子どもの言い訳を正当化せよ! 日仏の教育の違いから子育てを考える
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私たちが常識と思っていることでも国や文化が変わると、その「当たり前」が一変することがあります。教育もそのひとつ。日本では子どもを叱るときに「言い訳しない」と怒ることが多いですよね。しかし、フランスでは「理由を述べる」ことを大切にします。フランスを訪れた日本人は、これを「言い訳」と感じ違和感を覚えます。でもそこには国による教育方法の違いがあったのです。
■暗記の日本 VS 論述のフランス
学力の基準として、日本の学校では「いかにたくさん覚えられるか」が大切にされがち。いっぽう、フランスでは「いかに自分の意見を伝えられるか」が重要です(もちろん自分の意見を筋道たてて伝えるためには、一定以上の知識を覚えることも必要)。
フランスの中等教育修了を証明する国家試験「バカロレア」の哲学の試験を例にみてみましょう。
2016年フランスではこんな問題が出題されました。
・「より少なく働くことは、より良く生きることか?」(理系学生対象)
・「私たちはいつも自分が望むことを知っているのか?」経済・社会学系学生対象)
・「私たちの道徳信条は経験にもとづいているのか?」(人文学系学生対象)
これを数時間かけて論述するのです。
日本では「自分で考えて行動できない人」がしばしば問題視されますが、そんなことフランスではどこ吹く風。他人の考えがどうであれ、「自分の意見を述べる」ことで自分の主張(正当性)を展開しようと考えます。この点では、ブレがありません。