意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「マイナンバーカード」です。普及率の伸び悩みは、利便性の実感がないから。マイナンバー制度が始まって、今年で3年目になります。ところが、マイナンバーカードの普及がなかなか進まず、政府は頭を抱えています。交付開始前に政府が掲げた目標交付枚数は2019年3月末で8700万枚。実際には、昨年8月末の時点で1230万枚、人口比でいうと普及率は9.6%にすぎず伸び悩んでいるのです。住民票や基礎年金、健康保険被保険者証などにはそれぞれに番号があり、個人の特定に労力を費やしていました。マイナンバー制度はそれらを一本化して、「社会保障、税、災害対策」の分野で活用するために始められましたが、いまはまだ過渡期にあり、マイナンバーカードでできることといえば、コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書が取れるくらいです。法務省は、今後マイナンバーを使い、婚姻届やパスポートの発給申請、老齢年金請求に必要な戸籍証明書が不要になる、戸籍法改正案を来年の通常国会で提出する方針を発表しました。地震災害が発生したときには罹災証明書が発行されるのですが、世帯ごとに1通のみ。2世帯以上で住んでいた大家族が、被災して一つの家に住めなくなったとき、子供や孫の世帯は罹災証明書を受け取れないという問題が熊本地震で起こりました。これも、マイナンバーカードで個人を特定して証明書を出すという案が検討されています。マイナンバーカードには、生体認証にも使えるICチップが入っています。この認証機能が活用できれば、健康保険証や銀行のキャッシュカード、転売不可のチケットなどに有効活用される可能性を秘めています。ただ、これからの時代に「カード」という形態がふさわしいのか。総務省は、マイナンバーカードを持ち歩かなくても、スマートフォンにカード情報を取り込み、本人確認ができるような実証実験も進めているそうです。しかし、これには対応する端末を開発しなければならないため、企業側の努力も必要になります。いまは、住所や名前に加えて、マイナンバーの記入を要請されますが、今後、マイナンバーカードひとつで全てこと足りるくらいになったら、便利さを実感できるのかもしれませんね。ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN※『anan』2018年1月24日号より。写真・中島慶子イラスト・五月女ケイ子文・黒瀬朋子(by anan編集部)
2018年01月22日「健康づくりや地域貢献をすることでポイントを貯められます。そのポイントは、地元の商店街や、図書館などの公共施設、バスの乗車などに利用できるようになるのです」 そう話すのは、地域サービスに詳しいファイナンシャルプランナーの吹田朝子さん。マイナンバーカードを使った「自治体ポイント制度」の実証実験が、今月25日からスタートする。自治体ポイントとは、ボランティアや講習会への参加など地域活動をした人に、各自治体がポイントを与えるもの。「1自治体ポイント=1円分」として、マイナンバーカードに貯めることができるのだとか。まずは、全国217の市区町村が参加する。吹田さんが詳しく解説してくれた。 「これまで各自治体がバラバラに発行していて、使い道も地元限定、景品交換が多かったポイントを、マイナンバーカードを使って1つにまとめ、地元商店街や観光など全国で利用できるようにする制度です。さらに、ついつい有効期限を切らしてしまう企業ポイントに交換できるようにもなります」(吹田さん・以下同) 具体的にどうすれば、自治体ポイントはもらえるのか? 「すでに全国400以上の自治体で、独自のポイントを発行しています。たとえば、高知県では、健康相談やスポーツ教室への参加で、香川県ではごみ拾いのボランティアで、ポイントをもらえます。北海道苫小牧市ではアイスホッケーなど地元チームの応援に行くのもポイント付与の対象に。ほかにも、転入歓迎や出産・結婚祝い、成人記念でポイントがもらえる地域も」 これから自治体ポイントがはじまる地域も、提携する店舗を利用するだけでなく、地域活動の参加でポイントが貯まるようになる。 「高齢化によって自治体が負担する医療費や介護費用は膨らむ一方です。これらを少しでも抑えるために“定期健診を受けてもらいたい”“前もって介護相談にきてほしい”との思惑から、健康イベントには高いポイントがつくと考えられます」 自分が住んでいる地域でどんなポイントが貯まるかといった情報は、もうすぐ開設予定の公式ポータルサイト「自治体ポイントナビ」でチェックできるようになる。最新情報やポイントが増えるキャンペーンなどお得な情報も随時アップされるそう。 「これからは“ラジオ体操に参加してハンコをもらう”、あの感覚でポイントが貯められるはず。図書館や体育館、児童館を利用するだけで、ポイントがもらえるようになるかもしれません」 協賛企業のポイントを、自治体ポイントに交換できるところにも注目だ。 「今のところ、クレジットカード会社など12社が参加しています。ドコモのdポイントや航空会社のマイレージも対象です。あるアンケートによると、日本では94%の人が何らかのポイントを貯めていますが、一方で、貯めたポイントの3〜4割は使われていないという実態もあります。バラバラに貯めたものを自治体ポイントとして合算すれば、一気に数千円分のポイントとして使えるかもしれません」 自治体ポイントを逆に、協賛企業のポイントに変換することはできないらしい。では、貯めたポイントは、どのくらいお得に使えるのか? 「これまでは発行する自治体でしか使えなかったポイントが、全国で利用できるようになります。決定しているところでは、ふるさと納税サイト運営最大手のトラストバンクが開設する、名産品のネット通販サイト。また、地域イベントのチケット代や会費としても利用できるとか。詳しくは公式サイトがオープンしないとわかりませんが、公共交通機関、自治体が運営する公園や、温泉地などでも使えるようになるでしょう」 たとえば、地元で貯めたポイントを旅行先で利用したり、地元のボランティアに参加してもらったポイントを、会社近くのレストランで“ご褒美ランチ”として利用することだってできる! 「自治体ポイントが地域に還元されることで、活性化につながります。地元がにぎわうと、都会に流出しがちな若い人も残るようになる。そうすればますます活気も出て、提携店舗や使える場所が増えていくでしょう」 総務省によると、11月にAndroidのスマートフォン用アプリ、来年2月にはiPad用アプリをリリースするそう。外でもポイントを確認できるようになれば、使い勝手もアップするはず。でも、マイナンバーカードが“ポイントカード”になったら、個人番号がバレたり、盗まれたりする心配はーー? 「個人番号は使いません。自分で設定する“マイキーID”で管理されます。それにポイント付与のときも、店員にカードを渡さずにすむ仕組みが取り入れられるようです。自分でポイント装置にカードをかざすので安心です」 ただし気軽に扱って、落としたり紛失しないようにくれぐれも気を付けよう!
2017年09月21日富士通ビー・エス・シー(富士通BSC)は3月8日、企業におけるマイナンバー制度への対応を支援する「マイナンバーカード対応OCR認識ライブラリ」の販売を開始した。価格は税別で67万9000円。同ライブラリは、タブレット端末上の業務システムでカメラ撮影機能を呼び出し、通知カード、またはマイナンバーカードを撮影。撮影した画像からマイナンバー、氏名、住所、生年月日などの項目を自動認識(OCR処理)し、チェックデジットと住所辞書・氏名辞書を活用した知識処理により、読み取りを行い、文字コードに変換。マイナンバーを取り扱う人事・給与システムなどに組み込むことで、入力作業を効率化するという。また、端末にデータを残さない安全設計となっており、認識したデータはタブレット端末上にデータを残さないため、端末の盗難などによる情報漏洩リスクを排除し、セキュリティに配慮した安全な運用を可能としている。さらに、すべての項目が確実に取得できるまで自動的に撮影・認識を繰り返すことで、撮り直し作業の負荷を軽減できる。そのほか、タブレット端末上の業務システムに容易に組み込むことが可能なAPIとなっており、カメラ撮影機能、自動認識(OCR処理)機能などのマイナンバー収集機能が既存システムから呼び出し可能だという。なお、同ライブラリは開発キットとランタイムライブラリが1ライセンス含まれており、使用端末が2台以上になる場合は、別途ランタイムライセンスの追加購入が必要。
2016年03月09日総務省は2月12日、マイナンバーカード(電子証明書)を活用する公的個人認証サービスの利用を行う民間事業者として、日本デジタル配信ら3社に対し、初めて大臣認定を行った。マイナンバーカードに格納された電子証明書などを活用する公的個人認証サービスの利用は行政機関などに限られていたが、今年1月1日より、民間事業者も大臣認定を受けることで、利用が可能となった。今回、大臣認定を受けたのは「日本デジタル配信」「スマートテレビ連携・地域防災等対応システム普及高度化機構」「ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構」。3社は、公的個人認証サービスの利用のために必要となる設備を整備・運用し、その機能(電子署名等の検証・電子証明書の有効性の確認)をクラウドサービスとして提供するプラットフォーム事業者。日本デジタル配信は、ケーブルテレビの画面から、マイナンバーカードを活用して、個人に最適な行政情報の配信やオンラインショッピングといった民間サービスを利用するための基盤を提供する。実証実験として、ケーブルテレビの画面から、リモコンとマイナンバーカードを使って、生命保険会社から送付される各種通知を閲覧したり、終身年金に係る現況届を電子的に送信したりする。スマートテレビ連携・地域防災等システム普及高度化機構は、家庭のスマートテレビに対し、マイナンバーカードを使って、家庭の状況に応じた最適な防災・減災情報などの地域情報を配信するためのシステム基盤を提供する。ICTまちづくり共通プラットフォーム推進機構は、マイナンバーカードを「デジタル母子健康手帳」「地域の病院カード、医療機関間のデータ連携」などのサービスに共通で使える多目的カードとして活用するためのシステム基盤を構築する。今年3月より、マイナンバーカードを活用して、PCやスマートフォンから母子健康情報を閲覧できるサービスを開始し、その基盤となるシステムをクラウドサービスにより提供する。
2016年02月12日NTTデータは12月8日、個人番号カード(マイナンバーカード)の公的個人認証サービスを活用した本人確認ソリューション事業を開始した。本ソリューションは、個人番号カードのICチップを端末で読み取り、中に格納されている公的個人認証アプリケーションを利活用して、オンラインでの確実な本人確認を可能とするソリューション。民間企業における本人確認業務に必要とされる「確実な本人確認」や「証跡データの保管」などの機能を備えたシステム開発を、顧客企業などの既存システム向けに提供される。当該システム開発に加え、2016年度上期をめどに本人確認サービス「BizPICOR」としてクラウドサービスでの提供も予定されている。オンラインでの確実な本人確認により、本人確認業務に費やす工程や期間が短縮できるため、オペレーションとコストの改善が期待できることが本ソリューション導入のメリットとなっている。また、従来の本人確認業務に伴っていた書類紛失リスクなどを、公的機関が保証する電子証明書の活用によって低減することで、コンプライアンスの強化にもつながる。さらに、署名検証者としての総務大臣認定およびシステム審査に対応可能なソリューションとして提供されるため、署名検証者に求められる申請手続きにかかる対応が減り、コストや開発期間の削減も期待できる。本ソリューションが提供する、企業の本人確認に必要な機能は「署名用電子証明書を利用した確実な本人確認機能」「利用者証明用電子証明書を利用したセキュアな利用者認証機能」「証跡データ保管機能」「証明書失効通知管理機能(オプション)」の4つ。今後同社は、本人確認だけでなく、公的サービス利用時の資格確認やインターネット上でのログインにおけるセキュア認証といった利用者の認証を必要とするさまざまなサービスへの展開を図り、また、政府で検討されている「ワンカード化」を見据えて、多岐にわたる利用シーンでの本人確認に利用できるよう、追加機能の開発や、技術検証を通じた幅広い分野への展開を推進していく構えだ。さらには、将来的な個人番号カードの読み取り端末の普及に合わせて、スマートフォン・タブレットといった生活者に身近な携帯端末への対応も順次実施することにより、さまざまな利用シーンにおける本人確認に利用できるよう本ソリューションの展開を進めていくとしている。
2015年12月09日メディアドライブは2日、スキャナや複合機、スマートフォンのカメラで撮影したマイナンバーカードの画像をOCR処理(文字認識)でテキストデータに変換する「マイナンバーカードOCRライブラリ」を発売した。マイナンバー用に特化させたOCRエンジンを搭載しており、このエンジンにより各種自治体から配布される通知カードや個人番号カード(表・裏)に記載された個人番号、氏名、住所、生年月日、性別、発行日などをテキストデータに変換する。姓名や住所項目の認識は、辞書を利用した知識処理により精度を向上させているほか、チェックデジット機能をにより、個人番号の誤読や捏造を防止している。スマートフォンでの撮影にも対応するため、カメラの撮影環境の変化に対応した画像処理技術を搭載した画像補正を搭載。これにより、カメラで撮影した画像からカード部分だけを自動でトリミングしたり、撮影時の歪みなどを自動で補正してから認識したりすることができる。また、切り出した画像はJPEG/PNG/TIFF/Bitmap形式のファイルに出力することも可能。ラインナップと価格は、開発キットが50万円、開発キット年間保守サービスが10万円、Server OS対応版開発キットが90万円、Server OS対応版開発キット年間保守サービスが18万円(いずれも税別)。同製品を使用した製品の再配布については、別途ライセンス費用が必要。なお、個人番号カードの読み取りは、2016年2月頃の対応を予定している。
2015年11月04日パナソニック ソリューションテクノロジーは、11月2日より、既存のソフトウェアやシステムにOCR機能を組み込むことができる開発キット(SDK)「マイナンバーカード認識ライブラリー」の提供を開始する。同製品は、パナソニックの「カラーOCRライブラリー」の新しいラインアップとなる。新製品は、パナソニック独自の高精度な活字認識技術をもとに開発したマイナンバー対応OCRエンジンを搭載。また、10月5日から配布が始まった通知カードや、来年1月以降支給される個人番号カードに記載された個人番号、氏名、住所、生年月日、性別、発行日の認識し文字コードに変換することが可能で、チェックデジット機能の搭載により、確認・修正作業を効率化する。そのほか、画像の歪みをパナソニック独自の画像処理技術(台形補正)で自動補正することで、スマートフォンやタブレット端末などのカメラで撮影した際の文字認識精度が向上する。提供価格は550,000円(税別)で、無料体験版(30日間利用可能)で事前検証が可能となっている。
2015年10月08日