子どもが英語を話せるようになるには、どうしたらいい? 幼児期の英語学習法(前編)
中学、高校、大学と英語を勉強し、英会話スクールにも通ったのに英語を話せない! という人がたくさんいます。子どもが「使える英語」を身につけるには、どうすればいいのでしょうか。バイリンガル育児コンサルタントの山田日弓さんに伺いました。
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日本人はなぜ英語ができないのか
「大きな原因として、日本語は音が少ない言語だということがあげられます。
日本語では『ア』の音は1種類だけですが、英語では日本人に『ア』または『アー』と聞こえる音は7種類もあります。ふつうの日本人がそれを聞き分けるのは大変です。
実際、多くの方が『heart』か『hurt』か『hat』か『hot』か『hut』かを聞き分けることができず、前後の文章から推測しています。これでは脳に負担がかかり過ぎますから、そのうち処理が追いつかなくなり、英語を聞き取れない状態になってしまうのです。
ところが、小さいころから英語を聞いていると、7種類の『ア』と『アー』がまったく違う音として聞こえるようになります」
幼児期なら、文法を学ばなくてもネイティブなみの英語が身につく
「しかも、小さいお子さんは文法を学ばなくても、英語を話せるようになります。
9歳くらいまでの、臨界期前のお子さんは文法解析能力というものを持っているので、大量の英語を聞けば、そこから法則性を導き出して自分で文法を理解できるのです。
中学生以上になると、英語を習得するには文法を学ぶ必要があります」
臨界期とは、ある年齢を過ぎると技術の習得が難しくなる時期のことです。
英語の臨界期にはさまざまな説がありますが、山田さんは多くの子どもたちを見てきた経験や集めたデータから「9歳説」を支持しているそうです。
「臨界期を過ぎても努力で補うことはできるのですが、ネイティブと違うことは明らかで不自由さが残ります。
大人になってから自然な英語を習得することは相当難しいのです」
英語は何歳から始めるのがいい?
「9歳を過ぎてから英語を学ぶと、ネイティブレベルになることはまずムリです。
言語習得には最低3年かかるので、6~7歳がスタートのリミットですね。
できれば4歳から、理想を言えば0歳から始めていただきたいと思います。
生後9ヵ月までにネイティブが実際に話す英語を聞いていないと、RとLなどの音の違いを聞き分ける力がなくなってしまうことがわかっています」
しかし、第2外国語を習得するのは、母国語をしっかり話せるようになってからがいいという主張もあります。
「英語だけをインプットしていたら、日本語力が伸びなくなることはあるでしょう。ですからその分、ご家庭でしっかり日本語のサポートをすることが大切です」