「干し柿を食べようと思ったら白い粉がついていた!」「これってカビなの?」と、見分け方に困ったことはありませんか?今回は、干し柿の見分け方と、カビの発生を予防する方法をお伝えします。カビの生えにくい干し柿のつくり方や、生えたときの対処法は必見です! ご自身で干し柿を作るのは、なかなか億劫と思ってしまうかもしれませんが、一度作り方を知れば、やってみようと思えることもあるでしょう。干し柿が好きな方は、参考にしてみてくださいね。■干し柿はカビに注意!見分け方は?干し柿を作るときは、カビの発生に注意しなくてはいけません。でも、どうして柿を干すときにカビがつきやすいのでしょうか? その原因をまずは探っていきましょう。・干し柿はカビがつきやすい?干し柿にカビがつくのは、よくあることです。カビが発生する原因は、温度や水分(湿気)、栄養分などの要因が大きいです。食品に含まれる栄養分(糖分)は、カビにとっても栄養になるのですね。カビは、糸のような「菌糸」とタネのような「胞子」から形成されていて、菌糸の先端から栄養分や水分を吸収して増殖していきます。また、湿気の多いところでカビは増殖しやすいので、干し柿をつくる温度や干す環境には気をつけていく必要があります。カビが生育されてしまいやすい温度は、約25~28度ですから、市販品の保管にも気をつけましょう。・青色や緑色はカビ柿に生えるカビはさまざまな種類があり、今回は色や特徴を紹介していきます。まず、全体が黒っぽく変色していたら、干し柿に含まれるタンニンの成分が変わって色が変化しただけです。ですので、食べても問題はありません。しかし、青や緑でぷつぷつと斑点状に変色している部分がある、またはふわふわした胞子がついている場合はカビです。青カビや緑のカビが生えると風味も落ち、腐敗も進んでいるので、食べないほうが安全です。・白いカビは判断が難しい白カビの場合は、少し判断が難しくなります。柿全体が白く、砂糖をまぶしたようにざらざらしているなら、柿霜(しそう)です。柿霜は、干している過程で柿に含まれている糖分が表面に出て乾燥したものです。柿霜が多いほど糖度が高く、おいしい干し柿の指標ともいえます。一方、白カビは柿霜と違って、さわるとふわふわしており、斑点状にぷつぷつと現れるのが特徴です。乾燥させている間もふさふさした白い斑点がつき始めたら、カビの可能性が高いです。白カビが生えたらすでにおいしさが半減している可能性が高いので、見つけても食べるのは控えましょう。ここまでのカビの見た目についてまとめると、まだらな黒や緑色、白色でふわふわした胞子が見られたら、カビだと思ってよいということですね。また、うまく干し柿を作れても、温度や湿度の高い場所への保存で、柿霜(しそう)が溶けてしまうと、べたべたした状態になります。その表面の水分が原因となり、干し柿にカビが発生する場合があります。そうならないためにも、保管にも気を使いましょう。ラップに包み、冷蔵庫や冷凍庫など涼しい場所に保存するのがおすすめです。また、柿霜が溶けていたら早めに食べるようにしてくださいね。 ■干し柿のカビを予防する方法次は、カビを予防する方法をいくつかご紹介します。カビの大敵は温度と水分、食材の栄養分でした。カビを防ぐための知恵や工夫とは、一体どのようなものなのでしょうか?・アルコールを吹きかけるひとつめは、定期的に焼酎やアルコールなどを柿に吹きかけることです。アルコール35度以上のお酒が好ましいです。それらを浸した布巾やペーパータオルでカビをふき取るのもよいでしょう。定期的な除菌でカビを生やさず、干し柿が長持ちします。焼酎やアルコールを吹きかけてから2日以上おいて、カビが生えてこないことと異臭がないことを確認できれば、食べても問題ありません。 ・柿同士をくっつけないカビの発生を防ぐには、前後上下をずらして柿同士をくっつけないように乾かすのが大切です。柿同士がくっついている部分は乾燥が進まず、カビが生えやすくなる原因になります。柿の水分と乾燥させる温度帯に注意しながら、カビが好む条件を避けていきましょう。柿をつなげて干すときも水分はしっかりふいてくださいね。・風通しの良い場所に干す柿を干すときは、日当たりと風通しの良い場所を選びましょう。干し柿はまず表面を乾燥させるのが大事です。干す場所は、できれば日照時間の長い南向きがよいでしょう。干し始めて3日程度は、柿の水分が多くカビも生えやすいので、天気を見て干し始めの日を決めるとよいです。・直射日光は避ける干し柿は、日の当てすぎや干しすぎで黒く変色してしまうことがあります。この状態でも食べられますが、柿を干す目安はだいたい2~3週間です。11月中旬~12月中旬にかけては空気も乾燥し、気温もそれほど高くないので、干し柿づくりに適していると言われています。・雨の日は室内に水分や湿気もカビ発生の原因ですが、雨が付着するとカビが生える可能性は高まります。雨の日は軒下やまたは室内に干しましょう。降水量が少なく、天気がよい週を選ぶと最初の数日によく乾かせます。夜は日中との温度差による結露を避けるために、室温が低い部屋に移動させましょう。なるべく人のいない部屋がいいですね。湿気対策と風通しをよくするために、除湿器や扇風機を活用するのもよいでしょう。・干す前に熱湯にくぐらせる干す前に、皮をむいた柿を熱湯に5~10秒ほどくぐらせることで、雑菌を消毒できます。柿についたほこりもカビ増殖の栄養分になる場合があるので、煮沸で一緒に取り除くことができますね。特別道具も必要なく、アルコールや焼酎がなくても殺菌できるのがこの方法の最大の利点です。熱湯にくぐらせたら、ペーパータオルなどでしっかり水分をふくようにしましょう。■干し柿にカビが生えたときの対処法もし、干し柿にカビが生えているのをみかけたとき、対処する方法はあるのでしょうか? 今回は、そんなときの対応についても紹介していきます。・少量であれば取り除ける場合ももし黒カビや緑のカビが一部であれば、包丁で落として食べることは可能です。ただし、白いカビが生えていたら無理せず処分したほうが無難です。目には見えなくても、カビの繁殖が進んでいる場合があるからです。カビが生えている分、風味や味はどうしても落ちてしまうのは覚えておきましょう。・食べずに捨てた方が安全身体の安全を考えると、干し柿にカビが生えていたら、食べずに捨てたほうが賢明です。目には見えなくてもカビの胞子が根を張り、傷みがかなり進んでいる可能性は大いにあります。どちらにしても、一度切ってみて異臭がしたら、処分することをおすすめします。■カビを見分けておいしい干し柿を味わおう!冬の保存食としてつくられた干し柿。今回は、干し柿のカビの見分け方と、予防する方法について紹介してきました。ねっとりした独特の食感と、じんわりした甘みを感じられる干し柿は、おいしくてくせになりますよね。ヨーグルトなどに入れても意外と合うんですよ!ただ、いくら保存食とはいえ、カビが発生する恐れは否めません。柿を干すときの温度や水分など、いろいろな条件が重なることで、カビの発生が起こりやすくなります。しかし、それらを防止するためにできることはあります! 今回お伝えしたことを事前に知っておけば対策がとれますね。カビの発生は、逆を言えば、栄養をたっぷり含んだおいしい柿だからこそ起こることです。今年の冬はおいしい干し柿を見分けて、いろんな食べ方で味わってみてはいかがでしょう。《参考》・ 市田柿の店柿八「市田柿Q&A」 ・ 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所「市田柿の品質管理への小型 MRI の応用」 ・ 文部科学省「カビ対策マニュアル基礎編」
2021年07月28日