ニキビのてっぺんに膿(うみ)ができた状態の「黄ニキビ」。できてしまうと憂鬱(ゆううつ)な気持ちになってしまいますね。しかし、この黄ニキビは、できた後の治し方が肝心。無理につぶしてしまったら、跡として残ってしまう可能性も高いのです。そこで今回は、「黄ニキビができた時の正しい対処方法」を解説します。【監修】成城松村クリニック院長 松村圭子先生婦人科専門医。1995年広島大学医学部卒業、同年広島大学付属病院産婦人科学教室入局。2010年、成城松村クリニックを開院。女性の「体の健康」「心の健康」のために、一般の婦人科診療だけではなく女性のあらゆる面をトータルにケア。講演、執筆、TV出演など幅広く活動。著書に、『女30代からのなんだかわからない体の不調を治す本』(東京書店)、『医者が教える女性のための最強の食事術』(青春出版社)など多数。■黄ニキビとは? 赤ニキビとどう違う?黄ニキビは赤ニキビが進行した状態まず「赤ニキビ」ですが、これは白ニキビや黒ニキビが悪化して炎症を起こしたものです。毛穴が赤くなり、なかで膿がたまっていることもあります。毛穴のなかでは、ニキビの元の「アクネ菌」などが炎症を起こしています。黄ニキビは、その赤ニキビが悪化し、ニキビのてっぺんに膿が黄色く見えるものです。黄ニキビになると、「ニキビ跡」ができる可能性が高まります。皮ふの内部では、アクネ菌の出す酵素「リパーゼ」という物質が、毛穴の壁を破壊していき、炎症が大きく広がってしまいます。この状態では、ニキビ跡も残りやすくなります。参考サイト:東京医科大学病院 お薬のしおり 「尋常性痤瘡(ニキビ)と外用薬について」 白ニキビや黒ニキビってどんなニキビ?「白ニキビ」は、皮脂が毛穴からうまく排出されずに、毛穴にたまってしまっている状態です。小さくポツンと白い点のようになって、目立たないものがほとんどです。「黒ニキビ」とは、毛穴の皮脂が酸化して黒っぽくなっている初期ニキビです。白ニキビの毛穴が開き、酸化した皮脂やメラニン色素が黒く見えている状態です。黒く目立つためにシミのように見えることもあり、気になってしまう人も多いでしょう。参考サイト:マルホ ニキビ一緒に治そうProject 「STEP1 ニキビの原因と種類」 黄ニキビの原因黄ニキビの黄色は、赤ニキビの時にアクネ菌と白血球が戦って、その残骸が黄色く変色して見える状態です。膿疱(のうほう)という黄色い膿の塊を伴います。原因はほかのニキビにも共通していますが、食生活の乱れやホルモンバランスの乱れなどにより、皮脂が過剰に分泌されること。毛穴の出口部分が皮脂でふさがってしまい、さらに皮脂がどんどんたまっていきます。そこに、皮脂をエサとするアクネ菌やブドウ球菌が繁殖。菌の影響で内部は炎症を起こし、赤くなったりはれたりする赤ニキビができます。さらに炎症が悪化すると、膿疱を含む黄ニキビと変化していくのです。ひどい時はかゆくなる?黄ニキビの膿は、アクネ菌やブドウ球菌などの「ニキビ菌」と白血球が戦った後の残骸です。ニキビがかなり進行した状態なので、触ると痛かったり、かゆかったりすることがあります。かゆみがある場合でも、黄ニキビを無造作にかいてつぶしてしまわないようにしましょう。ニキビ跡が残ってしまう可能性があります。黄ニキビの状態から悩むより、できるだけ早めに病院を受診することがおすすめです。■黄ニキビはつぶしていいの?つぶすのはNG! 膿は出さないで放置が正解黄ニキビは黄色い膿が見えるため、ついつい触ったり、つぶしたりしたくなります。しかし、自分で適当に手でつぶすのは厳禁です。ニキビ跡として凹んだり、黒くシミになって残ってしまったりする場合があります。日常生活では「ニキビは触らずにそのまま放置」を心がけましょう。病院では、専門の器具を使って圧出し、黄ニキビの中身を出す処置もありますが、これは専門の医師だからできること。自己判断で同じことをしないことが大切です。黄ニキビが取れた! 膿が勝手に出てきた場合はどうしたらいい?黄ニキビの膿が何かの拍子で自然に出てくる場合もあります。その時も、あまり触らず、そっとしておくのがいいでしょう。下手に手で触ったり、残りの膿を手で押し出したりしてはいけません。ニキビ跡が傷になり、治りにくくなります。ニキビが悪化してしまうこともあるので注意しましょう。また、ニキビ跡を早くきれいにしたいなら、ビタミンC誘導体が配合されたコスメを使用するのがおすすめです。合わせて、ビタミンCのサプリメントを飲むなど、体の中からのケアもいいでしょう。■黄ニキビの正しい対処方法 対処方法1:刺激を与えずやさしくスキンケア黄ニキビに関わらず、すべてのニキビに共通することですが、「スキンケアはできるだけやさしく」が基本です。まずはていねいに1日2回の洗顔をします。洗顔料を泡立てて、泡で顔を包むように、毛穴の皮脂を排出するようにやさしく洗います。タオルで拭き取る時もこすらずソフトに行いましょう。対処方法2:やりすぎはダメ! 自然治癒力に任せるのも大切黄ニキビは炎症が進んだ状態のため、自己流で治すことは難しいといえます。気にしすぎて触っていると、つぶしてしまったり、傷つけてしまったり、余計にニキビの悪化に繋がる可能性もあります。普段通りにスキンケアをやさしく行い、あとは放置しているだけでも、自然治癒力で快方に向かうこともあります。無理にいじらず、そっとしておきましょう。対処方法3:保湿ケアで見守る黄ニキビは、脂性肌だからできやすいイメージがあるかもしれません。しかし、実は「乾燥肌の人こそニキビができやすい」と言われています。過剰な皮脂の分泌は乾燥を補おうと皮ふが反応しているため。ですから、肌の保湿を怠ることは禁物です。また、乾燥肌は肌バリアを弱くします。バリアを保護するために、肌は角層を厚くしていくと言われています。その結果、毛穴が詰まりがちになり、ニキビができやすくなってしまいます。黄ニキビができている状態でも、保湿は大切です。どうしても気になる方はニキビになりにくい成分で構成されている「ノンコメドジェニック処方」の化粧品を使ってみるといいかもしれません。化粧水、乳液をつけ、さらに保湿が足りないと感じたらクリームを塗ってもいいでしょう。対処方法4:薬でケア黄ニキビは薬での対応が可能です。市販でも炎症を抑える成分配合のもの、抗菌作用のあるものなど、複数の塗り薬が出ていますね。しかし、一定の効果が期待できる薬は、病院で処方してもらうのがいいでしょう。2015年に登場した「過酸化ベンゾイル」という成分の薬は、皮脂の過剰分泌を抑え、殺菌力があります。厚くなった角質も取ってくれるため、とても有効な塗り薬です。飲み薬では、アクネ菌を抑えるものや皮脂分泌を正常に戻してくれるビタミン剤があります。体質改善したいなら漢方薬を処方してもらうことも可能です。対処方法5:ひどい場合は専門医の元へニキビがひどくなりそうに感じたなら、早めに病院を受診するのがおすすめです。その人のニキビの状態に一番効き目のある治療法を提案してくれるので、スムーズに治療ができるでしょう。参考サイト:Medical Note 「治りにくいにきびを治すために – にきびの原因・治療と自分でできる対処法」 ■まとめ今回は、黄ニキビの正しい処置方法についてみていきました。炎症の強い黄ニキビは、自己判断で触ってしまうと、ニキビ跡が残りやすい厄介なもの。しかし、きちんと正しい処置で治療を行えば、きれいに治すことも可能です。やはり早い段階で病院を受診することが、美肌に戻すための一番の近道となるでしょう。参考資料:・ マルホ ・ 東京医科大学病院 ・ Mddical Note
2020年05月11日