船長として、国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた、宇宙飛行士の星出彰彦さんが、およそ半年ぶりに、地球に帰還しました。星出さんは、日本時間2021年11月9日未明、地球への帰還に向けてISSを出発し、同日12時半過ぎ、アメリカ・フロリダ州の沖合に着水。その後、回収船に引き揚げられた宇宙船の扉が開き、笑顔で手を振る星出さんの姿が見られました。今後は、地球の重力に慣れるためのリハビリに入るとのことです。星出さんは、ISSに滞在中、「無重力空間で物体を回転させる」という実験動画を、Twitterにて公開し、多くの人の注目を集めていました。特に話題となったのは、こちらの『逆立ちゴマ』の動画。重力のある地上だとひっくり返る、逆さゴマ。無重力だとどうなる?What would this top do in micro gravity? pic.twitter.com/lAqaNsRpA3— 星出 彰彦 (JAXA宇宙飛行士) (@Aki_Hoshide) October 11, 2021逆立ちゴマは、その名の通り、回すと逆さまに立つコマのことです。このコマを強く回すと、すぐに軸はぶれ始め、やがて動画のように逆立ち状態になります。それでは、逆立ちゴマを宇宙で回すとどうなるのでしょうか。星出さんによる、実演動画がこちらです!では、実演。 pic.twitter.com/SmTMxbnI8K — 星出 彰彦 (JAXA宇宙飛行士) (@Aki_Hoshide) November 6, 2021 宇宙空間では、軸がぶれずに回り続けたため、逆立ち状態にはなりませんでした。コマが逆立ちするために必要な、『重力』と『地面との摩擦』が、宇宙にはないためとのことです。【ネットの声】・なんと興味深い!・何かにぶつからないと、ずっと回り続けるのかな?・答え合わせ、楽しみにしていました!面白かったです!素朴な疑問も、宇宙空間で行うというだけで、何倍も面白く感じますね。星出さんは、このような実験動画をほかにもTwitterで公開しているので、気になった人はチェックしてみてはいかがでしょうか。星出さん、ISSへの長期滞在、お疲れさまでした![文・構成/grape編集部]
2021年11月09日クリエイティブに関わる人になくてはならない企業の二大巨頭といえば、ソフトウェアのアドビとフォントのモリサワ。クリエイターなら誰もが知るこの二社の提携が、今年10月に行われたクリエイター向けカンファレンス「Adobe MAX」にて発表された。その発表は、アドビが「Adobe Creative Cloud」の中で提供しているフォントライブラリ「Adobe Typekit」に、モリサワ(およびグループ会社のタイプバンク)の提供フォント(20種)が追加されるというもの。多くのクリエイターにとって"高嶺の花"であったモリサワフォントをCreative Cloudの利用料だけで利用できるとあって、発表直後から大きな話題になった。そこで今回は、アドビ システムズ代表取締役社長 佐分利(さぶり)ユージン氏と、モリサワ代表取締役社長森澤彰彦氏に、今回のモリサワ書体追加のねらいについてお話をうかがった。――アドビも自社でフォント開発をしていますが、なぜ今このタイミングでフォントベンダー最大手のモリサワと提携を?佐分利氏:あまり知られていないかもしれませんが、モリサワとアドビはDTP創生期の1987年に森澤相談役と弊社創業者が技術提携して以来、28年におよぶ協業の歴史があります。ですので、今回はパートナーシップの一環として、お客様の要望に共同で応えたという意識が強いですね。森澤氏:社内の名刺を集めたらおそらく軽く1000枚以上、アドビさんの名刺が出てくるのではないかと思います(笑)。それくらい、密にやりとりをさせていただいております。モリサワという会社は「フォントの会社」と思っていらっしゃる方も多いと思いますが、もともとは写真植字機(写植機)を作って売っていた機械メーカーなんです。それが技術の進化によりコンピューター化されていったことにより、PCなどに搭載される「フォント」自体が今はメインとなった、という流れがあります。フォントを使ってもらうためにパソコンやプリンター、アドビさんのソフトなどはもちろんですが、これらをあわせて販売していくことで、はじめてフォントが生きてくるということなんです。――和文書体の提供に関して、日本国内でなくグローバル向けの発表を行うAdobe MAXでお披露目したのはなぜですか?佐分利氏:「Typekit」でには約1,000書体を提供していますが、大半が欧文フォントで日本語のフォントはアドビが独自開発した14書体に限られていました。日本でのオリンピック開催を前に、日本のマーケットへ進出を考える海外企業の増加も見込まれています。今後さらにアドビ製品のグローバル化を進めていくためには、日本語フォントの強化が必須となるでしょう。その点を見据えて、今回の提携はAdobe MAXでの発表となりました。この発表は随分前から内部では検討されていた案件で、社内での評価も大変高い取り組みでした。モリサワさんにとっても、Creative Cloudのユーザーが追加費用なしで高品質な日本語フォントを使用可能になることで、Webや映像など、印刷やDTP以外のメディアでの利用が増えるため、お互いに大きなメリットがあると考えています。――提供数は20書体ということですが、数多くのモリサワ書体から、これらのフォントを選んだ理由は?森澤氏:アドビさんから「こういうカテゴリの書体が欲しい」というリクエストをもらって、それに併せて提案をしました。選定にあたっては、リュウミンや太ミンなどトラディショナルなものだけではなく、メディアの多様化に伴いさまざまな使い方ができるデザイン書体なども含めています。――ウェイトがフルでそろってないので「仕事でつかう」デザイナーなどにとっては物足りないとは思うのですが、ウェイトをそろえて用意しなかったのはなぜでしょうか?森澤氏:「提供数は全部で20書体」というのがまず前提にあったからです。例えば「新ゴ」だと(ファミリーだけで7~8種類もあるので)、それだけで提供上限に達してしまうんです。――なるほど、そんな理由があったのですね。「使いやすさ、見やすさ」にも配慮したUDフォント(ユニバーサルデザインフォント)などもラインナップに含まれていますが、フォントの選定基準が何か別にあったのでしょうか?森澤氏:さまざまなメディアに向けてフォントのバリエーションを増やしたいというのもアドビさん側の要望のひとつだったので、ファミリーにとらわれず、バラエティー豊かなフォントを用意したという流れです。――ピックアップされたフォントの中でウェイトが「L」「M」中心となっているのは、やはり理由があるのでしょうか。森澤氏:以前より弊社やアドビさんのフォントを使ってくださっているDTP・デザイン業界の方々だけでなく、映像やWeb、電子書籍など、その他のジャンルでの展開を想定したためです。多様化するメディアの中で、汎用性が広いものを基準に選びました。BやHなど見た目が太いものは、どうしても用途が限られますので。――今後この2社で取り組みたい未来のビジョンについて、お聞かせいただけますか。あるいは、進行中のプロジェクトなどございましたら、そのヒントだけでも…。佐分利氏:それは秘密です(笑)森澤氏:そうですね(笑)佐分利氏:冗談はさておき、今回の提携はこれまでの28年間のパートナーシップにおけるひとつの進化であり、これからもその強力なタッグを深めていけたらと思っていますので、ぜひご期待いただければと思います。――最後に、おふたりの「一番好きなフォント」を教えてください。佐分利氏:最近だと、やはりUD(ユニバーサルデザイン)系フォントですね。モダンデザインですし、欧文フォントでもこういったデザインが人気です。森澤氏:僕はやっぱり、リュウミンですね。トラディショナルでありながら繊細で美しい書体だと思います。
2015年11月30日アドビ システムズは6日、モリサワとそのグループ会社のタイプバンクの日本語フォント計20書体を、Adobe Creative Cloud(以下、CC)ユーザーが利用できるフォントライブラリサービス「Adobe Typekit」に追加することを発表した。CCのユーザーであれば、追加料金なしで利用できる。発表と同日、日本時間の10月6日から提供が開始される。今回提供が開始されるのは、人気の高いフォント「リュウミン」を含む20書体。モリサワが提供するモリサワ書体と、グループ会社のタイプバンクが提供するタイプバンク書体よりそれぞれラインナップされている。Creative Cloud のサブスクリプションプランのユーザーは、追加費用なしで使用できる。この発表は、10月5日から米国・ロサンゼルスで開幕したアドビ主催のクリエイティブ カンファレンス「Adobe MAX」の席上で行われた。また、Adobe Typekitは、Creative Cloudのサブスクリプションユーザーに提供されているフォントライブラリ。ユーザーは同ライブラリに含まれるフォントをWebフォントやデスクトップフォントとして自由に使用可能だ。Adobe Typekitでは現在1,000種類近いフォントが提供されているものの大半は欧文フォントで、日本語フォントはアドビが独自開発した「小塚ファミリー」、「りょうゴシック」など計14書体だった。モリサワの代表取締役社長、森澤彰彦氏は、この取り組みに対して、「アドビとは、日本語DTPの創生期より、よきパートナーとして共に歩んできました。ここ数年でクリエイティブ制作環境はPCだけでなくタブレットなどへと多様化し、アプリケーションのクラウド化に伴い、フォントを使用する環境も大きく変化しています。今回、世界で最も信頼されているデザインプラットフォームであるCreative Cloud を通じて、モリサワグループ書体を提供できることは、より効率的なフォント使用環境を提供していくという当社の戦略の一環をなすものであり、細分化され多様化したメディアに対応していくための第一歩だと考えています。また、紙メディアだけでなく、ビデオやWeb などさまざまなメディア制作に携わる方にモリサワグループ書体を認知していただく非常によい機会だと考えています」と語っている。一方、アドビの社長兼CEOシャンタヌ ナラヤン(Shantanu Narayen)氏は、「アドビとモリサワは1987年から日本語の書体が持つ繊細さと美しさをデジタル時代にもたらすために協業してきました。今回、Creative Cloudが提供するサービスの一つであるTypekitの提供においてもパートナーシップを拡大することで、全世界の数百万のクリエイターに、モリサワが提供する業界標準の日本語フォントの提供を実現しました。」と述べている。○今回追加されるフォント(★印はタイプバンクの書体)・リュウミン L-KL・太ミンA101・見出しミンMA31・中ゴシックBBB・太ゴB101・見出しゴMB31・じゅん101・TB シネマ丸ゴシック ★・ちび丸ゴシックPlusK R ★・篠 -M ★・日活正楷書体 ★・ぶらっしゅ ★・サン -M ★・TBカリグラゴシック E ★・漢字タイポス415 R ★・UD 新ゴ L・UD 黎ミン L・UD 新丸ゴ L・TB 新聞明朝 L ★・TB 新聞ゴシック M ★なお、Typekitに追加されたモリサワのフォントの利用価格についての比較レポートを掲載しているので、こちらも参考にしてみてほしい。
2015年10月06日東京都・秋葉原のUDXシアターにて20日、モリサワが主宰する書体デザインコンテスト「タイプデザインコンペティション 2014」の表彰式が開催された。モリサワ 代表取締役社長 森澤彰彦氏による応募者への謝意と受賞者へ祝福の言葉から始まり、審査員長を務めたマシュー・カーター氏が、和文・欧文両部門の「モリサワ賞」受賞者にトロフィーを授与。表彰は「明石賞」、「ファン投票」へと続き、受賞者は終始、盛大な拍手に包まれた。式の最後には、カーター氏により総評が行われ、同コンペティションを「過去のタイプデザインコンペの中でも最も評価が高いもののひとつ」と位置づけ、タイプフェイスの育成、発展を促すタイプデザインコンペティションの今後に期待を込めて話を結んだ。○タイプデザイナーがそれぞれの視点を語る表彰式の後に行なわれた特別セミナー『タイプデザイナーの視点』では、3組の書体・フォント制作者が登壇し、書体制作の考え方や取り組み方、制作のプロセスについて解説が行われた。ひとつめのセッションは、アドビ システムズの山本太郎氏に、西塚涼子氏と服部正貴氏を加えた3名による「Pan CJK フォントの誕生」。アドビ システムズとグーグルにより共同開発されたPan CJK フォント「Source Han Sans」は、「4つの言語(日本語、中国語簡体字、中国語繁体字、ハングル)をカバー」、「4つの言語で一貫性のあるデザイン」、「オープンソース」といった特徴を持ち、日本では「源ノ角ゴシック」として知られる書体。各氏はこの書体が作られた経緯と目的(山本)、デザイン(西塚)、フォント制作のプロセス(服部)をスライドや動画を交えながら解説した。言語の違いによって生じるささいな画線処理の違いも「言語の地域性を表現するための重要な要素」(服部)ととらえ、中国と韓国のフォントベンダーの協力も得ながら制作を進め、7つのウエイトで合計45万8,745もの文字を作り上げたという。ふたつめのセッションは、豊島晶氏による「私と書体、私の書体」。セッションは、コレクションや趣味といった自身の紹介から始まり、次第にタイポグラフィへの興味、タイプデザインへの取り組み、これまで豊島氏が手がけてきた書体の紹介へ。続いて、「タイプデザインコンペティション 2012」で受賞を果たし、2014年に製品化された「すずむし」の制作プロセスに話が移り、自身のノートを映しながら「(書体製作にあたって)こんな雰囲気だというメモやラフをノートに書き留めるものの、具体的なスケッチは描きません」と話し、頭の中のイメージをもとに漢字もひらがなもすべてMac上で作ること、漢字を先に作りイメージを頭に入れてからひらがなを作ると心地いいものになることなど、書体作りの持論を紹介。最後に「すずむし」がカフェで作業をしながら製作されたことに触れて、「文字は気楽に、誰にでも文字は作れる。必要なのは、こういうものが作りたいという想像力と、やってみようという行動力、そして少しの忍耐力だと思います」と話し、セッションの幕を閉じた。最後のセッションは、字游工房の鳥海修氏による「書体をつくるうえで大切なこと」。鳥海氏は冒頭で「今日は"ハートで作る"という話をしたいと思います」と切り出し、京都精華大学での7年間にわたる講義の中で作られた「クリームシチュー」、「おやすみ良寛」、「おかあさん」の3書体を紹介。書体を作り終えた学生の「(書体が)完成したときは自分の子どものように思った」との言葉を紹介し、「この感覚が学生に一番感じてほしい気持ち」と喜びを交えて話した。鳥海氏は話の最後に「ハートで作る」ということについて、「タイプデザインまたは文字は、手で描くことがとても重要だと思う。ぜひとも手で描いた書体で『タイプデザインコンペティション 2016』に応募してほしい」と次回の「タイプデザインコンペティション」への期待を語り、話を終えた。2012年、2014年と2年ごとに開催されてきたモリサワ「タイプデザインコンペティション」。次回は、2016年の開催を予定している。
2015年03月30日