比叡山延暦寺を開山し、日本天台宗の開祖として知られている僧侶・最澄。彼の1200年遠忌を記念した『伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」』が11月21日(日)まで東京国立博物館で開催されている。2020年は天台宗を開いた最澄の1200年遠忌にあたる年。釈迦の教えのなかでも法華経こそが完全円満な究極の教え(円教)である、と戸板中国・随時代の天台大師 智顗(ちぎ)の理念を学んだ最澄は比叡山延暦寺を創建。その後、中国に渡って知見をさらに深め、日本天台宗を打ち立てた。日本天台宗の特色は、最澄が中国で学んだ密教、禅、そして大乗戒(戒律)、そして円教を柱としていること。この最澄の教えに導かれ、延暦寺は現在までに多くの高僧のみならず、栄西や親鸞、法然に日蓮、道元などの祖師(新しく宗派を開いた僧)を排出している。本展では延暦寺の宝物をはじめ、全国各地の天台宗の寺院が守り伝えてきた秘仏や絵画、書の数々を6章構成で紹介していく。展示空間より展覧会は波乱に満ちた最澄の足跡を名宝から辿る「最澄と天台宗の始まり―祖師ゆかりの名宝」から始まる。最澄は鑑真が日本に持ち込んだ経典により智顗の教えを知り、唐でより一層学びを深めていく。帰国後の最澄はこれまでの寺院とは異なる独自の路線を歩み、日本天台宗を作り上げていった。重要文化財《伝教大師(最澄)座像》鎌倉時代・1224年 滋賀 観音寺重要文化財《薬師如来立像》平安時代・11世紀京都 法界寺最澄の没後、弟子たちは教えを受け継ぎ、天台宗をより発展させていく。つづく「教えのつらなり―最澄の弟子たち」の章では、彼らにより天台密教の基盤が築かれ、やがて比叡山の山中約300か所の聖地を礼拝してまわる延暦寺独特の修行「回峰行」が創始されるなど、独自の進化の過程をたどっていく。重要文化財《両界曼荼羅図》 平安~鎌倉時代・12~13世紀大阪 四天王寺《護法童子立像》 鎌倉時代・13世紀滋賀・延暦寺10世紀半ばになると、天皇や藤原氏から厚い信任、経済的な後ろ盾を得て、天台宗は最盛期を迎えていた。その一方、天台宗の僧・源信は極楽往生のためのマニュアル本『往生要集』を執筆、後の法然や親鸞に多大な影響を与えることとなった。「信仰の高まり―天台美術の精華」の章では、後の日本仏教に多大な影響を与えた天台浄土教の美術を中心に紹介する、続いて「教学の深まり―天台思想が生んだ多様な文化」の章では、法華経の思想をもとに発展した中世天台宗の様相を諦観する。中世になると、もともとは天台宗で仏教を学んでいた法然や親鸞、日蓮らが鎌倉新仏教の祖師として台頭。また、日本の神々は仏が姿をかえたものであるとする本地垂迹説をもとに、比叡山の鎮守である日吉山王社への信仰も盛んになっていった。《六道絵》は、源信が表した『往生要集』に基づいて描かれた、輪廻転生で行き来する6つの世界を描いたもの。《日吉山王本地仏曼荼羅図》、《日吉山王曼荼羅図》はともに比叡山に鎮座する神々を、仏の姿を借りて描いたものだ。国宝《六道絵》鎌倉時代・13世紀 滋賀・聖衆来迎寺左:《日吉山王本地仏曼荼羅図》鎌倉時代・14世紀 東京国立博物館右:重要文化財《日吉山王曼荼羅図》鎌倉時代・14世紀 滋賀・百済寺全国に影響力を持っていた比叡山延暦寺は、その影響力ゆえに織田信長により焼き討ちを受け、壊滅的な被害を受けてしまう。しかし、豊臣秀吉や徳川将軍家の尽力により復興していく。この復興に寄与したのが108歳まで生きた僧侶、天海だ。天海は東照宮や輪王寺を日光に整備し、上野に寛永寺を創建するなど、関東での天台宗発展の基礎を築いた。「現代へのつながり―江戸時代の天台宗」の章では、江戸天台の数々の至宝を取り上げる。左:木村良琢・画天海・賛《東照大権現像》江戸時代・17世紀 滋賀・聖衆来迎寺右:重要文化財 康音作《慈眼大使(天海)座像》 江戸時代・1640年栃木・輪王寺そして、最終章「全国への広まり―各地に伝わる天台の至宝」では、全国各地の天台宗の様相を浮かび上がらせていく。比叡山延暦寺「根本中堂」の一部再現本章では、比叡山延暦寺の総本堂「根本中堂」を再現展示。現在の根本中堂は、織田信長の焼き討ち後、徳川幕府の援助を得て再建されたもの。内陣の中央には最澄が自作したと伝えられる秘仏《薬師如来像》が鎮座し、その前には最澄が灯して以来、消えたことがない「不滅の法灯」が安置されている。会場では、この堂内の様子が再現されており、その空間を体感することができる。そして、天台宗各地の仏像が並ぶコーナも。東京・深大寺の《慈恵大師(良源)座像》は、展覧会には初めてでる肖像仏。通常は50年に1度開帳される秘仏で、厄除け大使として熱く信仰されている。出開帳はなんと205年ぶりとなる。良源は『往生要集』を表した源信の師としても知られている。《十二神将立像》 鎌倉時代・13世紀愛知 瀧山寺《慈恵大師(良源)座像》鎌倉時代・13~14世紀東京 深大寺本展では、各寺院で「秘仏」とされるものも複数展示され、さらに比叡山の儀式や修行の様子を修めた映像も展示室内で多数放映されている。この機会に最澄と天台宗の1200年以上にわたる歴史を紐解いてみよう。構成・文:浦島茂世【開催情報】『伝教大師1200年大遠忌記念 特別展「最澄と天台宗のすべて」』2021年10月12日(火) ~ 2021年11月21日(日)、東京国立博物館平成館にて開催※事前予約制
2021年10月20日俳優の岡宮来夢が、8月29日に世界文化遺産 比叡山延暦寺で、配信ライブ「世界文化遺産 比叡山延暦寺ライブ2020」を行なった。2019年からミュージカル『刀剣乱舞』 シリーズに鶴丸国永役として出演し、抜群の歌唱力でも話題を呼ぶ岡宮。今回の配信ライブは昼の部、夜の部と2回にかけて行われた。公演売上の一部は、新型コロナウィルスの対応を行なっている医療従事者へ募金される。配信は朗読劇パートとライブパートにわかれており、昼公演は東塔、夜公演は阿弥陀堂が舞台となった。岡宮は幻想的な扮装で現れ、「猿と書いて、えん」と名乗る。猿により、1571年の織田信長による延暦寺焼き討ちの様子が読み上げられ、岡宮は信長、豊臣秀吉、明智光秀、そして延暦寺の僧など、歴史の重要人物たちを朗々とした声音で演じ分けた(『炎の暁に刻の思いをはぜる』)。さらにもう1本、猿自身を思わせるような男が登場する、違う時を生きる男女の恋物語も(昼の部:『猿が語る夢綴り ー楽ー』 夜の部:『猿が語る夢綴り ー哀ー』)。延暦寺内の様子と朗読がリンクし、世界を創りあげていた。ライブパートでは一転、岡宮自身に戻り、立て続けに2曲披露すると目の前にいない観客に向けて「盛り上がっていますか〜!? 歓声ありがとうございます!」と明るく語りかける。「このお話をいただいてから一生懸命練習してきて、自信を持ってやれているので、今日1日で比叡山ライブが終わってしまうのは寂しい気がします」と心境を吐露。「比叡山延暦寺に撮影で来させていただいた時もすごく思ったんですけど、ものすごいパワーを感じます。1200年この場所を守ってきたわけですから」「いろんな場所を巡らせていただいて、写真を撮らせていただいて、どこにいても霊力の高まりを感じます」と場所の持つ力を感じている様子だった。最後の曲「ソライロ」の前には、「この曲でラスト、すごく寂しいです。またやりたいなあ、比叡山延暦寺ライブ。今後とも僕も自分の力を持てる限り全て出して、応援してくださるみなさんに恩返しができたらなと思ってますし、暗いニュースが続く中で、少しでもみなさんの心が明るくなる、優しい気持ちになれる活動をしていけたらと思っています」と思いを新たに。さらに「こんな素敵なところでできるなんて、自分の人生の中でもあるのか。想像してないですからね」と笑顔を見せる岡宮。「コロナ禍で自分もできなくなったお仕事もあったりして、寂しい、悔しい思いをしてきたところは少なからずあったんですけど、スーパーポジティブシンキング人間なので、生きてればなんかいいことある、みたいな気持ちをすごい持ってる。悔しい思いをすることはあるけど、前を向いて、充電期間と捉えたり、自分のマインドが明るくなるような考え方を常にしています。そういうパワーをみなさんに与え続けられたらと思います」とファンへのメッセージを贈った。同公演は、イープラス「Streaming+」で、9月12日20時より昼の部、9月13日20時より夜の部の再ライブ配信が決まっている。○セットリスト朗読劇・『炎の暁に刻の思いをはぜる』・『猿が語る夢綴り ー楽ー』(昼の部) / 『猿が語る夢綴り ー哀ー』(夜の部)ライブ・「Wherever you are」・「Don’t tell me lies」・「Breath of memories」(昼の部) / 「朔を見る」(夜の部)・「親愛なる君に」・「ソライロ」
2020年09月01日俳優の岡宮来夢が、世界文化遺産 比叡山延暦寺で配信ライブ「世界文化遺産 比叡山延暦寺ライブ2020」を開催することが23日、明らかになった。岡宮は2019年からミュージカル『刀剣乱舞』 シリーズに鶴丸国永役として出演し、抜群の歌唱力でも話題を呼ぶ。6月には初の単独イベントを生配信で行い、その場で「世界遺産で朗読をする」と発表をしていた。「世界文化遺産 比叡山延暦寺ライブ2020」は8月下旬に開催予定。詳細は決まり次第、随時発表となる。○岡宮来夢 コメントこんな貴重な機会を頂けるなんて夢にも思っていませんでした。皆様に心から感謝です。配信ライブということで、画面越しでお届けすることになりますが、自分が持っている全てで見てくださっている皆様を熱くできるように全身全霊で挑みたいと思います。前半が朗読劇、後半がライブでの構成を予定してしています! 初めてのことだらけです。皆様お楽しみに!一緒に最高の時間を過ごしましょう!!
2020年07月23日企画展「ゲゲゲの鬼太郎と比叡山の七不思議展」が、2019年10月12日(土)から12月8日(日)までの期間、滋賀県・比叡山延暦寺内にある非公開の大書院特別公開に併せて開催される。「ゲゲゲの鬼太郎と比叡山の七不思議展」は、比叡山延暦寺に古くから伝わる妖怪たちと、漫画『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する妖怪キャラクターの日本画が並ぶ絵画展。会場は、国の登録有形文化財に指定されている大書院だ。唐破風の車寄を持つ玄関棟、旭光の間と呼ぶ大客室棟、観月台を持つ2階建の居間棟で構成されており、技術的にも優れた質の高い和風建築として知られる。通常は非公開となっている。そんな大書院に、歴史ある京都豊和堂の絵師による新作7点を含む計20点の日本画が展示される。夜になると、一つ目・一本足の恐ろしい姿で、寺の戒律を守ったと言われる「一つ目僧」や、真っ白な眉毛を一文字にひいた大狸「一文字狸」といった妖怪作品を、応接室や旭光の間など、各部屋の趣に合わせて展示。普段見ることのできない書院造の建物で、奇妙な妖怪たちの姿を探してみては。また会期中は、展示作品をモチーフにしたオリジナルのクリアファイルやポストカードも数量限定で販売。「一文字狸」や「一つ目小僧」などの妖怪と「ゲゲゲの 鬼太郎」がコラボレーションした7作品での展開となる。そのほか、延暦寺会館の喫茶「れいほう」では「ゲゲゲの鬼太郎」をモチーフにした限定メニュー「ゲゲゲの鬼太郎ラテ」を提供する。【詳細】ゲゲゲの鬼太郎と比叡山の七不思議展会期:・前期 2019年10月12日(土)~10月31日(木)・後期 2019年11月6日(水)~12月8日(日)時間:10:00~16:00※拝観受付は15:30まで会場:比叡山延暦寺 大書院住所:滋賀県大津市坂本本町 4220拝観料:大人・中高生 1,000円、小学生以下 無料※拝観料以外に延暦寺巡拝料が別途必要、当日大書院受付にて購入。特典:先着1,000名にコラボレーションポストカード1枚プレゼント■「ゲゲゲの鬼太郎と比叡山の七不思議展」オリジナルコラボレーショングッズ〈数量限定〉販売場所:大書院 展示会場展開アイテム:・クリアファイル 440円・ポストカード 220円※いずれも税込価格■期間限定メニュー「ゲゲゲの鬼太郎ラテ」価格:700円(税込)場所:延暦寺会館 喫茶「れいほう」営業時間:7:00〜20:00(年中無休)
2019年08月16日2017年8月11日(金・祝)~20日(日)の10日間、比叡山延暦寺で観光客向け無料参加イベント「世界文化遺産 比叡山延暦寺への誘い 2017夏」が開催されます。いけばなパフォーマンスと天台声明のコラボレーション、大阿闍梨のご法話、太鼓やジャズステージなどの多彩なイベントを通して、延暦寺の魅力に触れてみませんか?比叡山延暦寺でプレミアムな体験を比叡山延暦寺の魅力を伝えるため、2年前からおこなわれているこのイベント、一昨年と昨年の会場はJR京都駅前でした。今年は延暦寺に場所を移しての開催で、事前応募で参加できるイベントと、来山者が気軽に参加できるイベントが企画されています。映像や写真パネル展示の多言語対応なども拡充されているそうなので、外国人のお客さまをお連れしても喜ばれそうですね。なお、今年は「建立大師相応和尚一千百年御遠忌」に当たり、通常入ることのできない仏様の祀られる釈迦堂の内陣の特別拝観が実施されるそうです。それでは、「プレミアム」な企画の数々をご紹介しましょう。●いけばなパフォーマンス+天台声明公演&笹岡隆甫氏講演会(事前予約制)華道「未生流笹岡」家元・笹岡隆甫氏による「いけばな」パフォーマンスと、伝教大師最澄が中国より伝え、今に伝承されてきた荘厳なる仏教音楽「天台声明」の共演のあと、笹岡隆甫氏から「いけばなの新しい伝統の姿」についてお話いただきます。日時:2017年8月12日(土)13:00~15:30会場:延暦寺会館大ホール(事前予約制 / 参加料:無料)定員:200名参加方法:特設ウェブサイトより申し込み●北嶺大行満大阿闍梨上原行照師によるご法話・お加持(事前予約制)山修山学の道場・比叡山延暦寺で命をかけて苦行に臨み、満行された大阿闍梨・上原行照師のお話を伺います。日時:2017年8月13日(日)13:30~15:00会場:延暦寺会館大ホール(事前予約制 / 参加料:無料)定員:100名参加方法:特設ウェブサイトより申し込み●いざないステージびわ湖大津にゆかりの深い太鼓、そしてジャズなどの音楽バンドによるライブです。日時:2017年8月12日(土)11:30~/14:30~Mather Lake Jazz Orchestra(Jazz演奏)12:30~ 比叡山高校華道部(ライブいけばな)13:30~/15:30~Bless(アカペラ)8月13日(日)10:30~/13:30~アンサンブルBlue Sky(Jazz演奏)11:30~/14:30~和太鼓集団湖鼓RO(和太鼓演奏)12:30~/15:30~凛ひとえ(バンド演奏)会場:一隅会館前特設ステージ(事前予約:なし / 観覧料:無料)●延暦寺「灯」スタンプラリー山全体が境内である比叡山延暦寺の東塔・西塔・横川のエリアに設置された4つのスタンプ設置場所で「灯」を集めるスタンプラリーです。すべてのスタンプを集めると、達成賞(カラビナ付ボトル(500ml))のプレゼントがもらえます(先着100名)。日時:2017年8月11日(金・祝)~15日(火)10:00~16:30ラリーポイント:1.根本中堂(東塔)2.延暦寺会館(東塔)3.釈迦堂(西塔)4.横川中堂(横川)ラリー用紙配布・達成賞引換場所:総合インフォメーション(東塔/一隅会館前)(事前予約:なし / 参加料:無料)●ご朱印シートプレミアムプレゼント(各日先着100名)比叡山延暦寺の3つのエリアで集められるご朱印の数は全部で14。集めたご朱印を貼って飾れる大型ご朱印シート(横型)が、希望の方にプレゼントされます。配布日時:2017年8月11日(金・祝)~15日(火)10:00~16:30配布場所:総合インフォメーション(東塔/一隅会館前)(事前予約:なし / 無料)●山内観光プチガイドツアー東塔エリアを中心に30~60分で巡れるルートを、地元の観光ボランティアガイドが案内してくれる「プチガイドツアー」が定期的に開催されます。短い時間で、延暦寺について深く知ることができますよ。日時:2017年8月11日(金・祝)~15日(火)10:00~16:00の内、随時受付場所:総合インフォメーション(東塔/一隅会館前)協力:比叡山坂本観光ボランティアガイドの会「石積み」(事前予約:なし / 参加費:無料)●比叡山延暦寺を紹介するパネル展・映像上映「建立大師相応和尚一千百年御遠忌」や「根本中堂平成の大改修」など、2017年ならではのテーマに加え、「花鳥風月」、「山修山学の道場」といった7つのテーマで、比叡山延暦寺の写真パネルが展示されます。また、「神と仏がいきるまち」をテーマに、延暦寺と門前町坂本を映像で紹介。日本語・英語の二カ国語に対応しています。日時:2017年8月11日(金・祝)~20日(日)8:30~16:30会場:一隅会館(東塔)(事前予約:なし / 拝聴料:無料)※延暦寺会館および夏色フェスタ会場への入館入場には、巡拝料(大人700円)が必要です。いかがでしたか?世界文化遺産・比叡山延暦寺をより深く知ることができる、絶好の機会になりそうですね。
2017年08月02日