コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)の2017-18年秋冬コレクションが、パリ・ファッション・ウィーク5日目の2017年3月4日(土)に発表された。ドレスの上に不規則に並ぶこぶ。大きく膨らんだもの、小さくさりげなく存在するもの、様々な凹凸がドレスの上に存在している。もちろん女性らしさを感じさせるような、身体のラインに即してものではなく、太ももあたりでいきなりくびれたり、ボリュームの欲しくないはずのウエスト辺りで膨らんだり。不規則で気まぐれな動線が身体上を走り、今まで見たことのあるもの・繰り返される出来事とは異なる新しいものを作り出す。球体が連なったもの、菱形や三角形のピースが並んだもの。その唯一無二の形状を作り上げる構成要素そのものも多種多様である。素材は、厚手のフェルト風のもの、ペイントを施した起毛素材、レース、段ボール紙のようにシワ加工を施したものなど、統一感なくあらゆる方面から寄せ集まったという具合で、形状だけでなくテキスタイルもバリエーション豊かだ。彫刻またはアートピースのような最新ルックをかろうじで服らしい服に見せるのは、ウエストラインに配されたベルベットリボンやレザーのベルトだ。彼らの存在が腰の位置を示し、ファッションであることを改めて気付かせてくれる。他と一線を引いたのは、フィナーレにかけて登場した服らしい2ピース。1つは溶接で様々なパーツを貼り付けたような、上半身がメルティングしている黒いロングコート風のもの。そしてもう一つは、ラストルックを飾ったホワイトコットンのドレスで、他の硬質なピースとは異なり、ポンポンと跳ね動き女性らしい可憐さを身に着けている。
2017年03月08日ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME des GARÇONS)は、パリ・ファッション・ウィーク5日目の2017年3月4日(土)に2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。タータンチェックのスカート、網タイツ、逆立てたヘアスタイル。今季のジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソンは、パンク・ロックの要素に溢れ感情に強く訴えかけてくる。目の周りを強調する濃いアイメイクとハードなレザーチョーカー、ブラックのレザーブーツ。そして、スリムパンツまたはミニスカートでタイトにまとめたボトムスと、メッシュトップス、イギリス国旗付きのカットソーといったインナーが、幾何学的パーツを並べた‟イガイガ・トゲトゲ”のアウターの強さを強調する。アウターは、三角形や円、またCの文字のように切り抜かれたパーツを組み合わせたもので、切り裂かれたシャツのように部分的に穴が空いたり、垂れ下がったりしている。パーツごとに異なる色柄が配されたものもあり、レオパード、ブラックレザーといったパンク・ロックを象徴するパターンに混じって、和柄のようなボタニカルモチーフやアンティーク調の花柄、グレン・チェック、千鳥格子などクラシカルなものも揃っている。中盤からは、ライダースジャケットやミリタリージャケット、トレンチコートなどが登場。‟イガイガ・トゲトゲ”アウター同様に、アーム部分に様々な素材がパッチワークされてるのだが、鋲が打たれたり裂かれたりはしていない。またタータンチェック地にプリーツを施したドレスは、きれいなドレープを描いていてエレガントにさえ映る。過激な色使いとフォルムで強烈なインパクトを与えるからこそ、隠された上品さはより一層上質でクリーンなものに感じられる。
2017年03月07日ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)が、3月8日2時半(現地時間7日18時半)よりパリで開催する2017-18年秋冬ウィメンズコレクションショーのライブストリーミングを、オフィシャルサイト(www.louisvuitton.com)で配信する。会場は、ルーブル美術館の「マルリーの中庭」にて。また、ルイ・ヴィトン公式インスタグラム()では、ショーに向けてコンテンツを公開。SNSハッシュタグは「#LVFW17」。ショーの様子はこちらからも視聴が可能。
2017年03月07日ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)は、パリ・ファッション・ウィーク4日目の2017年3月3日(金)に2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。今シーズンは、パナソニックの世界初4K60p記録ができる、最新ミラーレス一眼カメラ「LUMIX DC-GH5」を複数台使用してリアルタイム発信を行った。高精細・高画質の映像により、パリの会場から最新ルックをライブで届け、新しいファッションの楽しみ方を提案する。発信方法は新しく現代的であるが、クリエーションそのものは山本耀司のDNAが生きるもので、ブランドの根底を示している。黒い布、その一枚のテキスタイルで作るアシンメトリーシルエット、優美さを象徴するドレープ、体の部位を曖昧にするフォルム、そして、一度見ただけでは判別できないレイヤード。その複雑なキャラクターは、生地を折り重ね、捻り、ひっかけ作り出されている。一見すると無造作にも見えるが、すべて計算の賜物。ドレスの胸元に寄せたドレープやショルダーラインに宿った量感は、女性を華やかに見せてくれるし、ワンピースやトップスを横切るよう斜めに、また裾をたくし上げたギャザーは細く華奢にみせてくれる。また、スッと伸びたプリーツをあえてほどいて斜めに配したり、たくし上げたり、その上から刺繍をすることで生地そのものの複雑性を増し、意志を宿したかのような存在感を放つ。メインパレットは黒一つ。だからこそ、時折ペイントや刺繍で差し込まれたパープル、レッド、グリーンの鮮やかさが際立っている。ラストにかけては生地の凹凸や量感など全てで排除されたすっきりとしたテーラードを。様々なデザイン性がなくなったとき、ただ残るアシンメトリーなシルエットがとても強い意志を放っている。
2017年03月07日アンダーカバー(UNDERCOVER)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク4日目の2017年3月3日(金)に発表した。会場は凱旋門からほど近い、コンサートなどを行うシアターだった。デザイナーの高橋盾は、理想郷に住む新人類を今シーズン描く。シアターのステージやライティングを用いて、それぞれの役職・階級に該当する人物を音楽の転調と共に、ストーリー仕立てで紹介していく。始まりは貴族たちの登場であった。蝶のようなマスクを着けた女性が4人。ベースはエンパイアラインのエレガントなドレスで、一人ひとり生地が異なり、お気に入りのカラーと素材で仕立ててもらったような個性がある。共通しているのはボリューミーなアーム。シルクやプリーツのオーガンザ、ファーなど異なる素材で作られたアームが、権力・地位の象徴と言わんばかりに存在を放っている。その後は守衛、軍隊、不良少女、遊牧民、僧侶、扇動者、聖歌隊、新種族、王室と身分・階級の異なる住人たちが数人ずつ紹介されていく。フリルやファーのアーム、ラペルのパッチワークなどで再構築されたミリタリージャケットを合わせているのは軍隊・守衛でないか…。ナイロンアウターやリブなどのディテールを残したロングコートを纏ったのは僧侶ではないか…。現代の我々が想像できるヒントをわずかに残し、彼らのコスチュームが観客を楽しませてくれる。ラストは王室の人々ともにフィナーレへ。これまでよりも最も量感のあるドレスを纏った知的な女性たちとその先導を歩く王女とみられる女性。羊のようなヘアスタイルとふわりと広がったドレスを身に着けていて、ブランド内で度々登場するモチーフ・graceをほのかに感じさせる。神秘的で優雅で、それでいてしっとりとした女性が舞い踊り、静かにレッドカーテンの奥へ下がると、夢の地が幻のように消え、今季のアンダーカバーのショーも終わりを迎えた。
2017年03月07日イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)は、パリ・ファッション・ウィーク4日目の2017年3月3日(金)に2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。テーマは「Chromatic Fantasia-極光色-」。波打つように揺らめき、輝きながら変化を遂げるオーロラ。今季は、その幻想的な光景から着想を得て「AURORAL」シリーズを生み出した。ブラックからグリーンへ、パープルからブラックへ見る角度によって色彩の深みが変化するテキスタイルは、ウルトラスエードをスリット状にし、織り込んだもの。オーロラの下で育ったシェットランド産の原毛を5色に染め上げ1本の糸に配合させた直線的なコート。裏地がよく見えるフーディなどが用いられ、豊かな色彩のコンビネーションで視覚的な楽しみをもたらしてくれる。また、特殊なのりをプリントし高温で膨らませたベイクド ストレッチシリーズは、大きなウェーブとボーダー柄を組み合わせてリズミカルな表情を引き出した。一方、折り目が織り込まれた状態で蒸気で縮めるスチーム ストレッチシリーズは発展し、四角い布から流動形のプリーツを作り出すことに成功した。この生地は、ショーの中盤から登場するのだが、曲線的な表現がとても巧み。ヘムラインや裾、襟元などで花のようにふわっと開く。このアウターとドレスを合わせてスタイリングすると、花束のようにゴージャスで優雅な佇まいに。また、今シーズンもユナイテッド ヌードと共同開発による「ISSEY MIYAKE × UN」からシューズが到着。洋服同様見る角度によってソールの色が変化する「WAVE」と波形カットのスニーカー「BUZZ」の2種類がラインナップしている。
2017年03月06日エルメス(HERMES)が3月7日24時30分(現地時間6日16時30分)よりパリで開催する2017秋冬ウィメンズコレクションショーのライブストリーミングを、オフィシャルサイト(hermes.com/defile)で配信する。ショーの様子はこちらからも視聴が可能。
2017年03月06日リック・オウエンス(Rick Owens)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、パリ・ファッション・ウィーク3日目の2017年3月2日(木)に発表された。まずはヘッドピースだ。全ルック一貫して用いられたこのアクセサリーは、耳のように左右対称に天に向かって垂直立ちしているもの、養蜂用の帽子を想起させるネットを組み込んだ顔全体を覆うものなどいくつかのパターンが用意されている。辛うじて理解できるのは、トップスのアーム部分からインスピレーションを得たのではないかということ。リブのようなものが存在し、それが垂れ流れたりピンと張った状態だったりして頭の上に乗っている。洋服はベル型のポンチョ風トップス・アウターがメインのようである。腕全体を覆い隠すかのように、ボディにプラスオンでかませた布地が緩い三角形のような形状を作っている。素材はキルティングダウン、ウール、レザー、それに加えて、おそらく起毛させたウールやスウェット地などが揃っていて、それらが難解なパズルのようにパッチワークされている。カラーはブラック、カーキ、イエロー、ワイン、ベージュなど。メンズと一貫したテーマやキーワードを持つリック・オウエンスであるが、ボトムスはメンズコレクションの影響を感じた。実はジャンプスーツであったワイドなパンツが、ウィメンズにも同じようなデザインで登場していて、トップスをひっくり返したような不可解な布地がウエスト下に存在している。身体を覆う一つの服地の中には、ポコッとした膨らみと第2の皮膚とも言えようフィット感が共存していて、四肢や人間の形を無視した状態で対象的なフォルムが並んでいる。テキスタイルをひねり、折りたたみ、ねじり、引っ張り……様々な形で手を加えてうねりのような、波のような緩い曲線を創り上げている。ボトムスはスリットの入ったロングスカートが多く、歩みに合わせてひらひらと舞う布地がほんのりとフェミニズムを感じさせた。
2017年03月06日サンローラン(Saint Laurent)は、パリ・コレクション初日の017年2月28日(火)に2017-18年秋冬コレクションを発表。同コレクションは、新クリエイティブ・ディレクターのアンソニー・ヴァカレロによるメンズコレクションの本格的な公開でもあった。(前回のデビューショーではわずか1体だったため)全106体にも及ぶ力強いピース。ドレス、ジャケット様々なスタイルのウィメンズの最新ルックに続く形でメンズウェアが公開され、フィナーレにかけては、惜しげもなくストーンを全面に配したダイヤモンドルックがメンズ・ウィメンズ連なる形で披露された。いずれも共通するのは、クチュールとストリートの融合と、アンソニーが得意とするアンバランスなモノづくりである。キーワードは、アビエイター ジャケットやサファリジャケットなどに代表されるミリタリーテイスト。ソフトで着心地のよいレザーを用いたアウターが、ボディコンシャスなドレスやスカートとスタイリングされている。レングスは変わらず極短のマイクロミニで、アクセントには、男女ともにブーツがセレクトされた。ウィメンズは太ももまであるサイハイブーツを、メンズもロングブーツをルーズソックスのようにくしゃくしゃとさせている。また、ミリタリーの着想から派生したレザーグローブも印象的に差し込まれた。アンソニーが好む、元々あったものを壊して作り出すアンバランスさ。この発想が、シャンティレースブラウスやベルベットトップスに取り入れられたバルーン型のアームやドロップドショルダー、ワンショルダーを作り出した。また、メゾンに伝わるフリルのディテールも過度にデフォルメされ、ベアドレスやマイクロミニスカートの上を走るように巨大なフリルがあしらわれている。80年代を想起させるスクエアパッド、胸まで大きく開いた大胆なカッティングドレスなど、メゾンに伝わる歴史も漆黒のベルベットを用いて、モダンに蘇らせた。着こなしは、ディウェアとドレスが照らし合わせるように組み合わされ、デニムやクルーネックニットがエレガンスと交わっている。フィナーレにかけて登場した、ケーブルニット風のトップスはその最たるもので、ダイヤモンドピースを幾何学的に並べるクチュールの技法を用いてラフなデザインが構築されている。
2017年03月06日メゾン マルジェラ(Maison Margiela)は、パリ・ファッション・ウィーク2日目の2017年3月1日(水)に2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。オートクチュール「アーティザナルコレクション」のエッセンスをプレタポルテとして表現するクリエイティブ・ディレクターのジョン・ガリアーノであるが、今季は皮をむく・はぎ取るという意味を持つ「デコルティケ」の手法で、洋服そのものの本質を突く。本来目立たないはずのシーム、スレットといった洋服のパーツや輪郭を際立たせ、本来隠れている裏地や構造を明らかにする。チェック柄の裏地のトレンチコート、オーバーサイズコート、ロングドレスといったオーセンティックなアイテムは、表面的なものはそぎ落とすようにカットアウトされ(時にカットアウトした上からオーガンザを充てて)内側の構造を立体的にみえるようにデザインされた。インに差し込んだエレガンスなドレスなどは、美しいプリントと色彩がアウターの上から判別することができ、より一層フェミニニティで魅力的に映る。そして、2つのものを繋ぎ合わせる「スプライシング」という手法も特徴的だ。ただただ異なるもの同士をパッチワークするのではなく、異なる時代・キャラクターのものを共存させる。例えば、40年代をイメージしたデイドレスに、その下着となるランジェリードレスを合わせ、パーツは全て幾何学的に配置する。それがバイアスカットで仕立てものとストレートカットで仕立てたもののマッチングであれば、ドレスの上に波打つようにドレープが生まれより表情に深みが増している。そして、今季もう一つ投下されたのは「デクタージュ」法。切り抜くという意味を持つこの手法は、主にデニムパンツなどに用いられポケットを切り取るように仕上げた。ベースとなるデニムパンツは、コレクションのキーワードの一つである1940~50年代ミューズ マリリン・モンローが着用したものをイメージしており、ハイウエストとヒップにフィットとしたサイズ感が古き良きアメリカンスタイルを思わせる。マリリンの影響はプリントになっても登場。彼女の顔をスクリーンプリントし、さらに引き延ばしてドット柄にみせてカットソーなどにあしらっている。そのスクリーンプリントの上から、輝くドット刺繍を配したオーガンザをかましたドレスは、異なる性格のドットが重なり合い幻想的でユニークに映る。
2017年03月06日アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク3日目の2017年3月2日(木)に発表した。ロマンティックで開放的なシーズンである。「True Black」をキーワードに、パンクの精神と表裏一体なロマンチシズムを謳った昨シーズンと比べると、ストレートに甘さを表現しているように映る。ランウェイには、ペールトーンのピンクやブルー、ホワイトが溢れている。レース、オーガンザといった軽やかなテキスタイルが舞い、フリルやギャザーと交わり優雅に揺れている。左右均衡を崩したアイコニックなシルエットは、アシンメトリーなカッティングや左右どちらかに寄せたギャザー、また片方だけタックインしたスタイリングなどで受け継がれているが、その存在感を薄めてしまうほど、ふわりと広がる動線とフォルムが主流である。スリムパンツとロングブーツ、ブラックでまとめたロックなスタイルには、花刺繍を添えたブラウスやドレスを。前後逆転させたクラシカルなベストには、フリルブラウスなどを合わせて、フェミニニティを足し算する。シャツやブラウスから伸びた長いリボンやレースのヘッドピースから流れたリボンは、より一層フェミニニティを助長する。印象的に差し込まれたのは、ボルドー、パープル、キャメルと高貴な色で揃えたベルベット。そしてボリュームファーやフェザーも大きな存在感だ。しかしながら、いずれもロマンティックな世界を壊すことなく上品な佇まいである。
2017年03月05日ディオール(Dior)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをフランス・パリで発表した。アーティスティック・ディレクターのマリア・グラツィア・キウリによる、2度目のレディ・トゥ・ウェアショーは「ブルー(青)」の物語である。クリスチャン・ディオールが好んだブルーは、聖母マリアのシンボルカラーでもあり、またパブロ・ピカソ、ポール・セザンヌなどの20世紀を代表する画家たちが愛した色彩でもある。この色を解釈するため、ムッシュが手掛けた1949年秋冬オートクチュール コレクションから「シュヴィエ」アンサンブルを引き出し、この伝統を手掛かりに新たな物語を刻む。深みがあり気品のあるブルーは、パリの染物職人によって作られた。伝統的な手法で仕上げた絶妙な色彩は、「シュヴィエ」アンサンブルを再解釈した、ジャケットやスカート、ドレスへとのせられる。象徴的なディテールであるフードからイマジネーションを膨らませ、牧師の祭服を想起させるエッセンスをも混ぜ込んでいく。始まりは単色で、プリーツや切替えによってリズムを付けた静かなものであるが、ショーが進むにつれ、伝統は未来へと繋がり、アーカイブにはモダンな息吹が吹き込まれていく。デビュー時と同様のブランドロゴが裾にあしらわれ、チェック柄やグラデーションカラーが全体に施される。さらに、青色=ワークウェアの色と咀嚼を進め、デニムやオールインワン、ミリタリー風ジャケットへとストーリーの主人公が移り変わっていく。比較的華美な装飾が排除された、シンプルな印象を全体からは受けるが、イヴニングではマリア・グラツィアらしい詩的な表現が見られる。ハンドメイドで刺繍された、星座やお守りのクローバーなどのモチーフが弾けるようにドレスの上で瞬いている。レースやチュールなどと交わると、夜の星空を眺めているような幻想的なロマンティックな気分に浸ることができる。
2017年03月05日バレンシアガ(BALENCIAGA)が、パリウィメンズファッションウィークで開催する2017-18年秋冬ウィメンズコレクションショーをオフィシャルサイト(www.balenciaga.com)にてライブストリーミングで配信する。3月5日19時半(現地時間11時半)より。※会場の都合で開始時間が遅れる場合あり。
2017年03月05日ネヘラ(NEHERA)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク2日目の2017年3月1日(水)に発表した。今シーズンのネヘラは、ネヘラのシグネチャーといえるマニッシュなスタイルやワークウェアにのせて女性の美しさや官能性を定義する。フェミニニティとは遠い男性的なウェアをボリュームコントロールと再構築によって、エレガンスへと昇華させる。テイラードジャケットは、アシンメトリーなカッティングによりボタン位置をずらした。身体を横切るようにラップされた前身頃は、カシュクールのような形状になっている。ピンストライプのトレンチコートは、ボリュームをアレンジして、スクエア型のボディに。アームに取り付けたジップやボタンディテールが、ざっくりとした印象の中に手の込んだ女性らしい要素を吹き込む。コートやジャケットは、前後逆転させてバックスタイルにあるはずのハーフベルトを前身頃のボタン位置にオン。ブロークンダメージを与えたニットに至っては、ショルダーラインを越えてバッグスタイルの高い位置に、羽根のようなショルダーポイントを合わせた。いずれも本来あるべきところからは姿を消し、ないはずの場所に何かが存在することで神秘性が増している。印象的に用いられたのは、レザーのグローブ。エプロンと並んでワークの香りがするこのアイコンを、あえてフェミニンな花柄ワンピースや膝下丈のドレスなどとマッチさせた。肘上まで覆う重量感のある佇まいは、肌を見せない禁欲的な要素を持ち合わせつつも、プロテクションの役割を担い繊細さの中に強さを投じている。
2017年03月05日ジョン・ガリアーノ(John Galliano)によるメゾン マルジェラ(Maison Margiela)が3月1日、グラン・パレを会場に2017年秋冬 「デフィレ」コレクションを発表した。1月に発表したセルフィーがテーマの2017年春夏「アーティザナル」コレクションからの流れを汲みながら、レイヤリングの新手法を披露。服の構造・本質を明らかにするという意図で、服をカットアウトして中に重ねられているアイテムを見せたり、逆に既存のものに装飾を加える上書きの手法も見せている。後者は、セルフィーのアプリでポートレートに線をなぞる動作からインスパイア。ベースとなるアイテムは40から50年代のカレッジジャンパーやサルトリアルコートなどで、それらをカットアウトしてステッチラインのみを残して服の構造を強調。削ぎ落とす行為とは逆に、フォークロリックなカーペット用ジャカード素材にネオンカラーの立体的な刺繍を施したりするなど、装飾を加えてデコラティヴにしたアイテムでコントラストを見せる。ローエッジのコットンベルベットのパーツを重ねてアストラカン風にしたり、パイソン風の素材をあしらったり。虚像と本質の境界線を曖昧にする魔術師ジョン・ガリアーノのマジックが至る所に感じられるコレクションとなった。
2017年03月04日ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)が2017年秋冬ウィメンズ&メンズコレクションを発表した。
2017年03月04日アンリアレイジ(ANREALAGE)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをパリ・ファッション・ウィーク初日の2017年2月28日(火)に発表した。周り続け転換の多いファッションの世界。その姿を木の年輪に例えた今シーズンのテーマは「Roll」。コレクションの真髄を象徴的に切り取ったのは、彫刻家・名和晃平 / SANDWICHとの協業による2体である。本来、洋服はロール状に巻かれた布を引っ張り出し裁断して作るものだが、今回はこの発想からは脱し、ロール状態のままの布から洋服の形を作り出した。巻かれたデニムは300メートルにも及び、これをドリルを装着したロボットアームによって削り出す。3D技術を取り入れながら逆転の発想で生まれたドレスは、彫刻のように硬質でありながらも波のような流れるラインが描かれている。テクスチャーは重層的で、同時に歳月の重なりを語りかけてくる木々のような温かみがある。この2ピースの登場から始まったショー。会場中央には、このデニムドレス制作時に出た切削屑で作られた青い海が広がっていた。この海を囲むようにランウェイを歩くモデルたち。続くのは、オーガンザリボンテープが幾重にも巻かれ、木の幹のような円柱型をしたフェミニンなドレスであった。その後は、ここ数シーズンとは異なり、シティに馴染むパンツやドレスといった‟着られる=Ready to wear”が並んだ。年輪柄のニットドレス、レーザー加工で年輪模様を焼き付けたデニムワイドパンツ、1本のテープ状の布をジップやボタンで巻き付け作り出したドレス。ユニークなのは、フェルト地を99枚も重ねたグレーのドレス。ロール状にしたフェルトをドレープの陰影が出るように作り上げたもので、3D技術によって仕上げた、技術力の塊のようなピースである。
2017年03月04日サルヴァトーレ フェラガモ(Salvatore Ferragamo)は、ミラノ・ファッションウィーク5日目の2017年2月26日(日)に、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションを発表した。目指したのは、ブランドの伝統を引き出し、女性らしさとダイナミズムを備えたデイタイムとイブニングの装いだ。今シーズンのサルヴァトーレ フェラガモを象徴するのは、ダイナミックなカッティングによる新しいシルエットの提案である。ジャケットにあしらわれたのは、揺れ動く襟とフードを合体させた花びらのような襟元。顔を覆うほどの高さとボリュームのあるディテールがシーズンアイコンの存在を放つ。また、ワンピースは袖とスカーフを組み合わせて流れるようなシルエットに。後身頃のみロングマントになったテーラードジャケットや、レザーと別素材(ウールのような質感)をインサイドアウトの手法で外側・内側のテキスタイルを見せたドレスも存在する。ベースとなるのは、流線的なIライン。程よいフィット感でタイトになりすぎない、ロングスカートやセンタープレスパンツなどが揃っている。前後・左右に配されたスリットや縦縞のステッチ、パイピングなどは、シルエットの優美さを印象的に切り取る役割だ。色彩は、ブラック、ベージュなど伝統に重んじたクラシックなカラーをセレクト。ペールトーンのパープルやライトブルーなどを用いて、ゼブラやレオパードといったアニマル模様も描かれてる。目新しく感じたのは、レジャー着想のアクティブウェア。ビッグボリュームのキルティングコートがランウェイを訪れた。シューズは、アーカイブを紐解き新たな形状で蘇らせて。アイコンであるソフトソフィアバッグも新色と新素材を融合させてアップデートして登場している。
2017年03月03日ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)が2017-18年秋冬コレクションを日本時間の2017年3月4日(土)午前4:00より、フランス・パリで発表。ショーの模様は、ファッションプレスでも生中継する。会場では、パナソニック社の世界初4K60p記録ができる、最新ミラーレス一眼カメラ「LUMIX DC-GH5」を複数台使用した高精細・高品質のリアルタイム発信が行われる。高画質の映像により、最新コレクションが纏う独特の空気感、質感までをも捉えることが可能だ。会場で見ているかのような臨場感をぜひ味わってみては。なお、先シーズンの2017年春夏コレクションでは、男性を象徴する「ジャケット」にカッティング・ペインティング・リサイジングを施し、新しいフォルムへと繋げたウェアを披露。ドレスへの転身は、片方を断ち切りワンショルダーにしたり、コルセットのようなリボンディテールを添えるなど、様々な方法で再構築が見られた。【詳細】ヨウジヤマモト 2017年秋冬コレクション配信時間:日本時間 2017年3月4日(土)午前4:00※現地時間:2017年3月3日(金)20:00【問い合わせ先】ヨウジヤマモト プレスルームTEL:03-5463-1500
2017年03月03日ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、イタリア・ミラノで発表された。記憶に新しい、1月に発表された2017-18年秋冬メンズコレクション。アメリカ人歌手オースティン・マホーンのオープニングアクトで幕開けし、世界各国のミレニアルズたちがモデルとして登場したショーが、パワーアップしてウィメンズコレクションへ。日本からは、日本人アーティストとして初めて水曜日のカンパネラのコムアイがモデルとして参加した。ランウェイに溢れる、性別・国籍・年代を越えた様々な人々。モデル、女優、ファッションアイコンなど様々なシーンで活躍するミレニアルズ(1980~1990年生まれで2000年以降に成人をむかえた世代)は、親子、恋人同士、兄弟など様々な人間関係を示しながらランウェイを闊歩する。共通しているのは、ファッションを楽しんでいることとポジティブなマインドであること。ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナが唱え続けている、家族、愛といったキーワードが表現されている。シーズンピースは、若い世代をしっかりと捉えたもので、オーバーサイズのデニムジャケットやダウンコート、フラットサンダルなどストリートテイストを含んでいる。中には、ティーンエージャー憧れのジャスティン・ビーバープリントのTシャツも。メンズコレクション同様に、ぬいぐるみのようなシロクマが付いたスタジャンや、ドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナにとって家族であるペットたちをモチーフにしたであろうアニマルウェアなど、アイキャッチなアイテムが揃っている。今シーズンの洋服で綴る物語は、宇宙への旅。デザイナーたちが宇宙飛行士になった姿や惑星、星などがスパンコール刺繍やプリントで描かれ、服地の上でストーリーを奏でている。ブランドのアイコンである、プリンセスルックや花柄ドレスなどは、フェミニンでドラマティックに。タキシードなどクラシックウェアも豊富に揃え、洋服そのものの多様性を楽しんでいる。
2017年03月02日MSGM(エムエスジーエム)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク5日目の2017年2月26日(日)に発表された。マッシュアップのスタンスがより強く、自信に満ちたアプローチで行われたように感じる。ブランドの根底にある、異なる要素の組み合わせてつくる真新しいもの。今季は、スタイルのミックスマッチだけでなく、色柄を巧みに組み合わせて‟新感覚”を構築している。2部屋に分かれていたショー会場は、赤の間・青の間に区切られていて、会場全体がそれぞれの色で包みこまれていた。コレクションピースも連動するように、赤と青、そしてイエローを含めた3色が効果的に用いられていた。森や花々といったボタニカルモチーフは本来の優しさを消し去るように、ビビッドカラーで描かれ、今季最も重量級のファーコートもこれら3色に染められていた。洋服や小物に配された、ジグザグ模様はラインごとに色を変え、チェッカーフラッグはプリーツの上に乗り、それぞれの個性を強烈に発揮する。また、鷲のような大きな鳥もアイコンとなり、ビーズ刺繍でレザージャケットや花模様のワンピースの上に鎮座している。定番のブランドロゴは、ニットスカートのサイドにテープのようにあしらわれたり、ストレートパンツの裾に隠れたり、デザイン違いで揃えて覆うようにスウェットトップスに配されたり……。スタイルはスポーツミックスが引き続き、チュールのフレアワンピースにはビッグサイズのスタジャンを、ピンストライプのロングコートには大きな「M」ロゴのキャップを。フリルたっぷりのフェミニンワンピースにも、袖口にストライプ模様を添えてアクティブさを与えている。
2017年03月02日トラサルディ(TRUSSARDI)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク5日目の2017年2月26日(日)に発表された。メンズモデル、そしてブランドのロゴにもなっているシグネチャーのグレイハウンド犬もランウェイに登場した、今シーズンのトラサルディ。レザーをベースマテリアルとし、ベルベットやシフォンを取り込んで表現の幅を広げ、モダンに進化させたセットアップの提案をしている。パンツスーツは、ボトムスをクロップド丈にして軽さを出し、ソックスやタイツとのコンビネーションを披露。ラペルを剥いだダブルのスーツや、胸下でカットオフしたショートジャケットスーツなど、フレッシュなデザインアイデアを投じたものもある。スカートモデルからは、フレアスカートにレザーパッチを加えて、同じレザー地のジャケットと組み合わせたセットアップが仲間入りしている。レザー、ベルベット、ニットなど厚手のテキスタイルが多いため、小花柄のロングワンピースやドット柄のブラウスとなったシフォンが、軽快な風を吹かせる。また、金刺繍のエンブレムも象徴的なポイントとなって、ブランドロゴの「T」を象ったモチーフがコートのバッグスタイルやトップスの胸元から顔をのぞかせていた。メンズは、伝統的なジャケットスタイルに、セーターを合わせた温かみのある装い。ウィメンズと金刺繍のエンブレムを共通させて、統一感のあるコーディネートを展開している。
2017年03月01日フィロソフィ ディ ロレンツォ セラフィニ(PHILOSOPHY di Lorenzo Serafini)は、2017-18年秋冬ウィメンズコレクションをミラノ・ファッションウィーク4日目の2017年2月25日(土)に発表した。土台となるのは、ブランドが得意とするロマンティックでフェミニンなムード。そこに、今季は異なるテイストを重ね合わせ、一筋縄ではいかない複雑な女性の心理を体現しているようだ。ブラック&ホワイトのクラシックカラーで、ドット柄ブラウスやプリーツドレスといったとびきり甘い顔ぶれを揃えた。ドレスの下にはチュールを忍ばせ、よりフレアなラインを強調させ、レースドレスには段々に細かなフリルを重ねて、女性らしく仕上げる。差し込んだのは、ハードなブラックレザー。プリンセスルックにレザーベルトを合わせたり、はたまたレザーそのものをドレスにして、シースルーブラウスとコーディネートしたり。またボディコンシャスなシルエットや、超ミニ丈のレングス、チョーカーといった小物たちも挑発的なムードに拍車をかけた。肌を大胆に見せたセンシュアルな演出もシーズントレンドの一つ。ベアドレスやブラトップといった肌を露出したものはもちろん、大きくV字型にカッティングしたドレス、アンダーウェアさながらのショートパンツも揃っている。
2017年03月01日08サーカス(08sircus)2017年秋冬ウィメンズコレクション。今季は体の線を強調する大胆かつ繊細なカッティングやディテールにより、これまでにない「タフな女性像」を打ち出した。コートやジャケットは多用されたタックでウエストが強調されているが、同時にボリュームのあるパワーショルダーも合わせることで、一見エレガントなシルエットをタフに創り上げている。さらに、シャツのギャザー使いやニットのベルスリーブが流れるような美しいラインを形成。直線と曲線が共存することで、男性的かつフェミニンなスタイルに仕上げた。08サーカスらしい素材やテクニックへのこだわりは、これまで同様に表れている。中でも、レトロな小花柄のシリーズはただのプリントではない。フラワープリントの描かれたサテン面の下にウールを重ね、ニードルパンチを施すことによって、起毛させ深みのある表面感に仕上げているのだ。少しぼやけたような印象が独特だ。また肉感のあるサテンやシルクのタッチは、まるでタフな女性からにじみ出るような艶やかさを感じさせる。高密度に織り上げたハリと、滑らかな表面を持ち合わせたイタリア製のチンツサテンを採用した、上品なツヤのあるキャミソールトップスやコートには、ベルトが付いており自由にシルエットを調節できる作りだ。さらに今シーズンは、ブランド初となるユニセックス仕様のアイテムも展開。ビッグサイズのレザージャケットやMA-1、そしてファージャケットはスプレーを吹きかけたようなランダムな柄が目を引く。たっぷりとしたボリューム感ながら、まるで羽のような軽やかな素材感が特徴だ。
2017年03月01日ジル・サンダー(JIL SANDER)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク4日目の2017年2月25日(土)に発表された。昨シーズンに引き続き、ジル・サンダーのアイコンとなっているのはビッグショルダーの存在である。しかし、以前とは代わりラインはなだらかに、川のようにボリュームを流し肩の位置を大きく落としたドロップスタイルへと進化。この特徴的なディテールは、マスキュリニティを代表するテーラードジャケットとコートの上から顔を出している。胸上は男性的な印象が強いが、ウエストラインなどはきゅっと絞られ、ダーツ・タックなどの手法を取り入れ、胸下はフェミニンさも宿している。そんなデザインとシンクロするかのように、静かなブラックが、レモンイエロー、ライトブルー、パウダーピンクなどの淡い色彩と出会い溶け合っている。素材は、ダブルフェイスのカシミヤやウールフェルトなど、温かみのあるものを基軸に、ツヤ・光沢感、キルティングによる凹凸感などで遊びを加えた。ドレスラインは、ウエスト下に配した帯のようなリボンや、膝上まで入ったスリットなど、重心を下げた位置にデザイン性を持たせたものが多く揃っている。シューズは頑丈なラバーをつま先に添えて。ブーティとパンプスの狭間のような、愛らしいシルエットで登場だ。シルクスカーフをストラップに見立てたかのようなショルダーバッグも効果的にコーディネートされている。
2017年03月01日ボッテガ・ヴェネタ(BOTTEGA VENETA)は、2度目となるメンズ・ウィメンズ統合ショー2017-18年秋冬コレクションを2017年2月25日(土)イタリア・ミラノで発表した。同じタイミングでデザインされたメンズ・ウィメンズのウェアは、互いに呼びかけるように共鳴し合い、洗練されたエレガンスに満ちている。女性服は、特にシルエットを意識してクリエーションされた。象徴的なのは、パワーショルダー。パフスリーブ型やスクエアフォルム、ギャザーを寄せた立体仕立てものなど、様々なデザインが登場している。こういったプレシャスなショルダーラインは、ウエストラインを華奢に見せ、丸みのあるヒップを映し出し、女性らしいシルエットへと繋げる。タイトフィットなニット、カラーブロックデザインのカシミヤコートは、ポップカラーで遊びを加えた。フレアドレスには、スパンコールやレザーの花模様、プリーツ&スモック技法で装飾性を加える。ただし、華美になならず控えめに。そっと胸元に、さりげなく袖口やウエストに、謙虚な心意気から生まれるデコレーションが存在している。メンズウェアの軸となるのは、タキシード。美しいテイラー技術で整えられたそれらは、コーディネートによって新しい世界へと送り出される。ニットアウターやレザーコート、ポケット付きのラフなジャケットなどとのコンビネーションや、ラメ入りニットのマッチ、大きな蝶タイとの組み合わせ。クロップド丈または部分的にプリーツを施したパンツも、新境地での彩りを添えている。一方、秋冬の代表格となるコートたちは、ラペルを2重にしたり、ポケットを斜めに配置したり、チェック模様をあしらったり……とアレンジが加えられ、オーセンティックを脱しフレッシュな表情になっている。
2017年02月28日ヴェルサーチ(VERSACE)の2017-18年秋冬ウィメンズコレクションが、ミラノ・ファッションウィーク3日目の2017年2月24日(金)に発表された。数シーズン続いたスポーツテイストの流れは姿を消し、今季のヴェルサーチはテーラードとドレスのコンビネーションで成り立っている。会場には、平等を意味する「Equality」のボイスがこだま。相反するものを対峙をさせたシーズンピースをより印象的にみせている。テーラードジャケットやロングコートは、ショルダー部分は張ったようにがっちり。反してウエストへかけては、砂時計のシルエットのようにシェイプされていて、1枚の洋服の上で、シルエットの強弱がドラマティックに描かれている。そういったマスキュリンな要素の強いウェアに、花柄・チュール・フリルといったフェミニニティを直球勝負でぶつけるのがユニークである。また、ファーコートやシアリングジャケットなどのボリュームアウターには、Iラインのシースルードレス。ブラック&ホワイトのシックな色彩には、パンチの効いたイエローやレッド。そういった具合に、素材、フォルム、色彩などあらゆる面から両極のものをランウェイの上で出会わせ、ナチュラルに溶け合わせている。エッセンスとしては、ストリートの影響が見受けられる。ドナテラからのポジティブなメッセージ、勇気を意味する「COURAGE」や絆・忠誠心を意味する「LOYALTY」、平等を意味する「EQUALITY」のロゴを配したニット帽を筆頭に、フーディートップス、デニムジャケット、ダウンコートなど。また、スプラッシュペイント調のビーズ刺繍や、スパンコールで描いた格子柄、ロープを張り巡らせたような幾何学模様など、手の込んだ装飾・パターンが揃っているのも特徴である。
2017年02月28日エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)の2017-18年秋冬コレクションが、イタリア・ミラノで発表された。スポーツテイストを基軸にこれまでクリエーションを進めてきた、マッシモ・ジョルジェッティが、今シーズン新境地に挑む。イブニングウェア、デニムを筆頭としたデイウェア、さらにジェットセッターを対象に、トロリー・ウィークエンドバッグを揃えたトラベルラインまで幅を広げ、1日の様々なシチュエーションをエミリオ・プッチらしく解釈する。そんな新しいアプローチを支えるのは、アップルグリーンやブライトオレンジといったポップな色彩と、落ち着きのあるピーチピンク、チョコレートの4色である。シーズンフレーバーが香る、華やかな世界にアイデンティティであるペイズリー柄と、昨シーズンから続くストレッチの効いたジャージ素材を融合させる。シルエットはアシンメトリーなカッティングとボリュームで大胆に遊んだ。ロングドレスは、身幅と同じくらいの横幅のアームを取り付けたり、ワンショルダーデザインにしたり。新登場となるデニムも、ポップカラーでステッチを施し、同色のフリンジをサイドにあしらって動きをつけた。70’sのエッセンスも取り込み、パンツはフレアに。ストーンやスパンコールなど煌びやかな装飾も取り込んだセットアップスタイルは、エキセントリックな要素が差し込まれている。一部アーカイブもあるが、ほぼほぼ全てのペイズリー柄はマッシモのオリジナルである。プリントだけでなく、ジャカードで表現したものも存在し、厚手のコートなどになって登場している。また、「ニューアニマルプリント」と名の付いたアニマルパターンにも初挑戦。オレンジ×ブラック、ホワイト×ブラックといったゼブラを想起させる大胆な色柄が、鮮烈なデビューを迎えている。
2017年02月28日