生活のこと、親のこと、10年後の自分のこと。何を選んで進んでいけばいいのか、さっぱりわからない。 日々を過ごす中で、不意に感じる生きることへの心細さ。そんな心のモヤモヤをほぐしてくれる、“不安に効く本”を北海道砂川市『いわた書店』の岩田 徹さんに教えてもらいました。 『いわた書店』と言えば、「一万円選書」。店主の岩田さんが注文者の心に寄り添って1万円分の書籍を選んでくれるサービスです。現在、予約で約650人待ち。受付再開は2016年を予定。 そこで今回は特別バージョンで、岩田さんがこれまで選んだ本の中から、反響が大きかった本、今だから読むべき本で「一万円選書」を依頼。 「不安な時、悩みを抱えている時に、自分に合う文章はないだろうかと探しながら読めば、必ず『私のために書かれた文だ』と実感できる言葉に出合えるはずです」(岩田さん) ■No.1『手から、手へ』池井昌樹、植田正治、山本純司 親から子へ、そしてまた次の世代へ…。連綿と受け継がれていく“生”と、人間の心の優しさを、昭和の家族写真と美しい詩で綴る。「生きることってなんだろう、自分が生きている証って何?その答えを、素晴らしい詩と写真の力でわかりやすく教えてくれます。誰に薦めても喜ばれる一冊です」(集英社1200円)池井昌樹、植田正治、山本純司 ■No.2『人質の朗読会』小川洋子 南米のテロ事件で遺されたテープには、人質となって殺された日本人8人による、それぞれの人生の記憶、忘れがたい思い出が語られていた。「命に限りがあるという現実に、普段私たちは目を背けて生きています。そのことを再確認し、本当に大事なものは何なのか改めて考えさせてくれるでしょう」(中公文庫552円) ■No.3『恋する老人たち』荒木経惟 人生を自分流に愉快に楽しむ、おしゃれでお茶目な老人たちの写真を、写真家・荒木経惟がセレクト。洒脱な解説も付けて。「年齢を重ねることに恐怖を感じている人に。漠然と不安を抱くより、人生の最終局面でどうなっていたいかを考えてみては。素敵な老人たちの姿に、感じるものがあるはず」(筑摩書房2300円) ■No.4『きみのためのバラ』池澤夏樹(新潮文庫430円) ■No.5『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』金谷武洋(飛鳥新社1200円) ■No.6『跳びはねる思考』東田直樹(イースト・プレス1300円) ■No.7『つるとはな 創刊号』(つるとはな1300円) ■No.8『向田邦子の陽射し』太田 光(文春文庫690円) No.4~8を選んだ理由は、本誌でぜひチェックしてみて! ◇いわた・とおる北海道砂川市にある、町の本屋さん『いわた書店』店主。10年前始めた「一万円選書」のサービスが昨年メディアで話題となり、注目される。 写真・多田 寛 ※『anan』2015年5月13日号より
2015年05月09日