鴻上尚史が旗揚げした「虚構の劇団」の第11回公演がまもなく幕を開ける。『ホーボーズ・ソング~スナフキンの手紙Neo~』という、“さすらう人たちの歌”を意味するタイトルを掲げた新作は、どんな世界になるのか。鴻上の創作の過程に、劇団だからできること、劇団ならではの面白さが、改めて見えてきた。虚構の劇団 チケット情報「虚構の劇団」に新作を書こうとしたとき、鴻上に映ったのは、「わさわさし始めて、どこに行くのかわからない感じの」今の日本の姿だった。「世の中全体がさすらってる感じがしてるぞと、さすらい人という意味のホーボーという言葉が浮かんだんです」。そして書いたのは、“賛成派と反対派に分かれて内戦を続ける日本”の物語だ。「今、安保法制のことで揉めているけれども、じゃあ、本当にふたつに分かれて戦いが始まったらどうなるのかと興味が湧いてきたんです」。といっても、安保法制のことを描くわけでも、警鐘を鳴らすわけでもない。「作品を作ることでそのパラレルワールドを覗いてみようということですね。そういう思考実験は、稽古初日に台本があればいいという(笑)、劇団だからできること。鴻上が今この時点で何を考えているのかということをリアルタイムで観られるのが、虚構の劇団の新作だというわけです」。劇団を立ち上げて8年目。劇団員たちに課すものも高くなってきた。「たとえば、ふたつに分かれて戦う軍隊の片側のリーダーを演じる三上(陽永)。僕の作る芝居なので、内戦といってもただ深刻なだけにはならず、歌も踊りも笑いもあるわけで、そこを目指しながら、ある権威みたいなものを真っ当に表すことが果たしてできるのか。また、戦いの話なので、過去の虚構の劇団作品以上に、けっこうなファイティングもある。だから、ちゃんと見せられるものにするために、稽古中はもうカリカリしてるんですけど(笑)。でも、彼らに書く脚本は、僕の役者に対する挑戦状。鴻上の言葉、鴻上の演出を全身で引き受けて、必死にあがいて何とかしようとする姿は、感動的かなと。みなさんにもそれを目撃していただければなと思っています」。客演に迎えるオレノグラフィティと佃井皆美が劇団員に与える刺激にも期待しながら、「こんなやっかいな時代だけど、明日も生きていこうと思ってもらえるような芝居」を今回も目指す。今年7月にオープンしたばかりの「あかがねミュージアム」での新居浜公演は、「故郷でやる初めての芝居」。ほか2か所の四国公演と、東京、大阪公演で、「しんどい分、面白い」という新作を披露する。各地公演ともにチケットは好評発売中。取材・文:大内弓子
2015年08月19日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回は男子100人に「決められない、優柔不断な女性はアリですか?」とアンケート。すると、優柔不断な態度は相手をイライラさせるだけ…とばかりに、ノーの男性が半数近くにも。即断できないのは女性に限らないのでは?では、「決められない女子」に関して、土田さんの意見はいかがでしょうか。* **ネガティブ思考は誰にでもある要素ですよね。優柔不断だし、曖昧な態度も取るし、気も使う。どっちつかずになってしまうのは、しょうがないことですよ。ただ、アラサーにもなれば、ある程度の取捨選択もできて、判断力もそれなりについていていいはず。度が過ぎる優柔不断さんは、ちょっと困りモノですね。結局、こういう人って、一見ほわっとしているようだけど、ただ単に我が強いだけ。優柔不断をタテにしているにすぎないんじゃないの。「私、ネガティブな性格だから…」って、深刻な悩みのようだけど、本人がそう思い込んでいるだけだと思いますけどね。たとえば、AかBか決められない=ネガティブと考えるんじゃなくて、選択肢がいくつもあるって考えたらどうですか?その方が次に行きやすいですよ。ちょっといいなと思う人が2人いたら、2人に接近しちゃえばいい。本当に好きな人を探している過程だと考えれば、別に尻軽なんかじゃないと思うし。もうそう簡単にときめく年齢じゃなくなってくるんだし、選べるうちに決断すべきです!◇「決められない女子」は恋愛において自分がどうしたいのか、何を求めているかが曖昧。きっぱり断ることもできず、本音も言えず、頭の中で悶々としてしまう女性。ネガティブ思考な面も。※『anan』2015年8月5日号より。イラスト・3rdeye文・神保亜紀子
2015年08月05日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回のテーマは「カラ恋」。カラダから始まる恋愛のことで、男子100人にこの「カラ恋」についてアンケートをとったところ、55%が「アリ」、45%が「ナシ」と回答しました。これについて、土田さんの意見は?***これははっきり言って「年」だから!もちろん男側にはヤレればいいと思っている輩がたくさんいますよ。でも、最初はエッチ目的だったけど、「やっぱりあのコ、いいコだったな…」なんて、真面目につき合いたいと思うこともあるだろうから。30 代にもなれば、このパターンなんじゃないですか。わざわざ「ではつき合いましょう」なんていうスタートは重たいし、流れに身を任せるほうがスムーズだったりしますから。大人の恋ですから、ね。つき合うまではいかないけど、エッチはしたいっていう女性もいますよね。「彼氏はいないけど、男はいる」ってきっぱり言える女性は、むしろ清々しいなって思いますし。自分の中でうまくバランスをとればいいんです。この場合は、“カラダ確認”だから、“カラ確”ですけどね…。恋愛にルールはないから、こういう恋があってもいい。やれる人たちは、やればいいんです!自由恋愛をもっと謳歌してもいいはず。むしろ、恋愛のハウツーやらルールを奨励するほど、恋愛に億劫になっちゃうのかもよ!?※『anan』2015年7月8日号より。文・神保亜紀子(C)LifesizeImages
2015年07月02日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回のテーマは「性欲不一致」。「性欲の不一致は問題アリですか」と男子100人にアンケートしてみたところ67%が「問題アリ」と答えた。これは、女性が男性より性欲旺盛なパターンでの回答。若い男性のセックス離れが進み、今や男性の方がセックスに対して淡泊…!?これについて土田さんはこう話します。* **女性の方が性欲旺盛、男性はそれほどでも…なんてカップル、僕の周りにもいるし、多いと思いますよ。その延長線上でセックスレスカップルも増えているくらいだし。男側からすると、どうしてもエッチしたくない、できないって時があるんです。これは男の性(さが)としてしょうがないので分かってもらうしかない。カップルである以上、相手に何を求めるか、なんじゃないですか。人柄なのか、セックスなのか。相性やらセックスやらが完全に一致する相手が、世の中にどれだけいるのかって話です。結婚前提のカップルは、彼が子供をいらないと思っているのか、それともセックスが嫌いなのか、ちゃんと話し合うべきですね。子供が欲しいなら、性欲不一致は問題にならないはず。それに、家庭ができたら女性側の価値観も変わってくるはず。結婚後のセックスなんて確実に減退するし、夫婦の状況なんてどんどん変わっていくもんです。世の奥さんたちが、ダンナに触られるのもイヤ~なんて言っているのを、見たことありません?そんなモンですよ!※『anan』2015年6月24日号より。文・神保亜紀子(C)lolostock
2015年06月21日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回のテーマは「炎上系女子」。SNSで自分の恋愛やプライベートを露出しすぎたために、批判を受けてしまう女性のこと。何を言われても頑なに意見を曲げない姿勢が問題視されることも。そんな炎上系女子について土田さんはこう話します。***炎上している女性って、けっこうな肉食系だと思いますよ。「人は人、私は私」という典型。ネット上でもなんでも、自我を貫くことに躊躇なし。少数の人に支持されていればいいっていう開き直りがあるから、ある意味強いですよね。きっとその強がっている感じが、同性からすると鼻に付いてイヤなんでしょうね。で、叩くという行為に出てしまう。それを総じて“ひがみ”って言うんでしょうけど。男からしても、叩かれる脇の甘い女性が好みかというと、むしろ眼中にないですよ。男ウケは悪いでしょうし、モテの要素はない気がしますけど。女性が女性を叩いているのを、男は対岸の火事のように遠巻きに見ているだけですから。でも皮肉なことに、そうやってひたすら炎上させようと、一生懸命薪をくべることが、結果その人の話題を振りまいていることになるんですけどね。一番効果てきめんなのは、まったく興味を示さない、一切触れないことなんですよ。まぁそもそもネット上の話なんて興味ないからなぁ。ネットでごちゃごちゃ言っていること自体が僕はキライです。※『anan』2015年6月3日号より。文・神保亜紀子(C)deeeoblue
2015年06月02日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。今回のテーマは「ありのまま女子」。映画『アナと雪の女王』から流行った言葉“ありのまま”より、自分を解放して開き直る強さを身につけた女性の呼び名に。これに対する土田さんの意見は?***昨年の流行ワードを踏まえて、アラサー女性が自分を解放する暴挙に出はじめた!?僕自身、『アナ雪』は観てないけど、歌くらいはなんとなく知っています。けど、そんな趣旨の歌でしたっけ?「ありのままの私を受け入れて」なんて言っちゃってるんですか。じゃあ、相手の“あるがまま”も受け入れられるってことでいいんですよね? というか…、これ、ただの開き直りですよね。ありのままっていう言葉を、自分勝手に解釈しているだけでしょう。もっと言えば、自己プロデュースができない自分を正当化しているだけですね。自分の感情にブレーキがかけられない、コントロールできない時点で、もう大人じゃないですよ。人間社会で協調性をなくしたら、どうしようもないですよね。もっとタチが悪いなって思うのは、“ありのまま”スタイルをアピールしてくる人。相当キライですね。つくづく、人に対する気遣いって大切だと思うんです。みんな気を使いあって生きて いるんです。それができないなら、無人島で一人、ありのままに生きればいいんですよ。※『anan』2015年5月27日号より。文・神保亜紀子
2015年05月21日本誌の連載「あなたがいいならそれでいいけど」で、フラットな目線と語り口でアラサー女性の事象ワードを切る、お笑い芸人の土田晃之さん。 月刊誌で連載していた、サラリーマンからの悩みに答える連載が一冊の“ビジネス書”としてまとめられた。そのタイトルも『納得させる話力』。なるほど、出演しているテレビ番組での土田さんは、「いかに説得力があるか」「いかにふつうの話をおもしろく語れるか」というポジションのことが多い。その話力にいつも納得させられ、時にはユーモアを交えた熱っぽい語り口にひきこまれてしまう。 そんな“トークのプロ”土田さんだが、実は子供時代はとてつもなく人見知りだったという。 「恥ずかしがり屋で人前に出るのがすごく苦手でした。でも、小学校の卒業アルバムにも書いているんですが、お笑い芸人にはなりたかったんですよね。なぜかって、僕、根がおもしろかったんですよ(笑)。でも、クラスの先頭に立って何かやるかというと、面倒くさい、恥ずかしいで何もやらなかったんです」 そんな土田さんが芸人を目指して入った専門学校時代に、転機がやってきたという。 「タレント科っていうところに在籍していたんですけど、そこには歌手、レポーター、お笑い志望など、いろんなタイプのヤツがいたんです。このままじっとしていたら輪から外れてしまうと思って、片っぱしから話しかけていったんですよ。どうやってみんなの輪に入っていくか、自己プロデュースできるかどうかが、そこで試されたんです」 いまや芸歴20年以上。人間交差点のような芸能界で培ったスキルは、初対面の人との接し方から話題のふりまき方、プレゼン術、説明が苦手…などのビジネスから対人関係まで、コミュニケーションにおけるさまざまな悩みを解消するヒントとなって、本書にちりばめられている。 「どんな仕事の場でも、必ず人との接点がありますよね。そこをどう磨いていくか、どう自分に取り込んでいくか、なんです。初対面の人が苦手…、みんなそうですよ。だって、 相手のことを知らないんですから。 苦手じゃない人はこの世で、(明石 家)さんまさんくらいです!でも、誰もが持っている苦手意識って、ちょっとしたコツだったり、見方を変えることで、解消されることが多いと思うんです。この本の中で『ふーん』って思えることがあれば、参考にしてもらって、あとはどう思ってもらってもいいですよ」 つちだ・てるゆき芸人。『直撃LIVEグッディ!』(フジ月~金曜13:55~)金曜レギュラー、『そうだ旅に行こう』(テレ東火曜18:57~)レギュラーはじめ、出演番組多数。 トーク、交渉、プレゼン、コミュニケーション…。人間関係において大事な「話し方」のコツを、トークのプロらしい語り口で指南したビジネス書。実践テクニック編では、“ひな壇芸人”の本領を存分に発揮。双葉社926円 写真・土佐麻理子 ※『anan』2015年5月20日号より
2015年05月19日「あなたがいいならそれでいいけど」は、坂上忍さんと土田晃之さんが今週のテーマに小気味よく回答する『anan』人気連載。 今回のテーマは「涙婚」。意識的に涙を流す“涙活”などを通じて、泣きのツボが同じ異性を見つけて結婚するというもの。価値観が同じ人と結婚したい人にとっては注目の婚活になっているようですが、土田さんはこう話します。 * ** 涙のツボが同じ人を見つける婚活があるんですか。感動のツボが同じ=価値観が同じだと…?僕はそうは思いませんけどね。価値観が一緒の人が結婚相手としてふさわしいかというと、そんな甘いものじゃないですよ。 そもそも、涙のツボが同じっていうデータひとつだけで価値観が一緒だと決めるのも、どうなのかな。ツボにしたって、長く一緒に生活していたらだんだん好みや趣味嗜好は変わっていくんでしょうから。 人って、気持ちが盛り上がっていれば泣けちゃうんですよね。泣ける映画は、だいたいの人が泣くでしょう。そこで泣けない人は、逆に反感を買っちゃったりして。感動するって、けっこう簡単なことだと思うんですよ。こう見えて僕も、意外と泣くタイプだし。スポーツ選手の引退とかノンフィクションに弱いんですよ。ただ、自分の意志で泣きたいとは思いませんけどね。 まぁ、涙活がひとつの入り口になるならOKじゃないの。ただ、泣こうが泣くまいが、結婚してから一緒に生活することの現実のキツさは、まったく関係ないですからね! ※『anan』2015年5月13日号より
2015年05月08日鴻上尚史が主宰を務める、「虚構の劇団」の第8回公演『イントレランスの祭』が、10月30日(火)、東京・シアターサンモールで開幕する。今回書き下ろす新作のテーマに“イントレランス=不寛容”を掲げた鴻上に、作品にかける思いと劇団の今について話しを訊いた。虚構の劇団『イントレランスの祭』チケット情報現代における殺伐さ、許容範囲の狭さを、身に沁みて感じていたという鴻上。「たぶん不寛容になるには、それなりの理由があると思うんです。なぜちょっとした“異物”に対し、人はイラっとしてしまうのか。そしてイラっとする側、イラっとさせる側にもそれぞれ人生があって。そこを抽象論にならないよう、いかに演劇的におもしろく描けるかを考えました」。鴻上はその“異物”を、今回“宇宙人”というかたちで劇中に登場させている。それは物語を抽象論にしないことに加え、「個別の問題を扱っているとは思われたくなくて。具体的な事象ではなく、なぜ人は不寛容になるのか。差別そのものをあぶり出すためには、宇宙まで飛んでしまった方がいいだろうと思ったんです」と話す。一見すると非常に重いテーマ。だが作品には、鴻上らしい笑いが随所に盛り込まれている。「深刻に悩んで解決するなら、いくらでも深刻にします。でも深刻にすることで、事態は余計深刻なものになるんじゃないかと。だったら悩みのあまりの重さに思わず笑ってしまうとか、突き放して笑うってことの方が可能性はある。そもそも僕は、笑いのない芝居以前に、笑いのない人生は嫌なんですよね」。前作『夜の森』では、「虚構の旅団」と題し木野花に演出を託した鴻上。劇団メンバーにとってこの舞台は、「嵐のような経験だったのでは」と笑う。「俳優の根本を突きつけられましたからね。その傷がどれだけ癒えているのか……(笑)。ただ“虚構の劇団”っていう枠組みで芝居ができることの嬉しさやありがたさ、貴重さということは、強く実感できたんじゃないかと思います」。2名のメンバーが離脱したが、新たに2名の研修生が参加。キャラクターの厚みが増し、鴻上自身「だからこそ書けた脚本」と語る。劇団として「虚構の劇団」は、次なるステップへ踏み出す時期に来たのではないだろうか。「そう感じますね。鴻上の旗のもとにという意識から、自分がこの集団で何ができ、この集団はどこを目指しているのかという意識に変わってきた。彼ら彼女らが自分を主体に考えられることが一番大事だし、本作がその布石になればいいなと思います」。公演は10月30日(火)から11月11日(日)まで東京・シアターサンモールにて、11月23日(金・祝)から11月25日(日)まで大阪・ABCホールにて上演される。チケットは発売中。取材・文:野上瑠美子
2012年10月17日ザ・ブルーハーツの楽曲を全編に散りばめた、鴻上尚史作・演出による音楽劇『リンダリンダ』。2004年に初演された本作が8年ぶりに再演される。5月8日、記者発表が都内にて行われ、鴻上ほか主要キャストの松岡充、伊礼彼方、星野真里、丸尾丸一郎、高橋由美子、大高洋夫が登壇。松岡と大高以外は、再演からの新キャストとなる。KOKAMI@networkvol.11「リンダリンダ」チケット情報物語は存亡の危機を迎えたロックバンドのメンバーと、それを取り巻く人々との、夢をかけたある無鉄砲な計画の行く末を描くもの。再演では新たに、昨年の東日本大震災から現在に至るまでの日本の状況を反映させる。鴻上は再演を決めた理由として、「世界的に名の知られたミュージカルはすべて再演され、ブラッシュアップを繰り返しながら成長していくもの。これは音楽劇ではありますが、同じように育てることで絶対いい作品になっていくと思います」と語った。バンドメンバーでベースを担当するマサオ役は、初演同様SOPHIAの松岡が演じる。松岡にとっては初舞台だった今作について、「この作品にかける思い入れは誰よりも強いと思っています。あれからの8年間で成長した部分を無駄にはしたくないですし、お客さまに納得していただくのはもちろん、自分のなかで納得できるものにしたいですね」と再演に向け力強い抱負を述べた。ザ・ブルーハーツへの思いを誰よりも興奮気味に話していたのは、かつて彼らのコピーバンドをしていたという伊礼。「こうやってまた違うかたちで、ザ・ブルーハーツに出合えたことに運命を感じています。もう楽しみで楽しみで夜も眠れないくらい!」と気合いは十分のよう。初の音楽劇への挑戦となる星野は、「一番好きなザ・ブルーハーツの楽曲は?」との質問に、劇中でも披露する『キスしてほしい』をチョイス。すると伊礼は「誰にキスしてほしいの?」とニヤニヤ。そこですかさず松岡が「そういうことじゃないでしょ?(笑)」と返し、会場が笑いに包まる場面も。松岡の「稽古が楽し過ぎる」という言葉を裏づけるような、カンパニーの仲の良さを垣間見た瞬間だった。また初演を振り返って鴻上は、「客席には松岡くんのファンから、演劇、ミュージカル、ブルーハーツのファンがいた。それらの人たちが混在した、カオスのような客席がすごくおもしろくて!今回もまたそうやって、いろいろなファンの人たちで客席が埋まると素敵だなと思います」と、幅広い客層に向けアピールした。公演は6月20日(水)から7月22日(日)まで東京・紀伊國屋サザンシアター、7月28日(土)から30日(月)まで大阪・森ノ宮ピロティホール、8月2日(木)・3日(金)に福岡・ももちパレス大ホールにて開催。チケットは東京公演は発売中、大阪、福岡公演は5月26日(土)より一般発売開始。取材・文:野上瑠美子
2012年05月09日先日公開を迎えた奇想天外なラブストーリー『恋愛戯曲〜私と恋におちてください。〜』監督の鴻上尚史を“講師”に迎え、読者の恋の悩みに答えてもらう“恋愛講座”企画。後編となる今回は、付き合うようになってからの恋の継続に焦点を当ててお届け!悩み:付き合ってからなかなかその後が長続きしません。どうしたら長く付き合えるのでしょうか――?ハラハラドキドキしつつ恋に落ち、その恋愛が成就したはいいけれど、なかなか長続きしない。そんな悩みに“鴻上先生”の答えは?鴻上:恋愛の初期というのは、互いにとって未知なわけ。そこで互いについて知りたいという思いで、いっぱい会っていっぱい話そうとするんですよね。そこで僕がよく言うのは“お土産を渡す”ということ。お土産は、相手が喜ぶものなら、なんでもいいんだ。手料理でもマッサージでも微笑みでも。でも、情報がお土産になるってことを忘れがちなんです。昨日、こういう映画を観た。こういう小説を読んだ、でも何でもいいんだけど、相手が知らない“情報”――すなわち、情報というお土産を互いに渡しあえる関係を築くこと、それが大事なんだと思う。――映画の中で深田恭子演じる脚本家の谷山は、自分が恋に落ちることで、それを脚本に反映させて執筆するという人物ですが、いまの話で言うと、谷山はいわば、相手から“お土産”を引っ張り出して…。鴻上:そう、“情報”をくれる相手と恋に落ちてそれを脚本にしているわけだけど、彼女のこれまでの恋愛で言うなら、谷山という女性は貪欲だから、1回でその相手が持っている全ての情報を吸い取っちゃうんだね(笑)。悩み:相手に対して甘えたいけれど、どこまで甘えていいのかうまく出すことができません。監督から見て、許せる甘えと許せない甘えは――?鴻上:これはもう、相手としっかりと話すしかないと思うよ。「どんな甘え方をされるのがあなたは好きなの?」ってね。また逆に彼がどんな風にあなたに甘えたいと思っているのかもね。それを相手に尋ねることって、全然、恥ずかしいことじゃなくて、隠している部分やナイーブな部分を見せ合うのが恋愛なわけ。それは甘え方だけでなく、例えばセックスの方法についても同じなんだよね。――なかなか、そこまで踏み込んでいいのか?と思ってしまいそうですが…。鴻上:例えばドラマなら、2人がベッドインしたら、奇跡のようにお互いの想いが通じてて、相手が何をほしがっているのか100%分かっているかのように描かれるけど、現実にはそんなことありえないわけで、話さなければ始まらない!それでも、彼に対してどんな甘え方がいいのかなんて言葉にして聞けないというのなら、実際にどんな甘えを彼が喜んでくれているのかを確かめていくしかない。――付き合いが続けばやがて、結婚ということを互いに意識するのは自然なことですが、その一方で最近では結婚を前提にした“婚活”というのがブームにもなっています。監督の中での恋愛と結婚の関係性、“結婚観”は?鴻上:俺が若い頃は、もちろん婚活なんてなかったから恋愛して、それが結婚に繋がっていくのが当たり前だった。恋愛をして、ちゃんとケンカをして、互いに嫌になったり行き詰まったりもして、「この人とならやっていけるかも」という思考ができて結婚、ということになるのかな。付き合って“恋愛”をせずにいきなり最初から「この人と結婚を…」というのは泳ぎを習い始めてすぐにオリンピックを意識するようなもの。婚活っていうのはいわばお見合いのようなもので、それ自体、否定しようとは思わない。ただ、“婚活”って言い方をすると、結婚ありきで間の恋愛をすっ飛ばしてしまうような響きがあるけど、そこでしっかりと恋愛がないのは、互いにとって不幸だとは思うよ。――ちなみに監督は、お付き合いからどれぐらいで結婚を…?鴻上:それはどこにも言ってないから内緒だな(笑)。悩み:結婚しても相手と恋愛気分でいたいのですが、秘訣を教えてください。鴻上:なかなか難しい質問だね(笑)。だけどこれもやはり、先ほどの話と同じで“お土産”だね。例えば、互いにいつも綺麗でいることを意識するとか、だらしない部分を見せないというのも僕は相手へのお土産だと思う。互いが互いにそういう意識を持つこと。長く一緒にいれば、知るべき新しいことというのは減ってくるかもしれないけど、そこで互いに相手のために“お土産”を作る努力ができるか否かだと思う。俺?俺は相手が喜びそうな映画や小説のことをよく話すかな…と、これ以上喋ると俺の結婚生活相談になりそうだから、ここまでで(笑)!恋愛中であれ結婚後であれ、鴻上監督が重視するのは相手とのコミュニケーションの継続。曰く「語ることで相手と一致することが大事なんじゃなくて、相手との違いを理解することが大切」とのこと。“達人”の言葉を胸に、いつもよりほんの少しだけ、会話の時間を長くとってみるのもよいかと…。第1回講座:【恋愛継続編】特集 新しい恋のカタチ■関連作品:恋愛戯曲〜私と恋におちてください。〜 2010年9月25日よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネセゾン渋谷、新宿武蔵野館ほか全国にて公開© 2010映画「恋愛戯曲」製作委員会■関連記事:シネマカフェ読者ゴコロなんでもベスト5(第7回)映画で見てみたいカップルと言えば?深キョン&椎名桔平&塚本高史「結婚しても恋心」で意見一致深キョン&椎名桔平が原稿に埋もれ…『恋愛戯曲』特別画像&白熱の本編映像が到着達人に聞く!『恋愛戯曲』監督・鴻上尚史の恋愛講座【出会い編】恋多き女(?)深キョンが恋の悩みをバッサバッサ
2010年09月28日