2023年4月6日、『ムツゴロウさん』の愛称で知られる動物研究科で小説家の畑正憲さんが亡くなったことが分かりました。87歳でした。産経新聞によると、畑さんが亡くなったのは同月5日。心筋梗塞により、病院で息を引き取ったといいます。動物に関して豊富な知識を持ち、バラエティ番組などでも活躍していた、畑さん。また、小説家としての顔も持ち、1977年には、さまざまな文化分野において活躍した人を表彰する『菊池寛賞』を授賞しています。今なお多くの人の印象に残る畑さんの訃報に、悲しみの声が数多く寄せられました。・もう87歳になられていたのですね…。年齢を考えれば当然だけれども、つらい。・アラフィフ世代の人は、一度は『ムツゴロウ王国』を訪れたいと思っていたはず。・小さい頃から大好きな人で本も買っていました。さびしすぎる。畑さんのご冥福をお祈りいたします。[文・構成/grape編集部]
2023年04月06日4人の女性たちの苦悩と葛藤を掬いあげた『誰かが見ている』で、デビュー直後から話題をさらった宮西真冬さん。期待の第2作『首の鎖』は、母の介護や妻の束縛で家庭に縛りつけられた男女の、声なき悲鳴のようなサスペンスだ。家庭に閉じ込められていた男女の、息が詰まるような心理サスペンス。執筆のきっかけは、介護殺人のドキュメンタリーだという。家族を思えば思うほど追い詰められてしまう状況を、主人公の勝村瞳子に重ねた。「介護の苦労などを打ち明けているサイトなどはよく見ました。なかには『毒親でも簡単に見捨てられない』とか『愛をくれなかった親に対して、愛をもって介護できるのか』という複雑な思いを綴るケースも多かった。『親を捨ててもよいのか』は、本書のテーマを決めるときに、私自身も迷いに迷ったことでした」40歳目前の瞳子は10代のころから祖母と母の介護を背負わされ、自分の幸せをすべて家族の犠牲にしてきた。母は自分の体の不自由さに苛立ち、瞳子にキツく当たる。重苦しい心が少しでも楽になればと通い始めた心療内科で、丹羽顕と出会い、心を通わせていく。ある日、顕から〈あなたを侮辱されて〉突発的に妻を殺してしまった、と打ち明けられた瞳子。遺体を埋めることを提案するが、妻の長い不在に、顕の妹や母が疑問を持ち始め…。果たして、この犯罪は隠し通せるのか。「家族の絆というのは、ときに鎖になるのではないでしょうか。切ろうと思っても、簡単には切れない。もし現実のニュースで、殺人の隠蔽の片棒を担ぐ瞳子のような女性が現れても、その背景にあった苛酷な人生が見えてくると、安易に非難できない気がしたんです」瞳子や顕のみならず、瞳子の家族や顕の妻ら、各登場人物のどろどろした部分まであぶり出す心理描写には容赦がない。読んでいて息苦しくなるほどだ。ゆえに、イヤミスと受け取られることもあるが、「1冊目も2冊目も人の嫌なところを書いたわけではなく弱いところを書いたつもりでした。イヤミスと言われるのはちょっと驚きです(笑)」事実、ラストには希望が見える。「自分で決めることのできなかった瞳子が、自ら道を選び取る。そんな変化も書きたかったのです」瞳子の大いなる決意を、ぜひ見届けてほしい。『首の鎖』男のずるさを描くのもうまい。「現実と照らし合わせてみれば、瞳子の前に突如、完璧な王子様が現れるのも変だから、顕くらいかなと(笑)」講談社1400円みやにし・まふゆ作家。1984年、山口県生まれ。2017年に第52回メフィスト賞受賞作『誰かが見ている』でデビュー。全寮制の女子校を舞台にした3作目は、年内刊行を目指して準備中。※『anan』2018年7月11日号より。写真・大嶋千尋インタビュー、文・三浦天紗子(by anan編集部)
2018年07月07日劇団た組。の第15回目公演 三越劇場版「壁蝨」が8月30日(水)に上演される。本作は、三越劇場とシアタートラムというふたつの劇場で上演され、それぞれ違うキャスト(※一部同キャスト)が出演する。三越劇場版で音楽を担当する谷川正憲(UNCHAIN)と、劇団の代表で脚本・演出を手掛ける加藤拓也に話を聞いた。劇団た組。「壁蝨」チケット情報人生の選択における“では一体どうしたらよかったのかというのか”という、誰にでもある『どうしようもないこと』にフォーカスを当てた物語で、女性器を持たずに生まれてくるロキタンスキー症候群の主人公を中心とした人間関係が描かれる本作。一日だけの上演となる三越劇場版には、南乃彩希、岡本あずさ、宮田早苗らが出演する。その中で歌・演奏を担当するのが、今年4月に上演された第13回目公演「まゆをひそめて、僕を笑って」でも同様に出演した谷川。「もう!?と思いました(笑)」と笑う谷川は、普段はUNCHAINのヴォーカル&ギターとして活動するミュージシャンだ。前作の経験を「すごく楽しかったです。初めての経験で。舞台の生演奏って、僕らがやってるライブよりもライブ感があったんですよね。すごく燃えますし、燃え尽きるし、精神力も削られるし」と語る谷川。前作の谷川を加藤は「最高のひと言に尽きます。お客さんにも『音楽がとにかくよかった』って絶対に言ってもらえていたし。音楽って演劇をつくるうえで超大事なので」と絶賛する。劇団た組。の作品において生歌と生演奏は魅力のひとつだが役割は独特だ。「最初、場面のバックグラウンドの音楽をやるのかなって思ってたら、そうじゃなくて、主人公の心の中を音楽で表してほしいって言われたんですよ。やったことなくて。もちろん自分の曲では自分の感情を歌うんですけど、人の感情だから」(谷川)。「(登場人物が)気持ちを歌うミュージカルとはまた別で、(本作における)歌はどの立場にも立てるなと思っていて。登場人物の立場にもなれるし、お客さんの立場にもなれるしっていう。それが強みなのかなって思います」(加藤)。一日だけの公演。谷川は「絶対緊張するけど、死ぬほど大変ってことは死ぬほど楽しいかもしれない」と笑顔。劇団た組。は今作のシアタートラム版で年内の公演はラストとなり、加藤は「自分の中での集大成というと変ですけど、すごく慎重に書いた作品です。丁寧に積み上げるところを観てほしい。三越劇場版はワンデイならではのよさを出せるようにしたいです」。三越劇場版「壁蝨」は8月30日(水)に上演。シアタートラム版は9月29日(金)から10月1日(日)まで上演される。シアタートラム版の音楽は橋詰遼。谷川一押しのミュージシャンだ。
2017年08月23日東京大学は2月11日、骨髄を透明化することで造血幹細胞の局在を可視化することに成功したと発表した。同成果は同大学医科学研究所の山崎聡 助教、中内啓 光教授(スタンフォード大学兼任)と米スタンフォード大学のJames Y. Chen、宮西正憲研究員、Irving Weissman 教授らの共同研究チームによるもの。2月11日付けの「Nature」オンライン版に掲載された。造血幹細胞は生体内の全血液細胞を供給する組織幹細胞の1つで、骨髄移植という形で臨床応用されている。骨髄中で造血幹細胞がどこに存在するかは、造血幹細胞を生体外で増やす研究において重要だと考えられているが、場所を特定する方法はこれまで開発されていなかった。同研究グループは、Hoxb5という造血幹細胞で特異的に発現する遺伝子を同定。また、ゲノム編集技術によって赤く光る蛍光タンパク質を造血幹細胞特異的に発現させたマウスを作製、そのマウスの骨髄から細胞を分散し、蛍光強度に分けて放射線照射したマウスに移植を行った結果、強い蛍光を示す細胞のみが全ての血液細胞を長期間供給する造血幹細胞であることがわかった。同研究ではさらに、日本の研究チームが開発した透明化技術によって骨髄の透明化に成功し、シートレーザー顕微鏡3次元イメージング技術を用いて骨髄内の血管周囲に長期骨髄再構築を可能とする造血幹細胞が局在していることがわかった。今回の成果について研究グループは「造血幹細胞の動態理解が進み、骨髄移植などの造血幹細胞を用いる新規治療方法の開発を加速させたり、より安全で新しい血液疾患の治療法開発につながることが期待される。また、多能性幹細胞からの血液細胞の分化誘導に関する研究にも重要な知見になると考えられる。」とコメントしている。
2016年02月12日