カバン、お財布、キーケース、定期入れ。使いこむほどに色艶が増すナチュラルレザーに魅了され、革製品を愛用している人も多いはず。そして革好きなら、いつか自分で作ってみたいと思っている人もいるのでは?革靴の生産出荷額日本一を誇る“革の町”浅草にアトリエを構える〔Qrinaf〕のレザークラフト教室を紹介します。めずらしい革で唯一無二のバッグを作り出す〔Qrinaf〕浅草駅から徒歩10分ほどの、閑静な住宅街の一角にある〔Qrinaf(クリナフ)〕。民家の一階を、〔Qrinaf〕をひとり切り盛りするバッグ職人・バンディさんみずからの手で改装し、アトリエ兼ショップにしました。レザークラフト教室はこちらで行われています。看板犬のジーナちゃんが生徒さんやお客さんをお出迎え。「機能性だけじゃなく、使う人の個性に応え、愛着をもってずっと使ってもらえるようなレザーアイテムを作りたい」。そんな思いからスタートした〔Qrinaf〕。アトリエにはバンディさんが作った長財布や三つ折り財布、名刺入れ、スマホケース、がま口などの小物から、トートバッグやショルダーバッグなどが並んでいます。棚をながめていると、ひときわ目を引く花柄の長財布がありました。この革は、箔押し加工されたイタリアの牛ベロアレザーで、水彩画のように美しいタッチで描かれた花に、細かいクラック(ひび)加工が施されています。スペインのモザイクタイルのように美しく、かつ花々の彩りがかわいらしい革です。日本には数枚しか入っていないめずらしい革なのだそうです。こちらのバッグの革も非常にめずらしく、世界に一枚だけしかないのだそう。パープルを貴重とした鮮やかな色調のなかにも、どこか落ち着いた風合いをもつ独特な雰囲気の革。棚に並ぶバンディさんが作ったものを見てみると、独特な風合いの革や、見たこともないような革を、その革の個性を引き出すようにデザインになっています。かつ手にとってみると、なじみがよく、使い心地も考え込まれたものだということを感じます。「とてもいい革なのに、数が少ないために、メーカーでは(量産できないため)使えないという革があります」とバンディさん。デザインもまたしかりで、おもしろいデザインだけど、万人受けしないためにメーカーでは使えないというデザインがあるのだそうです。バンディさんは、おもしろい革と出会ったとき「この革でこういうの作ったらおもしろいんじゃないかな」と想像をするそうです。バンディさんは、そんな革とデザインの出会いを大切に「一枚の革から作られるだけ。売り切って、終わり」をコンセプトに、だれも持っていないようなレザーアイテムを作りつづけています。その〔Qrinaf〕で、レザークラフトの楽しさをひとりでも多くの人に味わってほしいと、レザークラフト教室を開催しています。手縫い仕立てと、ミシン仕立ての2コースを用意教室は《手縫い仕立てコース》と《ミシン仕立てコース》の2つがあります。手縫い仕立てコースは、小物からスタートし、ゆくゆくは財布やバッグへとステップアップしていくのだそうです。切る、縫う、磨く、穴を開ける、といったレザークラフトの基本技術を学びながら、自分だけのレザーアイテムを作ります。ミシン仕立てコースは、プロが使う革用の工業ミシンで本格的なバッグを製作します。革を縫うミシンは、平らなものを縫う“平ミシン”と立体を縫う“腕ミシン”があり、教室にはその2種類があるので、その使い分け方も学んでいきます。また、財布のように、何枚も革が重なるものは、革の重なる部分だけを“漉く(すく)”ことで厚さをおさえることができます。これを“革漉き”というのですが、ミシン仕立てには欠かせない革漉きを、この革漉き機を使って学びます。まずは機械になれることからスタートし、座学と実践でミシンと革漉きの基本的な使い方を学ぶのです。そして基本を学んだら、いよいよバッグ作りの開始です。手縫いでは一般的な“外縫い”と呼ばれる縫い方でこのミニトートを作ります。ここでは、教室で用意するキットの仕立てからスタートし、手縫いとミシンでの仕立てのちがいを学びます。ミニトートができたら、本格的なバッグ作りへと入っていきます。帆布と革のコンビトートを作ります。内装と外装を別々に作って仕立てる“落とし込み”という代表的な技法を学びます。次にショルダーバッグを作ります。カーブを縫ったり、普通ではミシンがかけられない部分を“手回し”という技術の縫い方など、さらに踏み込んだミシンの技術を学んでいきます。最後は、学んできたことをいかし、自分の好きなバッグを作ります。型紙の取り方や、革や芯材のチョイスなど、わからないことはバンディさんに相談しながら完成をめざします。〔Qrinaf〕ではアトリエでのレザークラフト教室のほか、出張ワークショップも行なっています。こちらは先日、ドッグサロンで開催したワークショップで作った、ワンちゃんのお散歩に使えるミニポーチです。お散歩のときに、ワンちゃんのおやつを入れるのにぴったりサイズ。参加されたみなさん、それぞれに好きな文字で刻印を入れたり、スタッズを付けたりと、思い思いにデザインし、楽しんでいたそうです。出張ワークショップや、レザークラフト教室などについて、〔Qrinaf〕のFacebookやブログでリリースしています。興味のある人はぜひ参加してみてはいかがでしょう。おもしろい革が手に入ったときなどもブログにつづっています。革製品が好きな方は、新製品情報もぜひチェックしてみてください。【Qrinaf】●住所:東京都台東区浅草6-26-8●電話:03-6319-0146●定休日:火曜●HP:【教室タイムスケジュール】●毎週水曜日および土曜日(第5週を除く)・午前の部10:00〜13:00・午後の部14:00〜17:00・夜の部18:00〜21:00(土曜日のみ)※上記時間内で各コースの体験教室を開催。詳しくはお問い合わせください。●ライター忍章子
2017年12月17日