世の中において際限ないものといえば、人間の欲望。誰もがそんな思いを感じたことがあると思いますが、今回ご紹介する作品は、間もなく公開を迎える話題作『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』。美しい7人の女性が、1人の男性を巡って繰り広げるスリラーです。そこで、本作を手掛けたこちらの方に、お話を聞いてきました。それは……。女性から高い支持を得ているソフィア・コッポラ監督!【映画、ときどき私】 vol. 144今回、この作品でカンヌ国際映画祭の監督賞を受賞した監督は、女性としては史上2人目、しかも56年ぶりとなる快挙を成し遂げたことでも注目されています。そんななか、本作に込めた思いや見どころを語ってもらいました。物語の舞台となるのは、アメリカ南部に隔絶された女子寄宿学園。そこに暮らしていた世代の異なる女性たちの秩序が、負傷した美しい男性を受け入れたことで徐々に乱れていくさまが描かれています。まずは、この物語に惹かれた理由は何ですか?監督第一印象として、私は7人の世代の違う女性たちが一緒に暮らしている状況がとてもおもしろいと思ったのよ。あとは、南北戦争という時代にも興味を持っていたわ。というのも、どうしても戦争で戦っている男性が描かれがちなんだけど、私は男性たちを見送ったあとに取り残された女性というものを描きたいと思ったの。洗練された衣装やヘアメイクが印象的ですが、こだわった点は?監督いろいろと調べていくなかで、衣装も髪型も当時のものを参考にするようにしたわ。ただ、なかにはとても奇抜なものもあったわね。だから、いまの私たちの目から見て、キレイで魅力的だなと思えるものを歴史のなかから選んで、今回使うことにしたのよ。女性として性の自覚が芽生えるのに年齢は関係ないと思いますか?監督女性というのは年代によっても、個人個人でも、性の目覚めや男性に対する性的な欲求というのは違うと思っているの。だから、今回私は欲望に関しては、決して恥じるものではなく、自然なものなんだというふうに描きたかったのよ。特に大人の女性3人は、そういう気持ちを持っていて当たり前の年代にも関わらず、かなり抑圧されていて、男の人も周りにいない状況。だからこそ、より強い気持ちを持っても不思議ではないわよね。7人のキャラクターすべてを合わせて1人の女性像を表現しているようにも感じますが、意識したことは?監督正直言ってそういうふうには考えたことはないけど、同感だわ。やっぱり女性というのは複雑だし、彼女たちひとりひとりが女性の違う面を象徴しているということなのかもしれないわね。今回は女性の視点を大切されたようですが、ご自分の経験なども投影していますか?監督脚本を書いているときに自分の知っている女性のことを思い浮かべたり、女性の集団においてのコミュニケーションの取り方だったり、そして自分に起きたことや見聞きしたことは反映したわ。なぜなら、自分自身の経験というのは、いつも自分の脚本のなかに入れているからなのよ。女性を描くことを得意とされていますが、その際に心がけていることは?監督特に何というわけではないけれど、私は自分自身も共感できる女性を描きたいと思ってるだけなのよ。決して一面的ではなく、他の女性にも共感してもらえて、さらにちゃんとリスペクトを持ってもらえる女性を描きたいということは言えるわね。ただ、女性というのは、自分自身でも分析できないミステリスな存在。だから、あとから自分の作品を観返したときに、こういうところに共通点があったのかとか、ここに惹かれていたのかなと気が付くこともあるのよ。監督は女性クリエイターたちの憧れの存在ですが、女性に向けてアドバイスはありますか?監督映画監督とか、映画業界ということにこだわらず、どんな目的を持った女性にも言えることだと思うのだけど、とにかく自分の信じた道を突き進むこと。そして、諦めずに、何を言われてもへこまない忍耐力を持つということね。だから、意志の強さも必要だと思うわ。とにかく、どんなことを言われてもどんどん前に進む力というのを持って欲しいわね。映画界では成功している女性監督のひとりですが、これまでハンデを感じたことは?監督正直言って、女性であることがプラスになったことはあまりなかったから、チャレンジすべきことはたくさんあったわ。だけど、そればっかりに囚われていても意味がないので、そういうことはあまり気にせずに、自分の仕事や自分の作りたい映画を作ることだけを考えるようにしているのよ。今回はスリラーへ初めての挑戦となりましたが、難しさを感じた部分はありましたか?監督まず、スリラーには緊迫感が不可欠なんだけど、そういうテンションをどういうふうに出すかということがひとつの大きな課題だったの。実際に脚本を書いている最中も、このジャンルのなかで、ソフィア・コッポラらしさをどう出せばいいかということをすごく入念に考えていたわ。これまで監督は限られたスペースを舞台にすることが多いですが、この作品でもそこは意識していましたか?監督理由は自分でもわからないんだけど、私がよくやることよね。今回の場合は、本当に外に出られないから極端ではあるけれど、それがおもしろいと思ったの。出たくても出られないから、それぞれと相対するしか選択肢がないわけで、お互いを無視することもできない。そういう状況というのは、私にとっては魅力的だったわ。映画だけでなく、写真やファッションなどともコラボをしていますが、その原動力は?監督こういうクリエイティビティというのは、すべて共通してつながっているものだと思っているの。つまり、私はどんなものを作るにあたっても、たとえばバッグなら自分が欲しいものや使いたいもの。映画なら自分が観たいもの。そういうものを基準に作っているのよ。そう言うと自己中みたいに聞こえてしまうかもしれないけれど、決してそうではなくて、あくまでも自分が好きというのがひとつの基準であり、必ず他の方にも気に入ってもらえるだろうという謙虚な気持ちも持っているわ。今後どのような作品を撮りたいか最後に教えてください。監督次が何かというのは、まだ全然決まっていないのよ。でも、しいて言うなら「自分の限界を広げてくれる作品」ということね。それはつねに私が好きな部分なのよ。閉ざされた空間で巻き起こる愛憎劇!欲望と嫉妬に支配された女性たちが繰り広げる極上のスリラー。最後に彼女たちが下す驚きの決断と、息を飲む展開には誰もが心をかき乱されてしまうはず。あなたの内に秘めた本能も覚醒させられてしまうかも!?ストーリー1864年、アメリカ南部にある男子禁制の学園には、生徒と教師を含む7人の女性が暮らしていた。ところがある日、負傷した敵兵が現れ、回復するまで面倒を見ることになる。美しく紳士的な男性と触れ合うなかで、女性たちは誰もが心を奪われてしまうのだった。しかし、次第に情欲と嫉妬に駆られていく彼女たち。いつしか秩序を保ってきた集団の歯車も狂いはじめることに。そして、ある出来事によって事態は思いもよらない方向へ進むのだった……。刺激的な予告編はこちら!作品情報『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』2月23日(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開配給:アスミック・エース、STAR CHANNEL MOVIES©2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.写真・ホンマタカシ(ソフィア・コッポラ)
2018年02月19日ソフィア・コッポラがこれまでのイメージを大きく覆す新境地で“スリラー”に挑んだ監督最新作『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』。このほど、世界で日本だけという監督自らがデザインしたポスタービジュアルが完成、合わせて、官能的で緊張感にあふれた特報映像が公開された。ソフィア・コッポラ監督の長編6作目となる本作は、過去作品のイメージを大きく覆す新境地に挑んだ渾身作。1966年に米の女流作家トーマス・カリナンが書いた小説「The Beguiled」を映画化。本作を彩るキャスト陣には、ニコール・キッドマン、エル・ファニング、キルスティン・ダンスト、コリン・ファレルら、ソフィア映画史上最も豪華ともいえる面々が集まり、企画当初から話題を呼んだ本作は、第70回カンヌ国際映画祭にて女性監督としては56年ぶり2人目の快挙となる監督賞を受賞した。このたび解禁されたポスタービジュアルは、女子寄宿学園の門の外から7人の女性たちを写したもの。白いドレスを身にまとい、どこか遠くを見ているような7人の表情が、ソフィアの過去作品を彷彿とさせつつも、スリラーという新たなジャンルに挑んだ監督が求めた美しくも冷ややかな世界観を醸し出している。実はこのポスターデザインは、もともとソフィア自身が監修したもの。北米および他の国の公開時に使われたビジュアルとは違うデザインで、監督自身が、作品にマッチし、かつ最も気に入っているというデザインを、今回日本版のポスターでのみ採用することになった。また、あわせて到着した初映像となる30秒の特報では、学園に住む7人の女性たちによって助けられたコリン・ファレル演じる兵士が、「あなたは招かれざる客」と言われながらも学園の女性たちによって介抱されていく姿が映し出される。だが、顔の火照りを冷やすニコール、なまめかしい視線を投げかけるキルスティン、そしてエルの姿や、兵士と交わる女性の姿も映し出され、次第に眠っていた欲望が目覚めていく様子が描かれる。閉ざされた学園に住まう美しい女性たちの視線が交差し、やがて長らく守られていた秩序が崩壊していくなか、シャンデリアが落ち、松葉づえを使い必死に走る兵士に待つ運命はどのようなものなのか…。血の付いたドレスで立ち尽くすニコール、そしてコリンの「俺に何をした!」と叫ぶ声が耳に残る、スリリングで衝撃的な特報に仕上がっている。『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』は2018年2月23日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国にて公開。(text:cinemacafe.net)
2017年11月24日『恋する惑星』、『ブエノスアイレス』などで知られるウォン・カーウァイ監督の第2作目となる映画『欲望の翼』のデジタルリマスター版が、2018年2月3日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国の劇場で順次公開される。映画監督ウォン・カーウァイ1988年に監督デビューしたウォン・カーウァイ。一貫した美意識が感じられる撮影・美術・衣裳や、意表を突く選曲センスなど、観る者を虜にする名作の数々で、今もなお新たなファンを生み出している名匠だ。クエンティン・タランティーノや、第89回アカデミー賞で作品賞を受賞した『ムーンライト』のバリー・ジェンキンス監督も影響を公言しているほか、ファッション界では2015年にNY・メトロポリタン美術館で行われた「鏡の中の中国」展の芸術監督も務めるなど、ジャンルや国境をも超えて支持されている。日本での上映権が消失していた幻の作品その色褪せることない作品群の中でも、今回リバイバル上映が決まった『欲望の翼』は、2005年以降日本での上映権が消失している、ある意味幻の作品。Bunkamuraル・シネマが2017年5月に開催したウォン・カーウェイ特集でも上映は叶わず、スクリーンでの上映は実に13年ぶりとなる。ウォン・カーウァイ作品の原点レスリー・チャン、マギー・チャン、カリーナ・ラウ、トニー・レオン、アンディ・ラウ、ジャッキー・チュン。“香港映画史上最初で最後”と評されたほどに豪華な6人のトップスターを起用した本作は、1960年代の香港を舞台に、若者たちの恋愛模様を描いた群像劇。それまでの香港映画と一線を画す、浮遊感と疾走感の入り混じる語り口と映像美で知られる作品だ。モノローグの多用、時系列に沿わないストーリー、印象的な音楽と、ウォン・カーウァイ監督独特のスタイルが確立された原点であり、実際に本作のモチーフは、後に製作された名作『花様年華』、そして『2046』へと引き継がれている。ポスタービジュアルは、ウォン・カーウァイの手によって当時の香港の空気感がそのまま閉じ込められたかのような仕上がり。そこに刻まれた、主人公ヨディ(レスリー・チャン)がスー(マギー・チャン)に語りかけるセリフーー「1960年4月16日3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない。君とは“1分の友達”だ。」ーーは、ラテン・アメリカ文学への憧憬がもたらす独特の浮遊感とロマンティックなセリフで魅せる“カーウァイ節”たっぷりの言い回しで、本編の内容に期待が高まるものとなっている。作品情報映画『欲望の翼』公開日:2018年2月3日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国順次公開監督・脚本:ウォン・カーウァイ製作:ローヴァー・タン製作総指揮:アラン・タン撮影:クリストファー・ドイル美術:ウィリアム・チャン原題:阿飛正傳/DAYS OF BEING WILD1990年/香港/95分/カラー/モノラル© 1990 East Asia Films Distribution Limited and eSun.com Limited. All Rights Reserved.■あらすじ「1960年4月16日3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない。君とは“1分の友達”だ。」ヨディ(レスリー・チャン)はサッカー場の売り子スー(マギー・チャン)にそう話しかける。ふたりは恋仲となるも、ある日ヨディはスーのもとを去る。ヨディは実の母親を知らず、そのことが彼の心に影を落としていた。ナイトクラブのダンサー、ミミ(カリーナ・ラウ)と一夜を過ごすヨディ。部屋を出たミミはヨディの親友サブ(ジャッキー・チュン)と出くわし、サブはひと目で彼女に恋をする。スーはヨディのことが忘れられず夜ごと彼の部屋へと足を向け、夜間巡回中の警官タイド(アンディ・ラウ)はそんな彼女に想いを寄せる。60年代の香港を舞台に、ヨディを中心に交錯する若者たちのそれぞれの運命と恋──やがて彼らの醒めない夢は、目にもとまらぬスピードで加速する。
2017年11月20日Huluプレミアにて8月8日(火)より独占配信されるトルコ発の大ヒットドラマ「オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~」。このほど、世界80の国と地域で放送され、全世界8億人が熱狂したという本作待望の予告編映像が、シネマカフェに到着した。16世紀、オスマン帝国を46年という長きに渡り支配し、最盛期に導いた第10代皇帝スレイマン大帝と、ハレム(後宮)にて皇帝の寵愛を受け、後に皇妃にまでのし上がった美女アレクサンドラ(後のヒュッレム)を中心に、嫉妬と欲望、そして愛が渦巻く宮廷物語を見事に描き出した本作。まさにトルコ版「大奥」ともいえる超大作で、約1,200坪の敷地に23のメインセットを設営、約3万種類もの布を使用し、栄華を誇った当時の宮殿の様子を再現。さらに、25名のデザイナーが常駐し、2,500着以上の衣装と1,000種類以上の装飾品を制作、豪奢で華やかなハレムを作り上げている。今回解禁された予告編では、歴史に刻まれた世紀の愛憎劇がついに幕を開ける。父・セリム1世逝去により、第10代皇帝スレイマン大帝が誕生する一方、家族や恋人を失った絶望のなか、大帝のハレムに献上されるため、オスマン帝国に奴隷として連れてこられたアレクサンドラが、ハレムの中でのし上り、生き抜くことを決意した瞬間が描かれていく。また、彼女に待ち受けるハレム内での女同士の熾烈な戦い、さらには皇子ムスタファを産み、皇帝妃として君臨するマヒデブランの座を狙うため、妖艶な魅力で着実にスレイマンの寵愛を受けていくアレクサンドラと、嫉妬に狂っていく皇帝妃マヒデブランとの泥沼劇も垣間見える。美しい女性たちが集う華やかなハレムの内側で繰り広げられる、プライドをかけた女たちの戦いとともに、その名を歴史に刻んだ1人の女性の生き様と決意が伝わる、見応えたっぷりの予告編となっている。絶世の美女であるだけでなく、したたかさも持ち合わせるアレクサンドラ。果たして、彼女はどのような作戦で宮廷でのし上っていくのか、その運命に注目していて。「オスマン帝国外伝~愛と欲望のハレム~」は8月8日(火)よりHuluプレミアにて独占配信スタート。※8月8日(火)~8月12日(土)1話ずつ配信、以降8月19日(土)~毎週土曜5話ずつ新エピソード追加予定。CS「チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた」では8月7日(月)より月曜~金曜、24時~スタート。(text:cinemacafe.net)
2017年07月28日Huluでは、これまでほとんど日本に上陸することのなかったトルコ発の大ヒットTVドラマ「オスマン帝国外伝 ~愛と欲望のハレム~」(字幕版)を、Huluプレミアにて配信することになった。舞台は16世紀。皇帝セリム1世が逝去し、皇太子スレイマン1世が第10代皇帝に即位、今後46年にわたる華麗なるオスマン帝国統治の歴史が始まる。スレイマンの即位と同じころ、ルテニア(現在のウクライナ)では、タタール人による襲撃が続いていた。ある小さな町の司祭の美しい娘アレクサンドラ(後のヒュッレム)は、目の前で家族、そして恋人を皆殺しにされる悲劇に襲われる。その美しい美貌で命拾いしたアレクサンドラは、捕虜となり、幼なじみのマリアとともにオスマン帝国のハレムに献上される奴隷となった。全てに反抗的な態度でいたアレクサンドラだが、ある夜、夢枕に立った両親の言葉に後押しされ、このハレムで生き抜くことを決意。生き抜くためには皇帝スレイマンの側女に選ばれるしかないと考えた彼女は、ある夜の宴で妖艶な舞を披露し、彼の心を掴む。やがてアレクサンドラは、スレイマンの寵愛を得ることに成功し、“人を楽しくさせる者”との意味を持つ「ヒュッレム」の名を賜る。さらに、皇子を身ごもったヒュッレムは、皇妃となることを望み、スレイマンとの結びつきを強くするためイスラム教に改宗、あらゆる知恵を絞り着実にハレムの中でのし上がっていく。しかし、そこには数知れない陰謀と嫉妬が待ちうけ、女同士の熾烈な権力争いがあった…。本作は、オスマン帝国を長きにわたり支配し、最盛期に導いた第10代皇帝スレイマン大帝と、ハレムにて皇帝の寵愛を受け皇妃にまでのし上がった美女ヒュッレムを中心に、嫉妬と欲望、そして愛が渦巻く宮廷物語を見事なまでに描き出したTVシリーズ。目を見張るような美女たち、そして色とりどりの煌びやかな衣装も含め、まさにトルコ版「大奥」ともいえる超大作だ。トルコ国内で放送がスタートすると、瞬く間に人気を博し、トルコ国内の主要TVアワードおいて、最優秀ドラマシリーズ、最優秀歴史ドラマ、最優秀男優賞、最優秀美術監督賞など、多数の賞を総なめに。さらに、トルコのみならず、中東・東欧・アジア・北米を始めとする、世界80か国以上で放送され、各地でトルコブームを巻き起こし世界的大ヒットドラマとなった。なお、CSチャンネル「チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた」でも、同時プレミア放送が決定している。奴隷から皇妃にまでのし上がった女性アレクサンドラこと“ヒュッレム”を演じるのは、トルコ人の父とドイツ人の母を両親にもつ、トルコを代表する女優メルイェム・ウゼルリ。2016年ベイルート国際映画祭の海外ドラマ部門最優秀主演女優賞、トルコGQ誌にて「2012年ウーマン・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、美貌と実力の両方を兼ね備えた彼女は、今後ハリウッドでの活躍も期待されている。今回、本作の日本への輸出が決まったことで、制作会社TIMES PRODUCTIONSの代表で、本作プロデューサーは、「日本での配信を大変嬉しく思います。トルコの大型歴史ドラマが日本で初めて配信されることは、我々にとって初の快挙となります」と日本進出に喜びを明かす。「本作が世界各国で成功した要因を1つに絞ることはできませんが、全世界の人々が共感し得る物語であり、力強い作品であることだと思います。また、豪華な衣装や舞台美術が、(トルコ国内で)新たな社会現象を巻き起こしたほど独創性にあふれていたことも強調したいです」と、その魅力に言及。さらに、「皇帝の偉業を伝えつつ、1人の人間としての内面を描いています。悲惨な失敗や成功を経て、帝国全土と世界を支配していく偉大な皇帝が、愛する1人の女性だけは支配できずにいる」と語り、本作を「壮麗な愛の物語」と位置づけた。また、Huluチーフコンテントオフィサーは、「トルコのドラマが世界中で大ブームだと2年以上前に耳にしてからいろいろな作品を検討して参りました」という。「世界史の教科書に出てきたあのオスマン帝国で実はこんなことが起きていた…いちど観始めたら止められないパワーを持つこの新鮮なエンターテインメントをぜひ多くの方々にご堪能頂きたいと思います」と、コメントを寄せている。年間100か国以上に3億ドルあまりのTVドラマを輸出している、隠れた“ドラマ輸出大国”トルコ。そのクオリティの高さが、早くも注目を集めている。「オスマン帝国外伝 ~愛と欲望のハレム~」は8月8日(火)Huluプレミアにて独占配信スタート。CS「チャンネル銀河 歴史ドラマ・サスペンス・日本のうた」では8月7日(月)より月曜~金曜24時~スタート。(text:cinemacafe.net)
2017年06月28日子供おばさんは、目先の欲望に負けがちです。だから、後先考えずに不倫をしてしまったり、欲しい物があると、お金に余裕がなくても、つい買ってしまったりします。「それをしたら、これから先、どうなるのか?」まで、考えていないのです。逆に大人女子は、たとえ好みのタイプの既婚者男性に不倫に誘われたとしても、その提案には乗らないし、お金がない時は無駄遣いをしないで、節約をします。それは、「目の前の幸せ」と同時に、半年後、1年後、3年後……という「未来の幸せ」も見ているからです。大人女子は自分の生き方について、“人生”というスケールで見ます。「どういう人生が、自分にとって豊かなのか?」を考えるのです。 会社員でいると、出世すること、お金持ちになることが人生の正解だと思いがちですが、“自分の人生”という視点で見た時に、本当に大切なものは何でしょうか。もちろん生きていくためにはお金は必要ですが、人生というスケールで考えたら、「いかに楽しい人生にするのか」「どれだけ素敵な思い出をたくさん作るのか」の方が重要だと思う人は、少なくないでしょう。そこには、「自分がどんな人間として、この世界を生きるのか」という視点も大事です。やはり自分を嫌いな人は、苦しみながら日々を過ごすことが多いので、“自分が好きになれる自分”“自分が誇りに思える自分”として、人生を全うした方が幸せですしね。それによって、言動だって変わってくるでしょう。つまり、より長いスパンで物事を見ることで、人は選ぶものが変わってくるのです。長いスパンで見たときに、重要なものって?実は子供おばさんに限らず、多くの人が目先の仕事や用事に追われ、後回しにしがちな“大切なもの”があります。それは、「健康」です。ある占い師さんが、こんなことをおっしゃっていました。「運を良くするために大切なことは、健康でいることだ」と。健康を損なえば、その分、病院通いなどでお金がかかるし、好きなことも楽しめなくなるし、いいものを食べても美味しさを感じられにくくなります。だから、しっかり寝て体を休めるのは、怠け者なのではなく、すごく重要なことなのです。健康でいるのが大切だというのは、誰もが分かっていることです。でも、その当たり前のことを後回しにして、無理をしすぎて肉体を痛めつけてしまうのは、やはり私たちの視野が狭くなっているところもあるのでしょう。もちろん、だからと言って、「目の前にある仕事を放り投げろ」と言っているわけではありません。それでは仕事を失い、不幸になってしまうこともあります。ただ、常に「目の前にある大切なこと」と「人生というスケールで見た時に大切なこと」の両方を見られるようになることが大事なのです。場合によっては、転職を考えてもいいでしょう。目先のことばかりに囚われるのではなく、人生というスケールで物を見て、大切なものを選択できる人でありたいものですね。・子供おばさん……目先の欲望に負けて、後先考えない行動をしてしまい、後に不幸になる。・大人女子……「目の前の幸せ」と同時に「未来の幸せ」も考えて、大切なものを選択し、幸せでい続ける。
2016年09月20日退屈な大学生活を送っていた青年が「娼夫」となり、さまざまな女性の欲望を受け止め、彼女たちの心を解放し、自身も成長していく──。そんな衝撃的な石田衣良の小説『娼年』と『逝年』が、舞台化される。脚本・演出を手がけるのは、三浦大輔。主人公を松坂桃李が、ボーイズクラブのオーナーを高岡早紀が演じる。この顔ぶれで、何を生み出そうとしているのだろう。舞台『娼年』チケット情報これまでも性的なテーマを追求し、人間の欲情をリアルに描いてきた三浦。『娼年』の舞台化は、「それを限界まで突き詰めるという挑戦になりそう」だと語る。「セックスで何が浮かび上がってくるかというところが原作のテーマで、本当にセックスだけに焦点を当てているので、それを生身で見せる舞台でどう表現するのか。この作品でやり切ることで、締めくくりにできるんじゃないかと思ってるんです。またそこまでたどり着かないとこの原作をやる意味はないと思うんですね」。三浦のそんな覚悟を知って、「今、思わずうれしくなっちゃいました(笑)」と喜びの声をあげる松坂。三浦の「セクシュアルなイメージがない松坂くんだからこそ、普通の青年が様々な欲望に触れ、変わっていく姿が表現できる」という期待に応えて、大胆なセックス描写にも果敢に挑もうとしている。「今まで触れたことのない色の作品ですから、このチャンスを逃したくないと思いましたし。R―15指定がついたと聞いたときも、それぐらいじゃないと表現として攻められないだろうなと覚悟しました」。そして、松坂演じる主人公を、娼夫の世界へ導く役どころを演じる高岡。三浦曰く「男性にとっての理想の女性像」でもあるが、「男性を売ることを仕事にするなんて、これほど理解不能な役をいただいたことはなかったかもしれません(笑)。でも、誰かを演じるというのは、共感できるから面白いということでもないですし、怖いけど、楽しみです。性の表現もそうですけど、それぞれの人間が隠し持っている何かが、きっと見えてくるんでしょうから」と穏やかに燃えている。おそらく、舞台で生々しい描写をする初めての作品になる。しかし、「触れ合うことによってにじみ出てくるやさしさみたいなものが見えれば」と松坂が言うように、そこに浮かぶのはやはり人間の思いになるだろう。「肌と肌の接触を目の当たりして、その温かさやあふれる欲望を、理屈じゃなく体感してほしい。それは演劇のひとつの可能性だと思っています」と三浦も力強く語る。まさに体と心に残る体験ができるかもしれない。東京公演は8月26日(金)から9月4日(日)まで東京芸術劇場 プレイハウスにて。チケットの一般発売は6月11日(土)午前10時より。チケットぴあではインターネット先行抽選を実施中、5月29日(日)午後11時59分まで受付。」取材・文:大内弓子
2016年05月27日頭でわかっていても、欲望をコントロールするのはなかなか難しいもの。しかし、ある有名なゲームを3分プレイするだけで、薬物や食べもの、タバコ、アルコールやセックスを欲する気持ちが減るということを科学者が発見しました。この発見は、さまざまな欲望に苦しんでいる人たちの助けになると考えられています。そのゲームとは、なんと「テトリス」!『The Daily Star』が紹介した、驚きの発見を見ていきましょう。■15人が行ったテトリスをプレイする実験プリマス大学とクイーンズランド工科大学の心理学者チームが、31人の被験者を対象に、1週間にわたるモニタリングを行いました。被験者たちは18歳から27歳で、1日のうち任意の時間にゲームをします。また、自分の欲望についてテキストメールで報告することになっています。そして、この実験で15人の被験者がプレイすることになっていたのは「テトリス」でした。報告された欲望のうち、30%は食べものやソフトドリンクについてのものでした。具体的にはコーヒーやタバコ、ワイン、ビールを含む依存物質に関連するもの、16%は睡眠、ゲーム、 セックスなどの活動でした。■テトリスプレイで欲望の度合いが減少した研究者たちは、テトリスをプレイすることは、アルコールやニコチン、カフェインなどの依存物質の欲望の強さや、ゲームやセックスなどの活動への欲望の強さを平均で13.9%減らすということを発見しました。効果は1週間にわたって一貫したものでした。「視覚認識への干渉が、特定の物質や活動への欲望を減少させる可能性を示唆した最初の証明になるかもしれません」と研究者たちは語っています。■テトリスでセルフコントロールする時代に?研究著者のジャッキー・アンドレードさんは次のように語ります。「テトリスをプレイすることは、依存物質、食べもの、活動への欲望の強さを70%から56%に減少させました。これは、認知的干渉が欲望を減らす役割をした初めての実証です。欲望は特定の物質を消費したり、なんらかの活動に没頭したりした経験を想像しているために起きると考えられます。テトリスのように視覚的におもしろいゲームをプレイしていると、心象をつかさどる心理プロセスがそちらに使われてしまい、欲望すべきなにかを想像することができなくなるのではないかと予想しています。テトリスは、人々が生活のなかで自分自身の欲望をコントロールするのに役立つかもしれません」■テトリスの欲望を減らす効果は1週間持続もうひとりの著者、ジョン・メイは効果が1週間にわたり減退する様子がないことにも言及しています。「これは重要な発見になる可能性を秘めています。単独で効果のある干渉は珍しく、普通はないものなのです。たいていは患者たちがその干渉に慣れてしまえば効果が減退するものですから」とも彼は語っています。テトリスのように長く効果が続くものはとても珍しいようです。*日本でもとても有名なテトリスが、自分の欲望をコントロールするために使えるなんて驚きですね。なにかが欲しくてたまらないとき、そっとテトリスをはじめると効果的なのかもしれません。ただし、テトリス依存にならないように要注意。(文/スケルトンワークス)【参考】※Playing Tetris for 3 minutes stops craving sex, alcohol and food-The Daily Star
2015年09月02日性の欲求、欲望は人それぞれ。どういう欲望は正しくて、どういう欲求がおかしいということはありません。ただ、「たくさんの男とセックスしたい」とは、あまり友だちにも言えないかもしれません。一般的な人がもっている「欲望」や倫理観から若干はずれているという意識があるから。でも本当にはずれているのでしょうか。他にも、そういう人はいるのではないでしょうか。■1.自分だけではないと知る知り合いに、こういう女性がいます。「私は彼とのセックスに不満はなかったけど、4年もつきあっているとマンネリにはなるんです。それに、自分がどこまで感じるのか他の人としてみたいという欲求が消せなかった。あるとき、仕事で知り合った人と酔った勢いでそういうことになってしまって。初めての人だととても興奮してしまう自分がいた。それからチャンスがあると、やはり他の人としちゃうんです。彼に知られたら大変だと思うけど、誘われると断れない。だからしかたがないと自分に言い訳しています」(24歳/販売)もちろん、この話に批判的な人もいるはず。ただ、この彼女は自分の欲求に素直に従っているとは言えます。■2.なぜそういう欲望が生まれるのか自問してみるたくさんの男としたい、というのは、一対一で次から次へといろんな人としたいのか、あるいはたくさんの男と、一度にしたいのか・・・。それも含めて、自分の欲求の成り立ちやありかを考えてみてもいいかもしれません。彼とのセックスに不満があるのか、あるいは自分の快感をもっと追求したいのか。セックスが好きで、もっともっといろいろな人としたいのか。セックス自体に、それほど興味があるわけではないが、男性から女として高く評価されたいだけなのか。自分が本当は何を欲しているのかを見極めてみましょう。その欲望に対してどういう行動をするべきなのか判断する手助けになるはずです。■3.行動するか否かは自分で決めるたとえば、男性から口説かれるとします。このままだと、今日はその人と寝るような状況になるかも・・・。そんなとき、行動するのか断るのか、それは自分自身の気持ちで決め、自分自身で責任をとるしかありません。「たくさんの人としたい」という思いを成就させたいなら、行動してみるのもひとつの方法。ただ、あとから「本当はしたくなかったのに、口説かれたから」と人のせいにするのは潔くありません。後悔の元にもなるでしょう。■4.ヘンではないけれど・・・男はあちこちに種蒔きしたいDNAがあるから、いろいろな女性とつきあいたい。女性はひとりの人に本気になるから、並行して他の男性とつきあうことはできない。そんなふうに世間的には思われがちですが、それはやはり個人差が大きいものです。「いろいろな男性としてみたい」という欲求を持っている女性は、私が取材してきた限りでもたくさんいました。ただ、だからといって、全員が行動に移しているわけではありません。他の人としてみて、「やっぱり私は彼とだけでいいわ、今のところ、と思った」と話してくれた女性もいます。欲望として、決してヘンではない。ただ、それをどう自分の中で処理していくか、納得いくような結果を得ていくかは、自分自身で決めるしかないのだと思います。■おわりに十人十色。性に関しては、本当にそうです。だから、どういう欲望をもっても、「ヘン」ではないのです。「人とは違うかもしれない」欲望を持ったとき、それはどうしてなのか、何をすれば自分は満足できるのかを探ってみるのもいいですね。「自分自身」を、より知ることにつながると思います。(亀山早苗/ハウコレ)
2014年06月26日カリスマミュージシャン、ニック・ケイヴが音楽と脚本を担当し、2012年のカンヌ映画祭で話題をさらったジョン・ヒルコート監督の『欲望のバージニア』。禁酒法時代後期、ギャングや腐敗した警察がはびこる米バージニア州を舞台に、密造酒ビジネスで成功した3兄弟の実際にあった復讐劇を描く本作。実は、このボンデュラント兄弟の末っ子・三男の実孫が書き上げた衝撃的な小説が原作となっているのだ。トム・ハーディ、ジェイソン・クラーク、シャイア・ラブーフという“くせ者”豪華キャストが演じる3兄弟の驚くべき不死身伝説。長男・ハワード(ジェイソン)は第一次世界大戦時、一個大隊全員が海に沈む中、その地獄からたった一人で帰還。次男・フォレスト(トム)は全米を襲ったスペイン風邪で両親を失うも、彼だけは無事だった。さらには三男・ジャック(シャイア)と共に打たれても死なない、という凄まじい不死身ぶり。そして、3人とも権力にもギャングにも屈しない強いく気高いプライドを持っている。このボンデュラント兄弟の“バージニアでの伝説”のから、彼らを称えてボンデュラント・ミュージアムまで作られている地元のスター的な存在なのだ。人々は彼らと同じタトゥーを入れ、本作の撮影を覗いては、兄弟のファッションや物語にまで口を出したそうだ。本作の原作は、バージニアを縄張りとして密造酒ビジネスで金を儲けていた無法者兄弟を描いた、「The Wettest County in the World」(邦題:「欲望のバージニア」)という小説。作者のマット・ボンデュラントは、シャイアが好演した旺盛な野心を抱き、後に大きな挫折を経験する三男・ジャックの孫だ。兄弟の実話を基に書き上げられたこの小説は、2008年に出版されるや否や大絶賛を浴びた。マットはあとがきに、「この物語は、家族の様々な秘話、新聞の見出しや記事、裁判の記録に基づいている。と同時に、数十年にわたって伝わるうわさやゴシップも混ざり合っている。私は不確かな記録や曖昧な出来事の奥の“真実”を探ろうとした」と記している。ヒルコート監督は「強烈で生き生きしていて独自性のあるギャング映画が撮りたかったんだ。これはまさしく捜し求めた小説だった」とその出会いを語っている。ジェイソン、トム、シャイアのほかにも、兄弟が思いを寄せる女性役にはミア・ワシコウスカとジェシカ・チャステイン。さらに、ゲイリー・オールドマン、ガイ・ピアースらが悪役を演じるなど、若手からベテランまでハリウッドの人気俳優たちが顔を揃えている。アメリカが最も危険だった禁酒法時代を生き抜き、いまなお人々の記憶に残るバージニア州の伝説の3兄弟の話を覗いてみると、これまで知らなかったアメリカが見えてくるかもしれない。『欲望のバージニア』は、6月29日(土)丸の内TOEI、新宿バルト9ほか全国にて順次公開。(text:cinemacafe.net)■関連作品:欲望のバージニア 2013年6月29日より丸の内TOEI、新宿バルト9ほか全国にて公開(C) OMMXI by BOOTLEG MOVIE LLC. All Rights Reserved.
2013年06月17日現代演劇において最も人気ある作品のひとつ、テネシー・ウィリアムズ作『欲望という名の電車』。本作のヒロイン・ブランチは世界の名だたる女優が演じてきた大役として知られているが、この役に長年憧れ続けたという高畑淳子の主演による青年座交流プロジェクト『欲望という名の電車』がいよいよ幕を開ける。都内稽古場で行われた通し稽古を見学した。『欲望という名の電車』公演情報“青年座交流プロジェクト”とは、劇団活性化のため、青年座が他劇団との交流の中で作品を作り上げる企画。創立以来、内部の演出家、俳優で本公演を作ってきた同劇団にとっては革新的な試みだ。今回は青年座から高畑淳子、小林正寛、宇宙、津田真澄、文学座から演出の鵜山仁と、金内喜久夫、山本道子、塾一久、川辺邦弘、また神野三鈴、宅間孝行(東京セレソンデラックス)といった新劇以外のフィールドで活躍する俳優も参加する。そうした目新しさに加え、注目はやはり高畑淳子演じるブランチだ。近年はバラエティ番組などでのざっくばらんなキャラクターで知られ、圧倒的に“陽”の印象がある高畑が、徐々に精神を病んでいく繊細な女性をどう造形するのか。これまで観たことのない『欲望』に出会えそうな予感と期待が高まる。演技スペースの天井にはいくつものカーテンレールが張り巡らされ、その下にはアンティークの家具や生活道具が雑然と置かれている。さりげない生活感の中に、登場人物が味わった息苦しさや混乱までもがこちらに伝わってくるよう。上手にグランドピアノが置かれ、音楽と劇中の演奏を務める小曽根真がスタンバイ。登場人物の気持ちを代弁するかのように、またより高ぶらせるかのように、彼のピアノが随所に織り込まれる。聞けばそのメロディは、ほとんどアドリブだそう。その瞬間瞬間の小曽根のパッションが、指先を伝って的確なメロディとなる。そのフリーなスタイルが、作品全体にも大きく影響しているように感じた。例えば、緊迫感あるドラマとして知られる『欲望』の現場とは思えぬほど、稽古場の雰囲気がラフで明るいのだ。高畑やステラ役の神野の朗らかな笑い声が至るところで響く。スタンリー役・宅間の、異分子的だが自然体でリアリティある演技も、その雰囲気を生むのにひと役買っている。そんな日常的空気感の中で、徐々に自分を失っていく高畑ブランチ。ステレオタイプな“壊れやすい女”ではない高畑が演じるからこそ浮かび上がる哀れさは、現代の女性たちがより共感し得るものかもしれない。今に通じる、ハイブリッドな『欲望』が誕生しそうだ。埼玉・富士見市民文化会館キラリふじみ メインホールで12月9日(金)に開幕し、12月15日(木)より東京・世田谷パブリックシアターにて上演される。取材・文:武田吏都
2011年12月08日変わりやすいものの代表格といえば、女心と秋の空。今月は、揺れ動く女性の心を見事に描写した作品をご紹介しています。第二弾は、『あの日、欲望の大地で』。この作品、静かな語り口なのに、心を揺さぶるほどの激しさと切なさがじんわりと身にしみる秀作です。監督は、『アモーレス・ぺロス』、『21グラム』、『バベル』の脚本家ギジェルモ・アリアガ。繊細な人間心理を描く巨匠、待望の監督デビュー作です。彼のもとに集まったのは、シャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガーという2人のオスカー美女。母、娘、そしてその娘という三世代に渡る女性たちの物語です。キムが演じるのは、母、妻としてよりも、女として生きることを選び、その果てに死ぬことになる母親。そんな母の姿を思春期に目の当たりにし、それゆえにとある過ちを犯し、それゆえに愛を遠ざけながら孤独に生き続ける娘をシャーリーズが憂いたっぷりに演じています。2人のうち、より多くの人が感情移入しやすいのは母親の方かもしれません。ある引け目を抱え、それゆえ一度は女性としての悦びを諦めますが、それを再び手に入れたことで、不倫愛に没頭していく女性の姿を妖艶に体現しています。結婚したり、子供ができたりすると、“○○さんの奥さん”とか“○○ちゃんのお母さん”と呼ばれるようになり、女として一種のアイデンティティ・クライシスを経験する人もいるようですが、この母親の場合は、もっと根が深い。その“根”をここで明かすわけにいかないのが申し訳ないのですが、女性なら誰もが考えさせられる事情により、ある種の絶望を抱いているのです。そこで見つけた希望の光が、不倫愛だったとしても誰が彼女を責められるかという気分になるもの。この辺のデリケートな感情を、メロドラマのように陳腐にすることなく、女の宿命による愛の物語の一部として描ききるあたりは、さすがアリアガ氏です。もうひとつ、貴重な女性心理の描写が登場しているのですが、それが、シャーリーズが演じる娘の心理。行きずりの情事を繰り返し、それでも心は頑なに閉ざしたまま。愛を避けるように生きてきた結果生まれた心の隙間を、身体だけの関係で埋めようとするのです。このあたりは、誰もが理解できるわけではありません。それでも、娘時代に経験した壮絶な愛の原体験ゆえに、それなしで生きようとしてきた彼女が、一度は手放した愛を取り戻そうとするまでの心の動きは、説得力たっぷり。複雑な女性心理の描写が丁寧に幾重にも繰り返されているので、心の傷と、そこからの再生へのドラマに引き込まれていくのです。たとえ、身体でものごとを解決しようとする女性に反感を持つ人が観たとしても、決して無下にはできないはずです。アリアガ監督は、つらい過去を背負い、自らの感情を押し殺してきた娘を、控えめで最小主義的なアプローチで演じたシャーリーズに「この手の作品は簡単にメロドラマ化されたり様式化されたりしてしまいがちだが、シャーリーズは単純化することなく演じてくれた」と賞賛を贈っています。そして、4人の子を持つ主婦ながら情事に溺れる母親を演じたキムについても「頭と心で起こっていることの矛盾を具現化してくれた」と絶賛しています。これまでのアリアガ脚本作品と同様、複数の物語が平行して描かれ、過去と現在が交差し、ある種の謎に包まれているこの作品。まるで、心理ミステリーを読み解くようなこの物語の終わりには、心が熱くなるような謎解きが待っています。観終わった後も、彼女たちの儚く切ない感情に支配されてしまい、しばらくぼんやりしてしまうかも。運命に翻弄され、自らも周囲を翻弄する宿命の女たち。揺れ動く彼女たちのドラマで、秋の夜長をしっとりと過ごしてみては?(text:June Makiguchi)■関連作品:あの日、欲望の大地で 2009年9月26日よりBunkamuraル・シネマ、銀座テアトルシネマほかにて全国公開©2008 2929 Productions LLC, All rights reserved.■関連記事:2大オスカー女優が演じる愛と宿命『あの日、欲望の大地で』試写会に3組6名様ご招待
2009年09月25日