異常気象などの影響もあってか、昨今は自然災害が猛威をふるい、その被害も以前と比べて格段に大きくなっています。地震や噴火、津波などだけでなく、台風や竜巻による深刻な被害も多く聞かれます。これらの自然災害から大事なマイホームや財産を守るためにも火災保険について一度振り返ってみましょう。○洪水や噴火で自宅が被害を受けたとき火災保険に入っていれば大丈夫?火災保険は文字通り火事などによりマイホームが被害を受けたときのために加入しているものですが、ご存知のように自然災害による被害もカバーしています。火災保険にきっちり入っていれば、どんな災害の際にも家や財産は守られると考えがちですが、状況によっては補償されない場合もあるので、補償内容はしっかりチェックしておく必要があります。まずは地震による被害。地震や噴火によって火災が発生し自宅が半焼以上の被害を受けたとしても、火災保険からは契約保険金額の5%が支払われるだけ。地震などで自宅が倒壊した場合も火災保険の補償対象外となってしまいます。ですから地震や噴火による被害に備えるには、地震保険に加入する必要があります。地震保険は火災保険とセットで契約できる商品で、建物、家財それぞれ加入できます。注意したいのは地震保険は火災保険金額の30~50%までしか加入できないということ。つまり、全損した場合でも再建築するための半分の額しか受け取れません。家財も同様です。それでも東日本大震災をみてもわかるように、大地震による被害は大きくなりがちなので、加入しておくに越したことはありません。保険料は住んでいる地域によって異なり、また、火災保険と比べて高額なので保険料負担のバランスも考慮しながら備えるといいでしょう。また、津波による浸水や倒壊被害も火災保険ではなく地震保険の補償範囲です。地震による損害では家財も大きな被害を受けることが多いので建物だけでなく家財も加入しておくと安心でしょう。○地震や台風など最近は被害が増えているけど補償の見直しはどうするべき?保険が自由化される以前は、火災や風災雪災など最低限の補償を備えた住宅火災保険とそれに水災など補償を充実させた住宅総合保険の2つが主流で、どの保険会社で契約しても保険料や補償内容に違いがありませんでした。しかし、現在は損害保険会社ごとに独自の補償内容の選択肢が増え、加入者が補償を自由に選べる保険も増えています。たとえば最近増えている大型台風やゲリラ豪雨による水害。このような大雨や洪水などによる浸水被害は、旧来の住宅火災保険では補償されません。自宅を購入あるいは新築したときに加入したまま、長い間契約を見直していないという人は、現在加入している保険の補償内容をチェックしなおして、今の状況にマッチしたリスクに備える必要があります。また、大雨や洪水などによる浸水被害は建物だけでなく家財が大きな被害を受けがちです。これまではあまり気にしてこなかったという人でも、ここ数年の大災害の被害状況を見て、もしかしたら我が家も被害にあう可能性があるかもと心配している人もいるのでは?少しでもリスクがあると感じたなら、建物だけでなく家財の保険も併せて家と財産の保険の見直しを検討するといいでしょう。逆にマンションの高層階や一戸建てでも高台にあるなど浸水被害は受けにくいと考えられるなら、水災の補償ははずすという選択も。ほかにも竜巻や雷などによる被害も地形など立地によってリスクの大きさは異なるので、それぞれの環境に応じて必要な補償は万全にする一方で不要な補償は思い切って切り捨てることにより、無駄なコストをカットできます。また、オール電化の住宅なら保険料が安くなるなどの保険料も細分化されているので、見直すときにはなるべく同じ条件で各社の火災保険を比較してみることが大切です。被害にあってから補償されるかどうかあわてて確認しても手遅れです。自然災害による被害は以前よりも確実にリスクが高まっているので、大事な我が家を守るためにも一度しっかり内容を確認しておきましょう。<著者プロフィール>ファイナンシャルプランナー 堀内玲子証券会社勤務後、編集製作会社で女性誌、マネー関連書などの編集を経て1993年に独立。1996年ファイナンシャルプランナー資格を取得。FPとして金融・マネー記事などの執筆活動を中心に、セミナー講師、家計相談などを行う。著書に「あなたの虎の子資産倍増計画」(PHP研究所・共著)「年代別ライフスタイル別生命保険のマル得見直し教室」(大和出版)など。
2015年12月23日理化学研究所(理研)は8月28日、皮膚で痛みを感じる「痛覚」や自分の関節の位置や動きを感じる「固有感覚」といった異なる種類の感覚を、脊髄で放出される脂質「LysoPtdGlc」が、各感覚を分けることで、脊髄以降、脳に至るまで混線することがなくなることを発見したと発表した。同成果は、理研 脳科学総合研究センター神経成長機構研究チームの上口裕之チームリーダーと神経膜機能研究チームの平林義雄チームリーダー、東北大学 大学院薬学研究科の青木淳賢教授、東京大学 大学院総合文化研究科の太田邦史教授らによるもの。詳細は米国の科学雑誌「Science」に掲載された。さまざまな感覚は、それを伝える神経細胞の突起(神経突起)が脊髄の特定部位を通り、最終的に脳へ投射されることが知られていたが、これまでの研究では、この神経突起の分別を行うタンパク質などは発見されておらず、研究チームは、この分別がタンパク質の働きだけでは説明が難しいことから、脂質によって制御されているのでは、と考え、その検証作業を行ったという。その結果、脊髄を構成する神経細胞以外の細胞(グリア細胞)が、特定の部位で脂質を産生し、その代謝産物が痛覚神経突起のみを反発して固有感覚神経突起から分離させる役割を担っていることを突き止めた。また、その分子メカニズムとして、Gタンパク質共役受容体「GPR55」が受容体であり、これを介して痛覚神経突起を反発することで、痛覚と固有感覚の神経突起が混線することなく別の目的地へ投射できることを突き止めたとする。なお研究グループでは、今回の成果を受けて、脳脊髄の発生メカニズムの理解が深まり、損傷した神経回路の修復技術の開発が進むことが期待できるとコメントしているほか、GPR55は痛覚神経細胞だけでなく骨細胞・脂肪細胞・免疫細胞・がん細胞などにも発現していることから、これらの細胞が関与する疼痛・骨疾患・肥満・炎症・がん転移など各種疾患の病態解明と治療法開発に役立つ可能性があるとしている。
2015年08月28日雪印メグミルクは7月17日、ガセリ菌SP株に脂質の吸収を抑制する効果があることをヒト試験において確認したと発表した。なお、同研究の詳細は7月11日~12日に開催された「日本乳酸菌学会 2015年度大会」で発表された。同研究では、健康な男女30名を2つのグループに分け、ガセリ菌SP株を含むヨーグルト100gを1週間摂取した時の糞便への脂質排出に与える影響を調査した。その結果、ガセリ菌SP株入りヨーグルトを摂取したグループでは、摂取前と比べて糞便中の脂質量が有意に増加した。一方、ガセリ菌SP株が入っていないヨーグルトを摂取したグループでは変化が見られなかった。この結果から、ガセリ菌SP株には、脂質の吸収を抑制し体外へ輩出する働きがあると結論付けられた。
2015年07月17日慶應義塾大学は6月25日、脂質異常症の治療薬として使用されるスタチン製剤に卵巣がんの発生や進行を抑制する効果があることを確認したと発表した。同成果は同大学医学部産婦人科学教室の小林佑介 特任助教と米Johns Hopkins大学医学部病理学教室のTian-Li Wang 准教授、Ie-Ming Shih 教授らの研究グループによるもので、6月24日付(現地時間)の米科学誌「Clinical Cancer Research」に掲載された。スタチン製剤はコレステロールの合成を阻害することから脂質異常症の治療薬として用いられている。近年、同剤ががんの発生を抑える可能性が注目されているが、卵巣がんではその効果が証明されていなかった。同研究では、卵巣がんが自然に発生するマウスにスタチン製剤を投与した。このマウスは通常、生後5週からがんが出現するが、スタチン製剤を投与したマウスではその発生や進展が抑えられていた。ヒトの卵巣がん細胞を移植したマウスでも同様に、スタチン製剤の投与によって腫瘍の発生や進行が抑えられることが確認された。また、腎機能や肝機能への影響は認められなかった。さらに、ヒトの卵巣がん細胞にスタチン製剤を添加して培養すると、増殖が抑制されるとともに、細胞が膨化したり細胞内に空胞ができることから、アポトーシスやオートファジーといったプログラム細胞死が関与していることが示唆された。実際、同剤の投与により、アポトーシスやオートファジーに関与するタンパク質の発現が細胞レベルでも腫瘍レベルでも高くなっていたという。同研究グループは「今後は本研究の結果をもとに、至適用量やその適応を十分に考慮した上で、ヒトの卵巣癌の発生や進行を実際に抑制しうるか検討が行われることを期待します。」とコメントしている。
2015年06月25日昼間、仕事中に異常な眠気に悩まされている方、疲れがたまっていませんか?今はただの疲れでも、進行するとある病気になる可能性もあります。健康を害し、仕事に支障が出てしまう前に、ちょっとチェックしてみましょう!日中に異常な眠気がある方へ朝起きてもなんだかスッキリ目覚められない、全身がだるくて起き上がりたくない。仕事もすぐに疲れてしまい、異常な眠気が襲ってくる。そんな状態になっていたら、あなたはただの「お疲れぎみ」ではなさそうです。特に、しっかり休みは取っているのに疲れがとれなかったり、日中、極度の眠気に襲われる、もしくは、夜は寝付けず眠りも浅い感じがするといった状態が起きていたりするのであれば、ある症候群が疑われます。「慢性疲労症候群」とは?それは、「慢性疲労症候群」。全身が重く、体を動かせなくなるほどの疲労が半年以上の長期間に及ぶもので、日常生活に支障が出る病気です。しかし、血液検査や内臓の検査をしても一向に異常が見つからないのが特徴で、実際、特に大きな疾患は見られないようです。自分ではただ体調が悪い、疲れ気味と感じているかもしれません。この「慢性疲労症候群」の原因は不明といわれており、日本人のうち約0.3%の人が患っていると推定されています。疲れが改善しないことから、仕事への意欲が低下するなど、精神的にも不調になるといわれています。「慢性疲労症候群」の症状を知ろう慢性疲労症候群の症状としては、微熱や悪寒、のどの痛み、頸部やワキの腫れ、筋力低下、筋肉痛、全身の倦怠感、頭痛、関節痛、集中力・思考力の低下、抑うつ、物忘れ、過眠や不眠などの睡眠障害などがあります。これらの症状が6ヶ月以上続き、全身の検査でも異常が見つからないのであれば、慢性疲労症候群を疑われるといわれています。もし似たような症状があるという方は、早めにお医者さんに相談しましょう。日中に異常な眠気が襲ってくるのは、仕事にも差し障ることなので、できるだけ早めに対処したいものですね。【参考】総合南東北病院「何とかしたいこの疲れ~慢性疲労症候群~CFS」林鍼灸院「慢性疲労症候群と中国鍼灸治療」東京脳神経センター「完治された患者の体験記:慢性疲労症候群が治り日常生活へ復帰」
2015年01月29日仕事中の異常な眠気。今寝てはいけないと分かっていても、どうしてもタイミング悪く眠気が襲ってくることはあるものです。大事な会議中などに寝てしまわないように、日頃からどのような対策をすればいいのでしょうか。それにはまず、その異常な眠気の程度を知ることが必要です。仕事中の異常な眠気病気の可能性は?昼間の異常な眠気には、病気が潜んでいることがあります。しかし、「ただの寝不足だろう」と特に重大なことと捉えていない方も多いのではないでしょうか。そこで、もっと自分の眠気を客観的に知ることのできる方法を紹介します。それは、眠りに関する尺度を利用することです。簡単にいえば、眠りや生活習慣についての簡単な問いに答えていき、その合計点数によって自分の眠気の程度を把握するというものです。過眠症をはかる尺度エップワース眠気尺度眠気をはかる尺度としては、エップワース眠気尺度と、スタンフォード眠気尺度が挙げられます。エップワース眠気尺度とは眠気について調査するもので、8つの設問に対して、「ない」は0点、「時々ある」は1点、「よくある」は2点、「いつもそうだ」は3点と、点数をつけていき、合計します。問いは、読書やテレビ、映画館、会議中、車の中、人と話しているとき、昼食後などに眠ってしまうかどうかを問う内容になっています。合計点数が11点以上の場合、何かの病気が疑われます。しかし、自分ではなかなか判断ができないので、家族に協力して評価してもらうのがいいようです。スタンフォード眠気尺度とは?一方、スタンフォード大学で作成されたという眠気の自己評価尺度であるスタンフォード眠気尺度は、次の7つの状態のうち、どれがもっとも自分の眠気に近いかを選ぶことで、自分の状態が分かるというものです。・やる気があり、活発で、頭がさえていて、眠くない感じ【点数1】・最高とはいえないまでも、頭の働きが活発、集中していられる【点数2】・くつろいで起きているが、どちらかというと少し頭がぼんやりし反応が悪い【点数3】・すこしぼんやりしていて、何かしたいと思わない【点数4】・ぼんやりしている、集中していられない、起きているのが困難【点数5】・眠いので横になりたい、ぼうっとしている【点数6】・まどろんでいる、起きていられない、すぐに眠ってしまいそうだ【点数7】点数が日中、慢性的に3点以上のときがある場合、過眠症の可能性も考えられます。1~2点であれば覚醒状態は良好、2点以上は睡眠不足を抱えている指標になるようです。これらの眠気尺度を試してみて、ちょっと異常な数値だと思ったら、早めにお医者さんに相談しましょう。Photo by 19melissa68
2014年11月22日日中、頭がぼーっとして仕事にならないということはありませんか?異常な眠気を伴うときは、脳疲労の可能性があります。この脳疲労の原因やメカニズムを知れば、自らの対策に役立てることができます。異常な眠気、頭がぼーっとする原因は?仕事中に襲われる異常な眠気。どう対処していますか?眠気がそれほど強くないときも、頭がぼーっとしてしまうことってありますよね。そんなとき、脳はある状態に陥っている可能性があります。それは、脳疲労。過剰なストレスが長時間続くと、脳の働きが低下するといわれているのです。この脳疲労の原因といわれているのがアンモニアです。脳は酷使し続けると、アンモニアが大量に発生し、脳にどんどんたまってしまうのだそうです。アンモニアは、脳を酷使するだけでなく、イライラすることによってもたまってしまうそう。アンモニアは体にとって毒です。それがどんどんたまっていくなんて、想像しただけで恐ろしいものですね。アンモニアでやる気が下がる!?脳にアンモニアがたまるとどうなるのでしょうか。本来、アンモニアは有毒なので、肝臓で無毒化されてから最終的には尿素として体外へ排出されます。しかし、大量発生した毒であるアンモニアに対して危険を察知した脳は、アンモニアをこれ以上増やさないために、脳を疲れさせることでやる気を低下させるのだそうです。なんだかぼーっとする、やる気が起きないというときはアンモニアがたまっているのかもしれないですね。また、血糖値が下がり、脳にエネルギーが足りないときにも脳疲労は起こります。その他、眠気や生あくびが多くなる場合は、酸欠状態が疑われます。脳疲労の対策は?脳疲労には色々な原因がありますが、中でもアンモニアがたまっていることが疑われる場合、どのような対策があるのでしょうか。アンモニアをグルタミンというものに変換して解毒してくれるのは、アミノ酸のグルタミン酸だといわれています。このグルタミン酸を供給するのが、BCAAと呼ばれる分岐鎖アミノ酸。肉や魚、卵、大豆製品、乳製品に多く含まれているそうです。また、アンモニアが無毒化されて体外へ排出されるのを助けるアルギニンというアミノ酸も大事です。肉や魚、大豆製品などに多く含まれているので、意識的に摂取してみてください。また脳の機能を復活させるために必要な、エネルギーの源であるビタミンB群を補給するのも忘れずに。脳疲労が疑われる人は、ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。Photo by UGL_UIUC
2014年09月21日東京大学は4月3日、運動による脂質代謝改善に関わる新たな分子機構を明らかにしたと発表した。成果は、東大大学院 農学生命科学研究科の佐藤隆一郎教授らの研究チームによるもの。研究の詳細な内容は、3月18日付けで「American Journal of Physiology Endocrinology and Metabolism」に掲載された。メタボリックシンドロームの発症には、影響として運動習慣の有無が大きい。特に運動による脂質代謝改善においては、骨格筋で「リポタンパク質リパーゼ(LPL:Lipoprotein lipase)」発現が上昇することが重要だとされる。LPLは運動により発現上昇した後に血中に分泌され、「キロミクロン」や「VLDL」などのリポタンパク質中に含まれる「トリグリセリド」を分解。その後、分解産物である脂肪酸を骨格筋細胞が積極的に取り込むことで脂質代謝が改善する仕組みだ。しかし運動後の骨格筋でなぜLPL発現が上昇するのか、分子レベルで明確にはわかっていなかった。そうした中、近年、運動による代謝改善効果を担う因子として「エネルギーセンサタンパク質(AMPK:AMP-activated protein kinase)」が注目されている。AMPKは運動によって生じる細胞内エネルギー枯渇を感知し、その回復に努める機能分子だ。今回の研究では、AMPKが核内受容体「PPAR(peroxisome proliferator-activated receptor)γ1」の発現亢進を介してLPLの発現上昇を誘導することが新たに見出され、さらにAMPKによるPPARγ1の発現亢進の一部は、mRNAの安定化という一風変わった機構により調節されていることが明らかにされた(画像1・2)。今回の研究では、斜度10°のトレッドミルを用い、マウスに対して毎分15mの速度で30分の走行運動を週5回、4週間にわたる負荷がかけられた。その結果、非運動群のマウスに比べ、運動群マウスでは骨格筋におけるPPARγ1およびLPLのメッセンジャーRNA(mRNA)量が有意に上昇することが認められたという。核内受容体であるPPARファミリーはα、β/δ、γの3種類のサブタイプが存在し、さまざまなエネルギー代謝に関わることが知られている。骨格筋においてはPPARファミリー中のPPARα、およびPPARβ/δが脂肪酸代謝関連遺伝子の発現を調節する機能を持つ。一方、PPARγは脂肪細胞において重要な働きをしているが、骨格筋における発現量は脂肪組織の10%以下であることから、その機能については不明な点が多く残されていた。そこで筋細胞におけるPPARγ1の機能を明らかにするため、培養筋管細胞「C2C12」にPPARγ1を過剰発現させ、種々の遺伝子発現応答の追跡が実施されたのである。その結果、LPL mRNAおよびタンパク質の突出した上昇が確認されたことから、PPARγ1がLPL発現を調節する因子であることが明らかになった。さらに研究チームは、運動時にPPARγ1発現を上昇させる上流因子の同定を試みることにし、そこで着目した因子が運動により活性化するAMPKというわけだ。C2C12をAMPK活性化剤である「AICAR」や「メトフォルミン」、AMPKを間接的に活性化する「H2O2」を含む培地で培養すると、PPARγ1mRNAならびにタンパク質の上昇が確認された。この上昇は、同時にAMPK阻害剤を培地に加えると解除されたことから、AMPK活性化によりPPARγ1mRNAが上昇することが明らかになったのである。さらにマウスに対して3日間にわたるAICARの投与が行われたところ、やはり骨格筋においてPPARγ1、LPL mRNAの有意な上昇が確認された。以上の結果より、運動→AMPK活性化→PPARγ1増加→LPL上昇の分子機構が明らかにされたのである。運動刺激により骨格筋はLPL分泌を上昇させ、エネルギー源となる遊離脂肪酸を細胞内に積極的に取り込む適応をしていると考えることができるという。続いて、AMPK活性化によるPPARγ1発現上昇の分子機構の解析が行われた。その結果として興味深いことに、PPARγ1mRNAは通常およそ4時間の半減期で分解するのに対し、AMPKを活性化することで半減期が12時間程度まで延伸することが判明。ここで見られたmRNA安定化は、AMPK阻害剤により抑制された形だ。PPARγ1mRNAの「3’非翻訳領域」には、半減期の短いmRNAに特徴的な「AU-rich配列」が5カ所存在し、いずれもヒト、マウス、ラットで保存されている。この結果は、AMPKがAU-rich配列を介したmRNAの分解機構を抑制する作用を持つことを示唆しているという。今回の成果により、骨格筋における、運動→AMPK活性化→PPARγ1増加→LPL上昇の分子機構が明らかとなった。AMPKは、運動のみならず食品に含まれる種々のポリフェノールなどによっても活性化されることが知られている。来るべき高齢社会において、運動が十分にできない高齢者の健康維持に、AMPK活性化能を持つ食品が活用されることが期待されるとした。
2014年04月07日キリンMCダノンウォーターズは、4~10歳の子どもと母親400組に対し、「子どもの体温異常に関する調査」を実施した。調査の結果、約4割の子どもが体温異常を抱えており、睡眠や便通などの生活習慣が乱れている子が半数近くいることが明らかとなった。調査は、4月14日~16日・18日・19日・21日に、イオン大宮店 ファンタジーキッズーナに来店した親子(4歳~10歳の子ども、ならびにその保護者400組)を対象に直接回答方式で実施した。アンケート実施時の子どもの体温は、36℃未満の子どもが18%、37℃以上の子どもが19%。調査を行った時間帯(昼過ぎから夕方まで)の子どもの適性体温は36~37℃であるため、実に4割近くが何らかの体温異常を抱えていることがわかった。また、子どもの運動頻度・運動時間と体温との相関関係についても調査。その結果、運動している子どもほど高体温になりにくい傾向があることもわかった。特に1回の運動時間が1時間以上・3時間未満の子どもは標準体温である割合が高く、体温異常を防ぐには適度な運動が有効と考えられる。さらに、水分摂取させる頻度が多い(1日に9回以上)子どもほど体温異常になる割合が低い傾向にあることもわかった。特に、1日11回以上水分を摂取している子どもは、体温異常を抱えている割合が27.3%と、全体平均よりも10ポイント程度低い。水分補給の回数は子どもの健康を守る上で大切であると考えられる。【拡大画像を含む完全版はこちら】
2012年05月31日