歌舞伎俳優の市川猿之助と市川中車が12月4日、都内で会見を開き、来年1月の大阪・松竹座「壽初春大歌舞伎」への意気込みを語った。大阪・松竹座「壽初春大歌舞伎」チケット情報今年6月、7月に東京・新橋演舞場で襲名披露興行が行われたが、来年からいよいよ大阪を皮切りに全国を回るツアーがスタートする。大阪・道頓堀で元旦から歌舞伎の幕が開くのは実に50年ぶり。四代目を襲名した猿之助は「襲名と正月のおめでたさを味わっていただきたい」とコメント。俳優・香川照之として活動しながら九代目を襲名した中車は「無事に初舞台を勤めることができましたのも四代目(猿之助)のおかげ。引き続き、精進していくことに変わりはございません」と歌舞伎俳優としての決意を語った。昼の部の『吉野山』、夜の部の『義経千本桜』(「四の切」)で狐忠信を演じる猿之助は「三代目(猿之助)の『四の切』は神業に近いと思っているので、それをやらせていただくことは非常にありがたいです。ただ、考えてみたら襲名で人間の役をひとつもやっていない。鬼か狐か鳥か」と笑わせ、「どこまでこの役を深めていけるか挑戦したいです」と意欲を見せた。中車は昼の部『楼門五三桐』で石川五右衛門役に挑戦する。同演目は7月の新橋演舞場で市川猿翁の真柴久吉、市川海老蔵の五右衛門で上演されたばかり。そのときは、父・猿翁の後ろで黒子として付いていた中車だが「海老蔵さんのハリのある声を後ろで聞いていたわけですが、まさか自分があそこに立つとは。いま、稽古をしながら古典の壁の高さを感じています。本当に未熟ではございますが、なんとか頑張っていま勉強している最中です」と心境を明かした。また猿翁との初共演については「いざそうなってみるとそういうことかという感覚ですね。大本にある役者としての感情は、6・7月の舞台や稽古を通して父と確認しあいました」と話していた。襲名興行だけにチケットの売れ行きを気にする猿之助は、中車が演じる五右衛門のセリフ“絶景かな”にひっかけ、「空席があると“絶景かな”とはなかなか言いにくいのですから、宣伝をよろしくお願いします」とマスコミに依頼する場面も。一方で、多くの観客に歌舞伎を見て欲しいという気持ちから「若者向けの芝居も必要。いろんな公演の形態があってもいい」と話す猿之助。映像の仕事が多かった中車は「(歌舞伎の舞台に立って)初めて舞台が面白いと思いました。猿之助の美しさとこの細いからだで背負っているものの大きさ。そういったものを見ると理屈でなく感動します」と歌舞伎の面白さをアピールしていた。公演は1月1日(火・祝) から1月26日(土)まで。チケットは発売中。
2012年12月07日6月と7月に東京・新橋演舞場の『六月大歌舞伎』と『七月大歌舞伎』で四代目市川猿之助を襲名する市川亀治郎と、九代目市川中車(ちゅうしゃ)を襲名する俳優の香川照之らが、5月11日、東京・浅草寺で襲名披露興行の成功を祈願してお練りを行った。平日にもかかわらず、浅草寺には大勢のファンが詰めかけ、雷門前に亀治郎、香川と五代目市川團子(だんこ)を襲名する香川の息子政明君、二代目猿翁を襲名する当代市川猿之助が登場すると「おもだか屋!」と猿之助の屋号がそこかしこからかかり、大きな拍手と声援が飛んだ。亀治郎は襲名の実感はまだないそうだが、「わたくしはこの浅草で育てられたと思っております。10年間、浅草公会堂で大役をやらせていただきました。猿之助になっても一門全員でここでお芝居をやらせていただきたい」と浅草の地でのお練りに感慨もひとしおの様子。集まったファンや観光客には「今日写真を撮った方は新橋演舞場に来ていただきたい。twitterでも呟いてください。ぜひ『ヤマトタケル』を観に来てください」とまだチケットが買える6月の夜の部をアピールしていた。歌舞伎の舞台は初めてとなる香川は緊張した様子で、「まさかここでこのようなお練りをさせていただくとは夢にも思いませんでした。感謝しております。少しでも精進し、ご迷惑をおかけしませんように、この大名跡を継がしていただく責任を果たしていきたい」と決意を表していた。政明君は「市川團子を襲名しますけど、どうか宜しくお願いします」と挨拶した。襲名披露興行は6月5日(火)から29日(金)までの『六月大歌舞伎』と7月4日(水)から29日(日)までの『七月大歌舞伎』の2か月、新橋演舞場にて上演される。チケットは6月興行は発売中、7月興行は6月12日(火)より一般発売開始。
2012年05月11日「ヒロシです……」から始まる自虐的なネタにもますます磨きがかかり、再ブレイク中のヒロシ。実は初舞台を踏んだ5年前以来、芸人として潜伏中(?)も、意外なほど安定感のある演技を舞台やドラマで見せていた実績を持つ。本作『バッド・アフタヌーン~独立弁護士のやむを得ぬ嘘~』は、そんなヒロシの初主演作にして、初舞台でその資質を引き出した土田英生が演出を手がける話題作。土屋裕一、平田敦子、菅原永二ら実力派キャスト陣とのやりとりも楽しみに、8月13日、東京・赤坂RED/THEATERに向かった。チケット情報舞台は東京郊外の法律事務所。開業したての弁護士・幸作(ヒロシ)は、自宅事務所に客を引っ張り込もうと駅前でティッシュ配りをしたり、親類に頭を下げて回ったりと冴えない日々。妹のはるな(松田沙紀)や友人の純平(土屋)はそんな幸作を心配するが、就活中だったり放浪の旅の準備中だったりで当てにならない。そんなある日、地上げ屋の二階堂(菅原)と武本(今井隆文)が事務所を訪れる。真面目だが気の弱い幸作は、期限までに裁判の依頼がなければ事務所を引き渡す約束をしてしまったというのだ。そこへ偶然訪れた旧友の久子(平田)が夫の翔太(大村学)と喧嘩中と知った幸作は、話をなんとか裁判に持っていこうとするが……。席に着くと、まず細かく作り込まれた舞台装置が目を引く。木の桟の窓ガラスやシールがベタベタ貼られたタンス、70年代風の応接セットなど、昭和の匂いのする自宅をそのまま事務所に設えた様子は、それだけで幸作の実直な人柄を伝えるようだ。短めの七三分けにネクタイを締めたスーツ姿のヒロシがその部屋にピタリとハマり、芸人ヒロシではない、幸作という人物がそこにいることにまず驚かされた。同時に、うつむきがちに自嘲の言葉を吐く幸作は、ヒロシでしか出せないたたずまい。はねっかえりの妹と亡き父との約束を守ろうと精一杯に奮闘する姿がなんともおかしく、普段も仲がいいという土田ならではの、“ヒロシの表と裏”を存分に見せる手錬が心地よい。終始受けの芝居に徹するヒロシを弄る周囲も、男女両方にキラースマイルを連発する土屋、緩急自在の演技で勘違い女を演じる平田、コワモテだが実は寂しがり屋の菅原ら、役者自身の個性でヒロシとの応酬が楽しめるキャスト陣。終盤で弁護士らしいキリリとした顔を見せるものの、すぐに後ろ向き発言を口にする幸作も、つい肩入れしたくなるような愛すべき存在だ。大いに笑った後は、さりげないラストが待っている。人生の一端を垣間見せてくれるような、芝居の楽しさを味わえる一本だ。公演は8月21日(日)まで、赤坂RED/THEATERにて上演。取材・文:佐藤さくら
2011年08月15日品川ヒロシが『ドロップ』に続いて自身の小説を映画化した『漫才ギャング』の完成報告会見が新宿のルミネtheよしもとで行なわれ、品川監督と、主演の佐藤隆太、上地雄輔が登壇した。会見の様子『漫才ギャング』は、売れない漫才師とストリートギャングが出会い、漫才コンビを組むことで成長していく姿を描いた青春映画。佐藤、上地のほか、石原さとみ、綾部祐二(ピース)、宮川大輔らが出演している。本作で漫才師を演じた佐藤隆太は「実は生意気にもこの作品には運命的なものを感じていてハードルが高い分、漫才師というキャラクターに挑戦したいと思った」とあいさつ。品川監督については「現場では想像以上の監督ぶりで、常にポジティブで不安も多かった僕の背中を押してくれた。『この人についていけばいい作品に仕上がる』と思える監督だった」とその仕事ぶりを絶賛した。ドレッドヘアーにタトゥーだらけのギャングを演じた上地は「この作品はいろいろな素材がミックスジュースのように混ざった濃いものになってます。老若男女、絶対後悔させないと自信を持っている」とコメントし、「格闘技をやってらっしゃる監督なので、今回の作品ではリアルかつ魅せるアクションにこだわった」と作品をPRした。「『ドロップ』よりもポップな映画にしたかった」と話す品川監督は「ふたりの役に向かっていく過程を観させてもらった。ネタ合わせなど、どんどん漫才が上手くなって行く姿は観ていて感動した。自分の初舞台を思うと、あんなに堂々と出来ないだろうなと思った。まさにベストのキャスティングだと思います」と胸を張った。『漫才ギャング』2011年3月19日(土)より角川シネマ新宿他全国ロードショー
2010年12月22日