮やかなカラーパレットで表現。フラミンゴピンク、スカイダイバーブルー、マンゴー、フリントビーチにアルファタウリネイビーが加わり、夏の逃避体験を幸福感へと昇華させます。コレクション全体にトロピカルプリントを配し、サンゴの形やモチーフからインスピレーションを得た自然のディテールを強調。アルファタウリならではの3Dニット技術で作られたニット作品と特製パフォーマンスヤーンが、オーガニックなタッチをもたらし、ストラクチャードのシルエットとクリーンカットなラインが超モダンな印象を加味。アウターウエアとミッドレイヤーには通気性に優れた3層のメンブレンであるタウロブラン(R)を使い、革新的な機能性と防水性を確保しています。2023春夏コレクション メンズ2023春夏コレクション ウィメンズ■ドイツテレコムとミラノデザインウィーク2022でインスタレーションを発表:またアルファタウリはPITTI UOMO開催前の6月7日から13日に初めてミラノデザインウィークに参加しました。コラボレーションパートナーのドイツテレコムと共同で制作した没入型の「クロノサチュレーション」のインスタレーションを、ミラノ大学の「コルティーレドノーレ(名誉の中庭)」で開催されるインテルニの「デザイン・リジェネレーション」の一部として発表。両社の共同開発によって生まれた、温めて着られるスマートなファッションアイテムを集めたヒータブルカプセルコレクション(HCC)からインスピレーションを得たものです。クロノサチュレーションはウォークイン方式のインスタレーション。赤と青の2色に彩られた小部屋で構成され、単色のみで彩られた環境で入場者が没入感を体験するという趣向です。多彩な色を同時に眺めることに慣れた網膜にとっては、極めて稀な体験となるでしょう。様々な関連性を想起させることも意図しており、例えば色彩に実体や立体感のような要素を付加したり、温かみや冷たさといった物理的な感触を演出したりもできます。テーマの背景を成すのは、アルファタウリとドイツテレコムによって共同開発されたヒータブルカプセルコレクション。このスマートなファッションアイテムは、温めて着ることができるメンズとウィメンズのトレンチコートやユニセックスなコミュータージャケットなどで構成されています。ヒータブルカプセルコレクション2.0(HCC 2.0)の製品は、特定の部分がプッシュボタンやスマホアプリで温めたり温度を調節できるようになっており、最新バージョンはアップルウォッチにも対応。ファッションとイノベーションの融合により、どれだけスタイリッシュかつコンテンポラリーな作品を生み出すことができるかを実証した仕上がりとなっています。アルファタウリ ミラノサローネ インスタレーション会場内観1アルファタウリ ミラノサローネ インスタレーション会場内観2アルファタウリ ミラノサローネ インスタレーション会場外観アルファタウリ ミラノサローネ インスタレーション会場内ディスプレーアルファタウリ ヒータブルカプセルコレクション1アルファタウリ ヒータブルカプセルコレクション2■アルファタウリ(AlphaTauri)についてアルファタウリはレッドブルが手掛けるプレミアムファッションブランドで、2016年の誕生以来、ファッション業界に新たな方向性を確立するための模索を継続。デザインや最高級素材にテキスタイルのイノベーションを組み合わせて提供しています。最新技術の開発に際しては、世界中の著名なエキスパートたちとのコラボレーションを実践。アルファタウリのコレクションはオーストリアのザルツブルク、グラーツ、ウィーンの直営ストアに加え、ドイツ、オーストリア、スイス、イタリア、トルコ、カタールの厳選された販売店やウェブサイト( alphatauri.com: )でも購入できます。@alphatauri #fitsbodyandmindInstagram: 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年06月27日ジバンシィ(GIVENCHY)は、イタリア・フィレンツェで開催されている第96回ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO96)で6月12日、2020年春夏メンズコレクションショーを開催した。ランウェイでは、オニツカタイガー(Onitsuka Tiger)とのコラボレーションシューズも発表された。
2019年06月13日6月11日から15日まで2020年春夏のメンズ総合展示会として伊フィレンツェで開催される第96回ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO)の概要が発表された。スペシャルゲストデザイナーにはジバンシィ(GIVANCHY)、エムエスジーエム(MSGM)、アメリカ人アーティストのスターリング・ルビー(Starilng Ruby)の新ブランド、マルコ・ディ・ヴィンチェンツォ(Marco De Vincenzo)を招待し、2020年春夏コレクションショーを行う。また、上海ファッションウィークとコラボし、ゲストネーションとして中国の若手ブランド、写真家などを紹介するイベントを実施。さらにピッティ期間中を含め9月29日まで3ヶ月半にわたり、ピッティ宮殿において、ピッティ・ウオモの30年のアーカイブを小説として捉える展覧会をオリヴィエ・サイヤール(Olivier Saillard)の監修で行われる。オリヴィエ・サイヤール監修「ロマンゾ・ブレーべ・デ ィ・モーダ・マスキーレ(メンズファッションの短編小説)」展Museo della Moda e del Costume di Palazzo Pitti 10.06.2019 | Photo Credits: Vivienne Westwood - SS 1991同イベント2日目の6月12日に行われるジバンシィは、2017年10月に発表されたコレクションから同メゾンのデザイナー兼アートディレクターを務めているクレア・ワイト・ケラー(Clare Waight Keller)による初のメンズコレクションのランウェイとなる。同日には2016年にウィメンズのコレクションをピッティ・ウオモで発表したマルコ・ディ・ヴィンチェンツォの初のメンズコレクションが発表される。ヴィチェンツォは現在、フェンディのレザーグッズのクリエイティブヘッドを務め、LVMHとのパートナーシップを結び、グローバルなビジネスに発展している。クレア・ワイト・ ケラーPortrait image by Steven Meiselマルコ・ディ・ヴィンチェンツォ3日目の13日にショーを行うMSGMは今年ブランド創設10周年を迎え、6年前の2013年に同イベントの新人デザイナー育成プログラムでもあるピッティ・イタリックすでショーを発表しており、その後ブランドをグローバルに発展させたローマ出身のデザイナー、マッシモ・ジョルジェッティ(Massimo Georgetti)の凱旋イベントとも言える企画。マッシモ・ジョルジェッティ同13日にはLAを拠点に活動するコンテンポラリー・アーティストのスターリング・ルビーが自身初のブランドとなる「S.R.STUDIO.LA,CA」を発表する。ラフ シモンズとの交流からカルバン クラインのNYの旗艦店、ショールームなどの内装を手掛けたことでファッション業界でも知られる彼は絵画、ブロンズ、陶器などの立体、インスタレーションなどメディアを横断した作品で、NYの近代美術館、グッゲンハイム、ロンドンのテートギャラリー、パリのポンピドーセンター、ストックホルムの近代美術館などに展示されている。スターリング・ルビー今回ゲストネーションとして招聘された中国は、メイン会場のフォルテッツァ・ダ・バッソ内でコレクションが発表される。上海ファッションウィーク主催によるこのプロジェクトは新人デザイナーのインキュベーターでもありリテーラーのLabelhoodがキュレーションを行い、ロンドンファッションウィークでショーを発表しているプロナウンス(PRONOUNCE)、LVMHスカラシップのグランプリを受賞しているデザイナー、Gong Liのブランド「8ON8」など計11ブランドが参加。ピッティ・ウオモ史上初となる中国ブランドのキャットウォークショーが予定されている。PRONOUNCEPh. Al de Perez「GUEST NATION CHINA」Photo by Leslie ZhangText by Tatsuya Noda
2019年04月16日ロンドン、ミラノと続くメンズファッションウィークの間。1月8日から11日までフィレンツェで開催されたピッティ・ウオモ95(PITTI IMMAGINE UOMO95)のファッション・スナップをお届けする。初日こそ厳しい冷え込みになったものの、2日目以降晴天に恵まれ、世界中からファッショニスタが会場のフォルテッツァ・ダ・バッソに集まった。クラシコ、ストリート、モード、コスプレと来場者のスタイルはシーズンを追うごとに多様化しており、各ブースは機能性アイテムの訴求が目立ったものの、来場者の着こなしはクラシコをベースにカラー、柄によるストリート・ミックスの傾向が主流。スニーカーブームも一段落し、ドレスシューズの復活と女性の来場者の増加が目立った。Text by Tatsuya NodaPhoto © birds-nest
2019年02月01日2019-20年秋冬メンズファッションの総合展示会、第95回ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO95)が1月8日から4日間の日程で、イタリア・フィレンツェで開催された。昨年7月に開通したトラムが会場のフォルテッツア・ダ・バッソ前にも通り、トラフィックが改善されこれまでとは違うエントランスの風景。世界各国から高級メンズブランドを中心に約1,230ブランド(内イタリア以外からが542ブランド)が出展する世界最大のメンズファッションの展示会に、期間中2万3,800人のバイヤー、約2,700人のメディア関係者が来場した。© birds-nest今回のテーマは「ピッティ・ボックス(Pitti Box)」。センターパビリオン前の広場には、常時業界のインフルエンサーやメディアピープルのトークショーが行われているトーキングボックスを設置。ストリーミング配信を行い、さまざまな“箱”の中と外が形成する新しい世界をコンセプトに会場設計が行われた。これまでのポップなテーマから一転し、テキストと会話が会場構成の中心となったため、センター広場付近は従来のお祭り気分から、カンファレンス的な転換期を迎えているイメージを受ける。© birds-nestこの数年同展を賑わしてきたファッションスナップの被写体目的のコスプレイヤーたちの来場もピークは過ぎ、総合展示会という目的の原点へと戻りつつある気配は、出展各社のブースにも顕著だ。その背景にはイタリア国内の景気悪化によるイタリア国内バイヤー数の減少(今回の来場者数は前回比8%減)をはじめ、メンズの大型チェーンの世界的な消費の伸び悩みという「危機的状況や悪い時期が過ぎるのを待つのではなく、最高の成果を上げるために行動を起こすことにした」(ラファエロ・ナポレオーネ ピッティ・イマージネ・ウオモCEO)という運営サイドからの姿勢があるようだ。次:加速するサスティナビリティ化&ハイテク加工化----加速するサスティナビリティ化&ハイテク加工化今シーズン全体的に目立ったのは、ダウンやウールなどの自然素材のサスティナビリティ化とハイテク加工化。それとハンティングやスキーなどウィンタースポーツに密接な専業ファクトリーメーカーブランドの好調さだ。© birds-nest前回から引き続きプレス関係者ゲートのエントランスの特別ブースでアイスショーのインスタレーション展示や、ビームス(BEAMS)とのコラボラインの展示を行ったウールリッチ(WOOLRICH)や、今回ブランド誕生125 周年を迎えたバブアー(Barbour)も定位置のブースで過去のアーカイブの復刻モデルや話題性あふれるコンテンツを展開。前シーズンに発表され話題を集めているエンジニアド ガーメンツ(ENGINEERED GARMENTS)の鈴木大器とのコラボの第2弾、映画監督リドリー・スコット(Ridley Scott)とのコラボのディレクタージャケットなどが発表された。© birds-nest© birds-nestさらに売り上げが前年比20%増と好調が続くヘルノ(HERNO)は、メインパビリオンでの通常ブースとは別に高機能サルトリアルラインのラミナー(LAMINAR)だけを紹介するブースを新たに設置。これまでのゴアテックスを使用した機能訴求だけではなく、ウール素材のコートの裏にメンブレンを貼り撥水性、透湿性などを加えたファッション性で進化したラミナーのラインアップの拡大をPRした。© birds-nestHERNO / © birds-nestROSSIGNOL × Philippe Model © Francesco Guazzelliさらにフランスの名門スキーブランドのロシニョール(ROSSIGNOL)は、メイン会場のフォルテッツァ・ダ・バッソでのブースではウエアラインを従来通り提案したが、今シーズン新たに発表されたフィリップ・モデル(Philippe Model)とのスニーカーのカプセルコレクションをフィレンツェ郊外のヴィラ・ビクトリアでお披露目した。© birds-nestSAVE THE DUCK / © birds-nestPLUME / © birds-nest前シーズンから好調なダウンウエアは今シーズンも引き続き、バイヤーからの注目度は高く、各ブースも賑わいを見せた。羽毛を使用せずに「PLUMTECH®」という特殊ポリエステル素材の中綿でアニマルフリー・ダウンを打ち出しているセイブ・ザ・ダック(SAVE THE DUCK)や、カナダのムースナックルズ(MOOSE KNUCKLES)はグラウンドレベルに特別ブースを構え積極的なPRを展開。イタリアのコートブランドのパルト(PALTO)はリサイクルダウン「PURE」を使用した新ブランド、PLUMEを発表した。またリサイクル素材だけを使用した100%メイド・イン・イタリーのコレクションを展開するエコアルフ(ECOALF)もフォルテッツァ・ダ・バッソ内の「IPLAY」ゾーンと外部会場のストロッツィ宮殿で、カプセルコレクションのデュアル展示を行った。ECOALF / © Francesco Guazzelli「ダウンは2017-18年秋冬シーズンのマーケットが全世界的に好調だったことから、各ブランド2019-20年秋冬シーズンの企画に力が入ったのでは」と「Touch」のゾーンに出展しているナナミカ(nanamica)の本間永一郎社長は話しており、同ブランドでもダウンジャケットの新アイテムが提案されていた。日本からの出展ブランドは「継続出展により確実に取引先とのパイプが深まっている」(Y. & SONS)という声に代表されており、同ブランドと同様に和、着物の伝統的な文化や技術で市場開拓を図るヒロミ アサイ(HIROMI ASAI)は西陣織の手縫いのシルクツイード、新潟の栃尾紬、柿渋染めの縫い取りなどのテキスタイルを使用したジャケットなどを出展。セレクトショップなどとの取り組みが増えつつあるという。HIROMI ASAI / © AKAstudio - collectiveY. & SONS / © birds-nest次:アウトドアのニューカマーが集結する新ゾーン「I GO OUT」----アウトドアのニューカマーが集結する新ゾーン「I GO OUT」© AKAstudio - collective新たなゾーンとして設置されたアウトドアのニューカマーブランドを集めた「I GO OUT」は、今回も日本のマウンテンリサーチ(Mountain Research)、スノーピーク(Snow Peak)、ゴールドウィン(GOLDWIN)、デサントオルテライン(Desente Alterrain)などが出展。パビリオン入り口には赤い提灯がディスプレイされ、機能とスタイルの融合性、素材開発などこのマーケットを牽引するのが日本ブランドであることをイメージさせた。© AKAstudio - collectiveエコロジカルな取り組みを訴求は同ゾーンの特別ブースで出展したロロピアーナグループのシーズ(SEASE)もバイオ・ポリエステルとカシミア・ウール混のセーター、ナチュラルナイロン、再生インディゴなどの開発によるブランディングを訴求。地震で被災した伊アマトリチャーナ地方の支援なども同ブランドで行い、サスティナビリティな仕組みを含めたアパレルビジネス構築の重要さは、今シーズンの重要なテーマであることを感じさせた。SEASE / © birds-nest次:日本から若手6ブランドが出展した「Touch」ゾーン----日本から若手6ブランドが出展した「Touch」ゾーン© birds-nestまた今回も「Touch」ゾーンに東京ファッションアワード第5回受賞ブランドのアーネイ(ANEI)、チノ(CINOH)、ジエダ(JIEDA)、レインメーカー(RAINMAKER)、ノブユキ マツイ(NOBUYUKI MATSUI)、ポステレガント(POSTELEGANT)の6ブランドが出展。会期中には海外プレスに向けて記者会見が行われ、上記ブランドのデザイナーに加え、兵庫・姫路地区での職人技術をPRするジャパニーズホワイトレザープロジェクトで参加したコウザブロウ(KOZABURO)の赤坂公三郎も参加した。これまでの商品展示だけではなく、デザイナーのコンセプトを伝えたことで、従来以上にブースへ立ち寄る来場者が増えたという。チノの茅野誉之 / © AKAstudio - collectiveText: Tatsuya Noda
2019年01月31日ニューヨーク発のハイストリートブランドのハキュラ(HACULLA)が、ピッティ・ウオモ(PITTI UOMO)95の3日目、1月10日にランウェイ・ショーを行った。会場となったドガーナ(DOGANA)にはストリート・グラフィティアーティストのハリフ・グズマン(Harif Guzman)の壁一面のペインティング、今回のために制作された巨大オブジェが並んだ。中国系アメリカ人の起業家兼現代アーティストとして知られるジョン・クーン(JOHN KOON)がクリエイティブディレクターを務め、ラルフローレン、ヴォルコム、バートンなどファッションブランドとのコラボレーションでも知られるグズマンの作品をアパレル展開している同ブランドは、日本でも一部のセレクトショップなどで扱われ、すでにファンのあいだでは話題となっている。今回のインスタレーションは、グズマンのペイントが施された白衣を着たモデルがゾンビウォークでオープニングに登場し、中央を覆った黒幕の前に並んだ後、幕を引き下ろすと中央にオブジェが現れ、2019-20年秋冬コレクションがスタートするという構成。グズマンのオブジェの間をゴシックメイクの男女モデルが爆音のなか、キャットウォークする光景は圧巻。公式イベントながら事前に詳細がアナウンスされておらず、半ばゲリラ的に行われたショーはこれまでピッティ・ウオモのゲストイベントとして、アンダーカバー、オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™、タカヒロミヤシタザソロイスト.など、メンズデザイナーの新しい流れを体感してきた現地のプレスにとってはかなり過激。フーディー、パーカー、ネルシャツ、カモフラ、ライダースといったストリートのアイコンアイテムをパンクなテイストでグズマンのアイコニックなキャラクターやワードを、刺繍やアップリケでミックスされたアイテムがグランジ、ゴシック風に重ねられる。彼らの過剰な攻撃性でストリートの“次”を見せた方法論が、クラシコの伝統の地にどう伝わったか、その反応が楽しみだ。Text: Tatsuya Noda
2019年01月12日2019年春夏メンズファッションの総合展示会、第94回ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO94)が6月12日から15日の4日間、フィレンツェで開催された。Photo by Tatsuya Noda © FASHION HEADLINE元フィレンツェ県知事、前首相のマッテオ・レンツィ(Matteo Renzi)の肝いりもあって内容を拡充し、この数年好調な動員を続けてきたピッティ・ウオモだが、イタリア国内の政局混迷による経済低迷、ファッション業界全体を襲うマーケットの高額品離れなどで、やや雲行きに変化が出始めている。増加する会場外サテライトイベント今回の来場者は結果的に前年6月開催横ばいの3万人、内バイヤーは1万9,100人。日本からの来場者は前年より若干下回ったが、プレス関係者の数は増加した。会場のフォルテッツァ・ダ・バッソ周辺ではマッテオ前首相時代から工事が開始されたトラム(路面電車)のテスト運行が行われ、出展者の退出時に入り口付近の混雑が目立つが、初日の会場内ブースは落ち着いたムード。2日目、3日目はピッティの名物となったストリートスナップ、SNSの撮影に多くのファッショニスタたちが集まり、フェスティバル的な盛り上がりを見せたが、最終日の会場は閑散とした印象はまぬがれなかった。Photo by Tatsuya Noda © FASHION HEADLINEこの数シーズン、ミラノメンズへの参加ブランドがウィメンズとの合同ショーへシフトする流れもあって、ショーの数が減少し、ミラノをスキップするバイヤー、メディアが増えつつある傾向は、同イベントにとっては深刻だ。さらに今年はサッカー・ロシアワールド杯の開催と重なり、早期化する夏のバカンスや「音楽フェスなど、多様化するイベントに客足を奪われるという影響が出た」とファエル・ナポレオーネ(Raffaello Napoleone)ピッティ・イマージネCEO。しかしながら、全1,240ブランド(内45%が海外からの出展)が参加する同展が、メンズファッション業界における重要なトレードショーであることは変わりなく、この数年にわたり同展が推進してきた最新のトレンド、カッティングエッジなブランドの動きをいち早く紹介するという姿勢は定着したのは確か。今回もクレイグ・グリーン(Craig Green)、ロベルト カヴァリ(Robert Cavalli)、エムシーエム(MCM)やビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)などメインが会場以外で公式イベントを行い、出展ブランドが独自にフィレンツェ市内で開催するイベントもこれまでより格段に増加した。クレイグ・グリーン2019年春夏コレクション© Giovanni Giannoniロベルト カヴァリ2019年春夏メンズコレクション© Giovanni GiannoniMCM 2019年春夏ルフト コレクション© Giovanni Giannoniビルケンシュトック2019年春夏コレクションPhoto by Tatsuya Noda © FASHION HEADLINEそれ以外にもグッチ(GUCCI)は期間中にメルカンツィア宮殿内(旧グッチミュゼオ)に「グッチガーデン(GUCCI GARDEN)」をオープンし、パーティーを開催。ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)は、ロンドンから人気バンド、モーチーバ(Morcheeba)を招聘しフェス形式の音楽イベントを実施するなど、ピッティ・ウオモの展示会には参加していないブランドが会期に合わせてイベントを行うケースが目立つ。モーチーバがライブを行ったジョルジオ アルマーニのパーティーPhoto by Tatsuya Noda © FASHION HEADLINE観光シーズンであるこの時期に、ピッティ自体がファッションブロガーや一般のファッションマニアをも対象とした総合的なファッションフェスへと移行しつつあり、それがこの数年ピッティと疎遠になっていたファッション関係者の呼び戻しにつながっているのも確かだが、会場外のサテライトイベントの増加が、展示会場の各ブースの来場者数に影響を与えているのでは、という声も聞かれた。次→ピッティが注目する日本人クリエイターたちの現地での評価は?Text: Tatsuya Noda----ピッティが注目する日本人クリエイターたちの現地での評価は?特に、今回は日本から、フミト ガンリュウ(FUMITO GUNRYU)の丸龍文人がゲストデザイナーとして招かれ、コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)から離れて以降、初のコレクションを発表することは大きな話題だった。日本からも多くのバイヤーやプレスが渡伊したが、2日目の10時スタート、ショー会場がメイン会場から離れた郊外の住宅地、同じ公式イベントのコス(COS)が別会場で同日11時スタートということが重なって、バイヤーやプレスが分散する結果となった。コレクション自体はピッティ・ウオモのマーケティングチームが以前から注目していたという丸龍のデザイナーとしての期待に応える、スポーツギアの機能性とハイテク素材を独自に解釈し、グローバルなメンズモードに翻訳したハイレベルなショーだっただけに、集客という点でやや残念だった感は否めない。フミト ガンリュウ2019年春夏コレクション同様に日本ファッションウィーク推進機構(JFW推進機構)とのパートナーシップで行われているショーとして、山岸慎平がデザイナーのベッドフォード(BED J.W. FORD)が3日目にレオポルダ駅跡でコレクションを発表。日本の合繊素材を乗馬服のディテールに落とし込み、東京の若手デザイナーシーンを代表するブランドに成長した姿を見せたが、広い会場の席は埋まらなかった。それでもショーを見た現地の熱心なプレス、バイヤーには高い評価を得たショーだっただけに、話題性、認知度をいかに高めるかは、デザイナーでなく、運営者側の課題といわざるを得ない。ベッドフォード2019年春夏コレクションまた、話題を集めていたのが、「モンクレール ジーニアス(MONCLER GENIUS)」の発売を記念したイベントとして、そのトップバッター、藤原ヒロシが現地で行う音楽イベント。事前には藤原ヒロシのライブ、という情報も流れており、現地でもイタリア人から「ヒロシ・フジワラは本当に来るのか? 」と質問され、そのネームバリューに驚かされたが、ライブは行われず、クラブスタイルのパーティー。「7 モンクレール フラグメント ヒロシ・フジワラ(7 Moncler Fragment Hiroshi Fujiwara)」の商品がクラブの会場に展示され、スティーブ・アオキらDJがゲストとして来場し、会場を盛り上げたが、藤原ヒロシ本人のプレイは行われなかった。モンクレール ジーニアスの発売記念イベント© PITTI IMMAGINEText: Tatsuya Noda
2018年07月28日クレイグ・グリーン(Craig Green) が ピッティ・イマージネ・ウオモ94(PITTI IMMAGINE UOMO94)の公式イベントとしてボーボリ公園で2019年春夏コレクションを発表した。犯罪現場で見かける人型のチョークライン。枠組みの立体を背負ったモデルは医療用ウェアに血を垂らしたかのようにも見えるラインをドローストリングで描く。言葉にするとおどろおどろしいが、それはポップなコントラストで描かれる。すべてのアイテムがデジタルとヒューマンの境界を模索するかのように、実験的なコレクション。モンクレールとのコラボでもその独自の洋服の解釈を見せる独自のスタイルを提案し続ける姿勢はロンドンのデザイナーならではだ。ショーン・オリバー(Shayne Oliver)、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)、J.W.アンダーソン(J.W.ANDERSON)、タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)と、カッティングエッジなデザイナーのショーをいち早く紹介してきたピッティ・ウオモならではのキュレーション。Text: Tatsuya Noda
2018年07月20日ピッティ・イマージネ・ウオモ94(PITTI IMMAGINE UOMO94)で、ベッドフォード(BED J.W. FORD)がレオポルダ駅で2019年春夏コレクションを発表した。デザイナーは山岸慎平。ブランドスタートから7年。2017年SSに東京ファッション・ウィークでランウェイデビュー、過去3シーズン日本ファッション・ウィーク推進機構(JFWO)が支援するパリの合同展示会に参加。今回が初の海外でのショー形式での発表となった。テーラードをベースにジェンダーレスなメンズウエアを提案。秋冬ものに見えるクラシカルな素材感を、ポリエステル素材使いで軽く仕上げ、細部にこだわったラインが美しい。エドワーディアンなど伝統的なスタイルにクラシックな乗馬服のディテールを取り入れ、着物の手描き職人による馬のモチーフなど、メンズのトレンドのひとつであるウエスタンを掘り下げたコンセプトながら、ストリートカジュアルに寄らず、東京のデザイナーらしくモード視点でアイテムを再構築。脇が割かれたコートをショルダー掛けにし、ロングジレと2ウェイになる機能を果たすストラップが、ブランドのアイコンとして表情を作っている。ラフに仕上げた裾や、光沢感のある素材使い、刺繍やニットのさりげないセクシーさは海外のバイヤーからも好評を得た。フィナーレには2019-18年秋冬よりスタートするアディダス オリジナルス(adidas Originals)とのプレも登場した。前シーズンにピッティ・ウオモのゲストデザイナーとして同じ場所でランウェイを発表したタカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)と重ねて、東京から発信されるメンズデザインの新潮流と捉える声も興味深い。Text: Tatsuya Noda
2018年07月20日今年1月にイタリア・フィレンツェで開催された第93回ピッティ・ウオモの会場スナップを4回に分けて特集する第4回目。この数年若者を中心にイタリアのマーケットを席巻してきているアメリカンカジュアルブームは、アダルト層にも着実に浸透。今シーズンはスポーツウェア、デニム、ミリタリーのヴィンテージなどの研究が再認識されている。その一方で、ブランドのシグニチャーアイテムをスタイリングの要にするのは、ストリートファッションのルールにも重なる。ピッティ・ウオモ93会場スナップ特集、第4回目はヴィンテージ&シグネチャー。Photo&Text: Tatsuya Noda
2018年05月20日今年1月にイタリア・フィレンツェで開催された第93回ピッティ・ウオモの会場スナップを4回に分けてご紹介。色の復活がトレンドとして注目される今秋冬。クラシコの聖地のピッティらしく色を上手く取り入れたコーディネートは、世界中から集まってくるお洒落番長の腕のふるい所。チェック・オン・チェックなどの着こなしも、ピッティ・ウオモならではといった風景。ピッティ・ウオモ93会場スナップ特集、第3回目はピッティ・カラー。Photo&Text: Tatsuya Noda
2018年05月20日今年1月にイタリア・フィレンツェで開催された第93回ピッティ・ウオモの会場スナップを4回に分けて特集する第2回。会場のフォルテッツァ・ダ・バッソのメインパビリオン前でスナップの主役を担うセレクトショップのバイヤー集団やピーコックと、それを避けて会場内の目的のブースに足早に向かう昔からのピッティ常連組。モダンでミニマムな着こなしにクラシコのルールやシーズントレンドの取り入れ方で個性を競う。ピッティ・ウオモ93会場スナップ特集、第2回目はモダン&クラシコ。Photo&Text: Tatsuya Noda
2018年05月20日毎年2回行われるメンズファッションの祭典「第94回ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGENE UOMO)」が6月12日から4日間、イタリア・フィレンツェで開催される。世界中からバイヤーやプレス、アパレルなどファッション業界人が3万5,000人以上集まる同イベントは近年、次シーズンに向けての総合展示会というより、“フェス”的な要素が強まっている。特にインスタグラムやツイッターなどSNSの影響から、ブロガーやセレクトショップのスタイリストなどインフルエンサーと呼ばれるブランドやストアのPRを兼ねたピーコックたちが、会期中に幾度もスタイリングを変えて会場に華を添える。6月12日から開催される2019年春夏展示会を前に、今年1月に開催された第93回ピッティ・ウオモの会場スナップを4回に分けて紹介する。今年1月のイタリアは全般的に暖冬だった影響もあり、厚手のロングコート、ムートンなど防寒機能を備えた重衣料の出番がなく、大量のバゲッジでワードローブを持参したファッショニスタたちは、会場で主役のコートを羽織る姿が目立った。ピッティ・ウオモ93会場スナップ特集、第1回目は暖冬オフショルダー。Photo&Text: Tatsuya Noda
2018年05月20日2018年6月12日から15日までイタリア・フィレンツェのフォルテッツァ・ダ・バッソで開催される第94回ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGENE UOMO)のメインプログラムの概要が発表された。ゲストデザイナーとしてロンドンをベースに活躍しているクレイグ・グリーン(Craig Green)、スペシャルゲストとしてロヴェルト カヴァリ(Robert Cavalli)がポール・サリッジ(Paul Surridge)によるメンズウエアのファーストコレクションとなる2019年春夏コレクションがランウェイ形式で発表される。クレイグ・グリーンはロンドンのセントマーチン大を卒業後2012年にブランドをスタートし、クリストファー・ネメス、ジョン・ガリアーノ、アレキサンダー・マックイーン、フセイン・チャラヤン、ガレス・ピューなど英国らしいアーティスティックなクリエーションで注目を集めてきた。ドーバー ストリート マーケットで毎シーズン展開されるコレクションはカルト的なファンを抱え、シグニネチャーであるワークジャケットの再解釈と、この数シーズンのユニフォームをテーマにした作品はメンズファッションのトレンドにも大きな影響を与えている。2017年にはモンクレールとのコラボも発表、ロンドンの新星に期待がかかる。フィレンツェをホームタウンとするロベルト カヴァリが、メンズコレクションのワールドローンチで地元に凱旋する。2015年にイタリアの投資ファンドに買収された同ブランドの復興を委ねられた新デザイナーのポール・サリッジは2018年春夏コレクションのウィメンズで、同ブランドの遺産を受け継いだ新たなラグジュアリーのデイリーウエアを提案。今回ピッティ・ウオモで、都会的なブランドのライフストーリーを引き継ぎ、新しいメンズスタイルを披露する。さらにピッティ・ウオモの期間中から7月22日までサンタ・マリア・ノヴェッラ教会において、ロシアで6月14日に開幕する サッカーワールドカップ2018に合わせて企画展「ファナティック・フィーリングス/ファッション・プレイ・フットボール(FANATIC FEELINGS - Fashion Plays Football)」を開催する。同イベントには日本からイラストレーターの田辺ヒロシが、カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)と並んでイラストレーションで参加。サッカープレイヤーがファッション界の黎明期よりテーラリングとスポーツウエアの融合を促し、ファッションに先駆的な影響を与えてきた事実にフォーカスする。同イベントは現代美術評論家フランチェスコ・ボナーミによって厳選されたカカ、エディンソン・カバーニ、ジェローム・ボアテング、メスト・エジルら有名選手をフィーチャーした2002年から2018年までのサッカー選手のファッションのアーカイブを掘り下げる。未公開写真やデザインプロジェクトも含まれており、サッカー界のアイコンでありファッショニスタのジョージ・ベストやエリック・カントナ、ジジ・メローニらの人生を辿る。ストリートスタイルのセクションでは、デビッド・ベッカム、ネイマール、フランク・リベリーら洒落者プレイヤーのトレーニングや試合後のファッションスタイルを特集する。また、アーティストのダグラス・ゴードンとフィリップ・パレノのドキュメンタリーフィルム『ジダン:21世紀の肖像画』も上映される。また、今回ピッティ・ディスカバリー財団とピッティ宮殿のモード&コスチューム美術館の共催にて、ピッティ宮殿で特別展示「EVOLUTION - INVOLUTION - REVOLUTION」を開催。ここ数10年のメンズファッションの変遷を社会的状況と文化的な側面と共に、ステファノ・ピラーティ(Stefano Pilati)がキュレーションする。80年代からミラノファッションのメインストリームで活動し、そのアカデミックな視点、収集家としても定評のあるピラーティによるこの企画展は10月21日まで行われる。Text: Tatsuya Noda
2018年04月21日イタリア・フィレンツェで来年1月に開催される2018-19年秋冬メンズファッションの世界最大級のトレードフェア、第93回ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO93、以下ピッティ・ウオモ)において、1月11日に高橋盾(アンダーカバー/UNDERCOVER)と宮下貴裕(タカヒロミヤシタソロイスト./TAKAHIROMIYASHITATHESoloist.、以下ソロイスト)の合同ショーがスペシャルイベントとして行われることが発表された。左から)宮下貴裕(TAKAHIROMIYASHITATHESoloist.)、高橋盾(UNDERCOVER)さらに同展ではアメリカ最古のアパレルブランド、ブルックスブラザーズ(BROOKS BROTHERS)による200周年記念イベントのショー(1月9日)と展覧会(会場:ピッティ宮殿/1月11〜14日)、Malibu 1992の新ブランドM1992のプレミア、ベルリンのカルチャーマガジン『032c』とのコラボレーション、ゲストネーションとしてフィンランドのアップカミングなブランドのショーなども予定されている。昨年1月の開催時には3万6,000人が来場し、日本からも825人のバイヤー、プレスが訪れた同展。今回は「PITTI LIVE MOVIE」をテーマに、会場のフォルテッツァ・ダ・バッソ(Fortezza da Basso)が映画祭のような会場構成が予定されている。毎回、さまざまな仕掛けと時代を象徴するイベントを総括するピッティ・イマージネのラポ・チャンキ(Lapo Cianhi)コミュニケーション&スペシャルイベント・ディレクターにインタビューした。ピッティ・イマージネ・ウオモのコミュニケーション&スペシャルイベント・ディレクター、ラポ・チャンキ(Lapo Cianhi)Q:次回のスペシャルイベントが「アンダーカバー」と「タカヒロミヤシタザソロイスト.」の合同ショーという発表には驚きました。これはJFW(ジャパン・ファッションウィーク協会)がサポートして毎回ピッティ・ウオモで行われている日本人デザイナー紹介プロジェクトの一環ですか?ラポ・チャンキ(以下ラ):いいえ。JFWのサポートで行われているのはピッティ本部のコマーシャルな部門を担当するマーケティングのチームで企画され、若いブランドをインターナショナルに紹介しているものです。今回のアンダーカバーとソロイストの合同ショーはピッティの中の別のセクションで、私が統括するコミュケーションチーム主導により、コマーシャルとは違う目的で行われるメインのイベントのひとつです。昨年は日本からビズビム(visvim)初のランウェイショーを我々のセクションで行いました。ピッティ・ウオモが成功した要因には二つの異なるプラットフォームを自然にハイブリッドしてきたという背景があります。マーケティングチームは出展という純粋なトレードフェアという目的、コミュケーションチームはアーティスティックなインパクトを持った魅力的で文化的なエンターテイメントを提供しています。世界的なファッションの現状をそれぞれ単体で見ると、トレードフェアは集客の面で難しい時代に入りつつあります。ファッションショーも困窮の時代を迎えつつありますが、ピッティ・ウオモはトレードフェアとしてベストなブランドを集めるハイセレクション、それとコミュニケーションツールとしてアーティスティックでインパクトのあるブランドを革新的なスカウティングするスキル、このふたつをバランス良くコンバインすることで成功しています。Q:アンダーカバーは2009年6月にピッティ・ウオモで初めてとなるメンズだけのショーを発表、ソロイストは今回が初めてのショーですね。日本のメンズブランドが注目されていると言うことでしょうか?ラ:我々は日本のメンズブランドを常に注目して見ています。それはトレードフェアというコマーシャルな面だけではなく、グローバルなコミュニケーションツールにおいて重要な鍵を握る存在だということです。今回、25年にわたってアバンギャルドファッションの先端を走る高橋氏が、再びピッティでメンズコレクションのランウェイを発表することは大きな喜びです。宮下氏は彼が最初に立ち上げたブランド、ナンバーナインのショーから欠かさず見ており、当初からその才能に注目していました。二つのブランドがシェアするショーというのは、普通ではなかなか考えがたいことなのですが、東京のストリートシーンを背景に音楽への情熱でつながる両ブランドのカルチャー、二人の長きにわたる友情を表現するためのプラットフォームを提供できることを非常に光栄に思っています。お互いの独自のインスピレーション、妥協のないもの作りが次のファッションシーンを導くものになると期待しています。Q:今回、この2ブランドが選ばれた理由は?ラ:アンダーカバーの驚愕のポストモダンとそのコレクション、さらに高橋氏の美的感覚と神秘性と、宮下氏の西洋的イマジネーションとユースカルチャーに対する独特のデザインヴィジョンを高く評価しています。フィレンツェという街と、この二人のコレクションが観客にとって無限のインスピレーションを与えてくれると確信しています。Q:ラポさんが考える新しい流れを創造できるデザイナーとは?ラ:ライフスタイルに則した新しい言語で話せる人に注目しています。マーケットの傾向に左右されるだけのブランドではなく、自分たちのライフスタイルに沿ったクリエイションのできる人に興味を持っています。例えば”アーティスティックな”というと、何か高尚な文化的背景を期待しているかのように聞こえますが、必ずしもそうではなく、若い世代が楽しいと思っているリアルライフのカルチャーを、ファッションにトランスフォームできているということです。Q:確かにこの数年ピッティ・ウオモが招聘したデザイナーは、新しい言葉を持っている人たちでした。ラ:前々回にピッティ・ウオモでショーを行ったラフ シモンズ(RAF SIMONS)やビズビム(visvim)、ゴーシャ ラブチンスキー(Gosha Rubchinskiy)、前回のオフ-ホワイト ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)、J.W.アンダーソン(J.W.Anderson)など、それぞれセグメントは違いますが、彼らは自分たちの背景をファッションに置き換えて、新しいテキスタイルやイノベーティブなテクニックを使いながら、独自の言葉を形にして表現しています。そういうことが出来ている人たちに常に興味を持っています。Q:日本人デザイナーや日本のファッションが、イタリアのファッション業界に影響を与えている現象はありますか?ラ:難しい質問ですね。今のイタリアの若いデザイナーたちが日本人の若いデザイナーのクリエイションに影響を受けていることはあるかもしれません。しかし、もう少しマクロで見ると日本とイタリアファッションの共通項として、テキスタイルに対する深い洞察があるかもしれません。洋服のクリエイションを行う上でテキスタイルのリサーチを注意深く行い、生産の技法につなげていくという点はお互いが影響を与えていると言えるかもしれません。ただ、イタリアのテキスタイルはややクラシックで、個人的には日本のテキスタイルが進歩的だという点で世界最高のポジションにあると認識しています。Q:ストリートファッションにおいてはいかがでしょう?ラ:もちろん、ストリートファッションにおいてイタリアは日本の影響を受けています。特に80年代以降、川久保玲さんや山本耀司さんに代表される「伝統を壊せ」というスピリットは、イタリアだけでなく今のデザイナーに大きな影響を与えたのではないでしょうか。「伝統を壊せ」というのは言葉では簡単ですが、実際にファッションの世界において難しく、それを諦めず、果敢に立ち向かう姿勢には多くのデザイナーが共感し、影響を受けているのは紛れもない事実です。Q:シー・ナウ・バウ・ナウの動きなど、ファッションにおいてインターネットにおける変化が急ですが、ピッティ・ウオモとしてデジタルへの対応は?ラ:市場の変化が早く、常に革新的にアップデートしていかなければならない状況です。ご存知のように、7年前にピッティの傘下にFieraDigitaleという別会社を立ち上げ、「e-PITTI.com」というサイトをローンチしました。そこではフェア終了一週間後に、その出展者とゲストがそこでバイイングできるシステムを運営しており、利用者に好評を得ています。消費者とブランドが直接つながるシー・ナウ・バウ・ナウという動きが話題になっていますが、現状はまだメガブランドしか対応しておらず、コンパクトなブランドはなかなかそのシステムに追いつくことが難しい状況でしょう。実際に、そこで売れている商品もベーシックなアイテムが中心で、上質なテキスタイルを使用したアイテムや、手の込んだものをオンラインで売るのは難しいのではないでしょうか。もちろん将来的にデジタルに移行していくことは自然の流れですが、リアルなトレードフェアがなくなることはないだろうし、インターネットとは表裏一体で接していかなければと考えています。Text: TATSUYA NODA
2017年11月19日最終日こそ小雨となったものの、初日から天候に恵まれた第91回ピッティ・イマージネ・ウオモ(PITTI IMMAGINE UOMO 91)。伊フィレンツェで毎年1月第2週(今年は10日から14日)に行われるこのメンズファッションの合同展示会は、ファッションスナップの聖地として知られている。特にこの数年の加熱するスナップブームで、世界中からメンズのバイヤーやプレス、ブロガーたちが押し寄せ、この4日間だけで雑誌の特集が出来てしまう盛り上がりよう。今年も大勢のスナッパーが集まったが、暖冬だった昨年に比べて気温の低さからか、コートにマフラー、ニット帽の防寒スタイルが目立ち、着飾ったピーコックたちの社交場だったメインパビリオン前は比較的落ち着いた印象。カラーがテーマだった前シーズンに比べ、来場者のスタイルは全体的にシックになり、黒が目立った。とはいうものの、会場内はお洒落を楽しむことに人生を賭けたファッショニスタたちが年に2回のお互いの変化をたたえ合う。それぞれのスタイルをリアルに楽しむシーンは、バーチャル化の波が押し寄せるファッション業界にとって、貴重な場であることに違いない。モードを席巻するユースカルチャーのトレンドと、クラシコのミックススタイルがクロスしていく時代。会場となったフォルテッツァ・ダ・バッソ内の2017年最初のスナップを集めてみた。Text & Photo: 野田達哉
2017年01月21日今年6月にフィレンツェで開催される第90回ピッティ・ウオモでラフ・シモンズ(Raf Simons)が17SSコレクションを発表する。「フローレンス・コーリング(Florence Calling)」と題された今回の特別プロジェクトは、昨年10月に16SSコレクションを最後に3年半務めたディオールのクリエイティブディレクターを退任したラフ・シモンズが自身の名前で発表するコレクションとなる。ラフ・シモンズは2003年を最初に、2005年に自らのシグネチャーでランウェイ、インスタレーションをピッティ・ウオモのステージで発表。2011年にもクリエイティブディレクターを務めるジル・サンダー(JIL SANDER)のコレクションを発表しており、フィレンツェは特別な地。「フィレンツェという街は、私の心の中の特別なスペースを占めている。数年に及び、コレクションを発表する場として、私の考えを正確に映し出すベンチャー企業とコラボするために何度も訪れている。今シーズン春夏コレクションを発表するため、そしてピッティのためだけに企画している特別プロジェクトのために戻って来られることを大変うれしく思っている」とコメントしている。Text: 野田達哉
2016年04月15日1月12日よりイタリア・フィレンツェで16-17AWメンズの総合展示会、第89回ピッティ・イマージネ・ウオモが開幕した。テロの影響が懸念される中での開催となったが、3日目の雨でピッティ名物のスナップの気勢がそがれたものの会場内の各ブースはいつも通り、活気に包まれた。年々加熱するスナップの影響もあって、クラシックスタイルでドレスアップしたグループでの来場が目立つなか、世相を反映してか例年に比べビビッドなカラーでの表現はすっかり影を潜め、グレイッシュな着こなしが中心。ミリタリーテイストなアイテムでのコーディネートもトーンダウンした。今回の全体のテーマは「ピッティ・ジェネレーションズ」。この数シーズン“ピンポン”“ウォーキング”“カラー”とグローバルな出展者をひとつのテーマで構成することに苦心してきた印象のある同展だが、「現在のファッションやスタイルはその人が誕生した日付、つまり世代よりも異なる世代に共存する各人の精神状態により決まる」という興味深いコンセプトを打ち出した。「熟年層がロックなトレンドに身を包み、若い世代がビクトリアンビアード(ひげ)にヴィンテージルックに熱を上げるジェネレーションの境界線がなくなりつつある時代」を、メンズファッションの新しいトレンドとして提案している。同展の開幕前日に「デビッド・ボウイ死去」のニュースが世界中に駆け巡る中、期せずして今回のビジュアルプレゼンテーションスペースや、デニムブランドのVPなどにも、デビッド・ボウイが永遠のファッションアイコンとして使用された。「今回は(ジェネーションズのテーマに沿った)、ムービーで表現することをまず考え、ショートフィルムを我々の広告として制作した。これはデジタルなやり方で口コミで共有されるバイラルマーケティングの方法を取ったためだ。デビッド・ボウイやジム・モリソンなどが会場内のウォールのコラージュにも使用されたが、本来であれば70歳近い年齢の彼らを、現在20代の若者たちがファッションアイコンとして支持し、当時アイドルとして受け入れていた世代もその時代背景を含め支持している。ファッションは以前のように年齢や世代で括れなくなっている」とラポ・チャンキ(Lapo Cianchi)ピッティ・イマージネ・ウオモ・コミュニケーションディレクターは話す。会場内のポップアップストアとして、セレッティとトイレットペーパーマガジンのコラボアイテム「SELETTI WEARS TOILETPAPER」も登場し、ジャンルや世代を超えた協業が目立っている。Text:野田達哉
2016年01月20日1月13日から16日までフィレンツェで開催される第87回ピッティ・イマージネ・ウオモのスペシャルゲストはブランド設立20周年を迎えた「マルニ(MARNI)」と、ニューヨークのラグジュアリーストリートブランドの「フッド・バイ・エア(Hood By Air)」が選ばれ、それぞれ15日と14日にショーを行う。また、15SSより「トッズ(TOD’S)」のメンズクリエーティブディレクターに就任したことでも話題を集めたアンドレア・インコントリがデザイナープロジェクトに選ばれ、14日にショーを実施する。また「スーパー・ドゥーパー・ハッツ(SuperDuper Hats)」のマッテオ・ジオーリと「カモ(Camo)」の ステファノ・ウゲッティの2人のデザイナーによるデュオプロジェクト「Arrivo」が、サイクリングウェアをテーマとしたワールドプレミアを発表する。さらに、昨年パリで上演され話題を呼んだ英国女優ティルダ・スウィントン主演、ガリエラ宮モード博物館ディレクターのオリヴィエ・サイヤール脚本・監督のコンテンポラリーダンスの公演も行われる。今回はパリで発表されたドレス中心の作品から、スーツを中心に構成したパフォーマンス「クロークルーム(Croakroom)」が発表される。今回のピッティ・イマージネ・ウオモ87のテーマは「ウォークアバウト・ピッティ(WALKABOUT PITTI)」。ライフスタイルとしての“ウォーキング”に着目し、会場のフォルテッツァ・ダ・バッソの会場演出、アクセサリー提案の他、フィレンツェを歩いて楽しむための様々なルート提案がマップやアプリで提案される。展示イベントとしては「BORN IN THE USA by Liverty Fairs」を新たに増設。3×1、American Trench、BKC/The Brooklyn Circus, Dehen 1920, Dickies 1922/Palmer Trading, Filson,Frank Clegg, Freenote, Imogene + Willie, Knickerboker Mfg Co, MSL by Billy Reid, Norman Russell,Oak Street Bootmakers, Quoddy, Red Wing, Save Khaki, Schott/Perfecto by Schott, Shinola, The Hillside, Upstate Stock.などのメイドインUSAのブランドが参加する。また新プロジェクトとしてスウェーデンのデザイナーを集めた「スェーデンスポット(SWEDEN SPOT)」が新設される。また併催されるレディスの「Pitti W」ではロシアがゲストネーションとして出展する。またNorth sailsが新ブランド、WP Lavori in Corsoがバイクメーカーのドゥカッティと新たにコラボしたライダーズコレクション、英国のアウトドアブランドKarrimorがナイジェル・ケボーンとコラボしたカプセルコレクション「K100」などが、世界で初めてのコレクションを発表する。なお前々回、前回に引き続き、伊勢丹新宿店メンズ館ではピッティ・ウオモに出展する企業から厳選されたブランドの先行予約イベントが今回のピッティに連動して行われる。
2014年12月05日6月に開催されたピッティ・イマージネ・ウオモの新人デザイナープロジェクトで、日本人クリエーティブディレクター、津村将勝がデザインするシャツブランド「ピリオド・フィーチャーズ(PERIOD FEATURES)」が選出され、初コレクションがプレゼンテーションされた。同ブランドは長年インテリア業界に携わってきた津村が、インドを旅したときに出合った西ベンガルの手織りのテキスタイルに魅了され、3年前から現地に何度も足を運んでシャツの試作を開始。ジャンダニ織りと呼ばれる生地は色落ちする一部の糸だけ日本から手配する以外、縫製まですべてメイド・イン・インディア。その繊細な織りから「I’m delicate」というタグが付けられ、コットン、シルクで作られた全30型のコレクションは着物の絽や紗を思わせる繊細な表情ながら、デザインはシャツに一家言あるイタリアのマーケットで勝負できる仕上がり。デビューに当たって、「最初のローンチをピッティ・ウオモで」とターゲットを決めていたという津村氏。すべてのサンプルがそろったのが開幕前日。日本での展開も未定で、ビジネスに関してもここからがスタートと言う。今回、同ブランドが選出された「ザ・レイテスト・ファッション・バズ(The Latest Fashion Buzz)」は今回で2回目。今年1月の14-15秋冬展示会では、日本から草野健一がデザインする「ケネスフィールド(Kenneth Field)」が選ばれ出展した。『ルオモ・ヴォーグ(L’Uomo Vogue)』と『GQイタリア(GQ Italia)』協力のもと、ピッティ・ウオモが「将来を約束された有望な国際的人材」として、世界中からブランドをセレクトするプロジェクトで、「Who is On Next」や「Super Talents」などと同様の取り組み。ピッティの会場内でも特別なロケーションにブースが設置され、「新しいフォーマルとエッジの効いたインフォーマルの2面性」をテーマに、「若い才能を国際的舞台に引きあげること」が目的とされている。今回はピリオド・フィーチャーズの他、クリスチャン・グエラ(Kristian Guerra)、ミスタースマート(Mr Smart)、オレンジカルチャー(Orange Culture)など、10ブランドが展示を行った。
2014年07月09日