©TRIPPING!東南アジア最大、かつ最も美しいヒンドゥー寺院の一つに数えられる「プランバナン寺院」。ジャワ寺院ならではの独自の建築様式と歴史的観点から、1991年に世界文化遺産に登録された「プランバナン寺院群」を代表する寺院として大切に守られている。 ヒンドゥー教の理解が深まるプランバナン寺院©TRIPPING!プランバナン寺院には、かつて約240もの祠堂が建てられていたそう。その後、地震やムラピ山の噴火などでそのほとんどが崩壊。現在は、大小合わせて18の祠堂が修復、再建されている。中心にそびえ立つのはヒンドゥー教の3大主神、ブラフマ(創造の神)、ヴィシュヌ(維持の神)、シヴァ(破壊の神)の3つの祠堂。©TRIPPING! 左からブラフマ(創造の神)、ヴィシュヌ(維持の神)、シヴァ(破壊の神)さらにそれらの前にはそれぞれが乗り物としていた、ハンサ(白いガチョウの姿をした神鳥)、ガルーダ(伝説の巨鳥)、ナンディ(聖なる牛)の祠堂が並ぶ。©TRIPPING! シヴァの祠堂に収められたガネーシャ(左)とドゥルガー象(右)尚、シヴァの祠堂は47メートルもの高さを誇り、シヴァの神像を祀る部屋の他に3つの部屋を有し、中には学問の神様「ガネーシャ」が収められた部屋もあり、ガネーシャの神像の周りを3回周って学問に関するお願いをするとご利益があると言われている。 「ロロ・ジョングラン」の伝説©TRIPPING!プランバナン寺院は別名「ロロ・ジョングラン」という女性の名前の愛称で呼ばれている。その由来には、悲しい伝説が……。その昔、プランバナン周辺には2つの王国が存在し、争いを繰り返していた。戦の末、とうとう滅びてしまった敗国には、美しい王女ロロ・ジョグランがいた。勝者となった敵国の将軍はそんな彼女に魅了され、しつこく求婚し続ける。敵国に嫁ぐことをどうにか避けたかった王女は「ニワトリの鳴く朝までに1,000の寺院を造ることができたら結婚する」と条件をつける。しかし将軍は不思議な魔力を使い999もの寺院を瞬く間に完成させてしまった。窮地に立たされた王女は、村の女たちとニワトリを叩き起こそうとする。そのことを知った男は激怒し、王女を石像に変えてしまい、1,000番目の祠に閉じ込めてしまったという伝説だ。まさにシヴァの祠堂が1,000番目の祠堂にあたり、一室に収められているシヴァの妻とされる「ドゥルガー象」こそが、実はロロ・ジョグランの石像なのではないかと言われている。女性がこの石像に触ると美しさが手に入るという言い伝えも。 叙事詩を語り続けるレリーフにも注目©TRIPPING!祠堂の外壁や回廊を埋め尽くすレリーフには、美しい彫刻が施されている。シヴァの祠堂に施された、古代インドの叙事詩「ラーマヤナ」のレリーフは、ラーマ王と彼の妻シタの物語を伝え続けている。©TRIPPING! 再建や修復を重ねてよみがえるプランバナン寺院©TRIPPING!9世紀に建てられたと言われるプランバナン寺院群だが、遷都や地震をきっかけに崩壊し、人々から忘れ去られていた。何百年もの年月を経て1733年、ドイツ人のCA Lons氏によって再発見。以降、再建や修繕が進み、現在ではインドネシアの中でも最も美しいヒンドゥー寺院群として広く認識されるようになった。付近には、美しい芝生が広がる公園やお土産店なども整備され、世界中から多くの観光客が訪れる。©TRIPPING!敷地内では、ラーマヤナ舞踊劇の観劇ができ、特に5月から10月には隣接する野外ステージに舞台を移して開催されている。※ラーマヤナ舞踊劇の詳細はこちら>一歩足を踏み入れると、たちまち古代に呼び戻される不思議な感覚を味わうことのできるプランバナン寺院。叶わぬ恋の伝説にも思いを馳せてみては? Candi Prambanan(プランバナン寺院群)・住所:Jl. Raya Yogya, solo Km 16, Prambanan, Yogyakarta, 55571・時間:6:00〜17:00・拝観料:-プランバナン遺跡群のみ:US$25(10歳〜)、US$ 15(子供 3歳〜9歳)-プランバナン遺跡群 + ボロブドゥール遺跡:US$40(10歳〜)、US$25(子供 3歳〜9歳)-プランバナン遺跡群 + ラトゥ·ボコ遺跡:US$40(10歳〜)、US$25(子供 3歳〜9歳)・アクセス方法:ジョグジャカルタ空港から車で15分、中心街から車で30分程 初回投稿日:2016年2月18日情報更新日:2017年5月12日入場料更新
2017年05月12日ボロブドゥール photo:世界遺産イェーイ!約18,000もの島々から成る島国インドネシア。その中心となるジャワ島に仏教とヒンドゥー教の宗教遺跡、ボロブドゥールとプランバナンがあります。 ボロブドゥールは世界最大の仏教寺院、プランバナンはヒンドゥー教の寺院です。ボロブドゥール、プランバナン寺院以外にも世界遺産に登録されている寺院が多数あるのですが、それらは仏教寺院とヒンドゥー教寺院が混在していて、二つの宗教がゆるやかに融合し共存してきた歴史を垣間見ることができます。 1. ボロブドゥールの仏教寺院群世界最大規模の仏教遺跡ボロブドゥールは、インドネシア観光のハイライトとも言えるポピュラーな観光地です。 1,000年も密林の中で眠っていたボロブドゥールphoto:ひさほ ゆう770年頃から820年頃にかけて仏教を信仰するシャイレンドラ朝という王朝によって築かれたボロブドゥール。1871年にイギリスのラッフルズに発見されるまで何と約1,000年間もの間、密林の中に埋もれていました! 大乗仏教の宇宙感を表す構造マノハラホテルに展示されていたレプリカ photo:世界遺産イェーイ!遠くから見ると1つのピラミッドみたいなものに見えますが、実は2つの部分から構成されています。上部の「3層の円壇(丸い形)」と下部の「5層の方形壇(四角い形)」、そして「3層の円壇」の頂上にはストゥーパ(釣鐘状の塔)があります。これらの構造は大乗仏教の宇宙感を表しています。 レリーフにも注目!photo:世界遺産イェーイ!「5層の方形壇」の各層は、回廊上になっており、その壁面は仏教をテーマにしたレリーフ(浮き彫り)で埋め尽くされています。こちらのレリーフのカメは実はお釈迦様なのです。釈迦は前世でカメとかゾウとかサルとか様々な姿で善行に励んだとされています。 「ボロブドゥールの仏教寺院群」という名称で世界遺産に登録されているボロブドゥール。実はボロブドゥール寺院に加えて、近隣にあるムンドゥ寺院、パウォン寺院を含めた3つの寺院が世界遺産として登録されています。 ムンドゥ寺院photo:ひさほ ゆうボロブドゥールから東に3kmのところにある小さな寺院で、中にある「三尊像」というジャワ美術の最高傑作ともいわれる仏像と、外壁の「レリーフ」が見所となっています。 パウォン寺院photo:世界遺産イェーイ!同じくボロブドゥールから東に1.5kmのところにある「パウォン寺院」はムンドゥ寺院を一回り小さくしたような感じの建物で、可愛らしい小窓がついたレリーフが有名です。photo:世界遺産イェーイ!ボロブドゥールから歩いて観光するには少々遠い2つの寺院。私たちはベチャという三輪自転車タクシーでまわりました。夫婦二人で乗ると少々重いのか坂道は歩かされることに・・・バイクタクシーやレンタルサイクなどもあるので効率よく回りましょう。結構暑いので暑さに負けずに観光して下さいね! オススメのホテルphoto:世界遺産イェーイ!ボロブドゥールを観光するなら、レストランからボロブドゥールが見えちゃう奇跡の立地なのにリーズナブルな「マノハラ・ホテル」に泊まるのがオススメ!ボロブドゥールの向こうから朝日が昇る光景を見ることができるサンライズツアーもこちらのホテルから出発します!ホテルの中にある「オーディオ・ビジュアル館」では、遺跡の歴史を解説したビデオが上映されています。レリーフの解説など図を使ってわかりやすく説明されているので、観光する前にぜひ見てみましょう。ビデオは何と日本語もありますよ! ■ボロブドゥールの仏教寺院群 (文化遺産)・登録:1991年・登録基準: 「人間がつくった傑作」「文化交流」、「出来事や宗教、芸術」・アクセス:成田から首都ジャカルタ、またはバリ島のデンパサールまで直行便で約7時間。ジャカルタ、またはデンパサールからジョグジャカルタまで飛行機で約1時間。ジョグジャカルタからバスで約1時間半。 2. プランバナンの寺院群photo:ひさほ ゆう9世紀に建造されたプランバナン寺院(別名ロロ・ジョングラン寺院)には、ヒンドゥー教の3大神、「シヴァ神」、「ヴィシュヌ神」、「ブラフマー神」を祀る建物が3つそびえており、さらにそれぞれの神の祠堂の前には、その神の乗り物が祀られた小堂があります。シヴァ神は「ナンディ(牡牛)」、ヴィシュヌ神は「ガルーダ(神鳥)」、ブラフマー神は「ハンサ(白鳥)」に乗っています。photo:世界遺産イェーイ!ヴィシュヌ神の祠堂の内部にはビシュヌ神の像があります。それぞれの祠堂の中には像があるので入れるところは入ってみましょう! ラーマヤナのレリーフphoto:ひさほ ゆう中心にあるシヴァ神をまつったシヴァ堂の回廊の見事なレリーフには、ヒンドゥー教の神話「ラーマヤナ」で描かれているコーサラ国の王子ラーマの活躍する姿が彫られています。 世界遺産でラーマヤナ舞踊劇を鑑賞写真提供:インドネシア共和国観光省プランバナン寺院の屋外劇場では、夜にラーマヤナ舞踊を鑑賞することができます!5月~10月は屋外で、それ以外の時期は屋内で週3~6回上演されています。 星空の下、ガムランの響きを聞きながら幻想的な舞踊を見学しましょう!世界遺産として登録されている寺院は、プランバナン寺院以外に、仏教寺院のセウ寺院、ヒンドゥー教寺院のカラサン寺院、サンビサリ寺院などがあります。ボロブドゥールを築いた仏教王国シャイレンドラ朝とプランバナンを築いたヒンドゥー教国マタラム朝は王族同氏の結婚により縁戚関係にありました。宗教の違いを超えて良い関係を築いていたことを遺跡から感じ取ることができます。 ■プランバナンの寺院群(文化遺産)・登録:1991年・登録基準:「人間がつくった傑作」、「建築技術」・アクセス:プランバナン寺院は、ジョグジャカルタから車で約45分。プランバナン寺院以外のセウ寺院などをまわる場合は、タクシーチャーターが便利。 ※記事中の情報は、全て2016年10月現在のものです。(参考文献:『すべてがわかる 世界遺産大事典 世界遺産検定公式テキスト』、『きほんを知る世界遺産44 世界遺産検定4級公式テキスト』、『地球の歩き方』、『るるぶ』】) 4年間世界遺産巡りの旅をした夫婦「世界遺産イェーイ!」のコラム
2016年10月30日