「アカデミー賞」について知りたいことや今話題の「アカデミー賞」についての記事をチェック! (1/118)
アカデミー賞にスタント・デザイン部門が新設されることになった。2027年に公開される映画を対象にした第100回授賞式からのスタートとなる。ノミネーションの資格を得るためのルールを含む詳細は、追って知らされる。スタント部門の新設に関しては、長い間、スタントマンやスタント・コーディネーターから悲願の声が寄せられてきた。スタントマンでキャリアを始めた『デッドプール2』『ブレット・トレイン』のデビッド・リーチ監督は、中でも積極的にアピールしてきたひとりだ。また、来年の授賞式からは、キャスティング部門が新たに加わる。今年公開の作品が初めての対象となる。文=猿渡由紀
2025年04月11日映画芸術科学アカデミーが2028年開催予定の第100回アカデミー賞授賞式より、「スタントデザイン賞」を新設することを発表した。新設に尽力した一人には、同アカデミー「制作&技術支部」のメンバーであるデヴィッド・リーチ監督がいる。『デッドプール2』や『フォールガイ』の監督で知られるデヴィッド・リーチは、スタントマン&スタントコーディネーターでもあり、ブラッド・ピットやジャン=クロード・ヴァン・ダムらのスタントマンを務めた経験がある。デヴィッド・リーチ監督は、インスタグラムで同賞の新設に長年の友人でビジネスパートナーでもあるクリス・オハラと共に数年費やしたことを明らかにし、業界の仲間たちに感謝をつづった。『X-MEN:ダーク・フェニックス』のサイモン・キンバーグ監督、ニコラス・ホルト、アリソン・ローマン、ダニエル・ウーらから祝福コメントが寄せられた。映画芸術科学アカデミーは、Xで「スタントは、常に映画の魔法の一部でした。そしていま、スタントはオスカーの一部になります」と報告。映画ファンは「2028年まで待たなければならないとはいえ、ついにか!」「最初の賞はトム・クルーズにあげてほしい」「来年から始めてくれればいいのに」などの声を上げている。アカデミー賞におけるスタント部門の賞については、『デッドプール2』でデヴィッド・リーチ監督と組んだライアン・レイノルズも昨年、「オスカーにはまだスタント部門がありません。いつか変わるといいなと思っています」とSNSで新設を希望していた。初の「スタントデザイン賞」は、2027年公開の映画が受賞対象となる。(賀来比呂美)
2025年04月11日3月14日、都内で行われた「第48回 日本アカデミー賞」授賞式。式の様子は、当日夜9時から日本テレビ系列で放送されたが、司会を務めた俳優・安藤サクラ(39)と受賞者のやり取りがXの一部で波紋を呼んだ。今年の日本アカデミー賞で優秀主演女優賞にノミネートされたのは、いずれも昨年公開の映画『ミッシング』の石原さとみ(38)、『夜明けのすべて』の上白石萌音(27)、『あんのこと』の河合優実(24)、『九十九歳。何がめでたい』の草笛光子(91)、『ラストマイル』の満島ひかり(39)の5人。この中から、河合が最優秀主演女優賞に選ばれた。受賞者発表前に、5人が壇上にあがり、安藤と司会の羽鳥慎一アナ(53)を交えたトークが行われた。『ミッシング』では、幼い娘が失踪し、懸命に捜索を続けるなか、世間からの誹謗中傷にさらされるという難しい役どころを演じた石原。初めにマイクを持つと、羽鳥から映画での役柄について問われ、「産後復帰作で娘を失った母親の役は本当に辛かったんですけど、実際に自分に子どもがいる、守るべき存在がいることが、本当にポジティブに働いた。こんなに育児って大変なんだ、愛おしいんだ、一瞬いなくなっただけで不安になるんだと。経験できたからこそ、奇跡的なタイミングでミッシングで役に挑戦できて本当にありがたかった」とコメント。続けて、石原は、安藤が産後復帰作として映画『万引き家族』(’18年公開)で主演していたことに触れ、安藤に対し「産後復帰作であの役をやられたということが、本当に感銘を受けまして。サクラさんみたいに挑戦しようって思えたんです。あの時、乗り越えてくださって本当にありがとうございますとお伝えしたかった」と謝意を述べた。これに、安藤は「いやぁ~……ありがとうございます」と聞き入っていた。いっぽう、上白石や河合とのトークでは、安藤が映画に関する感想を自ら述べる場面も。さらに、満島のコメントに対して、「私は映画(『ラストマイル』)が始まって、スクリーンにひかりちゃんが出てきて、大興奮したんですよね。よっしゃー!みたいな。すぐ映画館出て(満島に)連絡して。すごく胸がいっぱいになって」と語り、満島と2人で涙を流す一幕があった。放送された、このやりとりをめぐって、Xでは、安藤の石原と満島への対応に「差」があったとし、こんな声が上がった。《石原さとみさんの熱い感謝の言葉には薄い反応で、満島ひかりさんには涙を流してコメント、司会なんだからさ、そこは、何か冷めたわ》《石原さとみと満島ひかりの態度違いすぎて》《塩対応に見えてしまった》授賞式はテレビ放送に先がけて同日15時から行われており、放送されたのは編集を加えた収録映像だ。思わぬ批判を浴びてしまった安藤だが、安藤と石原の間にはテレビには映されていないやりとりがあったという。「実際、石原さんのコメントを受けて、安藤さんは2年以上映画の現場から遠ざかっていると自身の近況を明かしつつ、『子育てに限らず、乗り越えていかなきゃいけない現場の壁は一生ある』と応じていました。そして、“よりよい現場の環境づくり”に向き合いたいとしながら、『皆さんと交流できる場があったらいいなと思います』と提言し、石原さんも『参加したいです!』と意思を述べるなど、前向きな話し合いをする場面があったんです。たしかに、テレビ放送では、石原さんのときだけ、安藤さんの言葉数が極端に少ないように見えました。ただ、映像でも安藤さんは石原さんの話に笑顔で耳を傾けていましたし、自身に対する石原さんの熱い思いも心に響いていたのではないでしょうか」実際、当日の会場レポートなどがXでも拡散されており、多くのユーザーからこんな声が上がっている。《放送して欲しかったなぁ塩対応っぽくうつっちゃったのは本当によくない》《番組ではカットされているけど安藤サクラさんと石原さとみさんが共に話し合える場(女優会みたいな?)を作りたいと言っていたのが印象強かった実現したら素晴らしい!》《石原さとみさんのお話の後の安藤サクラさんのコメントは切ったらあかんやつや、、、早く完全版見たい》
2025年03月17日(C)JMPA3月14日に東京・グランドプリンスホテル新高輪で開催された「第48回日本アカデミー賞授賞式」。公開当初は1館のスタートだった『侍タイムスリッパー』が最優秀作品賞という快挙を達成したほか、横浜流星(28)が『正体』で最優秀主演男優賞、河合優実(24)が最優秀主演女優賞をそれぞれ初めて受賞した。日本映画界の1年の総決算であり、ノミネートされた豪華俳優陣の気合の入ったスタイリングも楽しみな同賞。とりわけ注目を集めたのは、『はたらく細胞』の演技で優秀助演女優賞を受賞した芦田愛菜(20)だ。3歳から芸能活動を始め、’10年のドラマ『Mother』(日本テレビ系)での演技が絶賛を集め、以降“天才子役”として圧倒的なキャリアを築いてきた芦田。第34回日本アカデミー賞でも、’10年の映画『ゴーストもういちど抱きしめたい』で新人俳優賞を受賞している。そして、14年の時を経て優秀助演女優賞で凱旋した芦田。衣装はというと、首元に大きなリボンがあしらわれた漆黒のドレスに、両耳にはパールのイヤリングを着用していた。「芦田さんが着用していたドレスは、高級ブランドジョルジオ・アルマーニ、イヤリングはTASAKIのものだとみられています。どちらもお値段は60万円前後すると思います」(ファッション誌ライター)14日21時から日本テレビ系で放送された授賞式では、新人俳優賞を受賞した際の初々しい子役時代の映像も流されていた芦田。そこから大きく成長し、今や日本を代表する女優の一人になった彼女の艶やかなドレス姿にX上ではこんな声が。《日本アカデミー賞の芦田愛菜ちゃんほんとに綺麗、ドレスを内面の美しさを引き出すように纏っていてさらに正式な場での所作から育ちの良さが滲み出ていてとても綺麗》《昨日の、日本アカデミー賞 芦田愛菜ちゃん、めちゃくちゃ綺麗だったな 清楚で、大人になった感じある ドレスも似合ってたし、瞳が綺麗》《アカデミー賞でのドレス姿の愛菜ちゃん、もう素敵な大人の女性じゃん》《日本アカデミー賞、芦田愛菜さんがめちゃくちゃ素敵にドレスをお召しになられてる…とてもお似合い…アルマーニなんですね…とても…良…》
2025年03月17日話題のフランス映画『エミリア・ペレス』が3月28日(金)、日本公開される。ゴールデングローブ賞では作品賞をはじめ4部門を受賞し、アカデミー賞でも非英語作品として歴代最多となる12部門13ノミネート、作品賞の大本命とまでいわれていたが、その後、主演女優の過去のヘイト発言が明るみに出て不興を買い、助演女優賞と歌曲賞の2部門受賞という結果に終わった。いまや“いわくつき”といわれかねない作品になってしまったわけだけれど、実のところ、着想は大胆だし、役者の演技もすばらしく、映画の魅力に満ちた作品。見逃してはもったいない1本なのだ。『エミリア・ペレス』犯罪カルテルのボスが性適合手術を受けて女性になり、第二の人生をめざす──なんとも破天荒な話。しかも、ミュージカル仕立てだ。監督・脚本はジャック・オーディアール。日本では知る人ぞ知るって存在なのだが、フランスでは相当な巨匠。フランス映画にもかかわらず、言語もジャンルも飛び越えていく自由な発想の監督だ。カンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した『ディーパンの闘い』(2015) はタミール語がとびかう人間ドラマだったし、ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)受賞の『ゴールデン・リバー』(2018) は、全編英語の西部劇だった。では本作は、というと、言語はスペイン語、ジャンルはサスペンス、ノワール、人間ドラマにミュージカル+α……、かなりぶっとんだつくりになっている。舞台はメキシコ。努力家で有能にもかかわらず、上司の手柄に利用されるだけの弁護士リタ。そんな彼女に突然、驚愕の依頼が舞い込む。依頼主は麻薬カルテルを支配する、マニタス。「女性として新たな人生を送りたい。それができる用意を、妻や子供にも知られずに行ってほしい」というのだ。なぜ私が?と逡巡するリタだが、法外な報酬に目がくらみ、受けてしまう。性別適合手術の準備から始まり、生まれ変わりは成功。麻薬王マニタスはエミリア・ペレスという名の普通の女性として新たな生活をはじめ、リタも大金を手にして人生が好転する。しかし、それから4年、ロンドンで暮らすリタの前にエミリアが突然現れ、またもとんでもない依頼をしてきたのだ。ドラマは、ここからさらに、エミリアの元妻らを巻き込んだ劇的な展開をみせる……。この映画の魅力はなんといっても、女優たちの演技とパフォーマンスだ。特にエミリア・ペレス役を演じたスペインのトランスジェンダー女優、カルラ・ソフィア・ガスコンの存在感は、かなりなもの。麻薬カルテルの威圧的なボスから一転、妖艶な美貌と包容力を持つ女性に変身する。オスカー史上初のトランスジェンダー女優による主演女優賞が期待されたが、1月下旬、過去にイスラム嫌悪、人種差別ともいえるヘイトツイートをしていたことが発覚。謝罪をしたものの、やはりアカデミー賞の授賞式ではアウェイ感が否めなかった。一方、アカデミー賞助演女優賞を堂々と受賞したのは、弁護士のリタを演じたゾーイ・サルダナ。ジェームズ・キャメロン監督作『アバター』に主演したアメリカの実力派女優。本作では、歌曲賞の『El Mal』をはじめとするミュージカル・シーンで圧巻の歌とダンスを披露するし、物語の展開に欠かせない存在。実は彼女こそ、主人公なのかもしれない。もうひとり。マニタス(=エミリア)の妻役を、全米のティーンに絶大な人気を誇るセレーナ・ゴメスが演じている。麻薬王の夫が突然いなくなり、ふたりの息子を抱えて、けなげに生きる一方で、元カレと関係にのめり込む、複雑な役を色気たっぷりに演じている。この3人に、エミリアと親しくなる女性役のアドリアーナ・パスを加えた4人が、カンヌ国際映画祭で、通常はひとりに贈られる女優賞を“アンサンブル受賞”した。「それぞれが秀でていたが、一緒になると超越していた」と、審査員長をつとめた『バービー』のグレタ・ガーウィグ監督が理由をコメントしている。この4人の視点でストーリーをみていくと、映画の構成の巧みさに感心すると同時に、“本来の自分”を追い求めながらも、それとは矛盾した感情をかかえる人間の業もみえてくる。暗黒街の映画にありがちな家族の物語も加えつつ、サスペンス、ミステリー、コメディ、ミュージカルが入り混じり、ともすると収拾がつかなくなる内容を、ストーリーテリングのうまさで、品よくまとめ、観客をどんどん引きずり込んでいく。まさに、一級のエンタテインメント作品だと思います。文=坂口英明(ぴあ編集部)(C)2024 PAGE 114 - WHY NOT PRODUCTIONS - PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMA
2025年03月17日俳優・板垣李光人が14日、自身のインスタグラムを更新した。【画像】板垣李光人、中島裕翔・門脇麦との仲良しショットを公開!「第48回 日本アカデミー賞 新人俳優賞をいただきました。このような大変光栄な賞をいただけたことは、「八犬伝」「陰陽師0」「はたらく細胞」との出会い、今まで携わらせていただいた作品達、そして身近で支えてくださっている方々のおかげです。」と綴り、2枚の写真をアップした。板垣は、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞したことをファンへ向けて報告しているようだ。受賞にあたって、胸の内に秘められていた思いを語る板垣。これからの活躍に期待していきたいところだ。 この投稿をInstagramで見る 板垣李光人 RIHITO ITAGAKI(@itagakirihito_official)がシェアした投稿 この投稿には「輝きすぎてる。。。。かっこかわいくて最高だったよ‼️❤︎」などの称賛のコメントが寄せられている。
2025年03月15日映画『侍タイムスリッパー』が14日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で行われた第48回日本アカデミー賞の授賞式で、最優秀作品賞を受賞した。第48回日本アカデミー賞の最優秀作品賞に選ばれたのは、幕末の侍が時代劇撮影所にタイムスリップして「斬られ役」として奮闘する姿を描く『侍タイムスリッパー』。主演の山口馬木也は受賞の瞬間に安田淳一監督と涙ながらに抱き合い、喜びを分かち合った。ブロンズを受け取った安田監督は、「最後まで物事を諦めずにやることを教えてくれた昨年死んだ父と、がんばっていれば誰かがどこかで見てくれているといつもおっしゃってくれていた福本清三さんに見せてあげたいです」とコメント。山口も、「今後、この映画は自分の帰る場所になると思います。皆様、本当にありがとうございました」と感謝を伝えた。また、『キングダム 大将軍の帰還』が、最優秀助演男優賞の大沢たかおをはじめ、最優秀撮影賞、最優秀照明賞、最優秀録音賞と最多4部門で最優秀賞を受賞した。(C)日本アカデミー賞協会「第48回日本アカデミー賞」最優秀賞一覧最優秀作品賞:『侍タイムスリッパー』最優秀アニメーション作品賞:『ルックバック』最優秀監督賞:藤井道人『正体』最優秀脚本賞:野木亜紀子『ラストマイル』最優秀主演男優賞:横浜流星『正体』最優秀主演女優賞:河合優実『あんのこと』最優秀助演男優賞:大沢たかお『キングダム 大将軍の帰還』最優秀助演女優賞:吉岡里帆『正体』最優秀撮影賞:佐光朗『キングダム 大将軍の帰還』最優秀照明賞:加瀬弘行『キングダム 大将軍の帰還』最優秀音楽賞:世武裕子『カラオケ行こ!』最優秀美術賞:三浦真澄『はたらく細胞』最優秀録音賞:横野一氏工『キングダム 大将軍の帰還』最優秀編集賞:安田淳一『侍タイムスリッパ―』最優秀外国作品賞:『オッペンハイマー』
2025年03月15日第48回日本アカデミー賞授賞式が、3月14日(金)に都内で開催。安田淳一監督の『侍タイムスリッパー』が最優秀作品賞に輝き(最優秀編集賞も受賞。計2冠)、最多12部門13の優秀賞に輝いた『正体』が最優秀主演男優賞(横浜流星)・最優秀助演女優賞(吉岡里帆)・監督賞(藤井道人)の3冠を達成した。2024年の日本映画界においてトピックの一つだった『侍タイムスリッパー』は、現代の時代劇撮影所にタイムスリップしてしまった幕末の侍が時代劇の斬られ役として奮闘する姿を描いた自主制作映画。米農家兼映画監督という異例の肩書を持つ安田淳一が私財を投げうち、脚本・撮影・照明・編集・整音・VFX・車両など10役以上を務めて作り上げた。『侍タイムスリッパー』©2024 Samurai Time Slipper. All Rights Reserved.同年8月に池袋シネマ・ロサの一館のみで封切られるも上映直後から熱狂的な口コミが後を絶たず、リピーターも続出。9月からはギャガが共同配給に入り、全国300館以上で拡大公開された。ロサ発の大ヒットインディーズ映画といえば上田慎一郎監督の出世作にして2019年・第42回日本アカデミー賞の優秀作品賞を受賞した『カメラを止めるな!』(17)が挙げられるが、最優秀作品賞の戴冠は異例のサプライズ。まさに歴史的快挙といえるだろう。『侍タイムスリッパー』©2024未来映画社2020年(第43回)には『新聞記者』、2021年(第44回)には『ミッドナイトスワン』が最優秀作品賞を受賞するなど、現象化した作品にも門戸を開いている感のある日本アカデミー賞だが、今回の受賞はそれ以上にインパクトのある結果といえそうだ。©日本アカデミー賞協会『正体』の藤井道人監督は、『新聞記者』での優秀監督賞に続き、本作で最優秀監督賞を初受賞。38歳での達成となり、2014年・第37回日本アカデミー賞最優秀監督賞を史上最年少(30歳)で受賞した石井裕也監督(『舟を編む』)に続く形となる。©日本アカデミー賞協会11月にはNetflixジャパン初の時代劇シリーズとなる大型作品「イクサガミ」の配信、今冬には撮影監督・木村大作との初タッグ作の劇場公開を控えており、次代の日本映画界をけん引する騎手として今後ますます存在感を強めていくことだろう。その藤井監督と『全員、片思い』(16)の打ち上げの場で出会い、約10年にわたって映画・ドラマ・CM・MVといった幾多のタッグを組んできた盟友・横浜流星も最優秀主演男優賞を初受賞。©日本アカデミー賞協会『正体』は藤井監督&横浜にとって約4年越しで実現させた念願の企画であり、作家性に振り切った『ヴィレッジ』(23)を経て作品強度とエンターテインメント性の両立を追究。横浜は「5つの顔を持つ逃亡犯」という難役を並々ならぬ覚悟を持って演じ切り、複雑な感情表現や生々しいアクションに果敢に挑戦した。その熱意と完成度に打たれたリピーターの後押しで、約4ヶ月に及ぶロングラン興行に(横浜の主演映画としては最大のヒットを記録)。2025年2月にはNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の撮影の合間を縫って自ら舞台挨拶の登壇を買って出るなど、作品愛を胸に精力的に動き続けた。『正体』©2024 映画「正体」製作委員会『正体』では第49回報知映画賞主演男優賞・第79回毎日映画コンクール主演俳優賞にも輝いており、今後の出演作には「べらぼう」のほか、『片思い世界』(4月4日公開)、『国宝』(6月6日)といった話題作が控える。本人は今回の受賞スピーチでも「若輩者」「自分は芝居はうまくないですし、人間としても遊びがなく頑固でつまらない」と謙虚な姿勢を貫くが、その不断の努力と献身性は折り紙付き。名実ともに名刺となる作品を携え、さらに目が離せない輝きを放っていくことだろう。横浜が演じる逃亡犯・鏑木が潜伏中に出会う会社員・沙耶香に扮した吉岡里帆も、最優秀助演女優賞の受賞は初となる。舞台公演中のため能登からの中継での参加となり本人も受賞を驚いている様子だったが、『正体』では作品テーマである「他者を信じる」を体現。藤井監督をして「吉岡さんじゃなかったら悪い意味でもっと違う作品になっていた」(劇場パンフレットより)と言わしめる熱演をみせ、撮影3日目に行われた焼き鳥屋での重要シーンでは感情があふれて落涙するシーンの演技に苦労する横浜を支え続けたという(余談だが、筆者が撮影現場に同行した裁判所のシーンでは、セットチェンジの間にも現場から離れずに集中を続けていた)。吉岡は現在大ヒット中の映画『ファーストキス 1ST KISS』や現在放送中のテレビドラマ「御上先生」をはじめ、ディズニープラス「ガンニバル」シーズン2(3月19日配信)、『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』(秋公開)、『九龍ジェネリックロマンス』(夏公開)、2026年放送のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」ほか待機作が目白押しだ。最優秀主演女優賞に輝いたのは、『あんのこと』の河合優実。本作では幼少期から母親に売春を強要され、薬物常習者になってしまった女性が“生き直す”ために奮闘する姿を熱演。企画者の國實瑞惠が入江悠監督と開発段階から河合の名を挙げており、期待を一身に背負った状態で全身全霊の演技を披露した。『あんのこと』©2023『あんのこと』製作委員会第77回カンヌ国際映画祭の国際映画批評家連盟賞に輝いた主演映画『ナミビアの砂漠』での好演も相まって、第79回毎日映画コンクール主演俳優賞や第67回ブルーリボン賞主演女優賞ほか、名だたる映画賞を総なめ状態。最優秀アニメーション作品賞を受賞した『ルックバック』では声優を務め、一大ブームとなったテレビドラマ「不適切にもほどがある!」でも話題をかっさらうなど、凄まじい勢いを見せている。©日本アカデミー賞協会2025年も『悪い夏』(3月20日公開)、『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(4月25日公開)、『ルノワール』(6月20日公開)、NHK連続テレビ小説「あんぱん」と独走し続ける24歳。その勢いは未だ衰えを知らない。満を持して――という言葉がふさわしいのは、『キングダム 大将軍の帰還』の大沢たかお。長いキャリアを持つ彼だが、意外にも初の最優秀賞受賞となる。©日本アカデミー賞協会シリーズ第4弾となる本作は、タイトルの通り大沢演じる王騎将軍が陰の主役といっていいだろう。大沢は約8年にも及ぶ期間をこの役と過ごし、過酷な肉体改造で20キロ近く増量したほか、大規模なバトルシーンも己が身ひとつで具現化した。『キングダム 大将軍の帰還』(C) 原泰久/集英社(C) 2024映画「キングダム」製作委員会近年は『沈黙の艦隊』シリーズで主演・プロデュースを兼任するなどより多角的な活動を展開。最新作『沈黙の艦隊 北極海大海戦』が9月26日(金)の公開を控えており、この先も映画人として八面六臂の活躍を見せてくれることだろう。なお、『キングダム 大将軍の帰還』は撮影賞・照明賞・録音賞ほか技術賞の最優秀賞も席巻し、最多となる4冠を成し遂げた。そのほか、興収50億円の大ヒットとなった『ラストマイル』の野木亜紀子が、『罪の声』(20)に続く自身二度目の最優秀脚本賞を受賞。全体的に初受賞が目立った第48回日本アカデミー賞。2025年・第49回はどのような顔ぶれがそろうのか、予想しながら新作映画と向き合うのも一興だ。(SYO)
2025年03月14日第48回日本アカデミー賞の授賞式が3月14日(金) 、東京・グランドプリンスホテル新高輪国際館パミールで行われ、『侍タイムスリッパー』が最優秀作品賞に輝いた。藤井道人監督の『正体』が最優秀監督賞、最優秀主演男優賞、最優秀助演女優賞の3冠。最多受賞は『キングダム 大将軍の帰還』の4部門(最優秀助演男優賞、最優秀撮影賞、最優秀照明賞、最優秀録音賞)だった。最優秀作品賞/『侍タイムスリッパー』(配給:ギャガ、未来映画社)幕末の侍が、現代の時代劇撮影所にタイムスリップし、時代劇の斬られ役として奮闘する時代劇コメディ。昨年8月に池袋シネマ・ロサの1館のみで封切られ、口コミで話題が広まり、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ日比谷ほか全国300館以上に進出した話題作だ。『ごはん』『拳銃と目玉焼』の安田淳一が監督・脚本を手がけ、自主制作作品でありながら東映京都撮影所の特別協力によって完成させた。安田監督は開口一番「驚いております」と挨拶。「最後まで物事を諦めずにやることを教えてくれた、昨年亡くなった父に見せてあげたい。本当にどうもありがとうございます」と、言葉を振り絞った。なお、安田監督は、最優秀編集賞も受賞した。(C)日本アカデミー賞協会主演を務め、優秀主演男優賞を受賞した山口馬木也も「心臓が飛び出るかと思いました!」と驚きを隠せない様子だ。「1館で始まったインディーズ映画ですが、こんなにキラキラした場所に立てております。何度も劇場に足を運んでくださったお客様が『毎回、キャラクターに会いに行く気分』だとおっしゃってくれていて、こんなにうれしいことはありません」と、映画の躍進を後押ししたファンへの感謝を述べていた。最優秀監督賞/藤井道人『正体』染井為人の同名ベストセラー小説を映画化したサスペンスドラマ。日本中を震撼させた凶悪な殺人事件を起こし、死刑判決を受けた鏑木慶一(横浜流星)が脱走した。鏑木を追う刑事は、逃走を続ける鏑木の潜伏先を取り調べるが、関わりを持った人物たちが語る鏑木は、それぞれがまったく別人のような人物像だった。やがて、鏑木が脱走した真の目的が明らかになる。第43回に『新聞記者』で優秀監督賞、優秀脚本賞を受賞し、今回初めて、最優秀監督賞に輝いた。「今日(の受賞式で)、先輩の皆様や仲間たちがコメントで『楽しい』と言っているのが刺さりました」と語り、「やはり、映画の現場は楽しくなきゃいけないし、その場を作るのは自分の責任だなと強く思いました。この賞をいただけたのは、仲間たちのおかげ。これからもインディーズスピリッツで映画を作り続けたい。感謝の気持ちを忘れず、楽しい映画業界を作っていけるように頑張ります」と、さらなる邁進を誓った。(C)日本アカデミー賞協会最優秀主演男優賞/横浜流星『正体』藤井監督と約3年にわたり、脚本やセリフのやり取りをするなどし、満を持して長編映画3度目のタッグを組んだ。凶悪事件の犯人として死刑判決を受けるも、刑務所から脱走した青年・鏑木役。名を変え、容姿を変え、職を転々としながら逃亡を続ける過程で、様々な表情や感情、そしてアクションも求められる役柄を見事に演じ切り、作品を牽引。主演としての実力と限りないポテンシャルを感じさせた。第43回で新人俳優賞を受賞。同年、藤井監督の『新聞記者』が最優秀作品賞に輝いており、横浜は「いつか一緒にこの場に立ちたいと思っていた」と振り返る。それだけに「藤井組でこの場にいられることに大きな意味があります。この受賞は『正体』の仲間たち、作品を愛してくださった皆様のおかげ」と感激しきりだ。(C)日本アカデミー賞協会「自分は芝居はうまくないですし、遊びもなく、頑固でつまらない人間ですが、毎日芝居のことを考え、作品命で向き合ってきた。その向き合いが認めていただけたような気がして、励みになりました」と感謝を述べ、「若輩者ですが、今後も映画業界発展のために尽力してまいります」と決意を新たにしていた。横浜は過去に優秀助演男優賞(第46回『流浪の月』)を受賞し、今回初めて、最優秀主演男優賞に輝いた。最優秀主演女優賞/河合優実『あんのこと』実在の人物をモチーフに、入江悠監督が脚本も執筆した本作で、壮絶な生き方を強いられた少女・杏を演じた。母親に虐待され、売春させられ、ドラッグにも手を染めている杏。救いの手を掴み少しずつ前を向いていこうとするが、コロナ禍がとどめを刺してくる。 杏が懸命に生きた日々が、そこにあった喜びと痛みが、ダイレクトに伝わるような純度の高い表現で、見る者の心に杏の存在を深く刻み付けた。最優秀主演女優賞を初受賞した河合は、「ちょっと信じられない気持ちです。この場にいるだけで、夢のような思いでいます」と喜びを噛みしめ、「私は本当に未熟者で新参者ですが、敬愛する大先輩の皆さんに囲まれて、映画という世界に足を踏み入れて本当に良かったなと思います」と感激しきりだ。(C)日本アカデミー賞協会渾身の一作である『あんのこと』は、「言葉では言い表せない特別な作品。今後も俳優を続けたいと思っていますし、ずっと心に残り続ける大切な作品になるだろうなと思います」と思いは格別。「人生の時間を貸してくれたすべての人に改めて感謝を伝えたい」と語っていた。最優秀助演男優賞/大沢たかお『キングダム 大将軍の帰還』漫画『キングダム』シリーズ初期の人気キャラクターである、秦国の大将軍・王騎役を演じた大沢が、最優秀助演男優賞に輝いた。鍛え上げられた巨体に、余裕を感じさせる笑み、独特の癖のある話し方などが特徴的な人間離れしたキャラクターを、熟達の演技力に加え、約20キロ体重を増やすなど自らの肉体でも体現。シリーズを通じて献身的な役作りで、山﨑賢人演じる主人公・信に将軍の生き様と戦い方を身をもって示す、王騎をこの上なく魅力的に演じ、作品に貢献した。大沢は「助演という立場は、主演をどう盛り上げるのかって考えている。(主演の)山﨑くんをはじめ、スタッフ、キャストの皆さんにずっと助けられながら演じさせていただいたと思っております」と謝意。映画はシリーズ最高となる国内興収80億円を突破する大ヒットを記録し、「劇場に足を運んでくださった皆さんに、お礼を言う時間もなかったので、改めて本当にありがとうございます」とファンにも感謝を伝えていた。大沢は過去に優秀主演男優賞(第28回『解夏』)、優秀助演男優賞(第30回『地下鉄(メトロ)に乗って』)を受賞しており、最優秀助演男優賞の受賞は初めてとなる。(C)日本アカデミー賞協会最優秀助演女優賞/吉岡里帆『正体』鏑木(横浜流星)が潜伏中に、那須という偽名を使ってフリーライターとして働いていた際、那須を信頼して仕事を任せていた安藤沙耶香を演じた。那須が指名手配犯の鏑木だと気づいた後も、自分の感じたことを信じ、自分の見てきた鏑木を信じる。自身も父親の冤罪を晴らすべく闘っており、周りに流されない、しなやかな強さのある女性を好演した。授賞式当日、石川県七尾市での舞台公演に出演していた吉岡は、リモートでの参加となり、受賞の瞬間は「ビックリし過ぎちゃって」と思わず絶句。「この作品は、私にとって、とてもとてもとても重要な作品になりました」と作品への強い思い入れを示し、自身が俳優を志すきっかけとなったエキストラ経験を述懐。「現場の全員が、心から良い作品を作りたいと一致団結し、手を取り合ったときにパワーを発揮する映画というものに、これからも携わっていきたい。見ていただく方のパワーになれるよう、精進したい」と、さらなる飛躍を誓っていた。(C)日本アカデミー賞協会吉岡の代理として、会場でブロンズを受け取った藤井監督は「吉岡里帆さんに出会えて、僕も幸せ者です。これからも一緒に面白い作品を作っていきましょう」と感謝を伝え、受賞を祝していた。吉岡は新人俳優賞(第43回『見えない目撃者』『パラレルワールド・ラブストーリー』)、優秀主演女優賞(第46回『ハケンアニメ!』)を受賞しており、最優秀助演女優賞の受賞は初めてとなる。最優秀アニメーション作品賞/『ルックバック』(配給:エイベックス・ピクチャーズ)「チェンソーマン」で知られる人気漫画家・藤本タツキが、2021年に「ジャンプ+」で発表した読み切り漫画を劇場アニメ化。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』『君たちはどう生きるか』など、さまざまな話題のアニメに携わってきた、アニメーション監督でアニメーターの押山清高が、監督・脚本・キャラクターデザインを手がけ、ひたむきに漫画づくりを続ける2人の少女の姿を描く青春ストーリー。昨年『君たちはどう生きるか』で同賞に輝いたスタジオジブリの野中晋輔氏から、ブロンズを受け取った押山監督は、同作品の製作にも関わっていただけに「こうして、スタジオジブリから賞を受け取れたことに、感慨深い気持ちになっています」と感無量の面持ち。また、声優として出演した河合優実は、「本当に素晴らしい作品で、心を奪われた。『ルックバック』という作品のことを誇りに思いますし、携わった皆さんに敬意を表したい」と栄誉を称えていた。第48回日本アカデミー賞は、2024年1月1日~12月31日に東京地区の商業映画劇場にて有料で初公開され、原則として1日3回以上、かつ2週間以上継続して上映された40分以上の劇場用劇映画及びアニメーション作品が対象となっている。取材・文:内田涼『第48回日本アカデミー賞』受賞作品/受賞者リスト最優秀作品賞:『侍タイムスリッパー』(配給:ギャガ、未来映画社)最優秀監督賞:藤井道人『正体』最優秀主演男優賞:横浜流星『正体』最優秀主演女優賞:河合優実『あんのこと』最優秀助演男優賞:大沢たかお『キングダム 大将軍の帰還』最優秀助演女優賞:吉岡里帆『正体』最優秀脚本賞:野木亜紀子『ラストマイル』最優秀撮影賞:『キングダム 大将軍の帰還』最優秀照明賞:『キングダム 大将軍の帰還』最優秀美術賞:『はたらく細胞』最優秀録音賞:『キングダム 大将軍の帰還』最優秀編集賞:『侍タイムスリッパー』最優秀音楽賞:『カラオケ行こ!』最優秀外国作品賞:『オッペンハイマー』(配給:ビターズ・エンド)最優秀アニメーション作品賞:『ルックバック』(配給:エイベックス・ピクチャーズ)新人俳優賞:赤楚衛二(『六人の嘘つきな大学生』『もしも徳川家康が総理大臣になったら』)、板垣李光人(『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』)、越山敬達(『ぼくのお日さま』)、齋藤飛鳥(『【推しの子】 The Final Act』)、齋藤潤(『カラオケ行こ!』)、渋谷凪咲(『あのコはだぁれ?』)、森本慎太郎(『正体』)、山田杏奈(『ゴールデンカムイ』『正体』)話題賞(作品部門):『帰ってきた あぶない刑事』話題賞(俳優部門):森本慎太郎『正体』主題歌賞(特別賞新賞): Mrs. GREEN APPLE(『ディア・ファミリー』主題歌「Dear」)
2025年03月14日女優の河合優実が14日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で行われた第48回日本アカデミー賞の授賞式で、最優秀主演女優賞を受賞した。映画『あんのこと』での受賞となった河合。同作で優秀助演男優賞を受賞した佐藤二朗とハグを交わした後、登壇した河合は「この度はありがとうございます。ちょっと信じられない気持ちで、この会場にいることも夢のような思いでいます」と話す。続けて、「『あんのこと』は、言葉では言い表せないほど自分の中で特別な作品で、これからも長い間俳優を続けていきたいと思っているんですけど、そのなかでもきっとずっと自分の心の中に残り続ける大切な作品になるだろうなと思っています」と吐露。最後に、「『あんのこと』という映画に人生の時間を貸してくれた全ての人に、改めて感謝を伝えたいと思います。ありがとうございます」と締めくくった。(C)日本アカデミー賞協会○■『第48回日本アカデミー賞』の主な受賞作品・受賞者※作品名は対象作品・優秀作品賞『キングダム 大将軍の帰還』『侍タイムスリッパー』『正体』『夜明けのすべて』『ラストマイル』・優秀アニメーション作品賞『がんばっていきまっしょい』『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』『劇場版 名探偵コナン 100万ドルの五稜星』『ルックバック』・優秀外国作品賞『哀れなるものたち』『オッペンハイマー』『関心領域』『シビル・ウォー アメリカ最後の日』『花嫁はどこへ?』・優秀監督賞佐藤信介『キングダム 大将軍の帰還』塚原あゆ子『ラストマイル』藤井道人『正体』三宅唱『夜明けのすべて』安田淳一『侍タイムスリッパー』・優秀主演男優賞綾野剛『カラオケ行こ!』草なぎ剛『碁盤斬り』山口馬木也『侍タイムスリッパー』山崎賢人(※崎はたつさき)『キングダム 大将軍の帰還』横浜流星『正体』・優秀主演女優賞石原さとみ『ミッシング』上白石萌音『夜明けのすべて』河合優実『あんのこと』草笛光子『九十歳。何がめでたい』満島ひかり『ラストマイル』・優秀助演男優賞内野聖陽『八犬伝』大沢たかお『キングダム 大将軍の帰還』岡田将生『ラストマイル』佐藤二朗『あんのこと』山田孝之『正体』・優秀助演女優賞芦田愛菜『はたらく細胞』清原果耶『碁盤斬り』土屋太鳳『八犬伝』山田杏奈『正体』吉岡里帆『正体』・新人俳優賞齋藤飛鳥『【推しの子】-The Final Act-』渋谷凪咲『あのコはだぁれ?』山田杏奈『ゴールデンカムイ』『正体』赤楚衛二『六人の嘘つきな大学生』『もしも徳川家康が総理大臣になったら』板垣李光人『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』越山敬達『ぼくのお日さま』齋藤潤『カラオケ行こ!』森本慎太郎『正体』
2025年03月14日第48回日本アカデミー賞で、『帰ってきた あぶない刑事』(作品部門)、森本慎太郎(俳優部門)が話題賞を受賞。プレゼンターで登場した山田裕貴から舘ひろし&柴田恭兵、森本にコメントが寄せられ、それらのやり取りが注目を集めた。ニッポン放送の「オールナイトニッポン」を通じ、一般聴取者の投票によって選出される話題賞。プレゼンターで登場した山田は、まず舘&柴田に向かい「大先輩にどのようなお言葉を…と緊張しています。大変失礼ながら年齢を調べたら、70代を超えていらっしゃると。(劇中で)あんな軽妙なアクション、バイクにまたがりショットガンをぶっぱなすという!僕も長く輝ける俳優になりたいと思いました」と鮮やかに祝辞を送る。その後、森本に向かい「あえて慎太郎と呼びます。13年前、慎太郎が15歳のころ、僕が23歳で8個も差があるのに同じクラスでしたね。大きくなりましたね!本当に素晴らしい俳優さんだと思っています。またいつか慎太郎と共演できるよう、僕も頑張りたいと思います」と言うと、森本も「ご無沙汰しております!」と元気に返事をする。©日本アカデミー賞協会続けて森本は「森本慎太郎です。話題賞で選んでいただいて光栄に思います。普段SixTONESというアイドルグループで歌ったり踊ったりして、いろいろなステージに立っていますがこの舞台は相当緊張します。横には『あぶない刑事』のお二人がいて。ライオンと同じ檻の中に入った気持ちで今います。膝ががくがくして言葉が全部飛びました。本当にありがとうございます、それだけは全力で伝えさせてください」と軽やかにスピーチした。©日本アカデミー賞協会舘は「8年前に『さらば、あぶない刑事』という作品でタカとユージはリタイアしました。それで終わるつもりが帰ってきちゃって、詐欺のような企画で今回大変こんな賞をいただいて申し訳ないなという気持ちでいっぱいです」とコメントした。柴田は「会場にきまして、先輩の役者さんが里見浩太朗さん、草笛光子さんのお二人で…年を取ったなと思いました」と苦笑。「『あぶない刑事』が始まって40年くらい経ちます。ずっと応援してくれている人たちがいました。大勢の『あぶ刑事』ファンが何度も映画館に足を運んでくれたおかげの話題賞だと思います、ありがとうございました」と感謝を表現していた。©日本アカデミー賞協会(シネマカフェ編集部)■関連作品:帰ってきた あぶない刑事 2024年5月24日より公開©2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会
2025年03月14日女優の芦田愛菜が14日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で行われた第48回日本アカデミー賞の授賞式に登場した。映画『はたらく細胞』で優秀助演女優賞受賞した芦田。2011年に6歳で新人俳優賞を受賞して以来、14年ぶりとなった。6歳当時の映像を見た芦田は照れた様子を見せつつ、「また再びこの場所に立たせていただいて、当時も素敵な俳優さんたちに囲まれて、ここに来ることができていたんだなと、ヒシヒシと感じています」と振り返った。映画『はたらく細胞』の撮影で印象に残っているシーンについて聞かれると、「水族館デートに行って、シャチのショーを見るシーンがありました。少し水がかかりますとは聞いていたんですけど、シャチの本気はすごくてちょっとどころかすごい水をかけられてしまって驚いたんですが、楽しい撮影でした」と話した。(C)日本アカデミー賞協会○■『第48回日本アカデミー賞』の主な受賞作品・受賞者※作品名は対象作品・優秀作品賞『キングダム 大将軍の帰還』『侍タイムスリッパー』『正体』『夜明けのすべて』『ラストマイル』・優秀アニメーション作品賞『がんばっていきまっしょい』『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』『劇場版 名探偵コナン 100万ドルの五稜星』『ルックバック』・優秀外国作品賞『哀れなるものたち』『オッペンハイマー』『関心領域』『シビル・ウォー アメリカ最後の日』『花嫁はどこへ?』・優秀監督賞佐藤信介『キングダム 大将軍の帰還』塚原あゆ子『ラストマイル』藤井道人『正体』三宅唱『夜明けのすべて』安田淳一『侍タイムスリッパー』・優秀主演男優賞綾野剛『カラオケ行こ!』草なぎ剛『碁盤斬り』山口馬木也『侍タイムスリッパー』山崎賢人(※崎はたつさき)『キングダム 大将軍の帰還』横浜流星『正体』・優秀主演女優賞石原さとみ『ミッシング』上白石萌音『夜明けのすべて』河合優実『あんのこと』草笛光子『九十歳。何がめでたい』満島ひかり『ラストマイル』・優秀助演男優賞内野聖陽『八犬伝』大沢たかお『キングダム 大将軍の帰還』岡田将生『ラストマイル』佐藤二朗『あんのこと』山田孝之『正体』・優秀助演女優賞芦田愛菜『はたらく細胞』清原果耶『碁盤斬り』土屋太鳳『八犬伝』山田杏奈『正体』吉岡里帆『正体』・新人俳優賞齋藤飛鳥『【推しの子】-The Final Act-』渋谷凪咲『あのコはだぁれ?』山田杏奈『ゴールデンカムイ』『正体』赤楚衛二『六人の嘘つきな大学生』『もしも徳川家康が総理大臣になったら』板垣李光人『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』越山敬達『ぼくのお日さま』齋藤潤『カラオケ行こ!』森本慎太郎『正体』
2025年03月14日「第48回日本アカデミー賞授賞式」が3月14日(金)に開催され、『侍タイムスリッパー』が最優秀作品賞を受賞した。7部門7賞を受賞していた本作だが、最優秀賞は編集賞のみの受賞にとどまっていたこともあり、作品名が呼ばれると、驚いた安田淳一監督は主演の山口馬木也と抱き合い思わず涙を流していた。『侍タイムスリッパー』は本作が自主映画の長編3本目となる安田監督が、私財も投げうって製作し、脚本・撮影・照明・編集・整音・VFX・車両など10役以上を務めたオリジナル作品。幕末を生きる会津藩士・高坂新左衛門が、雷に打たれ現代の京都太秦の撮影所にタイムスリップし、現代劇の斬られ役の仕事にのめり込んでいく物語。当初は1館のみでの公開が、評判を呼び、やがて全国300館以上に拡大されるなど一大旋風を巻き起こした。監督賞でのスピーチの際、安田監督は「京都からやってきました。お米を作りながら映画も作っています。この映画は本当にキャストの皆さん、スタッフの皆さん、京都撮影所の皆さん、映画人の心意気と矜持でここまできました。8月17日に1館から始まった上映が今もなお150館程度の劇場がまだ上映してくれている幸運に感謝したいです」と多くの人への感謝を伝えていた。©日本アカデミー賞協会さらに、最優秀作品受賞のスピーチで、安田監督は涙を浮かべながら「驚いております。最後まで物事を諦めずにやることを教えてくれた昨年死んだ父と、そして頑張っていれば誰かがどこかで見てくれているとおっしゃっていた福本清三さんにみせてあげたいです」と声を絞り出す。安田監督と二人三脚歩んできた主演を務めた山口馬木也も、「心臓が飛び出るかと思いました。この映画に何度も足を運んでくださったお客様がいます。聞いたら“映画館にキャラクターたちに会いに来る気分だ”と。こんなうれしいことはありません。この映画が与えてくれたすべてのことが、折に触れ今後自分の帰る場所になると思います。そのきっかけを与えてくれた監督、本当にありがとうございます」と涙声でスピーチした。©日本アカデミー賞協会なお、最優秀監督賞は藤井道人(『正体』)が受賞した。藤井監督は「今日皆さまのコメントが素敵だなと、みんなが“楽しい”と言っていたことがすごく心の中に刺さりました。映画現場は楽しくないといけないし、その場を作るのは自分の責任だなと思いました。これからもインディーズスピリッツで映画を作り続けたいです」と語った。©日本アカデミー賞協会そのほか、最優秀アニメーション作品賞は『ルックバック』が受賞。原作者・藤本タツキが「少年ジャンプ+」で公開した読み切り漫画を58分の中編として劇場アニメ化。クリエイターの喜びや葛藤を子供の感情や友情も交えて繊細に描いた物語と、巧みな作画技術により国内外で高い評価を受けた。口コミで好評が広まり、119館から拡大公開し、興行収入20.4億円の大ヒットを記録した。声優を務めた河合優実は、「声を演じる前、アニメーションが送られてきたときから本当に素晴らしい作品で、心を奪われて。こういう日を迎えられてすごくうれしく思うと同時に、“やっぱり”の気持ちもあって。関わった皆さんに敬意を表したいと思います」とコメントを寄せていた。『ルックバック』© 藤本タツキ/集英社© 2024「ルックバック」製作委員会(シネマカフェ編集部)■関連作品:ルックバック 2024年6月28日より全国にて公開© 藤本タツキ/集英社© 2024「ルックバック」製作委員会侍タイムスリッパー 2024年8月17日より公開
2025年03月14日俳優の横浜流星が14日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で行われた第48回日本アカデミー賞の授賞式で、最優秀主演男優賞を受賞した。映画『正体』での受賞となった横浜。受賞の瞬間、同作でメガホンを取った藤井道人監督と抱き合った横浜は、「本当にありがとうございます……」と壇上で声を震わせる。そして、「藤井道人監督とは出会って10年になります。5年前に自分は新人賞を受賞し、藤井さんは『新聞記者』で最優秀作品賞を取りました。そのとき自分は心の底から喜び、一緒にこの場に立ちたいと思いました。自分の中で藤井組でこの場にいれていることに大きな意味があります。若輩者ですが、映画業界のさらなる発展のために、尽力してまいります」と力強く語った。(C)日本アカデミー賞協会○■『第48回日本アカデミー賞』の主な受賞作品・受賞者※作品名は対象作品・優秀作品賞『キングダム 大将軍の帰還』『侍タイムスリッパー』『正体』『夜明けのすべて』『ラストマイル』・優秀アニメーション作品賞『がんばっていきまっしょい』『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』『劇場版 名探偵コナン 100万ドルの五稜星』『ルックバック』・優秀外国作品賞『哀れなるものたち』『オッペンハイマー』『関心領域』『シビル・ウォー アメリカ最後の日』『花嫁はどこへ?』・優秀監督賞佐藤信介『キングダム 大将軍の帰還』塚原あゆ子『ラストマイル』藤井道人『正体』三宅唱『夜明けのすべて』安田淳一『侍タイムスリッパー』・優秀主演男優賞綾野剛『カラオケ行こ!』草なぎ剛『碁盤斬り』山口馬木也『侍タイムスリッパー』山崎賢人(※崎はたつさき)『キングダム 大将軍の帰還』横浜流星『正体』・優秀主演女優賞石原さとみ『ミッシング』上白石萌音『夜明けのすべて』河合優実『あんのこと』草笛光子『九十歳。何がめでたい』満島ひかり『ラストマイル』・優秀助演男優賞内野聖陽『八犬伝』大沢たかお『キングダム 大将軍の帰還』岡田将生『ラストマイル』佐藤二朗『あんのこと』山田孝之『正体』・優秀助演女優賞芦田愛菜『はたらく細胞』清原果耶『碁盤斬り』土屋太鳳『八犬伝』山田杏奈『正体』吉岡里帆『正体』・新人俳優賞齋藤飛鳥『【推しの子】-The Final Act-』渋谷凪咲『あのコはだぁれ?』山田杏奈『ゴールデンカムイ』『正体』赤楚衛二『六人の嘘つきな大学生』『もしも徳川家康が総理大臣になったら』板垣李光人『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』越山敬達『ぼくのお日さま』齋藤潤『カラオケ行こ!』森本慎太郎『正体』
2025年03月14日俳優の河合優実が、『あんのこと』で第48回日本アカデミー賞の最優秀主演女優賞を受賞。本作で実在の女性の役を心を込めて演じた河合は、震える声で今の気持ちをスピーチした。優秀主演女優賞には、河合のほか、石原さとみ(『ミッシング』)、上白石萌音(『夜明けのすべて』)、草笛光子(『九十歳。何がめでたい』)、満島ひかり(『ラストマイル』)がそろい、誰が受賞しても初受賞となっていた。『あんのこと』は実在の人物をモチーフに、入江悠監督が脚本も執筆した作品。壮絶な生き方を強いられた少女・杏を河合は演じた。機能不全の家庭に生まれ、虐待の末にドラッグに溺れる少女・杏が、人情味あふれる型破りな刑事や、更生施設を取材する週刊誌記者をはじめとした人々と出会い、その見返りを求めない姿に次第に心を開き、生きる希望を見いだしていく。しかし、微かな希望をつかみかけた矢先、どうしようもない現実が彼女の運命を残酷に襲う――。杏が懸命に生きた日々が、そこにあった喜びと痛みがダイレクトに伝わるような純度の高い表現で、見る者の心に杏の存在を深く刻み付けた。実在の女性を演じたことについてインタビューで聞かれると、河合は「起きていることは自分たちと遠いし過酷に見えますけど、その人の本当にあった人生に監督、含めスタッフの皆さん、役者が触れるとき、本当にそれぞれができる限りやさしく丁寧に触れようとしているような現場でした。この人の心のキレイさ、キレイな魂にみんなが吸い寄せられていった感じがしました」と答えた。最優秀賞を受賞した河合は、共演した佐藤二朗と抱き合った後、入江監督とも握手を交わし感動を分かち合う。壇上に上がると、河合は「本当にこのたびは…ありがとうございます」と声を震わせた。「信じられない気持ちで、この会場にいること自体も夢のような思いで今います。私は本当に未熟で新参者ですが、今日会場に来て敬愛する大先輩の方々に囲まれて。この映画という世界に足を踏み入れて本当によかったなと、心の底から思っています」と思いの丈をスピーチ。そして「『あんのこと』という映画は、言葉で言い表せないほど特別な作品です。これからも長い間俳優を続けていきたいと思うんですけど、その中でもずっと自分の心に残り続ける大切な作品になるだろうと思っています。『あんのこと』に人生の時間を貸してくれたすべての人に感謝を伝えたいです」と作品愛を込めていた。(シネマカフェ編集部)■関連作品:あんのこと 2024年6月7日より新宿武蔵野館ほか全国にて公開© 2023『あんのこと』製作委員会
2025年03月14日俳優の大沢たかおが14日、東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で行われた第48回日本アカデミー賞の授賞式で、最優秀助演男優賞を受賞した。映画『キングダム 大将軍の帰還』で最優秀助演男優賞を受賞した大沢。初受賞となった大沢は「言葉は何も考えていないんですけど、嬉しく思います」と喜びを表現する。「助演という立場は、主演をどう盛り上げるのかということをずっと7年間考え続けて、でも気付けば山崎(賢人)くんをはじめ、スタッフの皆さんに助けられながら演じられたと思っています」と話し、「ここにいるスタッフ、きょう来ていないキャスト、そして本当にたくさんの劇場に足を運んでくださった皆様、ありがとうございました」と感謝を伝えた。(C)日本アカデミー賞協会○■『第48回日本アカデミー賞』の主な受賞作品・受賞者※作品名は対象作品・優秀作品賞『キングダム 大将軍の帰還』『侍タイムスリッパー』『正体』『夜明けのすべて』『ラストマイル』・優秀アニメーション作品賞『がんばっていきまっしょい』『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』『劇場版 名探偵コナン 100万ドルの五稜星』『ルックバック』・優秀外国作品賞『哀れなるものたち』『オッペンハイマー』『関心領域』『シビル・ウォー アメリカ最後の日』『花嫁はどこへ?』・優秀監督賞佐藤信介『キングダム 大将軍の帰還』塚原あゆ子『ラストマイル』藤井道人『正体』三宅唱『夜明けのすべて』安田淳一『侍タイムスリッパー』・優秀主演男優賞綾野剛『カラオケ行こ!』草なぎ剛『碁盤斬り』山口馬木也『侍タイムスリッパー』山崎賢人(※崎はたつさき)『キングダム 大将軍の帰還』横浜流星『正体』・優秀主演女優賞石原さとみ『ミッシング』上白石萌音『夜明けのすべて』河合優実『あんのこと』草笛光子『九十歳。何がめでたい』満島ひかり『ラストマイル』・優秀助演男優賞内野聖陽『八犬伝』大沢たかお『キングダム 大将軍の帰還』岡田将生『ラストマイル』佐藤二朗『あんのこと』山田孝之『正体』・優秀助演女優賞芦田愛菜『はたらく細胞』清原果耶『碁盤斬り』土屋太鳳『八犬伝』山田杏奈『正体』吉岡里帆『正体』・新人俳優賞齋藤飛鳥『【推しの子】-The Final Act-』渋谷凪咲『あのコはだぁれ?』山田杏奈『ゴールデンカムイ』『正体』赤楚衛二『六人の嘘つきな大学生』『もしも徳川家康が総理大臣になったら』板垣李光人『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』越山敬達『ぼくのお日さま』齋藤潤『カラオケ行こ!』森本慎太郎『正体』
2025年03月14日『正体』の横浜流星が、第48回日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞。横浜はおよそ10年の付き合いという藤井道人監督の作品で、最優秀賞を受賞したことへの感謝を口にした後「大げさかもしれないけど本気で、身命を賭す覚悟で向き合っています」と芝居への気持ちを明かしていた。優秀主演男優賞には、横浜さんのほか、綾野剛(『カラオケ行こ!』)、草彅剛(『碁盤斬り』)、山口馬木也(『侍タイムスリッパー』)、山崎賢人(『キングダム大将軍の帰還』)と多彩な俳優勢がそろった。横浜は初の最優秀賞受賞となった。横浜は藤井道人監督とおよそ3年にわたり脚本や台詞のやり取りをするなどし、満を持して長編映画3度目のタッグを迎えた。凶悪事件の犯人として死刑判決を受けるも、刑務所から脱走した鏑木役。名前を変え、容姿を変え、職を転々としながら逃亡を続ける過程で、様々な表情や感情、アクションも求められる役柄を見事に演じ切り、作品をけん引。主演としての実力と限りないポテンシャルを感じさせた。プレゼンターの役所広司から名前が読み上げられると、「おお!」というようなびっくりした表情を横浜は浮かべた後、藤井監督と山田孝之と抱き合い、森本慎太郎&山田杏奈とは握手を交わした。マイクの前に立った横浜は、「横浜流星です。本当にありがとうございます、ありがとうございます。藤井道人監督と出会って10年になります。5年前に新人賞を受賞したとき、藤井さんは『新聞記者』で最優秀作品賞を受賞して。心の底から喜びながら、一緒にこの場に立ちたいと思いました。今回、主演男優賞に藤井組でこの場にいられていることに大きな意味があります」と話し、キャストやスタッフ、観客に感謝を伝えた。その後、横浜は「自分は芝居はうまくないですし、人間としても遊びがなく頑固でつまらない人間です。それを誰よりもわかっているから、毎日芝居を考え、作品命で大げさかもしれないけど本気で、身命を賭す覚悟で向き合っています。その向き合いが少し認めていただいた気がして励みになりました。若輩者ですが映画業界のさらなる発展のために尽力してまいります」と全身全霊のスピーチを行っていた。※山崎賢人の「崎」は、正しくは「たつさき」(シネマカフェ編集部)■関連作品:正体 2024年11月29日より全国にて公開(C)2024 映画「正体」製作委員会
2025年03月14日俳優の吉岡里帆が、『正体』で第48回日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞を受賞。舞台公演中のため、能登からの中継で出演となった吉岡は、「えっ」と驚いた表情を見せた後、「少しでも観ていただける方のパワーになるよう、これからも精進します」と感激のスピーチを寄せていた。優秀助演女優賞は、吉岡さんのほか、芦田愛菜(『はたらく細胞』)、清原果耶(『碁盤斬り』)、土屋太鳳(『八犬伝』)、山田杏奈 (『正体』)の選出となり、フレッシュな顔ぶれがそろっていた。©日本アカデミー賞協会『正体』にて吉岡は、鏑木(横浜流星演じる主人公)が潜伏中に那須という偽名を使ってフリーライターとして働いていた際、那須を信頼して仕事を任せていた安藤沙耶香を演じた。那須が指名手配犯の鏑木だと気づいた後も、自分の感じたことを信じ、自分の見てきた鏑木を信じる。自身も父親の冤罪を晴らすべく戦っており、周りに流されない、しなやかな強さのある女性を好演。そのまっすぐな眼差しは鏑木にとっても作品にとっても希望であり救いとなった。『正体』(C)2024 映画「正体」製作委員会最優秀賞で吉岡の名が呼ばれると、リモート出演していた吉岡は「えっ、今つながっているんですね…!」と手で口を多い驚いた表情を見せた。その後「ありがとうございます。とてもうれしいです。この作品は私にとって、人生においてとてもとても重要な作品になりました。『正体』のチーム全員が、心からいい作品を作りたいと思って一致団結したとき、手を取り合ったとき、すごいパワーを発揮する。(そんな)映画というものにすごく携わっていきたいと思っています」と感謝を伝えた。©日本アカデミー賞協会さらに「今日も能登から挨拶していますが、今は正直お茶の間にいる気持ちで、大好きな俳優さんたちが挨拶しているのを見て笑顔になってしまったり“私もその作品感動した”という気持ちになって。遠く離れていたとしても、映像はその場所にエネルギーを残していく、時代を超えて残していくと思っています。そんな一人として少しでも見ていただける方のパワーになるよう、これからも精進します。藤井組に出会えて幸せです。ありがとうございました」と大きな笑みを広げていた。(シネマカフェ編集部)■関連作品:正体 2024年11月29日より全国にて公開(C)2024 映画「正体」製作委員会
2025年03月14日第48回日本アカデミー賞で、齋藤飛鳥(『【推しの子】 The Final Act』)、渋谷凪咲(『あのコはだぁれ?』)、山田杏奈(『ゴールデンカムイ』『正体』)、赤楚衛二(『六人の嘘つきな大学生』『もしも徳川家康が総理大臣になったら』)、板垣李光人(『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』)、越山敬達 (『ぼくのお日さま』)、齋藤潤(『カラオケ行こ!』)、森本慎太郎 (『正体』)の8名が新人俳優賞を受賞。3月14日(金)に行われた授賞式に臨んだ。『【推しの子】 The Final Act』で作品の象徴的アイドルを演じた齋藤は、「賞というのは望んだとしても、必ずしも皆が手に入れることができない特別なものだと思っています。光栄な気持ちと恐れ多い気持ちでいっぱいです」とスピーチし、渋谷も「今とても幸せです。経験の少ない私を選んでくださり、支えてくださった皆様、この作品が素晴らしい場所に導いてくれたことを心から感謝しています」と笑顔を広げる。©日本アカデミー賞協会『正体』では主人公・鏑木(横浜流星)が逃亡中、最後に出会う酒井舞を演じてクライマックスのキーマンを務め、優秀助演女優賞を受賞した山田。もう1作品の『ゴールデンカムイ』では主人公・杉元(山崎賢人)の相棒であるアイヌの少女アシリパを演じ、雪山での長期撮影でアクションシーンからコミカルな変顔まで多様な芝居に挑戦した。山田は「どちらの作品も、こんな充実した現場にいられるなんて本当に幸せだなと思っていました。これからも一緒にやりたいと思っていただける人間、俳優であるよう努力していきたいです」と未来にさらなる飛躍を誓う。©日本アカデミー賞協会そして、赤楚は「素敵な賞をいただけてとてもうれしく思います。『六人の嘘つきな大学生』ではワンシチュエーションでの会話劇で、キャストのみんなとどう面白くできるか話し合って作りました。『もしも徳川家康が総理大臣になったら』では坂本龍馬を演じたんですが、竹内監督が死ぬ気で向き合ってくれたので演じ切ることができました。スタッフ・キャストの皆さんに感謝したいです」と朗らかに伝えた。©日本アカデミー賞協会『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』と3作での受賞となった板垣は、ファンタジー作品の登場人物から等身大の青年まで、あらゆる作品にリアリティを与える独自の存在感と演技力の高さが光った。板垣は「大変光栄な賞をいただけたのは、素晴らしい作品との出会いと、何より支えてくださった方々のおかげです。すごくご縁に恵まれていると思います。ときに自分を見失ってさまよってしまう、もう一人の自分に“あなたの居場所はここでいいんだ。誰かに作品を届けることができる”と伝えたいです。本日はありがとうございます、幸せです」と感動のスピーチを行った。©日本アカデミー賞協会越山は「素晴らしい賞をいただけて、すごく光栄に思います。1年前、京都で撮影中に授賞式のテレビ放送を見ました。まさか1年後に立っているとは思いもしなかったので、不思議な気持ちとすごく幸せな気持ちです」と喜びをにじませ、齋藤も「この舞台に立てているのは綾野剛さん、キャスト・スタッフの皆さんが撮影中も、公開後1年経った今も、たくさんの宝物をくださったから。これからもここから気持ち新たに、一つ一つ生き抜いていけたらと思います」としっかりと自身の言葉で伝えた。©日本アカデミー賞協会また、『正体』での受賞となった森本は、主人公・鏑木(横浜流星)が逃亡中に親交を深める日雇い労働者の同僚・野々村和也を好演。粗暴さの中にも人のよさや弱さを感じさせる人間臭さと、鏑木との出会いで変化していく姿を実直に表現、群像劇としての魅力を高めた。森本は「一生に一度しか取れない新人賞をいただけてとても光栄です。『正体』に出られてすごくうれしいですけど、撮影していたときはすごく怖くて不安だった。でもこの場に立てるように導いてくれた流星くんはじめ、キャスト・スタッフの皆さんに本当に感謝します」と思いを吐露していた。©日本アカデミー賞協会なお、プレゼンターは第47回最優秀主演男優賞を受賞した役所広司が務めた。※山崎賢人の「崎」は、正しくは「たつさき」(シネマカフェ編集部)
2025年03月14日『キングダム大将軍の帰還』の大沢たかおが、第48回日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞を受賞。長いキャリアを誇る大沢、本受賞が初の最優秀賞受賞となった。助演男優賞には、大沢のほか、内野聖陽 (『八犬伝』)、岡田将生(『ラストマイル』)、佐藤二朗(『あんのこと』)、山田孝之(『正体』)と実力派俳優がそろい、誰が受賞しても初の最優秀賞受賞という快挙が待っていた。大沢は、漫画「キングダム」シリーズの初期の人気キャラクターである大将軍・王騎役となった。鍛え上げられた巨体に余裕を感じさせる笑み、独特の癖のある話し方などが特徴的な人間離れしたキャラクターを、熟練の演技力に加え、およそ20キロ体重を増やすなど、自らの肉体でも体現。シリーズを通して献身的な役作りで、山崎賢人演じる信に将軍の生きざまと戦い方を身を持って示す王騎をこの上なく魅力的に演じ、作品に貢献した。優秀賞のインタビューで、撮影時の苦労を聞かれた大沢は「苦労は楽しいといえば楽しいのですが、山崎くんがすごい高いレベルのアクションをやるので、我々はその上をいかないといけないプレッシャーで、アクションシーンを作らせてもらいました。スタッフみんなが執念を持っていた現場で、感謝しかないです」と穏やかに微笑む。その姿を見守っていた山崎は、「7年間ご一緒させていただいて、圧倒的な王騎将軍のキャラクターのオーラ、力強さを大沢さんが演じてくださった。『キングダム』全体のレベルが何段階も上がったと思います」と大沢を讃えた。大沢は「僕は彼はじめスタッフについていくのが精いっぱいで。感謝しかないです」と恐縮していた。最優秀賞で大沢の名前がプレゼンター・磯村勇斗のから読み上げられると、大沢の隣に座る山崎が、とにかくうれしそうに拍手を送った。壇上に送った大沢は、スピーチで「ありがとうございます。もちろん何も考えていないんですけど、言葉は。本当にいただけてうれしく思います。助演という立場は、やっぱり主演をどう盛り上げるかをずっと7年間考え続けていて、でも気づけば主演の山崎くんはじめ、スタッフに助けられながらずっと演じさせていただきました。今日いただいた賞は僕というより、支えてくれたスタッフ、キャスト、たくさんの方に劇場に足を運んでいただいて、改めて本当にありがとうございました」と一気に話し、深々と一礼していた。※山崎賢人の「崎」は、正しくは「たつさき」(シネマカフェ編集部)■関連作品:キングダム 大将軍の帰還 2024年7月12日より全国にて公開ⓒ原泰久/集英社 ⓒ2024映画「キングダム」製作委員会
2025年03月14日第48回日本アカデミー賞授賞式が3月14日(金)に行われ、優秀賞を受賞した豪華俳優陣がレッドカーペットを歩いた。レッドカーペットは優秀助演男優賞を受賞した内野聖陽 (『八犬伝』)、大沢たかお(『キングダム大将軍の帰還』)、岡田将生(『ラストマイル』)、佐藤二朗(『あんのこと』)、山田孝之(『正体』)の登場からスタート。大沢は弾ける笑顔を見せ、手をふりながらレッドカーペットを歩き、隣を歩くハット姿で決めた佐藤と談笑を交わす。岡田は繊細な眼鏡、内野も黒ぶちの眼鏡姿、山田は凛々しいスーツ姿と貫禄たっぷり。©日本アカデミー賞協会優秀助演女優賞からは、芦田愛菜(『はたらく細胞』)、清原果耶(『碁盤斬り』)、土屋太鳳(『八犬伝』)、山田杏奈(『正体』)が登場。芦田と清原は、黒を基調にしたシックなドレス姿。一方、土屋は鮮やかな青などの原色をあしらった着物風ドレスを着用し笑顔を見せる。白い肌が引き立つロングドレスの山田も、うれしそうにレッドカーペットを歩いた。なお、吉岡里帆(『正体』)は舞台出演のためリモート収録出演となる。©日本アカデミー賞協会話題賞・作品部門『帰ってきたあぶない刑事』の最強バディ・タカ&ユージこと舘ひろし&柴田恭兵がサングラス姿でそろって登場すると、劇中さながらのいでたちに会場からはどよめきが起こった。その後は俳優部門の森本慎太郎(『正体』)が黒のスーツ、黒のネクタイがさっそうと登場。はみかむ笑顔でレッドカーペットを歩いた。©日本アカデミー賞協会新人俳優賞からは、齋藤飛鳥(『【推しの子】 The Final Act』)、渋谷凪咲(『あのコはだぁれ?』)、山田杏奈(『ゴールデンカムイ』『正体』)、赤楚衛二(『六人の嘘つきな大学生』『もしも徳川家康が総理大臣になったら』)、板垣李光人(『八犬伝』『はたらく細胞』『陰陽師0』)、越山敬達(『ぼくのお日さま』)、齋藤潤(『カラオケ行こ!』)、森本慎太郎(『正体』)が2組にわかれて登場。齋藤と板垣は和装で、特に板垣の紋付袴姿の凛々しさは目を引いた。©日本アカデミー賞協会続いて、優秀主演男優賞を受賞した綾野剛(『カラオケ行こ!』)、草彅剛(『碁盤斬り』)、山口馬木也(『侍タイムスリッパー』)、山崎賢人(『キングダム大将軍の帰還』)、横浜流星(『正体』)が勢ぞろいすると、ひときわ大きな拍手が鳴り響く。綾野が「どうぞ」というように草彅を先頭にすると、意気揚々と草彅は歩き出し、レッドカーペットでは仲睦まじげに綾野と2~3会話を楽しんでいた。©日本アカデミー賞協会そして、優秀主演女優賞の石原さとみ(『ミッシング』)、上白石萌音(『夜明けのすべて』)、河合優実(『あんのこと』)、草笛光子(『九十歳。何がめでたい』)、満島ひかり(『ラストマイル』)がそろって並ぶ。石原はベロア地のロングドレス、河合も華奢なスリップドレスで美しくたたずんだ。上白石と満島は和装、そして草笛はあでやかな白いドレス、さらにはエスコート役として長年の交流があるという内野聖陽を携えてレッドカーペットを闊歩した。©日本アカデミー賞協会最後にはプレゼンターでもある昨年の受賞者、役所広司、安藤サクラ、磯村勇斗、山田裕貴が4人で登場。安藤は、羽鳥慎一と授賞式の司会も務める。※山崎賢人の「崎」は、正しくは「たつさき」(シネマカフェ編集部)
2025年03月14日第97回米アカデミー賞で作品賞、主演女優賞、監督賞、脚本賞、編集賞の最多5部門を受賞し、注目の的となった『ANORA アノーラ』。このアカデミー賞受賞やショーン・ベイカー監督来日の効果もあって大ヒット、追加の上映館が続々と決定している。本作は、ニューヨークを舞台にストリップダンサーとロシア新興財閥の御曹司の身分違いの恋という古典的な題材をリアルに映し出した、現代のアンチ・シンデレラストーリー。アカデミー賞でショーン・ベイカー監督は作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞の4つの賞を受賞しており、史上初めて1本の映画で4つの賞を獲得したオスカー獲得者となった。アカデミー賞の結果と続出する絶賛の口コミ、そして監督の来日を追い風に、本作は公開2週目週末3日間の興行収入が公開初週末対比105%を記録。新宿ピカデリーの動員は、公開初週の『ウィキッド ふたりの魔女』に次いで第2位にランクイン。そのほかの劇場毎では、前週比100%越えが73館、90%越えが25館を数え、各地で満席回も続出。178館(※初週は177館)という中規模公開作品ながら、公開9日目にはすでに1億円を突破。3月9日までの10日間の累計動員は8万9,624人。累計興収は1億2,327万4,160円に達している。そして、この大ヒットを受けて急遽追加の上映館が続々と決定。今後さらに上映館の追加が予定されている。公開直後から、SNSには「コメディタッチでずっとドタバタしてるのに、ヒロインの悲哀が胸に響く」「アノーラの力強さに翻弄されながら、最後の最後で泣かされました」「ラストに私の涙腺が崩壊」「弱き者にそっと寄り添う監督の想いが伝わるラストもすごく良かった」「一瞬で言葉を失うラストの切れ味が鋭すぎました」「ノンストップ&無尽蔵のエネルギーで139分は瞬く間!」「余韻がすごい。すぐにでももう一度観たい。誰かと話したい」「激流に身を委ね、切ない余韻に浸る一作」「今年ナンバーワン!」など、映画ファンを中心とした絶賛がタイムラインに溢れていたが、3月3日(日本時間)の米アカデミー賞最多5冠受賞の報を受け、X(旧Twitter)では一時「アノーラ」が日本のトレンド2位に浮上。3月5日は平日にもかかわらず、3月2日対比132%の動員を記録した。30~40代の映画ファンを中心に集客した初週末に比べて、アカデミー賞受賞以降は下は20代から上は60代以上まで客層が広がり、アカデミー賞効果で普段アート映画を観ない層まで浸透している印象。口コミでさらなるヒットが期待される。なお、一度興行が終了した北米でも、アカデミー賞受賞をうけ1,938館で再上映され、先週の週末興収ランキングで7位にランクイン。世界興収累計は現時点で4,600万ドル(68億円※1ドル148円換算)を超え、600万ドルで製作された映画として異例のヒットを記録している。『ANORA アノーラ』は全国にて公開中。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ANORA アノーラ 2025年2月28日より新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開©2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved. ©Universal Pictures
2025年03月11日(大森元貴のインスタグラムより)3月10日、14日に行われる「第48回日本アカデミー賞授賞式」に先駆けて、新設された「主題歌賞」の初代受賞者を、人気ロックバンド「Mrs. GREEN APPLE」(以下、ミセス)が受賞したことが発表された。対象となるのは、ミセスが手掛けた、’24年6月公開の映画『ディア・ファミリー』の主題歌『Dear』。映画は’70年代の日本を舞台に、小さな町工場を経営する主人公が、心疾患で余命10年と宣告された娘のために、自ら人工心臓を作るべく奮闘するヒューマンドラマだ。ミセスの楽曲について、日本アカデミー賞公式サイトでは、《作詞・作曲を担当した大森元貴(編注・ミセスのフロントマン)が、事前に作品の資料や映像を見て得たエネルギーや生きる活力を込めて書き下ろした。壮大でエモーショナルな楽曲はエンディングにさわやかな余韻を残し見る者の感動をより深めた》と講評。また、主題歌賞を新設した経緯については、《賞発足当初から「音楽部門」は設立されており、劇伴作曲者を対象に顕彰してまいりましたが、さらに、作曲の世界観を表現する重要な存在であり、映画と観客の架け橋になっている主題歌につきましても、顕彰することにいたしました》と説明している。受賞に際し、大森はこんなコメントを寄せた。《映画と音楽は非常に密接な関係にあり、日々音楽を創作する者として「作品の邪魔だけはしたくない。その映画に 関わったすべての方々へ感謝の気持ちを込め、最大のラブレターであるべきだ」と思いながら主題歌を担当させていただいております。名誉ある祭典で初の受賞者となり、その大きさに背筋が伸びます。今後とも胸を張って、より良い音楽を創るべく邁進してまいります》栄えある初代受賞者に輝いたミセスの快挙に、ネットやXではこんな声が上がっている。《主題歌賞初受賞、ミセス凄いな!映画の感動が蘇る、なんて素敵な曲なんだろ》《初の受賞って凄いな。この感動、きっと永遠に残ると思う》《ミセスが日本アカデミー賞の主題歌賞受賞だって!ファンとして凄く嬉しい!流石すぎます!》いっぽう、新設された「主題歌賞」をめぐってこんな疑問の声も。《そもそも”主題歌賞”って要るの?別にMrsの事が嫌いでもないし、いい歌を歌っていると思っているんだけど、日本アカデミー賞のやり方が強引すぎてちょっと引く》《音楽賞で良くね?主題歌賞って、ミセスのために作られた感じ》《アカデミー側がミセス人気に乗っかった感が否めない》『Dear』はYouTubeですでに2000万回以上再生されるなど反響を呼び、ミセスの手腕や映画と楽曲の親和性を疑う声はほとんど見られない。しかし、主題歌賞の設立をめぐる運営側の動きに一部から批判的な声が上がっているようだ。「日本アカデミー賞は米国の本家オスカーを運営する映画芸術科学アカデミーの正式許諾を受けて’78年に発足しています。本家では劇中の音楽に与えられる“作曲賞”と、書き下ろしの主題歌などの歌曲に与えられる“歌曲賞”があり、日本のアカデミー賞では前者に該当する『音楽賞』が発足当初から作者に授与されてきました。『主題歌賞』も本家に倣った形ではあるのでしょうが、本家では『アナと雪の女王』の『Let It Go』(13年)、『RRR』の『ナートゥ・ナートゥ』(22年)のように、映画本編と密接に関わっている曲が受賞する傾向にあります。昨年公開の日本映画では、2人組デュオ『ハンバート・ハンバート』の同名楽曲から着想を得て制作され、主題歌にもなっている『ぼくのお日さま』(池松壮亮主演)もあります。今回の『Dear』も映画のために書き下ろされた楽曲ではありますが、本家や『ぼくのお日さま』などと比べるとそうした要素は薄いでしょう。今回の主題歌賞は他のノミネート楽曲が明かされておらず、ミセス“決め打ち”のような印象を持つ人も少なくありません。そうした背景から、昨年のレコ大も受賞して話題沸騰中のミセスだけに、日本アカデミー賞がその人気にあやかろうとしているように感じる人が多いのではないでしょうか。また、日本アカデミー賞には衣装デザインやメイクアップやヘアメイクなど、本家と違って、映画を作るうえで重要な“裏方”の人たちにスポットを当てた賞が少ない。実際、日本を代表する映画監督でもある是枝裕和さんも、過去に衣装部門の賞新設を提言したことがありましたしね……」(映画ライター)
2025年03月11日日本アカデミー賞が第48回より、その年の最も印象に残る主題歌を担当したアーティストに「主題歌賞」を贈呈。初の受賞が「Mrs. GREEN APPLE」による大泉洋主演『ディア・ファミリー』の主題歌「Dear」に決定し、大森元貴からコメントが到着した。日本アカデミー賞では「日本映画人による日本映画人のための日本映画の祭典」として、1年の映画界の総決算である授賞式にて映画に携わる俳優、スタッフを顕彰し、今回で48回目を迎える。賞発足当初から「音楽部門」は設立されており、劇伴作曲者を対象に顕彰してきたが、さらに、作品の世界観を表現する重要な存在であり、映画と観客の架け橋になっている主題歌についても顕彰することに。栄えある初回の受賞者となる、第48回日本アカデミー賞主題歌賞の受賞者は、授賞式の副賞協力「TASAKI」の推薦、映画人の組織である当協会会長、ならびに役員の選考により決定。特別賞新賞「主題歌賞」初の受賞者は「Mrs. GREEN APPLE」による「Dear」が選ばれた。「Mrs. GREEN APPLE」による「Dear」「Dear」は、家族の絆を描いた実話を基に映画化された『ディア・ファミリー』(監督:月川翔、脚本:林民夫)の主題歌。作詞・作曲を担当した大森元貴が、事前に作品の資料や映像を見て得たエネルギーや生きる活力を込めて書き下ろした。壮大でエモーショナルな楽曲はエンディングにさわやかな余韻を残し見る者の感動をより深めた。『ディア・ファミリー』©2024「ディア・ファミリー」製作委員会「Mrs. GREEN APPLE」は2024年の映画主題歌としてほかに、『サイレントラブ』の「ナハトムジーク」、映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』の「ビターバカンス」も担当。どの作品においても映画に寄り添った楽曲で映画と主題歌の融合で観客を魅了し、話題を集めた。●「Mrs. GREEN APPLE」受賞者コメントこの度、新たに設立された特別賞「主題歌賞」を受賞いたしました。映画と音楽は非常に密接な関係にあり、日々音楽を創作する者として「作品の邪魔だけはしたくない。その映画に関わったすべての方々へ感謝の気持ちを込め、最大のラブレターであるべきだ」と思いながら主題歌を担当させていただいております。名誉ある祭典で初の受賞者となり、その大きさに背筋が伸びます。今後とも胸を張って、より良い音楽を創るべく邁進してまいります。大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)「第48回日本アカデミー賞授賞式」は3月14日(金)にグランドプリンスホテル新高輪 国際館パミールにて開催。(シネマカフェ編集部)■関連作品:ディア・ファミリー 2024年6月14日より全国東宝系にて公開©2024「ディア・ファミリー」製作委員会
2025年03月10日アカデミー賞授賞式のアメリカでの視聴率が判明した。メジャーネットワークABC、系列の配信プラットフォームHuluでの中継を、テレビ、PC、携帯などで見たのは1,969万人。昨年の1,950万人よりやや増えている。Huluでのライブ配信は今年初めて導入されたが、その貢献は大きかった。視聴者の番組へのアクセス方法が変化していることの表れと言える。しかし、初の試みとあり、Huluでの中継ではトラブルも報告された。近年、授賞式番組は低迷が続いており、アカデミー賞授賞式も2021年に過去最低を記録。その後次第に戻ってきているものの、『タイタニック』が作品賞を受賞した年の5,700万人にはほど遠い。文=猿渡由紀『ANORA アノーラ』公開中(C)2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved. (C)Universal Pictures
2025年03月05日3月2日(現地時間)に開催された第97回アカデミー賞授賞式で、『リアル・ペイン~心の旅~』でキーラン・カルキンが助演男優賞を受賞。兄のマコーレー・カルキンが喜びを爆発させた。「Vanity Fair」誌が主催したオスカーのアフターパーティーに参加したマコーレー・カルキン。レッドカーペットでレポーターのタン・フランスから弟の受賞を祝福され、「授賞式をすべて観ましたか?」と聞かれると、「助演男優賞だけ観ました。本当の話です。泣いてしまいましたよ」とうれし泣きしたことを明かした。助演男優賞の候補は、ユーリー・ボリソフ(『ANORA アノーラ』)、エドワード・ノートン(『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)、ガイ・ピアース(『ブルータリスト』)、ジェレミー・ストロング(『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』)と賞レースの常連がほとんどだったが、マコーレー・カルキンは弟の受賞を確信していたという。「彼は最前列に座っていたし、舞台の階段に一番近いところにいました。勝たないわけがなかったんです」とマコーレー流のジョークを飛ばした。キーラン・カルキンが受賞するやいなや、マコーレー・カルキンは「あとで会おう」とメールしたというが、「会えるかわかりませんね。彼は多忙だ。なんといっても、アカデミー賞俳優のキーラン・カルキンなんですから!」と再びジョークを交えて弟を称えた。(賀来比呂美)
2025年03月04日アカデミー賞授賞式の中継は、アメリカでずっとディズニー傘下のABCが行ってきた。だが、現在の契約は2028年まで。2029年以降はどうなるのか。今後について、アカデミーはABCと独占交渉をしてきたが、期限内に答が出ず、これからは他局とも話し合いが持てるようになった。ABCは続投に興味を示しているものの、問題はライセンスフィー。現在は毎年1億ドルを払っているが、昔に比べて視聴率が落ちている今、値下げを望んでいるようだ。非営利団体のアカデミーにとってライセンスフィーは重要な収入源。果たして他局はABCよりいい値段をオファーしてくるのか。今年のオスカー中継の30秒スポット料金は、170万ドルから230万ドル。広告枠は売り切れた。文=猿渡由紀『ANORA アノーラ』公開中(C)2024 Focus Features LLC. All Rights Reserved. (C)Universal Pictures
2025年03月04日第97回アカデミー賞の授賞式が開催され、『ANORA アノーラ』が作品賞を含む最多5冠に輝いた。『ANORA アノーラ』は、第77回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞した作品で、身分違いの恋という古典的な題材をニューヨークを舞台に21世紀風に映し出した、アンチ・シンデレラストーリーだ。作品賞のほかは、主演を務めたマイキー・マディソンが主演女優賞を、そしてショーン・ベイカー監督が監督賞、脚本賞、編集賞を受賞。6部門ノミネートの内、5部門を制した。続く、3冠に輝いたのは、10部門にノミネートされていた『ブルータリスト』。第2次世界大戦下にホロコーストを生き延び、アメリカへと渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トートの30年にわたる数奇な半生を描く人間ドラマだ。エイドリアン・ブロディが2度目となる主演男優賞を受賞したほか、撮影賞、作曲賞を受賞した。『ブルータリスト』 (C)DOYLESTOWN DESIGNS LIMITED 2024. ALL RIGHTS RESERVES(C) Universal Picturesそして、今年最多12部門13ノミネートされていた『エミリア・ペレス』は、ゾーイ・サルダナの助演女優賞と歌曲賞の2部門を受賞。女性として新たに生きることを決意したメキシコ最恐の麻薬王と、彼女との出会いで運命を切り開いていく3人の女性たちの姿をミュージカル仕立てで描いた異色の感動作となっている。『エミリア・ペレス』 (C)2024 PAGE 114 - WHY NOT PRODUCTIONS - PATHE FILMS - FRANCE 2 CINEMAまた、『ウィキッド ふたりの魔女』が美術賞と衣装デザイン賞、『デューン 砂の惑星PART2』が視覚効果賞と音響賞を、それぞれ受賞した。『ウィキッド ふたりの魔女』 (C)Universal Studios. All Rights Reserved.『デューン 砂の惑星PART2』 (C)2023 Legendary and Warner Bros. Ent. All Rights Reservedそのほか、助演男優賞は『リアル・ペイン~心の旅~』のキーラン・カルキンが初ノミネートで受賞。日本からノミネートされていた、長編ドキュメンタリー賞『Black Box Diaries』(伊藤詩織監督)、短編ドキュメンタリー賞『Instruments of a Beating Heart』(山崎エマ監督)、短編アニメ映画賞『あめだま』(西尾大介監督)の3作品の受賞はならなかった。『リアル・ペイン~心の旅~』 (C)2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.第97回アカデミー賞 受賞結果(★が受賞作品)■作品賞★『ANORA アノーラ』『ブルータリスト』『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』『教皇選挙』『デューン 砂の惑星PART2』『エミリア・ペレス』『I’M STILL HERE(英題)』『Nickel Boys(原題)』『サブスタンス』『ウィキッド ふたりの魔女』■監督賞★『ANORA アノーラ』ショーン・ベイカー『ブルータリスト』ブラディ・コーベット『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ジェームズ・マンゴールド『エミリア・ペレス』ジャック・オディアール『サブスタンス』コラリー・ファルジャ■主演男優賞★『ブルータリスト』エイドリアン・ブロディ『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ティモシー・シャラメ『シンシン/SING SING』コールマン・ドミンゴ『教皇選挙』レイフ・ファインズ『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』セバスチャン・スタン■主演女優賞『ウィキッド ふたりの魔女』シンシア・エリヴォ『エミリア・ペレス』カルラ・ソフィア・ガスコン★『ANORA アノーラ』マイキー・マディソン『サブスタンス』デミ・ムーア『I’M STILL HERE(英題)』フェルナンダ・トーレス■助演男優賞『ANORA アノーラ』ユーリー・ボリソフ★『リアル・ペイン~心の旅~』キーラン・カルキン『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』エドワード・ノートン『ブルータリスト』ガイ・ピアース『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』ジェレミー・ストロング■助演女優賞『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』モニカ・バルバロ『ウィキッド ふたりの魔女』アリアナ・グランデ『ブルータリスト』フェリシティ・ジョーンズ『教皇選挙』イザベラ・ロッセリーニ★『エミリア・ペレス』ゾーイ・サルダナ■脚本賞★『ANORA アノーラ』ショーン・ベイカー『ブルータリスト』ブラディ・コーベット、モナ・ファストヴォールド『リアル・ペイン~心の旅~』ジェシー・アイゼンバーグ『セプテンバー5』モーリッツ・ビンダー、ティム・フェールバウム、アレックス・デヴィッド『サブスタンス』コラリー・ファルジャ■脚色賞『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ジェームズ・マンゴールド、ジェイ・コックス★『教皇選挙』ピーター・ストローハン『エミリア・ペレス』ジャック・オディアール、トマ・ビデガン、レア・ミシウス、ニコラ・リヴェッキ『ニッケル・ボーイズ』ラメル・ロス、ジョスリン・バーンズ『シンシン/SING SING』クリント・ベントリー、グレッグ・クウェダー、クラレンス・マクリン、ジョン・“ディヴァインG”ホイットフィールド■国際長編映画賞★『アイム・スティル・ヒア』(ブラジル)『ガール・ウィズ・ニードル』(デンマーク)『エミリア・ペレス』(フランス)『聖なるイチジクの種』(ドイツ)『Flow』(ラトビア)■撮影賞★『ブルータリスト』ロル・クロウリー『デューン 砂の惑星PART2』グレイグ・フレイザー『エミリア・ペレス』ポール・ギローム『Maria(原題)』エドワード・ラックマン『ノスフェラトゥ』ジェアリン・ブラシュケ■編集賞★『ANORA アノーラ』『ブルータリスト』『教皇選挙』『エミリア・ペレス』『ウィキッド ふたりの魔女』■美術賞★『ウィキッド ふたりの魔女』『教皇選挙』『ブルータリスト』『デューン 砂の惑星PART2』『ノスフェラトゥ』■衣装デザイン賞★『ウィキッド ふたりの魔女』『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』『教皇選挙』『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』『ノスフェラトゥ』■メイクアップ&ヘアスタイリング賞『A Different Man(原題)』『エミリア・ペレス』『ノスフェラトゥ』★『サブスタンス』『ウィキッド ふたりの魔女』■視覚効果賞『エイリアン:ロムルス』『BETTER MAN/ベター・マン』★『デューン 砂の惑星PART2』『猿の惑星/キングダム』『ウィキッド ふたりの魔女』■音響賞『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』『エミリア・ペレス』★『デューン 砂の惑星PART2』『野生の島のロズ』『ウィキッド ふたりの魔女』■作曲賞★『ブルータリスト』ダニエル・ブルンバーグ『教皇選挙』フォルカー・ベルテルマン『エミリア・ペレス』クレモン・デュコル、カミーユ『ウィキッド ふたりの魔女』ジョン・パウエル、スティーヴン・シュワルツ『野生の島のロズ』クリス・バワーズ■歌曲賞★『エミリア・ペレス』El Mal『6888郵便大隊』The Journey『シンシン/SING SING』Like A Bird『エミリア・ペレス』Mi Camino『エルトン・ジョン:Never Too Late』Never Too Late■長編アニメーション賞★『Flow』『インサイド・ヘッド2』『かたつむりのメモワール』『ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!』『野生の島のロズ』■短編アニメーション賞★『In the Shadow of the Cypress(原題)』『美しき男たち』『あめだま』『フシギなフラつき』『Yuck!(英題)』■長編ドキュメンタリー賞『Black Box Diaries』★『ノー・アザー・ランド 故郷は他にない』『Porcelain War(原題)』『Soundtrack to a Coup d’Etat(原題)』『SUGARCANE/シュガーケイン』■短編ドキュメンタリー賞『Death by Numbers(原題)』『I Am Ready, Warden(原題)』『Incident(原題)』『Instruments of a Beating Heart』★『ザ・レディ・イン・オーケストラ:NYフィルを変えた風』■短編実写映画賞『A Lien(原題)』『Anuja(原題)』★『私は人間』『The Last Ranger(原題)』『The Man Who Could Not Remain Silent(英題)』
2025年03月03日前哨戦の勢いそのまま、『ANORA アノーラ』が最多5部門を受賞し、賞レースの最後を飾った第97回アカデミー賞。今年のレッドカーペットはハリウッドの王道クラシック・スタイルからカラフルな装いまで多様なスタイルのファッションで華やいだ。女性の装いで目立ったのはハリウッド黄金時代を思わせるクラシックなスタイル。ストラップレスのドレスを選んだセレブも多かった。マイキー・マディソン Photo by Monica SchipperGetty Images『ANORA アノーラ』で初ノミネーションにして初受賞を果たした主演女優賞のマイキー・マディソンは、『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘプバーンを意識した「ディオール(Dior)」のドレス。黒のトップにペールピンク。「ティファニー(Tiffany & Co.)」のアーカイブのジュエリーを添えた。ゾーイ・サルダナ Photo by Mike CoppolaGetty Images同じく初ノミネーションで初受賞を果たした助演女優賞のゾーイ・サルダナ(『エミリア・ペレス』)は、アンバサダーを務める「サンローラン(Saint Laurent)」のワインレッドのドレス。ビーズのトップにバルーン三層のスカート、「カルティエ(Cartier)」のエメラルドとダイアモンドのネックレス。ストラップレスはミシェル・ヨー、ハル・ベリー、メグ・ライアンなど大人世代にも人気だった。デミ・ムーア Photo by Savion WashingtonGetty Images主演女優賞を惜しくも逃したデミ・ムーア(『サブスタンス』)は、「アルマーニ・プリヴェ(Armani Privé)」のシルバーの刺繍ドレス。プランジネックに腰の部分にプリーツでボリュームを持たせたデザインだ。ネックレスは付けず、トレードマークである自然におろしたロングヘアに「ショパール(Chopard)」のイヤリングとブレスレットを合わせた。モニカ・バルバロ Photo by Savion WashingtonGetty Images助演女優賞候補のモニカ・バルバロ(『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)は、「ディオール(Dior)」のピンクのドレス。トップが異素材(シルバーのビーズ)というのも今年のトレンドだ。アリアナ・グランデ Photo by Monica SchipperGetty Imagesオープニングでシンシア・エリヴォとデュエットを披露した助演女優賞候補のアリアナ・グランデ(『ウィキッド ふたりの魔女』)は、レッドカーペットでは「スキャパレリ(Schiaparelli)」のオートクチュール。大きくふくらませたスカートには、19万個以上のクリスタルのスパンコールやラインストーンがあしらわれている。シンシア・エリヴォ Photo by Mike CoppolaGetty Images主演女優賞候補のシンシア・エリヴォ(『ウィキッド ふたりの魔女』)は、演じたエルファバにちなんでダークグリーンのドレスをチョイス。「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」の立体的なデザインで存在感を放った。セリーナ・ゴメス Photo by Mike CoppolaGetty Images様々なグラデーションを楽しめるピンクは人気色。セレーナ・ゴメス(『エミリア・ペレス』)は、「ラルフローレン(Ralph Lauren)」の淡いピンクのシークインドレス。1万6000個以上のローズモントクリスタルなどのビーズを12人の職人が手縫いで仕上げた。伊藤詩織監督 Photo by Savion WashingtonGetty Images『Black Box Diaries』で長編ドキュメンタリー賞候補となった伊藤詩織監督は、鮮やかなピンクとレッドのバイカラーのドレスで登場した。エル・ファニング Photo by Monica SchipperGetty Imagesエル・ファニングは、「ジバンシィ(Givenchy)」の白の総レースのドレス。ウエストを高めの位置で黒のリボンで強調した。髪はアップスタイルで、「カルティエ(Cartier)」の1958年のヴィンテージのネックレスを付け、今夜のトレンドの1つだったクラシックなハリウッド・スタイルを体現した。ウエストをリボンベルトでマークするスタイルは、マイキー・マディソンや主演男優賞候補のコールマン・ドミンゴ(『シンシン/SING SING』)も取り入れた。リサ Photo by Mike CoppolaGetty Imagesボンドトリビュートパフォーマンスで、『007/死ぬのは奴だ』のテーマ曲を歌った「BLACKPINK」のリサは、レッドカーペットにタキシードで登場。ロングドレスのような長いジャケットは中国出身のマーク・ゴン(Mark Gong)によるデザイン。マーガレット・クアリー Photo by Mike CoppolaGetty Imagesトリビュートのシーケンスでは、赤のドレスで見事なダンスパフォーマンスを行なったマーガレット・クアリー。レッドカーペットでは背中が大きく空いた「シャネル(CHANEL)」の黒のドレスだった。これは2005年春夏コレクションにインスパイアされたデザインで、ジュエリーも同ブランド。髪をアップし、彼女も1950~60年代のハリウッド・グラマーを表現している。エマ・ストーン Photo by Scott KirklandDisney via Getty Imagesエマ・ストーンは、「ルイ・ヴイトン(Louis Vuitton)」のシャンパンカラーのプランジネックのシークインドレス。ピクシーカットの前髪にウェーブを付けたスタイルも古き良きハリウッド風だ。ラフィー・キャシディ Photo by Mike CoppolaGetty Images『ブルータリスト』のラフィー・キャシディは、「ロエベ(Loewe)」のワンショルダー。右肩の立体的なボウが印象的。同作に出演のステイシー・マーティンは、ブラックレースに立体的なデザインの「ルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)」のカスタムドレス。スカーレット・ヨハンソン Photo by Mike CoppolaGetty Imagesいまやサステイナブルを意識した装いはハリウッドでは常識となり、ハイブランドの最新コレクションよりもアーカイブから探す場合もある。スカーレット・ヨハンソンは、故ティエリー・ミュグレー(Thierry Mugler)の1999年秋冬コレクションのドレスをチョイスした。マイリー・サイラス Photo by Mike CoppolaGetty Imagesブラックドレスも根強い人気で、マイリー・サイラスは、「アレキサンダー・マックイーン(Alexander McQueen)」のホルターネックの黒のドレス。リリー・ローズ・デップ Photo by Savion WashingtonGetty Imagesリリー・ローズ・デップはもちろん、アンバサダーを務める「シャネル(CHANEL)」で、黒のシースルーのチュールドレス。フェルナンダ・トレス Photo by Monica SchipperGetty Images「シャネル(CHANEL)」の黒は、主演女優賞のフェルナンダ・トレス(『アイム・スティル・ヒア』)も着用した。今年は男性の装いも例年以上に華やかだった。エイドリアン・ブロディ Photo by Savion WashingtonGetty Images特に印象的なのはブローチ。『ブルータリスト』で2度目の主演男優賞に輝いたエイドリアン・ブロディは、端正なタキシードに羽根をモチーフにした大きなブローチでアクセントを付けた。キーラン・カルキン Photo by Mike CoppolaGetty Imagesやはり初ノミネーションで初受賞となった助演男優賞のキーラン・カルキン(『リアル・ペイン~心の旅~』)はミッドナイトブルーのジャケットに黒のシャツとタイを合わせた。伝統的なブラックタイ、ブラックタキシードにこだわらず、色で冒険するスタイルも目立った。ティモシー・シャラメ Photo by Monica SchipperGetty Images主演男優賞の史上最年少受賞が惜しくも叶わなかったティモシー・シャラメ(『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』)は「ジバンシィ(Givenchy)」のライトイエローのスーツ。シャツも同色で、レッドカーペットで一際目を引いた。コールマン・ドミンゴ Photo by Lexie MorelandWWD via Getty Images主演男優賞候補のコールマン・ドミンゴ(『シンシン/SING SING』)は、鮮やかな赤のジャケットに同色のサッシュベルト、黒のフレアパンツ。一部が黒の襟に「ブシュロン(Boucheron)」のヴィンテージのゴールドのブローチを付けた。ジェレミー・ストロング Photo by Chelsea GuglielminoFilmMagic助演男優賞候補のジェレミー・ストロング(『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』)は、ライトブラウン、アンドリュー・ガーフィールドは「グッチ(Gucci)」のブラウンスーツ。同色のシルクシャツにネクタイは付けなかった。ジェフ・ゴールドブラム Photo by JC OliveraWWD via Getty Imagesジェフ・ゴールドブラムは、「プラダ(Prada)」の白いディナージャケットに黒のパンツ、プリント柄のシャツに紫のボウ、花のブローチで遊び心を見せた。セバスチャン・スタン Photo by Frazer HarrisonWireImageもちろん正統派のタキシードも健在。主演男優賞候補のセバスチャン・スタン(『アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方』)は「プラダ(Prada)」の黒のタキシードにオフホワイトのシャツを合わせた。ジョー・アルウィン Photo by Mike CoppolaGetty Imagesプレゼンターのジョー・アルウィンのタキシードも「JW アンダーソン(JW ANDERSON)」のオーソドックスなデザインだが、胸に「ブルガリ(Bulgari)」のフローラル・モチーフのブローチでアクセントを加えた。最多5部門受賞の『ANORA アノーラ』、『ブルータリスト』が3部門受賞で続き、インディペンデント作品が強さを見せた第97回アカデミー賞は、レッドカーペットのスタイルも1人1人の個性で強く彩られた。Photo by Arturo Holmes/WireImageAllen J. Schaben / Los Angeles Times via Getty ImagesPhoto by JC Olivera/WWD via Getty ImagesPhoto by Kevin Mazur/Kevin Mazur/Getty ImagesPhoto by Lexie Moreland/WWD via Getty Images(冨永由紀)
2025年03月03日第97回アカデミー賞授賞式が3月3日(日本時間)、アメリカ・ロサンゼルスのドルビー・シアターで開催され、『ANORA アノーラ』が作品賞をはじめ、最多5部門に輝いた。この原稿では、4つのトピックスで授賞式の様子をふり返りたい。番狂わせなしで納得の受賞結果日本勢は受賞を逃す『ANORA アノーラ』オスカー前哨戦と呼ばれる映画賞で、受賞を重ねてきた『ANORA アノーラ』が下馬評通りに、強さを発揮した。監督を務めたショーン・ベイカーが監督賞、編集賞、脚本賞を受賞。自らの幸せを勝ち取ろうと奮闘する、若きストリップダンサーの主人公を演じたマイキー・マディソンが主演女優賞に輝いた。一昨年に『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が、昨年は『オッペンハイマー』が計7部門で圧勝したのに対し、今年は『ブルータリスト』が3部門(主演男優賞、作曲賞、撮影賞)、『ウィキッド ふたりの魔女』『エミリア・ペレス』『デューン 砂の惑星PART2』がそれぞれ2部門に輝く分散傾向。主演賞こそ混戦ムードではあったが、番狂わせもほぼなく、多くの映画ファンが納得できる結果となった。『Black Box Diaries』(原題)なお、ノミネートされた3本の日本作品、伊藤詩織氏が初監督を務めた『Black Box Diaries』(長編ドキュメンタリー映画賞)、山崎エマ監督作『Instruments of a Beating Heart』(短編ドキュメンタリー映画賞)、東映アニメーション製作の『あめだま』(短編アニメーション賞)は、いずれも受賞を逃した。ゾーイ・サルダナの受賞スピーチに海外SNSも沸騰ゾーイ・サルダナ Photo by Kevin Winter/Getty Images毎年、映画ファンの記憶に刻まれるのが、受賞者たちの感動のスピーチ。第97回アカデミー賞授賞式は、『エミリア・ペレス』で助演女優賞に輝いたゾーイ・サルダナが圧倒した。「私は移民の両親の誇り高い子供です。夢と尊厳と勤勉な手を持ち、私はアカデミー賞を受賞した最初のドミニカ系アメリカ人です。そして、私が最後ではないと願っています。スペイン語で歌い、話す役で賞をもらえるという事実。私の祖母がここにいたら、とても喜んでくれるでしょう。これは祖母のためのものです」ドミニカ系アメリカ人の父とプエルトリコ人の母をもつ彼女のスピーチは、瞬く間に海外SNSで沸騰。「感動した」「今夜の主役は彼女」といった主旨のポストが数多く見受けられた。トランプ大統領の移民政策に対する、一種のステートメントでもあり、カウンターとも受け取れる内容が、今後、有意義な議論につながることを期待したい。山火事で甚大被害の“おうち”ハリウッドにエールシンシア・エリヴォ&アリアナ・グランデ Photo by Kevin Winter/Getty Images年明け早々、ハリウッドを直撃した大規模な山火事による甚大被害も、避けては通れぬテーマだった。そもそも「今年はアカデミー賞授賞式が開催できるのか?」という議論も巻き起こったほど。無事に開催されることになった今年の授賞式は、『ラ・ラ・ランド』をはじめ、ハリウッドを舞台にした映画の映像をコラージュし、エールを送った。その流れで『ウィキッド ふたりの魔女』に出演したシンシア・エリヴォ&アリアナ・グランデが、歌唱パフォーマンスを披露した。同作は「やっぱり、おうちが一番」というセリフで知られる『オズの魔法使』から派生した作品。そう、授賞式に出席した映画人にとって、ハリウッドこそが“おうち”そのもの。シンシア・エリヴォが「Home」を熱唱したのもうなずける(こちらは『オズの魔法使い』を原作に、アフリカ系アメリカ人出演者が出演したミュージカル『ウィズ』からの楽曲だ)。授賞式の中盤では、消火活動に尽力した消防隊員ら10数名をステージに招待。あえて、彼らにジョークを言わせる、明るい演出が印象的だった。もちろん、支援を訴えることも忘れていなかった。『ANORA アノーラ』監督が訴え「インディペンデント映画は苦戦している!」ショーン・ベイカー監督 Photo by Gilbert Flores/Penske Media via Getty Images授賞式の演出として、ユニークなCMが流れたのも印象に残った。それは、自宅で、スマホやタブレットを使って映画を鑑賞する人たちに、授賞式MCのコナン・オブライエンが「退屈そうだね、もっといい場所があるよ」と、映画館を紹介するという内容。映画館に連れてこられた人たちが、スクリーンを前に「あれ?スマホは?」「どうやって再生するの?」と戸惑う姿は、一見皮肉に思えるが、映画館離れに対する危機感の表れでもある。映画館の衰退は、映画の多様性を脅かすことに直結している。作品賞に輝いた『ANORA アノーラ』は、低予算で製作されたインディペンデント映画であるため、今年4つものオスカー像を手にしたショーン・ベイカー監督は「コロナ禍の影響で、1000もの劇場が閉館してしまい、いまも減少傾向です。インディペンデント映画も苦戦しています」と訴え。「世界が分断しているからこそ、いまこそ映画館に足を運んでください」と呼びかけた。「私は5歳のときに、母親に映画館に初めて連れて行ってもらいました。今日はその母の誕生日なんです。この賞を母に捧げます」(ショーン・ベイカー監督)。なお、『ANORA アノーラ』は現在、全国の映画館で上映中だ。(Ryo Uchida)
2025年03月03日