レッドハットは11月4日、都内で「Red Hat Forum」を開催した。米国本社の社長兼CEOであるジム・ホワイトハースト氏が登壇したほか、同日にMBaaS(Mobile Backend asa Service)の「Red Hat Mobile Application Platform」と、クラウド管理者向けシステム管理分析サービスの「Red Hat Insight」の日本国内における提供開始を発表した。冒頭、ホワイトハースト氏は今後の戦略について「これまで、企業の強みは製造設備などの有形資産に紐付いていたが、近年では価値の創造は情報がベースになっている。UberやFacebookなどの企業は情報を核としたビジネスモデルで、その中で最も重要な役割を果たすのがITだ」と語った。そして「現在のITはスケールアウトアーキテクチャが台頭し、アプリケーションがステートレスでスピーディにスケールアップ/ダウンできるものが企業では重要視されている。これまで我々はオープンソースプロジェクトの活用や証券取引などの基幹業務システムを構築してきたが、基幹システムなどのオペレーションのサポートだけでなく、スケールアウトのインフラも手がけてきた」と同氏は述べた。また、同社の事業展開がバイモーダルだと主張し「近年、140万のオープンソースプロジェクトが存在しているが、我々は5000以上のプロジェクトに参加しており、最も重要なものは次世代技術であるコンテナ関連だ。『Docker』『kubernetes』などに貢献しており、主要なオープンソースプロジェクトに関わっている。従来はコスト削減の一環としてオープンソースを活用していたが、ここ2~3年の動向としてはイノベーションを牽引するものに変貌している」と述べた。同社は同フォーラムの開催に併せて「Red Hat Mobile Application Platform」と「Red Hat Insight」の国内投入も発表した。Red Hat Mobile Application Platformは、同社が2014年に買収したFeedHenryの技術をRed Hat JBoss MiddlewareやOpenShift PaaSポートフォリオといった製品・サービスを組み合わせた、企業向けモバイルアプリケーション向けソリューションプラットフォーム。モバイル端末から既存の企業システムへの連携を容易にし、アプリケーションの開発と実行、運用基盤を提供する。すでに同社のクラウドサービスとして評価利用を開始しており、サブスクリプションサービスの販売開始は年内を予定。価格は未定ながらサブスクリプションの販売開始日までに決定するとする。また、企業のバックエンドシステムにセキュアかつスケーラブルに接続するため、Node.jsを活用したMBaaSソリューションでiOSやAndroid、Windows Mobileなど、さまざまなモバイル端末に対応したアプリケーション開発のために共通的なツールやAPIを提供し、開発者が好みのSDKを取り込むことを可能とする。さらに、モバイルアプリケーションのプロトタイプ開発を迅速にするためのコードレスフォームビルダーを提供していくとともに、開発のためのDevOpsプラットフォームを提供し、チーム開発のサポートができることを特徴としている。同プラットフォームについてマクグロイン氏は「これまでバックエンドなどが技術の核だったが、どのようにして顧客とやり取りをし、またデバイスから情報のやり取りをするかが重要となっており、そうした意味でもモバイルは重要な技術だ。顧客はモバイルの可能性を理解・適用することでイノベーションおよび柔軟性を生み出しており、最終的にコスト削減や生産性の向上に結び付けている。顧客とのやり取りをモバイルで行い、新たな収入源を生み出すビジネスモデルを構築することを考えれば、最終的にモバイルはコアな技術になると考えている」と説明した。さらに「デジタル化の流れは生活の中でソーシャルメディアなど消費者から始まり、現在はどのようにソフトウェアを開発し、どれだけ柔軟性を駆使できるかが重要だ。モバイルはパブリックネットワークにあるバックエンドのシステムに接続し、多くのデータが生成され、そして消費される世界だ。開発者はスピーディに開発・リリースできるようにしたいと考えおり、企業が多くのモバイルソリューションを企業用に展開できるような仕組みとして新製品を提供する」と同氏は述べた。一方、システム管理分析サービスであるRed Hat Insightも評価利用を開始しており、サブスクリプションサービスの販売開始は2016年3月を予定している。価格は未定ながらサブスクリプションの販売開始日までに決定するという。同サービスはRed Hat Enterprise LinuxとRed Hat Cloud Infrastructureの環境において可視性を高め、IT部門が技術的な課題を解決できるようにデザインされている。IT基盤のプロアクティブなモニタリングと分析を行うことで、実際のビジネスオペレーションに重大な問題が生じる前に、技術的な課題へのアプローチを可能とし、ダウンタイムを削減する。また、同サービスはナレッジベースに基づき分析し、注意が必要な重要事項は同サービスのユーザー・インタフェースに重要度ごとに表示するほか、それらの解決策と方法が段階的に状況に応じてITマネージャーやシステム・アドミニストレーターに提案される。これにより、重要な問題に向き合うと同時に将来の問題を回避することが可能となる。同サービスのエンジンは700名以上のRed Hat認定エンジニア、3万ページ以上の文書化された技術ソリューション、そして100万件以上の解決済みの問題から構成されており、決定論的法則が常に更新されるという。
2015年11月05日Cisco SystemsのCEOを20年勤めあげた後、7月にその座を譲り会長に就任したJohn Chambers氏。彼は、長期にわたって成長戦略を軌道に乗せた経営手腕で知られる。そのChambers氏が米Boxの年次カンファレンス「BoxWorks 2015」に登場し、Boxの共同創業者兼CEOのAaron Levie氏と対談した。テーマはデジタル化――この波に乗り遅れると「Fortune 500企業の40%が10年後に生き残れない」と警告する。○デジタル化の波が全ての業種に襲ってくるCiscoに入社後20年以上の間、ハイテク業界のトレンド、企業の浮き沈みを見てきたChambers氏だが、現在のIT界は「大きな転換点にある」という。「業界を問わず、世界中のあらゆる企業がデジタル化の波にある。大きな変革が必要だ」とChambers氏。その推進役はモバイルとクラウドだ。CiscoはInternet of Everythingのフレーズの下で2020年に500億台のデバイスがネットに接続しているとの予想を出しているが、これが実現する世界では、自社の主事業が何であろうと「あらゆる企業がテクノロジー企業になる必要がある」とする。例えば、Uberは交通業界を大きく変えているが、同社は「配車企業ではない」とChambers氏は言う。シェアリングエコノミーの考え方を、技術を利用してビジネスにしていることから、「Uberは(タクシー企業ではなく)技術企業だ」と言い切る。さらには、UberやAirbnbのような技術を活用して既存市場を変える企業の登場により、「生き残れない企業が出てくる」と予言、「これは競争であり、市場にとって健康的なことだ」と続けた。このようにわれわれは大きな変革の時期を迎えており、「デジタルを受け入れなければ、Fortune500企業の40%が10年後には存続できなくなる」とChambers氏は警告した。○Apple、Cisco、Microsoftなどの大型ベンダーの提携は何を意味する?Levie氏は技術トレンドに加えて、エンタープライズ分野におけるベンダー間の「協業」という新しい傾向を取り上げた。Cisco自身も8月にAppleとの提携を発表している。そのAppleはIBMと提携しており、BoxもオンプレミスのECM(エンタープライズコンテンツ管理)を持つIBMと協業関係にある。これらが意味するものは何か。Levie氏の問いに対してChambers氏は、「技術ではなく、(提携により)顧客に提供できる成果にフォーカスした結果」と述べる。つまり、1社だけでは顧客のニーズを満たすことができないからだ。そして、このような大手の技術企業の提携が今後も増えると予想する。「提携は勝者になるか、敗者になるかに大きな影響を与えるだろう」とChambers氏は述べる。このような変革は企業だけでなく国レベルでも起こる必要がある。各国政府とのやりとりがあるChambers氏はここで、インドなどの途上国やドイツ、イタリア、英国などの先進国には「デジタル戦略」が存在するが、米国には意外にも「ちゃんとしたデジタル戦略がない」と危機感をあらわにしている。○変革を乗り切る――リーダーに大きな責任Chambers氏が対談で聴衆に送ったメッセージは、「あらゆる企業のトップがデジタル化の戦略を持ち、市場の変革期をうまく乗り越えなければ存続できない」という言葉に集約される。「デジタルの変革を受け入れ、正しくその変革を管理できる企業が成功する」とChambers氏は話すが、ここでリーダーが大きな役割を果たす。「うまくいったことを変えることに抵抗があるというリーダーもいるだろうが、市場は容赦ない。変革できなければ取り残される。変革は技術だけではない。経済、ビジネスモデルも考える必要がある」(Chambers氏)Cisco自身は、ルーターとスイッチからテレフォニー、動画、コラボレーションとトレンドを取り入れ、現在ではクラウドやデータセンター、セキュリティまで事業を遂行している。買収は同社の拡大戦略の大きな部分を占めたが、これについては「リスクをとる必要がある」とした。「市場シェアを維持・拡大するためなのか、新しい技術を獲得するためなのか、株主を満足させるためなのかを問う必要がある。もちろん全てが成功だったわけではない」として、買収後に約2年で閉鎖となってしまったFlip Videoを例に挙げた。「CEO自身が何度も生まれ変わる必要がある」とChambers氏、CiscoのCEOとしての20年の間、「20回自分自身を作り直した」と述べる。「(リニアに対して)指数関数的に考える必要がある。自分自身を再構築し、組織を再構築し、そして企業を再構築しなければならない」――20年間ネットワーク業界の最大手を維持したCiscoの元CEOの言葉は、重みをもって響いた。
2015年10月14日Twitterの暫定CEOを務めていたJack Dorsey氏が同社の新CEO(最高経営責任者)に就任した。Dorsey氏が同氏のTwitterアカウントで発表したもので、Twitterが米国証券取引所(SEC)に提出した書類によると30日(米国時間)に取締役会が承認した。Dorsey氏は取締役会会長を退任。TwitterはAdam Bain氏をCOO(最高執行責任者)に任命しており、Dorsey氏とBain氏は取締役会の再編に取り組む。2013年11月に株式上場を果たしたTwitterは、広告収入こそ順調に伸ばしていたものの、アクティブユーザー数が伸び悩んでいた。減速感が強まる中で今年6月に前CEOのDick Costolo氏が辞任。共同創業者の1人であるDorsey氏を暫定CEOに据えて後任を探していた。当初は新規株式公開(IPO)を目指すペイメントサービスSquareのトップであるDorsey氏が新CEOに任命される可能性は低いとの見方が広まっていたが、同氏の考えを支持する大株主が現れたことで風向きが変わった。Dorsey氏は今後、TwitterとSquareのCEOを兼務するという。「これからわれわれが成すべきことは、Twitterを世界中の人が簡単に理解できるものにし、Twitterを好んで毎日使用してくれる人々により大きな価値を提供することだ」と述べている。
2015年10月06日アクロニスCEOのセルゲイ・ベロウゾフ氏が、去る9月9日に都内で開催された同社新製品「Acronis True Image Cloud」「Acronis True Image 2016」の発表会にあわせて来日。発表会後にセルゲイ氏からお話を伺った。製品の概要や発表会については、別記事を参照いただきたい。今回の大きなポイントのひとつは、「Acronis True Image Cloud」にて容量無制限のクラウドストレージが提供されることだ。バックアップの保存用だけでなく、様々なデバイスのデータを保存したり、共有や同期したりできる。また、最新バージョンでは、WindowsマシンやMacに加えて、Android端末とiOS端末のデータバックアップにも対応した。○コンシューマープロダクトに注力する3つの理由―― 2003年の創設より今日まで、コンシューマーマーケットにおける事業を続けてきた理由やポリシーを教えてください。3つの理由があります。まずひとつ目が、「データが失われることが絶対にないように、すべてのデータを守る」という理念です。クラウドテクノロジーが発展してきた今日では、すべてのデータを管理することがかなり難しくなってきています。そのような中で、弊社は扱うデータを保護するテクノロジーを独自に開発してサービスを展開しており、「データを保護すること」を最も重視しています。次に、バックアップを早く、簡単に行える技術を持っていることです。デバイスの数、クラウドサービスの数が増えるつれ、扱うデータも増える中、迅速かつ簡単な方法でデータを守る必要があります。そこで弊社では、信頼のおける最先端の技術を独自で開発しています。最後は、コンシューマープロダクトに注力し、売上げを伸ばしていきたいと考えているからです。というのも、昨今では企業も個人もITツールをふんだんに活用するようになり、企業とコンシューマーとのボーダーが消えてきています。そのため、誰もがユーザーとなり得るのです。今後も引き続き、コンシューマーマーケットにおけるブランディングの強化、価値の訴求を進めていきたいと考えています。○誰もが"何かしらのデータを損失した"という経験があるのでは―― "データを守る"ことを重視しているということですが、これはご自身の経験などから来ているのでしょうか。誰もが"何かしらのデータを損失した"という経験があるのではないでしょうか。私にも数え切れないほど、苦い経験があります。たとえば、以前、シンガポールで立ち上げた企業で扱っていたデータがすべて消え、大きな損失を受けました。サーバーは信頼できる良いものを採用していたのですが、ある時システムが壊れ、すべてのデータが消失してしまったのです。その時に初めてデータがバックアップされていなかったことが発覚し、当然データを復旧させることはできませんでした。また、私の家庭での話になりますが、妻のiPhoneが壊れて、そこに保存してあった子どもの写真が消えてしまったことがあります。バックアップを取れていなかった分は復旧できず…… 当時は赤ちゃんだった子どもも、もう大きく成長したので、あの頃の写真は戻ってきませんね。それと弊社の製品は、バックアップだけが目的ではなく、どんなデータがどこにあるのかを把握するといった役割も担っています。私の場合、出張の機会が多く、パソコンやスマートフォンなど複数のデバイスを使用しており、それぞれに異なるデータが保存されています。加えて、昔使っていたパソコンもあったりと、どのデータがどこにあるのか完璧に把握するのは不可能でしょう。オンライン上のデータも同様で、様々なサービスがあるがゆえ、管理が複雑になります。以前、HotmailやYahoo!メールなど複数のメールアカウントを使用していたのですが、どこにどの情報があるか把握できなくなってしまいました。このように混在したデータをひとつの場所で管理できたら、便利じゃないですか? 一カ所に集めておけば、探したいデータがすぐに見つかるだけでなく、データを消去したいときにも便利です。○2時間の歯磨きは誰もやらない―― なるほど。これを実現できるのが「Acronis True Image Cloud」なのですね。今回発表された新製品では、バックアップ速度がさらに向上したとのことですが、なぜこれだけのスピードを実現できたのでしょうか?弊社ではパフォーマンスを追求する特別なチームを抱えており、あらゆるデバイスへの最適化、異なるストラクチャーの読み込み、ネットワークへのアップロードなどを常に強化しています。そして現状のスピードに満足しているわけではなく、将来的にはもっと速くしていきたいと考えています。なぜこれほどパフォーマンスの強化に力を入れているかというと、バックアップ作業において迅速さはとても重要だからです。たとえば、歯磨きに置き換えて考えてみましょう。歯磨きに2時間かかるといわれたら誰もしませんよね。20分であれば何人かは「やってみようかな」と思うかもしれません。2分、20秒と時間が短ければ短いほど、確実にその人数は増えるでしょう。これと同様で、バックアップに時間がかかれば誰もやろうとは思わないでしょう。―― 日本に製品を投入してから15年ほど経ちますが、その間、日本の市場特長やマインドなど何か印象に残っていることはありますか?日本ならではの特長はたくさんあります。まず、規律正しいユーザーが多いということですね。正しい順序でバックアップを行ってくれるので、ソフトウェアやサービスを提供する側としては助かっています。また、日本では多くの人が自然災害の影響を受けた経験があったり、この先直面する危険性があります。災害が原因とは限りませんが、ハードウェアの故障を想定すると、データをパソコンやハードディスクに保管しているだけでは完全に安全とは言えず、クラウドストレージへのバックアップの必要性が見えてきます。そして、ハードウェアはいつか壊れるものなのです。このように、もともと日本はバックアップが浸透しやすい文化であったのではないでしょうか。反対に、世界にはまだバックアップに対する意識が低い人も多くいます。たとえば、衛生観念について考えてみてください。日本では多くのトイレに温水洗浄便座が完備されていますが、他の国では「そんなものは必要ない」という人もしばしば見受けられます。これには文化的な意識の違いが大きく影響しています。しかし本当に便利なものであれば、遅かれ早かれ誰もがその必要性を感じることになるはずです。○ユーザーがすべてのデータを完全に管理できるように―― 今後のビジョンを教えてください。「ユーザーがすべてのデータを完全に管理できるようにする」これが私たちの目標です。今後、デバイスやクラウドサービスが増加するに伴い、扱うデータの種類も量も同じように増え続けるでしょう。そのような中、バックアップはもちろんのこと、データの検索、修復、移行、同期、重複制御などすべての作業をユーザー自身で簡単にできたら便利ですよね。これを実現できるよう、製品を進化させていきたいと考えています。―― 最後に、日本のユーザーに向けてメッセージをお願いします。新製品「Acronis True Image Cloud」には、モバイルデバイスのバックアップ、バックアップデータの一括管理、クラウドアーカイブの機能が新たに追加されました。この3つの機能が搭載されたことで、より多くの人に使っていただけるのではないかと考えています。またデータをバックアップするツールとしてだけでなく、データの「保存先」としても活用できるようになりました。データは2つの異なる場所に保存することによって、安全性が飛躍的に高まります。「Acronis True Image Cloud」がその保存場所の1つになったと認識しています。ぜひ今後も、アクロニスのテクノロジーを活用していただければ嬉しいです。
2015年09月29日ゲッティ イメージズは、元Yahoo!のシニア・ヴァイスプレジデント、ドーン・エイリーが10月12日付で最高経営責任者(CEO)に就任することを発表した。なお、共同創立者兼CEOのジョナサン・クラインは会長職に就任する。エイリー氏はこれまでYahoo!の欧州・中東・アフリカ地域事業担当シニア・ヴァイスプレジデントとして、同地域での事業を牽引してきた人物で、それ以前は、イギリスの放送局Channel5の会長兼CEOや、ITVのグローバルコンテンツ担当マネージング・ディレクター、BSkyBのチャンネルおよびサービス担当マネージング・ディレクターを含む、数多くの大手イギリス系メディア企業にて重要な地位を担ってきた。また、エイリー氏は現在、イギリス政府が選出したBBCの特許状更新の見直しに関する委員会のメンバーも務めている。今回のエイリー氏の就任に関して、ゲッティ イメージズ共同創立者兼CEOのジョナサン・クラインは次のように述べている。「これまで20年間経営の舵を取ってきましたが、彼女がチームに加わり、ゲッティ イメージズの次なる成長、イノベーションそして業界のリーダーとしてのポジションを促進してくれることを喜ばしく思います。彼女は、プログラミングやコンテンツの収益化で確固たる実績を備えた、経験豊かなリーダーです。コンシューマー市場やテクノロジーとコンテンツの交わりについても深い理解を持っており、コンシューマーの領域で新たな機会を模索する弊社を指揮するのに相応しい人物です。」また、エイリー氏は自身のCEO就任について、次のように述べている。「私はこれまで、20年間にわたり先駆者として業界を推進し、新たな分野を開拓し続けているゲッティ イメージズに尊敬の念を抱いてきました。そしてこのたびこの卓越したグローバルビジネスを率いる機会が与えられたことを嬉しく思います。私はビジュアルの力でストーリーを広く伝え、人々を魅了することに情熱を持っていますが、これはまさにゲッティ イメージズの真髄にあたるものです。ゲッティ イメージズは日々優れたコンテンツを収集し提供する事で、人々にインスピレーションを与え、ストーリーを語ることを可能にしています。こうしたコンテンツを新たな収益化モデルと組み合わせることには果てしない可能性が潜んでいます。ゲッティ イメージズの優秀なチームに加わり、ジョナサンと共にビジネスの前進に向けて仕事ができることは喜びであり、スタートが待ちきれない思いです。」
2015年09月28日●新技術はスタートアップの成功のカギとなる8月31日から4日間の日程で開催されている「VMworld2015」。2日目の基調講演には同社でCEOを務めるPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏が登壇し、VMwareの目指す今後の方向性とともに、IT業界の展望について語った。冒頭、Gelsinger氏は、近年30年間におけるITの進化について、具体的な数字を交えながら紹介した。「1995年にインターネットに接続していた人は、世界人口の0.5%以下だった。しかし、2019年の第3四半期には、世界人口の半数がインターネットに接続する時代になると言われている。"コネクティビティ"は、人類全体のものとなる時代が到来する」(同氏)ユーザー1人当たりが所有するデバイス数も急増している。1995年には0.1台(10人に1人しか持っていない)だったものが、2020年には5.9台になると予想されている。iOS上のAppStoreで販売されるアプリ全体の年間売上金額は、米国の映画産業の年間売上総額を上回った。さらに、インターネット関連の市場規模は8兆ドルとなり、世界のGDP成長の21%を占めるまでになっている。Gelsinger氏は、「もはや、ITが社会的、文化的なインパクトを牽引しているといっても過言ではない。今後その影響力がさらに大きくなる」との見解を示した。○新技術が引き起こす"業界下克上"こうした状況下、Gelsinger氏は「ITリーダーが自社のビジネスを成長させるうえで、必ず考えなければいけないポイントは5つある」と指摘する。それは、「.ビジネスの非対称性」「クラウドのプロの時代」「セキュリティ」「プロアクティブな技術の導入」「リスクを取らないことへのリスク」であるという。「ビジネスの非対称性」とは、既存の企業とスタートアップ企業の関係を指す。現状のルールの下では、スタートアップが既存企業に勝つことは難しい。したがって、スタートアップが勝利をつかむにはルールを変える必要がある。そのためにはどうすればよいのか。Gelsinger氏は以下のような考えを示した。「失うものがないスタートアップ企業は、新技術を積極的に取り入れればよい。その新技術とは『モバイルクラウド』だ。モバイルデバイスを使い、クラウド上にある無限のリソースにアクセスできる環境は、従来のビジネスを一変させる可能がある」例えば、自動車業界は、「モバイル」「クラウド」そして「ビッグデータ」によって、その構造が大きく変化している。自動運転やIoT(Internet of Things)など、新技術を持つスタートアップ企業やIT企業も続々と参入し、自動車に新たな付加価値を提供することで、そのプレゼンスを高めている。Googleの自動運転車などは、その好例だろう。Gelsinger氏は、「こうした変化は、自動車業界に関連する企業にも影響を及ぼす。そこで勝ち残っていくには、『スタートアップがイノベーションをしながら、エンタープライズのように(安定したサービスを)提供していくこと』だ」と語った。「クラウドのプロの時代」についてGelsinger氏は、「クラウドが実験(様子見)の時代ではなくなった」と指摘する。クラウドの活用が浸透し、企業は業務内容に合わせて、プライベートとパブリックを選択するようになった。●セキュリティはアーキテクチャの一部ととらえよただし、「同時に企業はクラウド選択の新たな課題を突きつけられた」とGelsinger氏は指摘する。それが、元CIOのEdward Snowden(エドワード・スノーデン)氏が公開した国家による情報収集の実態だ。企業は情報のプライオリティを鑑み、プライベートとパブリックを使い分ける必要に迫られた。また、データのロケーションにも一定の制限がかかるようになっている。Gelsinger氏は、「ユニファイド・ハイブリッド・クラウドで、アプリケーションやデータが(プライベート、パブリックを問わず)自由に行き来できるようになった。ユニファイド・ハイブリッド・クラウドの本質は、1つのビューで複数のクラウド管理できること。つまり(複数のクラウドを)1つのクラウドとして運用できることだ」と語る。今後はこうしたクラウド管理の手法が、重要になるというのが同氏の見解だ。○仮想化はセキュリティのルネサンス?企業にとってセキュリティの確保は、最重要課題である。日本と比べて、米国はセキュリティ対策に積極的な投資を行っている。しかし、Gelsinger氏は、「その投資構造は、必ずしも正しくない」と指摘する。「ある大手金融では、年間のIT投資予算は前年比5%減であるのに対し、セキュリティに関する投資は、前年比50%増になっている。ただし、セキュリティ投資が増加するのは、セキュリティ侵害があった時だけだ」(Gelsinger氏)企業が守るべきは、人、アプリケーション、そしてデータである。Gelsinger氏は、「セキュリティ機能は『Built in VS. Bolt on(組み込みか追加か)』の議論があるが、これはナンセンスだ。セキュリティは『Architecture in(アーキテクチャの一部)』であり、それを実現しているのが仮想化だ」と語る。Gelsinger氏の考えはこうだ。仮想化は、人・アプリケーション・データとコンピュータ・ネットワーク、そしてそれに接続されるデバイスの中心に位置する。その"立ち位置"を利用し、適切なユーザーに、適切なアプリケーション/データを、適切なセキュリティレベルで提供できることが、仮想化のアドバンテージであるという。Gelsinger氏は、「アーキテクチャとして組み込まれたセキュリティ機能は、コスト面でもメリットがあり、運用管理面でも、後付けセキュリティ機能より簡素化されている。(仮想化をセキュリティの中核とする考え方は)セキュリティのルネサンスだ」と、その優位性を強調した。「プロアクティブな技術の導入」では、人工知能(AI)を挙げる。過去において、AIの流行は何度か訪れたものの、いずれもビジネスに定着するものではなかった。しかし、Gelsinger氏は「現在のAIは、次のイノベーションの波」であると指摘する。その理由は、ビッグデータだ。IoTやセンサーなどから収集される、膨大なデータ分析から得られる知見と予測が、既存の技術をプロアクティブな技術に変化させる可能性を秘めているという。「例えば、極小のセンサーを人体に取り付け、呼吸を計測することでぜんそくの発作を予測するといったことが可能になっている。また、人工知能を搭載したソフトウェアが、新たなソフトウェアのプログラムを書くといったことも可能になった。こうした技術は今後さらに加速していくだろう」(Gelsinger氏)最後にGelsinger氏は、「ある調査によると、S&P 500の企業のうち、40%は10年以内に消滅すると言われている。リスクを取ることを恐れては、次の時代に生き残ることはできない」と語り、講演を締めくくった。
2015年09月03日MozillaのCEOであるChris Beard氏は7月30日(米国時間)、公開書簡「An Open Letter to Microsoft’s CEO: Don’t Roll Back the Clock on Choice and Control|The Mozilla Blog」において、Windows 10へアップグレードすると既存のデフォルトブラウザの設定がMicrosoft Edgeに置き換わることに関して不快感を示した。MozillaとMicrosoftはこの挙動に関して議論してきたが、有意義な進捗が見られなかったため公開書簡に踏み切ったと説明している。現状のWindows 10でも以前の設定に戻すことは可能だが、アップデート方法の変更やデフォルトの設定APIが変更されており、これまでよりも複雑になっていると指摘。さらに、ユーザがUIを操作して設定を変更しようとした場合、これまでの2倍はマウスクリックを実施しなければならないとして、苦言を呈している。Mozillaはすべてのユーザに選択肢を提供しており、そのためにFirefoxを開発していると説明。MicrosoftがWindows 10で取った行動はユーザの選択肢を狭めるものであり、深く失望していると述べている。Microsoftに対して事業戦略を見直すとともに、ユーザに選択肢を提供できるような改善に取り組むことを求めている。
2015年07月31日ルネサス エレクトロニクスは6月24日、同日開催された定時株主総会ならびに取締役会にて、2015年4月よりCEO付を務めていた遠藤隆雄氏が正式に代表取締役会長 兼 CEOに同日付で就任することが了承されたと発表した。遠藤氏は1977年に日本アイ・ビー・エム(日本IBM)に入社して以降、1992年に社長補佐に就任以降、同社の常務執行役員などを経て、2006年に日本オラクルの社長執行役員 兼 最高経営責任者、アシュリオンジャパン・ホールディングス代表取締役社長 兼 CEOなどを歴任。2015年4月よりルネサスのCEO付に就任していた。今回の代表取締役会長 兼 CEOの交代は、前代表取締役会長 兼 CEOであった作田久男氏が主導してきた構造改革に一定のめどが立ち、今後、成長ステージに向けてギアチェンジを図るため、と同社では説明しており、主にソリューション事業の強化を中心に、利益の拡大に向けた取り組みが進められていく予定。遠藤氏は日本IBM時代より、半導体製造に関するサービスや、日本地域(野洲工場)での半導体製造なども担当しており、半導体業界そのものにもなじみがある。就任に際し同氏は、「ルネサスは現在、構造改革に一定のめどが立ち、成長に向けて舵を切るタイミングになってきた。今後、これまでの構造改革を完遂するとともに、成長に向けたギアチェンジを行い、グローバルで勝ち残るための会社。顧客から信頼を勝ち得る会社にしていきたい」と、今後の方向性を示し、集中していく事業にどのように資源を投下していくのか、本格的な検討に着手した段階にあり、具体的な戦略については今後、改めて発表する考えてるとした。ただし、フォーカス分野における自社の価値を高めることで、競合と戦っていく、ということを基本方針とする模様で、「機能安全」「セキュリティ」「センシング」「ローパワー」「コネクティビティ」という5つのコア技術を強化しつつ、「足りない部分については、スピーディかつ戦略的に、大胆な方策をとっていくことが求められている」とし、さまざまな分野に対し、事業提携や買収などを含めた可能性の模索を行っていくとする。「コアであるデバイスの競争力が無ければ、そこから積み上げられるものにも競争力がない。それぞれの領域において、デバイス群の強化を行っていく。それらをつなぎ合わせることで、キットソリューションとしてより高い価値が提供できるようになる」とし、そこにソフトウェアやサービスも加えていくことで、より高い価値を提供できる製品、ソリューションとして提供できるようになるとの期待を示した。また、今回の就任に際し、「これまで外資系企業に勤務してきて、日本という国そのもののプライオリティが世界的に低下していく様子を忸怩たる思いて見てきており、日本人として、それを何とかしたいという思いを抱いてきた。今回は、外資系ではなく、日本企業のCEOという新しいチャレンジとなるが、日本が成長していくための一翼を担っていければ」とCEOとしての秘めた思いを述べたほか、すでに各地方の工場などにも足を運んで現状の視察なども行ってきたとのことで、後工程を担当する山形県米沢市の江戸時代の藩主の1人である上杉鷹山氏の残した名言「なせば成る なさねば成らぬ何事も 成らぬは人のなさぬなりけり」を持ち出し、「できないのは人がやっていないからた。やろうと思えば何でもできる。そうした強い信念のもと、成長戦略に挑んでいきたいと思っている」とCEOとしての心構えを示した。
2015年06月25日米Twitterは現地11日、7月1日付けでDick Costolo氏がCEOの職を辞任すると発表した。後継として、Twitterの共同創業者で会長のJack Dorsey氏が次期CEO決定までの間、暫定的にCEOを務める。同社はCEO辞任の発表にあたって、理由を明らかにしていないが、引責辞任とする見方が強い。同社は今年4月に通期見通しを下方修正、ユーザー数の伸びが鈍化するなど、成長戦略にかげりが見えていた。なお、Dick Costolo氏はCEO辞任後、同社の取締役としてとどまる。
2015年06月12日米Twitterは6月11日(現地時間)、最高経営責任者(CEO)のDick Costolo氏が同職を退任することを発表した。同氏は取締役にはとどまるが、7月1日より創業者の1人であるJack Dorsey会長が暫定CEOを務める。2013年11月に株式上場を果たしたTwitterは、広告収入こそ順調に伸ばしていたものの、アクティブユーザー数の伸び悩みから減速感を強めていた。ライバルと見なされていたFacebookとの差が開く一方で、InstagramやSnapchatのような新サービスの成長もあり、今年に入って成長戦略を遂行できる舵取り役を求める声がウォール街で高まっていた。今後は取締役会が設置した特別委員会が、内外の候補を対象に新CEO選定作業を進める。同委員会は独立取締役のPeter Currie氏をリーダーとし、創業者の1人であるEvan Williams氏やベンチャー投資家のPeter Fenton氏を含む。
2015年06月12日フィンランドのセキュリティ企業・F-Secure(エフセキュア)のCEO・クリスチャン・フレデリクソン氏が来日した。F-Secureは日本でどんな展開をするのか、またスマートフォン時代のセキュリティの在り方とは。インタビューレポートをお伝えする。○「フィンランド気質」は日本にそっくり?F-Secureは、フィンランドのセキュリティ企業として、ヨーロッパでは高いシェアがある。しかし日本ではなじみが薄く、ユーザーは多くないのが現状だ。来日したF-Secure社のCEO・クリスチャン・フレデリクソン氏に、そもそもF-Secure社はどんな企業なのか話を聞いた。フレデリクソン氏「設立して26年、セキュリティ専門の企業としては、歴史ある企業と言っていいだろう。強固なセキュリティと、高度な技術のソフトウェアを提供しており、AV-TESTなどの第三者機関のテストでNo.1を続けている。ただ正直に言って、マーケティングやブランドの構築は得意ではない(笑)。いわゆる『フィンランド気質』の典型なのかもしれない」筆者「『フィンランド気質』とは何ですか?」フレデリクソン氏「一言でまとめるなら『寡黙』だろう。勤勉、実直、スキルも高いが、マーケティングや自己主張はうまくできないことが多い」筆者「ちょっと日本人に近い気がします」フレデリクソン氏「私もそう思う。前職から何度も日本に来ており、日本人の友人が多いのだが、フィンランド気質と共通するものを感じている。勤勉だけど自己主張がうまくないという点で(笑)。友人の作り方も、フィンランドと日本は共通するものがある。すぐには仲良くならないが、心が通じ合うと一生の友達になる。これはセキュリティにも通じる話だ。新たな高度な脅威が次々と襲ってくる時代において、何を信じていいのか、誰を信じればいいのかわからない人が多いと思う。F-Secureはフィンランド気質のいいところ、つまり技術が高くて実直なこと、個人情報を大切にすることを誇りに思っている。信じることができるソフトウェアを提供することがF-Secureの使命だ」○個人ユーザー向けはパートナー企業との連携を視野に筆者「日本の一般ユーザーはセキュリティに対する意識があまり高くない状況です。F-Secureとしては、この日本市場にどう取り組むつもりでしょうか?」フレデリクソン氏「PCはそこそこ対策ができているが、スマートフォンなどのモバイルデバイスへの意識が低い。スマートフォン普及初期の頃に比べて、攻撃は複雑化してきている。たとえばオンラインバンキングではスマートフォンの二段階認証が狙われている。このようなモバイルでの深刻な状況にまだ気づいてない人が多い」筆者「日本では企業向けと一般ユーザー向け、どちらを重視する形でしょうか」フレデリクソン氏「どちらも取り組む。企業向けにはF-Secureのエンタープライズ製品・サービスで、APT攻撃(標的型攻撃)の防御、マルウェアからの保護、スキャンニング、事後のフォレンジックなどにあたる。我々のハードコアな技術が生きるジャンルだ。また一般ユーザー向けはパートナー企業と共に、ホームセキュリティと個人情報保護の製品を提供する。アプリストアでの一般ユーザー向け直接販売にも取り組んでいる。」筆者「企業向けの製品の柱は?」フレデリクソン氏「『ProtectionService for Business』を中心に展開していく。エンドポイント=端末、ネットワーク=クラウド、フォレンジックの3つをカバーする製品で、社内でも社外でも安全に利用できる。我々のラボによるクラウド監視システムでは、平均して1日に30万のマルウェアの亜種を検知し、50億のリクエストを受けてチェックを行っている。今現在わかっているものをブロックするだけでなく、未知のマルウェア・攻撃を防ぐ製品だ。」筆者「一般ユーザー向け製品ではどんなことを?」フレデリクソン氏「簡単さ・シンプルさを目指す。私たちセキュリティ関係者は、あまりに多くの技術的な話をしてしまい、物事を複雑化する傾向があると思う。今後の製品では複雑さをなくし、考える必要なしに自宅であろうと会社であろうと、簡単に使えるセキュリティ製品を提供していきたい。その1つが、スマートフォンでセキュリティと個人情報保護を行う『Freedome』だ」○スマートフォンアプリ「Freedome」とは筆者「『Freedome』はモバイル向け個人情報保護製品と聞いていますが、どんな製品ですか?」フレデリクソン氏「VPNテクノロジーを使った、今までにない新しいプライバシー保護・セキュリティ製品だ。AndroidとiOS向けのアプリを通じて暗号化し、すべての通信をF-Secureのサーバーを経由させることにより、匿名性と追跡ブロック、Wi-Fiセキュリティ、安全なブラウジング、仮想ロケーションを提供する。」筆者「日本ではオリンピックに向けて、公衆Wi-Fiのセキュリティが問題になっています。Wi-Fi利用でも、メールも含めてすべて暗号化される?」フレデリクソン氏「その通りだ。公衆Wi-Fiでのセキュリティは大きな問題で、我が社ではロンドンで実験を行った。電気屋で誰もが入手できる200ユーロのWi-Fiルーターを購入し、コーヒーショップ・会議場などで既存のWi-Fiに似た適当な名前で設置してみた。すると100人以上がそのWi-Fiルーターにアクセスし、公衆Wi-Fiの契約を行ってしまった。契約条項が適当であっても、ほとんどの人がそれを読まずに契約してしまうのだ。トラフィックはすべて見えてしまうし、メールも読まれてしまう、パスワードが抜かれる危険性があるにも関わらず、安易にWi-Fiに接続してしまうユーザーが多い」筆者「Wi-Fiでのデータ傍受はそれほど簡単なのか?」フレデリクソン氏「Googleで検索すると『2分でWi-Fi盗聴を行う方法』といった情報が出回っている。特別な技術を必要としない簡単な方法だ。こういったWi-Fiでの傍受を防ぐには、通信の暗号化が必要。F-Secureの『Freedome』を動かしていれば、意識せずに暗号化することが可能だ。正確に言うと、『Freedome』でもトラフィックがあることはわかるが、通信の内容自体は暗号化されているので傍受ができなくなる。」筆者「『Freedome』の追跡ブロックとは?」フレデリクソン氏「Webサイトのクッキーを防止する。クッキーによる追跡・トラッキングを阻止するものだ。あるチケット販売サイトでは、クッキーでのトラッキングによって価格を変えるといったことも行われている。たとえば初めて見た時はエアラインのチケットが300ドルだったのに、2回めに見た時には450ドルに値上げされているといった手口だ。2回めに見るユーザーには買う意志があるとみなしているためだろう。これも『Freedome』なら阻止できる。合わせてジオタグ変更による仮想ロケーションも提供する。今は日本にいるわけだが、フィンランドからのアクセスに見せかけることが可能だ。これによってフィンランドでしか見れないサービス・サイトを出張の時でも見ることができる」筆者「プライバシー保護を徹底するスマートフォン向け製品ですね?」フレデリクソン氏「単にデバイスを守るのではなく、ユーザーのプライバシー全体を守る製品だ。今までのセキュリティ製品とは異なる、モバイル時代の新しい形のセキュリティ製品として普及を目指していく。キーワードは『Switch on FREEDOM for yourself』。人も企業も、インターネットを安全に自由に使えるようにしましょう、ということだ」どちらかと言うと企業向けのセキュリティ製品という印象の強いF-Secureだが、『Freedom』などのモバイル製品では一般ユーザー向けを強く意識していくようだ。日本国内ではキャリアなどのパートナー企業との連携がメインになるようだが、今後の動向に注目していきたい。
2015年03月22日かつてノルウェーから米国まで大西洋を泳いで渡ると豪語したCEOがいる。それは、2005年4月時点で、Opera SoftwareのCEOを務めていたJon S. von Tetzchner氏だ。同氏は公開から4日間以内にOpera 8のダウンロード総数が100万に到達したら、ノルウェーから米国まで一気に泳いで渡ると発表した(ただし、途中で母親のところによってホットチョコレートだけは飲んでいくと説明)。このアピールは見事に功を奏して100万ダウンロードに到達し、同氏はもう一芝居打つことになる。事の顛末はこちらを読んでもらればと思うが、このエピソードはJon S. von Tetzchner氏がどういった人物であるのか知るには十分なものだ。Operaの顔として長らくCEOを務めたTetzchner氏だが、2011年には取締役会や経営者と価値観が一致しないという理由からOpera Softwareを退社。あれから3年半、ついにJon S. von Tetzchner氏が新しいブラウザをひっさげて帰ってきた。彼らのチームが新しく開発したブラウザの名前は「Vivaldi」。現在、テックプレビュー版が公開されている。サポートするオペレーティングシステムはWindows、Mac OS X、Linux。「Vivaldi」はChromiumをベースのソフトウェアとして採用し、そこにまるでOperaから持ってきたような機能を追加するといった作りになっている。デザインは現在リリースされている主要ブラウザの中で最もシャープでスッキリしており、ほかの主要ブラウザが持っていないユニークな機能を備えている。いくつかの機能は実装されていないが、すでに動作は安定しており、実用性の高さを感じさせる。現在の主要ブラウザは機能もUIもどんどん似たものになりつつあり、差を感じることが難しくなってきている。かつて、Webブラウザはそれぞれ特徴を持っていた。例えば、 Tetzchner氏が大西洋を渡ろうとした当時のOperaには突き抜けた性能と機能があり、ヘビーユーザーやギークが愛してやまないブラウザだった。「Vivaldi」にはその当時、Tetzchner氏が持っていた情熱やユーモアのようなものが感じられる。今後、メール機能も追加されるようだが、今の主要ブラウザで今から新しくメール機能を統合しようとするものはない。「Vivaldi」にはTetzchner氏や彼のチームが持っている情熱が感じられ、発展が楽しみなプロダクトと言える。
2015年01月28日ダッソー・システムズは1月23日、SOLIDWORKSブランドのCEOにジャン・パオロ・バッシ氏が就任したと発表した。バッシ氏は2011年に入社して以来、SOLIDWORKSのリサーチ&開発担当バイス・プレジデントとして、SOLIDWORKS Mechanical ConceptualおよびSOLIDWORKS Industrial Conceptualの開発を指揮した。なお、前CEOのベルトラン・シコ氏は同社のバリューソリューション・チャネル担当バイス・プレジデント(セールス)に就任した。
2015年01月23日LINEは12月22日、同日に開催された取締役会で、代表取締役社長 CEOの森川 亮氏の退任とCOOである出澤 剛氏のCEO就任を内定したと発表した。2015年3月下旬に開催する定時株主総会と取締役会で正式に決定する。森川氏の退任は、2015年3月下旬の任期満了にともなうもの。森川氏は2007年にLINEの前身であるNHN Japan、ネイバージャパンの代表取締役社長に就任以来、無料通話・メッセージアプリ「LINE」のサービス開始など、大きく会社を成長させてきた。2012年6月には、NHN Japanとネイバージャパン、ライブドアの3社を経営統合し、2013年4月には代表サービスである「LINE」への商号変更も行った。後任の出澤 剛氏は森川氏と同じく、2007年にライブドア 代表取締役社長に就任し、2014年1月から取締役 最高執行責任者 COOとなった。4月より代表取締役となっており、森川氏とともに経営と事業統括の業務を分担することで「経営・事業展開のスピード化」を図っていた。退任にあたっては「森川が任期満了に伴う退任の意向」(LINE)があったとしているが、引き続き同社には関与するとのことで「顧問として新代表取締役社長をサポートする」としている。
2014年12月22日ソリッドワークスは11月11日、CEOのBertrand Sicot氏とユーザーコミュニティの責任者であるRichard Doyle氏が来日し、同ブランドの現状やユーザーコミュニティについて説明した。まず、製品ポートフォリオについてSicot氏は、2014年「Mechanical Conceptual」をリリースしたことで「概念設計から製造フェーズまで製品ライフサイクルを網羅した製品ポートフォリオが構築された」とコメント。現在、概念設計に向けた「Industrial Conceptual」がベータテスト中だという。今後、クラウドを活用した事業を展開していくとのことで、「ゆくゆくはすべてのアプリケーションをクラウドでつなぐ」とした。「SOLID WORKS 2015」ではクラウド上の3DEXPERIENCEプラットフォームへ接続できるオプションが提供されている。さらに「SOLID WORKS 2015」では、STL形式のサポートが実装され、作成したデータを簡単に3Dプリンタで出力することができるという。Sicot氏は3Dプリンタに注目が集まっている最近の状況を「一般消費者がCGについて知るすばらしい機会になっている」と語り、3Dスキャンを含む3Dプリント関連分野において同社の技術をさらに活用する方法を検討しているという。また、「発表する新機能のうち9割以上がユーザーからの要望に応えることで実現したもの。年間5000回以上お客さまと直接顔を合わせてお話を伺う機会を設けている」と語り、ユーザーの声を重視する姿勢を強調した。同社の満足度調査では2011年から4年連続で90%を超す結果を得ているという。ユーザーコミュニティの強化にも力を注いでおり、2014年だけで世界各地で15のグループが設立され、2年以内に計300グループまで拡大する見込みとのこと。ユーザーコミュニティ担当のDoyle氏は日本のユーザーコミュニティについて「非常にすばらしい組織に仕上がっている。これからはよりローカルな単位での活動を強化していきたい」と語った。
2014年11月12日米AppleのCEOであるTim Cook氏が、Bloomberg Businessweekに寄稿した手記を通じて自身が同性愛者であると公表した。「私はゲイであることを誇りに思っている。ゲイであることは、神が私に与えた最高の賜物の1つだと考えている」と述べている。公表理由についてCook氏は「私自身は活動家ではない」とした上で、「自分自身を受け入れることに苦労している人を助け、孤独を感じている人を慰められるなら、私のプライバシーを犠牲にする価値があると考えた」と述べている。手記の中で「Appleでは大勢の同僚が、私が同性愛者であることを知っている」と述べているが、これまで同氏が同性愛を公に認めたことはなく、同氏が同性愛者であるのはシリコンバレーでは公然の秘密のようになっていた。多様性(diversity)と包括性(inclusion)を推進する動きが活発になっているものの、保守派の多い州では同性愛を否定する動きが根強い。世界的にも同性愛のような性的指向に不寛容な国・地域は多い。2007年にBPのCEOだったJohn Browne氏が同性愛パートナーの訴訟をきっかけにプライベートが報道されるにようになり、混乱を避けるために辞任した。2011年にUrban OutfittersのCEOだったGlen Senk氏が同性愛を初めて公表したCEOとしてニュースになったが、翌年に同氏は辞任した。Human Rights CampaignのディレクターであるDeena Fidas氏によると、Fortune 1000企業で同性愛を公表しているCEOはいない。Cook氏の公表によって、世界的にビジネスを展開するグローバル企業であるAppleは困難にも直面するだろう。だが、Appleは多様性を重んじることで創造と革新を実現してきており、リベラルで包括性に富むことは同社の武器でもある。Apple取締役会のチェアマンであるArthur Levinson氏は「ティム(Cook氏)個人の勇気ある公表に対して、われわれは心から拍手を送り、そしてサポートする」という声明を公表した。
2014年10月31日米AMDは8日(現地時間)、同社の社長兼CEO(chief executive officer:最高経営責任者)にLisa Su(リサ・スー)氏を任命したと発表した。マサチューセッツ工科大学で博士号を取得したLisa Su氏は、IBMやFreescale Semiconductorといった企業で要職を歴任。その後、2012年にAMDに入社し、これまでグローバル事業部のシニアバイスプレジデント兼ジェネラル・マネージャーや、COO(chief operating officer:最高執行責任者)を担当してきた。また、これまで社長兼CEOを務めてきたRory Read(ロリー・リード)氏は退任後も顧問として2014年末までAMDにとどまり、AMDをサポートするという。
2014年10月09日米Microsoftは4日(現地時間)、Steve Ballmer氏の後任となる新CEOにSatya Nadella(サトヤ・ナデラ)氏が就いたことを発表した。Nadella氏は直近ではクラウド&エンタープライズ部門の副社長を務めていた人物である。Bill Gates氏は同社の会長を退くが、創設者兼技術顧問として取締役会に残り、Nadella氏をサポートしていくことも同時に発表された。新しい会長には、社外取締役であるJohn Thompson氏が就く。Nadella氏は1967年にインドのハイデラバードで生まれ、1992年にMicrosoftに入社した。Bill Gates氏および同社の取締役会メンバーはNadella氏を、"ハードコア"なエンジニアリング技術の持ち主であり、Microsoftの変革期を率いるのにふさわしい人物である、と評している。趣味はクリケットと詩。
2014年02月05日HTC Nipponは20日、auスマートフォンの2012年冬モデル「HTC J butterfly HTL21」の説明会を開催。HTC台湾本社のピーター・チョウCEOやKDDIの田中孝司社長が参加し、HTC J butterflyをアピールした。発売は12月上旬予定となっている。HTC J butterflyは、HTCとKDDIが共同で開発したスマートフォンの新製品。初代の「HTC J」に続くコラボレーションモデル第2弾となる。もともと、HTCがKDDIに提案したベースモデルに対して、UIやカラーバリエーション、日本仕様の機能を投入したもの。米Verizonから同じベースモデルの「Droid DNA」を販売することになっている。HTC J butterflyは、フルHD(1,920×1,080ドット)という高解像度の5インチ液晶を搭載。視野角160度で、HTCのCPO(Chief Product Officer)の小寺康司氏は「ピクセルの見えない440ppiの高精細」とアピールする。液晶はさらに黒の再現性を特に重視してチューニング。5インチという大型液晶ながら、狭額縁にして、極限まで幅を細くした。これによって、女性の手で持っても操作しやすいように配慮したというプロセッサには1.5GHz駆動のクアッドコア「MDM9615」と「APQ8064」を採用。2GB RAMを搭載するなど、快適動作を追求している。KDDIの高速通信サービス4G LTEにも対応する。HTC Jと同様にオーディオにもこだわり、さらなるチューニングを加えて、高音質化を図っているという。HTC Jで定評のあったカメラ機能も強化しており、99コマまでの連写や裏面照射型センサーによる高感度画質などのスペックに加え、新たに画面のどこにタッチしてもシャッターが切れる全面シャッター機能を搭載。フロントカメラのレンズはF2.0と明るく、さらに画角を88度まで広角化した。手を伸ばして自分撮りをすると、4人程度までなら並んで画角に収まるという。また、ポートレートモードで撮影すると、美肌効果を加えてくれる機能も搭載する。撮影した画像を確認するギャラリー機能も強化し、イベントごとにまとめたり、地図上に画像を表示することが可能となっている。日本仕様として、グローバルパスポート、緊急速報メール、EZwebメール、Cメール、おサイフケータイ、赤外線通信、NFC、ワンセグをサポートする。ワンセグでは、HTC Jがアンテナとしてイヤホンが必要だったのに対し、新たにアンテナを内蔵。IPX5相当の防水機能も備えた。「全ての日本の独自仕様に対応した」と小寺氏は強調する。HTC Nipponの村井良二社長は、「HTC J butterflyはハイスペックで色んな機能がついて素晴らしいといわれるが、意図してハイスペックに作ったわけではない」と話す。ユーザーに対して、「どうあるべきか、使いやすくて、どう感じてもらえるかを考えて作った」とのことだ。ピーター・チョウCEOは、「日本は世界で最も進んだ市場の1つ」であり、「日本に対して特別なものを作る必要があった」と指摘。KDDIの田中社長と会談し、日本人のデザインチームと共同で作り出したのがHTC Jだったと話す。その結果、日本でHTC Jは人気端末となり、「KDDIの顧客満足度では1位の端末になった」(チョウCEO)ということで、「KDDIとのパートナーシップがうまく機能した」と話す。このHTC Jの成功で、「もっと素晴らしい商品を日本のためにデザインして提供するということにコミットできた」とチョウCEOは語る。チョウCEOは、HTC J butterflyが「テクノロジーとして最先端、最高のものを提供している」と強調するとともに、「素晴らしいユーザーエクスペリエンスを提供する」とアピールする。田中社長は、「世の中が少しずつ変わってきている。マーケットを横に切って、ハイエンド、ミドルレンジ、ローエンドと分けてプロダクトを作ってきた。それがだんだん変わってきているのではないか」と指摘。ユーザーの「ウォンツ」を踏まえ、「いかに次に欲しいものを届けるかを使命としている」と強調する。HTC Jは両社の協業が成功したが、「もう一段上がったプロダクト」(田中社長)がHTC J butterflyだという。「一歩一歩、階段を上がるように、ニーズに合わせて両社が歩んでいかないと真の意味での成功はやってこない」と田中社長。HTC Jの成功より、さらに大きな成功を狙いつつ、「絶対に満足してはいけない。(HTC J butterflyが)ゴールではない」と強調する。チョウCEOは、「日本はユニークで特殊なマーケットで、基準が高い。それを達成しなければならない。KDDIとのパートナーシップは今後も継続したい」と話している。(記事提供: AndroWire編集部)
2012年11月21日