痛みを葬らず、感じた歓びも忘れず©Frenesy, La Cinefacture 1983年夏、北イタリアの避暑地で家族と夏を過ごす17歳のエリオは、大学教授の父が招いた24歳の大学院生オリヴァーと出会います。一緒に自転車で街を散策したり、泳いだり、午後を読書や音楽を聴いたりして過ごすうちに、エリオのオリヴァーへの気持ちは、やがて初めて知る恋へと変わっていくのでした。 眩しすぎる太陽の中で、激しく恋に落ちるふたり、しかし夏の終わりとともにオリヴァーが去る日が近づいてきてー。 激しいセクシュアリティの描写 ©Frenesy, La Cinefacture出版とともに絶賛されたアンドレ・アシマンによる『君の名前で僕を呼んで』は、精神的にもセクシャリティの面においても、成長の真っ只中にある若者が持つ焦燥感を描き、まるで若者の心の中を映しだす窓のような小説です。そんな同名原作を脚色したのは、映画史にも残る『日の名残り』の名匠ジェームズ・アイヴォリー。彼の手腕により新しく生まれ変わった本作品は、20年後も続いている原作の結末とは異なりますが、エリオとオリヴァーの恋愛関係が忠実に描写されています。物語において2人は結びつくものの、幾度となく進展・後退を繰り返し、その部分に焦点を当てることで、ゆっくりと関係を構築しながら、観客の期待感を高めていきます。そして、貪るように互いを求めながら、優しくことを運んでいく官能的なシーンは、ただの行為ではなくキャラクターとしての振舞いが反映され、互いが惹かれ合っていく必然性としての描写です。 ずっと記憶していたいラストショット ©Frenesy, La Cinefacture 本作品で主人公である17歳のエリオを演じるのは、本作品が初主演のティモシー・シャラメ。そして、エリオと恋に落ちるオリヴァーには、複雑な感情を繊細な演技力で魅せてくれたアーミー・ハマー。ティモシー・シャラメは弱冠22歳でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ、今やレオナルド・ディカプリオ以来となる、”実力と人気を兼ね備えた才能”とセンセーションを巻き起こしています。その表情だけを描き続ける、かつてない3分30秒にも及ぶ長回し…そのラストショットを見終えた時、心を振り動かされない人はいないでしょう。 1980年代の北イタリアの避暑地を舞台に、17歳と24歳の青年たちの生涯忘れられない、恋の痛みと歓びを描いた『君の名前で僕を呼んで』。誰もが胸の中にある柔らかい場所を思い出すような傑作。是非劇場に足を運んでお楽しみください。 【情報】君の名前で僕を呼んで2018年4月27日(金) TOHO シネマズシャンテ 他 全国ロードショー監督:ルカ・グァダニーノ脚色:ジェームズ・アイヴォリー出演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサールほか原題:Call Me By Your Name配給:ファントム・フィルム
2018年04月20日