アールストアは、"泊まれる本屋"をコンセプトとした外国人観光客向けホステル「BOOK AND BED TOKYO」を東京・池袋に開業すると発表した。オープン予定は2015年9月末。「BOOK AND BED TOKYO」は"泊まれる本屋"をコンセプトに作られた、外国人観光客および国内旅行者向けのホステル。デザインを手掛けたのは、建築家・谷尻誠氏と吉田愛氏が率いる建築設計事務所「SUPPOSE DESIGN OFFICE」で、客室内には本棚に埋め込まれたベッドを設置。「本を読んでいたら、いつの間にかマブタが重くなり気づいたら朝だった」という幸せな"寝る瞬間"を提供したいという。所蔵本のセレクトは、本のセレクトショップとして人気の「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」が担当。洋書はもちろん、日本人向けの書籍も充実させるとのこと。ラウンジスペースは、デイタイムに限り宿泊者以外にも開放される。なお、ブックセレクトを手掛けた東京・渋谷の「SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS」店内では、7月13日~25日の期間、本ホステルの一室を再現したスペースをオープン。本棚に埋め込まれたベッドなどが展示されるという。
2015年07月13日「本屋に住みたい」それは、読書好きであれば一度は抱く夢だ。とはいえ、現実的に考えて「本屋に住む」ことは不可能なので、「住めたらいいよねー」ぐらいのノリで終わってしまうことがほとんどだろう。だが、その夢を現実にした書店があった。1963年に神戸で創業した大手書店チェーン「ジュンク堂書店」である。同書店は、Twitter上の「ジュンク堂に住みたい」というつぶやきをきっかけに、1泊2日の「ジュンク堂に住んでみるツアー」というそのまんますぎるイベントを開催したのであった。「本屋、しかもジュンク堂に住める」という読書好きの夢がかなうチャンスだけあり、イベント関連ツイートは1万9,000リツイートされるほどの反響。ツアーの定員は3組6名にもかかわらず、6日間の募集期間中に約2,800通の応募が殺到したという。倍率は何と933倍…非常に狭き門となった。高倍率をくぐり抜けた幸運な6名は、11月1日~2日の1泊2日、東京・内幸町のジュンク堂書店 プレスセンター店で、好きに本を読んで過ごすという権利が与えられた。本レポートでは、「住まい」としてのジュンク堂書店や、本屋で暮らす「住人」たちの声をお届けする。果たしてジュンク堂の住み心地は?○「小さい」からこそ住むのにぴったりまずは3組6名の「新居」を紹介しよう。ジュンク堂書店は「B1階から9階まで全部ジュンク堂」である池袋店のような超大型店も多いのだが、プレスセンター店はワンフロアのみで広さは125坪と、比較的小さめの店舗だ。同店でイベントを実施した理由として、プレスセンター店店長兼イベント添乗員の工藤淳也さんは「3組6名が1泊2日で泊まって本を読むのにちょうど良い広さだから」と語る。広すぎる店舗では、お互いが読書をしているという空気を感じられず、ただ読んでいるだけになってしまう。「本屋に泊まる」という特別な出来事を共有するためには、この広さがベストなのだとか。店内は広くないが、霞ヶ関から徒歩圏内で、大企業の本社がひしめく千代田区内幸町という土地柄、政治・経済・金融などのビジネスパーソン向けの専門書が充実しているのが特徴だそう。「住む」にあたっては、食事やお風呂、寝床も重要な要素。夕食は、外食又は持ち込みで済ませる。入浴は、趣のある銭湯 金春湯へ。住人の中には銭湯に行くついでにラーメンを食べてきたという人もいた。寝床はキングジムが提供するキングジム「着る布団&エアーマット」(通称:オフトゥン)。その名の通り、着ることができる寝袋のようなアイテムだ。エアーマットはマットレスとしての使い方以外にも、丸めて枕にしたり、たたんで椅子にしたりすることができる。読書を楽しむためには快適な環境を作ることが大切だ。○思い思いの格好で読書を楽しむ住人たち17時にジュンク堂へ「入居」した住人たちは、オリエンテーションを受けた後、自由時間を過ごす。比較的小さい店舗といえど、並んでいる本は約15万冊。時間はイベント終了の翌朝8時までは15時間あるものの、入浴や食事、睡眠時間を引いたら、読む時間が足りないと感じるかもしれない。本屋で本を読むときは、立ったままが一般的だが、住人たちは自由な姿勢で読むことが許されている。棚により掛かる、うつ伏せで見る、あお向けで本を持ち上げて、椅子に座って…、エアーマットや持参したアウトドアチェアーを活用しながら、お店ではできないスタイルで読書を楽しむ。これもジュンク堂に「住んでいる人」だけに許された特権なのである。読みたい本がある棚の前を陣取り、じっくりと読み込む住人たち。特定のジャンルの本を中心に読む人もいれば、ふだんは読まないようなジャンルの本を求めて、店内をぐるぐる歩き回る人も。読書スタイルにそれぞれの個性が表れている。読んだ本は返却棚に戻すルールとなっており、自分や他の参加者がどんな本を読んだかがひと目で分かる。お互いに本や作家をおすすめしあうことも楽しそう。住人たちがこのツアーに参加したきっかけは、SNSで募集告知を見たからという声がほとんど。もちろん「本が好き」という人ばかりであったが、Twitterを使った告知や情報提供から、気軽に申し込めたという人が多かった。会場では、佐賀県からお茶とお菓子の差し入れも。佐賀県は、丸善&ジュンク堂書店とのコラボレーションによる、本と佐賀名産のお茶やお菓子をセットにした本ギフト「ほんのひととき」を企画発売中。住人たちは、店内でお茶とお菓子をつまみながら読書するという、何ともぜいたくなひとときを過ごした。○果たしてジュンク堂の「寝心地」は?本に囲まれて思い思いの時間を過ごした後は、食事と入浴。その後また自由時間を挟んで、消灯時間は夜25時ごろ。住人はレジ前の睡眠スペースに集まり、エアーマットを敷いて眠りについた。ここで気になるのはジュンク堂の寝心地である。住人たちは、気持ちよく眠れたのだろうか? 一夜を過ごした住人たちは、「読んでいたら眠くなって寝落ちした」「読書していたら気持ちが良くなって、電気がついていても眠れた」「『住む』という企画だから、『本を読む』だけではなく『寝る』ことも体験しようと思った」と振り返った。工藤店長は「皆さん眠らないで本を読み続けるかと思いましたが、消灯後はよく眠っていらっしゃるようでした。寝心地が良かったようで何よりです。朝5時半に起床されてすぐ本を読み始めたのにはびっくりしました(笑)。もうちょっとぼんやりされるかと思ったんですけどね」とコメントした。ちなみに工藤店長らは、夜に備えて栄養ドリンクを用意していたそうで、住人が心地よくジュンク堂に住むための裏方として奮闘していた様子が伝わってきた。○1泊2日は「あっという間」同イベントは、初めて実施されるモニターツアー。そのため、7時から行われた感想報告会では、工藤店長らと住人による、ツアーについての意見交換も時間を掛けて実施された。ツアーの感想を求められた住人は、「本好きが集まって話せるのが良い。普通の本屋では知らない人と好きな本などについて話すことがないから。その点も考えると、これぐらいの規模と人数がちょうど良さそう」「本屋で寝転がって見たことで、下段の棚に並んでいる本もじっくり見ることができた。ふだんあまりほとんど目につかないので、『こんな本があるのか』と新鮮な発見があった」「読みたい本はたくさんあって、1泊2日があっという間だった」と、ジュンク堂を十二分に満喫できた様子であった。読んだ本については「特に『読む本はこれ』と決めてきたわけではないのでパラパラといろいろな種類やジャンルの本をざっくばらんに読めた」という声もあれば、「マニアックな本も多くてよかった」「読みたいビジネス書がたくさんありすぎて迷った」という人も見られた。一方、次回からの改善点としては、「時間が足りなかったので、もっと早めのスタート時間にして欲しい」「一カ所ではなく、いろいろな場所で寝たかった」「椅子があればもっとよかった」などの意見が寄せられた。工藤店長は、住人たちの感想を聞いて「プレスセンター店は、土地柄ビジネス書が多いのですが、楽しんでいただけて何よりです」とイベントの成功を喜んでいた。また、次回について、「時間が足りないとの声がありましたが、睡眠時間などを考えるともっと早くから始めても良いかもしれません。募集にあたっては『1人でも参加したい』という声もたくさん頂いたので、それも含めて次回に生かしていきたいです。また、キングジムさんや佐賀県さんのように、他社とのコラボレーションや協賛などについても考えたいと思います」と語った。○シメは「住民票交付」で、正式な「ジュン区(堂)」民に最後に、1泊2日をジュンク堂で過ごした住人たちには工藤店長から「丸善&ジュン区 特別住民票」が交付された。名実ともに「ジュン区(堂)の住人」となった参加者たちは「ジュンク堂に住めてよかった!」と満足げな様子であった。次回の開催予定は未定だが、もし行われるならば倍率は今回以上となりそうだ。次の「ジュンク堂住人」になりたい人は是非、激戦を勝ちぬいて「本屋での暮らし」を満喫してほしい。
2014年11月07日2012年の本屋大賞を受賞した三浦しをんの小説『舟を編む』が松田龍平、宮崎あおい出演で映画化され、来年の4月13日(土)に公開されることが決定した。その他の情報『舟を編む』は、ある出版社を舞台に、ベテラン編集者、老学者、辞書に興味を持ち始めたチャラ男ら様々な人々が辞書の編集に励む姿を描いた物語。小説はすでに発行50万部を突破。『川の底からこんにちは』の石井裕也監督がメガホンを執り、このほど映画化される。社内では変人扱いされているが、人とは異なる視点で言葉を扱う才能をもつ編集部員・馬締光也を演じる松田は「辞書を作ることで、言葉と人と向き合って成長していく役が今から楽しみです」と言い、馬締の下宿の大家さんの孫娘で、板前の卵として修行に励む女性・林香具矢を演じる宮崎は「初めての石井組ですが、二度目三度目のスタッフ・キャストの方が多いので、とても楽しみにしています。石井監督のもとで香具矢という大人の女性をきちんと生きることが出来るように頑張ります」と意気込みを語っている。また石井監督は「十五年の歳月をかけて二十数万語が収録された一冊の辞書を作り上げる。小説を読んで、この途方もない作業に敢然と立ち向かっていく人間達の姿に感動しました。一つの仕事をやり遂げるために人生を賭けるとはどういうことなのか。答えは永久に見つからないかもしれませんが、悩みながら、考えながら、映画を作っていこうと思っています」とコメントしている。撮影は今月下旬から開始され、今年末に完成。来年4月13日(土)より松竹とアスミック・エースの配給で全国公開される。『舟を編む』2013年4月13日(土)丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
2012年07月13日「V6」の岡田准一が、昨年の本屋大賞に選ばれた冲方丁(うぶかた とう)のベストセラーの映画化作品『天地明察』に主演することが決定!ヒロイン役を宮崎あおいが演じるほか、中井貴一、松本幸四郎、佐藤隆太、市川亀治郎、「関ジャニ∞」の横山裕らが出演することも明らかになった。江戸時代の前期に、それまで800年にわたって使用されてきた暦の誤りを見抜き、日本独自の暦を作り上げた渋川春海の姿を描き、見事に本屋大賞に輝いた本作。『おくりびと』の滝田洋二郎監督がメガホンを取って映画化されることが発表されていたが、ついに豪華キャストが明らかに!岡田さんが演じるのは、碁で徳川家に仕えてきた碁打ち衆の家に生まれ、算術に神道など様々な知識を持ち、星をこよなく愛する安井算哲(のちの渋川春海)。会津藩の初代藩主・保科正之の命を受けて日本全国の北極星の高度を測り、その土地の位置を図る北極出地の旅に出るが、その途上で暦の重大な誤りに気づく。その誤りを正すべく暦を改革する大事業を担うことになるが、それは当時、暦を司る権力、すなわち朝廷への挑戦を意味し、さらに暦の作成には正確に星の動きを知り途方もない計算を極めねばならなかった。妻のえんやよき理解者であった水戸光圀、多くの仲間たちの支えを受け、権力から度重なる理不尽な仕打ちを受けつつも、生涯を賭けて改暦に挑戦する。また、美しく気丈な武家の娘で、やがて算哲の妻となるえんを宮崎あおいが、その兄で、えんと算哲を引き合わせる算術家の村瀬義益を佐藤隆太が演じる。ほかに“黄門さま”で知られ、算哲の理解者であり、激しい気性と凶暴とも言うべき行動力を持つ傑物、水戸藩主の徳川光圀を演じるのは中井貴一、当代きっての名君と言われる会津藩主で、算哲に改暦事業を命じる保科正之を松本幸四郎が扮する。また、幸四郎さんの息子の市川染五郎も出演。役柄は算哲の改暦事業に異を唱える公家衆のひとりということで、改暦を命じた保科とは異なる立場で映画での親子共演が実現することに。さらに、歌舞伎界からは市川亀治郎が日本数学史上に名を残す天才・関孝和役で参戦。横山裕は碁の名門・本因坊家に生まれた天才的な才能の持ち主で、算哲の良きライバルである本因坊道策を演じており、碁で岡田さんvs横山さんのジャニーズ対決も実現!?そのほか、笹野高史に岸部一徳、渡辺大、白井晃など実力派が脇を固める超豪華布陣となった。岡田さんと宮崎さんは劇団ひとり原作の『陰日向に咲く』に続いての共演。先述のように本作は昨年の本屋大賞の1位が原作だが、昨年「天地明察」(角川書店刊)に次いで2位となった『神様のカルテ』(小学館刊)も映画化が決まっており、宮崎さんはこちらにも出演。主人公の妻役で、しかも主人公を演じるのは「嵐」の櫻井翔。宮崎さんにとっては本屋大賞、そしてジャニーズを代表するスターとの“奇縁”が続くことになった。岡田さんからは今回の発表に際し「2度目の共演となる宮崎あおいさんをはじめとする豪華なキャストのみなさまや、滝田監督をはじめとするスタッフのみなさまとお仕事が出来るのを楽しみにしています。多くの方々に支えられ、まっすぐに生き、生涯を懸けて改暦という事業に邁進する男を演じることで、みなさまに勇気や希望を感じていただけるような作品にできるよう、心を込めて演じていければと思います」とコメントを発表。宮崎さんも「撮影に入る前に何度かリハーサルをしましたが、滝田監督の言葉によって“えん”という女性をリアルに感じることができているので、彼女として生きられる日々がとても楽しみです。岡田さんとご一緒させていただくのは2度目ですが、傍らにいるとなんだかホッとする方なので、その心地よい空気感の中で素敵な瞬間が沢山生まれたらいいなと思っています。多くの方に楽しんで頂けるよう一生懸命頑張ります」と意気込みを明かす。また、本作の音楽をこれまでジブリ作品や北野武監督作をはじめ、数々の映画音楽を手がけてきた久石譲が担当することも決定。久石さんも「原作と脚本を読んだ。江戸時代を扱いながら、いまの日本が忘れかけている一番大切なことを呼び起こしてくれるはずだ。滝田監督は『おくりびと』と同じように、観る人たちに勇気と希望を与えてくれるに違いない。いまから、その映像に音楽を付けるのが楽しみです」と映画への期待を語っている。豪華キャストを迎え、どのようなエンターテイメントに仕上がるのか?撮影はまもなく6月16日(木)より開始され、8月中旬にクランクアップで来年1月に完成の予定。映画『天地明察』は2012年秋、丸の内ピカデリーほか全国にて公開。■関連作品:天地明察 2012年秋、丸の内ピカデリーほか全国にて公開
2011年06月14日書店員によって選出される文学賞として、既存の歴史ある文学賞を超える大きな注目を浴びる「本屋大賞」の影響力の増大に伴って、映画界にも“観客”の視点を意識した映画賞が次々と創設!今年の春に、映画館スタッフの投票により選出する「映画館大賞」が創設されたのに続いて、全国の独立系映画館を中心に広いネットワークを持つ「シネマ・シンジケート」加盟館である全国の映画館の館主が、才能あふれる新人映画監督を発掘し、その作品を全国で上映するという新たなプロジェクト「New Director/New Cinema 2010 by シネマ・シンジケート」が発足した。「本屋大賞」に選ばれた作品が即座にべストセラーに名を連ねるのを見ても分かるように、時代が求めるのは“消費者”の視点。映画にしても同様で、プロの批評家によるレビューや評価以上に、実際に映画を観た観客の感想や採点が、実際に劇場に足を運ぶか否かを決める重要な要素になっている。いまや「口コミ」こそが映画をヒットに導く大きな武器であるのだ。そんな現状を踏まえて、今年の春には先に述べた「映画館大賞」が発足。続いて、この「映画館大賞」にも参加している全国の独立系映画館を中心に、精鋭監督を発掘すべくこの「New Director/New Cinema 2010 by シネマ・シンジケート」というプロジェクトが動き出した。記念すべき第一回作品として選ばれたのは、国内外の数々の映画祭での受賞歴を持ち、短編映画の旗手と話題を呼んでいる真利子哲也の長編劇場デビュー作『イエローキッド』。ボクサーを目指す青年の日常が、気鋭の漫画家の新作「イエローキッド」のストーリーと重なっていくという、物語で緊張感あふれるスタイリッシュな仕上がりとなっている。キャストには、『クローズ ZERO』シリーズに出演している遠藤要、『パッチギ!』、『ドロップ』など、話題の日本映画には欠かせない存在を放つ波岡一喜など、新世代のエネルギッシュな俳優陣が集結!このプロジェクトをきっかけに劇場がにぎわいを見せること、そして才能あるクリエイターが一人でも多く世に出ることを願いたい。第1回受賞作『イエローキッド』は2010年2月上旬、ユーロスペースほか全国順次公開。■関連作品:イエローキッド 2010年2月上旬、ユーロスペースほか全国順次公開
2009年11月11日