「貧乏人は帰れ!」貧しそうな親子は入店拒否!客をより好みする寿司屋が閉店に追い込まれたワケとは…
結婚前、一人暮らしを始めたときの話です。当時私が住んでいたのは、祖父がオーナーをしているマンションで、駅徒歩5分の好立地! でもひとつだけ気になることがありました。
マンションの近所には小さな女の子が住んでいます。いつもおなかを空かせている様子で、いつもコンビニの廃棄が出るのを待っているよう。この子はどこに住んでいるのでしょう。
ボロボロの服を着た親子との出会い
女の子の正体がわかったのは、祖父とマンションの1階にあるお寿司屋さんに行ったときでした。お店に入ると、元気な大将にカウンターの特等席に案内してくれます。
グルメな祖父が選んだお店なだけあって、どのネタもおいしくて感動しっぱなし。
祖父と話しながら食事を進めていると、いつも見かける女の子とその母親がお店に入ってきました。すると、ご機嫌だった大将の表情が一変し「そんな格好で入ってこないでくれ!」と怒鳴りました。
お店の入り口に目を向けると、親子の服は薄汚れています。それでもここで食事をしたいと訴えていますが、あんたみたいな貧乏人が払える額じゃないと大将は突き放していました。
お寿司が食べられないと悟った女の子は、今にも泣きそうな顔をしています。私と祖父は居ても立っても居られず「私がご馳走します! 一緒に食べましょう」と誘いました。
「次はないですよ」
完全に勢いで言ってしまいましたが、ここで会ったのも何かの縁。このまま返したら後悔してしまいそうです。
私は個室の確保をお願いし、大将も私たちが声をかけたなら……と、親子を席に案内してくれました。
食事をしながら聞いた話によると、親子はこの近くに住んでいるそう。限られた稼ぎの中で生活をしていたようですが、今日は女の子の誕生日なので、せめて比較的安価ないなり寿司や納豆巻きを食べに来たと話します。
親子は見た目こそ薄汚れていますが、母親は思いやりに溢れており、女の子はとても賢い子で、楽しい会話に祖父は上機嫌。今日はご馳走すると言い、お寿司をたくさん振る舞っていました。
たくさん食べた私たちを見て大将も嬉しそうにしています。「またお願いします〜」と声をかけると、祖父は「次はないですよ」とぽそっと告げました。
地域を支えるお店だったはずなのに…
キョトンとしている大将に向かって、このお店を貸し出している祖父は「このお店は、地域の憩いの場にしてほしくて貸し出している」