演劇ファンが熱を持って観続けてきた“大人計画の役者・阿部サダヲ”が、ここ数年で“皆が知っている俳優・阿部サダヲ”になった。映画とドラマで続く主演や、話題作への出演など、阿部が「いま最も求められている俳優」のひとりであることは間違いない。来年3月には主演舞台『八犬伝』への出演も決定している。そんな阿部に見えているのはどんな景色なのか。現在の心境を訊いた。『八犬伝』チケット情報日本の長編伝奇小説のひとつ、滝沢馬琴著の『里見八犬伝』。この名作をもとに、今回新たに演劇としてこの作品に光をあて、8人の若者の成長物語として描く舞台が『八犬伝』だ。阿部は八犬士のひとり、犬塚信乃を演じる。「台本を読んで思ったのは、主役ではあるけど意外と普通の人ですよね。他の八犬士は個性的だけど、信乃は周囲の人との関わりで動いていく人。ただ、物語はやっぱり信乃が軸にならないといけないから、芯はブレないようにしようと思っています。信乃のまっすぐなところ、企みがないところは意識しながらっていうバランスが難しいけど、稽古場で作っていくのは楽しみですね」。脚本は『ロミオ&ジュリエット』の上演台本や劇団☆新感線『港町純情オセロ』の脚色を手がけるなど、近年めざましい活躍をみせる青木豪。演出は星野源主演の『テキサス』やシス・カンパニープロデュース公演で高い評価を得ている河原雅彦が担う。河原は2002年の解散まで「HIGHLEG JESUS」の総代を務めており、阿部とは同世代の小劇場仲間とも言えるが、意外にも演出を受けるのは初めてだと明かす。「共演者としての河原さんはよく知ってるんですけどね。演出家としての稽古場での居方ってきっと違うじゃないですか。聞く人によって“優しかったよ”とか“けっこう厳しいよ”とか言っていることが違うので、今回は優しいほうの河原さんだといいな(笑)」。八犬士には阿部のほか、瀬戸康史、津田寛治、中村倫也、近藤公園、尾上寛之、太賀、辰巳智秋と若い俳優が集結。また大人計画での共演も多い田辺誠一や二階堂ふみら、多彩なキャストが顔を揃える。公演は3月8日(金)から31日(日)まで東京・シアターコクーン、4月4日(木)から10日(水)まで大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ、4月13日(土)から14日(日)まで愛知・刈谷市総合文化センター アイリスにて上演する。チケットは12月15日(土)より一般発売開始。なお、阿部のインタビュー全容は@チケットぴあ『今週のこの人』のコーナーにて掲載。
2012年11月20日俳優の阿部寛と人気芸人の村上ショージが異色の共演を果たした『カラスの親指』の完成披露試写会が8日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで行われた。この日、阿部と村上のふたりは“警備員”に変装し、本編上映中の会場内にこっそり潜入。舞台あいさつの開始と同時に、正体が明かされると映画さながらのドンデン返しに、客席からは驚きの声があがった。当のふたりも「もろバレするだろうと思っていたので、逆に拍子抜け。でも人をだますのは楽しい」(阿部)、「僕はもともとオーラがないですけど…」(村上)とドッキリ成功にご満悦だった。その他の写真第144回直木賞を受賞した道尾秀介氏のベストセラー小説を実写映画化。プロの詐欺師・タケ(阿部)と新米詐欺師のテツ(村上)、そして彼らの元に転がり込んできた男女3人が、タケが背負う暗い過去にケリをつけるため一世一代の大勝負に挑む姿を描く。阿部はキャリア初の詐欺師役に「今までと違う自分を発見できた」と自信のアピール。共演した村上について「芸人さんとしての苦労が、背中で表現されている方。台詞を超えた存在感がある」と絶賛の声をおくった。かたや村上は「台詞が長すぎて、阿部さんに泣きついた」と振り返り、「どうしたらいいか尋ねたら、『とりあえず覚えるしかない』と言われて…。とにかく皆さんに迷惑をかけられないと、しがみついていた」と初の本格演技に満身創痍だったようだ。舞台あいさつには阿部と村上に加えて、共演する石原さとみ、鶴見辰吾、小柳友、古坂大魔王、原作者の道尾氏と伊藤匡史監督が登壇した。道尾氏は「こんなにいい作品にできあがるとは…。小説が長男なら、映画は次男。どちらも出来のいい子どもです」と感激しきり。映画は予測不可能なストーリー展開が大きな見どころで、伊藤監督も「最後のドンデン返し以外にも、いろんな場所にヒントが隠されている。一度と言わず、何度でも繰り返し、観てもらえれば」とアピールしていた。『カラスの親指』11月23日(金)公開取材・文・写真:内田 涼
2012年11月09日製作段階から注目を集めている阿部寛の最新主演作『つやのよる』。直木賞作家・井上荒野の同名小説を映画化する本作は、『今度は愛妻家』などの行定勲監督と阿部との初タッグや、小泉今日子、野波麻帆、風吹ジュン、真木よう子、忽那汐里、荻野目慶子ら豪華女優陣の共演など、これまでにも多くの話題を提供してきたが、今度は阿部と元妻子役の大竹しのぶ、忽那が出会う緊張感のあるシーンの模様が解禁になった。その他の写真映画は、不貞の妻・艶に苦悩し続けてきた阿部の演じる松生が、ガンで艶が危篤状態にあることを、彼女が過去に関係した男たちに伝えにいくストーリー。総勢22人の大人の男女が入り乱れる恋愛群像劇だ。さて今回解禁になったのは、艶のいる病室で、松生と大竹が演じる元妻・早千子がニアミスをするシーン。6月下旬に撮影されたこのシーンは、南房総の「少年自然の家」を、舞台となる伊豆大島の病院に見立てて撮影。艶の病室にいる早千子に驚いた松生が、2階から駆け下りてきて病院の外の喫煙所で煙草に火をつけるが、病院のロビーにいた忽那扮する娘の麻千子がそれに気づき、声をかけるも、松生は出てきた早千子を察知してまた逃げ去ってしまうという場面だ。その一連を建物の内側からの引き、寄り、外からと行定組特有の長回しで撮影していくが、その度に阿部がダッシュで駆け下りてきて、カットの度に肩で息をしている。だが、阿部は「行定監督とは10年以上前にCMで1回だけご一緒させていただいて、映画にも出してくれないかな? って思っていたんですけど、今回やっと夢が叶いました」と充実の笑顔。「それに大竹さんとも今回初めて映像で共演できたし」。すると大竹が「でも言葉も交わしてない(笑)。それにしても変わった話よね(笑)」と本音をポロリ。それに対して忽那は「監督は大切なシーンほどテイクを重ねるから大変(笑)」と行定組の洗礼をたっぷり浴びている様子。「それに母親を初めて女性として意識し、自分もそれに近づこうとする感覚を表現するのは難しい」と語った。一方、今回デジタルでの撮影に初挑戦した行定監督は「武器を得た感じ。予算を気にせずに回せるからね」とうれしそう。「日本にはなぜロバート・アルトマン(『ショート・カッツ』)のような登場人物のアンサンブルで見せる映画がないのかな? と前から思っていた。それに、俺がずっとやってきた連作短編をこの捻じれた構造の中で1本の映画にするのは新しいと思ったんです」。聞けば聞くほど濃密で一筋縄ではいかない内容の本作、来年1月26日の公開がいまから楽しみだ。『つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語』2013年1月26日(土)全国ロードショー取材・文・写真:イソガイ マサト
2012年10月10日映画『莫逆家族 バクギャクファミーリア』に出演する林遣都、阿部サダヲ、玉山鉄二、大森南朋、中村達也、村上淳が、本作で主演を務めるお笑いコンビ・チュートリアルの徳井義実とのエピソードを語る映像が届いた。『莫逆家族 バクギャクファミーリア』コメント動画本作は、不良のその後の人生に焦点をあて、愛する家族や仲間を守るために再び集結して立ち上がる男たちの姿を描いたヒューマン・アクションドラマ。徳井は、かつて関東一の暴走族のトップに君臨していた主人公・鉄として出演している。普段はお笑い芸人として活躍している徳井。このほど届いた映像で、鉄の息子・周平役を演じる林は、「相当なプレッシャーがあると思う。そのプレッシャーの中で鉄としてみんなを引っ張っていってる感じがする。アクションの練習をしていた時に、普段見ない鬼のような表情とかを垣間見たりしたので、強い思いが伝わってくる」と、俳優としての徳井の印象をコメント。また、鉄の当時の仲間・横田役を演じる阿部は、「実際役を演じている中で、自然と鉄っていう人間になってる。(普段は関西弁なのに)セリフが関西弁じゃないのに違和感がない。いい役者さんだと思う」と述べ、もうひとりの仲間・川崎に扮する玉山は、「今後楽しみになるような芝居だった。今後すごく楽しみにしています」、かつては暴走族だったものの、現在は刑事の前田役を務める大森は、「芸人さんとしてもすごい人。共演していると鉄にしか見えない瞬間もいっぱいある。すごいなという印象です」と絶賛している。本職である“お笑い”では見られない、徳井の新たな顔に注目したい。『莫逆家族 バクギャクファミーリア』9月8日(土)全国ロードショー
2012年08月27日阿部寛の最新主演映画『つやのよる』(行定勲監督)の伊豆大島ロケの模様がついに解禁! 真木よう子、永山絢斗も参加した7月4日の島での撮影初日で早くも、阿部の俳優としてのスゴさを目の当たりにすることができた。その他の写真映画は、不貞の妻・艶に苦悩し続けてきた阿部の演じる松生が、ガンで艶が危篤状態にあることを、彼女が過去に関係した男たちに伝えにいくストーリー。だが、その日撮影されたのは、かつて艶がストーカーをしていた若い男・優(永山)とその息子が海辺で石を投げて遊んでいるところを、上の道を自転車で通りかかった松生が見つけ、彼らに石を何粒も投げて走り去るコミカルなシーン。思いきり石を投げる松生の頬がこけ、真っ黒に日焼けしている様に思わず笑ってしまう。行定監督は、「(阿部さんに)最初にお会いしたときに『何キロ痩せればいいんですかね?』ってそれが一言目で、その後、自分で『11キロだな』と言ってたんです。そしたら撮影初日から目がギラついていて、俺の想像していた松生像を身体で凌駕していたんだよね」と教えてくれる。だが減量することだけで、クソ真面目で、真っ直ぐ妻のことだけを思っている松生像を作り上げたわけではない。それが分かったのは、阿部のちょっとした行動から。石を投げた後、自転車で緩やかな坂を猛スピードで駆け下りていく一連を例によって何テイクも撮ったのだが、普通はスタッフがスタート位置まで戻す自転車に阿部が跨り、上り坂を毎回必死に漕いで上がってきたのだ。すると「松生もしょっちゅう自転車に乗っているから、痩せているけど、下半身は筋肉質じゃないのかなと思って」と阿部。永山も「以前『トリック』のスペシャルに出させてもらったことがあるんですけど、そのときの阿部さんとまた印象が違って。いまも、走り去っていくときに俺に向ける顔が毎回微妙に違うんですよ」と証言する。一方、優の恋人・百々子に扮した真木は「なぜ私が百々子なの? と思ったぐらい自分とは真逆の女性」と言いつつ、初めての行定組に充実の表情を浮かべる。「監督にずっとやりたかったと言ってもらえたし、自分の素を出さないように頑張ります」。そんな俳優陣の新たな顔が見られるのも本作の魅力。期待は高まるばかりだ。『つやのよる』2013年新春全国ロードショー取材・文・写真:イソガイ マサト
2012年08月08日映画『麒麟の翼~劇場版・新参者~』が1月28日(土)に公開を迎え、主演の阿部寛を始め、新垣結衣、溝端淳平、松坂桃李、田中麗奈、三浦貴大、中井貴一、土井裕泰監督が都内劇場で行われた舞台挨拶に登壇した。東野圭吾の人気連作シリーズを一昨年の連続ドラマ、昨年のスペシャルドラマに続いて映画化。日本橋の麒麟像の下で息絶えた男性の殺人事件を追いつつ、人情派の刑事・加賀恭一郎が事件の被害者や関係者たちの背後に隠されたある“思い”をあぶりだしていく。念願の劇場版の船出に阿部さんは満足そう。劇場に足を運んだ観客に何度も「ありがとうございます」と感謝の思いを伝えると共に「より深い人間ドラマが完成したと思います。感無量です」と自信をのぞかせる。ヒロイン役で映画からの参加となった新垣さんは「実は(舞台の)裏に立っているときはあまり(公開の)実感が湧いてこなかったんですが、みなさんの拍手に迎えられてお顔を見たら『やっと今日だ』と感じ、胸が熱くなってます」と初日を迎えた感激を明かした。阿部さんとはドラマ「ドラゴン桜」で教師と生徒という関係を演じて以来、6年ぶりの共演となったが「6年前はこんな風にまた共演させていただけるとは思ってもいなかったです」と感慨を口にした。昨年放送されたスペシャルドラマ「赤い指」に続いての本シリーズ出演となった田中さんは、普段弱みを見せることがほとんどない加賀を唯一、やり込める看護士の金森を演じているが「今回は叱りつけてやりましたから!」と微笑んだ。一方、溝端さんはドラマ版に続いて加賀とコンビを組む松宮刑事役で、何かと加賀にイジられつつ、思わず笑ってしまうようなユーモアのあるやり取りを披露している。コミカルなシーンについて溝端さんは「阿部さんの胸を借りつつも、楽しくなって着地する気もないままにアドリブで掛け合いをしてました」と楽しそうに述懐した。松坂さんは中井さんの息子役を演じたが、劇中で登場する重要な意味を持つ折り鶴について「中井さんと2人で折ったものなんです。感じるものの多かった役で、周りの人間のこと、父親の存在についてなど考えるようになりましたが、それは中井さんが父親として存在してくださったから。中井さんなしでは(自身が演じた)悠人は考えられなかった」と改めて感謝の思いを伝えた。中井さんは少し照れくさそうに「桃李くんがいいヤツなので、2人で一生懸命折りました」とニッコリ。“父子”の絆を感じさせた。土井監督は、続編について尋ねられると「『また加賀を見たい』というみなさんの声があれば」と意欲を見せる一方で「松宮刑事が続編に出てくるかどうかは分かりません」と、溝端さんの降板を匂わせ当人を慌てさせていた。父から子への思いを伝える本作を通じて、阿部さんは自らを顧みる部分も多かったようで、この日の客席にも80歳を超える阿部さんの父親が訪れていることを明かし「最近、親父と話をすることが増えました。戦争の頃の話なんかをしてくれるんですが、いまになってもっと早くにそういう話をしておくべきだったと感じています」と胸の内を語り、会場は温かい拍手に包まれた。『麒麟の翼~劇場版・新参者~』は全国東宝系にて公開中。■関連作品:麒麟の翼~劇場版・新参者~ 2012年1月28日より全国東宝系にて公開© 2012映画『麒麟の翼』製作委員会■関連記事:『麒麟の翼』阿部寛インタビュー刑事・加賀を通して見る父への思い、後輩への思い阿部寛、東京・日本橋に凱旋!「第二の故郷」だと感謝しきりJUJUサプライズ熱唱に、阿部寛も感激このミステリーが泣ける!『麒麟の翼~劇場版・新参者~』試写会に10組20名様ご招待駆け引き上手な俳優No.1は藤原竜也!向井理、西田敏行らが上位にランクイン
2012年01月29日来年2月のアヴリル・ラヴィーン来日ツアー「The Black Star Tour」の埼玉公演に阿部真央が出演することが決定した。アヴリル・ラヴィーン「The Black Star Tour」埼玉公演の情報11月16日(水)に7thシングル「側にいて」をリリースする阿部真央は、アヴリル・ラヴィーンの『My Happy Ending』がきっかけでギターを練習し、音楽活動を始めたという。いつか共演してみたいという彼女の思いが、スタッフを通じてアヴリル本人に伝わり、今回のサポート・アクト出演が決まった。なお、過去のアヴリル・ラヴィーン来日公演の日本人のサポート・アクトは、2008年9月16日・東京ドーム公演での大塚愛、Puffy AmiYumi のみで、メジャーデビュー3年目の阿部真央にとっては大抜擢。憧れのアーティストとの競演となる彼女のパフォーマンスにも期待が高まる。阿部真央がサポート・アクトに参加するアヴリル・ラヴィーン来日ツアー「The Black Star Tour」の埼玉公演は、2012年2月4日(土)・5日(日)にさいたまスーパーアリーナで開催。チケットの一般発売は10月29日(土)10:00より。また一般発売に先駆けて、チケットぴあではインターネット先行抽選プレリザーブを10月27日(木)11:00まで受付中。★阿部真央のコメントまだ信じられない気分です。長年憧れ続け、自分がソングライターを目指すきっかけとなった人のサポートアクトとして同じステージに立てる日が 来るなんて、夢にも思っていませんでした。天にも昇る気持ちです。アヴリルは私の青春すべてです。彼女から学ぶことは多く、全てかけがえのな いものです。アヴリル大好き!!■アヴリル・ラヴィーン The Black Star Tour2012/2/4(土)・5(日) さいたまスーパーアリーナ(埼玉県)2012/2/6(月) 日本ガイシホール(愛知県)2012/2/8(水) マリンメッセ福岡(福岡県)2012/2/9(木) 大阪城ホール(大阪府)■阿部真央らいぶNO.3~ZEPPとQUATTROだけでごめんねTOUR~12/2(金) 広島クラブクアトロ(広島県)12/5(月) Zepp Sendai(宮城県)12/7(水) Zepp Sapporo(北海道)12/12(月) Zepp Osaka(大阪府)12/14(水) Zepp Fukuoka(福岡県)12/19(月) Zepp Nagoya(愛知県)12/26(月) Zepp Tokyo(東京都)
2011年10月26日阿部寛主演の映画『テルマエ・ロマエ』で、上戸彩のほかに、市村正親、北村一輝、宍戸開が共演することが発表され、現場から古代ローマ人姿に扮した阿部らの写真が届いた。その他の写真今年の3月にクランクインし、阿部らはイタリア最大の映画撮影所・チネチッタにある古代ローマの巨大オープンセットで現地のエキストラ1000人とともに撮影を敢行。日本屈指の“顔濃い俳優”阿部、市村、北村、宍戸が古代ローマ人姿を披露すると、現地のスタッフやエキストラからは「あの人本当に日本人なの!?」と声があがるほど馴染んでいたという。本作でローマ皇帝・ハドリアヌスを演じた市川は、「日本人がローマの皇帝をやるなんて、舞台の上ではあっても、映画でこういう役をやるなんて初めての経験でした」と話しており、北村も「ローマで古代ローマ人をやるとは」と、驚きと興奮を隠せなかったようだ。撮影は5月にクランクアップしており、現代の日本に生きる“平たい顔族”には上戸のほか笹野高史をはじめとする“純和風顔”のキャストが脇を固める。『テルマエ・ロマエ』2012年全国ロードショー
2011年10月19日無謀、無茶だなどと思う前に“役者の本能”とでも言うべきものがうずくのか?阿部寛にとって、周囲の声など演じることを思いとどまる理由にはならないようだ。黒澤明の傑作『隠し砦の三悪人』のリメイクに、原作の熱烈なファンの多い司馬遼太郎の「坂の上の雲」(NHK)、東野圭吾の人気シリーズの「新参者」(TBS)など、「オリジナルを超えられない」、「映像化不可能」と言われる作品に次々と出演し、存在感を発揮してきた。そして今回、ヌーヴェルバーグの傑作『死刑台のエレベーター』に出演。製作決定の報に対して、おそらく否定派の方が多かったのではないだろうか?もちろん、それでも阿部さんは演じている…しかも楽しみながら。果たして阿部寛を突き動かすのは何なのか――?“エレベーターに閉じ込められる男”はシミュレーション済み?阿部さんが演じた時籐は、吉瀬美智子演じる愛人の夫を殺害し、逃走を図るもエレベーターに閉じ込められてしまう男。ほぼ全編にわたって阿部さんの演技は狭くて四角いハコの中…。「エレベーターに閉じ込められるって、誰でも夢で一度は見たことあるんじゃないかな?僕がよく見るのは、エレベーターが急上昇して止まらなくなって、100階くらいまで行っちゃう夢(苦笑)。だからある種、シミュレーションができてて、初めて演じるという気がしなかった(笑)。楽しく、孤独に(笑)やらせてもらいました」。映画で、ほかの共演者とほとんど絡むことがないというのもかなり珍しい。「たった一人で追い詰められた人間がどうするのか?それも面白かったですね。僕、『ランボー』なんか好きなんですよ(笑)。それが今回はエレベーター。隙間との戦いです。真四角のハコの中で大の男が繰り広げる必死の戦い。オリジナルを観たときに、最後の最後でドアが開いたときに男が見せる表情がすごく印象に残ってた。その“顔”こそが、この男の人生全てなんじゃないか?と。そういう男を演じるのは楽しかったですね」。「楽しい」とは言うものの、時籐という男の憔悴していく様子は“迫真”という言葉がぴったりの熱演である。相手は見えない中でどのようにあのテンションを保ち、役を作り上げていったのだろう?「今回は運よくと言いますか…蜷川(幸雄)さんの10時間もの芝居を終えた翌日にクランクインだったんです(笑)。それこそ(公演期間の)2か月ずっと追い込まれてて放心状態で。緒方監督からは『そのまま来てください』って言われました。だからもう、脱力した状態で現場に行って、それをそのまま役に移行した。時間が経ってから自分の芝居を見たとき、こんな芝居を演じていたことを忘れていたら面白いだろうなと思いました。計算も何もなく演じた。『覚えてない』ってことはそういうことですから。もう一度同じ芝居やれと言われても、変に考えちゃってだめだろうね」。「自分に肉付けできるように考え、楽しんで演じてます」では、改めて冒頭の質問に戻ろう。「この作品をなぜ映像化?」と反対する者の声が決して少なくない作品になぜ挑戦するのか?その裏にはどんな思いがあるのか?「『原作、オリジナルを超えることはできない』と言われることは多々ありますが、そこで役が自分の一部になる、肉付けをできるようにと考えながら楽しんで演じてますね。例えば『隠し砦の三悪人』で、三船敏郎さんが演じた役をやったとき、あの役のどんなところを盗んで自分のものにするか?僕にとっては馬上のシーンがそうで、あそこだけはあのまま表現してやりたかった。あとは自分流に分解して、最終的な到達点が同じ意味になるようにする、ただそれだけです。今回も本当に有名な作品で、この“力のない男”を演じるチャンスだ!と。フランス映画のフッと力を抜いたあの世界観に身を投じて、自分を映像で客観的に見ることができる。自分の中でもすごい経験になるとね」。常に演じる役から何が吸収できるかを考える。そんな阿部さんのスタイルがうかがえるが…。「リメイクの場合は特にそうかな。(オリジナルの)この役者は、自分の発想にないものを持ってる。それを真似して、盗んで、自分の肉にしようとする。あとは、新しい作品に臨む上ではこれまでと同じことをやるのではなく、できるだけ違う方向に引き離していこう、ということは意識してますね。もちろん、自己満足にだけ陥ったら見ている人は醒めてしまうからそこは気をつけていますが」。つかこうへいとの出会いが教えてくれたこと幾度となく口をつく「楽しい」という言葉。演じることに楽しさを覚えるようになったのは、今年亡くなった演出家のつかこうへいさんとの出会いがきっかけだったという。20年近くも前につかさんの「熱海殺人事件 モンテカルロ・イルージョン」に出演。バイセクシャルの刑事役が称賛されると共に、二枚目役の多かった阿部さんのイメージを一新した。「そのころは自分の幅なんて本当に小さかった。イメージとか、くだらないものが邪魔してて。そこをつかさんが、舞台で強制的に壊してくれた。そのときは理解できなかったんだけど、2年、3年と経つうちに、『あのとき、あそこまでできたんだから今回はこれができるんじゃないか?』と自分で考えるようになった。最初に思い切り広げてもらったから、そこで自分なりの選択肢が持てるようになった。すごく演じるという世界の中で“遊ばせて”もらったんだなと思います」。「僕は決して芝居がうまくない。だからこそ越えたい壁がいろいろあるんです。壁を高く感じ続けているうちは大丈夫かな(笑)と思いますが」。演じ続ける、挑戦し続ける理由をこう語り、“不敵”とも言うべき笑みを浮かべる。。少なくとも彼がチャレンジし続ける限り、どんな「映像化不可能」作品もまずは観てみたい――。そう思わせてくれる笑みだった。■関連作品:死刑台のエレベーター 2010年10月9日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2010「死刑台のエレベーター」製作委員会■関連記事:吉瀬美智子「毛穴が分かる顔アップ」に困惑吉瀬美智子&阿部寛、年代物の貴重なワインを壇上でゴクリ!2つの事件が導く衝撃の結末『死刑台のエレベーター』試写会に20組40名様ご招待阿部寛悪女に悩まされる恋「したことある」仏映画の傑作『死刑台のエレベーター』が吉瀬美智子×阿部寛でリメイク!
2010年10月15日吉瀬美智子と阿部寛主演でフランス映画の名作をリメイクした『死刑台のエレベーター』のプレミア試写会が9月30日(木)に都内で開催され、吉瀬さん、阿部さんに加え、オリジナル版の監督を務めたルイ・マルの息子のマニュエル・マル氏も来場してレッドカーペット・イベント、舞台挨拶が行われた。不倫関係にある社長夫人の芽衣子と若き医師・時籐が、芽衣子の夫の殺害を企てるものの、実行当日に時籐がエレベーターに閉じ込められることから導かれる衝撃の結末が描き出される。吉瀬さんは「ジャンヌ・モローが演じていた役をやると聞いたときはプレッシャーでしたが、本作に参加できて嬉しく思っています」と挨拶。筋金入りの“悪女”と形容される芽衣子については「私は悪女だとは思っていません。覚悟を決めた女性の潔さを演じました」と語った。「悲劇的な男を久しぶりに演じた」という阿部さんは「エレベーターに閉じ込められる役ですが、ここまで極限に追いこまれた情けない男の役はこれまでなかったので、どう演じようかと監督と相談しながらストイックに取り組みました」とふり返った。マル氏はそんな2人について「2人とも素晴らしくて、驚きました!吉瀬さんにはジャンヌ・モローが演じた役をやるという、勇気ある決断をしていただきましたが、知的で破滅的な素晴らしい雰囲気が出ていました。阿部さんも『素晴らしい』としか言いようがないです。圧倒的な演技力で打ちのめされました」と手放しの称賛を送った。53年前の傑作を現代版として甦らせたことについて、阿部さんは「日本で、アジアでリメイクするということに意味があると思います。さすがにエレベーターはレトロなままですが、モノクロをカラーにし、携帯電話もある現代においてこのリメイクを作り上げた監督はすごいです。オリジナル作品を壊すことなく、その世界感に挑むというのは難しいですが、新しいシーンを加えながらそれをやってのけてくれたと思います。すみません、偉そうですね(笑)。実は、9時間近い舞台を終えた次の日に撮影に入ったんです。身も心もボロボロで何も考えられない状態で撮影したので、この作品には違う表情の自分が映っていると思います」と力強く語った。イベントの最後に、マル氏がこの日のためにパリから持ってきたという、オリジナル版が製作された1957年物のワイン、シャトー・マルゴーが登壇陣にふるまわれた。これには「緊張して味が分かるかどうか…(笑)」(吉瀬さん)、「すごく貴重なものですよね?味が分かるかな…。舞台でお酒をいただくのは初めてです」(阿部さん)と2人とも驚いた様子。映画のヒットを祈願して壇上で乾杯!一同、貴重なワインをおいしそうに味わっていた。『死刑台のエレベーター』は10月9日(土)より角川シネマ新宿ほか全国にて公開。■関連作品:死刑台のエレベーター 2010年10月9日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2010「死刑台のエレベーター」製作委員会■関連記事:2つの事件が導く衝撃の結末『死刑台のエレベーター』試写会に20組40名様ご招待阿部寛悪女に悩まされる恋「したことある」仏映画の傑作『死刑台のエレベーター』が吉瀬美智子×阿部寛でリメイク!
2010年10月01日映画『死刑台のエレベーター』の完成報告会見が7月8日(木)、東京・紀尾井町のグランドプリンスホテル赤坂で行われ、W主演の阿部寛、吉瀬美智子らが出席した。フランス・ヌーヴェルヴァーグの旗手、故ルイ・マル監督の名作サスペンスのリメイクで、愛人関係にある男女(阿部さん、吉瀬さん)が、女の夫の殺人計画を試みたものの、男がエレベーターの中に閉じ込められたことから衝撃の結末に至るまでを描く物語。魔性の女に翻弄されて殺人に手を染める役どころの阿部さんは「悪女に悩まされる役はあまり本数をやったことがない。新鮮でした」と楽しんだ様子。役と共感できる?との問いに「武将とか強い役をよくやっていますけど、本来こっちの方があっているかも。ここまでではないけど、こういう恋愛はしたことがあると思います」と照れつつ告白した。愛に溺れ愛する男を狂わす筋金入りの悪女を演じた吉瀬さんは「悪女役は慣れていますが、今回『あの人を殺して、私を奪いなさい』なんて台詞を、こんな素敵な阿部さんに言っている。絶対言えない台詞ですし、楽しんでやらせていただきました」と恍惚の笑み。自身の悪女ぶりについて聞かれると「翻弄してみたいですよね」とやんわりかわしつつ、「そこまで思える男性がいたら素敵だなと。出会いたいなと思いました」と“悪女化”願望を口にした。一方、世界各国の映画会社によるリメイク権争奪戦を勝ち抜いた小椋悟プロデューサーは、「マル家の協力があって実現したこと」と報告。この日、スケジュールの都合で欠席した故ルイ・マル監督の息子、マニュエル・マル監督から寄せられたというメッセージを「出来栄えにとても満足しています。ブラボー」と読み上げた。“大役”をこなした緒方明監督は「小椋さんの言い方が上手かった。『興味あります?』と聞かれて、ないとは言えなかった」と映画人の性を苦笑いで嘆き、「暴挙かと思ったけど快挙は暴挙から始まると言うし、50年前の名作を日本の旬の俳優でリメイクしたらどんなことになるか、面白いと思った」と話した。『死刑台のエレベーター』は10月9日(土)より角川シネマ新宿ほか全国にて公開。(photo/text:Yoko Saito)■関連作品:死刑台のエレベーター 2010年10月9日より角川シネマ新宿ほか全国にて公開© 2010「死刑台のエレベーター」製作委員会■関連記事:仏映画の傑作『死刑台のエレベーター』が吉瀬美智子×阿部寛でリメイク!
2010年07月08日