女優のエマ・ワトソンが7日、米ロサンゼルスで行われた2017年度MTVムービー&TVアワードで、男女のカテゴリーを設けずに選出される俳優賞の初受賞者となった。エマは同アワードで映画部門の最優秀作品賞を獲得した『美女と野獣』実写版でのベル役に対して最優秀俳優賞を受賞した。同アワードは、今年から男女性差のない俳優賞を取り入れ、エマはその初めての受賞者となったことへの喜びを受賞スピーチの中で語っている。「歴史上初となる性別によってノミネート者を隔てることがない俳優賞とは、私たちの人間としての経験の見方を表していると思います。男女性差のない賞を設けるというMTVのこの動きはみなさんそれぞれにとって違う意味を持つでしょう。しかし私にとって、演技とは誰かの立場に立つことができる能力だということを示しているといえるのです。そしてその能力を示すために2つの違うカテゴリーに分ける必要はないのです」ヘイリー・スタインフェルド、ヒュー・ジャックマン、ジェームズ・マカヴォイ、タラジ・P・ヘンソン、ダニエル・カルーヤら強豪を破り、この賞を獲得したエマ。この受賞が自分にとって大きな意味を持つとも話した。そのほか、Netflixの『ストレンジャー・シングス 未知の世界』がTV部門の最優秀作品賞、主演ミリー・ボビー・ブラウンが同部門の最優秀俳優賞を受賞。『ヒドゥン・フィギュアズ』は最優秀チャレンジ賞、主演のタラジが最優秀ヒーロー賞を獲得した。最優秀キスシーン賞には『ムーンライト』のアシュトン・サンダースとジャハール・ジェローム、最優秀デュオ賞には『LOGAN/ローガン』のヒュー・ジャックマンとダフネ・キーンが選ばれている。ロサンゼルスのシュライン・オーディトリアムで行われた同式典は『ピッチ・パーフェクト』のアダム・ディヴァインが司会を務め、カミラ・カベロ、ノア・サイラス、ピットブル、ビッグ・ショーンらがパフォーマンスを行ったほか、エイミー・シューマーやザック・エフロン、ヘイリー・スタインフェルドらがプレゼンターを務めた。(C)BANG Media International
2017年05月09日ライアン・ゴズリングが、先月のアカデミー賞授賞式で作品賞が間違えて発表されたとき、ステージ上で笑っていた理由を明かした。ライアンとエマ・ストーンが主演の『ラ・ラ・ランド』は、先月26日(現地時間)の第89回アカデミー賞授賞式で作品賞受賞作として発表されたが、直後に受賞結果の封筒がプレゼンターのウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイに間違って渡されたことが発覚。ステージ上に本当の受賞作『ムーンライト』と『ラ・ラ・ランド』両作の関係者が入り乱れる状態になった。大混乱のステージ上で、エマやデイミアン・チャゼル監督らと登壇していたライアンが口元を押さえて笑いをかみ殺している姿をカメラがキャッチし、SNSなどで話題を呼んだが、ライアンがついにその理由を語った。22日(現地時間)、ラスベガスで開催中の「Adobe Summit」のQ&Aセッションに参加したライアンは、あのときのことを聞かれて「観客席の人々がパニックのような反応をし始めたのを見て、インカムをつけた人たちが(ステージに)来るのを見て、誰かが怪我をしたのかと思った」「医療的な事態か何か起きたのかと思ったんだ。最悪のシナリオが頭に浮かんでいた」「そうしたら、『ムーンライト』が受賞したと聞いて、すごく安心したんだ。それで笑い始めた」と答えた。アカデミー賞の歴史に残るハプニングについて「非現実的」だったとふり返ったライアンは「本当に、『ムーンライト』が受賞してすごくうれしかった。本当にとても画期的な映画なんだ。製作費100万ドルで、信じられない完成度の作品だ。彼らが認められて、とてもうれしい」と自分のことのように喜んでいた。(text:Yuki Tominaga)
2017年03月24日本年度アカデミー賞にて作品賞、脚色賞、助演男優賞に輝いた『ムーンライト』。このたび、本作の日本オリジナル予告編がついに完成。主人公シャロンの成長を幼少期、少年期、青年期の3つの時代に切り取り、その一途で純粋な愛を映し出している。本作が長編2作目となるバリー・ジェンキンス監督が、自分の居場所を探し求める主人公の姿を、色彩豊かで圧倒的な映像美と情緒的な音楽と共に3つの時代で綴った本作。北米で大ヒットを記録し、タイム誌、NYタイムズ紙、LAタイムズ紙などが「2016年ベスト1ムービー」に選出するなど、世界中から熱狂的な賛辞を贈られている。エグゼクティブ・プロデューサーはブラッド・ピット。主人公の母親役には、本作でオスカーに初ノミネートされたナオミ・ハリス、少年の父親代わりになる麻薬ディーラー役で見事オスカーを獲得したマハーシャラ・アリ、そのガールフレンドには『Hidden Figures』(原題)にも出演するシンガーのジャネール・モネイ。そして、それぞれの時代の主人公シャロンには、同じ内面を感じさせる“瞳”を持つアレックス・ヒバート、アッシュトン・サンダース、トレバヴァンテ・ローズが抜擢されている。なぜ、『ムーンライト』がこれほどまでに世界中を魅了しているのか。それは、人種、年齢、セクシュアリティを越えた普遍的な感情が描かれているから。本作は、貧困やネグレクト、いじめ、ドラッグなどが描かれてはいるものの、実は主人公シャロンのピュアで一途な恋心が綴られた切ないラブストーリー。89回を迎えたアカデミー賞の歴史の中で、セクシャルマイノリティの人々を描いた映画として初めて作品賞を受賞し、まさに「映画史を変えた作品」となった。また、米・映画サイト「THE PLAYLIST」が選ぶ「21世紀のロマンス映画」でも、『エターナル・サンシャイン』『花様年華』『キャロル』『ビフォア・サンセット』に次ぐ5位に選ばれている。そして今回、ついに日本だけのオリジナル本予告編が完成。幼少期、少年期、青年期の“3人のシャロン”の人生を切り取りながら、シャロンが秘めた想いを寄せる親友ケヴィンと再会する様をとらえた、切なくも純粋な愛が情緒的に描かれたものとなっている。幼少期。母親ポーラはドラッグに溺れ、どこにも居場所がなかった少年のシャロンは、父親代わりとなる麻薬ディーラーのフアンとの出会い、たった1人の親友ケヴィンへの淡い恋心を通し、少しずつ成長していく。少年期。月明りが輝く浜辺で、初めてお互いの心に触れあったケヴィンとシャロン。しかし、ある事件をきっかけに2人は別々の道へと進むことに。二度と会うことはないと思っていた2人だが、大人になり、ふたたび巡り合う――。「あの夜のことを、いまでもずっと、覚えている」。どんなに時が流れても忘れられずにいた、シャロンの一途な秘めた想いに貫かれた美しい映像を、ここから確かめてみて。『ムーンライト』は3月31日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ムーンライト 2017年3月31日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開(C) 2016 A24 Distribution, LLC
2017年03月17日第40回日本アカデミー賞授賞式が3月3日(金)に開催され、庵野秀明監督/樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ』は11部門で優秀賞を受賞しており、そのうち作品賞、監督賞に加え、編集賞、撮影賞、照明賞、録音賞、美術賞などで最優秀賞を受賞した。なお、最優秀主演男優賞は佐藤浩市、最優秀主演女優賞は宮沢りえ、最優秀助演女優賞は杉咲花、最優秀助演男優賞は妻夫木聡が受賞した。第1作の『ゴジラ』が公開されてからおよそ60年、『シン・ゴジラ』は、東宝が12年ぶりに製作したゴジラ映画となった。興行収入は80億円を超え、社会現象を巻き起こす大ヒットを記録した。現代日本における巨大不明生物ゴジラの出現と立ち向かう戦略を、徹底的なリサーチをもとにリアリティを追求し、見事に描写。緊迫感あふれる新時代のゴジラ作品となった。3.11以降の日本を見据えた災害シミレーション映画としても注目を集めた。監督賞受賞の際、この日、仕事都合で欠席となった庵野監督に代わり、樋口監督がスピーチを行った。樋口監督は、「思えば、この映画が始まってから、すべてのスタッフ・キャストにものすごい無理難題を押しつけて今日があります。苦楽を共にしたスタッフが賞を取れたので、本当にうれしいです。映画を支持していただいた皆さまに本当に感謝しています。ありがとうございます!」と感激の言葉を連ねた。しかし、いよいよ最優秀監督賞の受賞で名前が呼ばれると、喜びより困惑の表情になぜか変わる…。樋口監督は、「しゃべることをさっき全部言っちゃったので…」と正直に話し、場内の笑いを誘った。だが、想いは徐々にあふれていき、「誰かが票をひとつひとつ入れた賞だと思っています。60年前に怪獣を使って映画をつくることを始めた大先輩がいて、受け継いできたバトンを僕らがもらったと思っています。バトンに恥ずかしくないものをもう一度ちゃんと作ろうと思い、本気でゴジラと向き合って作りました」と、熱心に『ゴジラ』に対する思いを口にした。さらに最優秀作品賞の受賞が告げられると、『シン・ゴジラ』テーブルでは、皆でうれしそうに握手を交わす姿が見られた。樋口監督は、改めて「こんなことが待っているかと思うと、毎日映画を作ったりして、寝れなかったりしたスタッフの皆も、いつかこういうときがくるよって声を大にして言いたいです」と、製作クルーに言葉をかけた。同作で主演男優賞を受賞した長谷川博己も大きな笑みを広げ、「特撮映画で作品賞って、今までなかなかなかたのではと思います。映画のひとつのテーマでもあるチームワークというか、皆で力を合わせて何かを倒すのは、これからの日本映画につながるのではと思い、作品賞をとったのはいいことだったんじゃないかなって勝手に思っています」と映画愛あふれる胸の内を語った。ゴジラ出現により、米国国務省から派遣された日本エージェントのカヨコ・アン・パタースンを演じ、助演女優賞受賞となった石原さとみ。英語と日本語を話すバイリンガルで、個性の強いキャラクターを堂々と演じた。作品賞の受賞について、石原さんは「脚本が本当に面白かったんです。庵野秀明さんの1文字1文字が本当に魅力的で、私で汚してしまうのではと震えていたんですけど、最後に『カヨコが石原さんでよかった』と言ってくれて涙が出ました」と、作品への強い想いと重圧を打ち明けた。同じく同作で助演女優賞受賞となり、巨大不明生物特設災害対策本部でゴジラの生態解析を担当する環境省自然環境局野生生物課長補佐、尾頭ヒロミを演じた市川実日子。寝癖をつけたままで身なりに気を使わず、無愛想かつ早口だが笑顔を見せる瞬間もあるというギャップのあるキャラクターで熱心なファンを作るほど、強い印象を残した。市川さんは、初めて脚本を読んだときの感想について、「夜だったんですけど、カーテンの外にゴジラがいるんじゃないかと思うくらい、リアリティを感じました。改めて本当にすごい作品に関わらせていただいたんだなと光栄に思いました。本当にありがとうございました」と笑顔を見せた。(cinamacafe.net)
2017年03月03日第40回日本アカデミー賞の授賞式が3日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪にて行われ、映画『シン・ゴジラ』が最優秀作品賞に決定した。同作は作品賞、監督賞、編集賞、録音賞、照明賞、撮影賞、美術賞で最優秀賞を獲得し、7冠を達成した。日本アカデミー賞協会の岡田裕介会長は「アニメ界、特撮界、普通の映画、垣根を超えた画期的な1年だったと思います。みんなで頑張って日本映画を支えましょう」と、会場に訴えかけた。さらに「どこかの国と同じように間違えないようにしたいと思います」と、米国で行われた封筒取り違えのハプニングを想起させるようなコメントの後に、『シン・ゴジラ』の最優秀作品賞受賞を発表した。総監督の庵野秀明は仕事で欠席となったが、壇上に現れた樋口真嗣監督は「みんな怒ってませんか!? 大丈夫ですか!」と心配した様子。主演の長谷川博己も「(会場が)すごい引いてる感じがしたんですけど、気のせいですか。特撮映画とか怪獣映画で作品賞って、今までなかなかなかったんじゃないかと思います」と心配した。しかし長谷川は「作品の一つのテーマである、チームワークというか、みんなで力を合わせて何かを倒すというのが、岡田会長のおっしゃってた『これからの日本映画をどうにかする』というのに繋がる気がして」と喜びを表し、「この作品が作品賞をとったのは、いいことだったんじゃないかなと勝手に思っています」と映画界全体の展望を見据えながら話した。また、石原さとみは「脚本が本当に面白かったんです。庵野秀明さんが書かれた脚本が本当に面白くて、1文字1文字本当に魅力的で、それを私が汚してしまうんじゃないかと思って震えていた」と心情を吐露。総監督の庵野秀明が最後に「カヨコが石原さんでよかった」と言ったことで涙したことを明かし、「ゴジラに関わった2年間、胃が痛い毎日だった」と振り返りながら、「こういう場で終わることができて、救われました」と頭を下げた。市川実日子は、作品の「リアリティ」を讃え、「3.11の時に、1日中テレビで会見を見てた私たちが感じていたことが書かれていた」と振り返る。「改めて、すごい作品に関わらせていただいたんだなということを光栄に思いました」と感謝の気持ちを表した。東宝 山内章弘プロデューサーは「こんなに重いとは思いませんでした」とブロンズの重さをかみしめた。「本当に、特撮映画とか、怪獣映画とか、シリーズ映画って、どうしてもジャンルの中に押し込めようとするのを、こうやって一本の作品として評価していただいたことを本当に感謝しています」と喜んでいた。最後にまたコメントを求められた樋口は「え! 俺ですか!!」と驚きながら、「なんとなくみんな、ムッとした感じに見えるのが気のせいかもしれませんが……」とさらに心配。「こういう映画も素晴らしいので、いいなと思ったらまた一緒にお仕事をしたいなと思います」と会場に向かって語りかけた。■最優秀賞受賞リスト作品賞…『シン・ゴジラ』監督賞…庵野秀明/樋口真嗣(『シン・ゴジラ』)主演男優賞…佐藤浩市(『64-ロクヨン-前編』)主演女優賞…宮沢りえ(『湯を沸かすほどの熱い愛』)助演男優賞…妻夫木聡(『怒り』)助演女優賞…杉咲花(『湯を沸かすほどの熱い愛』)アニメーション作品賞…(『この世界の片隅に』)脚本賞…新海誠(『君の名は。』音楽賞…RADWIMPS(『君の名は。』)編集賞…庵野秀明、佐藤敦紀(『シン・ゴジラ』)録音賞…中村淳、山田陽(『シン・ゴジラ』)照明賞…川邊隆之(『シン・ゴジラ』)撮影賞…山田康介(『シン・ゴジラ』)美術賞… 林田裕至、佐久嶋依里(『シン・ゴジラ』)外国作品賞…『ハドソン川の奇跡』■これまでの最優秀作品賞第39回…『海街diary』第38回…『永遠の0』第37回…『舟を編む』第36回…『桐島、部活やめるってよ』第35回…『八日目の蝉』第34回…『告白』第33回…『沈まぬ太陽』第32回…『おくりびと』第31回…『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』第30回…『フラガール』第29回…『ALWAYS三丁目の夕日』第28回…『半落ち』第27回…『壬生義士伝』第26回…『たそがれ清兵衛』第25回…『千と千尋の神隠し』第24回…『雨あがる』第23回…『鉄道員(ぽっぽや)』第22回…『愛を乞うひと』第21回…『もののけ姫』第20回…『Shall we ダンス?』第19回…『午後の遺言状』第18回…『忠臣蔵外伝 四谷怪談』第17回…『学校』第16回…『シコふんじゃった。』第15回…『息子』第14回…『少年時代』第13回…『黒い雨』第12回…『敦煌』第11回…『マルサの女』第10回…『火宅の人』第9回…『花いちもんめ』第8回…『お葬式』第7回…『楢山節考』第6回…『蒲田行進曲』第5回…『駅 STATION』第4回…『ツィゴイネルワイゼン』第3回…『復讐するは我にあり』第2回…『事件』第1回…『幸福の黄色いハンカチ』
2017年03月03日第89回アカデミー賞で作品賞・脚色賞・助演男優賞の3部門を受賞した『ムーンライト』が、当初予定していた4月28日の公開日を繰り上げ、3月31日より公開規模を大幅に拡大し、全国公開することが3日、明らかになった。公開日繰り上げは、作品賞受賞を祝して決定。授賞式後には、「少しでも早く劇場で鑑賞したい」と公開を待ち望む声が殺到したという。本作は、エグゼクティブプロデューサーにブラッド・ピットを迎え、自身が創設したプランBエンターテインメントで製作した作品。自分の居場所を探し求める主人公の姿を、色彩豊かで革新的な映像美と情緒的な音楽と共に3つの時代でつづった。2月26日(日本時間27日)に行われた第89回アカデミー賞の授賞式では、作品賞発表間違えという前代未聞のハプニングが発生。はじめに最多14ノミネートを果たしていた『ラ・ラ・ランド』と発表されたが、その後『ムーンライト』と訂正され、会場は一時大混乱となった。(C)2016 A24 Distribution, LLC
2017年03月03日第89回アカデミー賞にて作品賞、脚色賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の3部門を受賞した『ムーンライト』。その後、「早く劇場で観たい」という日本公開を待ち望む声が殺到したことを受け、3月31日(金)より緊急拡大公開されることが決定した。名前はシャロン、あだ名はリトル。内気な性格で、学校ではいじめっ子たちから標的にされる日々。母親はドラッグに溺れている。そんなシャロンにとって、同級生のケヴィンだけが唯一の友達だった。高校生になっても何も変わらない日常の中、ある日の夜、月明かりが輝く浜辺で、シャロンとケヴィンは初めてお互いの心に触れることに…。ブラッド・ピットが代表を務める「プランBエンターテインメント」が制作した本作は、自分の居場所を探し求める主人公の姿を、色彩豊かで革新的な映像美と情緒的な音楽と共に3つの時代で綴った“愛”の物語。人種、年齢、セクシュアリティを越えた普遍的な感情が描かれ、どうにもならない日常、胸を締め付ける痛み、初恋のような切なさ、いつまでも心に残る後悔が押し寄せる。やがて思いもよらない再会により、秘めた想いを抱えてきたシャロンの暗闇に光がさしたとき、観る者の心は大きく揺さぶられ、深い感動と余韻に包まれていく。主な前哨戦では、最も多くの“作品賞”を受賞していた本作(329部門ノミネート・158部門受賞)。さらに、第89回アカデミー賞では8部門にノミネートされ、作品賞を含む3部門を獲得。劇的な作品賞受賞の瞬間もさることながら、アカデミー賞の歴史の中でLGBTをテーマにした映画として初めて作品賞を受賞し、まさに“映画史の歴史を変えた”1本となった。そんな本作に「少しでも早く劇場で鑑賞したい」という声が多数寄せられたことから、当初予定していた4月28日(金)の公開日を約1か月繰り上げ、3月31日(金)から公開規模を大幅に拡大して全国公開する。本作のビジュアルにも登場する少年期、ティーンエイジャー期、成人期で主人公シャロンを演じたアレックス・ヒバート、アッシュトン・サンダース、トレバヴァンテ・ローズは、「カルバン・クライン(Calvin Klein)」春夏アンダーウェアの広告モデルにも抜擢されており、さらなる注目を集めそうだ。『ムーンライト』は3月31日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年03月03日今年度のアカデミー賞作品賞の結果発表取り間違え事件の原因となった監査役の2人が、来年度からアカデミー賞に関わることを禁止された。アカデミー会長シェリル・ブーン・アイザックス氏は、アカデミー賞の投票を管理し、プレゼンターたちに結果が記されたカードが入った封筒渡す役割を担っている監査法人プライスウォーターハウスクーパーズ(PwC)の今年度の担当者であったブライアン・カリナン氏、マーサ・ルイス氏が来年度の第90回アカデミー賞に関わることはないと発表した。しかし、これまで80年以上に渡ってアカデミー賞に携わってきたPwCと今後一緒に仕事をしていくかどうかについては明言を避けており、現在検討中であるとだけ話している。授賞式当日、作品賞発表の際に誤ってプレゼンターのウォーレン・ベイティとフェイ・ダナウェイに本当の受賞作品『ムーンライト』と記された封筒ではなく、『ラ・ラ・ランド』で主演女優賞を獲得したエマ・ストーンの結果が記された封筒を渡してしまうという事件が起きており、バックステージで他の事に気を取られていたカリナン氏が間違った封筒を渡したとみられている。授賞式後、PwCは声明文を発表し、その中でハプニングの詳細を説明、謝罪。その一方で『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督はこの出来事について「大変なことにはなってしまったけど、ある意味素敵なことだった」と話している。(C)BANG Media International
2017年03月03日3月3日に行われる、第40回日本アカデミー賞授賞式。すでに優秀賞は発表されており、授賞式では各賞の最優秀賞が発表される。優秀監督賞には、若手監督、アニメーション監督等様々なジャンルの監督が集まった。映画界に3年以上関わっていることを条件とした日本アカデミー賞協会の投票によって決定する同賞だが、一足先に一般観客の予想を知るべく、マイナビニュース会員1,759名にアンケートをとった。Q.日本アカデミー賞監督賞で最優秀賞をとると思う監督は?1位 新海誠(『君の名は。』) 1,041名2位 庵野秀明/樋口真嗣(『シン・ゴジラ』) 448名3位 李相日(『怒り』) 109名4位 瀬々敬久(『64-ロクヨン-前編』) 104名5位 中野量太(『湯を沸かすほどの熱い愛』) 54名○日本のアニメの技術力を再発見■1位新海誠(『君の名は。』)・「話題になったから。外国でも話題になるのはすごいと思う」(39歳女性/その他/その他・専業主婦等)・「改めて日本のアニメ技術の高さを感じさせられたから」(38歳男性/人材派遣・人材紹介/事務・企画・経営関連)・「作品賞にノミネートされていないのが不思議なくらい、去年の日本映画でいちばんよい作品」(54歳男性/サービス/事務・企画・経営関連)・「話題性と観客動員数に加えて、ストーリーの総合演出力があると感じたから」(39歳男性/官公庁/公共サービス関連)・「興行収入がすごかったのと、作品からものすごく色々な主張が込められていて、誰もが認める良い作品だと思うから」(24歳男性/食品/その他・専業主婦等)・「アニメーションの綺麗さ、入れ替わるというあり得ないことがきちんと進みそして涙」(51歳女性/その他/その他・専業主婦等)■2位 庵野秀明/樋口真嗣(『シン・ゴジラ』)・「ただ、とって欲しいと願うだけです」(53歳男性/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)・「『ゴジラ』の歴史に対し、位負けすることがない、細部まで手を抜いていない力作」(64歳男性/その他/その他・専業主婦等)・「怪獣映画にもかかわらず、緻密なリサーチによる演出でリアリティを感じさせることに成功したから」(46歳男性/フードビジネス/販売・サービス関連)・「庵野さん好きだし、これにノッてくれればエヴァもすぐにやってくれるかもしれない」(31歳男性/教育/その他・専業主婦等)・「長く愛されている作品のキャラクターで新しいものを作るというのは相当大変だと思う」(29歳女性/建設・土木/技能工・運輸・設備関連)■3位 李相日(『怒り』)・「俳優の微妙な表情まで、うまくとらえていたから」(33歳女性/食品/事務・企画・経営関連)・「役者の新しい面を引き出していたように感じたから」(37歳男性/広告・出版・印刷/クリエイティブ関連)・「客観視して作られる日本に見つめ直せる撮り方だったから」(49歳男性/フードビジネス/事務・企画・経営関連)・「映画としての深みや感動に、監督の決断や取捨選択が大きくかかわっているのではないかと思ったから」(28歳男性/その他/その他・専業主婦等)・「この原作を映像化するのは無理だと思っていたので」(33歳女性/流通・チェーンストア/事務・企画・経営関連)■4位 瀬々敬久(『64-ロクヨン-前編』)・「警察内部の部分を取り扱っているのと、主役の警察官の気持ちをよく表している様に思う」(69歳男性/その他/その他・専業主婦等)・「テレビでも放映されていた作品を映画にする苦労があったと思うから」(31歳女性/銀行/事務・企画・経営関連)・「原作の小説を、よりリアルなものとして映画を完成させていらっしゃると想います」(55歳女性/その他/その他・専業主婦等)・「作品への想像力がすごいと思うから」(30歳女性/その他/その他・専業主婦等)・「深層心理に働きかける映像や描写がうまい」(49歳男性/食品/営業関連)■5位 中野量太(『湯を沸かすほどの熱い愛』)・「人気原作の映画化が一般的になりつつある中、自ら書き下ろした脚本で監督をやり最高の作品を作った中野量太さんを推したい。伏線を上手く張った内容で且つそれが感動に繋がっていた。最後のアイデアも素晴らしいと思う」(47歳男性/レジャーサービス・アミューズメント・アート・芸能関連/営業関連)・「そろそろ賞をとる感じがするから」(43歳男性/その他/その他・専業主婦等)・「日本代表する若手監督だから」(48歳男性/設計/メカトロ関連技術職)・「家族愛、感情の表現がとても上手な作品だったから」(42歳男性/医療・福祉・介護サービス/営業関連)・「俳優の選出が適任だから」(23歳女性/輸送用機器/事務・企画・経営関連)○総評予想1位となったのは、大ヒット中のアニメーション映画『君の名は。』の新海誠監督。2016年8月の公開から半年経った今も公開され続けており、現在興行収入は現在244億円を突破した。公開直後から話題となっただけでなく、アジア・北米でも好評なことから「日本の底力」「アニメ表現のすごさを示した」と多くの読者より支持を受けた。2位の庵野秀明&樋口真嗣監督は、『シン・ゴジラ』が大ヒット。ゴジラの恐ろしさだけではなく、ゴジラに立ち向かい尽力する人々を客観的に見せたことで、ありきたりなヒューマン・ストーリーではない映画を作り上げた手腕が大きく評価された。『怒り』の李相日監督は、撮り方や役者への指導も含めて話題となった。『64-ロクヨン-前編』の瀬々敬久監督は、重厚な作品づくりが、『湯を沸かすほどの熱い愛』中野量太監督は若手監督としての期待がそれぞれ支持を得た。話題作に恵まれた2016年の映画界にふさわしく、様々な監督にスポットライトがあたる結果となった。調査時期: 2017年2月13日~2017年2月17日調査対象: マイナビニュース会員調査数: 1,759名調査方法: インターネットログイン式アンケート
2017年03月01日壇上で封筒の中身を見比べるPhil McCarten /(C)A.M.P.A.S. 第89回アカデミー賞授賞式がロサンゼルス・ドルビーシアターで行われた。 史上最多となる14部門にノミネートされた『ラ・ラ・ランド』が、監督賞、主演女優賞を含む6部門を受賞。そしてクライマックス「作品賞」の発表の瞬間を迎えた。 プレゼンテーターを務めたのは往年の名優、ウォーレン・ベイティ(79)とフェイ・ダナウェイ(76)。『俺たちに明日はない』の公開50周年を記念した人選だった。 ダナウェイは「今日の最後の賞を発表するのはとても光栄です。ノミネートされた素晴らしい作品は私たちに希望や喜びを与えてくれます」と笑顔で語り、ベイティも「政治においても、芸術においても、真実を明かにすることが大切。作品賞にノミネートされた作品は、社会の中で多様性が増していることを示しています。世界中で多様性と自由が大切だということを教えてくれているのです」と、昨今の右傾化する情勢を風刺する挨拶を述べた。 ノミネーション作品のダイジェストが流れ、ドラムロールが響き、ついにその時が訪れた。「オスカーは……」と言いながら封筒を開けたベイティは、受賞作が書かれた紙片を見て少し怪訝な表情を見せ、封筒の中を検めるような仕草をしている。「アカデミー賞を受賞するのは……」と言い直し、ダナウェイが「『ラ・ラ・ランド』!」と発表。 その瞬間大歓声が上がり、デイミアン・チャゼル監督、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、そしてスタッフたちがステージに大挙して押し寄せた。プロデューサーのジョーダン・ホロウィッツが「本当にありがとう。アカデミーに、ライオンズゲートに、すばらしいキャストたちに感謝します」と、スピーチを行う後ろで、ヘッドセットを着けた受賞式のスタッフが慌ただしく壇上を行き来している。 不穏な空気が流れる中、プロデューサーのフレッド・バーガーがマイクの前に進み出て「愛しい妻……」と口を開いた瞬間、後ろからスタッフが何ごとかを耳打ち。そして彼は「負けだったみたいだ」とニッコリ笑って踵を返した。そして最初にスピーチをしたジョーダン・ホロウィッツが「間違いがありました。作品賞は『ムーンライト』です。冗談ではありませんよ。本当に、読み間違えたみたいなんです」と言いながら、『ムーンライト』と書かれた紙を客席に向かって提示した。 司会者のジミー・キンメルは「大変残念なことが起きました。個人的にはスティーブ・ハーヴェイが悪いと思っていますが」と、2015年のミス・ユニバースで、視界のスティーブ・ハーヴェイが優勝者の名前を間違えて発表した事件を引き合いに出しながら事態の収拾に腐心。ホロウィッツは一度受け取ったオスカー像を、「これはぜひ私から『ムーンライト』の皆さんに渡したい」と言って大歓声をもらっていた。 『ムーンライト』のスタッフが壇上に到着するのを待つ間に、ベイティがマイクの前に歩み出て「何があったか説明させてください」と切り出した。「私が封筒を開けると、そこには『エマ・ストーン/ララ・ランド』と書いてありました。だから、私はずっと見ていたんです。これはジョークでやったんじゃないんですよ。作品賞は『ムーンライト』です」。 どうやら、直前に発表された主演女優賞の封筒が、何らかの手違いでベイティに手渡されてしまったようだ。確かに、封筒を開けたときのベイティは戸惑いながら何度も中身を確かめている。 予定外のアクシデントに見舞われてしまった『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督は「夢じゃないかと思っていたけど、もう違う、これが現実だ!何てことだ!」と喜びを爆発させた。 アカデミー賞の長い歴史の中でも、大トリの作品賞で呼び間違うなど前代未聞。ケチがついてしまった感もあるが、今年の作品賞は『ムーンライト』に贈られた。日本では4月28日に公開される。
2017年02月27日第89回アカデミー賞の授賞式が27日(現地時間26日)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、最高賞である作品賞に『ムーンライト』(4月28日日本公開)が輝いた。『ムーンライト』は、脚色賞(バリー・ジェンキンス、タレル・アルビン・マクレイニー)、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)も受賞し、3部門を獲得した。本作は、エグゼクティブプロデューサーにブラッド・ピットを迎え、自身が創設したプランBエンターテインメントで製作した作品。自分の居場所を探し求める主人公の姿を、色彩豊かで革新的な映像美と情緒的な音楽と共に3つの時代でつづった。作品賞の発表の場面では、はじめに最多14ノミネートを果たしていた『ラ・ラ・ランド』と発表され、ステージ上にキャストやスタッフが集結してスピーチが行われている最中に間違えが発覚。正しくは『ムーンライト』だと訂正されるという前代未聞のハプニングに会場は混乱したが、『ラ・ラ・ランド』陣も切り替えて祝福した。作品賞は、『ムーンライト』のほか、『メッセージ』、『フェンス』、『ハックソー・リッジ』、『最後の追跡』、『ヒドゥン・フィギュアズ(原題)』、『ラ・ラ・ランド』、『LION/ライオン ~25年目のただいま~』、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』がノミネートされていた。WOWOWプライムでは、2月27日21時から同授賞式の字幕版を放送。3月5日18時からダイジェスト版も放送する。(C)2016 A24 Distribution, LLC
2017年02月27日スパイダーマン新シリーズ『スパイダーマン:ホームカミング』にて、新スパイダーマンを演じる俳優トム・ホランドが、アカデミー賞の前哨戦とも言われる英国アカデミー賞(British Academy Film Awards)において、“新人賞”に当たる「ライジングスター賞」を受賞したことがこのほど発表された。ニューヨーク。15歳のピーター・パーカーはスパイダーマン。部活のノリで街を救う、ヒーロー気取りの高校生だ。そんなピーターの能力を見出し、真のヒーローとしての道に導こうとする(?)のが、アイアンマンことトニー・スターク。スタークに新しいスーツまで作ってもらい興奮するピーターは、自分の力を認めてもらおうと街に飛び出す日々。そんなある日、巨大な翼で飛行する怪物が街に突如現れる。ピーターはここぞとばかり、ニューヨークの平和のために怪物退治に乗り出そうとするが、スタークに「アベンジャーズに任せておけ」と止められてしまう。「ガキ扱いは、ゴメンだ!」とピーターはその忠告を聞かずに戦いに挑むが――。若干20歳の新進気鋭の若手俳優トム。今後の活躍が期待される若手俳優・女優に贈られるこの「ライジングスター賞」は、英国アカデミー賞で唯一、一般の観客による投票によって選ばれるもので、全世界で支持されるスパイダーマン同様、トムも多くのファンに支持されたかたちとなった。トムは「嬉しすぎてぶっ飛んじゃうよ!本当に夢みたいだ!クレイジーでアメイジングだよ!一番イケてる色だと思うんだ。BAFTA(英国アカデミー賞の)2色のうちで(笑)こんな賞がもらえるなんてとても光栄だし感謝しきれないよ。本当に僕の夢がかなったんだ!」と大興奮で喜びを語り、「たくさんの子どもたちみたいに、僕も小さいころスパイダーマンになりたかったんだ。スパイダーマンを演じる上で嬉しかったのは、みんなから愛されるキャラクターを新しく違うアプローチで作り上げて、スクリーンに戻してくれたことだね。撮影期間はとても充実したものだったし、とても楽しかった」とコメントを寄せている。またレッドカーペットでは、トムの受賞を祝福するようにたくさんのファンが集結。サインを求められるとトムも笑顔でファンサービスに応える場面も。トムといえば、スタジオジブリ作品『借りぐらしのアリエッティ』で神木隆之介が演じた青年・翔の英国版の吹き替えを演じたほか、『インポッシブル』では20年ぶりの続編公開も話題となっている『T2 トレインスポッティング』のユアン・マクレガーとの共演、さらに、『白鯨との闘い』での確かな演技力で注目を集め、スパイダーマンの生みの親スタン・リーに「トム・ホランドはスパイダーマンの役をやるために生まれてきた」と言わしめるほどの逸材だ。日本でも大ブレイク間違いなしのトム。ますます本作の公開が楽しみだ。『スパイダーマン:ホームカミング』は8月11日(金・祝)より全国にて公開。(cinemacafe.net)
2017年02月13日29日(現地時間)行われた全米俳優組合賞(以下SAG賞)授賞式で、『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンが主演女優賞を獲得した。エマのほかに主演女優賞にノミネートされていたのは、『Arrival』(原題)のエイミー・アダムス、『ガール・オン・ザ・トレイン』のエミリー・ブラント、『ジャッキー/ファースト・レディ 最後の使命』のナタリー・ポートマン、『マダム・フローレンス!夢見るふたり』のメリル・ストリープと強敵揃い。SAG賞の主演女優賞を獲得した女優は、ジェニファー・ローレンス、ケイト・ブランシェツト、ジュリアン・ムーア、そして昨年のブリー・ラーソンと、過去4年間、アカデミー賞の主演女優賞に輝いていることから、エマがオスカーを手にする可能性はかなり濃厚と見られる。受賞スピーチのために登壇したエマは、興奮のためか、ややパニック状態でスピーチを始めた。しかし、『ラ・ラ・ランド』のデミアン・チャゼル監督に感謝の気持ちを述べた後、「ライアン、あなたは最高よ!それは紛れもない事実だわ!異論のある人はいないでしょ」と言って劇中のパートナーを褒めたたえ、会場を沸かせた。同作で共演したライアン・ゴズリングも主演男優賞にノミネートされていたが、残念ながら賞は『Fences』(原題)のデンゼル・ワシントンの手に。オスカー俳優のデンゼルだが、意外にもSAG主演男優賞は初めての受賞であった。(Hiromi Kaku)■関連作品:ラ・ラ・ランド 2017年2月24日よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開(C) 2016 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.
2017年01月30日第89回アカデミー賞に多種多様な人種がノミネートされた。昨年、白人ばかりのノミネートで物議を醸していた同賞だが、今年は俳優に対する賞の20人のノミネートのうち7人は白人以外の人種となっている。『フェンス』のデンゼル・ワシントンが主演男優賞、『ラビング愛という名前のふたり』のルース・ネッガが主演女優賞にノミネートされているほか、『ムーンライト』のマハーシャラ・アリが助演男優賞、同作品のナオミ・ハリス、『ヒドゥン・フィギュアズ』のオクタヴィア・スペンサー、『フェンス』のヴィオラ・デイヴィスが助演女優賞に名を連ねている。同じ年に主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞の各カテゴリーに黒人俳優たちがノミネートされることは史上初である。そのほかには、バリー・ジェンキンスが『ムーンライト』で監督賞、エイヴァ・デュヴァーネイの『13th 憲法修正第13条』が長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた。今年度のアカデミー賞のノミネートが発表される前、『ムーンライト』のマハーシャラは、有色人種の俳優たちがノミネートされることが「普通になっていく」ことを望んでいるとコメントしていた。その一方で、昨年のアカデミー賞ノミネートリストにおける人種の多様性の欠如に苦言を呈し、授賞式にも参加しなかったセレブの1人であるジェイダ・ピンケット・スミスは、今年度のノミネートリストに称賛のコメントを発表。昨年は夫ウィル・スミスらとともに授賞式をボイコットしたジェイダは、ヴァラエティのインタビューに「最高の気分よ。このノミネートを見ることができるなんて素晴らしいわ。今年度は特別な映画がたくさんあったからね」「『ヒドゥン・フィギュアズ』『フェンス』『ムーンライト』のような作品が認識されて選ばれた事をうれしく思うわ。今朝はとても誇り高い気分になったわよ」と語る。さらに、アメリカのドナルド・トランプ新大統領就任のこともあり、「現在のこの国の状況において、アーティストとして私たちがステイタスを使って、この国がどのように周囲から認識されたいのかという点に注目を注ぐ手助けをすることが重要だと思うわ」と意見。「だから今回のノミネートはその素晴らしい第一歩になったと私は見ているのよ」「どのような形でこの国を象徴したいのか、世界に届けたいメッセージとは何なのかという、この国のこの時代に生きるアーティストとしての参加の形なの」「私たちには力強い影響力があるわ。私たちは国のアイデンティティにおいても力強いイメージを作りだすことができる」と続けた。(C)BANG Media International
2017年01月26日ついにアカデミー賞のノミネーションが発表され、『ラ・ラ・ランド』が最多14ノミネートを果たし、圧倒的な強さを見せつけている。監督賞、作品賞など主要な部門で軒並みノミネートを受けている同作だが、今回は歌曲賞に注目。というのも、この部門にEGOTへの王手をかけているリン=マヌエル・ミランダが『モアナと伝説の海』の「How Far I’ll Go」で初ノミネートされているからだ。EGOTとは、エミー賞、グラミー賞、オスカー、トニー賞の頭文字を取ったもので、エンタメ界における主要な4つの賞をすべてを獲得した人がそう呼ばれている。現在までにオードリー・ヘプバーンやウーピー・ゴールドバーグを含む12人(ほかに、例外的な枠で5人いる)しか成し遂げていない“偉業”に、果たして彼が仲間入りすることはできるだろうか。リンのライバルはというと、アニメ『Trolls』(原題)の主題歌を手掛け、こちらもオスカーには初ノミネートのジャスティン・ティンバーレイク、HBO局のドキュメンタリー映画『Jim: The James Foley Story』(原題)でスティングが、そして『ラ・ラ・ランド』からは2曲がノミネートされており、そのうち1曲はゴールデン・グローブ賞の主題歌賞を獲得したという強敵ぞろい。リンはオスカーの初ノミネートを受けて大興奮。「授賞式に向かうのが楽しみでしょうがないよ。控えめな態度を取ることすらできない。だって、子どもの頃からオスカーの授賞式のファンで、テレビで見ていたからね」とAP通信に語っている。(Hiromi Kaku)
2017年01月25日第89回アカデミー賞のノミネーション発表を目前に、第37回ゴールデン・ラズベリー賞(ラジー賞)のノミネーションが発表された。ラジー賞はアカデミー賞と対極で、前年の「最低最悪な映画」を表彰する賞である。今回は『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』と『ズーランダー2』が「最低作品賞」、「最低主演男優賞」などそれぞれ8部門でノミネートされ、どちらがより多くの賞を受賞するかに注目が集まる。『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』は、バットマンを演じたベン・アフレックと、スーパーマンを演じたヘンリー・カヴィルがともにインタビューを受けた際、「映画が酷評されている」と聞いたベンが終始悲し気な顔でだんまり…という様子が話題になった。『スーランダー2』は前作から15年が経ち、超豪華ゲストを集めてパワーアップぶりをアピールしていたが、製作費56億ドルに対して興収が50億ドルと伸びなかった。日本では劇場公開されず、DVDスルーに。通常、それぞれの部門のノミネートは5つまでなのだが、今年は5つの枠に収まりきらず6つに増やされているのが特徴だ。授賞式はアカデミー賞の前日の2月25日(現地時間)に行われるが、俳優や監督にとって不名誉な賞のため、例年トロフィーを受け取りに来る人はほぼいない。過去にはサンドラ・ブロックが授賞式に参加し、「粋だ」と評価されたが、今年は果たして?(Hiromi Kaku)
2017年01月24日1月16日(月)、「第40回日本アカデミー賞」優秀賞の15部門および新人俳優賞が発表。『怒り』『シン・ゴジラ』『湯を沸かすほどの熱い愛』や、アニメーション作品からは『君の名は。』『この世界の片隅に』などが優秀賞に選ばれ、新人俳優賞には杉咲花、高畑充希、岩田剛典、坂口健太郎、千葉雄大ら最旬俳優の名前が並んだ。同賞は、2015年12月16日~2016年12月15日の間に公開された作品から、優秀な劇場用映画およびアニメーション作品を表彰したもの。授賞式の女性司会者は、前年の最優秀主演女優賞を獲得した女優が務めるのが恒例となっており、今年は、昨年『百円の恋』で最優秀主演女優賞を受賞した安藤サクラと、日本アカデミー賞協会組織委員会副会長の西田敏行とともに司会を務める。優秀作品賞には5作品が選出。渡辺謙を主演に、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡ら豪華俳優陣の共演が話題となった『怒り』。本作では李相日監督が優秀監督賞&脚本賞を受賞。ほか、宮崎あおいが主演女優賞に、妻夫木聡&森山未來が優秀助演男優賞に、広瀬すずが優秀助演女優賞に選出。さらに佐久本宝が、新人俳優賞に選ばれた。“熟年離婚”をめぐり大騒動を繰り広げる家族の姿を滑稽に、かつ温かく描いた映画『家族はつらいよ』。山田洋次監督は、平松恵美子とともに優秀脚本賞に選出。庵野秀明・総監督、樋口真嗣監督の『シン・ゴジラ』は優秀監督賞のほかに、長谷川博己が主演男優賞、石原さとみ&市川実日子が助演女優賞、鷺巣詩郎が優秀音楽賞を受賞。宮沢りえが主演を務め、オダギリジョー、杉咲花らとともに、“死にゆく母と、残される家族の愛と絆”を描いた『湯を沸かすほどの熱い愛』からは、中野量太監督が優秀監督賞&脚本賞を。宮沢さんが主演女優賞で、杉咲さんが助演女優賞&新人俳優賞を受賞。『半落ち』『クライマーズ・ハイ』の原作を手がける横山秀夫のベストセラー小説を2部作で映画化する『64-ロクヨン-前編』では、佐藤浩市が主演優秀賞に選ばれたほか、坂口健太郎が新人俳優賞、監督賞&脚本賞、音楽賞、撮影賞などを受賞。そして、この夏の劇場を大いに賑わせたアニメーション映画からも5作選出。日本映画史に残る大ヒットを記録し、海外でも高い評価を得る『君の名は。』。新海誠監督が、優秀監督賞&脚本賞に選ばれ、「RADWIMPS」が優秀音楽賞を受賞。のんが主人公の声を務め、公開スタート時全国63館だったが、週を追うごとに拡大公開を重ね、大ヒットを記録している『この世界の片隅に』も、作品賞と、コトリンゴが優秀音楽賞を受賞した。ほか大今良時のベストセラーコミックを原作に、入野自由、早見沙織ら人気声優を迎え京都アニメーションが映画化した『聲の形』、『ルドルフとイッパイアッテナ』、『ONE PIECE FILM GOLD』。ほか、優秀主演男優賞には、『日本で一番悪い奴ら』の綾野剛、『海賊とよばれた男』の岡田准一、『聖の青春』の松山ケンイチ。優秀主演女優賞には、『後妻業の女』の大竹しのぶ、『リップヴァンウィンクルの花嫁』の黒木華、『ちはやふる-上の句-』の広瀬すずが選出。新人俳優賞には、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』から高畑充希&岩田剛典、『セーラー服と機関銃ー卒業ー』の橋本環奈、『殿、利息でござる!』の千葉雄大、『ちはやふる』の真剣佑ら、旬なメンバーが揃った。優秀外国作品賞には、『オデッセイ』『ズートピア』『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』『ハドソン川の奇跡』『レヴェナント:蘇りし者』。各賞の最優秀賞の発表、授賞式は3月3日(金)グランドプリンスホテル新高輪にて開催。同日21時からは日本テレビ系にて「第40回日本アカデミー賞授賞式」を放送予定。(text:cinemacafe.net)
2017年01月16日ゴールデン・グローブ賞(以下GG賞)授賞式のプロデューサー・バリー・アデルマンによると、GG賞ではその年度に亡くなった俳優たちの追悼「In Memoriam」は通常行わないという。その理由は「『In Memoriam』はオスカーや全米俳優組合賞がうまくやってくれている」ということと、「GG賞はお祝いとパーティーがメインだから」と「Variety誌」に語っている。しかし、今年は昨年12月に亡くなったキャリー・フィッシャーとデビー・レイノルズ母娘の追悼映像を授賞式で流した。GG賞では異例かつ初めてのことである。それほど影響力が強く、悲しい出来事だった。追悼映像はデビーが歌った「You Made Me Love You」をBGMに、デビーの膝の上で遊ぶ小さなキャリーの映像から始まった。デビーの『雨に唄えば』やキャリーの『スター・ウォーズ』などの映画のワンシーンで2人の出演作をふり返り、キャリーがデビーを抱きしめるシーンで終わった。キャリーの弟トッド・フィッシャーは、GG賞の特別な計らいにツイッターで感謝を述べている。また、異母妹にあたるジョエリー・フィッシャーは、GG賞のアフターパーティーで「ETonline」に「今日は家から出て、2人を称えようと思って来たの。彼女たちを誇りに思うし、でもやっぱり悲しいわ」とコメントした。(Hiromi Kaku)
2017年01月10日年が明け、いよいよ本年度アカデミー賞に向けた映画賞レースは本格化。とはいえ、日本公開がまだまだ先の作品が多く、現状ではピンときていない人も多いのでは?いまのところ、ライアン・ゴスリング×エマ・ストーン×『セッション』監督で贈るミュージカル『ラ・ラ・ランド』、ブラッド・ピット製作総指揮で貧困やドラッグ、LGBTに斬り込んだヒューマンドラマ『ムーンライト』、マット・デイモン製作総指揮で盟友ベンの弟ケイシー・アフレック主演の『マンチェスター・バイ・ザ・シー』といった作品が前哨戦を牽引しているが、本年度アカデミー賞はとりわけ女優部門が華やかとなりそうなのだ。日本でも高い人気を誇る若手演技派から、注目の新星、ベテランまで混戦模様となっている。■主演女優賞には人気実力派がひしめくまず、主演男優賞では、『Manchester by the Sea』のケイシーや『ラ・ラ・ランド』のライアン、『Hacksaw Ridge』(原題)のアンドリュー・ガーフィールド、『ラビング愛という名前のふたり』のジョエル・エドガートン、『Fences』(原題)のデンゼル・ワシントン、『はじまりへの旅』のヴィゴ・モーテンセン、『ハドソン川の奇跡』トム・ハンクスといった顔ぶれが、おおかた揃いつつある。ライアンと並んで数多くのノミネートを受けているのが、『ラ・ラ・ランド』エマ・ストーンだ。一昨年は、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。トム・ハンクスが『ハドソン川の奇跡』の記者会見中にもかかわらず絶賛したことでも話題を呼んだ同作は、エマが「ヴェネチア映画祭」で女優賞を受賞し、快進撃が始まった。「キャバレー」でブロードウェイデビューも果たしているエマでも、歌とダンスを猛特訓したという。L.A.を舞台にし、オーディションに落ち続けても女優になる夢をあきらめないという役柄は、アカデミー会員でなくても共感を集めること必至。そんなエマと、おそらく対抗することになりそうなのが、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』のナタリー・ポートマン。ノミネートされれば、自身が受賞した『ブラック・スワン』以来、2度目。誰もが一度は目にしたことがある1963年11月22日のJFK暗殺のその後、ファーストレディとして、妻として、母としての“ジャッキー”の4日間に迫っていく。ナタリーは外見はもちろん、英語のアクセントや歩き方まで見事“ジャッキー”を再現しているという。だが、『ザ・マスター』など4度の助演女優賞+『アメリカン・ハッスル』での主演女優賞ノミネートを誇る、『メッセージ』エイミー・アダムスにもそろそろオスカーを獲らせてあげたいような…。ゴールデン・グローブ賞(コメディ/ミュージカル部門)は2年連続受賞しているが、オスカーが無冠なのは意外ですらある。同作では、『ブレードランナー』も控えるドゥニ・ヴィルヌーヴ監督のもと、突然飛来した謎の知的生命体とコミュニケーションを試みる言語学者に。多様性を受け入れない“不寛容さ”が世界的問題となる中、どんな“メッセージ”を彼女が伝えようとするのか、気にならずにいられない。■今年は何か違う!?多彩な顔ぶれに注目さらに、無冠のベテランにも注目したい。まず、『人生はビギナーズ』のマイク・ミルズ監督が自身の母親をテーマに描いた半自伝的作品『20TH CENTURY WOMEN』(原題/6月公開)のアネット・ベニング。激動の70年代を軽やかに生きた女性を体現したアネットは、キャリア最高の演技と絶賛を受けている。アカデミー賞にノミネートされれば、『キッズ・オールライト』以来6年ぶり実に5度目。加えて、ポール・ヴァーホーヴェン監督初のフランス語映画『Elle』(原題/夏公開)から、フランスの実力派イザベル・ユペールの初ノミネートもあるかも。作品はカンヌをはじめ高い評価を得ているが、アカデミー外国語映画賞の候補からは漏れてしまったため、イザベルのノミネートに期待する。また、昨年は「白いオスカー」と物議を醸し、ボイコット騒動などもあったが、今年は少し風向きが異なりそうだ。『ラビング愛という名前のふたり』で夫(ジョエル・エドガートン)と深い愛で結ばれた妻を演じた新星ルース・ネッガは、まず主演女優賞候補に入るだろう。デンゼルの監督&主演作『Fences』で妻を演じたヴィオラ・デイヴィス、作品賞候補の筆頭株『ムーンライト』のナオミ・ハリス、さらにNASAに協力していた天才黒人女性を描く『Hidden Figures』(原題)から主演タラジ・P・ヘンソンほか、助演にオクタヴィア・スペンサー、ジャネール・モネイのうち誰かがノミネートされるかもしれない。ちなみに同作の音楽は、ファレル・ウィリアムズが務めている。助演女優賞といえば、ほかに『マンチェスター・バイ・ザ・シー』からミシェル・ウィリアムズ、『LION/ライオン~25年目のただいま~』からはニコール・キッドマン、『20TH CENTURY WOMEN』からはグレタ・ガーウィグなど、世代も個性もさまざまな女優たちが揃いそう。助演男優賞候補としては、『ムーンライト』で主人公の少年の面倒を見る麻薬ディーラーを演じたマハーシャラ・アリ。続いて、Netfilx配信中『最後の追跡』からジェフ・ブリッジスとベン・フォスター、『LION/ライオン』デヴ・パテルなどが上げられる。(text:cinemacafe.net)
2017年01月03日いよいよスタートした本年度の映画賞レースを早くも席巻している、ブラッド・ピットの製作会社プランBエンターテインメントが贈る『MOONLIGHT』が、『ムーンライト』とのタイトルで2017年に日本公開されることが決定した。学校では“チビ”(Little)というあだ名でいじめられ、麻薬常習者の母親ポーラ(ナオミ・ハリス)からは育児放棄をされているシャロン(アレックス・ヒバート)は、マイアミの貧困地域で暮らす内気な性格の男の子。行き場を失ったシャロンにとって唯一の救いは、自分の親代わりになってくれる、近所に住む麻薬ディーラーの男ホアン(マハーシャラ・アリ)とその妻、そしてたった1人の男友達のケビンだった。そんな日々の中、シャロンは、ケビンに惹かれている自分に気づく。しかし、このコミュニティではこの感情は受け入れてもらえないと、幼いながらも勘づいていたシャロンは、誰にも、もちろんケビンに対してもそのことを伝えられずにいた。そんなとき、ある事件が起き…。本作は、マイアミの貧困地域を舞台に、自分の居場所とアイデンティティを探すある少年の成長を、少年期、ティーンエージャー期、大人になるまで、3つの時代構成で描いたヒューマンドラマ。ドラッグ、いじめ、虐待、父親の不在など、たくさんの傷を負いながらも、自我に目覚め、強く生き抜く主人公の姿が、本作の最大の魅力。公開決定とともに解禁となった海外版のポスターも、彼の3つの時代の主人公をひとつにコラージュした、力強いデザインとなっている。すでに本作は、賞レースの幕開けとなった「第26回ゴッサム・インディペンデント・フィルム・アワード」で作品賞、審査員特別賞、観客賞、脚本賞の最多4部門を受賞。同賞で作品賞を受賞した作品は、『スポットライト 世紀のスクープ』『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』や、プランB製作『それでも夜は明ける』と、そのままアカデミー賞作品賞に輝いており、本作も大きな注目を集めている。また、「ナショナル・ボード・オブ・レビュー」ではトップ10作品に選ばれ、監督賞(バリー・ジェンキンス)、助演女優賞(ナオミ・ハリス)が受賞、「インディペンデント・スピリット賞」では作品賞、監督賞ほか最多6部門ノミネートを受け、「NY批評家協会賞」では監督賞、撮影賞、助演男優賞(マハーシャラ・アリ)の3部門、今週発表された「LA映画批評家協会賞」では作品賞、監督賞、助演男優賞、撮影賞の最多4部門を受賞。「放送映画批評家協会賞」にも計8部門にノミネートされ、本年度のオスカー最有力候補として早くも話題沸騰。来週、12月12日(現地時間)発表のゴールデン・グローブ賞ノミネートにも期待がかけられている。エグゼクティブプロデューサーを務めるのは、もちろんブラッド・ピット。監督・脚本を務めたのは、前作『Medicine for Melancholy』(未)も高い評価を受けたバリー・ジェンキンス。シャロンの麻薬常習者の母親には『007』シリーズや『われらが背きし者』のナオミ・ハリス、主人公の少年の面倒を見る麻薬ディーラーに、『ハンガー・ゲーム FINAL:レジスタンス』、人気ドラマ「ハウス・オブ・カード野望の階段」「Marvel ルーク・ケイジ」などに出演するマハーシャラ・アリに、新星アレックス・ヒバートらが出演。賞レースの行方とともに、日本上陸も楽しみにしていて。『ムーンライト』は2017年、全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2016年12月07日アカデミー賞の前哨戦の1つとされているLA映画批評家協会賞が4日(現地時間)に発表された。作品賞と監督賞はバリー・ジェンキンス監督の『Moonlight』(原題)が受賞。どちらの賞もデミアン・チャゼル監督の『ラ・ラ・ランド』(原題)が次点に選ばれた。『Moonlight』からは、マハーシャラ・アリが助演男優賞、ジェームズ・ラクストンが撮影賞を獲得。計4部門で受賞し、高い評価を受けた。助演男優賞は、遠藤周作の「沈黙」を原作とし、ハリウッドで映画化された『沈黙-サイレンス-』に出演のイッセー尾形さんが次点として発表されている。アニメ賞に輝いたのは、世界でも話題、いまもなお日本で記録的なヒットを更新中の『君の名は。』だ。アカデミー賞にまた一歩近付き、ますます期待が高まる。新海誠監督は現在、海外プロモーションでロサンゼルスに滞在中だとのこと。リアルタイムで受賞を耳にし、ツイッターで「LAで取材中に嬉しいニュース。『君の名は。』がロサンゼルス映画批評家協会賞、アニメ部門受賞だそうです。なんと。マジですか…」と喜びを語っている。なお、次点はスタジオジブリ初の海外共同作品『レッドタートル ある島の物語』だった。(Hiromi Kaku)
2016年12月05日2016年カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した巨匠ケン・ローチ監督の『I, DANIEL BLAKE』が、『わたしは、ダニエル・ブレイク』として2017年3月、日本公開されることが決定した。舞台は、イギリス北東部ニューカッスル。大工として働く59歳のダニエル・ブレイクは心臓の病を患い、医者から仕事を止められる。国の援助を受けようとするダニエルだったが、複雑な制度が立ちふさがり、必要な援助を受けることができない。悪戦苦闘するダニエルだったが、シングルマザーのケイティと彼女の2人の子どもを助けたことから、交流が生まれる。貧しいなかでも、寄り添い合い絆を深めていくダニエルとケイティたち。しかし、厳しい現実が彼らを次第に追いつめていく――。前作の『ジミー、野を駆ける伝説』を最後に、映画界からの引退を表明していた社会派の巨匠ケン・ローチが、現在のイギリス、そして世界中で拡大しつつある格差や貧困にあえぐ人々を目の当たりにし、どうしても最後に伝えたい物語として引退を撤回してまで挑んだ本作。複雑な国の制度に翻弄され、人としての尊厳を踏みにじられ、貧困に苦しみながらも、助け合い生きていこうとするダニエルとケイティ親子との心の交流は、世界中に感動と涙を届け、カンヌ国際映画祭では見事、『麦の穂を揺らす風』(’06)に続く2度目のパルムドールを受賞した。今年6月、EU離脱を決めたことも記憶に新しいイギリスでは、10月21日より公開されており、ケン・ローチ作品史上最大のヒットを記録。常に労働者や社会的弱者に寄り添い、彼らを取り巻く厳しい現実と、それでも明日を懸命に生きようとする人々の明るさや温かさ、底力を描き続けてきた監督の集大成であり、最高傑作との声が相次いでいる。そして、衝撃的な大統領選を終えたばかりのアメリカでは、12月25日に公開を控えている。早くもアカデミー賞ノミネートを確実視する声が続出するなど、作品への賞賛はとどまるところを知らない。また、2017年は『夜空に星があるように』(‘67)での長編映画デビューから50周年を迎えるケン・ローチ記念イヤーでもある。決して遠い国の出来事ではない本作の、満を持しての日本公開を楽しみにしていて。『わたしは、ダニエル・ブレイク』は2017年3月18日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年11月10日2015年度の賞レースを賑わせ、圧倒的な衝撃度で大ヒットを記録した『セッション』のデイミアン・チャゼル監督最新作『LA LA LAND(ラ・ラ・ランド)』(原題)。第73回ヴェネチア国際映画祭でオープニング上映された本作でヒロインを務めたエマ・ストーンが、見事、同映画祭で女優賞に輝いた。オーディションに受からず、落ち込んでいた女優志望のミア(エマ・ストーン)は、ふとピアノの音色に誘われて入ったジャズバーでピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)と最悪な出会いを果たす。偶然にも二度目に出会ったときは、セバスチャンはふてくされながら80年代ポップスをプールサイドで演奏していた。初めての会話でぶつかり合う2人。しかし、お互いの才能に惹かれ始め、次第にそれは恋へと変わっていく――。本作は、28歳にして『セッション』で数々の賞レースを席巻し、世界中を虜にした“若き天才”デイミアン・チャゼルが、圧倒的音楽×ダンスで贈る極上のエンターテインメント。古き良きハリウッドの50~60年代のミュージカル映画を彷彿とさせながら、最高にゴージャスでロマンチックに、若きジャズピアニストと若手女優の恋を描き出す。『きみに読む物語』『ドライヴ』などで人気を博し、『ブレードランナー』続編にも出演するライアン・ゴズリングと、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』でアカデミー賞助演女優賞など数多くの賞にノミネートされたエマ・ストーンが、『ラブ・アゲイン』『L.A. ギャング ストーリー』に続いて共演。さらに、『セッション』でアカデミー賞を受賞したJ・K・シモンズや、『ハートビート』『エクス・マキナ』の日系女優ソノヤ・ミズノらが名を連ねる。そんな本作は、カンヌ、ベルリンと並ぶ世界3大映画祭の1つで、今年で73回を数えるヴェネチア国際映画祭のオープニング作品に選出され、8月31日に華やかに同映画祭の開幕を飾った。今回、エマが受賞した女優賞といえば、過去にジュリアン・ムーアが『エデンより彼方へ』(’02)で受賞し、アカデミー賞主演女優賞にノミネート、ヘレン・ミレンが『クィーン』(’06)で受賞し、そのままアカデミー賞を獲得しており、エマにとってもアカデミー賞は射程圏内に。なお、本作は賞レースの前哨戦として知られる、現在開催中のトロント国際映画祭にも出品されている。『LA LA LAND』(原題)は2017年2月、 TOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開予定。(text:cinemacafe.net)
2016年09月12日俳優のジャッキー・チェンが、アカデミー賞特別名誉賞を受賞することになった。『ラッシュアワー』などでおなじみのジャッキーと、映画編集者のアン・V・コーツ、キャスティングディレクターのリン・スタルマスター、ドキュメンタリー映画監督のフレデリック・ワイズマンが、11月に行われるガバナーズ・アワードでこの特別賞を受け取ることになると映画芸術科学アカデミーが1日に発表した。同団体のシェリル・ブーン・アイザックス会長は、声明文の中で「アカデミー賞特別名誉賞はジャッキー・チェン、アン・V・コーツ、リン・スタルマスター、フレデリック・ワイズマンのような、その分野における真の先駆者であり、伝説的な存在である人物のために作られた賞です」「彼らの素晴らしい功績を称えられることを誇りに思います」とコメントしている。ジャッキーは自国香港の映画作品への出演、脚本、監督、プロデュースだけでなく、世界中においても興行成績の成功をおさめた「他に類を見ない国際的なキャリア」を称えられ、今回の受賞に至った。一方、1962年作『アラビアのロレンス』で知られるアンは、『エレファント・マン』『アウト・オブ・サイト』『オリエント急行殺人事件』『エリン・ブロコビッチ』など、60年間にわたるキャリアの中で多くの有名作品を手掛けてきた。『卒業』『屋根の上のバイオリン弾き』『トッツィー』を含む200作品以上の映画に携わってきたリンは、ジョン・トラボルタやジョン・ヴォイト、故クリストファー・リーヴらをはじめとする俳優の才能の発掘してきた人物だ。フレデリックは、自身にとって初のドキュメンタリー作品である精神異常を抱える犯罪者たちを収容した病院の舞台裏に迫った1967年作『チチカット・フォーリーズ』をリリース後、ほぼ毎年ドキュメンタリー作品を世に送り出してきた。この4人は、11月12日にハリウッド&ハイランドセンターのレイ・ドルビー・ボールルームで開催される第8回ガバナーズ・アワードでアカデミー賞特別名誉賞を受賞する。2015年度には、デビー・レイノルズ、スパイク・リー、ジーナ・ローランズらが同賞を受賞していた。(C)BANG Media International
2016年09月05日ジミー・ファロンが2017年度ゴールデン・グローブ賞の司会を務めることが決定した。第74回ゴールデン・グローブ賞の司会に選ばれたジミーは自身のツイッターで2日、「来年1月に行われるゴールデン・グローブ賞の司会を務めることになったことにワクワクしているよ。1月8日に賞のパーティーのプランを立てておいてね。もしかしたら君も式典に参加できるかもしれないよ」と発表した。NBCエンターテイメントのロバート・グリーンブラット会長は「われわれは記念すべき夜に最高にふさわしい司会者を見つけました、ジミー・ファロンです」「彼がユニークでウィットにとんだ式典を作り上げてくれることを確信しています。ハリウッド外国人記者協会とわれわれは彼が引き受けてくれたことにとても感激しています」とコメントしている。ゴールデン・グローブ賞は2010年、2011年、2012年、2016年はリッキー・ジャーヴェイスが、2013年から2015年はティナ・フェイとエイミー・ポーラーが司会を担当。第74回ゴールデン・グローブ賞は2017年1月8日にNBCで地上波放映されることになっている。(C)BANG Media International
2016年08月04日第11回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の授賞式が、7月8日にフランス大使公邸にて行われた。日本特別賞には、アーティストであり、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ助教でもあるスプツニ子!が選ばれた。スプツニ子!は、テクノロジーやサイエンスが人々の価値観や社会にどのような影響をもたらすのかを探求する作品を数多く制作・発表しているアーティスト。今年は、恋におちる成分と言われるオキシトシンと、赤く光る珊瑚の遺伝子を導入した蚕から「運命の赤い糸」を製作。これを用い、好きな人にその気持ちを伝えることができない不器用な理系女子の主人公が、自ら研究する遺伝子組み換え蚕によって「運命の赤い糸」を創作する映像インスタレーション作品「運命の赤い糸をつむぐ蚕-タマキの恋」を制作し、「瀬戸内国際芸術祭2016」にて発表した。その他にも、理系のバックグラウンドとアーティストならではの斬新な発想を融合した作品をソーシャルメディアなどで国内外に訴求し、世界的に注目されており、気鋭の新世代リーダーとしてその功績が高く評価され、今回の受賞に至った。なお、「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」は、05年に日本ロレアルが日本ユネスコ国内委員会との協力のもと創設した賞。物質科学または生命科学の博士後期課程に在籍、または同課程に進学予定の女性科学者を対象に計4名の受賞者を決定し、賞状と奨学金100万円を贈呈している。
2016年07月19日第88回アカデミー賞で作品賞と脚本賞をW受賞した『スポットライト 世紀のスクープ』のDVD&Blu-rayの発売がこのほど決定。特典内容も明らかとなった。2002年1月、米国の新聞「ボストン・グローブ」が、カトリック教会の信じがたい実態を報じた。数十人もの神父による児童への性的虐待を、教会が組織ぐるみで隠蔽してきた衝撃のスキャンダル。その許されざる罪は、なぜ長年黙殺されたのか。「スポットライト」という名の特集記事を担当する記者たちは、いかにして教会というタブーに切り込み、暗闇の中の真実を探り当てたのだろうか――?「ピューリッツァー賞」に輝いた「ボストン・グローブ」紙の調査報道チームの軌跡を映画化した本作。“世紀のスクープ”の内幕を取材に当たった新聞記者の目線で克明に描き、社会派ドラマの傑作として高い評価を得ている。脚本と監督を『扉をたたく人』『靴職人と魔法のミシン』のトム・マッカーシーが出手掛け、キャストにはマイケル・キートンや、本作でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたマーク・ラファロ、同じくアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたレイチェル・マクアダムス、リーヴ・シュレイバーら実力派が勢揃いしている。また、日本語吹替版のキャストには、「スポットライト」班のマーク演じるマイク・レゼンデス役を宮内敦士、マイケル演じるウォルター“ロビー”ロビンソン役に牛山茂、レイチェル演じるサーシャ・ファイファー役に森なな子、リーヴ演じるマーティ・バロン役に大塚明夫、ジョン・スラッテリー演じるベン・ブラッドリー・Jr.役に仲野裕、そして弁護士のスタンリー・トゥッチ演じるミッチェル・ガラベディアン役を岩崎ひろしが担当し、こちらも豪華声優陣が集結している。このほど発売が決定したDVD&Bru-rayでは、特典映像としてスタッフやキャスト、モデルとなった記者のインタビュー映像や、撮影風景、日本版と海外版の予告編&TVスポット集が収められている。『スポットライト 世紀のスクープ』のDVD&Blu-rayは9月7日(水)より発売。<『スポットライト 世紀のスクープ』発売情報>発売日:9月7日(水)※同日レンタル開始価格:DVD3,800円+税/Blu-ray4,800円+税発売元・販売元:バップ(C)2015 SPOTLIGHT FILM, LLC(cinemacafe.net)
2016年07月08日8日(水)、第42回「放送文化基金賞」が発表され、「番組部門」のテレビドラマでは、最優秀賞に「赤めだか」(TBS)、優秀賞に「天皇の料理番」(TBS)が選ばれた。同部門の演技賞には、「天皇の料理番」主演の佐藤健と、福岡発地域ドラマ「いとの森の家」で樹木希林が受賞している。過去1年間の放送番組から優れたテレビ、ラジオ番組や個人・グループに毎年贈られる「放送文化基金賞」。今年も平成27年4月~28年3月に放送されたものを対象に選出した。全国の民放、NHK、プロダクションなどから、全部で268件の応募、推薦があり、テレビドキュメンタリー、テレビドラマ、テレビエンターテインメント、ラジオの4つの番組部門で、それぞれ最優秀賞、優秀賞、奨励賞の16番組と、演技賞や企画賞など個人5件、さらに個人・グループ部門の放送文化、放送技術で8件を決定した。昨年は「相棒 season13」(テレビ朝日)が最優秀賞に選ばれた「番組部門」におけるテレビドラマ番組。今年は、立川談春の同名エッセイを原作に、「嵐」二宮和也主演で昨年12月28日(月)に放送された、年末ドラマ特別企画「赤めだか」が受賞。ビートたけしが立川談志を演じ、17歳で談志に入門した二宮さん演じる談春と、談志の弟子たちの成長物語。「厳しさを自らのものとすることで人は成長できることを教えてくれる啓発的ドラマでありながら、笑いを随所に盛り込んでぐいぐい引き込むストーリー」などと評され、最優秀賞に輝いた。優秀賞に選ばれた「TBSテレビ60周年特別企画 日曜劇場『天皇の料理番』」。大正・昭和時代に宮内省の厨司長を務めた秋山徳蔵氏の人生を描いた杉森久英の同名小説が原作で、田舎のやっかい者・秋山篤蔵を佐藤さんが演じ、天皇の料理番を勤め上げるまでに成長していく物語。「キャスティング、ストーリーの構成どれをとっても完成度が高い」と絶賛され、主役の脇を固めた黒木華、鈴木亮平といった俳優たちの演技も「質がみな高かった」とされた。主演の佐藤さんは演技賞も本作で受賞し、「難しい役柄を、多くのハードルを越えて演じ切り、ドラマの強力な牽引力となった演技は秀逸」と評価されている。(text:cinemacafe.net)
2016年06月08日主演のブリー・ラーソンが本年度のアカデミー主演女優賞に輝いた映画『ルーム』が今週末から公開になる。小さな部屋に閉じ込められていた母子が脱出し、世界に触れ、新たな一歩を踏み出す過程を描いた作品だが、監督を務めたレニー・アブラハムソンは、部屋の“中”の物語と“外”の物語のバランスをとることに最も力を注いだと語る。その他の画像本作は、小さな部屋に閉じ込められた状態で暮らす母と、部屋しか知らない息子が脱出をはかり、部屋の外の世界に踏み出していく物語。エマ・ドナヒューの小説が原作で、日本では“インサイド”と“アウトサイド”の上下巻で刊行されている(講談社文庫・刊)。アブラハムソン監督は「通常ならばパートナーや子どもの友達といった周りの人間や、学校などの機関があって子育てをするのですが、この極端な物語の中では、母親がその負荷を全部担っている」という。「教育だったりメンタル面だったり、子どもの世界のすべてを母親ひとりが提供しなければいけない、一緒に作っていかなければいけない状況に置かれているわけです。こういった極端な設定によって、子育ての大変な部分と素晴らしい部分のすべてを掘り下げて模索するドラマを描こうとしました」このような設定の物語であれば、部屋からの“脱出”が物語のクライマックスになると想像する人もいるかもしれない。しかし、本作では、部屋が世界のすべてだった前半と、現実の世界に触れる後半が同じウェイトで描かれる。「この映画を作る上で最大の挑戦は、部屋の内と外とのバランスをとることでした。部屋から逃げられたことで観客の興味が失われてしまったら、後半はおまけみたいなものになってしまいます。観客に後半にもついてきてもらうために必要なものを考えたとき、それはやはり前半部分で、いかに観客がこの親子とつながりを持てるかということでした」母と子が部屋を出ても、物語は続く。それどころか、部屋を出た後の方が、“部屋”の存在感は大きくなり、観客は母子から目が離せなくなるだろう。「そのため前半から後半へと移る際には、作曲家、編集と僕で独特なテンションを作りあげなければいけませんでした。それは(脱出を果たした)ふたりの再会の後からすでに、少しだけ感じられるようになっています。この部分は編集で一番時間をかけたかもしれません。特に後半に入ってからの最初のフェーズは、前半で作り上げたストーリーの要素を、改めて積み立てなおしてから後半へとつなげていくようにしました」小さな部屋に監禁された母子が暮らしている場面から始まるこの物語は、観客の予想外の方向へと展開するが、アブラハムソン監督は「普段目にはしないような極端な状況ではあるものの、普遍的な話でもあります。本作は、実は子育てという子どもと親の絆が掘り下げられている物語なのです」と語っている。『ルーム』4月8日(金)TOHOシネマズ 新宿ほか全国公開
2016年04月05日日本生産性本部の「職業のあり方研究会」は3月23日、平成28年度の新入社員の特徴をまとめた結果を発表した。これによると、平成28年度新入社員のタイプは「ドローン型」だという。同研究会は、「ドローン型」について、「強い風(就職活動日程や経済状況などの目まぐるしい変化)にあおられたが、なんとか自律飛行を保ち、目標地点に着地(希望の内定を確保)できた者が多かった。さらなる技術革新(スキルアップ)によって、さまざまな場面での貢献が期待できる。内外ともに社会の転換期にあるため、世界を広く俯瞰できるようになってほしい。なお、夜間飛行(深夜残業)や目視外飛行は規制されており、ルールを守った運用や使用者の技量(ワークライフバランスへの配慮や適性の見極め)も必要」とコメントしている。平成28年入社組の就職活動の特徴としては、昨年と同様に新卒の採用に積極的な企業が目立ったほか、「大学等の卒業予定者の就職内定率状況調査」(2015年12月1日時点、厚生労働省・文部科学省)では内定率が昨年の 80.3%とほぼ同等の80.4%で、リーマンショック前の水準に近づいており、いわゆる第2次就職氷河期はほぼ終息したと考えられるとしている。日本生産性本部は毎年、その年の新入社員の特徴からネーミングを行っている。平成27年度の新入社員は「消せるボールペン型」、平成26年度の新入社員は「自動ブレーキ型」、平成25年度の新入社員は「ロボット掃除機型」、平成24年度の新入社員は「奇跡の一本松型」、平成23年度の新入社員は「はやぶさ型」、平成22年度の新入社員は「ETC型」と名づけられている。
2016年03月24日