第93回アカデミー賞授賞式が4月26日(日本時間)、米ロサンゼルスのドルビー・シアターとユニオン駅の2つの会場で開催され、『ファーザー』のアンソニー・ホプキンスが、2度目となる主演男優賞に輝いた。世界30か国以上で上演された傑作舞台の映画化。先日12月31日に83歳を迎えたホプキンスが自身と同名、同年齢、そして同じ誕生日の認知症の主人公を演じている。この物語を手掛けたのは、ロンドンのタイムズ紙が「現代において最も心躍る劇作家」であると謳う、フランス人のフロリアン・ゼレール。原作である舞台作品は、フランス演劇界最高位のモリエール賞で脚本賞を受賞し、パリ、ロンドン、ニューヨークなど世界30か国以上で上演。ゼレール自身が長編初監督作としてメガホンをとり、『危険な関係』でアカデミー賞を受賞した脚本家クリストファー・ハンプトンが共同脚本を務める。アンソニーが主演男優賞を受賞するのはハンニバル・レクターを演じた『羊たちの沈黙』(1991年)に続き2度目。アンソニーは自身のinstagramを更新し、「おはようございます。故郷のウェールズにいます。83歳でこのような賞を受賞するとは思ってもみませんでした。アカデミーに感謝します。そして、あまりにも早くこの世を去ってしまったチャドウィック・ボーズマンにこの賞を捧げます。ありがとうございます。予想外でした。光栄で名誉なことと思います」とコメントした。本作は、アンソニーの記憶と現実を追体験する迷宮のような世界観で描かれている。5月14日より全国にて公開される。(text:cinemacafe.net)■関連作品:ファーザー 2021年5月14日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開© NEW ZEALAND TRUST CORPORATION AS TRUSTEE FOR ELAROF CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION TRADEMARK FATHER LIMITED F COMME FILM CINÉ-@ ORANGE STUDIO 2020
2021年04月26日俳優の岡本圭人が、舞台『Le Fils 息子』の主演を務め、父親で俳優の岡本健一と共演することが21日、明らかになった。同作は2018年にフロリアン・ゼレール作、ラディスラス・ショラー演出でパリのシャンゼリゼ劇場にて初演を迎え、タイムズ紙やデイリーテレグラフ、ファイナンシャルタイムズなど各紙の劇評でも絶賛された傑作。フランス最高位の演劇賞であるモリエール賞にて最優秀新人賞を受賞するなど高い評価を受け、ロンドンのウエストエンドなど世界13カ国で上演されている。「何かを変えたい。でも、どうしたらいいか分からない。」と難しい時期を迎えていた17歳のニコラ。両親の離婚により、家族が離れ離れになってしまったことにひどいショックを受けて動揺し、何に対しても興味が持てなくなってしまっていた。嘘を重ねて学校にも行かずに日がな一日、目的もなく一人で過ごしていたところ、学校を退学になってしまう。父親・ピエールは新しい家族と暮らしていたが、母親・アンヌからニコラの様子がおかしいことを聞き、何とか彼を救いたいと、離婚後に距離を置いていた息子と、向き合おうとする。生活環境を変えることが、唯一自分を救う方法だと思えたニコラは、父親と再婚相手、そして年の離れた小さな弟と一緒に暮らし、新しい生活をスタートさせるのだが……。悩み、迷い、傷つきながら、自分を再発見していく絶望した若者の抒情詩となっている。脚本を手掛けたフロリアン・ゼレールは、「現代において、もっとも心躍る劇作家」と呼ばれ、世界中から注目されているフランスの若手劇作家で、「家族三部作」として始めに『La Mere 母』を、次に『Le Pere 父』、締めくくりに本作『Le Fils 息子』を手がけた。2020年には『Le Pere 父』をアンソニー・ホプキンス主演、自身が初監督を務めて『ファーザー』のタイトルで映画化し、今年の第93回アカデミー賞に作品賞をはじめ6部門にノミネートされるなど、映画監督としても高い評価を得て、現在は最新作『Le Fils 息子』の映画化に着手。ヒュー・ジャックマンが父親役で出演することが発表された。老いの現実と家族の葛藤を描いた『Le Pere 父』は、2019年に東京芸術劇場にてラディスラス・ショラーの演出で上演された。エスプリをきかせた見事な描写は深い感動を呼び、主人公である父アンドレを演じた橋爪功が第44回菊田一夫演劇賞 演劇賞及び、第27回読売演劇大賞 大賞・最優秀男優賞を、そしてアンドレの娘を演じた若村麻由美が優秀女優賞を受賞するなど、大いに称賛された。そして本作『Le Fils 息子』は、フロリアン・ゼレール作、ラディスラス・ショラーが演出を手掛ける東京芸術劇場の企画第2弾として、日本で初めて上演される。主人公の息子・ニコラ役には、岡本圭人が決定。9歳でイギリス留学した経験もある英語力を生かし、18年よりアメリカ最古の名門演劇学校であるアメリカン・アカデミー・オブ・ドラマティック・アーツに学んだ圭人は、鋭い感受性と華やかさを感じさせる居ずまいで、10代特有の繊細さと荒々しさを瑞々しく表現する。4月5日にアイドルグループ・Hey! Say! JUMPを脱退し俳優への専念を発表しており、本作が満を持して待望のストレートプレイ初舞台、さらに単独初主演となる。ニコラの実母アンヌ役には『Le Pere 父』で第27回読売演劇大賞 優秀女優賞を受賞、演出のショラーからの信頼も厚い若村麻由美が決定し、ピエールの再婚相手・ソフィア役は伊勢佳世、医師役は浜田信也、看護師役は木山廉彬が演じる。そして、父親ピエール役は舞台を中心に活躍を続け、第26回読売演劇大賞 最優秀男優賞、第45回菊田一夫演劇賞 演劇賞、第55回紀伊國屋演劇賞 個人賞、第71回芸術選奨文部科学大臣賞と数々の演劇賞を総なめにし、高い実力が評価されている岡本健一が演じる。愛によって息子を救おうとし、愛だけでは不十分であることを知る。大きく懐深い存在でありながら、ときに”他者”である息子の理解不能な存在に苦悩する父親を、言葉の背後にある、言葉にできない表現で、観客の心に問いかける。東京公演は東京芸術劇場 プレイハウスにて8月30日~9月12日、北九州公演は北九州芸術劇場中劇場にて9月17日~19日、高知公演は高知市文化プラザ かるぽーと 大ホールにて9月22日~23日、能登公演は能登演劇堂にて9月26日、新潟公演はりゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館劇場にて9月29日~30日、宮崎公演にてメディキット県民文化センター(宮崎県立芸術劇場) 演劇ホールにて10月3日、松本公演はまつもと市民芸術館 主ホールにて10月9日~10日、兵庫公演は 兵庫県立芸術文化センター 阪急中ホールにて10月14日~10月17日。○岡本圭人 コメント初めて、『Le Fils 息子』の台本を読ませて頂いた時に、僕は劇作家フロリアン・ゼレールの描く物語に強い感銘を受け、この作品に巡り合えたことに運命を感じました。僕がこれまで歩んできた人生と、主人公ニコラの人生とが重なり、彼の心情や言葉がまるで自分のことのように痛いほど理解することができました。そして、台本を読めば読むほど、僕の中で「ニコラのことを救いたい...」という気持ちが膨らんでいきました。「どうすれば彼のことを救えるのか...」と考えたときに、ゼレールが描いたこの物語を 1 人でも多くの方々に知っていただくことで、もしかしたら世界中にいるニコラのような子、そしてその家族を救うことができるかもしれないと思いました。演出家のラディスラス・ショラーさん、大先輩でもある父・岡本健一や若村麻由美さんを始めとするキャストの皆様、そして素晴らしいスタッフの皆様と共に、『Le Fils 息子』の物語に生命を吹き込めるように、全力を尽くします。是非、劇場まで足を運んでいただき、この物語を皆様と共有できることを心から望んでいます。よろしくお願い致します。○岡本健一 コメント誰もが考えてしまうであろう家族の物語です。子供達、親達が抱えている問題。お互いがどんなに理解しようとしても、その思いが伝わらない問題。自分の思いと相手の思い。どうすれば解決出来て、どうすれば救えて、どうすれば助けて貰えるのか。あの時にこうすれば、ああすれば良かった。こんな思いにならなければ、こんな思いをさせなければ良かった。いずれにせよ、すべてが過ぎ去っています。これからが大切だと生きて行くしかないのですが、この思いを抱えて、これからを生きて行くしかないのです。『Le Fils 息子』この物語の登場人物達は、それぞれがどんな思いで、どんな出来事があったのでしょうか。私は、この作品を読む度に心が打ち砕かれて、ページが進まなくなり、思考回路が止まってしまうような場面がいくつかありますが、稽古に入る頃には克服しているでしょう。私達は様々な状況の中で生活していますが、これからを生きて行く世代の為にも、出来るかぎり沢山の方々に、この作品を伝えなければならないと思っています。劇場では感染対策を万全にしていますので、どうかお身体を大切に健康でいて、血の繋がった父と息子が織りなす、ある家族の物語の生活を、劇場にて公然と覗き見て下さい。○作:フロリアン・ゼレール コメント東京で『Le Fils 息子』が初演されることになり非常にうれしく思っています。これは私にとって特別に大切な物語であり、ここに描かれた感情には私の個人的な体験が直接反映されています。しかし作品を書くにあたって私自身を物語ったわけではありません。私以外の人が、自分自身を映し出せるような鏡を差し出してみせたのです。私はそれこそが芸術の存在意義だと感じています。芸術は私たちの抑えきれない感情の共有を可能にします。それによって、私たちはお互いに孤立した個体ではない、それどころか私たち自身よりも大きな何かに帰属しているということ、そしてその何かは“人類”と呼びうるものだということを私たちに思い出させます。この作品がラディスラス・ショラーのすばらしい演出によりパリで初演された時、うれしいことに毎回終演後に観客が私たちを待っていてくれました。彼ら自身の物語を分かち合うためです。彼らの物語は往々にしてピエールやアンヌやソフィアやニコラの物語の延長でした。今、日本の皆さんのおかげで、そして皆さんを通じて、この分かち合いが続いていくのだと想像してとても幸せです。東京芸術劇場、そして俳優の皆さん、この日本版上演を可能にしてくれたすべての人々に心より感謝いたします。ヨーロッパでは何か月にもわたりあらゆる劇場が沈黙を余儀なくされてきましたが、そんな時期のあとに、この作品の幕が日本で開くことは特別な喜びです。皆さんと一緒にその瞬間を分かち合えたらこの上ない喜びだったでしょうが、『Le Fils 息子』の映画撮影の予定が入っておりヨーロッパにとどまらざるをえません。私は想いによって、心によって、そして明晰なラディスラス・ショラーの仲介によって、その場に立ち会っていることでしょう。皆さんに感謝します。○演出:ラディスラス・ショラー コメントフロリアン・ゼレールの『Le Fils 息子』演出のために日本に戻ってこられることは大変光栄であり、大きな喜びです。2年前に上演された同じ作者の『Le Pere 父』日本版の演出は、私にとってすばらしい仕事の思い出となりました。日本の俳優の皆さん、そして東京芸術劇場のテクニカル/アーティスティック・スタッフと共に仕事できたことは大変な僥倖でした。今回の『Le Fils 息子』日本版のキャスティングには2つの特色があります。まず私にとって若村麻由美さんと再会する機会であるということ。『Le Pere 父』で彼女を演出できたのは大きな喜びでした。そして、もう一つはピエールとニコラを、実生活でも父子である俳優2人、岡本健一さんと岡本圭人さんに任せる選択をしたことです。血の繋がった実の息子と共演するというリスクを引き受けてくれた健一さんに心よりお礼を申し上げます。私生活と仕事を両立させるのは容易なことではありませんが、彼らの父子の絆が、舞台上の父子の絆をより一層深く、鋭いものにしてくれることと確信しています。圭人さんは豊かな感受性を持った青年であり、絶えず進化しようとしています。ストレートプレイで大きな舞台を踏むのはこの作品が初めてです。この役が彼にとって、その若い才能のあらゆる色彩を表現する機会となることを願っています。
2021年04月21日アンソニー・ホプキンスの役者人生の集大成としてアカデミー賞有力候補と目されている『The Father』(原題)が、『ファーザー』として5月に日本公開が決定した。本作は、世界30か国以上で上演された傑作舞台の映画化。先日12月31日に83歳を迎えたホプキンスが自身と同名、同年齢、そして同じ誕生日の認知症の主人公を演じている。2020年のサンダンス映画祭で初お披露目されるや、「圧倒的実力で早くも2021年の賞レースに躍り出た。彼を凌駕する俳優はいないだろう」(THE GUARDIAN)と喝采を浴び、「ロッテントマト」では100%の満足度を記録(1月12日時点)。アカデミー賞前哨戦となる賞レースでは、ボストン映画批評家協会賞、フロリダ映画批評家協会賞でホプキンスが主演男優賞を受賞しているほか、4つの受賞、41のノミネート。過去5回のノミネートを誇るアカデミー賞で『羊たちの沈黙』(91)のレクター博士役以来、30年振りの受賞を推すメディアもある。また、ホプキンス演じる父を介護する娘を繊細に演じたのは、『女王陛下のお気に入り』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したオリヴィア・コールマン。彼女の演技も高く評価され、アカデミー賞助演女優賞候補入りが有力視されている。年齢と共に誰もが経験する喪失と親子の愛を、記憶や時間が混迷していく父の視点で描くという本作。迷宮に足を踏み入れていくような戸惑いと、愛する家族が自身を忘れてしまう切なさ、人間味から滲み出るユーモアなど、様々な感情を重層的に呼び起こしながら、誰にとっても他人事ではない、老いることへの不安や関係性が変わっていく親子の愛情を描いている。この物語を手掛けたのは、ロンドンのタイムズ紙が「現代において最も心躍る劇作家」であると謳う、フランス人のフロリアン・ゼレール。原作である舞台作品は、フランス演劇界最高位のモリエール賞で脚本賞を受賞し、パリ、ロンドン、ニューヨークなど世界30か国以上で上演。ゼレール自身が長編初監督作としてメガホンをとり、『危険な関係』でアカデミー賞を受賞した脚本家クリストファー・ハンプトンが共同脚本を務める。『ファーザー』は5月、TOHOシネマズ シャンテほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2021年01月14日芸術の秋がどんどんと深まるなか、まもなく公開を迎えるのは、100年以上も世界中で愛されている傑作戯曲の誕生秘話をもとに描いた注目作。ご紹介するのは、演劇ファンにも映画ファンにも、見どころ満載のオススメ映画です。それは……。『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』【映画、ときどき私】 vol. 3411897年、パリ。若き劇作家エドモンは、2年もの間スランプに苦しんでいた。そんななか、名優のコクランから“訳アリの企画”を引き受けることとなる。しかし、初日まで3週間しかないのに、原稿は真っ白。呆然としていたエドモンだったが、ヒントを得て、実在した剣術家で作家のシラノ・ド・ベルジュラックを主人公にすることを思いつく。そんなとき、親友で若手俳優のレオから頼まれたのは、恋する女性ジャンヌへのラブレターの代筆。最初は渋々書いていたが、ジャンヌとの文通によって創作意欲をかきたてられていくことに。さまざまな危機に見舞われるなか、エドモンは無事に初日を迎えることができるのか……。『シラノ・ド・ベルジュラック』といえば、世界中でもっとも愛されている舞台劇のひとつと言われており、日本でも数多くの有名劇団が公演を行ってきた不朽の名作。そこで、こちらの方にお話をうかがってきました。アレクシス・ミシャリク監督今回、監督・原案・脚本を務めたミシャリク監督。2016年には、本作の舞台版でフランス演劇界最高の賞とされるモリエール賞で5部門を受賞し、高く評価されています。今回は、自らメガホンを取って映画化に挑んだ経緯や自身の経験などについて語っていただきました。―本作は、監督が15年間温めていたプロジェクトを映画化した作品ということですが、いきさつから教えてください。監督1998年に制作された映画『恋におちたシェイクスピア』を観たとき、フランス人を主人公に傑作が生まれる様子を描いた物語を作りたいと考え始めたのがきっかけです。この映画はハリウッドで大成功を収めていたことも、いいものになるだろうという確信を僕に与えてくれました。その後、『シラノ・ド・ベルジュラック』の誕生秘話を知り、作品の具体的なアイディアを思いついたのは20歳の頃。でも、当時はそんな若造に大きな製作費がかかる作品を任せてくれる人なんていませんでした。―ちなみに、名作が誕生するまでの裏側を調べるなかで、驚かされたことなどもありましたか?監督そのときに僕が知ったのは、作者であるエドモン・ロスタンは作品を書いたときは29歳という若さであったこと、『シラノ・ド・ベルジュラック』以前は失敗作ばかりを書いていたこと、そしてこの作品も絶対に失敗すると言われていたのに、実際は大成功を収めたこと、という3つの事実。それをどう発展させるかは、頭を悩まされたところでしたね。―そこからどのようにして、作品を完成させていったのでしょうか?監督ある日、フランスで有名なプロデューサーに相談してみたところ「監督はほかの人に任せるけど、まずはきみが脚本を書いてみなさい」と提案されたんです。ところが、オファーを出した1人目の監督にも、2人目の監督にも、3人目の監督にも「ノー」と言われてしまって(笑)。そこで、長編映画は作ったことがありませんでしたが、自分で監督したほうがいいんじゃないか、と思うに至りました。欲望のないクリエイションはあり得ない―とはいえ、すぐに映画の制作に取り掛かれたのでしょうか?監督いえ、できませんでした。というのも、「この映画のプロジェクトはお金がかかりすぎる」とか「演劇モノの映画は当たらない」とかいろいろと言われてしまって、資金集めは非常に難航しましたから……。ただ、当時の僕は演劇界では演出家としてある程度知られた存在になっていたので、まずは演劇としてやってみようと。そこで、舞台用に脚色し直して上演したところそれが大成功し、1000回以上公演を行うほどのロングランとなりました。そしたら、いままで「ノー」と言っていた人たちがみんな手のひらを返したように「映画でもやりましょう!」と言い出すようになったんです(笑)。―そのときは、いままで反対していた人たちを見返すことができた喜びもあったのでは?監督意外と「映画が実現することがうれしい!」という気持ちのほうが大きかったですね。それは、周りから絶対にうまくいかないと言われ続けながらも、自分だけはうまくいくと信じていた劇中のエドモンに同じだったと思います。―「執筆や作曲をする男を駆り立てるのは願望だ」というセリフがありましたが、創作活動において監督を駆り立てるものは何ですか?監督僕も欲望のないクリエイションはあり得ないと思っています。その欲望には、「何かがほしい」とか「何かを証明したい」とか「愛のため」とか種類はいろいろあるかもしれません。ただ言えるのは、創作をするうえで願望がないというのは、僕にとっては考えられないことですね。―監督にも、エドモンのように恋愛感情がモチベーションになった経験はありますか?監督僕は創作にミューズが必要なタイプではないので、愛しい人がいて、それが作品になったというような経験はありません(笑)。ただ、実人生で起きた要素が作品に影響してくることはありますよ。たとえば、僕が最近書いたラブストーリーの戯曲では、失恋について描いていますが、僕が経験した出来事をそのまま語るのではなく、そこで味わった感情を使いながら、言葉というフィルターを通して作り上げました。僕の場合は、そうやって別の形として作品に表現することが多いですね。自分自身を投影しているところは多くある―なるほど。では、この作品ではそういった監督自身の感情や経験は、どのように反映されていますか?監督今回もいくつかフィクションの要素を入れていますが、そのなかでエドモンが脚本を短期間で書かなければいけない状況に陥るのは、僕の過去の経験。ちょうどエドモンが『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた29歳と同年齢だった頃、「1か月以内に演劇を1本書けば、近々行われる演劇祭で上演できるよ」と言われて、大急ぎで脚本を書いたということがあったんです。実際のエドモンは6か月ほどかけて書いたそうですが、急いでいる状況が映画にリズムを与えると思い、設定に変更しました。あと、このアイディアを思いついた頃、僕はまだ演出家や作家ではなく、役者をしていたので、最初は若い俳優のレオのほうに感情移入していたところもありましたね。その後、いまの仕事をするようになってからは、エドモンに自分を投影しているところが多くなったかもしれません。劇中で、彼はどこでもハーブティーを飲んでいますが、あれも僕自身のこと。あとはシャイなところも似ていますね(笑)。―では、ストーリーを構築するうえで意識したのは、どのようなことですか?監督実際のシラノ・ド・ベルジュラックはエドモンが書いた戯曲通りの人生を送ったわけではなく、あくまでも、エドモンがシラノにオマージュを捧げて書いたものだったので、僕もエドモンがシラノにしたのと同じオマージュをエドモンに捧げたいと思うようになりました。それから、僕がフィクションとして入れたのは、エドモンとレオとジャンヌの三角関係。これは『シラノ・ド・ベルジュラック』のなかで描かれているシラノとクリスチャンとロクサーヌの三角関係からインスパイアされています。そんなふうに、この作品では現実とフィクションの要素をミックスして完成させました。恵まれた環境のおかげで創作に集中できている―エドモンにはかなりシンパシーを感じていらっしゃったと思いますが、彼が味わったような創作活動におけるスランプも経験したことがありますか?監督幸いなことに、僕はああいったスランプに陥ったことはないんです。僕は俳優で、脚本家で、映画監督で、舞台演出家というように、いくつもの職業をかけ持ちしているので、そのおかげかもしれませんね。そんなふうに、いろんな職業を次々と回していくとああいったスランプは体験しないものなんですよ。まあ、そのうち体験するかもしれないですが……。―創作意欲がどんどんと湧いてくる秘訣は?監督特別なことをしているわけではありませんが、ずっと夢に見ていた職業につけているということと、フランスの芸術に対するシステムがとてもいいというのも大きいかもしれません。僕は18歳で舞台俳優になりましたが、フランスではある一定期間舞台に出演すると、ほかの職業をかけ持ちしなくてもきちんと暮らしていけるほど、芸術家に対する手当が非常に充実しています。おそらく日本やほかの国では、若い俳優たちはほかの仕事をしながら生活をしている人が多いと思いますが、それに比べるとフランスは演劇人が生きやすい環境だと言えますね。そういった恵まれた環境のおかげで、創作活動に集中できているんだと思います。―それは素晴らしいシステムですね。ただ、いまはコロナ禍でフランスのエンタメ業界も影響を受けていると思いますが、現状について教えていただけますか?監督当然のことながら、フランスのエンタメ業界もほかの国と同じように難しい状況に置かれています。特に、いまは21時以降の夜間外出が禁止されていることもあり、20時頃から始まるのが普通だった演劇の公演は大きな打撃を受けました。ただ、フランスでは幸いにも劇場の営業が許可されているので、開始時間を繰り上げたり、観客同士のスペースを空けたり、マスクをきちんとしたり、といったさまざまな対策を講じているところです。演劇のみならず、映画館なども厳しい状況ではありますが、なんとかみんなでがんばって続けています。(2020年10月21日取材)エドモンのように、夢を信じて生きてほしい―そういう困難な状況だからこそ、新たに自分で発見したとか創作活動に影響を与えているところはありますか?監督アーティスト仲間ともその話をしたことがあるんですが、「この特殊な状況がインスピレーションになることはないよね」という結論にみんなで達しました。なので、僕はいまのところこの経験によって新鮮なアイディアが浮かんだということはありません。その理由としては、おそらくまだこの騒動の真っ最中にいて、不安のほうが大きいからではないかなと。つまり、まだ“過去”になっていないので、そこで感じていたことを語れないんだと思います。この出来事に対して、ある程度距離を持って分析できるようになったら、何か見つかるかもしれませんね。新しいアイディアが見つかるときというのは、空間的にも精神的にもスペースがあって、きちんとした空気が流れている必要があると思いますが、いまは逆に閉塞感のなかにいるような感覚なので難しいですね。―それでは最後に、観客へ向けてひと言お願いします。監督自分の作品のなかにすべての思いを込めているので、物語自身がメッセージになっていますが、あえて言葉にして言うのなら、「みなさんも自分の夢や自らの創作する力を信じましょう!」ということでしょうか。おそらくこの映画でエドモンの生き方を見ていただければ、言葉にはできないメッセージもすべて伝わると思うので、ぜひ映画をご覧ください。傑作の誕生秘話がいよいよ幕を開ける!先が見えない不安のなかでも、諦めることなく、自らを信じ続けて“奇跡”を手に入れた作家エドモン。思い通りにいかないことも多い生活を強いられているいまこそ、一発逆転エンターテインメントで、最高に痛快な気分を味わってみては?取材、文・志村昌美悲喜こもごもの予告編はこちら!作品情報『シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!』11月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー配給:キノフィルムズ/東京テアトル©2019 HE LI CHEN GUANG INTERNATIONAL CULTURE MEDIA CO.,LTD.,GREEN RAY FILMS(SHANGHAI)CO.,LTD.,
2020年11月11日新型コロナウィルスのクラスターが発生した舞台『THE★JINRO―イケメン人狼アイドルは誰だ!!―』を巡って、波紋が広がっている。6月30日~7月5日まで劇場「新宿シアターモリエール」で上演され、7月15日までに陽性者は59名、濃厚接触者は約850名確認された。主催者のライズコミュニケーションは7月15日、公式サイトで「当社としましては、今回の舞台において、ガイドラインを作成し、できる限りの感染防止対策に努めてまいりました」と説明。また一部報道にあった「演者が客席に降りてハグをする演出」については、「そのような事実は一切ございません」と否定している。しかし感染防止策を徹底されていなかった状況はあったようだ。同劇場が加盟する「小劇場協議会」は、公式サイトで報告文をこう発表している。「当協議会のガイドラインに従った感染防止策をご利用団体と協議していたものの、徹底・遵守していただけなかったことが、小劇場協議会からシアターモリエール側への確認作業のもと判明しております」16日には、主催者側の管理体勢が粗雑だったことが報じられた。スポニチアネックスは、ライズコミュニケーションが劇場側の求める感染防止策を守っていなかったと報道。劇場のある新宿区の保健所が明かしたという。「186席ある客席は半分以下に抑えたものの、楽屋は密だったそうです。ガイドラインには『座席は最低でも1席以上あける』『公演関係者はマスク着用』といった規定があります。また『終演後の出演者との面会』も禁じられていましたが、一部の役者は出待ちしていたファンに握手など応じていたとも報じられています。一部ルールが守られていなかったことについて、劇場側は主催者側に申し入れていたそうです」(舞台関係者)このことから、主催者側に非難の声が広がっている。《劇場のせいでなく明らかに運営による人災では?????》《これは劇場側が可哀想というか…こんなルールも守れない主催者たちには、使用させられなくなっちゃうよね…残念だね》《劇場クラスターの件、主催が劇場側の要請無視したり、観客も出待ちしたりと演劇のイメージが悪くなるような事はして欲しくないな》劇場によると13日に東京都と保健所の調査を受け、15日に改善点の報告書を提出したという。担当者からは「100%貸劇場として制作に関わっていないので開館前と閉館後の消毒は劇場の責任」とし、「主催者がホールを使用している時間内は主催者の責任(出演者の管理、観客の管理等すべて)」と伝えられたことを公表している。
2020年07月17日俳優・山本裕典の主演舞台『THE★JINRO-イケメン人狼アイドルは誰だ!!-』で新型コロナウイルスのクラスターが発生。山本らキャストやスタッフ、観客の感染が発表され、12日にはキャストの榊原徹士の感染が明らかになった。榊原について、吉本興業が公式サイトで「当社グループ会社(株)Showtitle所属の榊原徹士が、7月12日(日)に新型コロナウイルスに感染していることを確認いたしましたので報告申し上げます」と発表。「榊原徹士は、7月3日(金)に舞台『THE★JINRO-イケメン人狼アイドルは誰だ!!-』に出演、保健所より濃厚接触者との認定を受け、PCR検査を受診した結果、陽性判定となりました。現在、保健所の指導に従い、隔離生活・治療を行っております」と報告し、「また、7月10日(金)に濃厚接触者認定後、榊原徹士に接触した者はおりません」と伝えた。同舞台は、6月30日から7月5日まで東京・新宿シアターモリエールで上演された。
2020年07月13日マリー・アントワネットをイメージしたデザートフェア「マリー・アントワネット スイーツ・オートクチュール」「マリー・アントワネットの晩餐会」が、ヒルトン東京にて開催される。期間は2020年7月1日(水)から9月30日(水)まで。マリー・アントワネット着想のスイーツを好きなだけ「マリー・アントワネット スイーツ・オートクチュール」は、フランス王妃マリー・アントワネットをインスピレーション源にした約30種類のスイーツを、紅茶のポットサービスと共に好きなだけ楽しめるデザートフェア。初夏のヴェルサイユ宮殿の庭園をイメージしたエントランスを抜けて会場へ足を踏み入れると、王妃のドレスルームを思わせるロマンティックな空間が現れる。優雅なデザートワゴン形式で提供中央に螺旋階段が配された吹き抜けの会場には、午後のティータイムを優雅に楽しめるようにと座席をゆったりと設置。全テーブルには鳥籠型アフタヌーンティースタンドがセットされており、ビュッフェ台にスイーツを取りに行くセルフサービス形式ではなく、スタッフが各テーブルを巡回しデザートサービスを行うワゴン形式で、スイーツを好きなだけ味わうことができる。ドレスや宝石をイメージしたスイーツ18世紀フランスでファッションリーダーとしても注目を集めたマリー・アントワネットをイメージしたスイーツは、華やかなビジュアルのものばかり。マリー・アントワネットのドレスルームを覗いているような感覚で、レースやリボンをあしらったドレス、帽子、パステルカラーの靴、煌びやかな宝石などを彷彿とさせるスイーツを楽しむことができる。たとえば「王妃のローズガーデン」は、苺、ラズベリー、ライチをジャスミン香るスポンジでサンドし、香り高い薔薇のホイップクリームをデコレーションしたケーキ。ビターオレンジのムースの中に、ブラッドオレンジの果肉をザクロのスープで煮詰めたジュレを入れた「シャポー・ローズ」は、おしゃれな王妃の帽子を彷彿とさせるサクサクのメレンゲを飾り付けた。ドレスのフリルを連想させるビジュアルの「ビスキュイをお食べなさい」は、マリー・アントワネットが好んだと言われているクグロフの代わりに、フランス伝統菓子ビスキュイ・ドゥ・サヴォアをベースに採用したスイーツ。軽やかな食感の焼き菓子に、甘酸っぱいラズベリーをトッピングした。ワゴンにはその他にも、レモンとカモミールのタルトに、イチジクやブラックベリーなどのフルーツをのせた「王妃の宝石箱」や涼しげなグラススイーツ、マカロン、マドレーヌなどを取り揃える。出来立てスイーツも提供シェフが目の前でデザートを仕上げ、出来立てを提供する「ライブステーション」も実施。サクサクのパイにチョコレートクリームやキャラメリゼした胡桃、ピスタチオなどを好みで組み合わせる「ミルフィーユ・ア・ラ・ヴェルサイユ」や、チョコレートを薔薇の花びら風に仕上げたスイーツなど、7種類の出来立てデザートを提供する。初夏にぴったりの紅茶ドリンクは高級紅茶ブランド、ロンネフェルト社による紅茶10種類を用意。中国緑茶をベースに薔薇の花びらとパイナップルピールをミックスした「ドゥードロップ」や、ジューシーなマンゴーや爽やかなシトラスが香る「モルゲンタウ」など、初夏にぴったりなフレーバーが揃う。ディナー&スイーツを楽しめる「マリー・アントワネットの晩餐会」もまた夜には、「マリー・アントワネット スイーツ・オートクチュール」に合わせて、優雅なスイーツ、装飾を施したカーヴィング料理やヨーロピアンテイストの料理などをワゴンサービスで好きなだけ楽しめる「マリー・アントワネットの晩餐会」も開催。スイーツには、バラの香るハート型マカロンとローズクリームでライチやラズベリーをサンドした「フランスの薔薇」や、帽子のようなビターオレンジムース「シャポーローズ」など約10種類を用意。スタッフがマリー・アントワネットの世界観で装飾されたデザートワゴンからサービスしてくれる。一方フードメニューでは、 ビーフサーロインをきのことブリオッシュで包んで焼き上げた「ビーフ・ウェリントン」や、日替わりで登場する「鱸のポワレ モリエールソース」「サーモンムニエル レモンバターソース」など、目移りするようなメニューを楽しめる。詳細マリー・アントワネット スイーツ・オートクチュール期間:2020年7月1日(水)~9月30日(水)会場:ヒルトン東京 1F「マーブルラウンジ」住所:東京都新宿区西新宿6-6-2営業時間:14:30~17:30料金:1人 3,980円+税 / 土・日・祝日 4,300円+税※サービス料別途予約:公式ウェブサイトまたは問い合わせ先電話番号にて受付メニュー例:王妃のローズガーデン、シャポー・ローズ、ビスキュイをお食べなさい、ラ・レーヌMA、ル・プティ・サーク ロワイヤル ほか■マリー・アントワネットの晩餐会期間:2020年7月1日(水)~9月30日(水)会場:ヒルトン東京 1F「マーブルラウンジ」営業時間:18:30〜L.O. 21:00(ドリンクL.O. 21:30)料金: 1人 日~木 5,500円+税、子ども(4歳~12歳) 3,000円+税 / 金・土・祝日 6,500円+税、子ども(4歳~12歳) 3,500円+税※サービス料別途※ウェブサイトより予約受け付け【問い合わせ先】TEL:03-3344-5111(代表)※レストラン予約受付時間10:30~20:00
2020年06月04日DCコミックス「バットマン」の日本製作アニメーション映画『ニンジャバットマン』の舞台化が決定。キーアートも公開された。1939年の誕生以来、いまなおその不動の人気を誇る「バットマン」シリーズ。映画『ニンジャバットマン』は、本作のキャラクターを用いて日本で製作、現代の犯罪都市ゴッサムシティの悪党たちがタイムスリップし、群雄割拠する戦国時代の日本を舞台に壮大なバトルが展開。山寺宏一と高木渉がバットマン、ジョーカーをそれぞれ演じたほか、釘宮理恵、子安武人、諏訪部順一、森川智之ら超豪華声優陣が集結したことでも話題に。そんな本作が、DCコミックス、ワーナー・ブラザースと 2.5次元舞台の超ヒット作を世に送り続ける「Office ENDLESS」とタッグを組み、「ニンジャバットマン ザ・ショー」として舞台に!会場は「新宿シアターモリエール」。客席から手を伸ばせばステージに届きそうなこの距離感を最大限に生かし、映画館では実現できない劇場全体をスクリーンと捉えた、超立体究極体験を臨場感たっぷりに届ける。なお、出演者は未発表となっており、随時発表予定。チケット一般発売は、6月5日(金)10時からスタートするようだ(※プレミアウィークのみ2月19日10時~)。ストーリー現代の犯罪都市ゴッサム・シティの悪党たちがタイムスリップし、群雄割拠する戦国時代の日本。戦国大名となった悪党たちがこのまま自由に暴れ続ければ、日本だけでなく世界の歴史すらも変わってしまう!絶望的な乱世で、現代テクノロジーからも切り離されてしまったバットマンは世紀の歴史改変を阻止することができるのか?日本と世界の歴史を賭けて、時空を超えた壮大な戦が幕を開ける――。「ニンジャバットマン ザ・ショー」は10月10日(土)~12月31日(木)新宿シアターモリエールにて上演(全172公演)。※10月3日(土)~プレミアウィーク公演あり(計13公演限定)(cinemacafe.net)■関連作品:ニンジャバットマン 2018年6月15日より新宿ピカデリーほか全国にて公開Batman and all related characters and elements are trademarks of and © DC Comics. © Warner Bros. Japan LLC
2020年02月19日眞島秀和と岸井ゆきのが夫婦役を演じる舞台「月の獣」が12月7日東京・紀伊國屋ホールにて開幕した。リチャード・カリノスキーの作品でも最も有名な本戯曲は、第一次世界大戦中に起きたアルメニア人迫害を受けたふたりの男女について描かれ、フランス演劇界で最も権威ある演劇賞、モリエール賞を2001年に受賞。演出は栗山民也が手がける。【チケット情報はこちら】眞島が演じるのは、オスマン帝国(現・トルコ)からの迫害により家族を失ったアルメニア人の青年・アラム。アメリカへ亡命したアラムが、写真だけで選んだ、岸井演じる同じアルメニア人の少女、セタをアメリカへ呼び寄せることから物語ははじまる。それぞれ心に癒えない傷を抱えたまま、夫婦となったふたり。眞島は、その過去から家族に執着する青年を感情豊かに表現。怒り、悲しみを爆発させる痛々しい姿から、仕事での成功をセタに報告する明るい演技まで、感情の起伏にも不器用な男を丁寧に演じた。またもうひとりの主人公ともなるセタを演じる岸井は、アメリカに到着時は15歳の少女という彼女ならではの配役。歴史に翻弄された暗い記憶を持つ難しい役どころながら、少女から女性へと自身も苦しみながら成長をしていく熱演をした。そしてアラム、セタの元に現れ、ふたりの関係も変えていく孤児の少年・ヴィンセント役を演じたのは升水柚希。孤児ながら明るく振舞うヴィンセントに、ペースを崩されるアラムに、思わず劇場に笑いが起こるシーンも。夫婦にとって救いともなる少年を瑞々しく表現。また久保酎吉演じる老紳士は、「二人の証人」という印象的な言葉から物語をはじめるストーリーテラー。感情をぶつける3人と違い、アルメニア人迫害という実際にあった歴史と、アラム、セタ、そしてヴィンセントの物語を繋ぐ、作品の水先案内人を落ち着いた語りで務めた。自身の理想と現実に苦しむアラム、そしてまだ少女のセタがアラムに突きつけられる理想に、ふたりが常にぶつかりあって、関係を模索していく姿は痛々しい。しかしふたりがお互いの思いをぶつけ合い、掴み取った最後に見える希望を、ぜひ劇場で確認してほしい。公演は12月23日(月)まで東京・紀伊國屋ホールにて。また12月25日(水)にはりゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館・劇場にて、12月28日(土)・29日(日)には兵庫・兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールを巡演する。
2019年12月11日眞島秀和&岸井ゆきのが夫婦役という新鮮な顔合わせで上演される『月の獣』。第一次世界大戦中に起きたアルメニア人迫害に基づいて描かれ、フランスでは2001年にモリエール賞を受賞した作品だ。演出を担うのは栗山民也。人間の本質や世界が抱える問題を投げかけて、常に観る者を揺さぶり続ける演出家は、今度は何を問いかけるのだろう。【チケット情報はこちら】栗山が『月の獣』を手掛けるのは、2015年の初演に続いて2度目になる。そもそもは、今は亡きパリの親友から紹介されて手にした戯曲で、上演して改めてその魅力を痛感。「演劇はやればやるほど強く美しくなっていくもの。ぜひもう1度やりたいと思っていた」と言う。しかも、迫害によってアメリカへ亡命した男と、彼が写真だけで妻に選んだ同じアルメニア人の少女の話は、世界が移民排除へと動いている今ますます切実にもなっている。「井上ひさしさんの作品もそうだけれども、演劇には、今のために書かれた作品だと思えるものがあるんです」。物語は、それぞれに孤児となったふたりがお互いの過去をどう受け入れつながっていくかが描かれる。栗山曰く、「悲劇の末端の傷ついた民たちが愛を求め再生していく話」だ。が、それはそんなに簡単にはいかない。男は理想の家族の姿を強制し、心に深い闇を抱えたまだ幼い妻はその期待に応えることができないのである。どこかゴツゴツしたその関係を託されたのは眞島と岸井。なかでも栗山にとって『チャイメリカ』で初めて出会った眞島は、この作品の再演を決めた要因となった人物でもある。「日本は誰もがはみ出すのを怖がる社会。そのなかで彼には自分はこうなんだという信念みたいなものを感じた」と話す。「しっかりと自分を持つ俳優が、こういう特異な人物を演じる。そこには多くが好む“共感”はないかもしれないけれども、だからこそ、人間というものが痛烈に突き刺さると思います」。続けて演劇について、栗山はこんな力強い言葉を発する。「きっと僕は演劇で世界を知りたいんだと思います。アルメニアのことは知らないけれども、でも、演劇という共通言語をもってすれば、同じ人間として、そこで何が起こり、どう生活していたのかを知ることができる。また、演劇には命が絶たれた人たちに言葉を与えるという力もあります。人間は忘れっぽいですからね。歴史をちゃんと見つめた作品を、記憶として残していくことが、演劇や小説といった芸術の責任じゃないでしょうか」。取材・文:大内弓子
2019年10月25日笑福亭鶴瓶と女優・上白石萌歌が関係者への徹底取材からゲストの素顔に迫っていくトーク番組「A-Studio」。その8月9日(金)今夜オンエア回に、「Kis-My-Ft2」の藤ヶ谷太輔が登場。藤ヶ谷さんが“人生を変えてくれたジャニーさん”への想いを語ってくれる。1998年、小学5年生の時にジャニーズ事務所に入所した藤ヶ谷さんは、2005年に北山宏光、千賀健永、宮田俊哉、横尾渉、玉森裕太、二階堂高嗣と「Kis-My-Ft2」を結成。事務所の先輩・光GENJIからローラースケートパフォーマンスを受け継ぎ、6年後の2011年、「Everybody Go」でCDデビューを果たす。同時に「美男ですね」「ビギナーズ!」『信長協奏曲』などのドラマや映画で俳優としても活躍。この春から放送された「ミラー・ツインズ」では一方は警察官、一方は犯罪者という双子を一人二役で演じ分け、常に成長し続けている。そんな藤ヶ谷さんは、実はジャニーズ事務所のオーディションに一度落ちていたという。しかしある出来事がきっかけで一転合格扱いとなったそう。驚きのその理由とは!?そして11歳で「ジャニーズJr.」となるも「Kis-My-Ft2」のメジャーCDデビューは24歳の時。苦節13年で手にしたメジャーデビューにいたるまでの苦悩とその後の活躍を、一番近くで見守ってきた両親と2人の弟に極秘取材。デビュー直後の東京ドームコンサートを見た厳格な父からの言葉に藤ヶ谷さんも思わず涙。また藤ヶ谷さんの家族すら知らない間に事務所へ履歴書を送っていたという伯母にも取材。その事実を藤ヶ谷さんが30歳になってから初告白したという伯母が語る真相とは!?そのほかにも大学時代からの友人、親友たちにも極秘取材。親友が語る旅行時の(秘)エピソードから見える藤ヶ谷さんの“天然”な一面は必見。プライベートでもよく遊ぶという「Kis-My-Ft2」横尾渉からは、メンバー想いな素顔が明かされる。苦楽を共にしてきた仲間が語る素顔や、中居正広が伝授したというバラエティ番組での“秘策”のほか、本番組収録前々日に逝去したジャニー氏への想いも語ってくれる。「滝沢歌舞伎」でのジャニー氏による驚きの演出と嬉しかったある一言とは!?藤ヶ谷さんは、8月30日(金)~9月18日(水)までの期間、TBS赤坂ACTシアターで上演されるミュージカル「ドン・ジュアン」で、ミュージカル初出演にして単独主演を務める。同作はモリエールの戯曲やモーツァルト作のオペラ「ドン・ジョヴァンニ」などで知られる“ドン・ジュアン伝説”をミュージカル化。世界で大好評を博し、2016年、宝塚歌劇で日本初上演された作品となり、今回は「ラスト・タイクーン ―ハリウッドの帝王、不滅の愛―」で宝塚大劇場デビューを果たした生田大和が潤色・演出を手掛ける。「A-Studio」は8月9日(金)今夜23時~TBS系で放送。(笠緒)
2019年08月09日アイドルグループ・Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔主演のミュージカル『ドン・ジュアン』全キャストが11日、明らかになった。同作はモリエールの戯曲であり、モーツァルト作のオペラ『ドン・ジョヴァンニ』などでヨーロッパを中心に広く知られる「ドン・ジュアン伝説」を、フェリックス・グレイ作曲による情熱溢れる名曲でミュージカル化した作品。2004年にカナダで初演され、その後パリや韓国でも上演。フレンチミュージカルとして大好評を博し、2016年に宝塚歌劇で日本初上演された際も大きな話題を呼んだ。女と酒、そして快楽を求め続け、数多の女達を魅了するセクシーな色男ドン・ジュアンを演じる藤ヶ谷。ドン・ジュアンを取り巻く女性の中には全く対照的な2人の女性が登場し、ドン・ジュアンが一瞬にして恋に落ちるヒロイン・マリアを蓮佛美沙子が演じる。彫刻家であり、過去に囚われず今を生きる「現在的」な女性であるマリアも、婚約者がいるにも関わらす、ドン・ジュアンに惹かれていってしまう。一方、マリアとは正反対に「古典的」な女性であるエルヴィラをオーディションで勝ち取ったのは同作が初舞台となる恒松祐里。ドン・ジュアンに「娶るから」と拐かされ修道院を出てきた娘で、過去の愛の言葉を信じ切り、物語後半では屈折していく。そしてドン・ジュアンの父であるドン・ルイ・テノリオ役に鶴見辰吾、マリアの婚約者ラファエル役に平間壮一、語り部的な役割も担うドン・ジュアンの親友カルロ役に上口耕平が決定。さらに娘をドン・ジュアンに寝取られ決闘の上殺される騎士団長(亡霊)役の吉野圭吾、ドン・ジュアンを囲む女の一人である“アンダルシアの美女”役の大石裕香、ドン・ジュアンのかつての女であり、今は彼を見守る年上の女性イザベル役の春野寿美礼が出演する。東京公演はTBS赤坂ACTシアターにて8月30日~9月18日。愛知公演は刈谷市総合文化センター アイリス 大ホールにて10月1日~5日。
2019年06月11日アイドルグループ・Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔が、ミュージカル『ドン・ジュアン』に主演することが25日、わかった。同作はモリエールの戯曲であり、モーツァルト作のオペラ『ドン・ジョヴァンニ』などでヨーロッパを中心に広く知られる「ドン・ジュアン伝説」を、フェリックス・グレイ作曲による情熱溢れる名曲でミュージカル化した作品。2004年にカナダで初演され、その後パリや韓国でも上演。フレンチミュージカルとして大好評を博し、2016年に宝塚歌劇で日本初上演された際も大きな話題を呼んだ。スペインを舞台に、女と酒、そして快楽を求め続け、数多の女達を魅了するセクシーな色男ドン・ジュアン(藤ヶ谷)と、彼を取り囲む女たちや厳格な父親との関係性を、よりイマジネーションを膨らませた、新たな『ドン・ジュアン』として描いていく。主演の藤ヶ谷は、稀代のプレイボーイの大胆さと、真実の愛をめぐる生き様を描く、官能的な世界観に挑む。潤色・演出は、宝塚歌劇団に所属し、同作の日本初演も手がけた演出家、生田大和が務める。東京公演はTBS赤坂ACTシアターにて8月30日~9月18日。愛知公演は刈谷市総合文化センターアイリス 大ホールにて10月1日~5日。○藤ヶ谷太輔 コメント出演のお話をいただいて、とても嬉しく思っています。ミュージカルに初めて挑戦させていただくので、今から緊張していますが、とにかく全力でやるしかない! という思いでいっぱいです。ミュージカルでは歌い方も普段と違いますし、今回フラメンコにも挑戦します。さらに殺陣もあります。やることもいっぱいです!演じるのは、ものすごく色気のあるプレイボーイなので、プレッシャーもありますが、とにかく稽古を積んで、女性にモテたいと思います(笑)。ドン・ジュアンの色気は、その生き様にも表れていて、生き様の変化もこの作品の鍵になってくると思いますので、そこも背負って演じられればと思います。官能的な世界観で、切ない真実の愛を、ぜひ感じてください。○生田大和 コメント愛に生き、そして愛に呪われた男、ドン・ジュアン。初めて藤ヶ谷さんにお会いした時、そこには私の求める新たなミュージカル・スター、新たなドン・ジュアンがいました。フランス発のミュージカル『ドン・ジュアン』。情熱的な楽曲の数々と官能的なダンス、フラメンコに彩られたこの作品の主人公に藤ヶ谷さんを迎えられた事は大きな喜びです!この作品が果たしてどのような旅路を往くのか。「ドン・ジュアン」藤ヶ谷さんと共に往く冒険を私自身とても楽しみにしております。藤ヶ谷さん、そして多彩な出演者の皆様と共に、生と死、そして愛に彩られたスペイン・セビリアへと皆様をお連れ致します。
2019年04月25日『タイピスト!』『モリエール恋こそ喜劇』『ゲティ家の身代金』など、幅広い役柄を演じるフランスの人気俳優ロマン・デュリスの最新作『パパは奮闘中!』が4月27日(土)より全国順次公開。この度、タイトルの通りに、デュリス演じるパパが慣れない子育てに奮闘するシーンが到着した。愛する妻がある日突然行方不明になり、仕事や育児をひとりでこなさなければならなくなった主人公と子どもたちの、奮闘の日々、愛と絆を描いた本作。第71回カンヌ国際映画祭批評家週間で絶賛され、フランスで2018年の最注目作品となった。監督は、初長編作『Keeper』(原題)で70を超える映画祭に招待され20の賞を獲得した、ベルギーの新鋭ギヨーム・セネズ。仕事一筋でダメなところもあるけれど心優しい父親をロマン・デュリスが熱演。『若い女』で注目を集めたレティシア・ドッシュが、主人公を支える妹役を演じている。この度届いた本編映像は、『パパは奮闘中!』という本作のタイトル通り、デュリス演じるパパのオリヴィエが慣れない子育てに奮闘するシーン。妻に出ていかれ、これまで子育てを任せっぱなしにしてきたオリヴィエが子どもたち2人を寝かしつけようとするが…。「ドアを開けといて」と部屋を暗くするのを怖がり、眠れないと甘える娘のローズを何とか説得し、扉を半分開けて出ていこうとするオリヴィエ。すると、今度は同じ部屋で寝ている兄のエリオットが「ドアを閉めて!明るくて寝れない」とひと言。結局、オリヴィエは自分も子ども部屋で一緒に寝ることで、ようやく寝かしつけることに成功する。実生活でも父親のデュリスはおすすめのシーンについて、「子供たちとの日常的なシーンでは特に共感できたよ」と語っている。本作をいち早く見た、自らも子育て奮闘中のマンガ家・横山了一氏も、本作の中でも特にこのシーンに共感したようでイラストを寄稿するほど。俳優として20年以上のキャリアを持つフランスを代表するデュリスが、意外にも初めての父親役(しかもダメ親父)に挑んだ本作。“ママが家出中”の間に成長し、“本当の父親”になるまでを演じたことに、「今回のこの作品が僕も大好きな『クレイマー、クレイマー』のようになると聞いて、まだ脚本なども見てなかったけど、これはやるしかないと思ったんです」と二つ返事で出演を決めたことを来日時に明かしていた。情に厚く人間味溢れ、欠点の多さが逆に魅力的なオリヴィエ。その人物像を作り上げたデュリスの新たな魅力をスクリーンで確かめてみて。『パパは奮闘中!』は4月27日(土)より新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2019年04月24日滝沢カレン(26)が3月13日、舞台「ふんだりけったり」の脚本と演出を務めると発表した。同舞台は27日に、新宿・シアターモリエールで上演される。滝沢は13日、Instagramを更新。「私が去年からマネージャーさんとしたいしたいと夢を熱く語り合った2人の去年から、今年みなさまのおかげで、本当に皆さまのおかげで、夢をまた一つ、叶えさせて頂けると思います」とつづった。さらに同舞台について「私の第1作目の子供のようにいまは大切で愛しくて愛しくて、たまらないです。どうしたらいいですか?と質問にならない質問が溢れます」と心情を明かし、「なんの中途半端な気持ちもなく本気の詰まった舞台でして、そんなまだ何も知らないながら生意気な発言ですが、この舞台を一人でもの方に見て頂きたいです(原文ママ)」と呼びかけた。滝沢の今回の発表には、なんと3万1,000回以上の「いいね」が!またネットでは期待の声が上がっている。《カレンさん!おめでとうございます ゼロから全て手掛けたなんてすごいです!!無事に舞台が大成功しますように》《滝沢カレンが脚本も演出もする舞台とか無限の可能性感じ過ぎる》《彼女にとっては“お金”や“評価”よりも自分の楽しいこと、やりたい事を形にしてる感じがして、こういうのサクッと出来ちゃう人は、やっぱいい》また滝沢と公私ともに仲の良い横澤夏子(28)が出演するとあって、《横澤夏子のなまえが……この人はマストな訳ですね~》《夏子さんが踏んだり蹴ったりされないか心配しつつ 観てみたいな》 といった声も上がっている。「滝沢さんはお母さんが通訳のお仕事をされているので、子供の頃から言葉に親しんできました。実は『テレビよりも本が好き!』というほどの読書家なんです。そのため近年、物語を綴る仕事もされています。今回は『滝沢カレン一座 第一回公演』と銘打たれていますし、第2弾も近いうちにあるかもしれません」(芸能関係者)新たな挑戦が始まる!
2019年03月14日映画『パパは奮闘中!』が、2019年4月27日(土)より新宿武蔵野館ほか全国で順次公開される。仕事と育児にがんばる父と子供たちの愛と絆の物語映画『パパは奮闘中!』は、仕事と育児にがんばる父と子供たちの愛と絆を描いた感動作だ。ある日突然、愛する妻が行方不明になり、仕事や育児をひとりでこなさなければならなくなった主人公のオリヴィエ。オンライン販売の倉庫でリーダーとして働きながら、残されたふたりの子供たちの世話に追われる。慣れない育児をこなしながら、考えるのは「なぜ妻は家を出たのか。」という問い。混乱しながらも妻を探し続けるオリヴィエのもとに一通のハガキが届くと…。第71回カンヌ国際映画祭批評家週間、出品作映画『パパは奮闘中!』は、第71回カンヌ国際映画祭批評家週間に出品。その後、第36回トリノ国際映画祭観客賞受賞、第26回ハンブルグ国際映画祭批評家映画賞受賞、ベルギー版アカデミー賞といわれる2019年ベルギー・マグリット賞作品賞、監督賞ほか7部門ノミネートされるなど、欧州を中心に注目を集めた。「生き生きとして、美しい映画。ふたりの子供たちが感動的だ」などの声も上がっている。『タイピスト!』のロマン・デュリス出演主人公のオリヴィエを演じるのは、『タイピスト!』『モリエール恋こそ喜劇』のロマン・デュリス。フランスの人気俳優であるロマンの本作での演技は「キャリアの中で最高の役を見つけた」と評されるほどの注目ぶりだ。あらすじある日突然、愛する妻が姿を消した。ふたりの子供たちとともに残されたオリヴィエは、オンライン販売の倉庫でリーダーとして働きながら、慣れない子供たちの世話に追われる。なぜ妻は家を出たのか。混乱しながらも妻を探し続けるオリヴィエのもとに、北部のカレーから一通のハガキが届く…。【作品情報】映画『パパは奮闘中!』公開日:2019年4月27日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開監督・脚本:ギヨーム・セネズ共同脚本:ラファエル・デプレシャン出演:ロマン・デュリス、レティシア・ドッシュ、ロール・カラミー、バジル・グランバーガー、レナ・ジェラルド・ボス、ルーシー・ドゥベイ
2019年01月19日衰えていく肉体と精神に困惑する老父とフォローに疲弊していく娘。父娘を軸に、観客自身も高齢者の視点を体験するという斬新な手法で書かれ、フランス演劇賞最高位のモリエール賞最優秀脚本賞を受賞した『Le Pere 父』が2019年2月に上演される。【チケット情報はこちら】作者フロリアン・ゼレールは教師から作家へと転身し、30代前半で今作を書き上げた俊才。現代版『リア王』とも呼ばれ、既に世界30か国以上で上演された戯曲の日本初演で主人公アンドレを演じるのは、舞台はもちろん映像作品でも第1線を走り続ける橋爪功だ。「薄紙に包まれた劇薬。戯曲を一読し、そんな感想を持ちました。人が、普段はできれば考えたくない、直視したくない生命体としての不安や孤独に満ちていて、観終えたあと、安易に感想を言い合ったりしたくならない作品。だからこそ信頼して観客に丸投げできるし、同時に俳優の立場からは四の五の言えない逃げ場のなさが、現実逃避しがちな自分に良い刺激になるんじゃないかと思って」とニヤリと笑う橋爪の口元には、既にフランス的皮肉なウィットが浮かんでいる。演出はオリジナル初演を手掛けたラディスラス・ショラー。橋爪は「所属する劇団は、かつて英・米・仏・北欧といった海外の演出家を招いた創作に熱心で、ひと通り手合わせした中でも、フランス人演出家は1番“言葉だけでは分かり合えない”印象が強かった。自分のスタイルが明確にあり、簡単には他人の意見に賛同しない。徹底した個人主義の文化圏から来る有能な若手演出家と、今の自分との間でどんな創造ができるのか楽しみですね」と、“はじめまして”から起こる化学反応を心待ちにしている様子だ。場が進むごとにアンドレの記憶や意識は混乱し、時間軸や彼を囲む人々の役割も曖昧になっていく構成は、演者にとってハードルになりそうだが「長く生きていると、前夜何時間も悩んでいたのに、寝て起きたらスッと楽になるようなことがある。人はそうやって自分の中に蓄えてきた経験や知識、後悔の念などを、老いと共に今度は希釈することで命を長らえる生き物。そう考えるとアンドレの身に起こることは自然だし、本人にとって苦痛だけでもないはずだけれど、家族にはそれが“父親が壊れていく”という恐ろしい現実として映る。一方向に時間が流れず、場面やせりふが行ったり来たりするので覚えにくさはあるけれど、人間特有の、生き物としての変容を演じることは興味深いですね」と、橋爪の中での戯曲分析はかなり進んでいるよう。人間なら誰しも避け得ない「老い」を巡る悲喜劇を、円熟の演技と艶で魅せてくれるであろう舞台を心待ちにしたい。公演は2019年2月2日(土)から24日(日)まで、東京芸術劇場 シアターイースト、3月16日(土)・17日(日)兵庫県立芸術文化センター阪急中ホールほか、4か所にて上演。取材・文:尾上そら※『Le Pere 父』の正式表記は、「Pere」の「P」と「r」の間の「e」にアキュート・アクセントが付く
2018年09月05日手相芸人として知られる一方で、都市伝説や怪談でも注目を集める島田秀平が、7月21日(土)より単独怪談ツアー『島田秀平のお怪談巡り』を5都市で行う。公演を前に島田に意気込みを聞いた。島田秀平 単独怪談ツアー「島田秀平のお怪談巡り」チケット情報手相占いのイメージが強い島田だが、怪談や都市伝説については小学生の頃から興味があり、ネタを集めていたという。「小学校時代に担任の先生から聞いた怪談にすごく興味を持って。怖いのはもちろんなんですけど、しゃべりだけでこんなに人の心を揺さぶるのってすごくエンタテインメントだなって感銘を受けたんです。そこからはもう怪談少年で、人に会っては怪談を聞いて書きためたり、稲川淳二さんの本を読んだり、CDを聴いたり。だから数え切れないくらいのレパートリーがあるんです。今回はその中から、皆さんに喜んでいただけそうなものを厳選してお話するので、自分の怪談人生の一回目の集大成になるんじゃないかなと思います」。数あるレパートリーの中でも、さまざまなタイプの怖い話を用意。さらに写真や動画などあらゆる角度から感情を揺さぶりたいと意気込む。「幽霊の怖い話もあれば、都市伝説もありますし、人間だって怖いじゃないですか。僕自身、実は幽霊の話よりも人間の怖い話とか、都市伝説のような世の中にある不思議な話のほうが好きなんですよ。あと、テレビで話すときは割とソフトに話しているところがあるので、テレビでは話せなかった話とか、その後日談とかも話したいと思っています。来ていただいた人だけが楽しめる内容にしたいですね」。島田の地元・長野県にある善光寺の「お戒壇巡り」に掛けて付けられた“お怪談巡り”。善光寺本堂の地下にある真っ暗闇の通路を手探りで進む「お戒壇巡り」にならって、真っ暗闇の感覚を体感してほしいと語る。「本当の暗闇って、そんなに経験することがないですよね。「お戒壇巡り」で歩いていると、上下左右が分からなくなるような、変な感じになってすごく怖いんですよ。そして出口の明かりが見えた瞬間に“帰ってきた!”っていう感覚を味わえるんです。その本当の暗闇の感覚を味わってほしいので、途中、僕の声だけしか聞こえない真っ暗闇の中で、怪談を楽しんでいただく時間を作りたいなと思っています」。公演は7月21日(土)東京・新宿シアターモリエール、7月29日(日)大阪・関西テレビ なんでもアリーナ、その後、名古屋、仙台、長野を巡演。チケットは発売中。取材・文:黒石悦子
2018年07月13日実際にショーが行われた空間。 昨年の10月にリニューアルオープンしたMusée Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン美術館)へ。 メトロ9番線、アルマ・マルソー駅から徒歩5分。超高級住宅地の一画にあるこの美術館の建物は、ナポレオン三世様式の華麗な佇まいで、1974年から2002年までサンローランの元メゾンだった場所です。 最初の展示室に入ると、燦々と光り輝く優美なシャンデリアが目に飛び込んできます。ここは元々、コレクションの招待客が、プレゼンテーションの後に服を試着し、オーダーも一緒にしていた試着室でした。 同様に、1976年までは、この場でファッション・ショーも開催されていました。映画《SAINT LAURENT/サンローラン》でその再現を観ていたので、(改装前にも私はこの美術館へ来たことがあるのですが) やはり何度訪れても、サンローランが初めてショーを行った時のシーンを思い出してしまい、勝手に胸が高鳴ってしまうのであります。 サンローラン、青年期のデッサン ここでは、サンローランの青年期に描かれたイラストが複数展示されていました。 彼が13、14歳の頃に描いたと言われる、フローベール作ボヴァリー夫人の書き写しに独自のデッサンを付けたものや、L’Amourと題したオリジナルの作品が、彼の本名、Yves Mathieu-Saint-Laurent またはYMSLのサイン入りで飾られていました。 1950年、彼が14歳の時、ルイ・ジュヴェが演出したモリエールのL’Ecole des femmesを観劇。 その演劇体験が、彼のアーティストとしての情熱を掻き立てました。特に、その時、舞台美術と衣装を手掛けたクリスチャン・ベラールに多大な影響を受けたようです。その演劇の登場人物をデッサンした作品も。 《Paper dolls》は 、多感な10代の頃から既にモードに対して情熱があったことを明示。彼は、11の紙人形に対し、500点ものアクセサリーと洋服を作ったようです。 まだティーンである時代に、デッサンの才能と素晴らしい色彩感覚を持ち、さらに、女性の美とエレガンスを表現できる類まれな才能に恵まれていたなんて、、こうして作品を見ながらただ驚き、感心するばかりでした。 代表的なコレクション作品を、飽くまで至近距離で。 他の展示スペースでは、サンローランの代表的なコレクションの数々を間近で堪能することができます。 また、洋服だけでなく、ドレスの素材に関する制作過程のアーカイブなども展示されていました。 《Exotismes》と題した展示スペース。 彼の創作の源は旅でした。 それは、カウチに座って本を読みながら行うイマジネーションの旅と、実際の旅。後者では、モロッコやアフリカ、ロシアやアジアなどを訪れ、それを自身のクリエーションへと落とし込み、発展させていきました。 《Hommage à la mode》サンローランは、彼自身の作品を通して、モードの歴史を振り返ることにチャレンジしました。 古代や中世の時代からインスパイアされた作品たちは、月並みですが、ため息しか出てこない。美しさってやっぱりショック(衝撃)なのだなと実感するのであります。 黒のベルベットに刺繍が入った中央のロングドレスは、パリのクリュニー中世美術館に所蔵されているLa dame à la licorne(貴婦人と一角獣)からインスピレーションを受けて制作されたもの。シルクのベルベットは大変美しく、同様に絹で施された刺繍も見事な職人技でした。私はベルベットが大好きなので、しばらく固まったように眺め、言葉に例えるのが無意味なほど、深い感動を覚えました。そこには、たくさんの才能が結晶となって遺っていたからです。 それから、サンローランのシンボル的存在であり、珠玉作品の一つでもあるCoeur (ハート)。 宝石そのものの存在感や輝かしさだけではない魅力が、そこには在りました。血の滴るハートは、どこか痛々しく生身のようで、サンローラン自身の生涯と重なりました。 彼の創作に対する熱意も、こうして心血を注いでいったからこそ、後世に残る素晴らしい作品が作られていった、というのは言うまでもありませんが、それを一つの作品の中に凝縮して物語っている様に思えたのです。 彼の遺した空気を感じる《Le studio》 そして、美術館2階の一番奥には、《Le studio》というサンローランのデザインスタジオがそのまま再現されています。 このスタジオを見て最初に感じたのは、意外にもナチュラルな雰囲気であったこと。そこに彼は居ませんが、とても穏やかな空気が流れている気がしました。 大量の資料が本棚に並べられ、彼のデスクの上には、彼の愛した小物類がきちんと並び、壁には交流のあったアーティストや女優、愛犬の写真が飾られていました。それは、モードの帝王と呼ばれた偉大な人物に対して、どこか親しみを感じてしまう雰囲気でもありました。創造する為に一番多くの時間を過ごしたであろう書斎机やその周辺スペースに、自分が美しいと思うもの・好きなもので埋めるという行為は、私が思うに、愛するもの一つ一つに対する尊敬の表れであり、心の支えであったように感じるのです。また、彼の心を奪うインスピレーションの源が、彼の才能のフィルターを通すことで、また新たな美となって生まれ変わり、時を越え、繋がっていったのだなあと思ったのであります。 ピエール・ベルジェ=イヴ・サンローラン財団に保管する為、サンローラン自らが選んだ膨大なコレクションの数々は、その時々で展示内容が変わっていきます。小さい美術館故に、間近で圧倒的な美しさを堪能できる醍醐味が、この美術館にはありますので、また別の機会にも足を運んでみたいと思います。 そして、マラケシュにもできたサンローラン美術館へいつか訪れてみたいです! Musée Yves Saint Laurent5 avenue Marceau75116 Paris開館時間:火曜日〜日曜日、11時~18時まで
2018年07月03日8月5日(土)に開幕する「りさ子のガチ恋俳優沼」。『殺人鬼フジコの衝動』『私を知らないで』など人気小説の舞台版を多く手がける松澤くれはのオリジナル脚本・演出で、OLりさ子からイケメン俳優しょーた君への“ガチ恋”を描く。舞台「りさ子のガチ恋俳優沼」チケット情報しょーた君が出演する舞台にハマり、「がんばってる姿を観られるだけで幸せ」と応援していたりさ子が、彼女疑惑をきっかけに暴走し……という“俳優とファン”の愛憎劇となる本作。りさ子を演じる新垣里沙、しょーた君を演じる品川翔、謎のキーパーソンを演じる宮原将護に話を聞いた。品川が「この作品への出演が発表されて、いつも応援してくれてる方々から『ちょっと観に行くの怖いな』と言われたりして。観終わったきとに『どう思われるんだろう』という気持ちはあります。でも最後まで全力で演じて、伝えたいものが伝われば」と語ったように、生々しさを感じるテーマ。新垣は「だからこそ繊細につくらないといけないなと思っています。茶化すつもりもないと思うけど、私たちが繊細に演じないと。結果、茶化してるみたいにみえてはいけない。でも不安はないです。くれはさんを信じて演じていれば迷うことはないかなって」。過去に『殺人鬼フジコの衝動』に出演し、松澤のつくる世界が好きだという新垣。どこが好きかを聞いてみると「暗いです」とひと言。ただ、「今作はプッと笑えるところがあるんですよ。それが珍しい。そういう意味でも楽しみですね」、宮原も「以前拝見して、演出がとてもリアルで素敵な作品をつくる方だという印象があります。そこに参加できるのを楽しみにしています」と期待を寄せる。脚本を読んで、新垣は「普段、見えてるけど見ないようにしてたり、わざわざスポットを当てないところにわざと当てているので、お客様がどういう気持ちで観るのかなって。劇場の大きさ的にもきっと目の動きや息づかいも伝わって、すごくリアルになると思います」。宮原は「僕たちは俳優ですけど、お客さんがどういう気持ちで劇場に来てくれているのか、それをどう受け止めて板に立つのか、そういうことが考えられるなって。お客さんも、りさ子の役を通して自分がどういう感覚で舞台を観に行ってるのかを考えられる、そういうきっかけになるんじゃないかと思います」。ちなみに、劇中では、歴代総理大臣が戦うゲームを原作にしたという2.5次元舞台『政権☆伝説』も。品川は「これが初めての2.5次元舞台。すごく楽しみです」と笑顔。「りさ子は本当に普通の子。誰でもなり得る話だと思います」と新垣。どんな世界が描かれるのか、ぜひ劇場で確認して。公演は8月5日(土)から13日(日)まで東京・新宿シアターモリエールにて。取材・文:中川實穗
2017年07月28日『ワイルド・スピード ICE BREAK』に続き、『パシフィック・リム』の続編と超大作への出演が続くスコット・イーストウッドが、高級クラシックカー専門の強盗兄弟を演じる『スクランブル』。このほど、スコット本人がノースタントで挑んだアクションシーンを含む、見どころ満載の予告編映像が解禁となった。世界に2台しかない名車・37年型ブガッティを奪うはずだったアンドリューとギャレットのフォスター兄弟。しかし、その車を落札したのが残忍なマフィアのモリエールだったために、兄弟は囚われの身に。命が助かる条件は、敵対するマフィアのクレンプが所有する62年型フェラーリ250GTOを1週間で盗むこと。寄せ集めチームで犯罪史上最大の強奪作戦に挑むはずが、インターポールに追われ、アンドリューの恋人・ステファニーを人質に取られ、挙句の果てにはクレンプに計画を知られてしまう…。本作の主人公となるのは、幻の高級クラシックカーだけをターゲットにする世界一の強盗団・フォスター兄弟。あるマフィアから、彼が敵対するマフィアが所有する、40億円ともいわれる走る芸術品「62年型フェラーリ250GTO」を1週間で盗み出すというミッションを与えられる。演じるのは、巨匠クリント・イーストウッドの息子で、近年活躍が目覚ましいスコットと、新鋭イケメン俳優のフレディ・ソープだ。今回解禁となった予告編では、彼らフォスター兄弟の息をのむド派手なアクションと、「62年型フェラーリ250GTO」を筆頭に、世界に2台しかない「37年型ブガッティ」、「ジャガーEタイプ」といった幻の名車たちが奇跡の共演を果たしている。映像冒頭で見せる、スコット本人がスタントなしで行ったという、橋からトラックへと飛び移るダイブシーンは鳥肌もの!ほかにも、劇中では数多くのアクションをスタントなしで行い、走るトラックの上を移動したりと、手に汗握るアクションシーンの連続に胸が高鳴る内容となっている。さらに、『ブレードランナー 2049』にも出演する注目女優アナ・デ・アルマスの存在も見逃せない。『オーシャンズ』シリーズ、『グランド・イリュージョン』シリーズなどに続く、盗みのプロたちがスクランブル(交差)する強盗計画。観る者を何度も欺くクライム・エンターテインメントの最新版が誕生した。『スクランブル』は9月22日(金)よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年07月14日『ワイルド・スピード ICE BREAK』も記憶に新しいスコット・イーストウッドが、『96時間』&『ワイルド・スピード』シリーズ製作陣のもと主演を務める『スクランブル』(原題:OVERDRIVE)。9月22日(金)より日本公開されることが決定した。兄のアンドリューは頭脳、弟のギャレットはメカニックを担当する、高級クラシックカー専門の世界一の強盗団、フォスター兄弟。「アル・カポネが銃撃用に改造した車だ」など、ひと目でその車の伝説を語ることができる膨大な知識を持つ彼らにとって、どんな盗みも成功させるのは当たり前。大事なのは、誰も思いつかない“驚愕の手口”で、いかに美しく完璧に盗むか。今回も、オークション会場から搬出された世界に2台の「37年型ブガッティ」を奪うはずだった。しかし、落札したのが残忍なマフィアのモリエールだったために、兄弟は囚われの身に。命が助かる条件は、敵対するマフィアのクランプが所有する「62年型フェラーリ」を1週間で盗むこと。アンドリューの恋人で一流ハッカーのステファニー、指名手配中の天才スリの美女ら寄せ集めチームで、犯罪史上最大の強奪作戦に挑むはずが、インターポールに追われ、ステファニーを人質に取られ、挙句の果てにはクランプに計画を知られてしまう。だが、実はピンチさえも兄弟の“計画”だった――。『96時間』×『ワイルド・スピード』シリーズの製作陣が、マルセイユを舞台に贈るクライム・エンタテインメントの最新作。高級クラシックカー専門の華麗なる強盗団“フォスター兄弟”のターゲットは、3,800万ドルの走る芸術品「62年型フェラーリ250GTO」、しかし、その持ち主と依頼人は敵対する凶悪なマフィア同士という大ピンチ!主人公アンドリュー・フォスター役を務めるのは、名匠クリント・イーストウッドの息子にして、『スーサイド・スクワッド』『スノーデン』、そして『ワイルド・スピード ICE BREAK』、次回作は『パシフィック・リム』続編『Pacific Rim: : Uprising』(原題)と大活躍を見せるスコット。さらに新鋭イケメン、フレデリック・ソープほか、『ブレードランナー 2049』に大抜擢されたアナ・デ・アルマスが出演しているのも注目。“車泥棒映画”の傑作『60セカンズ』『ミニミニ大作戦』や、観る者も巧みに欺く『グランド・イリュージョン』シリーズなど、盗みのプロたちの二重三重に入り組んだ計画に、あなたも騙される?『スクランブル』は9月22日(金)よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年06月19日『最強のふたり』の製作スタジオと『アーティスト』のアカデミー賞俳優ジャン・デュジャルが贈る『おとなの恋の測り方』から、本予告編とメインビジュアルが解禁となった。辣腕弁護士のディアーヌは、女たらしの夫と離婚して3年たつが、新しい恋は未だ見つけられず。その元夫は仕事のパートナーでもあり、しょっちゅう口論に。今日もむしゃくしゃした気持ちで帰宅した彼女のもとに、1本の電話が入る。相手の名はアレクサンドル。ディアーヌがレストランに忘れた携帯を拾ったので、渡したいという。彼の知的でユーモラスな口調に気分も一変、ほのかなときめきを覚えたディアーヌは、さっそく翌日、彼と会うことに。久々にドレスアップをして、期待に胸を膨らませて待っていた彼女の前に現れたアレクサンドルは、自分よりもずっと身長の低い男性だった…。南フランスのマルセイユを舞台に、『プチ・ニコラ』『モリエール恋こそ喜劇』のローラン・ティラール監督がメガホンをとった本作。全ての女性にとっての永遠のテーマである(?)「オトコの価値は何で決まるのか?」をめぐり、身長差はあれども“最強のふたり”が、ロマンティックなフレンチ・ラブストーリーを届けてくれる。今回公開された本予告編では、「優しくて、リッチで、愉快。だけど…自分よりずっと身長の低い男性」と出会ったディアーヌ、そして、大人の魅力たっぷりにディアーヌをデートに誘い、スカイダイビングに挑戦したり、レストランで大笑いしたりと、楽しい時間を過ごすアレクサンドルのコミカルな姿が描かれる。その一方、一緒に楽しい時間を過ごせば過ごすほど、心の葛藤が大きくなるディアーヌのシーンも観ることができる。「これは僕の個性だ」というアレクサンドルに対し、同僚から「小さいのはあなたの方、心の器がね」と言われてしまうディアーヌ。2人の恋のゆくえを、いっそう期待させる映像となっている。『おとなの恋の測り方』は6月17日(土)より全国にて公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:おとなの恋の測り方 2017年6月17日より新宿ピカデリーほか全国にて公開(C) 2016 VVZ PRODUCTION-GAUMONT-M6 FILMS
2017年03月31日名古屋・ヤマザキマザック美術館にて、展覧会「もっと知りたい名画の世界よそおいの200 年」が、2017年4月22日(土)から8月27日(日)まで開催される。展覧会の見どころ本企画展では、17世紀後半から20世紀初頭にフランスで描かれた絵画を中心に、当時の装飾品や調度品を合わせて展示することで、ヨーロッパの美術と装いの文化が広く紹介される。見所は、フランスを中心とするヨーロッパの、200年もの宮廷ファッションを一望できる展示だ。貴族たちが着ていた豪華なドレスや衣服を、宮廷の部屋の装飾をイメージした展示空間で楽しめる。フランス絵画300年の歴史をファッションの切り口で知る出展される絵画作品は、貴族の肖像画を中心としており、そこから当時のファッションや文化を窺い知ることができる。「太陽王」ルイ14世と17世紀のフランスを代表する俳優にして喜劇作家のモリエールを、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングルが描いた《ルイ14世の食卓のモリエール》。重い巻き髪や全身リボンの装飾などが見てとれるが、これらは当時流行した宮廷ファッションである。18世紀、ロココの時代に入ると、フランスのファッション産業は大きく開花する。ヴィクトワール・シャルティエの《雅やかな場面》(長坂バロックコレクション)には、優美な羽根飾りやレース飾りを身に纏った煌びやかな女性たちが描かれている。ポンパドゥール夫人やマリー・アントワネットに代表されるように、女性たちが輝きに満ちていた時代であった。古代への興味からローマやギリシャ風のファッションが流行したのもこの時期。エリザベト・ルイーズ・ヴィジェ=ルブランの《リラを弾く女性》には、肌が透けて見えるほど薄く、柔らかな生地でできたガウンを着用した女性が描かれている。古代ギリシャのキトンのようなこのシュミーズ風ガウンは、当時の女性たちの間で好まれていたファッションである。その後、19世紀の王政復古はロココを彷彿とさせるロマンティックな様式のファッションを流行させた。19世紀後半には、袖山を盛り上げ、ウエストを絞り、スカートの裾をベル型に広げた「砂時計シルエット」のドレスが姿を現しだす。自然界の有機的な曲線を理想とした、アール・ヌーヴォー小式の隆盛がさらにこのドレスの曲線を強調したものへと変化させることとなった。当時の風俗を表す調度類も展示さらに、絵画や衣服以外に、18世紀の香水瓶や扇、髪飾りといった小物類も展示されるほか、日本の洋裁教育の学術展示も行われる。なお、ヤマザキマザック美術館は、18世紀から20世紀に至るおよそ300年ものフランス絵画コレクションに加え、アール・ヌーヴォーの家具や工芸品、なかでも質の高いエミール・ガレ最晩年のガラス作品を多く所蔵することで知られている。当時流行したドレスや髪型がわかるファッションプレートもまた会場では、「化粧・女性・美意識」をキーワードに東西の”美”に関する広い研究を行っている「ポーラ文化研究所」の所蔵品も約100点が公開される。当時流行したドレスや髪型、装身具が描かれた華やかなファッションプレートも約40点や、ヘアスタイルを1/2サイズで復元した結髪雛形約20点などを展示。絵画と合わせて見ることで、より貴族たちの華やかで美しい生活や美意識をリアルに楽しむことができるだろう。詳細展覧会「もっと知りたい名画の世界 よそおいの200年」期間:2017年4月22日(土)〜8月27日(日)時間:平日10:00〜17:30、土日祝 10:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで休館日:月曜日※ただし5/1、7/17、8/14は開館。(月曜日が祝日の場合は翌平日休館)会場:ヤマザキマザック美術館住所:愛知県名古屋市東区葵 1-19-30入館料:一般 1,300円、小・中・高生 600円、小学生未満無料※音声ガイド無料サービス※一般10名以上の場合は一人1,100円講演会情報:■「ロココからベルエポックのメークアップ・ヘアスタイル」日時:2017年5月14日(日) 14:00〜講師:津田紀代(元ポーラ文化研究所主任学芸員)■「パリオートクチュールの”裏”側―構成学的な見地から」日時:6月4日(日) 14:00〜講師:滝澤愛(椙山女学園大学講師)■「ヨーロッパのファッション史-王子様とお姫様から紳士淑女まで」日時:7月16日(日) 14:00〜講師:能澤慧子(東京家政大学教授)■「18世紀フランスから現代のコスプレ文化への繋がり」日時:7月22日(土) 14:00~講師:小栗徳丸(イベントプランナー、名古屋文化短期大学講師、和歌山大学客員教授)予約:不要 ※定員80名の先着順参加費無料 ※ただし当日の鑑賞券または半券が必要開催場所:マザックアートプラザ4階会議室(美術館北側隣接ビル)
2017年02月11日『舟を編む』で「第37回日本アカデミー賞」最優秀脚本賞を受賞した渡辺謙作監督の最新作『エミアビのはじまりとはじまり』。本作で漫才コンビを組む俳優の森岡龍と前野朋哉がこの度、2日(火)に行われた「M-1グランプリ」1回戦を突破したことが明らかになった。連続テレビ小説「あまちゃん」やドラマ「64(ロクヨン)」にも出演し、演技で注目を集める森岡さんと、『桐島、部活やめるってよ』や、現在放送中のauのCMにて一寸法師役に大抜擢され注目度急上昇中の前野さんが主演を務める本作。森岡さんと前野さんのコンビ名「エミアビ」のマネージャー夏海役に黒木華、「エミアビ」の先輩・黒沢役に新井浩文らが出演している。人気上昇中の漫才コンビという設定のため、クランクイン前から漫才の練習を積んできたという森岡さんと前野さん。自分たちの漫才の実力を試したい、という一心で出場を決意し、出演エントリーをしてから約1か月間、時間がない中で隙をみて練習を重ねていたという。この日、会場の新宿シアターモリエールに集まったコンビは41組。全国各地から漫才の頂点を狙うべく、プロ・アマ問わず漫才コンビが集結した。満席の会場に入った2人は、ほかのコンビが笑いをとっていくのを目の当たりにし、次第に緊張が隠せず顔がこわばる…。そんな2人の応援に駆け付けた渡辺監督も見守る中、本番へ。観客を前に、あまりの緊張でネタが飛ぶもアドリブを効かせると会場は笑いが。その後も順調に漫才は進み、あっという間の2分間が終了した。無事漫才が終わると息つく間もなく結果発表。エントリーナンバーがなかなか呼ばれず顔が曇る2人だったが、最後に彼らの番号が呼ばれ、驚きを隠せず思わず抱き合いながら喜んだ。森岡さんは「本番中に頭真っ白になってネタが飛んでしまったのでダメだな…と思っていたのですが、突破出来て本当にうれしいです!」と喜びを隠せない様子。前野さんも「突破出来て、いまはとにかくホッとしています。お客さんの反応が直に伝わるので、非常にスリリングでした!」とコメントを寄せた。続く2回戦は10月上旬より始まる予定。「学生時代に同級生とM-1グランプリに出場し2回戦で敗退してしまったので、次は2回戦も突破したい気持ちです!」(森岡さん)、「点数をつけるのなら今日は50点。次はもっとリラックスしてやれたらいいなと思いました」(前野さん)とそれぞれ意気込みを語った。『エミアビのはじまりとはじまり』は9月3日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)
2016年08月02日ファンにはたまらない、ウディ・アレンの最新作『マジック・イン・ムーンライト』。すでにご覧になったでしょうか。監督自身がお気に入りの、占い師(女)と魔法や超能力など一切信じないリアリストの魔術師(男)が主人公。互いの真意や手の内を探ろうと化かし合いを展開するうち、相手が気になり始めて…という粋な物語です。この世に、騙される喜びがあるのなら、マジックはその最たるもの。合理的な考えや、現実主義にばかり走っていては、喜びも恋も愛も逃してしまうよという、映画作家らしいロマンティックなメッセージが素敵。恋に落ちる才能があるとしたら、いい意味で“騙されやすい”(この人を好きだと思い込める才能も含めて)ことと無関係ではなさそうですし。ここ数作は現代を舞台にした作品が続いていましたが、本作の舞台は1928年の南フランス。場所もオシャレなら、登場するファッションもオシャレ。ヒロインのソフィを演じるエマ・ストーンのマジカルな七変化が観ていて楽しいのです。1920年代といえば、特にヨーロッパではロマンティックでゴージャスな女性ファッションが主流の時代。文学、映画で分かりやすい代表作といえば、『グレート・ギャツビー』の時代です。本作では、エマが演じる占い師は、決して裕福な家の出身ではありませんが、ヨーロッパの名家の人々から信頼され、多くの相談を受けていますし、特別待遇を受けていますから、毎日のように豪華な服に身を包んでいても不思議ではありません。柔らかなシフォンやシルク素材のローウエストなドレスに、ビーズやコサージュ、リボン、レースをあしらったファッションで登場。この時代は、帽子やヘアバンドといった小物も欠かせません。パンツやマスキュリンな女性ファッションがまだ普及していませんから、バリエーションとしてはそれほど多くなさそうですが、イエロー、ピンク、ホワイト、グリーンといった明るい色、透け感のある軽やかな素材を用いて若々しさを演出しているのが見事です。衣装を担当したのが、スペインのナショナル・バレエでモリエール、シェイクスピア、セルバンテスなどの舞台デザインを10年間手がけた実力派ソニア・グランデ(ウディとはもう4作目)ですから、この華やかさも納得なのです。監督ご本人は、だぶだぶシャツに、タック入りのゆったりパンツ、タートオプティカルの黒縁眼鏡という変わらぬスアイルを貫いています。流行を感じさせないアレン流がトレードマークで、素晴らしくおしゃれな人という印象ではありませんが、ひとたび映画を作るとなると、トレンドを取り入れ、世相、キャスト、そしてファッションにまでおしゃれ感が満載。ウディ自身は、自分が気取ったファッションに身を包む必要性も欲望も感じないのかもしれません。だって、持ち合わせたセンスは、映画の中で表現すればいいだけ。キャンバスは自分ではなくスクリーンなのですから。大事なのは、こだわりとヴィジョン。それさえあれば、自分が表現したい世界観をきちんと実現させてくれる人と組みさえすればいいわけで。そんなことも改めて考えさせる、とびきりおしゃれな作品です。(text:June Makiguchi)■関連作品:マジック・イン・ムーンライト 2015年4月11日より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー、Bunkamura ル・シネマほか全国にて公開(C) 2014 GRAVIER PRODUCTIONS, INC.
2015年04月30日4月28日より東京・サンシャイン劇場で上演される舞台『ART』。同作の開幕に先がけて、前日の27日に会見が行なわれ、出演する市村正親、平田満、益岡徹の3人が出席した。【チケット情報はこちら】同作は1994年にフランス・パリで初演されたヤスミナ・レザ作のコメディ。仲の良い中年男性が、高価な絵画をめぐって大喧嘩をするというストーリー。フランスでモリエール賞を受賞したのち、35を超える国で翻訳され上演。日本では1999年に今回と同じ市村、平田、益岡の3人で上演され、今回16年ぶりの再演となる。市村は「16年前といっても昨日のことのよう。ただ稽古をしていていると、ふたりのしわの数とか白髪とかが気になって、多分相手も同じ所が気になっているんだろうな、と思っています(笑)」とコメント。すると益岡は「そんな事は思ってませんよ(笑)。こうして今回16年ぶりに再演できることの喜びを噛みしめながら、舞台のうえではケンカしています(笑)」と切り返した。続けて平田も「16年ぶりとは思えないですね。こうして外見は変わりましたが、内面は変わっていない。僕に関しては成長していないので、むしろ16年前より余裕なくやっています(笑)」と3人とも、笑いを交えて語った。またこうして初演のキャストで16年ぶりに再演できることに関して「16年前にやった時に、“歳をとった時に、この作品もう一回やってみたいね”って言ってたんですよ。おふたりとはほかの作品や、プライベートでも交流はあったんですが、この作品を一緒にやりたいと思っていたので、本当に嬉しいです」(市村)。「普通再演といったら5年ぐらいまでで、次の代の方に受け継ぐもの。市村さんの言うとおり、この歳になってまた3人でできるというのは幸せです」(平田)と話した。16年前との芝居の違いについて聞かれると、市村は「16年前はまだ把握できなかったセリフも、今回稽古してみて、実感で言えるセリフが増えたなって思います。あと、演出のパトリスにも“3人は思いっきり悲劇を演じてくれ。それをお客さんが見るとおかしくてしょうがないんだ”と言われていて。だからお客さんの前で演じるのが今から楽しみですね」と説明した。またプライベートでも「16年前はまだ結婚していなかったし、子供もいなかった。今回はふたりの息子と自分の3人で、家でARTごっこをしています(笑)。僕が平田さんの役でいじめられていますね(笑)」と語った。同作をどんな人に見てもらいたいか、という質問に市村は「若い方は大人気ないと笑ってもらえたら良いし、大人の人は“自分もそういう所あるな”って思えると思います。なので老若男女みなさんが笑えるお芝居です。初演を見た方も、16年経ってまたハマれると思いますので、ぜひ観に来てください」と話した。舞台『ART』は4月28日(火)から5月10日(日)まで、東京・サンシャイン劇場で上演。その後、京都、愛知を周る。チケットは発売中。
2015年04月28日4月28日(火)より東京・サンシャイン劇場で上演される舞台『ART』の製作発表が行なわれ、出演する市村正親、平田満、益岡徹の3人が出席した。チケット情報はこちら同作は1994年にフランス・パリで初演されたヤスミナ・レザ作のコメディ。フランスでモリエール賞を受賞したのち、35を超える国で翻訳され上演。イギリスのオリヴィエ賞最優秀コメディ賞、アメリカのトニー賞最優秀作品賞など、名だたる賞を獲得している傑作だ。日本では1999年に今回と同じ市村、平田、益岡の3人で上演され、今回16年ぶりの再演となる。演出も前回と同じく、パトリス・ケルプが務める。仲の良い中年男性が、高価な絵画をめぐって大喧嘩をするというストーリー。市村は「本当に面白い台本。この作品があったからこの3人が出会えたので、僕にとっては大好きな作品であると同時に、ふたりと会える貴重な機会です。台本を読み返してみると、当時の益岡さん、平田さんの言い方とかをはっきり覚えている。また演出にもフランスからパトリスが来るので、16年前とはまた違う、面白いものが見せれればと思う」とコメント。平田は「16年ぶりに同じキャストでできてとても嬉しく思っている。お芝居と言うのはその時その時のものだけど、映画やドラマでは16年ぶりに同じキャストで同じ内容のものをまたやるというのはありえないこと。そういった演劇の面白さ、楽しさを味わってもらえるのではと思っている。進歩した所や後退した所もあるかもしれませんが(笑)、初演を見た方にも楽しんでもらえると思います。僕たちもどんな『ART』になるか楽しみ」と語った。益岡は「16年前に、市村さんと平田さんが「年をとってからまたやりたいね」とおっしゃっていたのを思い出します。内容は、「事なかれ」とは全く正反対のやりとりが繰り広げられる。16年前と比べて年齢を重ねたことで、前よりもっと責任感があるので、相手を容赦なく追い詰めると言うのも、前回の時よりもっと容赦ない感じになると思うので、そこを観客の皆さんにどう受け取ってもらえるか楽しみ。またこの3人でかけがえのない時間を作っていけると確信している」と意気込んだ。また、昨年7月に初期の胃がんを公表、手術を受け復帰した市村は「今朝ちょうど月1回の採血に行って、この間は半年振りにCTもやって、どちらも異常なし。胃が半分になったおかげで数値も下がって、胃が完全にあった以前より体が健康的です。腹もへこんで着られなかった洋服が着られるようになって、経済的にも助かっちゃう(笑)。1本1本芝居をやって、今この時をしっかり生きて愛していきたいと思います」と自身の健康面について話した。舞台『ART』は4月28日(火) から5月10日(日)まで、東京・サンシャイン劇場で上演。その後、京都、愛知を周る。なお、チケットぴあでは、東京公演の先行抽選プレリザーブを実施中。受付は2月17日(火)午前11時まで。京都公演の先行抽選プレリザーブは2月13日(金)午前11時より受付開始が決定。
2015年02月12日日本ミシュランタイヤはこのほど、「ミシュランガイド北海道 2012 特別版」のセレクションを発表した。4月20日発売で価格は2,310円。同ガイドブックに今回掲載される施設は合計699軒で、このうちレストランが475軒、ホテルが133軒、旅館が91軒。レストランでは、「鮨 田なべ」「温味」「モリエール」(いずれも札幌市)の3軒と、洞爺湖町の「ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン」の合計4軒が三つ星を獲得した。二つ星はレストラン12軒と旅館1軒、一つ星はレストラン50軒と旅館2軒。同書には星が付いていない店舗も数多く掲載されており、121軒に「ビブグルマン」(ミシュランのキャラクターである「ビバンダム」こと「ミシュランマン」の顔のマーク)が付いている。これらは、コストパフォーマンスの高い食事を提供し、星のない店の中でも特に調査員がおすすめするレストランを意味し、3,500円以下で食事ができる店にこのマークが付いている。また、ビブグルマンや星付き店の他にも、星は付かないが「おすすめの店」を288軒掲載。うどん、カレー、串焼き、ジンギスカン、豚丼、豚肉料理、焼き肉、洋食、羊肉料理、ラーメン、スペイン料理、ピッツァという新しいカテゴリーも掲載している。今回のセレクションは、2010年の秋頃からミシュランの社員でありホテル・レストラン業界の専門知識を持つ専任の調査員たちが匿名で行ってきた調査をもとに決定されている。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年04月13日演出家の鴻上尚史率いる「虚構の劇団」が、次なる演出家との出会いを求めた企画「虚構の旅団(りょだん)」をスタートさせる。その第1弾として鴻上は、全幅の信頼を寄せる木野花を指名。そこで、鴻上と木野に現在の思いを訊いた。虚構の劇団番外公演虚構の旅団vol.1「夜の森」チケット情報企画のきっかけとして鴻上は、「僕はいい意味でも悪い意味でも、役者を愛し過ぎてしまうところがある。だからちょっと、僕以外の目で見てもらう必要があると思ったんです」と明かす。そんな時、鴻上の頭にパッと浮かんだと言うのが木野。木野は外部の目から見た虚構の劇団について、「虚構(の劇団)は鴻上さんの劇団だから、良しにつけ悪しきにつけ、仕上がっちゃうという不幸がある。自分たちで手探りするところに、役者の成長ってあるのに」とズバリ。その言葉に鴻上が深くうなずく中、木野はこう続ける。「それがもったいないと思うところでもあり、私が若い連中とやるのが好きということもあり、引き受けさせてもらうことになりました」。役者を愛するという点では、木野も鴻上と同じ。しかし決定的に違うのは、木野が「ライオンが子供を崖に落とすように」演出するのに対し、鴻上は「崖の下に一応マットを置いておく」ということ。だからこそ鴻上は「木野さんの演出で這い上がってこられたら、役者として絶対に一皮剥けるはず」と大きな期待を寄せる。上演する『夜の森』は、かつて木野が若い役者の育成を目的に立ち上げた「木野花ドラマスタジオ」の卒業公演用に書き下ろしたもの。元はスタジオの生徒に当て書きされた作品だが、今回木野は「エチュードをやりつつ、虚構の役者に合わせて変えていこうと思っています。そして私としても一度やっているものなので、これをいかに壊せるかが課題。しかも無意味に壊すのではなく、虚構でやるからこそこうなったという必然的な舞台が見つかったらいいですね」と、本作への意欲を覗かせた。さらに木野は、「若い役者への演出は、未熟である分、より頭を使わされる」と言う。そこが木野にとって大きな魅力であり、同じベテラン演出家である鴻上としても、共通する思いなのだろう。ちなみに本作、鴻上は完全にノータッチ。だが誰よりもこの作品を楽しみにしているのは鴻上自身のようで、「4年間鴻上がつき合ってきた虚構のメンバーたちが、木野花ワールドでどのような花を咲かせるのか、非常に楽しみ」と目を輝かせる。鴻上&木野のWテイストで味わう、一度で二度おいしい舞台。今からその開幕が楽しみでならない。公演は4月5日(木)から15(日)まで東京・新宿シアターモリエールにて開催。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2012年03月08日