「エリート息子に不釣り合いよ!」とわめく義母→私「では…」勘違い義母に真実を告げてあげると…!?
「聞いてちょうだい!無事に次男の就職先が決まったわ!」「しかも、長男と同じ会社に就職なのよ!」
「おめでとうございます」と言いかけて、私は口をつぐみました。うちの会社は夏前に採用者が決定されるはず。冬も間近に迫ったこの時期に採用が決まるなんてありえないのです。
そのことを尋ねてみると、「エリートにはエリート専用の採用ルートがあるのよ」とにおわせてきた婚約者の母親。
「春から兄弟そろって大企業勤めなんて鼻が高いわ~!というわけで、次男のためにも春までに退職してちょうだいね!」
いきなり自分の話題になって、思わず「は?」と返してしまった私。「この間は部署異動でいいと言ったけど、もし次男の配属先に上司としてあなたがいたら?そんなの堪えられないじゃない!」と義母。
「エリート一家の我が家にドブネズミは必要ないの!」
「金輪際二度とウチの息子に近寄らないでwww」
「ではコネ入社もご遠慮ください」
「え?」
「私からは二度と近づかないので、そちらかも私に二度と近づかないでください」「そのためにも、まずは次男くんの内定を取り消します」と告げると、「あんたに何の権限があるのよ」と鼻で嗤われてしまいました。
「人事部長の権限です」
私と婚約者は人事部勤め。
私はそこの部長、つまり人事部長なのです。
「息子よりあなたの方が優秀なんて、そんなことあるわけないでしょ!」という婚約者の母親に、「では会社の公式サイトを見てみてください」とだけ言いました。すぐに確認したらしい婚約者の母親。ようやく婚約者の嘘に気付いたのでしょう、「どういうことなの……」とぽつりとつぶやいていました。
「うちにエリート専用の採用ルートなんてありません」「採用者はすべて私が最終確認することになっているんですが、次男くんの書類を確認した記憶がないんですよね」「私も早速次男くんの調査にとりかかりますので、これで失礼します」と言って、私は電話を切りました。
その後――。
婚約者の弟のデータベースを改ざんし、内定を出したのは自分を人事部長を偽っていた婚約者でした。