知っておいた方がいいとわかってはいても、なかなか人に聞けない……。たとえば経済学も、そう思わせるもののひとつではないでしょうか?そこでオススメしたいのが、『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』(井堀利宏著、KADOKAWA/中経出版)。文字どおり、難しいイメージのある経済学の概要を、短時間で学ぶことができる便利な書籍です。しかし、だとすれば、まずは基本を知らなければなりません。ということで、きょうは冒頭の「そもそも経済学とは何か」に焦点を当ててみたいと思います。■そもそも経済学とは?経済活動とは、「さまざまな人や組織(=経済主体。家計、企業、政府など)が市場でモノ(=財、サービス)やお金を交換し合う行動のこと。そしてこの経済活動を、ある仮説をもとにモデル化し、シンプルかつ理論的に説明しようとする学問が経済学。■正しく損得を計算する経済学が想定しているのは、「経済主体が経済的に合理的な行動をする」ということ。いかにも難しい表現ですが、つまりは「人は常に正しく損得を計算して行動するだろう」という考え方です。もちろん人間は、必ずしも常に経済的な動機だけで行動するわけではありません。が、世の中全体を長期的に観察していくと、多くの経済活動は経済的な意味での“合理的な行動”を想定することで説明がつくのだそうです。■いちばん安い買いものをでは、合理的な行動とはなんなのでしょうか?これを正しく定義すると、「ある経済的な目的を達成するために、与えられた制約のなかでもっとも望ましい行為を選択する行動(=最適化行動)」ということになるのだそうです。たとえば、スーパーが2軒並んでいたとします。その片方のお店が1本100円でニンジンを売っているのに、もう片方のお店が1本50円で売っていたとしたら、誰だって50円の方を買うはず。■買いもの時の望ましい選択しかし、100円のスーパーが目に前にあって、50円のスーパーが車で1時間もかかる遠いところにあったら、遠出をしてまで50円のニンジンを買う人はまずいません。このように、普段のなにげない買いものひとつとっても、私たちは自分の使える時間やガソリン代などのお金の制約のなかで、もっとも安い買いものをするという“望ましい選択”をしているということ。■主体的な意思決定が大事そして経済学の重要なポイントは、「人々が自分の意思で自分にとって望ましいと思う経済行動をする」と考えるということ。誰かから強制されて無理やりモノを買わされたり、自分の仕事をなににするかを無理やり周りに決められたりするのではなく、主体的な意思決定をしていると考えているわけです。このように本書では、経済学をわかりやすく説明してくれています。読んでみれば、口に出せなかった疑問を解消できるかもしれません。(文/印南敦史)【参考】※井堀利宏(2015)『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』KADOKAWA/中経出版
2015年06月30日