福井県こどもプログラミング協議会は、「第6回越前がにロボコン」及び「北陸大会」を2022年12月17日(土)に開催します。「越前がにロボコン(カニロボ)」は、地元福井県の特産物である「越前がに」を模したロボットコンテストです。全国の小・中学生を主な対象とし、自律型ロボットを制作・制御させることにより、科学技術を身近に体験してもらう機会を提供します。プログラミングやロボット制作を通して子どもたちの情報リテラシー能力を高め、プログラミング関連産業の振興や未来の人材育成に寄与することを目的としています。第6回越前がにロボコンURL: ロボットは、市販のキットを使って自作したもので競技に挑戦します。形状はカニがイメージできること。モーター、光センサーや超音波センサーを使用したロボットで、決められたコースを自動で走行させ、ミッションの達成度とタイムを競い合います。【第6回越前がにロボコン 概要】日程: 2022年12月17日(土)会場: ショッピングシティ・ベル あじさいホール対象: エントリー部門 小学生のみ歩行型ロボット部門 小・中学生オープン部門 年齢制限なしURL : これまでは小・中学生を対象とし、初心者向けであるタイヤ型ロボットを使用したエントリー部門と、上級者向けである歩行型ロボット部門に分かれて競い合ってきました。ところが「高校生だけど参加したい!」や「幼稚園に通う子どもと一緒に出場したい!」といったご要望をいただき、今年度は全年齢を対象としたオープン部門を新設する運びとなりました。また、福井県から始まったカニロボコンはお隣の石川県、富山県へと拡大いたしました。今年度は各地の優勝者が集い、真のカニロボを決める北陸大会も合わせて行います。皆さまのご参加ならびにご支援心よりお待ち申し上げます。・各部門共通コース上には複数の障害物が設置されており、それらをクリアし、ミッションをクリアしながらゴールを目指します。自コースおよび競技共用エリアにはレアメタルを模したピンポン玉様の物が配置されます。競技共用エリアのものを激レアメタルと呼びます。ロボットが持ち帰ると加点対象となります。・エントリー部門ロボットの機構に制限はありません。競技供用エリアにある激レアメタルは1つです。・歩行型ロボット部門ロボットがカニを模した歩行型である必要があります。競技供用エリアにある激レアメタルは3つです。自コースのレアメタルの位置は当日発表となります。・オープン部門ロボットは歩行型のみ。自コースのレアメタルの位置は当日発表となります。持って帰ってしまうと減点される宇宙ウイルスと呼ばれるピンポン玉が配置されます。クラウドファンディングにてご支援いただける方を募集しております。是非とも皆さまご支援ご協力のほどよろしくお願いいたします! 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2022年09月02日タマゴ型で赤くコーティングされたボディに愛らしい眼、ちょっぴりドジなロボット「ロボコン」。「仮面ライダー」の原作者・石ノ森章太郎が生み出した伝説のロボットが20年ぶりに映画『がんばれいわ!!ロボコン』として復活、7月に公開されることが決定した。1975年に放送がスタートした「がんばれ!!ロボコン」は、同時期に誕生した「スーパー戦隊」や「仮面ライダー」とともに瞬く間に子どもたちの共感を呼び、最高視聴率は29.2%を記録した。原作は、「仮面ライダー」「サイボーグ009」などを生み出した“マンガの王様”と称される石ノ森章太郎。1999年~2000年にかけては、香港で巻き起こった空前の「ロボコン」ブームが日本にも押し寄せ、「燃えろ!!ロボコン」が放送された。前作「がんばれ!!ロボコン」を観ていた世代が親となり、親子2世代で楽しめるコメディロボット作品として人気を博した。そしてこの度、令和に新生「ロボコン」が20年ぶりに映画になって帰ってくる!タイトルは文字通り“がんばれ”と“令和(れいわ)”をかけ、コメディ作品らしいものに。昭和、平成、令和と3つの時代を一貫したギャグセンスで駆け抜けてきた新生「ロボコン」が、新たな世代にアピールする。スタッフには、「燃えろ!!ロボコン」以来の再タッグとなる石田秀範監督と脚本家・浦沢義雄。石田監督は「ヒデ・I」の名義で「燃えろ!!ロボコン」の監督を務め、「平成仮面ライダー」シリーズでも数多くの作品を手掛けてきたことで知られる。浦沢氏も、代表作である「不思議コメディー」シリーズを筆頭に、「スーパー戦隊」シリーズや「忍たま乱太郎」「クレヨンしんちゃん」などの子ども向けアニメ作品まで手掛ける脚本家で、2人のタッグも20年ぶり。同じく数多くの「平成仮面ライダー」シリーズに携わってきた東映の白倉伸一郎プロデューサーからは、「お仕事ロボットの世界を描く『仮面ライダーゼロワン』は、ロボコン復活への布石にすぎなかった!時代はまさに1・0(レイ)・0(ワ)。ロボ根性で100点満点めざします。がんばれいわ!! ロボコン!ウララ~」とのコメントが到着している。『がんばれいわ!!ロボコン』は7月31日(金)より全国にて公開(MX4D上映あり)。(text:cinemacafe.net)
2020年04月01日組込みシステム技術協会とETロボコン実行委員会は2月15日、組込みシステム分野において5年後・15年後に世界をリードするエンジニアの育成を目指す「ETソフトウェアデザインロボットコンテスト(ETロボコン)」の2016年度大会の概要を発表した。本題に入る前にETロボコンについて簡単に説明する。ETロボコンとは、レゴ・マインドストームで作ったロボット(走行体)などを利用し、難所や課題をクリアしながらコースを走ってタイムを競ったり、自由にパフォーマンスを行うエンジニア向けの教育ロボコンのこと。9月~10月に全国の各地区で地方大会が行われ、チャンピオンシップ大会が11月16日に神奈川県・横浜のパシフィコ横浜で開催される(「Embedded Technology 2016」との併催)。参加資格は高校生以上で、企業のエンジニアおよび大学生、高専生、専門学生を主な対象としている。大会競技は「デベロッパー部門」と「イノベーター部門」の2部門に分かれており、「デベロッパー部門」は熟練度に応じて「プライマリー・クラス(初学者向け)」「アドバンスト・クラス(中堅以上向け)」に分かれている。「デベロッパー部門」はレゴ・マインドストームを使ってコースを走るタイムなどを競うもので、規定のハードを使い、求められる性能をソフトウェアでいかに実現するかが勝負となる。一方の「イノベーター部門」はどちらかと言うとアイデアコンテストで、製品やサービスを開発し、企画審査および会場でのパフォーマンスによって総合順位をつける。参加申し込みは、ETロボコン2016の大会参加申し込みページより可能で、3月1日~4月7日まで受け付けている。参加には所定の参加費がかかるが、メンバーが定まらない可能性がある学生チーム(大学、短大、専門、高校、高専)は4月28日まで仮登録とすることができる。○色を識別してパズルを解け!さて、ここからは今回明かされたET2016の競技内容を紹介する。昨年から大きく変わったのは、走行体のスピードだけでなく「頭脳」も求められる点だ。今年のテーマはズバリ「カラーセンスを磨け~最強の頭脳で、究極の走行性能とパズルを解き明かせ~」。これまで、ETロボコンのデベロッパー部門はロボットの「制御」の部分を競ってきたが、今回は「色の識別」と「情報処理」の部分も追加されることとなった。もっとも「色識別」と「情報処理」が求められるのはアドバンスト・クラスで、プライマリー・クラスは昨年と同様の難度に設定された(詳しくは後述)。また、使用可能な走行体が「LEGO Mindstorms EV3」に統一されたのも大きな変更点だ。昨年は「LEGO Mindstorms NXT」も使用できたが今年からはEV3のワンメイクとなる。開発環境/動作環境はTOPPERリアルタイム(C/C++、mruby)とLinux(Java、C#、Python他)が利用可能。昨年はコースを斜めに走るストレートが特徴的なコースレイアウトだったが、今年は左右(LとR)にコースがよりはっきりと分けられた。プライマリー・クラスはコース以外では内容・難度に大きな変更はなく、走行体も昨年に引き続きEV3による通称「EV3 Way」が使用可能だ。内容に大きな変更が加えられなかったのは、同部門が初学者を対象としているためで、教える側の負担をなるべく少なくして参加を促すための配慮だ。また、参加者がレベル相応のクラスにエントリーするように、同部門では「モデリング未経験者および初級者かつETロボコン過去参加が3回未満」という参加規定を設けた。一方のアドバンスト・クラスでは、前面に2本のアームと後ろに尻尾がついた新走行体「HackEV」を使用する。また、コースでは「ET相撲Neo」と「ブロック並べ」というゲーム性をもたせた難所が登場。「ET相撲Neo」は難所エリア内に設置されたブロックの色を認識し、難所手前に設置された「トロフィー」を運搬して、認識した色以外の色のブロックをエリア外に押し出すというもの。もう1つの新難所「ブロック並べ」では、ブロックの色とマトリック上に設置された円の色を合せるという作業を行う。「走行(制御)」と「ゲームクリア(情報処理)」という2軸で争うことになるため、採点方式も「スプリント方式」に変更する。これは、LコースとRコースに各50点を配分した上で、さらに各コース(ターン)の中で走行時間(制御)とゲームクリア(情報処理)に25点ずつを分け、それぞれで点数を付ける方式。走行競技、ゲームクリア、ボーナスには想定最速時間/想定最大ボーナスが設けられており、上回れば合計が100点を超える場合もある。イノベーター部門では、これまで通り参加チームで自由に設定したテーマのほか、実行委員会が設定した「10年後に、あると便利な新しいシステム」というテーマを選択することも可能となった。採点方式では従来通り事前の企画書審査が50%を占めるが、会場審査ではより多面的な評価を行うために企画審査員が加えられ、特別・一般審査と25%ずつの得点配分を持つことになる。また、よりきめ細かく審査できるよう、点数配分を4段階に変更した。各部門ともモデル審査も実施されデベロッパー部門のプリマリー・クラスでは「ソフトウェアの内容をモデルで正しく表現できるか」、同アドバンスト・クラスでは「競技の最適解をモデルを使ってどう解くか」、イノベーター部門では「企画への期待・可能性・面白さを企画書で訴求できるか」が審査方針となる。○ETロボコンは人材/技術交流の場でもあるETロボコンは、教育ロボコンというだけあって競技会だけでなく、ワークショップや懇親会にも力を入れており、人材/技術交流の促進を図っている。懇親会などは企業と企業、または企業と学生の交流の場となっており、学生としては組込みシステムを学ぶことが出来るだけでなく、スキルや技術への熱意を企業にアピールできる場になるため、ETロボコンが就職につながることにも多いという。また、企業側から見ると有望な学生をリクルートするチャンスであると同時に、社員のモチベーションアップや、他社のエンジニアとの交流など、さまざまなメリットがある。学生や企業の垣根を超えた技術交流が実現するETロボコン、参加を検討してみてはいかがだろうか。
2016年02月16日●NXTとEV3が混在する最初で最後の大会となったETロボコン2015昨年、11月18日(水)と19日(木)の2日間にわたり、パシフィコ横浜会議センター3Fにて、一般社団法人 組込みシステム技術協会主催のETソフトウェアデザインロボットコンテスト(愛称:ETロボコン)2015チャンピオンシップ大会(CS大会)が実施された。同大会の参加は日本全国12地区から42チーム、253名を数え、見学者もおよそ600名を超す盛況ぶりであった。○ETロボコンとはそもそもETロボコンは、2002年に「UMLロボットコンテスト」として始まり、2005年より現在のETロボコンへと名称を変え、今年で14回目の開催となる。ロボコンと言えばさまざまな大会があるが、このETロボコンの特徴は、組込みシステムにおける技術教育、人材育成をテーマとし、ソフトウェア面を重視したロボコンであるというところだ。2015年度は「5年後、15年後に世界をリードするエンジニアの育成を目指し、若手および初級エンジニア向けに、分析・設計モデリング開発、製品サービスの企画開発にチャレンジする機会を提供する」という目標が設定されている。そのため大会の競技は「デベロッパー部門」と「イノベーター部門」という2つの部門から構成される。デベロッパー部門は、一言で言えば「規定ハードウェアを用い、既定の課題をクリアできるような、よりよいソフトウェアを競う」部門であって、初学者向きのプライマリークラス(DPクラス)、より高度なアドバンストクラス(DAクラス)の2クラス制になっている。誤解を恐れずざっくり言えば、今年の競技は「規定のLEGO Mindstorms ロボットによる障害物競走」だ。一方、イノベーター部門は今年でまだ3年目の新しい部門だ(I部門)。デベロッパー部門が既定の課題を解決するものだとすれば、この部門は課題を自分で定義する必要がある。ざっくりと「LEGO Mindstormsを用いたプロトタイピングを通じ、新規ビジネス・サービスを世に問う練習をする」部門と言ってもよいと思われる。○CS大会競技会競技会は、18日の朝から始まり、昼の開会式までの間に、走行体の車検、そして試走を行い、競技会のための調整を実施する。○デベロッパー部門競技開会式の後、最初に行われるのはDPクラス21チームの走行競技である。DPクラスは「技術の基礎を学びチャレンジするクラス。走行体・バッテリーはワンメイク、ソフトウェアの違いだけによる競技」と定められている。DPクラスでは、セグウェイのように2輪で走行する走行体が用いられるのだが、本年の特筆すべきことは、規定走行体が2種類あることだ。これは昨年まで使用されていたLEGO Mindstorms NXTが旧製品になったことに伴う措置で、出場者は昨年同様の、LEGO Mindstorms NXTを用いた通称「NXTWay」と、新製品の「LEGO Mindstorms EV3」による通称「EV3Way」のどちらかを選択することとなった。本年も昨年同様、競技コース前半のベーシックステージで時間を競い、後半のボーナスステージで困難な課題の制御を競うというというスタイルは変わらない。ただ、コースレイアウトは大きく変更され、従来の2台が併走して競技を競う形から、LコースとRコースという2つのコースを、ベーシックステージに競技エリアを縦断する長い直線部と、その先の急カーブを設けることで分断し、よりスピード感、スリル感のある競技へと変更された。詳細な競技ルールについては、公式Webサイトを参照されたい。本競技では、ボーナスステージのフィギュアL(Rコース)、ルックアップゲート(Lコース)の難所も、最終難所でもあるガレージ停止までこなした北海道地区の「ガラナエクスプレス(リコーITソリューションズ ES事業部 札幌事業所)」が両コースの難所をすべてクリアし、安定感を見せつけて競技優勝した。競技途中に走行体がラインを見失うこともあったが参加者は焦ることなく「ラインを検知すれば大丈夫」との発言に自信のほどが伺えたのが印象的だった。午後からはDAクラス競技が12チーム参加で行われた。DAクラスは、3輪走行する走行体(トライク)が用いられる。DPクラスと異なり、2つの車輪モーターとステアリングモーターという複雑な制御をすることになる。DAクラスにおいても、規定走行体は2種類、すなわち、LEGO Mindstorms NXTを用いた通称「NXTrike」と、LEGO Mindstorms EV3による通称「ETrikeV」である。「技術を応用できるスキルを磨くクラス。速度選択できる走行体によるシステム開発競技。変化する難所、仕様未確定にも対応!」であるこのクラスでは、会場のどよめきを誘う、ウィリー走行や、ジャンプ、高速走行などの高度な走行制御技術の実現が見られた。ただし、残念だったのは「仕様未確定エリアII」、「新幹線攻略」など、観客が期待している「見せ場」の攻略にあまり成功していなかったことである。「まだまだロバスト性能が不足していたのかもしれない(本部性能審査団)」との声もあがっていた。本競技では九州北地区の「NiASET(長崎総合科学大学)」が優勝した。NiASETの参加者は「一昨日からデバッグに追われた」と走行前には不安げな発言であったが、実際には、コースをショートカットしたり、難所攻略順番に工夫をこらしたりと、全難所の攻略はしないながらも、要所を押さえた走行で圧倒的な得点を得た。●次世代のイノベーターを目指して9チームが挑んだイノベーター部門○イノベーター部門競技本部門競技には9チームが出場した。「次世代のイノベーター育成を目指す部門。自由に製品・サービスを企画し会場で発表。"企画し産み出すエンジニア"に挑戦します」と謳った本年は内容、実演ともに、昨年より圧倒的に充実しており、全チームともすばらしい実演を披露した。例えば、授業の充実を支援/スマートデバイスの電池切れ対策/未来の工場で役立つロボット、といった明瞭なテーマ設定と、ビジネス性への言及、そして実演内容が揃っていたため、観客も大いに楽しんでいたようだ。一方でこれまでにないものを伝える難しさや、実演の壁に苦しんでいたチームもあり教育効果の高い競技であったと思う。競技優勝は、空中をサルのように飛び移る、未来の工場で役立つロボットを実演した揃いの作業服を着た技術者集団、東海地区の「FUJIWING(富士機械製造)」であった。○審査ETロボコンの有名な特徴は、実競技だけでなく、設計や企画などの「紙モノ」も審査対象になるところだ。デベロッパー部門では走行競技と設計モデル審査の総合で、イノベーター部門では会場発表審査と企画内容審査の合計で競うことになる。ここで本年度の設計モデル審査の結果について少し触れておこう。DPクラスの設計モデル審査では「ソフトウェアの内容をモデルで正しく分かり易く提示できていること」を主に評価する。本年度のCS大会参加チームは、審査のここまでは達成して欲しい、という基準をすべてクリアしていた事を記しておきたい。今年DPクラスに出場したチームは、来年ぜひDAクラスに出場し、新たな課題すなわち、動的な変化への対応が求められる設計技術や高度な制御技術に挑んでもらいたいと思う一方、DAクラスの設計モデル審査では、「高性能を実現する制御技術とそれをソフトウェアとして実現するための設計技術」および「課題実現のための効果的な制御技術および設計技術」を主に評価する。しかし、本年のCS大会モデルは、残念ながら全体的に低調であったと言わざるをえない。機能についてのモデリングはできているのだが、要素技術、構造、振る舞いについてのモデリングがすべて揃っているチームが見当たらなかったためである。また、性能モデルに関しても「制御について"触れている"が具体性にかけている」(本部性能審査団)傾向が強かった。このような総合的な理由から、本年は本クラスのベストモデルに与えられる「ベスト・オブ・アドバンストクラス」は空位とされ、部分的に優れたアプローチが認められた5チーム「Champagne Fight(リコーITソリューションズ ES事業部 札幌事業所)」、「追跡戦隊レッド(日立産業制御ソリューションズ)」、「ヒカリバクシンオー(富士ゼロックス)」、「HELIOS(アドヴィックス)」、「NiASET(長崎総合科学大学)」に技能賞が与えられた。イノベーター部門では、企画書を通じて「製品企画の良さとそれを実現するための技術」の審査が行われる。企画書の書き方に規定はないが、内容やその実現方法をうまく記述しないとならない。例年、参加者はその記述に腐心してきたようだが、本年はすべてのチームが、例えば、「授業の充実を支援」、「スマートデバイスの電池切れ対策」、「未来の工場で役立つロボット」などといった明瞭なテーマを軸に企画書を作成してきたのは特筆すべき事だと感じる。また、多くのチームが、その企画のビジネス性へ言及していたことも、本年の大きな特徴であった。一方、課題としては、せっかく設定したテーマに比べ説得力が弱い、すなわち、テーマに関してパフォーマンス内容が妥当でないと感じられるものも少なくなかったことが挙げられよう。どのチームも、すべての観客も当日に実演する重要性や、これまでにないものを伝える難しさを体感したことと思う。その他、Toppers賞は「ごばりき15’(日立オートモティブシステムズ 佐和事業所)」、IPA賞は「ガラナエクスプレス」、情報処理学会若手奨励賞は「NiASET」にそれぞれ授与された。本年の詳細な競技結果、受賞一覧は以下のリンク先を参照されたい競技結果:チャンピオンシップ大会競技順位受賞一覧:チャンピオンシップ大会表彰チーム●競技会翌日のワークショップには36チーム180名が参加○技術教育、人材育成ETロボコンでは、技術教育、人材育成のためにさまざまな活動を行っている。参加者は、例年2月の実施説明会から始まり、技術教育、試走会、地区大会などの機会を利用しながらこのCS大会に到達する。CS大会の競技終了後も、参加者同士、また全国の優秀なエンジニアたちと交流することができる懇親会があり、これを楽しみにしている常連チームもいる。競技会翌日の19日にはワークショップが開催された。本年度は36チーム180名が参加し、「今年のふりかえり」や「来年にむけての課題」についての総括を議論した後、実行委員による「仕様と設計のトレーサビリティ」、「ステートマシン設計入門」、「構造モデルの作り方」、「分析・設計モデルと品質の作り込み」といった個別テーマによるミニ・ワークショップや、審査員にモデリング内容を相談するモデル相談所(写真)にそれぞれ参加し、来年に向け、刃を研ぎ始めていた。技術教育、人材育成に終わりはない。ETロボコンがより多くの人材育成に役立ってくれることを願って止まないと共に、業界を良くしたい、という全国300人以上のボランティアスタッフの協力があることが、このロボコンの底力なのだと思う。15周年を迎える2016年、より多くの若手エンジニアたちの大会への参加、そして日本のエンジニア力の向上を願うベテランエンジニアたちの協力を願ってやまない。著者紹介鈴木尚志コギトマキナ代表取締役社長/システムズアーキテクト1991年に日本アイビーエム大和研究所入社、社内外数十件の多様な組み込みシステムの製品開発に従事後、組込みシステム開発のエバンジェリストとして活動。「ストーリーのあるモノづくり」を旗頭に2012年に独立。他、ETロボコン本部審査委員、IPA/SECソフトウェア高信頼化推進委員、鶴岡高専特命教授、慶応大学大学院SDM研究科研究員など兼任し、組込開発業界のスキマ家具屋さんとなっている最近。海が好き。
2016年01月29日小学生、中学生、高校生の各チームが自律型ロボットを用いて競い合う国際的なロボットコンテスト(ロボコン)「第12回 World Robot Olympiad(WRO)」が去る11月6日~8日にカタールの首都ドーハで開催された。年々参加国が増え今回は52の国や地域からの選手が派遣されているとともに、これまでエキシビジョン扱いだった大学/専門学校生部門が正式競技となるなど、より開かれた大会として育ってきている。日本からはレギュラーカテゴリに小学生を除く8チーム、オープンカテゴリには5チームの計13チームを派遣した。その結果レギュラーカテゴリーの高校生部門で「robotics X(大阪インターナショナルスクール/立命館高校)」が銀メダル、および「Ninja(福岡舞鶴高等学校)」が銅メダルを獲得するダブル表彰台となった。またオープンカテゴリでは「SPACE CHALLENGER(追手門学院大手前中学校)」が7位入賞している。詳細な試合結果は公式Webサイトを参照していただきたい。○面白さが際立つレギュラーカテゴリWROの競技は大きく分けて3種類あり、それぞれ以下のようになっているレギュラーカテゴリ:与えられた課題に対しセンサを利用した自律型ロボットで攻略するオープンカテゴリ:与えられたテーマをロボットで表現するGEN II Football:2台のロボットをチームとしてサッカーを行う見た目が華やかなオープンカテゴリや、対戦で盛り上がるFootballに比べるとレギュラーカテゴリは地味に映るかもしれないが、実はこのレギュラーカテゴリが面白い。それはこのカテゴリには「サプライズルール」というほかのロボコン系の競技にはあまり例がない規定があるからだ。これは児童・生徒の問題解決能力向上を目的として競技当日に攻略課題が追加されるというもので、上位入賞のためには選手自身が調整時間中にプログラムを書き換え、また場合によってはロボットの構造をも変更する必要がある。今回の高校生部門の課題は山の麓にあるブロックを、同色の山の上にある穴に入れるというものだが、この時点では攻略方法はAから斜めに転回してアームを伸ばすタイプとBから正面を向いてアームを伸ばすタイプとに大きく分かれている(図1参照)。山の向きはくじで決まるためAの位置が常に中央寄りにあるとは限らず、コンパクトにまとめないと転回が難しいという意味でAはややハードルが高いが走行距離を短くすることができるという利点がある。実際上位に入賞したチームはこのAタイプが多かったようだ。そしてサプライズルールであるが、今回はスタート地点の奥に2個ブロックが追加され、それらも同色の山の上に置くというものとなった。穴は1個分しかないので必然的に2個目のブロックは山頂に置く形となるのだが、ここで各チーム戦術が分かれた。サプライズのブロックを先に処理するか、後で処理するかブロックが2個ある山で先に穴に入れるか、あとから穴に入れるかサプライズのブロックを正面から取りに行くか、横から取りに行くかアームの構造や次に処理するブロックの保持方法などにより取れる戦術が制限されるため各チームにとってすべての選択肢が有効なわけではないが、もちろんそれら機体の改造を行って選択肢を増やすこともできる。各チームの結論がどうなったかは皆さんにも考えていただきたいのでここでは明らかにしないが、やはり上位入賞チームはある程度サプライズルールを見越して最適化がすすんでいたようだ。結果、今大会も満点のスピード勝負となり、銀メダルのRobotics Xは優勝した台湾チームと0.5秒差しかないという激戦だった。今回も高校生を取り上げたが小中学生も同様にサプライズルールに取り組んで問題解決能力を磨いており、実際に世界で戦った子供たちの顔つきは短い期間でも変化する。ぜひ身の回りでロボコンに興味を持ちそうな学生がいたら声をかけてみてほしい。世界で戦うチャンスのあるロボコンはきっと子供たちを成長させてくれるだろう。来年の国際大会はインドのニューデリーで開催される。どんな子供たちが出てきてくれるか楽しみである。著者紹介北野順一WRO Japan実行委員/どんぐりシステム 代表取締役
2016年01月19日