シャープは3月17日、プラズマクラスター空気清浄機「蚊取空清」(型番:FU-GK50)の製品発表会を開催した。蚊取空清は、蚊の習性と空気清浄機の吸引力を利用して蚊を捕獲する空気清浄機だ。蚊取空清の特徴は、本体背面にあるプレフィルターの上に、蚊を捕獲するための「蚊取りパネル」「蚊取りシート」を備えていること。蚊取りパネルの内側にUVライト(蚊は360μmの紫外線を好む)を照射し、本体の小窓に蚊を誘い込む。そして、空気清浄機の吸引力を利用し粘着式の蚊取りシートに吸着する仕組みだ。シャープ 健康・環境システム事業本部空調・PCI事業部の冨田昌志氏によると、蚊は自らの存在を目立たなくするために濃い色を好むことから、本体カラーはブラックを採用。また、暗がりや物陰に隠れたがる習性があるため、蚊取りパネルには小窓を設けたという。蚊取空清は、2015年9月のマレーシアを皮切りに、ASEAN諸国で先行販売されている。ASEAN、特にマレーシアの人々にとって、生活空間で一番怖いのは蚊だという声を聞き、現地スタッフやマレーシア保健省医療研究所(IMR)とともに開発をスタートさせた。開発にあたり、シャープは日本環境衛生センターに委託して蚊の捕獲試験を実施。日本に多く生息しているアカイエカ、チカイエカ、ヒトスジシマカの3種類を約22立方メートル(6畳相当)の試験空間に放ち、22時間運転した。捕集率は、アカイエカが約95%、チカイエカが約98%、ヒトスジシマカが約88%だったという。ASEAN向けモデルと異なり、国内向けモデルは集じん用のフィルターに「静電HEPAフィルター」を採用。脱臭フィルターもより高性能なものを使用した。また、蚊取りシートを、2つ折りにして畳んで捨てられる仕様に変更している。蚊取空清は、いわば「逆輸入」的な製品だと言えよう。シャープ 執行役員の沖津雅浩氏は「プラズマクラスター製品は世界100カ国で展開している。これまで国内向け製品を海外に展開する取り組みを行ってきたが、海外市場の強化にはローカルニーズに対応した製品が必要」と説明。国内での販売を決めた経緯については、2014年に感染が確認された「デング熱」など、日本でも蚊に関する社会問題が増加していることが起因していると話した。
2016年03月18日●「ヘルシオ」に"煮込み"のジャンルシャープは9月17日、水を使わず煮込みを行う"無水調理"が可能な調理器具「ヘルシオ ホットクック KN-HT99A」(以下、ホットクック)を発表した。発売は11月5日。価格はオープンで、推定市場価格は税別60,000円前後だ。ホットクックは、内ブタに円錐形の突起「旨みドリップ加工」を施し、食材から発生した蒸気を水滴にして鍋の中に循環させ、無水調理を行う。本体内側上部に備える「蒸気センサー」と底面の「温度センサー」により、鍋の中身の状態を検知。最適な火加減に調節し、焦げ付きやすく火力調整が難しい無水調理を自動で行うことを実現している。本体内側には、具材をかき混ぜるための「まぜ技ユニット」を搭載。「負荷センサー」で得た情報も加味して、メニューや食材の量・加熱状態に応じて最適なタイミングと回転速度でかく拌する。たとえば肉じゃがの場合、表面には火が入っているものの、まだ食材が硬いという時点では、回転速度を上げてしっかり混ぜる。これにより、食材に味がなじむのを促進。全体的に火が通って煮崩れしやすくなってくると、回転速度を落としてゆっくりと優しく混ぜる。これにより、煮崩れさせずにじっくりと味をしみ込ませることが可能だ。メニューは、自動調理で85種類、手動で15種類の計100種類を用意。自動調理メニューでは、食材をセットしてメニューを設定しておけば、あとはホットクックが食材の分量や加熱状態を見きわめ、自動で料理を仕上げてくれる。食材をセットしておけば、設定した時間に料理を仕上げてくれる「食べごろ予約調理」を搭載。設定した時間に仕上がるよう調理をスタートするが、食材の腐敗を防ぐ温度帯を保つのが特徴だ。食品が最も傷みやすい温度帯が40℃であることから、食材をセットしたらいったん100℃まで加熱して火を通す。火を通した後は、腐敗しやすい温度帯を避けながら温度を下げて味を浸み込ませ、70℃前後をキープ。予約設定した時間に合わせて再び仕上げの加熱を行う。最大12時間後までの予約に対応する。本体の外形寸法はW364×D280×H224mmで、質量は約5.2kg。定格容量は1.6L。定格消費電力は600W。●無水調理のメリットとは○「ヘルシオ」第5のカテゴリー新製品発表と同日に、シャープは製品発表会を開催。シャープ 執行役員 健康・環境システム事業本部長の沖津雅浩氏は、前回の東京オリンピックが開催された1964年から次回の2020年までの間に、日本人の平均寿命が男女ともに13歳以上伸びたことを挙げ、「日本は、健康寿命(※)でも男女ともに世界1位だが、平均寿命との差を考えると、10年以上"不健康"な状態で生活をしていることになる。健康寿命を延ばすためにはQOL(生活の質)の向上が不可欠であり、特に食は重要な位置を占める」と指摘した。※ 健康寿命:健康上の問題がなく、自立した生活ができる期間のこと。ホットクックは、「健康な食生活のサポート」を掲げる、シャープの「ヘルシオ」シリーズ5番目のカテゴリーにあたる製品だ。沖津氏によると、日本人に不足気味な野菜の摂取量を増やすことも、ホットクック開発の意図に含まれる。シャープ 健康・環境システム事業本部 調理システム事業部 副事業部長の田村友樹氏によると、電気無水鍋の場合、水を加えずに調理するため、ビタミンCなど水に溶け出しやすい栄養素の流出を抑えられるという。たとえば、大根1本あたりに含まれるビタミンCは通常の鍋に比べて約1.5倍、ホウレンソウに含まれる葉酸は約1.8倍多く残存することが、日本食品分析センターの調査で明らかになっている。また、野菜を効率よく摂取できるのも無水調理の特徴だ。発表会で試食として提供された無水カレーの場合、1人分の材料としてトマト1個と玉ねぎ1/2個、セロリ1/4本を使用。1皿で摂取できる野菜の分量は約220gと通常のレシピで作ったカレーよりも約100g多くなる。○Made in Japanにこだわりクックホットの内鍋にはステンレス素材を採用しており、鍋外側には熱伝導効率を上げるためにアルミ加工が施されている。内鍋は金属加工で有名な新潟県で生産されているほか、そのほかもすべて日本で生産。日本製にこだわっているとのことだ。内鍋には専用のフタが付属し、冷蔵庫でそのまま保存できる。また、まぜ技ユニットや内ブタなど本体内側のパーツは取り外して水洗いでき、簡単に手入れできる。なお、製品名の「ホットクック」は、英語の"HOT"と"COOK"を掛け合わせた用語に思われそうだが、「関西弁の"ほっとく(放っておく)"という言葉をもじっている」と田村氏は説明。もちろん、型番の「HT99」も「ホットクック」に由来するそうだ。今後、ホットクックをインバウンド需要やASEAN諸国向けにも展開していく方針だ。国内においては、シャープの調理事業全体に占めるヘルシオシリーズの比率を、現在の48%から5年後に70%まで拡大することを目指すとしている。
2015年09月17日シャープは3月25日、お茶メーカー「ヘルシオ お茶プレッソ」の新製品を発表した。湯ざまし機能を持つ上位モデル「TE-TS56V」とスタンダードモデル「TE-GS10B」を4月24日に発売する。お茶プレッソは、お茶うすで茶葉を挽く機能と湯わかし機能、お茶を淹れる機能を備えた、いわばエスプレッソマシンのお茶版ともいえる製品だ。2014年4月に第1世代が発売され、今回の新製品が第2世代となる。新製品であるTE-TS56VとTE-GS10Bでは、お茶うすの設計を改良した。下臼に施された溝の紋様を変え、粉末を滞留させる茶臼の"ふくみ"を再現することで、約15~20ミクロンというきめ細かい粒度の茶葉を実現した。また、茶臼の回転軸に茶葉を引っ掛けるための突起を設けることで、スムーズに茶葉を引き込めるようにした。これにより、挽き時間は従来モデルに比べて約20%短縮。摩擦熱による茶葉への負荷を軽減するために、臼の回転速度は1分間に約100回転と従来モデルと同じ速度のままだ。○湯を70℃まで冷ます"湯ざまし機能"上位モデルのTE-TS56Vの目玉は、「湯ざまし機能」。約85℃の"温茶"と約70℃の"ぬるめ"の2パターンから選べる。ぬるめを選択した場合にも、温茶と同様、いったん水を約100℃まで沸騰させてカルキを抜く。そのあと、冷却ファンで風を当てる「空冷式」で70℃まで湯を冷ます仕組みだ。70℃まで冷ますことを考えると、お茶を淹れるのに時間がかかりそうなものだが、湯をお茶容器へ移動させながら冷やすので、温茶と同じ時間でお茶を淹れられる。TE-TS56Vはお湯を沸かすタンクの容量が560mlと従来モデルの420mlより140ml多い。560mlとは、大きい湯呑みで約4杯分、小さい湯呑みで約8杯分に相当する。湯ざまし機能を搭載したことで、本体サイズはW23.3×D22.5×H29.6cmと、従来モデルよりもひと回り大きくなったが、そのぶんをタンク容量に活かしたかたちだ。そのほか、使い勝手に配慮してブラッシュアップを図った。TE-TS56VとスタンダードモデルのTE-GS10Bのいずれも、前面パネルと茶臼のセット箇所に帯電防止樹脂を練り込んである。従来モデルでは、静電気でお茶プレッソ本体に茶葉が付着することがあり、改善を望む声も多かった。帯電防止樹脂を採用することで、こうした茶葉や粉末茶が付着するのを軽減できる。また、茶臼やお茶容器に設けられた茶葉の投入口を大きくし、茶葉や粉末茶を入れやすくした。上位モデルのTE-TS56Vでは、湯呑みを置く台と、その下にセットするトレイを取り外して丸洗いできるようになるなど、手入れのしやすさも向上している。○お茶文化を盛り上げていきたい新製品発表会に出席した、シャープ 執行役員 健康・環境システム事業本部長の沖津雅浩氏は、2015年夏からTE-TS56Vを北米でも発売すると表明。「近年、北米でもお茶を愛飲する人が増えている。お茶プレッソとともに、日本のお茶文化そのものを輸出していきたい」と語った。ちなみに、茶道を意味する"Tea Ceremony"をもじって、北米では「Tea-Cere(ティー・セレ)」のブランド名で販売するという。シャープ 健康・環境システム事業本部 調理システム事業部 副事業部長兼商品企画部長の田村友樹氏は、お茶プレッソの製品企画と開発を担当している。「初代お茶プレッソのユーザーにアンケート調査を行ったところ、35%の人が茶葉の購入量が以前の2倍以上になったと答えている。お茶を粉末にして丸ごと摂取するお茶プレッソでは、急須でお茶を淹れる時の1/3しか茶葉を使わない。それにもかかわらず購入量が増えているというのは、お茶を飲むだけでなく、料理などに活用してもらえているということではないか」と分析した。また、2代目お茶プレッソの開発について、「挽いた茶葉の粒度に関しては、一般ユーザーの購入者90%から"大変満足"という回答を頂いている。しかし、専門家やお茶への造詣が深い人々からの声や助言を反映し、もう一段上のおいしさを追求した」と説明した。○湯ざまし機能は画期的発表会には、大妻女子大学名誉教授・農学博士で、同大学の「お茶大学」校長も務める、"お茶博士"の大森正司氏がゲストとして登場。「従来、捨てていたお茶殻には健康に有効な成分が多く含まれていることはさまざまな実験で立証されている。それを丸ごと摂取できるお茶プレッソは初代モデルから素晴らしい製品だったが、それをさらに進化させたのが今回の新モデルだ。特に、温度を70℃まで下げてお茶を抽出できるというのは画期的。急須の場合だとだいたい70~80℃だが、茶葉はお湯の温度によって風味や成分が変化するもの。70℃くらいのお湯で淹れるとお茶が甘くて非常に美味しくなる」と新製品に太鼓判を押した。
2015年03月26日シャープは2014年10月23日、大阪府八尾市のシャープ八尾工場において、メガフリーザー搭載冷蔵庫の出荷式を行った。今回、出荷した冷蔵庫「SJ-GT50A/GT47A」は、大きな食材もそのまま保存できる173リットルの大容量を持つメガフリーザーを採用した製品。冷却器ユニットのコンパクト化により、冷蔵庫各室の容量バランスが最適化されている。474リットルの容量ながら、600リットルクラスに搭載している大容量の冷凍室を搭載しているのが特徴だ。独自の冷凍ケースを仕切ることができる「4切り(しきり)名人」を採用し、収納量が20%増えているほか、冷凍食品がマイナス18度を上回ると味が落ちるところに着目。冷凍室を開閉しても、庫内温度変化が少なくする工夫を凝らしているという。また、プラズマクラスターも搭載し、庫内を清潔に保つことができるという。10月23日の午前10時30分から行われた出荷式では、シャープや協力会社などの関係者250人が参加。挨拶をしたシャープ 執行役員 健康・環境システム事業本部の沖津雅浩本部長は、「今年の家電業界は4月の増税前の駆け込みにより賑わいを見せ、八尾の冷蔵庫工場も業界の伸びを上回る生産量となった。その後、増税の反動や夏場の天候不順により、家電業界にとって厳しい状況が続いている」と、業界の動向に触れつつ、「そのなかでシャープの健康・環境システム事業本部は9月以降、冷蔵庫や洗濯機、掃除機、空気清浄機をはじめとするプラズマクラスターイオン関連製品を発売し、今後も新たな需要を喚起する製品を投入することで、事業拡大を図る」と語った。そして今回出荷するメガフリーザー搭載冷蔵庫について、「冷凍食品に対するニーズにおいて、冷凍室の大型化、収納の高効率化、食品保存の高性能化という3つの特徴を持つ製品だ。顧客のニーズを捉えており、拡売できると確信している。シャープでは、450リットル以上の冷蔵庫の5割以上をメガフリーザーとし、大型冷蔵庫市場のシェアを高めたい。販売店からも好評であり、初期配荷する店舗数は通常の1.5倍の約5,000店舗になる」と自信をみせた。また、シャープ 冷蔵システム事業部・野間繁雄事業部長は、「メガフリーザーは、ニーズを的確に捉えた斬新な商品。前評判も高く、間違いなくヒット商品になると確信している」と前置きし、「メガフリーザーシリーズで、2014年度下期の新製品販売台数を前年同期比1.5倍にする。450リットル以上の大型冷蔵庫ゾーンにおいて、現在10%のシェアを13%に引き上げる。また、メガフリーザーの品位を高め、すべての方に満足してもらえる商品にする。そして、市場に出たときに傾向不良は起こさない。メガフリーザーでシャープ大賞の獲得を目指す」と5つの決意表明を行った。乾杯の音頭をとったシャープエレクトロニクスマーケティング・細尾忠弘社長は、「市場は厳しい状況にあるが、販売店においては回復基調に転じるための製品として、メガフリーザー冷蔵庫に期待している。これを出荷できることを社員に感謝したい」と語った。さらに、協力会社を代表して挨拶した多田プラスチック工業の前田政利社長は、「ついに出たなぁと感じた商品。日本の食文化が大きく変化するなかで、冷凍食品の増加とともに、冷凍庫を大きくして欲しいという声が大きかったのではないかと感じている」と冷蔵庫に求められる機能の変化に言及。「女性の心を掴んだ冷蔵庫であり、評価されるものと期待している。シャープの冷蔵庫は、霜がつかない冷蔵庫や3ドア冷蔵庫、両開き冷蔵庫といったエポックメイキングな製品を相次いで投入してきた。こうした流れのなかで出てきたのが、メガフリーザー冷蔵庫であると考えている。台数シェアが拡大傾向にあり、そこにメガフリーザー冷蔵庫が投入され、さらに弾みがつくと期待している。メガトン級の販売が可能になる」と新製品に期待を寄せた。その後、社員代表による必勝スローガン唱和のあと、初出荷のために生産された製品がトラックに積み込まれ、トラックが八尾工場を出発した。八尾工場で冷蔵庫の出荷式を行ったのは、4年ぶり4回目のことだという。それだけ今回の製品に同社が強い意気込みがあることを示しているともいえよう。以下、出荷式の様子を写真と動画で追ってみる。
2014年10月24日