『怪盗グルー』シリーズで人気の、バナナが大好物な謎の生物ミニオンを主人公に描く『ミニオンズ』。このほど、人気声優・宮野真守が演じる役が発明家のハーブであることが解禁され、ハーブが登場する特別映像が公開された。人類が誕生する遥か昔、黄色い生物としてミニオンは誕生した。長い年月をかけて進化しながら、絶え間なくその時代の最も強いボスに仕えてきた。Tレックスからナポレオンなどあらゆるボスに仕えてきたが、失敗ばかりで長続きしない。やがて仕えるボスがいなくなり、ミニオンたちは生きる目的を見失ってしまう。ミニオン滅亡の危機が迫る中、兄貴肌のケビン、バナナのことで頭がいっぱいのスチュアート、そして弱虫のボブが仲間たちを救うべく立ち上がった。極寒の南極からニューヨーク、そして流行の最先端を行くロンドンへ――新たな最強最悪のボスを探しに、ミニオンズの壮大な旅が始まる。ユニバーサル・ピクチャーズ史上NO.1を記録し、日本でも大ヒットした『怪盗グルーのミニオン危機一発』に登場する、謎の生物ミニオンを主人公に描く本作。声優陣に、天海祐希、「バナナマン」、モデルの藤田彩華、人気急上昇中のアーティスト・LiSAらの出演が決定し話題だが、このほど未発表となっていた人気声優・宮野さんの配役が、天海さん演じる世界初の女悪党・スカーレット・オーバーキルの夫で、常にかっこいいスーパークールな発明家ハーブであることが明らかになった。そして、宮野さん演じるハーブが登場する特別映像では、クールに軽やかにハイタッチを決め挨拶をするハーブの姿と、そんなハーブの姿に思わずうっとりするミニオンたちが映し出されている。今回の出演にあたって、宮野さんは「前作の『怪盗グルーのミニオン危機一発』では色っぽいプレイボーイの子どもの役を演じさせていただきましたが、今回はがらっと大人のキャラクターになりました。ハーブは渋さもお茶目さもある大人な役なのでかなりチャレンジでしたが、演じていてとても面白かったし、色々な面を出せてすごく楽しかったです」とコメントを寄せている。また、「実は、『ミニオンズ』で演じたのはハーブだけじゃないんです。かなり意外だし、自分にとってもまたかなりチャレンジングなキャラクターなので、こちらも楽しみにしててください!」と本作で2役務めていることも発表!気になるもう一役については近日中に発表予定とのことで、今後ますます注目が集まりそう。映画『ミニオンズ』は7月31日(金)よりTOHOシネマズ みゆき座ほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2015年06月25日細田守監督の最新作『バケモノの子』の主題歌が、Mr. Childrenの『Starting Over』に決定し、桜井和寿が「この素晴らしい作品に、微力でも携われることに大きな誇りを感じています」とコメントを寄せた。その他の写真『バケモノの子』は、バケモノと少年の奇妙な師弟関係を軸に、バケモノたちの棲む異世界“渋天街(じゅうてんがい)”での修行と冒険、リアルな渋谷を舞台にした壮大なアクション、そして親子の絆やヒロインとの淡い恋愛など、あらゆる世代が共感できる“夏休みの国民映画”を目指して制作された冒険活劇。主題歌について細田監督は、「映画『バケモノの子』は、ひとりぼっちの少年の成長譚であり、主題歌『Starting Over』は、少年が思春期の戸惑いを打ち破る、戦いの唄です。タイトルの『新たな出発』という意味を噛み締めて、どうぞ聴いてみてください」とコメント。本作について桜井は「凄い映画を観てしまった。ひとりの父親として、それから試行錯誤を繰り返す作家のハシクレとして、込み上げてくる感情に胸が苦しくなった」と語っている。主題歌に決定した『Starting Over』は、6月4日(木)に発売されるMr. Childrenのニューアルバム『REFLECTION』に収録される。『バケモノの子』7月11日(土)ロードショー
2015年06月01日7月11日に公開される、細田守監督の最新作となるアニメーション映画『バケモノの子』の主題歌に、Mr. Childrenの「Starting Over」が起用されることが明らかになった。「すべての世代が楽しめる夏休みの国民映画」として制作が進められている本作だが、製作陣は、この作品コンセプトから日本を代表するアーティストであるMr. Childrenに主題歌を依頼。打ち合わせを重ねる中で細田監督が、6月4日に発売されるMr. Childrenのニュー・アルバム『REFLECTION』収録の「Starting Over」を聴いたところ、「歌詞・楽曲共に、正しく『バケモノの子』の世界観を表現している」と絶賛し、映画の主題歌に選ばれたという。Mr. Childrenの桜井和寿は、「すごい映画を見てしまった。 一人の父親として、それから試行錯誤を繰り返す作家のハシクレとして、込み上げてくる感情に胸が苦しくなった」と作品の感想を語り、「この素晴らしい作品に、微力でも携われることに大きな誇りを感じています」とコメントを寄せている。一方の細田監督は、「Mr.Childrenさんと映画『バケモノの子』がコラボレーションできることを、大変光栄に思います」と主題歌決定を喜び、「映画『バケモノの子』は、ひとりぼっちの少年の成長譚であり、主題歌『Starting Over』は、少年が思春期の戸惑いを打ち破る、戦いの唄です。タイトルの"新たな出発"という意味をかみしめて、どうぞ聴いてみてください」と呼びかけた。映画『バケモノの子』は、『サマーウォーズ』(2009年)、『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)などを手がけた細田監督による、3年ぶりのアニメーション映画。バケモノと少年の奇妙な師弟関係を軸に、バケモノたちのすむ異世界「渋天街」での修行と冒険、リアルな渋谷を舞台にした壮大なアクション、そして親子の絆やヒロインとの淡い恋愛などが繰り広げられる新冒険活劇が描かれる。主人公のバケモノ・熊徹役には俳優の役所広司、熊徹の弟子である九太の青年期を染谷将太、少年期を女優の宮﨑あおいが担当。そして、ヒロインの楓を声優初挑戦の広瀬すずが演じる。そのほかにも、津川雅彦、リリー・フランキー、大泉洋、山路和弘、黒木華、宮野真守、長塚圭史、麻生久美子ら豪華キャストが名を連ねている。(C)2015 THE BOY AND THE BEAST FILM PARTNERS
2015年06月01日『サマーウォーズ』(2009年)などで知られる細田守監督の最新作で、7月11日に公開されるアニメーション映画『バケモノの子』の世界を体感できる展覧会『バケモノの子』展が、7月24日~8月30日に東京・渋谷ヒカリエで開催される。本展示では、『時をかける少女』(2006年)『サマーウォーズ』(2009年)『おおかみこどもの雨と雪』(2012年)、そして新作『バケモノの子』に至る細田監督作品の絵コンテや背景美術などの展示に加えて、話題のクリエイターとコラボした体感型展示コーナーを設置。細田監督と多くのスタッフが作り上げた映画の魅力に迫る。さらに、『バケモノの子』をはじめ、過去作のオリジナルグッズが販売される「スタジオ地図SHOP」も併設する予定だという。『バケモノの子』は、細田監督の3年ぶりとなるアニメーション映画。バケモノと少年の奇妙な師弟関係を軸に、バケモノたちのすむ異世界「渋天街」での修行と冒険、リアルな渋谷を舞台にした壮大なアクション、そして親子の絆やヒロインとの淡い恋愛などが繰り広げられる新冒険活劇が描かれる。主人公のバケモノ・熊徹役には俳優の役所広司、熊徹の弟子である九太の青年期を染谷将太が、少年期を女優の宮﨑あおいが担当。そして、ヒロインの楓を声優初挑戦の広瀬すずが演じる。そのほかにも、津川雅彦、リリー・フランキー、大泉洋、山路和弘、黒木華、宮野真守、長塚圭史、麻生久美子ら豪華キャストが名を連ねている。(C)2006 TK/FP(C)2009 SW F.P.(C)2012 W.C.F.P(C)2015 B.B.F.P
2015年04月23日『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』で知られる細田守監督の最新作『バケモノの子』が2015年7月に公開されることが発表された。12月11日(木)、東京・有楽町の東宝本社で行われた記者会見で発表された。すでにフランスでの公開も決定している。人間界<渋谷>とバケモノ界<渋天街(じゅうてんがい)>という交わるはずのない2つの世界に生きる、ひとりぼっちの少年とひとりぼっちのバケモノ。ある日、少年はバケモノの世界に迷い込み、バケモノ・熊徹(くまてつ)の弟子となり、九太(きゅうた)という名前を授けられる。その偶然の出会いが、想像を超えた冒険の始まりだった…。自身が立ち上げたアニメーション映画制作会社「スタジオ地図」の第1回企画・制作作品である『おおかみこどもの雨と雪』(’12)が興収40億円突破の大ヒットを記録し、第36回日本アカデミー賞では、「最優秀アニメーション映画賞」を受賞した細田監督。誰もが共感できる身近で普遍的なテーマ性と、「ファンタジックでありながらリアル」という相反する設定がミックスされた細田監督独自の世界観は、新作『バケモノの子』でさらにパワーアップする。前作『おおかみこどもの雨と雪』で問いかけた“新しい家族観”を継承し、孤独を抱えたバケモノと少年の出会いと冒険を活写する。以下、細田監督からのメッセージ「現代社会の変容とともに、家族観も変化するのは必然です。旧来の伝統的な家族観はもはや参考にならず、私たちは、家族の新しいあり方を模索しなければならない瀬戸際に立たされています。新しい子どもたちは何を道しるべに成長すればよいのか。また新しい大人である私たちは、子どもたちにどんな姿を見せ、何を手渡してあげられるのか。この映画を通して共に考えていけたらと思っています」。「『バケモノの子』は、ひとりぼっちの不幸な少年が、強いけれど身勝手な独り身のバケモノと出会い、想像を超えた冒険をする物語です。子どもたちは、バケモノとの修行と冒険が、心躍るおとぎ話になるように。若者たちには『自分は何者であるか』という彼らの時期の切実な問題に、寄り添い励ましてあげられるように、そして大人たちにとっては、少年とバケモノの唯一無二の絆を通じ、大きな充実感と幸福感が得られるように。エンターテインメントの作法に則り、あらゆる世代が楽しめる清々しい映画を目指します」。細田監督は1991年、東映動画(現・東映アニメーション)に入社し、アニメーター、演出家として活躍。『ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島』(’05)などを監督した後、フリーランス第1作目『時をかける少女』(’06)を完成させた。同作は日本アカデミー賞の「最優秀アニメーション作品賞」や、仏アヌシー国際アニメーション映画祭の「長編部門特別賞」などを受賞し、国内でロングランヒットを記録。オリジナル脚本で臨んだ2009年公開の『サマーウォーズ』もスマッシュヒットを飛ばし、米アニー賞の「最優秀監督賞」にノミネートされた。『おおかみこどもの雨と雪』は世界90の国と地域で配給された。『バケモノの子』は2015年7月11日に公開。(text:cinemacafe.net)
2014年12月11日作曲家・佐村河内守(さむらごうち・まもる)の新作「ピアノ・ソナタ第2番」の完成発表会が、6月13日に東京・銀座のヤマハホールで行われた。「佐村河内守 作曲 ピアノ・ソナタ第1番&第2番 世界初演ツアー」の公演情報1963年、被爆二世として広島に生まれ、4歳から母親によるピアノの英才教育を受けた佐村河内守。35歳のときに両耳の聴力を完全に失うも、絶対音感だけを頼りに作曲活動を続け、「交響曲第1番《HIROSHIMA》」を完成。NHKなどで紹介されたのを契機に大反響を集め、CDセールスはオリコン総合チャート2位、17万枚以上を記録している。今回発表の新作は、東日本大震災の被災地に捧げる鎮魂の曲。だが「自分のような人間が曲を書く資格があるのか」と葛藤を重ねたという。「3.11の後、様々な人が被災地を励まそうと行動されましたが、私は勇気がなくて何も出来ませんでした。その後、私の交響曲が、被災地で“希望のシンフォニー”と呼ばれていると聞いた時も、最初は『何かの作り話だろう』と信じられませんでした。でも、CDがどこよりも一番売れているのが仙台だと知ったとき、素直に涙がでて、背中を押してもらうことができた」と作曲を決意したことを述べた。震災で母親を失った石巻の少女と交流を続け、彼女のために「レクイエム」を作曲した佐村河内。今年3月に石巻の湊小学校で初演された模様が、NHKスペシャルで取り上げられた。その「レクイエム」をさらに拡大・昇華させたのが「ピアノ・ソナタ第2番」。約30分の長大なピアノ曲は、超絶技巧が駆使され、祈りと悲哀に満ちた壮大な作品となった。作曲は非常に難航を極める。少しでも死者の痛みを知りたいと熱望し、寒さも厳しい今年2月に宮城県女川町で6時間も野営を続けた。「疲れ果てて明け方を迎えたとき、大きな鉄の扉が開いたように感じました。亡くなった方々の魂に『曲を書けよ』と許してもらえた気がしたんです。それから音符が次々と降りてくるようになりました。普通のレクイエムは、生者が死者を悼むものですが、この曲は逆。震災で亡くなった方には、ぶつけようのない怒り、苦しみがある。その思いを生者に知ってもらうことで魂が救われる、そんな曲にしたかった」という。自身が広島出身で被爆二世でもあることから「3.11を風化させてはいけない」という思いも強い。「私が子どもの頃は、8月6日には原爆のことが大きく取り上げられていましたが、それも年々少なくなり、風化していく危機感をずっと感じています」と切実に語る。佐村河内守の新曲「ピアノ・ソナタ第2番」収録したCDは、日本コロムビアより10月に発売予定。併せて、世界初演ツアーの開催も決定。チケットの一般発売は7月6日(土)10時より開始。また一般発売に先駆け、チケットぴあではインターネット先行を受付中。
2013年06月17日「花は『こんなお母さんになりたい』という僕の憧れを形にした存在」―。『おおかみこどもの雨と雪』で自らが作り上げたヒロインを細田守監督はそんな言葉で表現する。『時をかける少女』『サマーウォーズ』と国内外で高い評価を得てきたが、本作に関しては「これまでとは違ったアプローチだった」とも。改めて作品に込めた想いを聞いた。その他の写真おおかみおとこの彼との間にふたりの子を授かるも、彼を失い母子3人となってしまった花。試行錯誤を繰り返しつつ子供たちと共に成長していく彼女の姿を描き出す。親となった友人の姿を見て「母親というのはすごくヒロイックな存在だと気づいた」と本作の着想を語る監督。自身に子育て経験はないが、まさにこの点こそが自らの体験や心情に基づいて作られた前2作との違いでもある。「元々、僕はヒーローに対する憧れがないんです。ひとりのヒーローが世界を救うなんてのは違うだろうって。これまでの作品の主人公にもそれは反映されてます。自分と地続きの日常に物語があったんです。逆に今回は体験しようがないことだからこそ思い切り理想と憧れを反映させましたね。それはまさしくヒーローものの作り方といえます」。経験がないからこそ感じたい。そんな想いは花の声を務めた宮崎あおいに対する「“母親”を演じようとしなくていい」という指示にも表れている。「あおいさんも子育て経験はないけれど、映画を通じて一緒に花の気持ちを新鮮に体験してほしかったんです」。人気スタイリストの伊賀大介が登場人物たちが着る服のスタイリングを手がけているのも新たな試みのひとつ。監督は「13年という長い年月を表現する上で多くの衣裳が必要でした。シーンごとの登場人物の気持ちを服で表したかった」とその意図を明かす。特に強い思い入れを持っているのが、花がデートで着る青いワンピース。「『美女と野獣』のベルもそうですが、青いワンピースの女性は素敵でしょ(笑)。映画の中で“お姫様”が着る服として伊賀さんにリクエストしました。あおいさんが実際に着たら? そりゃ似合うでしょ! ぜひ着ていただけたらうれしいですね(笑)」。その顔には母親のような(?)優しい笑みが浮かんでいた。『おおかみこどもの雨と雪』公開中取材・文・写真:黒豆直樹
2012年07月31日『時をかける少女』『サマーウォーズ』の細田守監督の新作『おおかみこどもの雨と雪』で、菅原文太、染谷将太、谷村美月、麻生久美子が声優を務めることが発表された。その他の写真『おおかみこどもの雨と雪』は、“おおかみおとこ”と結婚し、“雨”と“雪”というふたりの子を授かった人間の女性・花が、都会を離れて自然の豊かな土地で懸命に子どもを育てる姿を描いた物語。主要キャストとして“おおかみおとこ”を大沢たかおが、母親・花を宮崎あおいが担当することが決定している。本作で菅原文太は、都会からやってきた花たち家族を助ける、村の長老のような存在の韮崎を演じ、厳しい自然の中で、自給自足の生活をしようと奮闘する花に、農作業の手ほどきをするという。自身も山梨県で農業を行なっている菅原は、「日本の農業は、戦後50年である意味死んでしまったんだ。農業というものはもっと単純で、本当は楽しいもの。風や水や空気に囲まれてコツコツと作っていくものなんだということを、“おおかみこども”たちが今の若い日本人に気付かせてくれるといいね。監督、そういう作品を作りな」と力強く語っている。本作は、海外で定評の高い細田監督作品とあって、既に8月29日(水)からフランスで公開されることが決定している。『おおかみこどもの雨と雪』7月21日(土)より全国東宝系にてロードショー
2012年05月30日作・演出家のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)と、女優・広岡由里子との演劇ユニット「オリガト・プラスティコ」。その第5弾となる『龍を撫でた男』が、2月3日(金)、東京・本多劇場にて初日の幕を開ける。初日前日の2日、通し稽古が行われた。『龍を撫でた男』チケット情報精神病医の佐田家則は、妻の和子とその弟・秀夫、義母との4人暮らし。かつて事故でふたりの子供を亡くしており、そのショックから義母は精神に異常をきたしてしまっている。正月、そんな佐田家を訪れた、家則夫婦の知人で劇作家の綱夫と舞台女優の蘭子兄妹。綱夫は和子に、秀夫は蘭子に気があり、また蘭子と家則はちょっとワケありの様子だ。5人の思惑が交錯する中、「異常心理学会創立準備委員」と名乗る男たちまでもが現れて……。作・福田恆存、演出・KERAという、なんとも意外かつ、ワクワクする組み合わせが実現した。福田は評論家としても著名なだけに、硬い文章を想起する人も多いかもしれない。だが『龍を撫でた男』というタイトルからも分かるように、その文体はどこかユーモラス。さらに人間という愚かな生き物に対する優しい眼差しが、セリフの端々から感じることができる。恐らくKERAが本作に惹かれたのも、そんな点にあったのではないだろうか。そしてKERAは、その福田の世界観を過度に現出させることなく、それでいて行間には彼らしい過剰さもしっかり忍ばせる。もちろんそれを体現できる、KERA作品おなじみの役者陣が担ったものの大きさは言うまでもない。夫として、そして精神病医として妻を見守り、そして苦悩を募らせていく家則を演じるのは、山崎一。彼の中に積み重ねられていった、佐田家の負の要素。それゆえの微妙な変化を見せられるのは、やはり山崎の高い演技力あってこそだろう。和子役の広岡由里子、綱夫役の大鷹明良、蘭子役の緒川たまきは、感情の起伏、間合い、話し方など、正気と狂気の境界線上にいる人間ならではの見せ方が絶妙。狂気をさまよう人間の、切なさまでもが伝わってくるようだ。また秀夫演じる赤堀雅秋は、いい意味での気持ち悪さを醸し出し、その存在を強く印象づけた。本作の登場人物たちは、山崎演じる家則以外、何かしら皆精神を病んでいる。ゴーリキーの『どん底』の歌詞のように、暗い牢屋の中で、鉄の鎖に捕らえられてしまっているのだ。だが果たして牢屋にいるのは自分なのか、相手なのか。そして人生で真に望むべきものは、新しい冒険なのか、日々の繰り返しなのか。狂気と正気の差はまさに紙一重。辛辣なラストに、その答えを見た気がした。公演は同劇場にて2月12日(日)まで。チケットは発売中。文・野上瑠美子
2012年02月03日『時をかける少女』(’06)、『サマーウォーズ』(’09)と幅広い世代に支持されるアニメーションを手がけてきた細田守監督の最新作が2012年夏に公開されることが決定。これを受けて12月13日(火)、都内某所にて記者会見が行われ、細田監督とプロデューサーの奥田誠治が出席。全世界の期待を集める最新作の一端を明らかにした。前2作では“青春”や“家族”といった普遍的なテーマとクオリティの高いアニメーション映像で国内外から高い評価を得た細田監督。最新作『おおかみこどもの雨と雪』でも磐石の布陣で臨む。前2作からの続投で脚本を担当するのは、今年大ヒットを記録した永作博美&井上真央主演の『八日目の蝉』の脚本を務めた奥寺佐渡子。さらに、キャラクターデザインを『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの貞本義行が担当。細田監督の出身地である富山県を舞台に、“おおかみおとこ”との間に授かった2つの命を懸命に育てる19歳の人間の母親の奮闘記をファンタジックに描き出す。現在製作中の本作について、細田監督は「(今回は)“お母さん”が主人公です。母親の理想像と言えるような凛とした、背筋が伸びた素敵な女性を描きたいなと思いました」と説明し、人間と“おおかみおとこ”の間に誕生する“おおかみこども”たちについては「(主人公の)花が育てていく子供たち2人がかわいらしくて、活き活きとしていて、バイタリティにあふれています」と愛しそうに我が子を紹介し“親バカ”っぷりを見せた。また、本作のテーマを“親子の絆”に据えたきっかけは自身の友人に子供が誕生したことだと明かす監督。「友人たちが子供を可愛がっているのを見ていると、素晴らしいなと思えて。そういった当たり前なものへの憧れをそのまま映画にしてみました」。実は、3月の大震災の際には映画製作のために設立したスタジオで初打ち合わせをしていたという細田監督はそこで被災体験もしたそうで「影響はあります。震災以降、世界が変わってしまいました。親子というテーマを強くしたきっかけにもなりました」と神妙な面持ちで語った。日本での成功はもちろん、世界各国にファンをもつ細田監督の最新作とあって海外での評価も気になるところ。プロデューサーを務める奥田氏は「前作(『サマーウォーズ』)ではベルリン映画祭での上映で多くのヨーロッパの方々に楽しんでいただきました。今回はさらに大きく、“細田アニメ”を世界で展開させていこうと思っております。ぜひ、お楽しみに」と含みのある言葉で本作への期待を煽った。ジブリ作品を始め、“ジャパニメーション”と呼ばれる良質な日本アニメの一翼を担う力作となりそうだ。『おおかみこどもの雨と雪』は2012年7月、全国東宝系にて公開。■関連作品:おおかみこどもの雨と雪 2012年7月、全国にて公開© 2012「おおかみこどもの雨と雪」製作委員会
2011年12月13日