連載記事:子どもの食について、これだけは押さえておきたいこと
「食べ物を残さない」のではなく「食べられる量を把握」させよう(子どもの食について、これだけは押さえておきたいこと Vol.2)
給食を残してはいけない本当の理由の続きです。
「食べ物を残さない」ことは子どもに必ず身につけさせるべきこと?
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学校給食法で掲げられた目標は学校で具体的にどのようにして指導されるのかというと、日常的には「給食は好き嫌いしないで残さず全部食べる」という観点から指導されることが多いようです。
これは一見1つの観点であるようで、実は2つの観点から成り立っているのです。1つは好き嫌いしないで何でも食べるということ。もう1つは目の前にある食べ物を残さずすべて食べるということです。学校給食に置いてはこの2つを等しく大切に扱って指導をされていることが多いようです。
学校や家庭の食事場面において、子どもに「残さず食べなさい」と言うことはよくあることですね。しかしこの「食べ物を残さない」ということは、子どもに必ず身につけさせなければならないことなのでしょうか。
子どもは、と言うより人間は、一人一人違っています。背の高い人がいれば低い人もいるのと同じで、胃の大きさや食べられる量というのは、人それぞれなのです。また、大柄だからたくさん食べるかというと、それもやはり一概には言えないことです。
どれだけ食べられるかはその人によっていろいろであることに加えて、一人の人間の中でも、いつも一様に食べられるわけではありません。体調が悪いとか悩みがあるとかで食欲がなくなることは、誰にでもあり得ることです。
自分自身でさえ、自分がどれだけ食べられるかということをはっきり意識できている人はあまりいないはずです。ましてや、本人以外の人が、その人がどれだけ食べられるかなど、分かるはずがないのです。だから、その人の食べる量を、その人以外が決めて強要することはできません。
こう考えると、周りの人と同じ量の食べ物を出されて、これを全て食べろと無理強いするのは、正しいこととは思えません。「世界には食べたくても食べられない人がいる」「作ってくれた人やその食べ物の命を考えたら残すのはもったいないことだ」そのような考えも分かりますが、それを理由に限界以上の量を無理に食べさせることはできないということです。