入学する前に常同行動について確認すると……長男は、同じ直線をお気に入りのものを持って行ったり来たりする常同行動を幼稚園でも頻繁にしていました。小学校でもするかもしれないと思った私は長男に、とんがったものや長いものを持って走らないこと、廊下や教室で走らないこと、休み時間に外で走ることなどを入学前に話しました。もともと幼稚園でも邪魔になるような場所でやったり、トラブルになったことはないのですが、小学校だとまた環境が違うので一応話しておこうと思いました。しかし、それを聞いた長男の反応は予想外でした。「知らない人ばかりで人の目も気になるし、変なやつだと思われたくないから常同行動はやらない」と言ったのです。長男なりにいろいろと考えているのだと驚きました。そして本当にやっていない様子でした。Upload By ねこじまいもみ 小学校も数日で登校渋りに 入学してから数日、順調に登校していましたがすぐに登校渋りになりました。理由は「楽しくない」と最初は漠然としていましたが、後々音がうるさいこと、友達ができないこと、窮屈であることなど少し具体的に教えてくれました。また、常同行動を自分の意思でやっていなかったのですが、やはりその衝動的な行動を無理やり抑えているのもあり、学校では思うように走れないことや常同行動の時に手に持っているお気に入りのものを学校へは持っていけないことも理由として話してくれました。入学したばかりだし幼稚園とのギャップもたくさんあるだろうし、こういったこともだんだん慣れていくことなのか、そういう問題ではないのか私は悩みました。どうしても無理な時は休ませていたのですが、その様子を見た夫も行かないとますますなじめなくなるんじゃないかと心配していました。しかし休めばまた次の日行ける様子だったので、しばらく休みを挟みながら様子を見ることにしました。Upload By ねこじまいもみ長女もかつて登校渋りだったが長男とは理由が違う休みたがる長男に比較的冷静に対応できたのは、2つ上の長女も1年生の時に登校渋りだった経験があったからです。長女の場合は母子分離不安で長男とは少し違いますが、月日と共に成長していく長女の様子を見ていたのもあり、1年生になったばかりは不安も多いのでできるだけ寄り添っていこうと長男に余裕が持てたのもその経験からでした。しかし長女の場合は母子登校すれば行ける様子だったのですが、長男は朝から泣いて暴れて登校を拒否していました。長女で登校渋りを経験しているとはいえ、一筋縄ではいかないまた違った長男の登校渋りは心構えがあってもなかなか大変でした。Upload By ねこじまいもみ体育の時間に「変な子」と言われて…そんな中長男がますます行きたくなくなる出来事がありました。体育の時にクラスの子に「変な子」と言われて砂をかけられたと泣きながら帰ってきた日がありました。長男はその子に何もした覚えはなく心当たりがない様子でした。長男の話をよくよく聞くと長男は体育の整列の時、普通に並んでいたつもりだったけどその場所が違っておりそれに気づいた女の子がそう言ってきたのではないかと私は予想しました。長男は、当時順番を覚えたり列にならぶことが苦手でした。保育園や幼稚園、習い事でもその様子を見たことがありました。並んでいても気づいたら列からはみ出ていたり全然違うところに行ってしまったり。その一件からますます学校を拒否するようになり、悩んだ末に担任の先生に相談しました。先生は、相手の子と話す機会を設けてくださり和解することができました。やはり原因はきちんと並んでいなかったことでした。先生は「こちらが簡単にできると思い込んでいることも、そうではない場合もあると大変勉強になりました」とおっしゃってくださり、体育の時ビブスを着て色と番号で並ぶ場所が分かりやすくなるように対策してくださいました。直接長男本人とも話してくださり、また長男は登校することができました。本当に当時の先生には感謝の気持ちでいっぱいです。Upload By ねこじまいもみほかにも、長男が休み時間1人で過ごしており机のまわりをずっとぐるぐるまわっていると長女から聞いたり、友達ができる気がしない、「友達って何?」と口にしたり、みんなの声で先生の話が聞き取れず先生が何を言っていたか覚えていない場面が多々あったり、本当に心配の尽きない日々でした。甘えなのかそうでないのか、どこまでが寄り添いなのか、時が経てば慣れて解決していくのか、本当に迷うことばかりで、少しでも何か向き合うヒントになればと発達検査の日を待っていました。執筆/ねこじまいもみ(監修:初川先生より)長男くんの小学校入学後の様子のエピソードをありがとうございます。長男くんは常同行動を学校ではしないと言い、実際にしなかったり、登校渋りを呈してからもその理由を家庭で話せていてすごいなと感じました。自分のことをある程度分かっているからこそ、うまくできないことはさぞつらかったろうと思いますし、集団の中にいるだけでさまざま緊張しているだろうにそこで同級生からの刺さる発言をされたこともとても悲しかっただろうと思います。いもみさんは長女さんでの渋りの経験もあり、慣れるのには時間がかかるだろうと登校渋りを大らかに捉えてくださいました。焦って無理に行かせてもいいことはないので、大らかに捉えてくださったことは長男君にとっても、よかったと思います。体育の一件を経て「悩んだ末に担任の先生に相談した」とのことですが、普段学校でスクールカウンセラーとして働く私からすると、もっと早くお知らせしてほしかったとも感じます。教室にいる子どもたちが、どんな思いでその場にいるのかということは集団生活の中だと見えにくいものです。登校をめぐって実は行きたくない気持ちが強い、教室の音がうるさく感じている。そうしたことはお子さん本人が担任の先生に言えれば伝わりますが、案外学校の中で先生とお子さんが個別に話す場面も少ないと思います。そうした場合、家庭からそのような様子や言動について、連絡帳や電話などで知らせていただいたり、面談を設定してお話できたりするとそういった面を担任側が知ることができ、さまざま手立てを講じたり、工夫や予防をしたりできることもあるだろうと感じます。基本的には、担任はじめ学校の職員はみな、子どもたちが学校で健やかに過ごし、学習や集団での活動を通して成長できることを願っています。学級の中でどこまでできるかはケースバイケースではありますが、お子さんがどんな思いで教室にいるのか、家庭でどんなふうに学校のことを話しているのか。そうした面を共有しながら、お子さんにとって過ごしやすい環境調整をすり合わせていけたらと思いました。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月26日「インクルーシブ教育」を推進するための指針を、教育リーダーズから学ぶ。2022(令和4)年に国連から日本へと推進が通達されたこともあり、昨今大きな注目を集めている「インクルーシブ教育」。インクルーシブ教育とは、文部科学省で下記のように定義されています。「インクルーシブ教育システム」(inclusive education system、署名時仮訳:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general education system」(署名時仮訳:教育制度一般)から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている。障害のある子もそうでない子も、共に学ぶための仕組みづくり。しかし実際の市区町村、学校教育の現場では、対応のノウハウが欠如していたり、人員が足りなかったり、チームの目線が合わなかったりと、推進が難しい現状もあるという声も散見されています。そのような中でも、すでに全国でインクルーシブ教育を先駆けて推進している人たちがいます。彼らはインクルーシブ教育をどのように捉え、何を考え、推進を実現してきたのでしょうか?この連載では、そのような彼らを「教育リーダーズ」と位置付け、その言葉に耳を傾けることで推進のヒントとなる“指針のカケラ”を集めていきたいと思っています。第三回は、東京都日野市教育委員会の教育長である、堀川拓郎氏にお話を伺いました。Upload By 発達ナビ編集部プロフィール堀川拓郎氏1987(昭和62)年生まれ。 東京大学法学部、米 コロンビア大学教育大学院卒業。 2010(平成22)年文部科学省入省。 初等中等教育局 教育課程課係長、幼児教育課専門官、 スポーツ庁オリパラ課専門官、初等中等教育企画課専門官、教育 DX推進室室長補佐等を経て2022(令和4)年から現職。Upload By 発達ナビ編集部全員が主体的に取り組むことができるよう対話を重ねるーー本日はよろしくお願いいたします。日野市の教育をリードする立場にある堀川さんですが、まずはご自身の教育に対してのお考えの原体験にあるものを教えていただけますでしょうか。原体験で言うと、あれは今からちょうど10年ほど前に、アメリカのコロンビア大学に留学して教育工学を学んでいた時の話です。学校の先生たちが日々実践していることを持ち寄って、自分たちで研修をつくるというプログラムに出合ったのですが、そこで大きな衝撃を受けました。というのも、先生たちがこんなに良い顔をするんだって驚くほど、そのプログラムにみんなワクワクしながら参加していたんです。Upload By 発達ナビ編集部ーー先生たちから能動的でポジティブなエネルギーを感じたと。そうなんです。研修が終わって帰るときには、明日から学校で実践するのが楽しみだとうれしそうに話していて。やらされるのではなくて、自分からこれをやりたいという人たちが集まってモチベートし合いながら学ぶことで、こんなにも希望が生まれるのかと感じました。挑戦する先生がどんどん増えていくこと、そして挑戦する先生が称賛される社会をつくっていくことが、教育にとって不可欠である。そのことに実感として気付いたんです。ーー今のご自身の教育観にもつながっていますか?はい、私自身強い意志を持って教育委員会という立場にいるつもりですが、一律に型にはめるということではなく、それぞれの学校と先生と子どもにとっての「やりたい」を尊重し応援することを大切にしたいと常に思っています。そしてその気持ちがしっかりと現場にも伝わって、現場に自身の挑戦を応援されていると心底感じてもらえる状態まで持っていきたいと考えています。ーー思い描くだけではなく、現場への浸透までがやはり大切であると。そうですね。今日も明日も学校に行きますが、教育委員会は先生たちの挑戦を常に応援しているというメッセージを伝え続けています。日野市の教育の大方針として、先生や子どもたち全員が関わって学校教育基本構想をつくり、2024(令和6)年4月に公表しました。第一に、市や学校を含め、みんながプロジェクトベースで学校教育を前に進めていくこと。第二に、構想の中に多くのプロジェクトが位置付けられている中で、それぞれの学校が取り組みたいものを主体的に選ぶ形をとっていることが特徴です。全部の取組を全部の学校でやろうとしても無理なので、学校ごとの文脈や問題意識を踏まえて、色とりどりの学校づくりを進めています。Upload By 発達ナビ編集部ーー具体的にはどのようなプロジェクト活動があるのでしょうか。例えば、「子どもたちがつくる学校プロジェクト」というものがあります。これは委員会活動や学年・学級の活動などを中心に「やらされる」ではなく、より良い学校に向けて自分たちが提案し、自分たちでつくっていくというものです。他にも、運動会や音楽会、学年の枠を超えた活動や修学旅行のプログラムを自分たちでつくったり、SDGsに関するプレゼン大会を企画したり、時に各教科での学びと絡めながら、主体的に取り組んでいます。教育委員会としても、各学校のプロジェクトを支援するために、特色ある学校づくりに対して手挙げ制で応募を募って審査をして予算をつけることもしています。私たちが各学校の挑戦を応援することで、各校の新しい挑戦へのモチベーションにつながり、良い循環を生み出す環境をつくっていきたいと考えています。教育の現場にある既存の枠を一つひとつ外していくーー教育委員長として、普段から特に意識していることはありますか?特別支援教育を含めた市の教育の根本的な考え方の一つが「一人ひとりに必要なアプローチをすべての子に」です。その本質は裏を返せば、「特別ではない支援教育」を全員に届けていくことだと思っています。特別ではない支援教育を届けていく上で、インクルーシブ教育として既存の「枠」を一つひとつ外していく、ということが極めて重要です。例えば日野市では「かしのきシート」という取り組みがあり、これは0歳から18歳までの子どもの成長の記録や受けたサポート内容(個別の支援計画)を、入園や入学・進学にあたり切れ間なく蓄積し、つないでいく日野市のシステムです。担任の先生や専門職が作成し、保護者の方に確認を取りながら1年ごとに1枚のシートにまとめ、独自の電子システムにより関係者が参照することができます。ーー「かしのきシート」はどのような意図でつくられた仕組みなのでしょうか?これは、障害者総合支援法体系に基づく個別の支援計画、そして学校教育法体系に基づく個別の教育支援計画、就学・進学にあたっての就学支援シートなど数あるシートの間に存在していた「枠」をとり除いて、カルテを一元化しようという取り組みです。学年や教育機関が変わっても、スムーズに一人の成長を見守ることができます。例えば小1の壁、中1ギャップの問題や、公立と私立、学校教育と放課後の分断という視点においても、「枠」を外すことで現場において適切な支援や判断がしやすくなるという意味合いを持っています。「特別支援教育」が必要だからシートを作成するのではなく、子どもの個性や特性について関係機関により良く理解してもらうためにシートをつくる。結果として、文部科学省の調査によれば、通常の学級に在籍する子どものうち、個別の教育支援計画を作成している割合は2022(令和4)年時点で1.6%とされていますが、日野市では小学校で14%、中学校で10%が計画を作成しています。Upload By 発達ナビ編集部ーーなるほど。特別支援学級で取り組まれていることについても教えてください。私自身は「特別支援学級」「通常の学級」という表現自体が変わっていくことが大切だと思っています。。「通常」という言葉を使うことで「通常」という枠をつくってしまわないか。例えば、少人数学級と一般学級でもよいのではないか。日野市では、特別支援学級かどうかにかかわらず、誰にとっても困りごとの少ない授業が実現できる学校環境をつくる、授業のユニバーサルデザイン(授業UD)に取り組んでいます。その理解を促進するために研修会を実施するのですが、現在では教育委員会が年間28回の特別支援教育に関する研修会を開催しています。昨年度から全ての先生を対象に希望者が誰でも参加できる形にして、開かれた形で困りごとの少ない授業の実現を目指しています。ーー日野市ではさまざまな形でインクルーシブ教育に取り組まれているのですね。これらのベースとして「ひのスタンダード」という取組の方向付けをしているんです。ごく簡単に言えば、チェックリストをつくり、学習面でのつまづきや、教室でじっとしていることが難しいなどの、子どもたちの日々の困りごとをできるだけ少なくする学習環境をつくろう、というものです。障害の有無に留まらず、多様性あふれる教室という場が、みんなにとって困りにくい環境であることはとても大切なことで、実現のために2つのアプローチで日野市では取り組みを進めています。ーーどのようなアプローチでしょうか?まずは共通の基盤となる環境を整えること、そしてその上で個別に必要なサポートの手立てを充実させていくことです。みんなが困りにくい環境をベースとすることで、先生や子どもたちがゆとりを持って個別の対応へと進んでいくことができます。場や時間の構造化を含めた授業UDがあり、校内委員会を含めた学校の環境があり、行政による複層的な支援策を含めた地域の環境がある。その全ての方向付けを、日野市の教育に関わる人がみんなで議論しながらつくってきたということがポイントだと思っています。日野の教職員全員が作成に関わった「ひのスタンダード」について、みんなが腹落ちをして取り組めることが、主体的な挑戦のための大切なポイントなのではないでしょうか。Upload By 発達ナビ編集部ーー「ひのスタンダード」はどのように浸透と改善をしているのでしょうか?この「ひのスタンダード」は300ページに及ぶ一冊の本としてまとめられていて、各学校に置いてあります。理解を浸透させるための研修会も必ず開催をし、各校で目線合わせをするようにしています。その上での課題として、時間が経つにつれて形骸化することはどうしても起こってしまいます。直近では、改めてチェックリスト項目の精査を行いました。教育委員会が決めたことをトップダウンで現場に下ろすのではなく、現場を含めた関係者みんなで考える、ということに日野市の特徴があるのではと考えています。ーー改善を繰り返す中でも、本質がぶれないようにするために大切なことはどのようなことですか?自治体の中だけでガラパゴス化しないよう、国全体の動きや学術的な視点も取り入れながら、開かれた視野を持って進めていくことを心掛けています。最終的に、現場にとってより価値のあるものになっているか、が何より大切だと思います。また日野市では、インクルーシブな教育環境の一環として、福祉と教育の「枠」を外すことにも取り組んでいます。日野市では発達・教育支援センター「エール」を設置しており、心理士やスクールソーシャルワーカー(SSW)だけでなく、保健師や保育士、ST、OT、看護師など、多様な専門職が1か所にいて、子どもの発達や育ちについて教育や福祉の垣根を超えて考えています。保護者の方にとって、学校と福祉の「枠」を感じることなく、ワンストップであらゆる相談ができ、適切な支援を得られるという環境づくりを進めています。Upload By 発達ナビ編集部最後はやっぱり、子どもたちがインクルーシブな学校づくりの主人公ーー多くの自治体でも課題としてフォーカスされている、不登校のお子さんについてはいかがですか?不登校については、すべての子どもに質の高い学びへのアクセスを保障する、という理念のもと、子どもの状況に合わせた複層的な選択肢を準備しています。日野市としても力を入れていて、予算で言えば前年度比で172%増となっています。特徴的な取組としては、全国で行われている教育支援センターや小中学校における校内登校支援教室の取組の充実に加え、中学校の中に、不登校の生徒を対象にした少人数学級である「チャレンジクラス」という学級を今年度から新たに開設しました。これは、東京都から6名の教員の追加配置を受け、教育課程に基づき日々授業を行う「校内分教室」であり、市と都がタッグを組んで取り組む新しい試みです。加えて、この5月には母子保健と子ども政策の担当部門を一元化した子ども包括支援センター「みらいく」がオープンし、施設内に中高生専用の居場所を開設しました。教育委員会だけでなく、子ども政策や福祉政策、民間の取組を含め、子どもたちの居場所の選択肢が街の中に増えてきています。オンラインの活用も含め、枠を一つずつ取り外しながら、その子にあった安心できる環境で、つながりを持ち、学びに向き合えるようにしていくことが重要です。Upload By 発達ナビ編集部ーーさまざま取り組まれているのですね。他にも新しい取り組みとして、経験豊富な元校長先生を今年度から「教育支援コーディネーター」として配置して、各学校の一人ひとりの出席状況を細やかに確認し状況をフォローし、スクールソーシャルワーカー(SSW)などのスタッフと連動した個別支援のサポートや、学校とフリースクールの連携促進の取組も始めました。挙げればキリがないのですが、他にもNPO法人と連携した不登校に関わるスタッフ研修の仕組みづくりや、保護者同士の繋がりを生む仕組みづくりなど、さまざまなアプローチで取組を進めているところです。ーー取り組みに対しての手応えはありますか?例えば、ある中学生の生徒が校門から中に入れないという状況から、1年経って学校に入ってきて給食を食べられるようになった、と。そんな話を先生方からたくさん聞いています。課題は大きいですが、同時にいかに学校現場が一人ひとりを大切に取り組んでいるかを感じています。ーーインクルーシブ教育が、言葉だけではなくて実践されている。現場の強い思いを感じます。教育委員会としても「インクルージョン」を学校教育基本構想の中で最上位の姿の一つとして位置付けていますが、インクルーシブな学びをつくるのは誰かと考えたときに、最後はやっぱり子どもたちなんだということが、非常に大きなポイントだと思っています。Upload By 発達ナビ編集部ーーなぜそう思われたのでしょうか?非常に印象的だったのが、市内の小学校と特別支援学校との交流および共同学習の中であった、3連フラフープという、小学生の子ども2人の間に特別支援学校の子ども1人が挟まって取り組むという競技での光景です。特別支援学校ではなく、ある市立小の子どもがどうしてもフラフープの輪に入ることができなかったのですが、みんなでサポートしながら最後にはゴールすることができました。その時に、歓声をあげたり拍手が起こったり、その子が達成できたことに対してみんなが称え合う姿、これこそがインクルーシブな学びが実現している姿だと感じたんです。やはり最後は、子どもたちがインクルーシブな環境をつくっていくんだと強く感じました。ーーLITALICOのソフトも導入していただいています。LITALICOの教育ソフトを導入したいと考えた意図としては、個別の教育支援計画や指導計画である「かしのきシート」の質を高めていく力になると考えたことです。もう一つは、さまざまな教材を子どもの特性や必要性に応じて選べるような環境をつくることで、先生の働き方改革につなげることや、アセスメントによって子どもたちの理解を深めていくことが狙いとしてありました。実際に活用してみた中では、教材をゼロから自分でつくるのではなくて選べることで、働き方の改善につながったという声や、保護者を含めたニーズの把握に生きているとの声も聞いています。Upload By 発達ナビ編集部ーー最後に、これから教育長が目指すインクルーシブ教育の理念について、教えてください。インクルーシブ教育の先には共生社会があって、その共生社会とは、多様性が輝く社会のことだと思います。そこに向かう道のりとしてインクルーシブ教育があるとすれば、それは多様な個性が輝く学びの場、それをつくる営みなんだろうと。そしてそれは、多様な個性が輝く教室をつくっていくということでもあるのだろうと思っています。その中で、全員がこの共生社会をつくっていく主体なんだということ、多様性が輝く場をつくることに貢献することは、全員に開かれた権利なんだということが、非常に大きなポイントです。これは先生たちだけが進めていくでもなく、教育委員会だけが進めていくでもなくて、全員が進めていくことなんだと。全員に対して開かれているということは、それはとても素敵な権利の一つなんじゃないかなとも思うんです。当然、教育委員会にしかできない仕事もあるし、先生にしかできない役割もあるし、子どもたちにしかできないこともある。全員で枠を一つずつ外しながら、インクルーシブに取り組んでいきたいです。Upload By 発達ナビ編集部この連載を重ねることで、インクルーシブ教育推進のためのヒントを集めていきます。堀川さんは明確なビジョンを示しつつ、現場の声を何よりも尊重し、双方の視点を持ってリーダーシップを発揮されています。その姿勢こそが、全員が主体的に関わる事例としての日野市をつくっているのだと感じます。これから全国の教育リーダーズの話を取材し、皆さんにお伝えしていきます。インクルーシブ教育の取り組みを知ることで指針を集め、今まさに実践されている、実践しようとしている方のヒントになりますように。ここまで読んでいただきありがとうございました。
2024年07月24日子どもの性にまつわる悩みや疑問に!『親子で話そう!性のことー3歳から始める性教育ー』Upload By 発達ナビBOOKガイド「性について子どもにどう教えればいいか分からない」「子どもの気になる行動をやめさせたいけれど、伝え方に悩む」など、大切なこととは分かっていても、子どもの性教育についてお悩みの方も多いのではないでしょうか。本書の著者である臨床心理士の高山恵子さんと、保健師の佐々木睦美さんのお二人は、長年にわたり子どもたちや教職員に向けた性教育講座を実施しているエキスパートです。子どもからの質問にどう答えればいいのか、子どもの性にまつわる悩みや疑問など、分かりやすくQ&A方式で解説しています。命に繋がる「性」について知ることは、自分自身を大切にすることにも結びつきます。まずは大人が正しい知識を身につけることができれば、子どもからの突然の質問にも 、恥ずかしがったりすることなく、自信をもって答えることができるはず。巻末には取り外せる絵本もついており、親子で楽しみながら学び、性のことについて話し合うきっかけになるのではないでしょうか。遊びながら「できた」が増える!『発達障がい・グレーゾーンの子のための水中療育 からだ・こころ・ことばを育むスイミング』Upload By 発達ナビBOOKガイド本書の著者である酒井泰葉さんは、元アーティスティックスイミング日本代表選手で、長年にわたり発達障害がある子どもに水泳指導を行っていらっしゃいます。本書で紹介されている「水中療育20の実践プログラム」は、リラクゼーション・ウォーキング・ジャンプ・潜水など、さまざまな水遊びを楽しみながら、体性感覚・平衡感覚などを養うというものです。本書で紹介されているプログラムの実際の様子を動画で見ることもできるので、合わせて活用することで、より理解が深まります。体の動かし方に苦手さがあったり、水が怖かったりするお子さんにも、取り組みやすい工夫がたくさん紹介されている本書。この夏、水に親しみながら心身を成長させる機会として、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。55の実例で手立てを紹介!『少しの工夫で変わる!気になる子が過ごしやすくなる保育の環境構成』Upload By 発達ナビBOOKガイド発達が気になる子どもの「遊びに集中できない」「友だちとトラブルになる」「パニックやかんしゃくを起こす」といった行動へ、どのように対応すればよいのか困った経験のある方は多いと思います。本書では、子どもが「できない」のではなく、周りの環境が子どもに「合っていない」という考えのもと、環境構成による支援を紹介しています。実際の保育の現場でみられる全55の実例を掲載し、「お支度」「着替え」「集まり」「食事」「トイレ」「午睡」「室内遊び」「外遊び」など、さまざまな場面で起こりがちな困りについて、ビフォーアフターの写真付きで分かりやすく手立てが紹介されています。「段ボールでパーテーションをつくる」「給食の配膳の仕方を変えてみる」「おもちゃの片づけ方を変えてみる」「保育室の隙間を落ち着けるスペースとして活用してみる」など、本書で紹介されている実例はどれも手軽にできるものばかり。ぜひ本書を参考に、保育の現場やご家庭でも、お子さんに合った環境の工夫に取り組んでみてはいかがでしょうか。最新の臨床精神医学に関する知識を深める!『神経発達症群(講座精神疾患の臨床 9)』Upload By 発達ナビBOOKガイド近年、「発達障害」という言葉の認知度は高まっていますが、医学的には知的発達症(知的障害)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、SLD(限局性学習症)といった疾患を総称して「神経発達症」としています。本書は、発達ナビでも多くの記事をご執筆いただいている本田秀夫先生が編集を担当され、神経発達症群全般における概念や、各疾患の分類の歴史的変遷についても詳しく解説されています。医学専門書ではありますが、「神経発達症群」の各疾患の診断概念や症状、原因、治療・支援に関する正しい情報を知りたい医師以外の医療・福祉関係者の方や、より深く学びたいと考えている方にとって、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年07月21日発達ナビ連載ライター陣や読者の皆さんにお寄せいただいた、面談や学校からの呼び出しにまつわるエピソードをご紹介!定期テストなども終わり、多くの学校で担任の先生との面談が始まる時期となりました。「先生に子どもの特性を伝える際に何を用意したらいいの?」「合理的配慮、どこまでお願いできる?」「学校でトラブルなどを起こしていたらどうしよう……」など悩む保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、発達ナビ連載ライター陣や読者の皆さんにお寄せいただいた、面談や学校からの呼び出しにまつわるエピソードをご紹介します。持ち物や相談の内容など、ぜひ参考にしてみてくださいね。発達ナビみんなのアンケート「連載ライターのみなさんに聞いてみたいこと大募集!」に寄せられた「小学校・中学校の先生に理解を得るコツ」の声。このコラムでは丸山さとこさんとコウさんの小学校から中学校にかけての合理的配慮についての実体験をつづっていただきました。幼児の頃から動きが大きくて速かった次女のリスミーさん。小学校の三者面談でリスミーさんが授業中に走り回っていることを知らされ……!先生に教えてもらった「落ち着くための工夫」とは?ASD(自閉スペクトラム症)のある小学校2年生のミミさん。お母さまのtaekoさんは面談で担任の先生からミミさんの友達トラブルについてのお話を聞きます。「指摘グセ」のあるミミさんに対してtaekoさんの考えは……。発達障害のある息子のコウさんが中学に入学して1ヶ月、担任の先生と二者面談を行った丸山さとこさん。診断書とWISCの検査報告書をコピーして挑んだ面談の結果は……。面談で心がけたこと、新生活後すぐに面談をする意義など参考になるお話がたくさん盛り込まれています。ASD(自閉スペクトラム症)のあるミミさん。小学校1年生から2年生への進級にあたって先生が変わると知ったお母さまのtaekoさんが新しい担任の先生に連携したものとは?また、「宿題がつらい」と悩むミミさんについて面談で相談すると……。小学校6年でSLD/LD(限局性学習症/学習障害)グレーゾーンと診断を受けたひらたともみさんの息子さん。中学3年生、夏の三者面談で高校進学について先生から聞かされたのは「母の知らない息子の頑張り」で……!中学受験をし、中堅の私立中学に進学したあっきーさんの息子さん。ある日突然、学校から呼び出しを受け、向かうとそこには担任、学年主任、副校長などの面々がずらり……息子さんの起こした「ある事件」で停学処分、さらには退学の危機にまで……!?ASD(自閉スペクトラム症)のあるまゆんさんの息子の太郎さん。行き渋りなどはまったくなかったものの、小学生のころは体調不良で学校から急な呼び出しがかかることがたびたびあったそうです。気になって小児科を受診すると……。その他関連コラムはこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年07月20日LITALICO発達特性検査の結果をヒントにLITALICO発達特性検査は、保護者の方がお子さまについての質問にスマートフォンやパソコンから回答することで、お子さまの特性や困っていることが分かるオンラインの検査です。検査について知りたい方はこちらをご覧ください。LITALICO発達特性検査の結果では、お子さまの特性に合わせて取り組みやすい対応方法も紹介されます。ご家庭や園・学校などで、おすすめされているサポートを試すことで、困りごとが軽減される可能性があります。そこで、この記事では検査結果を使って対応方法を試す方法について、Q&A形式でお答えします。うまくいかない場合の解決法など、検査結果の使い方に関する疑問を解消し、お子さまの対応や特性理解に活かすためのヒントとしてお使いください。Q.検査結果を受けて、まずは何をすればいいでしょうか?検査結果が出たら、まずは以下の3つを試してみましょう。周囲の人にとっての「困った行動」が、実は本人自身もどうしていいか分からない「本人が困った結果の行動」である場合があります。例)欲しいものを言葉で伝えることができずに、保護者の手を引っ張ってその場まで連れて行くなどまた、保護者や周りの人が「やめてほしい行動」「意味がない行動」と思っていても、本人にとっては必要のある行動だという場合もあります。例)筋力が弱く、姿勢を保てないために、寝そべりながら宿題をするなど特性やそれに関連した行動がなぜ現れるかを理解すると、解決法を一緒に考え、困っていることを減らしたり、適応的な方法に置き換えていくこともできます。また、「困った行動」ではなく「特性による行動」として、周囲の理解を得やすくなるかもしれません。検査結果レポートの「サポートの方向性」の中から、お子さまに合いそうで、できそうな方法からやってみるのがポイントです。「試しやすい」のタグがついているものがあれば、はじめに取り組んでみてください。基本となるサポート方法や、まずは取り組みやすいサポート方法を示しています。ほかにも、お子さまの特性や困りごとに対応して複数のサポート方法が提示されますが、すべてを一度に始めなくても大丈夫です。お子さまに合いそうなもの、できそうなものから順番に試してみるといいでしょう。一つの方法が合わなくても、そのときは別の方法を試してみましょう。検査結果を周りの人と共有することで、お子さまへの一貫した接し方につながります。お子さまにとって、取り組みやすく失敗しにくい方法や環境があり、それを繰り返すことで習慣化できれば、困りごとは軽減されていくでしょう。そのために、特性や本人に合った方法を本人や家族、園や学校などの周りの人と共有することが必要になってきます。また、LITALICO発達特性検査は保護者の方の視点での回答に基づく検査です。保護者の方と関係者で見立てが異なる場合や、環境によってお子さまの困りや特性の現れ方が異なる場合もあります。「家庭ではこのような困りがあり、この方法でうまくいきました」「学校ではその点は困っている様子がありませんが、こういう場合には困ることがあるようです」など、園や学校、専門家との相談などで結果を共有し、話し合うきっかけにすることで、別の情報やサポートのヒントが得られることもあります。相談や対応方法を試す際などに、検査結果を周りの人と共有するためのツールとしてご活用ください。Q.サポートを試してもうまくいかない場合はどうしたらいいでしょうか?検査結果レポートの「サポートの方向性」では、基本的にはお子さまの特性や年齢に合わせ、比較的うまくいきやすい方法が表示されています。ですが、お子さまの状況や環境、またほかの特性や要因が影響している場合などもあるため、表示された方法がそのまますべてうまくいくとは限りません。お子さまの場合はどう当てはめたらうまくいきそうか調整をしてみましょう。例えば、課題の難易度や取り組む時間、内容などをカスタマイズしたり、お子さまに合うように試してみてください。検査結果を参考にしながら、本人が困っていることや状況に合わせて工夫や調整をしてみましょう。「サポートの方向性」の例示そのままではうまくいかない場合でも、以下のような工夫でうまくいくようになることもあります。・好きなものや取り組みやすいもの、ご褒美でモチベーションをあげる例)着替えのあとでジュースを飲めるようにスケジュールを示す・本人に分かりやすい言葉や方法で伝える例)「早くして」と注意する代わりに、時計を示して「短い針が6になるまでにやってね」と具体的な指示に変更するこのほかにも、課題の難易度や取り組む時間を調整する、スモールステップで段階に分けて取り組む、本人に合う道具や環境を探すなどの工夫もできます。タイミングがいいときや慣れることによってうまくできるようになったり、調子がいいときにうまくいく場合もあります。どのようなきっかけや状況があると困りごとが現れるかや、どのようなときにうまくいくかなど、お子さまの様子を観察することもポイントです。カスタマイズできるところがないか、何度か試してみるといいでしょう。サポートは一つだけではなく、いくつか試して本人に合う方法を探していくといいでしょう。うまくいかない場合は、特定のやり方にこだわらず別のサポートも試してみてください。対応方法を試してもうまくいかないときや、何らかの理由で試すことができない場合、無理に取り組んでお子さまや保護者の方がつらくなる場合は、家庭で抱え込まず、専門家に相談するのも大切です。「やり方を工夫する」ことについて、カスタマイズの方法を専門家や周囲の関係者と相談するのもいい方法です。相談支援や児童発達支援、医療機関など、園・学校以外の機関も含めて相談していきましょう。以下の記事で相談や連携ができる機関を紹介しています。お子さまのことを考えて、試行錯誤する中で疲れてしまう保護者の方もいることと思います。お子さまと向き合うのがしんどくなってしまったり、心身に不調が現れたりしたときには、保護者の方自身のサポートや負担を軽くする方法を検討してみてください。Q.困っていることが変わってきました。どうしたらいいでしょうか?以前検査した時から困りごとの様子が変わったり、新しい困りごとが出てきたり、対応方法がうまくいかなくなることがあります。同じ特性があっても、状況や環境が変わったり、お子さまの発達や成長によって変化することによるものかもしれません。逆に、本人に合った対応をすることで、困りごと自体がなくなっていくこともあります。特に幼児期の場合は、発達による変化も大きい時期です。・入園や入学などの環境の変化・ストレスや体調の影響・発達や成長による変化・要求されるスキルの変化などその際には、変化した状況に応じて、サポート方法も調整できることがないか試したり、新たに現れた困りごとに合わせたサポートをしたりすることも検討しましょう。検査結果では、困りごとや年齢に応じた検査結果が表示されますので、LITALICO発達特性検査を定期的に受検することで、子どもの発達の記録として残していくことも可能です。Q.医療機関やほかの検査では指摘や診断をされませんでした。その場合でも子どもへのサポートをすべきでしょうか?診断がない場合、サポートは不要である、ということではありません。医療機関では、疾患や障害の有無を医学的な診断基準と照らし合わせて判断します。そのため、特性があっても基準を満たさない場合などには診断されない場合もあります。ほかの検査や医療機関で指摘や診断をされなかった場合でも、困りごとが生じたり、特性に合わせたサポートが必要になることは多いと言えます。医療機関で診断されなかった場合には、公的な支援や医療的なサポートにつながりにくい場合もあるかもしれません。そのような場合に、本人や周りの人が困りを感じているときには、LITALICO発達特性検査で得られた結果をもとに、サポートを試すことでうまくいく方法が見つかる可能性があります。また、児童発達支援や放課後等デイサービスなど公的な支援の中には、診断がなくても支援の必要が認められれば利用できるケースもあります。診断の有無にかかわらず、本人や周りの人が困っていることにフォーカスし、本人の特性に合わせた対応方法を探すために、LITALICO発達特性検査の検査結果をぜひ活用し、サポートをしてください。また、医療機関では確定診断までに何度か経過や様子を見るなど、すぐに診断されないケースもあります。そのような場合にも、特性を理解し早期にサポートを開始することが重要です。Q.困りの強さや困りごとの分類などは、どのように理解すればいいでしょうか?LITALICO発達特性検査の検査結果は、年齢群・性別ごとの定型発達母集団データを元に、平均点が50になるように得点を変換し、判定しています。困りの程度や特性が強いほど点数が高くなります。「困りが強い」「困りがやや強い」「今は困っていない」の困りのラベルについては、変換した点数を元に、どのくらい困っているかを得点によって以下のように分類しています。得点70以上:「困りが強い」得点60-69:「困りがやや強い」得点59以下:「今は困っていない」※ただし、一部の分類は上記の点数換算が妥当でないことを踏まえて、定型発達データと臨床データから推定した困りの強さの判定を元に、点数の割付を行っています。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポート大分類内における小分類ごとの困り度ラベルの組み合わせによって、お子さまに最も近いタイプを推定しています。こちらは、より妥当な困りごとの背景説明やサポート方法をお伝えするための分類となっています。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポートQ.検査結果レポートは年齢に合わせた内容ですか?LITALICO発達特性検査では、お子さまの年齢によって適切な検査結果が出るように設計されています。同じ特性でも、年齢によって困りごとの内容や強さ、その対応方法が変わると考えているためです。検査結果の得点は、年齢・性別ごとに算出しています。また、提示される検査結果のレポートも、できるだけ年齢段階に応じた例示や、その年齢段階で起きやすい困りごととその対応方法を取り上げています。例えば、学齢期の学習面でのサポート方法については、学習内容に応じて、学年相当の漢字を例にするなど、学年に応じた例示が提示され、より具体的な支援で役立つことを目指しています。また、その発達に応じたコミュニケーションの方法や手先操作の難易度を考慮し、内容を提示しています。中高生には生活面で身の回りのことを自分でできるような工夫、お小遣いやスケジュール管理の方法などのヒントや、パソコンやスマートフォンを使った環境調整の方法などが提示される場合があります。まとめお子さまにとって取り組みやすい環境があり、それを繰り返すことで習慣化できれば、困りごとの軽減につながります。また、失敗しにくい環境で成功体験を積むこともできます。特性や本人に合った方法を本人や家族、園や学校などの周りの人と共有することが必要になってきます。そのために、LITALICO発達特性検査の検査結果は詳細な内容で複数の「サポートの方向性」が示されます。さまざまな方法が提示されることで、何から手をつけていいか、迷うことがあるかもしれません。そんなときは、お子さまの様子で当てはまりそうな背景はないか「ちょっと考えてみる」、「できそうな対応方法から一つだけやってみる」でもいいのです。お子さまの特性を整理して、困りそうな状況を減らしていくことができれば、保護者や周りの人にとっても、子育てがスムーズになったり、つらい状況が減っていくことにつながります。もし、サポートが難しいと感じたら、専門機関に相談することも検討しましょう。その際にも、検査結果が参考資料として役立つかもしれません。LITALICO発達特性検査を、お子さまの特性理解とサポートのためのツールとして、ぜひご活用ください。
2024年07月19日賀藤リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:賀藤 浩徳、以下「当社」)は、『中学生向け起業家マインド育成コース』を、9月以降順次開講することを、お知らせいたします。当社として、初めて中学生以上を対象にしたカリキュラムとなります。賀藤リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社 URL: 送迎つき幼児教室プラスプレジャー URL : 賀藤リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社 ロゴ■『中学生向け起業家マインド育成コース』開講の背景小学校から高校にかけ、生徒たちは確たる答えのある問題を提示され、これに取り組みます。そこでは、記憶や解法の理解が学びのメインとなります。生徒同士でディスカッションし異なる意見を統合したり、確たる答えのない課題を試行錯誤して解決したりする体験は、学生時代にはほとんどないと言っても過言ではありません。その結果、社会に出ても、受け身で、自らの考えに乏しく、周りを巻き込んでいく力に乏しいビジネスパーソンが出来上がります。枠を取っ払って思考し、アイデアを出し、実現に向け働きかけていくというコンピテンシー(行動特性)に乏しいビジネスパーソンが多数生み出されるということです。そうした中、時代はVUCAの時代に突入しており、今後ますます不確実性が高まることが予想されます。行動力、コミュニケーション力、課題発見力・解決力等のある人材への社会のニーズが飛躍的に高まることは必然です。ただし、こうした人材の輩出は、前述のとおり、現在の学校教育では限界があると考えられます。そこで、今、学生に対する起業家マインドの育成教育が脚光を浴びているのです。起業家マインドとは、まさに、行動力、コミュニケーション力、課題発見力・解決力などの諸能力を指すからです。当社は、“送迎つき幼児教室プラスプレジャー” および “こども英語教室EN Campus”を運営しており、幼児・こどもの教育には定評がありますが、小学校受験や中学校受験を前提としたこれら教室における教育が、必ずしも前述の起業家マインド育成に繋がるとまでは考えておりません。そこで、この度、当社としては初めてとなる中学生以上を対象とした起業家マインド育成コースを、新たに開講する運びとなりました。■当社の『中学生向け起業家マインド育成コース』開講の考え方当社では、「起業家マインド育成コース」については、幼児や小学校低学年に適用するのは難があると考えております。起業家マインドの重要な特性を身に付けるには、その前提となる基礎能力がまだ十分に備わっていないからです。幼児や小学校低学年まで起業家育成コースの対象としている塾も多いですが、当社は、それは相応しくないと判断しました。世の中の仕組みが相応に理解できてくる中学生以上を対象にすべきであると考え、その中でも今回は中学生をターゲットに開講することを決定しました。また、カリキュラムの過半をイベント準備や実施に費やす塾が多い中、当コースは、少人数制・演習型のレッスンの繰り返しで、起業家マインドの知識・スキルを着実に身に付けることを目標としており、これが大きな特徴の一つとなっています。■当コースの募集要項『中学生向け起業家マインド育成コース』の募集要項は、次のとおりです。第1回開講説明会を7月13日に開催しましたが、ご要望が多く、8月3日(土)に第2回目を、Peatixを通じ追加開催する予定です。対象 :中学生(意欲のある方)小学校高学年や高校生は要相談レッスン:全6回、1回100分、全10時間期間 :9月以降順次スタートの予定人数 :7人以下の少人数制料金 :税込44,000円準備 :事前に簡単な課題図書を読了他己紹介のための自己紹介を用意場所 :プラスプレジャーの教室(最寄駅:大崎駅、五反田駅、大崎広小路駅)コース受講風景イメージ■送迎つき幼児教室 プラスプレジャー所在地:東京都品川区大崎5-8-5 グリーンプラザ五反田第2ビル2F特色 :「送迎つき」「少人数制」「個別指導」を3大特色とし、単に問題を解くだけでなく、自ら試行錯誤しながら考え、解決していく学習態度、学習能力を身に付けさせる教育を実施送迎つき幼児教室プラスプレジャー ロゴ■会社概要商号 : 賀藤リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社代表者 : 代表取締役 賀藤 浩徳所在地 : <本社>〒104-0061 東京都中央区銀座7-13-6 サガミビル2F<教育>〒141-0032 東京都品川区大崎5-8-5 グリーンプラザ五反田第2ビル2F設立 : 2021年10月(創立:2013年11月)事業内容: 不動産・金融コンサルティング事業、教育事業URL : (本社、不動産・金融コンサルティング事業) (教育事業「送迎つき幼児教室プラスプレジャー」「こども英語教室EN Campus」「起業家育成関連コース運営」) 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年07月18日東京都内にあるはんこ専門店の組合・東京印章協同組合(理事長:竹口 雅樹)は、2023年夏に45回実施し好評をいただいた体験イベント「親子でワクワク 古代文字で自分の名前を書いてみよう!」を、2024年7月13日(土)から都内の御徒町・中野・南千住の3教室(いずれもはんこ専門店)で開講しました。完成作品を手にニッコリ◇「親子でワクワク 古代文字で自分の名前を書いてみよう!」オフィシャルWebサイト: ◇子供とお出かけ情報サイト「いこーよ」御徒町教室紹介Webページ: ◇子供とお出かけ情報サイト「いこーよ」中野教室紹介Webページ: ◇子供とお出かけ情報サイト「いこーよ」南千住教室紹介Webページ: ◇「親子でワクワク 古代文字で自分の名前を書いてみよう!」予約フォーム: 手本を見ながら楽しく清書この講座は、今日でもハンコ彫刻に用いられている古代文字の成り立ちを楽しく学ぶだけでなく、実際に自分の名前を古代文字で「書いてみる」ことにスポットを当てています。数千年前にわたる漢字の長い歴史の一端を実体験するのは、お子様の夏休みの宿題・自由研究に最適であるだけでなく、今後の自発的な漢字学習のきっかけとなることが期待できます。昨年夏に受講した参加者からは次のような感想が寄せられました。◆受講の理由「自分の名前の文字の成り立ちに興味があった」「親子が一緒に体験をする機会を持ちたかった」「子供に自分の名前の文字の成り立ちを知って欲しいと思った」「子供の漢字学習の意欲向上のきっかけになればと思った」「子供の自由研究にピッタリだと思った」「自分の名前を古代文字で書くのはめったにない機会だと思った」◆受講の感想「講師は子供が興味を持つよう、やさしく・わかりやすく教えてくれた」「講師が書いた手本を見ながら楽しく書くことができた」「子供を上手に褒めてくれたので、本人も楽しんで書くことができた」「自分の名前の文字の成り立ちを知ることができて有意義だった」「子供も『参加して良かった、とても楽しかった』と喜んでいた」「子供にとって漢字学習の良いきっかけになった」「自分だけのある種のアート作品を自作できて有意義だった」「子供が楽しみながら古代文字を書く作業に集中していたのがよかった」「コンパクトにまとまった講座なので子供が飽きることもなかった」このように、昨夏にご参加いただいた多くの皆様からお喜びのお声を頂戴した本講座、今年の夏休み期間中もすでに多くのご予約をいただいております。1回の講座につき1家族のみの完全予約制です。お早目のご予約をお薦めいたします。なお、8月10日(土)は実施3教室のいずれも、すべての時間帯で満席となっております。■講座概要◇小学生以上のお子様とご家族が対象。お子様が飽きない約60分のコンパクトな講座。◇受講料:小学生お1人様 1,650円/大人お1人様 3,300円(いずれも税込)◇1回の講座につき1家族(グループ)限定/基本的に土・日・祝日の開催/完全予約制※小学生のお子様のみでの受講はできません。※夏休み期間中に限り、実施教室のスケジュールによっては平日開講も可能です。※写真はいずれも御徒町教室です。漢字の成り立ちを知ろう■講座内容1. まず最初に講師(はんこ店主)が参加者の名前に用いられている漢字の成り立ちをやさしく・わかりやすく説明します。2. 続いて講師が参加者の名前を古代中国で実際に使われていた文字で書いていきます。3. 参加者はそれを手本に、自分の名前の漢字を古代文字で「練習書き」をします。4. 「練習書き」を見た講師の簡単なアドバイスの後、参加者は清書用紙に「本番書き」をします。5. 参加者が清書した作品は簡単な額装の上、記念品としてお持ち帰りいただきます。※講師による手本・参加者の練習書き・漢字の成り立ちを説明した字書のコピーなども差し上げます。完成作品は額装して進呈■受講申し込み方法1. 予約フォームに必要事項をご記入の上送信してください。※日時は第3希望まで設定できます。2. 折り返し実施教室担当者よりご連絡を差し上げ、日程を確定させます。3. 受講料は当日実施教室にてお支払いいただきます。※事前準備の必要上、受講ご希望日の約1週間前までのご予約をお願いいたします。※8月10日(土)のみ3教室のいずれも、全時間帯ですでに満席です。■主催組合概要組合名:東京印章協同組合所在地:〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-4代表者:理事長 竹口 雅樹設立 :1919(大正8)年概要 :東京都内で印章を作製し販売する業者の組合 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年07月18日心が重たい放課後等デイサービス探しスバルが年長の秋頃、当時通っていた療育先で1番の情報通ママから「放課後等デイサービス探しもう始めてる?」と聞かれました。就学相談や学校見学やサポートブック製作で身も心もいっぱいいっぱいなのに、情報通はもう放課後等デイサービスも探しているのかと焦りました。その人は「放課後等デイサービス探しは意外と楽しいよ」と言っていましたが、私は「楽しい訳あるかい」と思いました。スバルは3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断され、当時入園する予定で通っていたプレ幼稚園を退園になり、大急ぎで幼稚園を探したことがありました。その記憶とリンクして心が重たくなりました。さらに私の住む地域では放課後等デイサービス契約までの道のりはやたらと長くややこしいものだと分かりました。私の心はますます重くなるのでした。楽しくなってきた放課後等デイサービス探し市のWebサイトに放課後等デイサービスの一覧がありました。想像していたよりたくさんの放課後等デイサービスがあり、地域でしぼったあと、1つずつインターネットで検索しました。その際にWebサイトがなかった放課後等デイサービスは候補から外しました。なんかアナログだから古そう……と思ったのです。いろいろ調べて行くうちに居場所系、療育系、お勉強系、イベント系など施設によって特色があることが分かりました。この時点で少し楽しくなってきていましたが、とある新しい施設のWebサイトが目にとまり、さらにテンションが上がりしました。その放課後等デイサービスでは毎月たくさんのイベントがあり、外部から特別講師が来て教えてくれるというのです。英会話、ダンス、ヨガ、工作、化学、プログラミング、ほかにもいろいろなイベントの日があり、こんなところに通えたら最高だと思いました。スバルと習い事と私スバルが赤ちゃんの頃、スバルの寝顔を見ながら夫とこんな話をしていました。「スバルは大きくなったらどんなことに興味を持つかな」「オレは水泳をさせたいな」「運動系ならダンスや体操もいいね」「剣道や柔道にも憧れる」「今の時代は英語も必要かな」「プログラミング教室も駅前にあったよ」「楽器もいいね」習い事ができる年齢になる頃にはASD(自閉スペクトラム症)と診断されており、集団活動が苦手なこと、先生からの集団への指示が通らないこと、びっくりするくらい不器用なことが分かりました。「先生の指示が聞けないと命に関わるから水泳は無理だね」「不器用だから楽器も厳しいね」「スバルは英語に興味がありそうだけど、集団だとほかの生徒さんに迷惑がかかるから英語教室も難しいかもね」「あれも……」「これも……」と諦めてきました。Upload By 星あかりそんな記憶がブワッっと溢れて、この放課後等デイサービスではあれも選べるこれも選べると感動しました。放課後等デイサービスの中でなら苦手なことにだって挑戦できるし、失敗したって集中できなくだって迷惑だなんて考えなくていいし、未知の分野に触れることもできる……。なんて楽しい場所なんだ!なんなら私が通いたい!と思いました。スバルは新しい場所や新しい体験が好きなのできっと楽しんで通えると思いました。アドレナリンがドバッと出て、その後は面倒な手続きもあっという間にこなしてしまいました。結局こちらのイベントもりもりの放課後等デイサービスと、これといってイベントはないけれど先生の印象がとても良かった放課後等デイサービスの2ヶ所に通うことになりました。いざ通所が始まると……小学校に入学し、学校に慣れ始めた頃に放課後等デイサービスの通所を開始しました。今まで体験した事のないイベントや習い事に目を輝かせて「楽しい!」と言っていたスバルですが、1ヶ月経った頃から行きたがらなくなりました。行くたびに違うことをしなくてはいけない環境に疲れてしまったのです。冷静になって考えるとスバルは新しい場所や新しい体験は好きなのですが、ルーティンが落ち着くという性質もあります。1ヶ月経ち、放課後等デイサービスへの通所がスバルにとって「日常」になったのでルーティンの優先度が上がったのだと思います。私が自分の欲望に目がくらみ、スバルの本質を忘れてしまったために起こったミスマッチでした。Upload By 星あかりその後はスバルが好きなイベントの日をメインに通い、もう1つの放課後等デイサービスとバランスを取りながら楽しく通所していましたが、数ヶ月後人間関係のトラブルで辞める決断をしました。紆余曲折あり、もう1つの放課後等デイサービスも辞め(その話はまたの機会に)現在は穏やかにルーティンをこなしながらエッセンス的に毎日楽しい活動がある放課後等デイサービスに通っています。人間関係も活動内容もスバルにぴったりあっているようで、心の底から楽しんで通っているのが分かります。この放課後等デイサービスはWebサイトがありませんが、先輩ママの紹介で見学に行き決めました。「Webサイトがない放課後等デイサービスはなんか古そう」と避けていた私ですが、WebサイトがなくてもSNSなどを上手に活用して情報を発信している施設がたくさんあることをこの時に学びました。SNSに疎かった私のほうがアナログでした。現在のスバルと習い事幼稚園児の頃と小学校低学年の頃は集団の中で活動しているスバルの姿が想像できなくて諦めていましたが、なんと現在は習い事に通っています。この習い事は、小学3年生になったスバルが「最初の放課後等デイサービスのイベントで体験したあれが習いたい」と言い出して決まりました。この頃には集団の中でも活動に参加できるようになっていたので、体験教室に何度も通い決定しました。楽しかったりつまづいたりしますが、小学5年生になっても自分の意思で習い事を続けています。舞い上がった私が決断した最初の放課後等デイサービスへの通所は、反省の多いものになりましたが、今の習い事につながったことで少しだけ心が軽くなりました。執筆/星あかり(監修:新美先生より)放課後等デイサービスは、活動内容や雰囲気が施設によってかなり異なっています。定員もあり、放課後等デイサービスを探すのは本当に大変ですよね。放課後等デイサービスを利用する目的として、療育的な関わり、学習サポート、家や学校でできない活動を経験する場、安全に過ごせる居場所などさまざまあると思います。学校生活を頑張ったあとにほっと一息、安心して過ごすことを目的とするなら、自由度が高くのびのび過ごせる放課後等デイサービスを選んだほうが良いでしょうし、ふだん家だけではできない活動を発達特性を踏まえてサポートを受けながら経験する場にしたいのであれば、興味ある活動が多い場所が気になりますね。放課後等デイサービスは定員があり、通える地域の制約もあるのでインターネット発信をほとんどしていない施設もけっこうあります。福祉サービスを紹介してくれる窓口は公的機関だと公平性の担保のため、どこがおすすめというようなことは教えてもらえないことも多くて、探すのは本当に大変です。相性の問題も大きいので、少々面倒でもいくつか見学して、ご本人に合った場所を見つけられると良いと思います。スバルくんは、放課後等デイサービスでの活動がきっかけで、やりたい習い事がみつけられたのですね。慣れて安心して通える放課後等デイサービスのイベントだったからこそ、その活動に出合えたといえるのかもしれません。そして、その活動をもっと深めたいと思えて、習い事を始めることができたのですね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月14日マンガ発達障害の子どもと私たち/はるき編 第3話Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談「こんなときみんなはどうしているの……」孤独を感じ、一人で抱え込む母Upload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談分からない不登校の理由……このままでいいの?発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー、マンガ「発達障害の子どもと私たち」の第4話をお届けします。3歳でASD(自閉スペクトラム症)、4歳で軽度知的障害(知的発達症)と診断を受けた小学2年生のはるきさんは、5月、運動会のあとから学校を休みがちになりました。保護者は「学校へ行きたくない」というはるきさんの気持ちを受け止めていますが、完全な不登校にはなってほしくないと思っています。ある日、頑張って登校したはるきさんはおなかが痛くなってしまいました。身体症状がでてしまったことにショックを受けた母は学校の先生と相談、でもはるきさんが学校へ行けない理由や、どうすれば学校へ行けるのかははっきりした答えがでません。夫の意向で療育手帳を返納したはるきさん。母はASD(自閉スペクトラム症)や知的発達の偏りについて支援が受けづらくなるのではないかと不安になります。また相談できる相手もいないため押しつぶされそうです。次回はついに第1章最終話。はるきと母はどうするのか……。第4話「不登校、内にこもる息子と向き合えず焦り…私の選択は」ぜひご覧ください。保護者も頑張りすぎない。不登校の悩みは一人で抱えず、適切な相談先へ【専門家解説】相談先としては、学校、まずは担任の先生と面談などを設定してもらいお話できるといいでしょう。お子さんの状態やお子さんの今の思い、そして保護者としての思いなどを学校に伝え、今後どのようにお子さんが不登校という状態に学校・家庭が対応するか、そのためにどのように連絡を取り合うかといった当座の方針を検討できるとよいと思います。お子さんの状態や思いは時間によって変化しますので、永続的な方針というよりも、まずどのようにしてみるかの当座の方針を確認するのがお勧めです。担任の先生に相談しづらい場合は、スクールカウンセラー、また自治体の教育支援センターなどの教育相談室で、心理の専門家に相談してみるのもよいでしょう。保護者の気持ちや、お子さんの気持ちを整理してもらい、学校とのよい連絡、協働のあり方について提案がもらえるのではと思います。お子さんの不登校のサポートで大切なことは「保護者も頑張りすぎない」ということです。保護者自身も不安な気持ちを信頼できる人に話したり、今だけでなく将来への情報を集めてみると、想像より選択肢が多く、不安が少し解消されるかもしれません。そして、保護者が自分自身を休める時間をつくるようにしましょう。最近の研究では、ASD(自閉スペクトラム症)のある子の多くがDCD(発達性協調運動症)を併存しているという結果も示されてきています(※)。学年があがり高度な学習が求められるようになると、不器用さが目立つようになったり、学習の問題が表出してくることもあります。このように、学年が上がることで求められる要求水準が変わり新たな困難が生じることもあります。また、そのような困難が心理的なストレスを強め自己効力感や自信が低下し、抑うつや不安を強めてしまうこともあります。担任の先生とは連携を密にしていく必要があります。不登校に関してはその時の子どもの状態にあわせたさまざまな対応やステップがあります。将来のことも気になり、親御さんのメンタルヘルスが悪化することもあります。一人で抱えずに勇気を出して身近に相談できる人を持つことが解決への一歩になります。※ Saito,M.,Hirota,T.,Sakamoto,Y.,Adachi,M.,Takahashi,M.,Osato-kaneda,A.,...& Nakamura,K.(2020).Prevalence and cumulative incidence of autism spectrum disorders and the patterns of co-occurring neurodevelopmental disorders in a total population sample of 5-year-old children. Molecular autism,11,1-9.Upload By ユーザー体験談不登校のサポートで不安が強い、疲弊している方は以下の記事をぜひご覧ください。前の記事はコチラ(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年07月11日『マンガ発達障害の子どもと私たち』シリーズの連載がスタート!こだわりで登下校トラブル、放デイ選び失敗談なども【2024年6月】発達ナビでは、発達ナビ読者の困った経験、こうしたら良かったといった経験を読者体験談としてお届けしています。今回は2024年6月に公開した読者体験談をご紹介いたします。『マンガ発達障害の子どもと私たち』シリーズの連載がスタート!6月にはプロローグと第1話が公開されました。発達障害のある子ども、そして子どもを育てる保護者が悩み、戦った記録をぜひご覧ください。7月以降も定期更新予定です。その他、ルールやルーティンにこだわりのあるお子さんの登下校トラブル、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの放課後等デイサービス探しについての体験談など、参考になるコラムが満載です。発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリーマンガ「発達障害の子どもと私たち」のプロローグ編です。この物語の主人公は、発達障害のある子ども、そして子どもを育てる保護者たち。学校に行けない、学校でのトラブル……初めて社会で「壁」にぶつかった子どもたちを見て、あなたは何を感じますか?こちらは『はるき編 第1話』になります。 3歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断を受けたはるきさんは、小学2年生まで元気に学校へ通っていました。しかし運動会が終わった5月の下旬頃から「学校を休みたい」というように。「無理はさせたくないけれど、完全な不登校になってしまったら……」と焦りが膨らむ状態に共感される方も多いのではないでしょうか。『はるき編 第2話』も公開中ですので合わせてぜひご覧ください。こだわりが強いという特性のあるASD(自閉スペクトラム症)のお子さん。小学校1年生の時、通学路が工事の関係で変更になることになりました。こだわりの道が変更になり、どうなるかと青ざめたところ……。学年が上がるにつれてのお子さんの変化も必見です。就学後、体育の時に走るのが遅いことをからかわれてから学校を休みたがるようになった娘さん。そのため運動療育ができる放課後等デイサービスを利用することになったのですが……。経験して感じた利用のポイントなども放課後等デイサービス探しの参考になりそうです。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』はみなさんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントをつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児しているみなさんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。みなさまのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知・パートナー(夫婦) 関係・両親(義両親)、親族関係・進学・受験関係・冠婚葬祭関連・反抗期、思春期・自傷・学習関係・不登校、行き渋り・ゲームとの関わり・不器用さについて・ママ友や、ほかの保護者の方とのエピソード・ご近所関係(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月07日CKCネットワーク株式会社(代表取締役:山崎 朋宏、本社:愛知県名古屋市 Preステップオンライン運営支社:福岡県福岡市)が運営する勉強に前向きになれないお子さまのマンツーマン学習サポート『Preステップオンライン』は、『夏休みは家庭学習習慣改善のチャンス!~家庭学習の取り組み方オンライン個別相談会~』を7月23日(火)~7月27日(土)に開催することになりましたので、お知らせいたします。説明会チラシ【イベント概要】名称 : 夏休みは家庭学習習慣改善のチャンス!~家庭学習の取り組み方オンライン個別相談会~日時 : 2024年7月23日(火)~7月27日(土)(1回30分)※お申し込み後、日程確認のお電話をいたします対象 : 小学1年生~中学3年生のお子さま、および保護者様会場 : オンライン(Zoom)内容 : 家庭学習の取り組み方についてオンラインで個別に相談できる相談会申し込み: ●Preステップオンラインとは当社には34年の通信指導経験と累計50万人以上のお子さまたちへの遠隔指導実績があります。その中にはそれぞれのペースや状況に合わせた学習やサポートが必要な生徒もいました。そのような生徒のために、2023年4月に「Preステップオンライン」を開講しました。Preステップオンラインでは「よりそう指導で つよみを引き出す」の信念を大切にしています。(1) 「学習サポーター」がお子さまのやる気を引き出すコミュニケーション重視の授業(2) お子さまに合わせた学習計画を可能にした無学年方式(3) お子さまだけでなく保護者へのサポートも行う「協育サポーター」制度を行っています。開講から1年を迎えたPreステップオンラインでは、現在150名を超えるお子さまをサポートしています。●開催への想いPreステップオンラインでは様々な生徒の学習をサポートしています。「勉強が苦手、集中できない。」「学校や塾のどんどん先に進む進度ではなく、子どものペースに合わせて学習したい。」「塾に通うのが難しい、ほかの塾では合わなかった。」「学校の授業を受けられていない。」など、さまざまな悩みを抱えてPreステップオンラインに相談に来られます。実際に受講された生徒の保護者からは「わからないと投げ出していたのが、できたことが嬉しかったのか勉強を進んでするようになって、このサポートに出会えてよかった。」という声をいただきました。今回の説明会をお子さまの家庭学習の環境、学習習慣などについて考えるきっかけにしていただきたいと考えています。勉強に前向きになれないお子さまの学習を9年もの期間サポートしてきたスタッフが家庭学習の取り組み方について個別にお子さまの状況に合わせてご相談をお受けします!【CKCネットワーク株式会社について】『家族に自慢できるサービスを、世の中に提供する。』を理念として1990年に愛知県で創業しました。通信指導実績34年、累計指導会員数50万人以上を誇る総合教育企業です。オンライン個別指導塾「Fit NET STUDY」や、マンツーマン学習サポート「Preステップオンライン」など、幅広い事業を運営しています。CKCネットワーク株式会社URL: PreステップオンラインURL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年07月05日長男に合った就学先は?療育の先生からの提案で再度就学相談へ長男が通っている療育の先生から、「学習意欲が高いけれど聴覚過敏がある長男には、環境的に自閉症・情緒障害特別支援学級のほうが合っているのでは?」といわれ、改めて就学相談に来た私と夫。Upload By プクティ私たちとしても、療育の先生いわく「騒がしい雰囲気」だという知的障害特別支援学級は、長男には合っていないように思えました。だからといって通常学級で学ぶことには不安が残っていたため、やはり自閉症・情緒障害特別支援学級を検討したいと思っていました。Upload By プクティしかし相談員さんの話だと、初めて受けた知能検査の数値と、知的障害(知的発達症)と診断されている現状から、長男は自閉症・情緒障害特別支援学級に入る対象にはならないとのことでした。初めての知能検査から1年近く経っていたので、現段階の長男の知能を知るために、改めて検査を受けさせていただくことになりました。※編集部注:子どもが受けることのできる知能検査には、さまざまな種類(田中ビネー、WISCなど)がありますが、同一の検査は1年から2年程度の期間を空けることが望ましいとされています。知能検査の結果、話は意外な方向に……Upload By プクティ2回目の知能検査を受け終え、結果を聞きに改めて就学相談へ。やはり前回の検査からはかなり結果が変わり、IQが100あるということでした。今回は落ち着いて知能検査を受けられたこと、検査の数値では理解する能力が高いということで、相談員さんからは通常学級への就学を勧められました。Upload By プクティしかし知能検査は、検査を担当する方と1対1で行われます。長男は、1対1のやり取りでの理解力は高くても、幼稚園などの集団生活の中では、指示を聞けなかったり、活動に参加できなかったりすることがほとんどだったため、やはり自閉症・情緒障害特別支援学級を検討したいということを改めて伝えました。すると、自閉症・情緒障害特別支援学級は、医師からASD(自閉スペクトラム症)の診断を受けているお子さんしか対象にならない(ADHD/注意欠如多動症も非対象)とのことだったため、相談後すぐに知的障害(知的発達症)の診断を受けた病院で、再度診察を受けることにしました。※自閉症・情緒障害特別支援学級への入級の基準は自治体によって異なります。知能検査の数値では分からない「長男の困り」はどうしたら伝わるの?療育先へ相談受診希望者が多く、病院を予約できたのは数ヶ月後になってしまいましたが、何とか無事予約ができました。私たちは、2度目の知能検査の結果と就学相談で聞いた話を相談するため、療育先へ行きました。Upload By プクティ療育の先生は事情を聞いてすぐに動いてくださり、病院からASD(自閉スペクトラム症)の診断をスムーズにもらえるよう、長男の療育での様子や困りごとをまとめた意見書を用意しますと言ってくれました。療育の先生のサポートで光が見えてきた私たちですが、果たして自閉症・情緒障害特別支援学級への就学を認めてもらえるのか、数ヶ月後の病院の受診日まで落ち着かない日々を過ごすことになったのでした。執筆/プクティ(監修:室伏先生より)就学相談にまつわるエピソードの続きについて、詳細を共有くださり、ありがとうございます。知能検査を再度受けられて、IQと診断が大きく変わったとのことで、一気に道筋も変化しましたね。周りとのコミュニケーションや、コミュニケーションツールとしての言語に関心が向きづらいお子さんの場合、幼児期には言語発達が伸び悩むことも多いですが、言語理解や発語が進みだすとぐんぐん習得して、定型発達のお子さんと同程度の言語能力(場合によってはとても難しい言葉を使うことを好むお子さんもいますが)を身につけることはよく経験します。知能検査は、言語でのやりとりが必要なものが多いので、特に就学前のお子さんでは、本来お子さんが持っている理解力や判断力よりもIQとしては低く算出されてしまうこともあります。そのような場合には、言語能力が追いついた後に検査を受けると、ぐんとIQが上昇することもあります。なお、お子さんが受けることのできる知能検査には、さまざまな種類(田中ビネー知能検査、WISCなど)がありますが、同一の検査は1年から2年程度の期間を空けることが望ましいとされています。これは、短期間のうちに検査を反復すると、以前の検査内容を覚えていて次の検査結果の信憑性が落ちてしまうことあるというのが理由です。どうしても再検査が必要な場合、検査を行う年齢や、ご本人の能力にもよりますが、異なる検査を行うこともあります。再検査を希望されても実施できないという可能性もありますので、知能検査の実施時期については就学相談も見越しての検討が必要です。これについては、実施する機関でご相談いただくとよいかと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月05日「外ではいい子」だと悩みを理解されにくい?よくあるご相談を紹介子育てをオンラインでサポートするサービス「発達ナビPLUS」でも、・学校では問題ないと言われるが、自宅では些細なことでイライラして一気に爆発する・園では静かに過ごしているが、保護者の前ではこだわりが強く出て、少しでも自分の思い通りにいかないすぐに泣きわめく・友達とは仲良く遊ぶのに、家では下のきょうだいに八つ当たりして、いつも喧嘩になっているといった相談が多く寄せられています。また、子育てに関する悩みごとなどを相談できる発達ナビのQ&Aコーナーでは、以下のような相談がありました。4月になり保育園に通い出した頃から、毎週末、大なり小なりの癇癪を1時間〜15分起こすようになりました。(略)外では癇癪を起こすことはなく、周りからは「ママの気にしすぎだ」「お前も小さい頃はそうだった」「おかしいと思う方がおかしい」と言われ、1人で悶々としています。(2歳7か月のお子さんの保護者)学期になり、家では怒りやすく行き渋りが酷くなり癇癪も再発しています。(略)先生や保護者の方が声をかけてくれると人が変わったように平穏になります。園で頑張って家で発散していると思い耐えていましたが、最近は私と兄に対して暴力もあります。(4歳のお子さんの保護者) By 発達ナビPLUS特に、園や学校で問題なく過ごせている場合、先生方や他の保護者に相談しても「問題ないですよ」「考えすぎでは?」など、悩みを理解してもらえないことも。このように理解されにくいことが、保護者の困りをより強める要因になることもあります。今回は、「園や学校では問題なく過ごせているのに、お家では激しい癇癪で困っている」というご相談について、公認心理師の菅佐原洋先生にお話を伺っていきます。外ではいい子・家では大変……!子どもの心理と対応ポイントを心理師が解説!ーー「外ではいい子なのにお家では大変」この背景は何でしょうか?菅佐原:まず、大前提として「外ではいい子。家では大変……」というのは、決して特殊なことではありません。例えば、大人でも「外ではうまく振る舞おう、頑張ろう」と思って仕事などを頑張り、その分お家ではリラックスして緩めていると思います。外と家とで立ち居振る舞いを使い分けるのは、特性の有無や大人・子どもにかかわらず、どんな人にも見られることです。ただ、外(園や学校など)と自宅とで落差が大きいという場合は、外で“頑張りすぎている”可能性があります。自宅での癇癪の頻度が増えた、こだわりが強くなった、などが見られる場合は、お子さんの「家以外の場所の負荷が高まりすぎている」ことが背景にあるかもしれません。「外で頑張っている分、ゆっくりできるお家でくらいは自分らしくいたい」「家族に甘えたい」ということで、疲れの発散やエネルギー切れの充電をしている、と捉えることができます。Upload By 発達ナビPLUS菅佐原:ただ、1点気を付けないといけないのは「過剰適応」というケースです。「過剰適応」というのは、外での頑張りを続けるのが難しいくらい負担が大きい状態です。お子さんによっては「いい子に振る舞わなければならない」と思い込んでいたり、「怒られるのが怖い」といった不安から頑張りすぎてしまうケースもあります。先ほどお話ししたように、外と内とを使い分けるのは、ある意味「社会性」として必要なものです。しかし、過剰適応の場合は「そうしなければ」という強い不安に突き動かされ、過度な負担が長く続いている状態になります。いずれにしても、お子さんにとって過度な負担が続いている状況で、エネルギーの「充電」と「消費」のバランスが大きく「消費」に傾いてしまっていることになります。そのため、「お家で大変」というのは、お子さんの「外の環境がとても大変」というサインとして受け止めることが大切です。ーー発達特性の凸凹の大きいお子さんの場合、学習や集団行動の苦手さがあると、より外で頑張るポイントが多いかと思いますがいかがでしょうか。菅佐原:お子さんによっては、学習のペースやお友達とのやり取り、一斉指示への理解、持ち物の管理など、一つひとつのことに大変さがあることが予想されます。また、お子さん自身が自分の大変さに気付いていない場合もあります。逆に、気付いていても、それを周囲に訴えることが難しかったり、自分でどうにかする手立てを持っていなかったりすることもあります。自分の大変さに気付いていなかったり対処法を知らなかったりすると、より外での大変さは高まりますし、その結果自宅での発散(癇癪など)も強くなります。そして、自宅で発散した分、また学校である意味頑張れてしまって、自宅でまた発散(癇癪)という悪循環になることもありますね。Upload By 発達ナビPLUSーーどのようなサポートが考えられますか?菅佐原:基本的には、・なぜそんなに頑張らざるをえないのか?(何が不安なのかなど)・子どもの負担になっていることはなにか?を確認することが大切です。もちろん自宅の中でのサポートもあると思いますが、お子さんにとって負担が高い「外」の環境を変えないと、結局お子さんの大変さは減らないことになります。また、外で頑張っていると先生からは「問題なく過ごせている」という評価になり、「特に困っていることはない」と思われている可能性があるため、先生とお話してみることも必要なサポートになります。ーー学校とのコミュニケーションでの注意点はありますか?菅佐原:保護者の方がいきなり先生に相談した場合、お子さんによっては「園や学校でせっかく一生懸命頑張っているのに、家でのことを勝手に言われた」となる可能性もあります。そのため、いきなり先生に相談するというよりは、まずはスクールカウンセラーの先生に相談するのもいいでしょう。スクールカウンセラーの先生からお子さんの様子を確認してもらい、必要に応じて担任の先生に相談するというように、少しずつ検討できるといいと思います。ーー学校生活を整えている間も、お家で癇癪が起きることはあると思いますが、癇癪が起きた時のNG対応はありますか?菅佐原:親であれ人間ですから何でも受け止めきれるかというと、決してそうではないと思います。ただ、最も重要なことは「癇癪が起きているということは大変さを発散しているんだ」と捉えることです。もちろん、癇癪以外で発散することが望ましいですが、発散していることに対して怒るなどしてしまうと、お子さんは発散しきれずにより負担が高まってしまいますよね。そのため、癇癪が起きているということは「それだけ今大変なんだ」というサインとして受け止める視点も大切です。そして大事なことは、大人の側がお子さんの癇癪に巻き込まれない、ということになります。全てを許容したり受け止める必要はないですが、巻き込まれてしまうとお互いにイライラしてしまい、発散がうまくできなくなります。癇癪が起きている時は、トイレや別室に行くなど物理的に距離を置くなどして、巻き込まれないようにすることが大切です。Upload By 発達ナビPLUSーーわが子が疲れていると分かっても、宿題をしていなかったりゲームの時間を守れなかったりすると、時にガツンと叱る場合もあると思います。この対応はいかがでしょうか?菅佐原:多くのご家庭で悩まれるポイントだと思います。大事なことは、「叱ることで今の状況が良くなるか?」という考え方です。毎日学校で頑張ってきて、お家ではゲームに没頭することで発散して、疲れているからなかなか切り替えも難しくて宿題にも取り掛かれない……という状況かと思います。そのようなお子さんに「早く宿題やりなさい!」と叱ったとして、その日はしぶしぶ宿題をするかもしれません。でもおそらくまた次の日、同じようなことが起こるのではないでしょうか?そうして、怒る(怒られる)ことが繰り返されていくかと思いますが、「叱られる」というのは慣れが生じるものなので、より強くお子さんを叱らないといけなくなり、「大人の負担が高まるだけで改善しない」ということもありえます。そのように考えますと「叱る」という対応はあまりいい手段とは言えないかもしれません。もちろん、ついイライラして口調が強くなることはあるかと思います。ただ、ここでも「巻き込まれない」ことが大切で、イラっとしたお気持ちはありつつも、「学校での負担が高まりすぎていないか?」「宿題の量や内容はどうか?」などに目を向ける方が、改善に繋がるかもしれません。Upload By 発達ナビPLUSーー子育てをしていると、自分の関わり方で大丈夫なのかな?と不安になる時もあると思います。このような場合、どこに相談するといいでしょうか?菅佐原:学校のことであればスクールカウンセラーの先生や担任の先生に相談することもあるかと思います。ただ、やはりお子さんのことがメインになってくるので、保護者自身のお気持ちなどをお話しづらい部分はあるかもしれません。保護者自身もしっかり発散していく、つらい気持ちやストレスを吐き出していくことが大切なので、ご自身のことを話せる(相談できる)場所があることは重要です。信頼できる友人やご家族に話すことも選択肢の1つですが、自分のことをよく知っている相手だとついよく見られたい・本音は言いづらいこともあるかと思います(これもまさに、「外ではいい子」の例ですね)。その場合は、自治体の女性相談や心理学部等のある大学に付属する心理相談室といった機関もあります。アクセスや相談のしやすさなど、心理的なハードルの低さから選んでいただくのがいいと思います。今は電話相談やオンライン相談もありますので、利用しやすいかもしれませんね。私も監修しているオンラインサービスの「発達ナビPLUS」でも、テキストで直接専門家に相談することができます。オンラインで顔や氏名を知られることなく相談できるので、多くの保護者の方がご自身のストレスやお気持ちもご記載くださっています。「この関わり方で合っているのかな?」や「子育てがしんどい」といったお悩みを抱え込まないよう、ぜひご自身にとって利用しやすいものを見つけていただきたいなと思います。期間限定!「発達ナビPLUS」初月70%OFF&解約金0円キャンペーン実施中!外側からはなかなか見えづらい子育ての大変さやつらさがあり、周囲には相談しづらい、理解してもらえない、といったご家庭の声が多く寄せられます。オンラインサービスの「発達ナビPLUS」では、子育てに関する悩みをテキストで直接専門家に相談でき、・お子さんの困りごとの背景の仮説・その背景に基づいたお子さんに合ったサポート方法や関わり方を知ることができます。また、癇癪や暴言・他害、子どもの不安の高さ、親のアンガーマネジメントなど、子育てに関するさまざまな解説動画は、オンラインでいつでもどこでも見ることができます。子どもにあった関わり方を知りたいといった人は、ぜひこの機会に「発達ナビPLUS」のWebサイトを覗いてみてください。今なら「発達ナビPLUS」が初月3,300円(税込)のところ、初月990円&いつでも解約金0円になるクーポンをプレゼント中!クーポンコード:coupon3418有効期限:2024年07月07日 23:59:59お得な今が試すチャンス!※サイト内で取得できるクーポンコードと異なりますのでご注意ください。こちらに記載の特典をご利用いただくには、入会手続きページにて上記クーポンコードをご入力ください。※入会初月は月額利用料3,300円(税込)が990円(税込) 、2か月目以降は月額利用料3,300円(税込)で発達ナビPLUSをご利用いただけます。※お問合せはinfo_plus@h-navi.jpまで
2024年07月03日園・学校との連携お子さまにとって、園や学校は、家庭に次いで長い時間を過ごす場所です。また、集団での行動や学習、自立活動など、家庭とは異なる状況や困難が現れたり、家庭と同じようなサポートが難しかったりという場面もあります。お子さま自身の頑張りたいという気持ちから、合わない環境で無理をし、疲れてしまうという可能性もあります。そのような時に、保護者と園・学校で連携して課題意識を共有したり、困りごとを解決する方法を探っていくことがとても重要です。今回は、LITALICO発達特性検査を使って園や学校とうまく連携するためのポイントをご紹介します。LITALICO発達特性検査は、保護者がお子さまについての質問にスマートフォンやパソコンから回答することで、お子さまの特性や困っていること、その対処法が分かるオンラインの検査です。検査結果は、Webブラウザのほか、PDFの形式でダウンロードできます。お子さまの困っていることや特性の傾向や強さのほか、その困りや特性の背景にどんなことがあるか、またどう対応すればいいかといったサポートの方向性が表示されます。家庭での対応方法だけでなく、園や学校での対応方法についても具体的に紹介されるのが特徴です。そのため、検査結果をデータやPDFをプリントしたものを使い、園・学校などでお子さまと接する関係者への相談・共有のためのツールとしても役立てられます。LITALICO発達特性検査について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。園・学校での連携が重要になるタイミング園・学校と家庭での相談には、以下のようなタイミングがあります。新しい環境でお子さまに困りごとが現れやすくなるタイミングです。新しい担任への情報共有や、配慮が必要な場合の相談が必要になる場合もあります。お子さまについての情報をまとめておいて、サポートブックのような形で渡す保護者の方もいます。その際の資料としても、検査結果を活用できます。短い時間の中で、お子さまについて話し合うために、どのようなことを相談したいか、伝えたいかなどをまとめておくと良いでしょう。通常学級・通級指導教室(特別支援教室)・特別支援学級・特別支援学校など、お子さまに合った学びの環境を選ぶための相談です。小学校・中学校入学前の就学相談のほか、入学後に転籍したい場合の相談をすることもあります。困りごとがあった場合や相談したい場合、保護者の方が持っている情報をまとめておくといいでしょう。家庭と園・学校との様子が違う場合や、それぞれの見立てや課題感が異なる場合もあります。どちらが正しいかを議論するのではなく、家庭での状況を把握してもらうことが重要です。そのためにも、事前にまとめた情報があると相談しやすくなります。スクールカウンセラーに相談できることもあります。合理的配慮として、お願いしたい支援や配慮があれば、具体的に伝えることで導入の検討がしやすくなります。合理的配慮には診断書が求められることがありますが、診断書はないけれども、お願いしたい配慮がある場合、発達特性検査の結果が背景要因を共通理解するのに役立ちます。また、家庭で行ってうまくいったサポートがあれば、それを伝えることで園や学校でも試しやすくなるかもしれません。園や学校に共有するときのポイント1.困っていることや状況の共有保護者の方やお子さまがどんなことに困っているかの共有が必要です。困っていることの共有、お子さまの特性の共通理解をみんなで行い、お子さまにとってうまくいく場面が増えるようにしましょう。相談では、まずは家庭での様子や保護者の方やお子さまが感じている困りごとや課題を共有します。2.本人の特性をみんなで理解し、共通認識をつくるお子さまに、いつもと同じ対応方法が望ましい特性や、困りごとの生じにくい環境や方法がある場合、本人に合った環境が必要な場合などもあります。そこで、保護者の方だけでなく、周囲で関わる人がお子さまについて情報の共有をし、理解をしたうえで同じような接し方をすることがポイントとなってきます。3.協力してサポートする園や学校でお子さまと関わる人が、その子の特性や困っていることについて理解し、共通認識を持つことがとても大切です。お子さまの過ごしやすい環境づくりや困りごとが現れる状況を減らすために役立てましょう。LITALICO発達特性検査の検査結果レポートでは「サポートの方向性」として、家庭で起こっていることが学校でも起きている場合、園や学校でも同じケースで使いやすいアドバイスやヒントが提案されています。限られた時間の中で相談をうまく進めるポイントは、相談したいことを事前に整理してまとめておくことです。・話したいことに優先順位をつけておき、大事なことから話す・視覚的な情報や、言語化された資料として検査結果を見せながら話す検査結果レポートの内容は詳細でボリュームもあるため、全てを読んでもらうのが難しい場合もあります。検査結果を持参する際には、あらかじめ、優先順位をつけて特に相談したい部分に付箋をつけたり、その部分だけを持っていくなどするのもおすすめです。検査結果を見せたり渡したりする際には、検査結果レポートの「04.専門家の皆様へ」の箇所を見せるなど、LITALICO発達特性検査についても説明するとよいでしょう。Upload By LITALICO発達特性検査 活用サポートお子さまによっては「困った行動」をする「困った子」という捉え方をされることがあるかもしれません。ですが、その行動をなぜするのか、特性や困っていることの背景を知ることで、本人にもコントロールできない行動だったり、本人にとっては必要な行動であることが分かることもあります。また、環境に影響を受けて生じる行動の場合もあります。お子さまにとってどうしたらうまくいくか、困りごとが減らせるかという視点で、お互いに前向きで具体的に話すことを意識するようにします。園や学校での見立てや困っている度合いが家庭や検査結果と異なる場合もあります。そんな時は、逆にチャンスと捉えて、話し合うのもおすすめです。LITALICO発達特性検査は学校の見立てと違うときのすり合わせツールとしても活用できます。LITALICO発達特性検査は、主に保護者が把握できる場面で感じている困りごとから結果を出します。そのため、園や学校での見立てと違う場合や、周囲では「困っている」と捉えていないことがあるかもしれません。また、お子さまの困りごとや特性の現れ方は環境との相互関係で現れます。そのため、家庭では困っていることが園や学校では現れなかったり、集団生活や学習の場面など、特定の場面で困りごとが現れたりするなど、家庭と園・学校での状況や困りごとの様子に違いがあり、それぞれの見解が異なる場合もあります。どちらもお子さまの姿であることをお互いが理解することがとても重要です。検査結果を伝えるだけでなく、「家庭ではこういうことがありますが、学校ではどうでしょうか?」などと、園や学校での様子を聞くことも重要です。特性や困りがどんなときに強くなり、どんなときに現れないかなどの情報収集をし、両者でそれぞれの様子を共有し、連携できるとよいでしょう。まとめ本人の困りごとを減らし、過ごしやすい環境をつくるためには、家庭だけでなく、園や学校との協力が欠かせません。また、家庭だけでお子さまのサポートをすると、どうしても負担が大きくなり、保護者の方が疲弊してしまうかもしれません。少しでも頼り先を増やし、お子さまのために同じ目線で一緒にサポートを進められる仲間をつくっていきましょう。また、園や学校での様子と家庭での様子が異なる場合には、お互いに情報を共有したり、その違いから支援のヒントを得ることもできます。そのための第一歩が、情報をスムーズに共有することです。ぜひ、LITALICO発達特性検査をそのツールとしてご活用ください。
2024年07月02日青春は勉強に費やして。勉強ができてもトラウマに大学受験当時、私の発達障害に気づく人は誰もいませんでした。学校の成績も良かったため、私自身も含め誰もが「宇樹は難関大学に入ってエリートになるべき」と信じていて、かかっていたプレッシャーは相当なものでした。親は「勉強しろ」と直接的な言い回しこそしなかったものの、「学生の本分は勉強だ」「お前が勉強に集中できるように」とよく言っていました。家事の手伝いなどを免除するから、その時間を勉強に回すべきという雰囲気だったのです。自分にとって長時間の通学も含んだ学校生活だけでも疲労困憊するということも、自分がたとえ疲れていなくても比較的長時間の睡眠が必要だということも知らなかった当時。私はプレッシャーにせきたてられるまま、自分の体力の3倍ぐらいの無理を重ねました。青春らしい経験もいっさい重ねることなく、すべての時間を勉強に使ったのです。毎朝5時半に起きて2時間の通学をし、16時ぐらいに学校が終わるとゼイゼイするほどダッシュして電車に飛び乗って予備校へ。途中で、昼の分と合わせて2個持ってきた夜の分のお弁当を食べながら22時半ぐらいまで予備校の授業を受ける。23時過ぎに帰ってくると短時間でお風呂を済ませ、夜中の1時ぐらいまで船を漕ぎながら予備校の復習。そうしてようやく就寝、睡眠時間は4時間半あればいいほう、という感じでした。勉強=身体を壊すほどの疲れに耐えること になってしまった慢性的に過労状態だった私は、いつも耳鳴りがしていて、顔はニキビだらけ、顔は真っ赤にのぼせて手足は氷のように冷たく、歩きながらでも意識が落ちてしまいそうなほどに眠かった……。自律神経が悲鳴を上げていたと思います。そして、高校3年の10月頃、私はついに激しい腹痛と血便血尿を起こして倒れました。過労による腸炎と腎盂炎との診断で、1ヶ月ほど寝込むことに。なんとか持ち直した私は、学校が休みに入った受験直前には、食事やトイレの暇も秒単位で惜しむようにして時間を捻出し、毎日16時間の勉強をして、有名難関私大に合格しました。受験が終わった瞬間、私はプツリと糸が切れたかのように、何もかもやる気がなくなってしまいました。バーンアウトです。大学が始まっても、一度深刻に壊れてしまった心身は回復することはなく、せっかくあれほど努力して入った大学の授業にまったく身が入らないまま、漫然と4年間を過ごしました。それ以来、何十年といった単位で、私は「勉強」がダメになってしまいました。資格試験だとか、キャリアのためとか、そういったもののために勉強しようとすると、自動的に大学受験当時の、全身を300%張り詰めていたモードのスイッチがオンになって、体調が悪くなってしまうのです。もうこれは「勉強トラウマ」のフラッシュバックと言っていいと思います。40代の私、学びは生きがいけれど、私はそれでも、学ぶことは常に楽しんできたと思います。大学受験のためとかキャリアのためとか社会的評価のためとかいった、自分の価値をジャッジされることとは離れたところで、純粋に、知らなかったことを知る営みとして。「勉強」は訓読みすると「勉(つと)める、強(し)いる」となります。ここから、勉強には「外的にしろ内的にしろ、何か圧力のようなものがあって頑張ること」というようなニュアンスが感じられます。しかし、「学び」の語源は「まねび(真似)」から来ているそうです。先人の考え、知ってきた軌跡を、同じようにたどりながら知識と意識を身に着けていく。そんな「学び」が、私は大好きです。知らなかったことを知ることで、「これはこういうことだったのか!」「これとこれはこんなふうにつながっているのか!」と知的な興奮があったり、「こういうしくみだったのなら仕方ないな」とある種の納得や癒やしがあったり。「では、これをこうすればこれが実現できるのでは?」と、見通しや希望が持てたり。誰に強制されるでもなく、興味の赴くままに学ぶことは、生きるのを楽にしてくれ、また、人生の解像度を上げて、より楽しくしてくれます。勉強せざるをえなかった学校の教科の中でも、私は常に学びを発見してきました。勉強から離れたあとも、宗教学、哲学、心理学、神経科学、言語学……いろいろなことを学んできました。40代になった今、学びは私にとって不可欠なものとなっています。勉強と学び、それぞれ違う魅力がある私にとって勉強は非常につらいものではありましたが、それはあまりに無理を強いられたために極端につらかっただけ。本来勉強は、学びの基礎をつくるものとして不可欠なものだと思っています。たとえば私の場合、英語が読めなければ、英語で資料を探すこともできなかったでしょう。評論用語を知らなければ人文系の本を読んでも意味が分からなかったでしょう。数学が分からなければ心理統計が分からず、理科が分からなければ自律神経の話も理解できなかったでしょう。国語や古文の積み重ねがなければ言語学も分からなかったでしょう。勉強はこうした基礎を示すものだからこそ、大学受験や資格試験で試されるのであって、上手に努力すれば「合格」という比較的短期的に分かりやすい結果に結びつきやすいところは大きな魅力だと思います。学びはその点では短期的に分かりやすい結果に結びつくことは少ないですが、確実に人間性に深みを出してくれるし、そこはまさに人生そのものを充実させてくれる大事な要素だと思っています。人生にとって分かりやすい成果も大事ではありますが、人生を過ごす本体は自分という人間です。私は、つらくてもたくさん勉強をした過去の自分自身に感謝していますし、これからもたゆまぬ学びによって、自分の人間性を深めていきたいと思っています。文/宇樹義子(監修:森先生より)本当によく頑張られたのですね……。100%の限界を超えて力を出し切ってしまい、しばらくの間、燃え尽き症候群(バーンアウト)になってしまったと考えられます。 実は、発達障害の傾向のある方はご自分の疲労に気づきにくく、仕事や勉強に没頭しすぎてしまってエネルギーを出し尽くしてしまうことがあるのです。その結果、適応障害やうつ病になってしまうことも少なくありません。 宇樹さんの「勉強」と「学び」の考察についても、たしかにおっしゃる通りで、読んでいてとても学びになりました。 実は英語でもニュアンスの異なる「study(勉強する)」と「learn(学ぶ)」という2つの表現があります。英語の「study」は、ラテン語の「studium」からきた単語で、「没頭する」という意味を持つそうです。「learn」の語源は「leornian」という単語で、「知識を得る」「習得する」という意味だそうです。 宇樹さんの場合は、「勉強」「study」をしようとすると、健康を害しかねないレベルでご自分の時間・健康・興味のすべてを投入して没頭してしまうのでしょうね。知的な好奇心が旺盛で、常に楽しく興味の向くものを学ばれているとのこと、大変素晴らしいですね。これからも、ご自分の体調に気を配りながら、人生を豊かにするような「学び」を続けていけるように願っております。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年07月02日「将来の夢はない」と言うけれどASD(自閉スペクトラム症)の太郎は現在中学3年生である。高校進学については「分からない」「将来の夢はない」と言っている。しかし、最近変化が見られてきた。高校進学について、まだ「通う高校」が決まっていないためイメージもわいていないようだが、試験で「点数」を取れないと入学できないものだと頭にあるようだ。そう感じたのは、学習への取り組む時間の変化に気づいたからだ。私も同居する祖母も「勉強しなさい」などの強制的な声かけはしないようにしている。しかし、「点数を取れないと、希望する高校があっても入学が難しい」ということはテスト結果を持って帰ってきた時に話の流れで言うことがある。というかその時にしかむしろ言わない(その時がチャンスだとも思っている)。祖母は「太郎ちゃーん、高校に入るには点数が大事ぞー」と言う。太郎は毎回「うん」「そうなん?」「テスト難しい」「分かった」という具合で、表情もあまり変えずにクールに返事をしている。Upload By まゆん学習に取り組む時間の変化今までは自宅での学習の時間は少なくほぼ自由時間としていたが、リフレッシュも必要だろうと私は考えていたので何も言わず過ごしていた。最近は、勉強部屋に引きこもって机に向かう太郎。効率的に学習できているかは別として、なんだかやる気は見えてくる。テスト前になると、特に勉強部屋から出てこない。大好きな駒もほとんど触らない。ひたすら机に向かっている。大丈夫かなあと心配になり、ときどき部屋を覗きに行く。特に環境の調整に気が回らない太郎のために、祖母が空調を気にしてよく見に行ってくれる。Upload By まゆん振り返ると中学2年生の時に担任の先生から…中学2年生の頃から学校の特別支援学級の担任の先生が代わった。先生は2年生の三者面談の頃から太郎に厳しめの言葉を伝えていた。私からしたらやや圧迫気味にも聞こえた。「どういった高校行きたい?」「今の点数どう思っとる?」「点数伸ばさんと、もっとやる気ださんと」と真顔で言っていた。そんな抽象的で圧が感じられる言葉をかけるのは太郎に不向きなのでは?とも思ったり、先生と太郎との関係性が気になったりもした。Upload By まゆんそのまま中学3年生になり、先生もそのまま持ち上がりで担任になった。太郎は家で先生についての不満や不安をもらすことはなかった。つい最近用事があって私が学校に行くことがあった。ちょうど給食が終わって昼休みに入る時間だった。教室を覗くと先生と楽しそうに会話をしている太郎と、先生の自然な笑顔を見ることができた。その時、先生と太郎の関係性が全て見えた気がした。Upload By まゆん先生はときどき学習や生活面で厳しい言葉を言うことがあるようだが、太郎は先生の言葉の真意をどこかでとらえているのかもしれない(きっとそうだ)。だから以前よりも勉強に取り組むようになったのだろう。先生のような関わり、私とは違う人との関わり方も太郎には必要で、全てが社会的な学習に繋がっているのだとあらためて思った。あとがき幼い頃から太郎の特性について悩んでそのまま何も行動できていなかったら、今頃私と太郎はどうなっていただろうかとも最近思うことがあります。太郎と私の関係もぐちゃぐちゃで家庭が崩壊、親子関係も崩壊していたのでは……と。今穏やかに過ごせているのは、さまざまなサポートを受けることができているから。そして、太郎の持ったあたたかい個性のおかげだと思っています。高校進学へ向けて太郎、頑張っています。執筆/まゆん(監修:初川先生より)中学3年生になった太郎くんが高校受験というものを漠然とではあれ捉えて、準備をしている様子、そして担任の先生との関係性、そこから振り返ったこれまでの歴史についてシェアをありがとうございます。多くの子にとっては、高校受験が人生初の受験で、受験とは何かということ、そもそも学校を選ぶということ自体なかなかイメージしづらいかもしれませんね。中学校では、3年間の中で折々に進路に関するアナウンスやガイダンスがなされていると思います。また、担任の先生との三者面談では進路の話題になることが多いでしょう。中学卒業後の進路をどう描くかについては、お子さんの学力や地理的条件(遠い学校まで公共交通機関使って通えるかどうかはそのお子さんによりですね)、そして経済的条件(公立、私立)など、さまざまな検討事項があります。さまざまな視点があるからこそ、どれか1つの視点に偏ることなく、さまざまな視点でぜひ検討していただきたいところです。そのうえで、実際どこを志望するかについては説明会参加、学校公開、個別相談会などを利用して本人にも学校生活をイメージしてもらい、高校側にもお子さんのことを知ってもらいつつ検討できればと思います。また、実際に進路をどう定めるかにかかわらず、前もってできる準備としては学習を定着させておくことやいわゆる内申点を取ることなどがあります。太郎くんが点数を気にするのもその1つで、点数は分かりやすい目安なので頑張りやすくなりますね。定期試験では何が問われるのか、範囲表をもとに提出すべき問題集なども合わせて準備したうえでテストに臨めるとよいでしょう。中学校の評価は客観的で、多くの場合生徒自身にも評価基準が知らされているので目標を持って取り組みやすくはあります。さて、最初に受験が初めてだからこそイメージしづらいと書きましたが、だからこそ、本人が受験や進路についてどう考えているかは折々にしっかり聞いていく必要があります。保護者や周りの大人がやみくもに点数のみ、あるいは偏差値のみに固執してしまうと本人の意志がおいてけぼりになることもあります。なかなかイメージしづらい受験や高校生活だからこそ、今どんな風に捉えているのか、受験で大事そうなことは何だと思うか、といったことを聞きながら、本人に分かる説明と目標共有などができると良いと思います。特別支援学級に在籍しているお子さんだと特別支援学校の高等部に進学するか、普通高校に進学するかなど選択肢がむしろ多岐にわたる場合もあると思います。担任の先生や主任の先生などとの面談を重ね、情報収集をしながらお子さんに合った進路をある程度大人が絞ったうえで、本人に見学や体験をしてもらう場合がよいこともあるでしょう。いずれの場合であれ、三者面談をはじめとする先生方との連携がとても大切になります。太郎くんと担任の先生との関係がよさそうで何よりです。太郎くんの得意不得意などをよく知る先生はきっと一緒に進路について考えてくださるパートナーになりますね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年07月01日癇癪(かんしゃく)とは?大声で泣いたり、激しく奇声を発したりする「癇癪(かんしゃく)」は、1歳頃からみられます。2歳から3歳頃には、自分の意見を言葉や行動で主張するようになり、癇癪が激しくなる時期でもあります。また、癇癪は幼児期に限られた行動ではなく、児童期にも見られ、思春期や大人になっても続くこともあるようです。癇癪は子どもの成長過程のひとつです。その表れ方には個人差がありますが、激しい癇癪の対応は、保護者や周りが疲弊してしまうことも……。今回は、発達支援の専門家監修の具体的な手立てや癇癪の知識を深める記事をまとめてご紹介します。癇癪(かんしゃく)が起きた時、どう対応したらいい?一口に癇癪といっても、原因や状況によって適切な対応は異なります。発達ナビの「親子のヒント」というコーナーでは、場面別で具体的な手立てを紹介しています。お菓子を途中でやめられない、「今日はここまで」と言われるとパニック……そんなときは?もしかして「かんしゃくを起こす=お菓子がもらえる」と学習しているかも?そんなときは悔しいときの感情コントロールが苦手……そんなときにできる工夫って?負けたときに切り替えて次の活動に取り組むのが苦手……そんなときにピッタリの遊びは?「あと3分」と約束したのに、切り上げられない!そんな時は……上手な交渉を覚えてもらうには……?「親子のヒント」コーナーでは、毎日の生活や幼稚園や小学校での活動中の困りごとに対する具体的な手立てを紹介しています。ぜひ参考にしてください!親子のヒント【LITALICO発達ナビ】癇癪(かんしゃく)の理解を深める公認心理師や医師監修の癇癪をテーマにしたコラムをご紹介します。発達ナビでは、ほかにも癇癪にまつわる体験エッセイを多数公開しています。ぜひご覧ください!癇癪のコラム一覧【LITALICO発達ナビ】癇癪が起きているときには、「何か不都合を取り除こうとしている」そして「困っているというサインを発している」と考えられます。さまざまな手立てや参考記事をご紹介しましたが、お子さんがたびたび激しい癇癪を起こす場合、保護者の方だけで向き合うことは非常に大変です。子どもの癇癪に悩んでいたり、保護者の負担が多くなってしまっている場合は、発達の専門家や医師に相談してみましょう。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年06月30日東京都児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報コペルプラス洗足池教室は、2024年4月にオープンした事業所です。毎月新しい教材で遊びを通してさまざまな発達支援を行っています。行動をたくさん褒め認めることで、意欲を育てる関わりを行い楽しく通えるような雰囲気づくりを大切にしています。月末にはコミュニケーショントレーニングとして、普段顔を合わせないお友達と関わり合いながら楽しい時間を過ごせるような機会を設けています。「できることが増えるのは世界が広がること、楽しいことが増えること」を合言葉に支援を行っています。東京都の児童発達支援をもっとみる神奈川県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報FORTUNA(ふぉるとぅな)中川教室は小学生のお子さんを対象とした横浜市認証の指定事業所です。臨床心理士や保育士、教員免許の資格を持つスタッフが在籍しており認知行動療法や応用行動分析などを用いた支援や文科省公認フィットネストレーナー監修のもと、運動による発達支援や、セネガルの先生による簡単な英語やフランス語のプログラムを行います。学校の宿題やプリント、ドリルに取り組む学習支援も行い、休日や長期休暇などは屋外のアクティビティを取り入れ社会性を学ぶ活動を行っています。神奈川県の放課後等デイサービスをもっとみる神奈川県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報こども発達らぼ&kids相模原は未就学のお子さんを対象とした事業所です。スタッフは、一人ひとりに寄り添い、小さな達成感を積み重ねられるよう「褒めて伸ばす」をモットーに、支援をしています。また、あきらめずにチャレンジする気持ちを大事に、いろいろな経験をしてほしい!と思っているそうです。公園やお散歩、水遊び通して気持ちのコントロールの仕方や社会性などを育てていきます。雨の日でも室内で楽しく身体を動かすプログラムがあります。保護者の方と一緒に支援を考え、笑顔が増えるお手伝いをしています。Upload By 発達ナビ施設情報ビースマイリープラス湘南藤沢教室は、藤沢駅徒歩4分のところにある事業所です。発達や個性に合わせた目標や発達支援プランを設定し、一人ひとりのニーズに合わせた個別指導を行います。お子さんの能力を最大限に引き出すモンテッソーリ教育と、お子さんのやる気を自然に引き出すコーチングを掛け合わせたモンテッソーリコーチングメソッドにより、子どもの真の生き抜く力を養います。経験豊富なスタッフは全員モンテッソーリコーチ資格を保持し日々研修を積んでいます。感覚統合クラスなど、集団で受けられる特設クラスもご用意しています。神奈川県の児童発達支援をもっとみる埼玉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報ハビー春日部駅前教室は未就学児を対象とした事業所です。お子さんの特性に応じてパズルや絵本の読み聞かせ、リズム体操など個別指導と集団指導のプログラムを行い、小学校入学に向けて、ひらがなや数字、ライフスキルなどのプログラムも用意しています。「褒める」ことを大事にして、お子さんたちの「できた」という喜びと笑顔を増やし楽しく通っていただけるように心がけているそうです。保育士・幼稚園教諭、作業療法士、児童指導員などの資格を持ったスタッフが優しく迎えてくれる事業所です。埼玉県の児童発達支援をもっとみる千葉県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報NOOK KIDS 千葉みなと(ヌークキッズ)は、2024年7月オープン予定の事業所です。「子どもたちが楽しく過ごせる小さな隠れ家」「子どもたちの特別な場所」「子どもたちとって居心地の良い、安心安全で楽しい場所」となってほしいと願いを込めて快適な場所づくりを目指しています。さまざまな教材を使い、微細運動で脳への刺激と共に着席時間を延ばす事にも繋げていくような支援もしています。最寄駅へのアクセスが良い立地なので、車やモノレールを使って遠足なども考えているそうです。季節ごとに楽しい行事も行っていく予定です。千葉県の児童発達支援をもっとみる静岡県放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報nicocos牧ケ谷(にここ)は小学生から高校生までのお子さんが通う放課後等デイサービスです。「元学校の先生」がつくる施設で、スタッフの大半は学校教育の現場経験者、福祉業界経験者です。毎日の宿題を基本マンツーマンでサポートし理解度に合わせて復習も行います。公立学校と同型のパソコンを設置、タブレット学習も可能です。積極的に学校や園の先生方との連携も行っており、月に数回、授業内でのサポートも可能です。お子さんの「やりたい!」気持ちを大切にし、個性に合わせた支援を行っています。静岡県の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府放課後等デイサービスUpload By 発達ナビ施設情報「好奇心が無限大 多くの知識を携え、一つだけの自分を咲かせよう」放課後等デイサービスまなび ふたばでは、学習支援やソーシャルスキルトレーニング(SST)を軸に、宿題のサポートや発達段階に応じた課題の提供を行っています。パソコン指導などの支援も充実しており、将来の生活に役立つスキルを養います。土日祝日には個別指導に加え、食育や科学実験などのプログラムも行っているそうです。公認心理師/臨床心理士による検査を受けることができ、お子さんの検査結果を保護者の方・事業所の間で共通理解し、より的確な支援ができるようにしています。大阪府の放課後等デイサービスをもっとみる大阪府児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報児童発達支援まなび ふたばは、小学校就学を見据えた生活支援・学習支援を得意としている事業所です。就学に備え、発達段階に合わせて運筆、ことばや文字、数の扱いを学び、机の上で作業する練習をしています。コミュニケーションのプログラムでは、要求をほかの人に上手に伝える方法や、遊びに参加するときのルールなどを学びます。スタッフは、心理担当職員が3名在籍しており、専門職同士での意見交換など研鑽を重ね、特に行動面・心理面での手厚い支援を目指しています。心理担当職員によるさまざまな検査を受けることもできます。大阪府の児童発達支援をもっとみる兵庫県児童発達支援Upload By 発達ナビ施設情報カラカラ西宮甲子園は、未就学のお子さんを対象とした事業所です。スタッフは保育士・幼稚園教諭、児童指導員などの資格を持っています。ウクレレに合わせた楽しい歌やリトミックに始まり、オーダーメイドの個別指導や、週替わりのプログラムで集団指導を行います。身体を動かして遊べるプレイルームでは、粗大運動、サーキット、大型遊具などを行っており、楽しいプログラムは毎月変わります。保護者の方の思い、お子さんの個性やお困りごとに寄り添い、エビデンスを大切にした発達支援プログラムを、個別や集団で行っているそうです。兵庫県の児童発達支援をもっとみる「もっと施設の情報を詳しく知りたい!」「見学をしてみたい!」と思ったら、Webからもお問い合わせが可能です。施設情報ページでは、掲載されている施設の情報を地域ごとに検索して見ることができますよ。
2024年06月28日マンガ「発達障害の子どもと私たち」プロローグUpload By ユーザー体験談Upload By ユーザー体験談マンガ「発達障害の子どもと私たち」の連載がスタートします発達ナビユーザーから寄せられた体験談を元にしたストーリー・マンガ「発達障害の子どもと私たち」のプロローグをお届けします。この物語の主人公は、発達障害のある子ども、そして彼らを育てる保護者たちです。子どもたちと保護者は、幸せに暮らすことができる環境を迷いながら求め続けます。子どもたちがぶつかった学校という社会の「壁」、それは乗り越えるものなのでしょうか?それとも……。次回からは「はるき編」が始まります。ぜひご覧ください。発達障害の子どもと小学校発達障害の特性が目立ってくる時期は、障害のタイプや個人によって異なります。ただ、小学校就学後は、幼児期までは目立ちにくかった落ち着きのなさや忘れ物の多さ、対人関係のスキル、学習面での凸凹などについて指摘されることが多くなり、トラブルも増えてくる傾向があります。幼児期は保護者や園のフォローで乗り越えられていた面も、小学校の通常学級(普通学級)だと1年生で1クラス35人、2年生~6年生だと1クラス40人になるため、集団の中での手厚いフォローを期待しづらい面も否めません。合理的配慮などさまざまな方法もありますので、担任の先生を含め連携をとりながら進めていきましょう。Upload By ユーザー体験談発達障害のある小学生のサポート方法については、以下の記事をぜひご覧ください。次の話「このままだと完全な不登校に…?母の焦り【マンガ発達障害の子どもと私たち/はるき編第1話】」はコチラから(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年06月27日WISC(ウィスク)知能検査とは?WISC(ウィスク)とは、ウェクスラー式知能検査に分類される知能検査の一つです。ウェクスラー式知能検査は1939年に刊行された「ウェクスラー・ベルビュー知能検査」から始まって80年を超える歴史を持ち、日本においても広く使われている知能検査です。ウェクスラー式知能検査には年齢によって、幼児用のWPPSI(ウィプシ)、児童用のWISC、成人用のWAIS(ウェイス)という種類があります。それぞれ改訂を繰り返しており、現在ではWPPSI-III、WISC-V、WAIS-IVが最新となっています。具体的な対象年齢は以下の通りです。・WPPSI-III:2歳6ヶ月〜7歳3ヶ月・WISC-V:5歳0ヶ月〜16歳11ヶ月・WAIS-IV:16歳0ヶ月〜90歳11ヶ月今回はその中で児童用のWISCについて解説していきます。参考:ウェクスラー知能検査の概要|厚生労働科学研究成果データベースWISC検査ではさまざまな問題が出題され、その回答結果によって子どもの知的機能を数値化しています。WISC-IVもWISC-Vも具体的な問題内容は非公開となっています。これはあらかじめどのような問題が出るか知っていると、結果に影響が出ることがあるためです。また、検査を受けたことがある人がその検査内容をほかの人に伝えてはいけません。これは、ほかの知能検査でも同様です。また、WISC検査は検査用具や採点マニュアルなどが販売されていますが、購入できるのも保健医療、福祉、心理・教育など専門機関に限られています。そのため、公平性・専門性が保たれた中で検査を受けることができると言えるでしょう。WISC-IVとWISC-Vの違いって?変更点や指標など用語について解説WISCの最新版はWISC-Vですが、現在でもWISC-IVを使用している機関は多くあります。どちらも子どもに対して複数の検査を行い、その結果としてIQ(知能指数)などの数字を導き出します。WISC-IVとWISC-Vでは、その検査と結果の出し方に一部違いがあります。まず、WISC-IVの検査内容ですが、15の下位検査(10個の基本検査と5個の補助検査)で構成されています。10個の基本検査を実施することで以下の4つの合成得点と全体的な知能を表す全検査IQ(FSIQ)を算出することができます。WISC-IVで算出できる指標・全検査IQ(FSIQ)・言語理解指標(VCI)・知覚推理指標(PRI)・ワーキングメモリー指標(WMI)・処理速度指標(PSI)対してWISC-Vでは、16の下位検査(10個の主要下位検査と6個の二次下位検査)で構成されています。そして、導き出される指標は全体的な知能を表す全検査IQ(FSIQ)と、特定の領域の知能を表す主要指標、付加的な情報としての補助指標の3つに変更されました。そのほかWISC-IVからの大きな変更点として、主要指標から知覚推理指標がなくなり、視空間指標と流動性推理指標に置き換えられています。Upload By 発達障害のキホンWISC-Vで導き出される指標には主要指標と補助指標があり、それぞれ以下の通りです。主要指標・言語理解指標(VCI)・視空間指標(VSI)・流動性推理指標(FRI)・ワーキングメモリー指標(WMI)・処理速度指標(PSI)補助指標・量的推理指標(QRI)・聴覚ワーキングメモリー指標 (AWMI)・非言語性能力指標(NVI)・一般知的能力指標(GAI)・認知熟達度指標(CPI)10個の下位検査からすべての主要指標を算出するための所要時間は、65〜80分程度とされています。WISC検査を受けるメリット、デメリットは?WISC検査を受けるメリットとして以下の2つが挙げられます。1.IQ(知能指数)が分かる2.子どもの得意不得意が分かるIQ(知能指数)とは、知能のいくつかの側面(知識量や読み書き計算の力だけではなく、記憶や問題解決、見たり聞いたりする力など)を測定する検査の結果を数値化したもので、平均は100です。IQを測ることで、知的障害(知的発達症)などの診断や支援を受けることにもつながります。また、WISC検査は言語理解やワーキングメモリーなどの領域ごとに結果が出るため、子どもの得意なこと不得意なことも分かります。得意不得意の傾向が分かると、子どもの得意を活かしたり、現在困っていることへの対策を考えたりすることにも活かせるというメリットがあります。WISC検査を受けるうえでデメリットとなり得ることとして、以下の2点があります。1.専門機関でしか受けられない2.知能検査では測れないものもあるまず、WISC検査は医療、福祉、心理・教育などの専門機関でしか受検することができません。さらに、検査を実施できるのは限られた人になることもあり、受けたいと思ってからすぐに受検できるわけではありません。具体的な実施場所には以下のような機関があります。・教育相談センター・児童相談所・発達障害者支援センター・児童発達支援センター・医療機関教育相談センターや児童相談所など公的な機関では、面談などを通して必要性が認められたうえで無料で受験できる場合があります。医療機関は小児科や児童精神科などで受けることができ、自費で受ける場合と、医師により必要が認められて保険診療となる場合があります。自費の場合は15,000円~20,000円程度かかることが多いようです。どちらも、診察料や報告書作成費用などが別途かかることもあります。また、WISCでは、例えば芸術性や創造性などの個性や、共感性などの能力は算出することができないので、そのこともデメリットと言えるかもしれません。参考:知能指数 / IQ(ちのうしすう)|厚生労働省e-ヘルスネット参考:わが子の育て辛さを感じたら「WISC(ウィスク)検査と発達障害」|杉並区参考:Ⅲ 発達検査の活用|山口県WISC検査の結果の見方は?数値の凸凹が大きいとどうなる?検査の活用方法は?ここではWISC検査の各主要指標の数値が高いとどのような特徴があるのか、また数値が低いとどのような困りごとが起きやすいのかご紹介します。・言語理解指標(VCI)が高い場合語彙力が高く、読み書きや文章の理解が得意・言語理解指標(VCI)が低い場合先生の口頭での指示や、プリントや黒板に書かれた文章が理解できないことがある・ワーキングメモリ指標(WMI)が高い場合一時的に情報を記憶する力が強く、複数の情報を処理することができる・ワーキングメモリ指標(WMI)が低い場合指示を覚えていられず、注意がそれやすい・処理速度指標(PSI)が高い場合タスクを効率的に素早く判断し、処理することができる・処理速度指標(PSI)が低い場合読み書きや会話の反応などが遅くなることも。テストなどに時間がかかる・流動性推理指標(FRI)が高い場合論理的に物事を捉えることが得意・流動性推理指標(FRI)が低い場合問題解決や新しい環境で見通しを立てることが苦手・視空間指標(VSI)が高い場合視覚的思考や図、地図などを理解するのが得意・視空間指標(VSI)が低い場合グラフの読み取りや図形問題などが苦手WISC検査で算出された各指標の数値の差が大きければ大きいほど、そのギャップから子どもの生活や学習上の困りごとも大きくなる可能性もあります。WISCによる数値だけで子どものすべてを把握できるわけではありませんが、得意不得意を知ることは困りごとの把握や対策を考える上でも活用できます。また、WISCの結果を子どもが通っている学校や支援機関とも共有することで、学校生活や支援で困りごとを減らしていくことにもつながります。検査結果に一喜一憂するのではなく、子どものためにも上手に活用していくようにしましょう。参考:大六一志著「知能検査の “ 正しい ” 理解─課題の自覚と効果的な努力を導くために─」発達障害研究第43巻(2021 年)第1号P.26~32参考:岡田 智, 飯利 知恵子, 安住 ゆう子, 大谷 和大著「自閉症スペクトラム障害における日本版WISC-IVの認知プロフィール―Cattell-Horn-Carroll 理論によるサブタイプの検討―」教育心理学研究第69巻(2021 年)第3号P.254~267(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年06月23日初めての参観日。うれしすぎて離席を繰り返すタクにビックリUpload By もっつんタクはイヤイヤ期は激しかったものの、後追いはありませんでした。幼稚園に通い始めた当初でも行き渋りはほぼありませんでした。初めての保育参観の時のエピソード。教室の後ろのほうから静かに授業を見守ろうと思っていたけれど、私を見つけたタクは「ママ!ママが来た〜!」と一目散に駆け寄ってきました。突発的に動いてしまう特性が強く出ていたと思います。席に戻るようにたしなめても、うれしくて興奮している様子で、なかなか声が届きません。先生に手を引かれて渋々戻っていったけど、ほかの保護者やお友達からも注目されて、恥ずかしくて困惑しました。その後も何度も立ち歩いたり、キョロキョロと落ち着かない様子のタク。そんなタクを先生方は叱るようなことはなく見守ってくださいましたが、どのような声がけをすればよいのか少し困っている様子でした。きちんと自分の席に座って先生の話を聞くお友達を見て、なんて落ち着いてるんだろう……とびっくりしたのを覚えています。集団行動の中で一人だけ違う行動……目立つ息子Upload By もっつんまた体操の参観の時には、タクなりのこだわりを強く感じる場面がありました。玉入れをする時に、タクはなかなか玉を投げようとしないのです。両手いっぱいに玉を集めることに夢中で、最後まで一つも投げてくれませんでした。先生やお友達が玉を投げている姿は目に入らないのか、まるで興味がない様子でした。ルールが分かっていないだけなのか、分かっていて違うことをやっているのか周りの人には分かりません。ほかにも、列に並ばない座らないなど集団行動を乱すことが多く、母としていつもヤキモキしながら見学していました。当時の録画した映像を見ると「あぁ……ちゃんとやってよ……はぁ……」と私の音声が録音されていました。10年経った今は笑い話にできますが当時は本当につらくて、居心地が悪くて、頼むから周りの子と同じように行動して!と何度も念じていました。キチンと目を見て丁寧に説明すれば理解はしているようだけど、集団の中に入ると指示の通りにくさがあったのだと思います。集団生活のルールを教えるのは難しいUpload By もっつん人との距離感を計るのが苦手で、どんどん距離を詰めてしまう。悪気なく、誰にでも構わず抱きついてしまうこともありました。好意の伝え方がスキンシップ以外にピンと来ていなかったのかもしれません。そんなタクと仲良くしてくれる子もいれば、なんとなく合わない子も出てきました。家庭の事情で保育園に転園した際は、気が合わない子と上手くいかずケンカになってしまいました。タクが遊びのルールを守らない、気まぐれで自分勝手な行動を取ろうとするのがケンカのキッカケになっている様子でした。タクの言い分も聞きながら「タクの気持ちは分かるけど、勝手に歩き回ったりするところは良くないと思うから、明日は止めてみてね」と言ってみてもなかなか行動は変わりませんでした。先生が根気よく子どもたちそれぞれに話を聞いてくれて、その都度仲直りするというのを繰り返して段々仲良くなることができました。誤学習で笑いを求めるタクUpload By もっつんお友達と小さなトラブルを起こしつつも、タクは保育園が大好きでした。目立ちたがり屋でお調子者な面もあったので、あの手この手を使って周りの注目を集めていました。ある日、お着替えの時にズボンと一緒にパンツまで下ろしておしりが丸出しになってしまい、周りの子から大笑いされたことがあったそう。タクはみんなに爆笑されたことがうれしくて、何度もパンツを下げる行動を取るようになりました。数日経って、もう周りの子が笑ってくれなくなっても繰り返しパンツを下ろすようになってしまったと、先生からの連絡帳で知りました。「おしりを出す = 皆が笑ってくれる」と誤学習してしまった結果だったと思います。その後、おしりを出すことで笑いを取るのは間違っているという事を、家でも先生からも根気強く言い続けてなんとか止めさせることができました。具体的には、おしりを見せても一切笑わずに、「おしりを何度も見せても面白くないよ」「トイレ以外でおしりを見せるのは失礼なことだよ、嫌な気持ちだよ」「あの時に皆が笑ってくれたのは、いろんな要因が重なった偶然の笑いなんだよ」とかみ砕いて簡単に説明するように。そして、最終的にズボンとパンツを戻すまで無視をするのを徹底しました。転園の中で、タクも私も必死だった日々Upload By もっつん保育園生活では年齢が上がるにつれて、お友達トラブルが少しずつ増えてきました。皆と同じ動きがなかなかできずに、別の遊びを続けていることもあったようです。わが家の場合は家庭の都合で2度転園をしてしまったので、幼いタクにも負担をかけてしまいました。家庭内で元気にしていたけど、外ではさらに外弁慶になってフラストレーションを発散していたのかもしれません。この頃タクは、短期間ですがまばたきチックを発症してしまいました。短期間で転園で、私と先生との信頼関係を築ける時間が少なかったのが悔やまれます。もしずっと同じ園だったら……先生から発達について相談されたり、療育を勧められたのかな?と考えてしまいます。3歳児健診で言われた「この子は発達障害じゃない。考えすぎですよ」という言葉を完全に信じて、ほとんど動けてなかったなぁと思いました。もしも発達障害の可能性を感じて、こちらから先生方にご相談できていれば、タクの園生活がもう少し落ち着いて過ごせたのかな……と考えてしまうこともあります。しかし小学校1年生の終わりに発達障害の診断を受けるまでに、タクに向き合ったことで親子の信頼関係は大きく育ちました。悩んだ期間や試行錯誤は決して無駄ではなかったと思っています。執筆/もっつん(監修:初川先生より)幼児期のタクくんの集団でのエピソードをありがとうございます。同級生らの中でだと落ち着きのなさやルール理解のズレを保護者が感じることも多いと思います。集団の中でのルールにのっとった行動やよき振る舞いというものは、先生から言葉での説明がなされたり、周りのお子さんの適応的な行動を見て真似したりということで身についていくことが多いので、初期はそのように対応されると思います。ただ、言葉での理解は個人差が大きかったり、聞いた時は分かっていても(言葉は)消えてなくなってしまったり、周りの子の言動まで目に入っていなかったりで、発達につまずきのあるお子さんには個別の手立てが必要になることがあります。そうした場合、家庭でだけ、園でだけというよりも、連携しながら一緒に同じようなことに注意しながらやっていけるといいでしょう。今回のお話の中では、おしりを出して気を引く行動を誤学習したという話がありましたが、園でも家庭でも同じように「おしりを出すのは良いことではない」ということを伝えて行けたのがよかったと思います。言葉のみならず絵を使って、あるいは映像を使ってなどさまざまやり方はあると思いますが、そのお子さんの特性として伝わりやすい方法で伝えてゆけるとよさそうです。もっつんさんは事情があって転園が多かったこと、また、検診での医師のコメントなどがあり、なかなか先生方と密に一緒にやっていくことが難しかったり、発達障害かもという、お子さんのつまずきを理解する上での縦軸を持ちづらかったりしたのだと思います。もっつんさんが書かれている通り、さまざま悩み、逡巡する時間も大切な時間・プロセスになります。早く気づいて早く手立てが取れることももちろん良さはあります。しかしそうでなかったとしてもダメだということでは全くありません。のちに「悩んだ期間や試行錯誤は決して無駄ではなかった」と感じられていること、何よりだなと思います。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年06月21日「使わない!着ない!」こだわりが強く癇癪が出ていたASD(自閉スペクトラム症)息子現在16歳の息子は、6歳でASD(自閉スペクトラム症)と診断されました。LD・SLD(限局性学習症)、聴覚過敏もあります。生真面目でルーティンが好きな息子は、幼い頃からミニカーの配置や角度にこだわりがあったり、文房具類や上着に車の絵が描いていないと使わない!着ない!という徹底ぶり。こだわると癇癪を起こし、床に寝そべってジタバタとしていました。そんな息子は、小学校の登下校でもそのこだわりを発揮し、トラブルがありました。通学路が変更に⁉息子のこだわりが発動して大変なことになる!と青ざめ……息子が小学校1年生の時のことです。小学校の隣に保育園があったのですが、その保育園を建て替えることになり、その工事のため大型のダンプカーやミキサー車などが出入りするということで、安全のため小学校の通学路を一時変更することが決まりました。学校からの「通学路変更のお知らせ」を見た私は、(これは、息子のこだわりが発動して大変なことになる!)と青ざめました。当時息子は一人で登校していましたが、こだわりが出ると癇癪、パニックを起こしてしまうことがありました。このままでは、「いつもの道じゃなきゃダメだ」と癇癪を起こし、工事現場の方や学校にも迷惑がかかってしまうかも……。Upload By ユーザー体験談私は息子に通学路が変更になることを、変わる前から丁寧に丁寧に説明しました。また、それと同時に改めて交通のルールも説明をしました。歩行者は右側通行ですから、皆さん「道路は右側の端を歩くんだよ」とお子さんに教えていらっしゃると思います。私もそれを息子に伝えたところ……なんと息子は通学路のこだわりを変えなければいけない代わりに、「右側を歩く」こだわりを強く出すようになりました。どんな道でも「右側」を歩く息子……ルール通りと言ったらそうなのですが、道の狭いところなどでは側溝に降りてまで右側を歩こうとすることもあり、ヒヤりとする場面もありました。癇癪が起こらずよかったですが、(そうくるか……)とびっくりしたこだわりでした。そして、通学路にこだわりすぎて危ないことをしてほしくない……という意味で言った「無事に帰って来られるなら、通学路じゃなくても良いよ」という言葉が、さらなるトラブルを招いてしまったのです。上級生の一言で大混乱!「僕、注意されるようなことはしていない!」通学路が変わってから息子は、新しく指定された通学路ではなく別の道の右側を歩いて登下校していました。そんな息子を何度か見かけたある上級生が、新しい通学路を知らないのでは?と心配し、声をかけてくれたそうなんです。「帰りは通学路できちんと帰りなよ。道が違うだろ?おばあちゃんの家にでも行くのか?」と。Upload By ユーザー体験談息子は上級生ということもあり、始めは固まって何も声が出せなかったようです。そして走って帰ってきました。帰宅してから「あいつ、僕に通学路で帰れって言った。お母さんは、無事に帰ってこられるなら通学路じゃなくても良いよって言ったのに。僕、注意されるようなことしていない!」と大混乱。失敗した……、この声がけはNGだったと反省しました。息子に「そうだよね……びっくりしたよね」と言いながら、上級生は心配して声をかけてくれたんだよと説明し、なんとか息子に納得してもらいました。Upload By ユーザー体験談こだわりの減少とともに対人トラブルも激減!道へのこだわりもなくなりましたそんな登下校トラブルが絶えなかった息子ですが、学年が上がるにつれトラブルも減少、小学校5年生頃からは友達と一緒に歩いて帰って来られるようになりました。これは、息子のこだわりが全体的に減ったことも関わっていると思います。以前強くこだわっていた「車の絵が描いてある洋服しか着ない」こだわりですが、それらはサイズがなくて買えないことを事前に話し納得してくれるようになりました。そして、色へのこだわりもなくなりました。それまでは何でもかんでも「青」にこだわっていましたが、何色でも大丈夫になりました。また、給食についても、偏食で食べられるものが少なかったのに、少しずつではありますが、一口は食べるようになっていました。このようなこだわりが減り始めた頃から、対人トラブルも急に減ってきました。Upload By ユーザー体験談そして息子は現在高校2年生。基本的に平和主義ですが、ルールにそぐわないことを周りの人がしていると、注意や皮肉を言うことがあります。でもそんなときは「こんなことがあってね~」と家で自己申告してくれます。特にトラブルなく生活しているので、今思うと小学校時代が一番大変でした。息子とは、きちんと親子で発達障害について学習し、一つひとつ受け入れてきたので、障害受容、自分の得意不得意への理解不足といった心配はしていません。自分と同じような障害を持つ子の手助けをしたいと言った息子の思いが、届くように私も願っています。イラスト/志士ノまるエピソード参考/しのっぺ(監修:鈴木先生より)ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんはルートメモリー(道順の暗記)が得意です。どこに信号があって、どこに橋があって、どこに自動販売機があってなど鮮明に記憶しているのです。カーナビの代わりになるくらい道を知っている場合もあります。しかし、新しい道ができたときなどのバージョンアップが苦手な傾向にあります。いつまでも最初に覚えた古い道は分かりますが、少しでも情景が変わると戸惑います。これと同じ現象はお弁当でも見受けられます。白いご飯は食べられるけれど、ご飯に少しでも黒いゴマがかかっていると全く別物ととらえて食べられなくなる、などです。決まったルーティン、同じ環境が好きで、予定の変更を嫌うのです。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年06月18日「読み書き」の苦手さは、学校生活にどう影響する?公認心理師がサポートについて解説!発達障害のあるお子さんは、「読むこと」や「書くこと」に強い困難を抱えていることがあります。その困難さによって学習に対する拒否感を持ったり、登校を渋ったりすることもあるようです。今回は、発達障害のあるお子さんのサポートを数多く行っている公認心理師の菅佐原洋先生に、実際のケースも交えてお話をお伺いしました。ーー菅佐原先生はこれまで多くのご家庭の「読み書き」の悩みをサポートされてこられたと思います。どのようなお困りを抱えたご家庭がありましたか?菅佐原:「読み書き」と聞くと、いわゆる“国語の勉強”のイメージがあるかもしれません。しかし、例えば算数にも文章題があり、「計算はできるけど、問題文を理解できない」ということもあります。また、「書いてある字が読めないからと、理科の観察日記を書いてもやり直しをさせられる」といったケースもありました。このように、国語の授業に限られた機会だけではなく、学校生活には読み書きが求められる場面が非常に多くあります。出典 : また、学習の困難だけではありません。読み書きの困難さから、文章に触れる機会がどうしても減ってしまい、結果として語彙力(知っている言葉がどのくらいあるか)が伸びにくく、「相手に説明する・うまく伝える」「相手の説明を理解する」といったコミュニケーション面に影響が出ることもあります。こうした読み書きの困難さから「勉強全般がよく分からない」「学校に行きたくない」と二次的に影響が広がっていくこともあります。ーー読み書きが苦手なことで、コミュニケーションや登校渋りなどの二次障害が生じることもあるんですね。菅佐原:はい。学校は勉強している時間がやはり長いんですよね。その時に、「教科書を読んでもよく分からない、みんなはスラスラ読めているのに……」と感じることは、とてもつらいものだと思います。読み書きが苦手なお子さんのなかには、全般的な知的発達の遅れがある場合のほか、読み書きに特化して困難さが生じているケースもあります。特に後者の場合、「周りの子はできるのになぜ自分だけ……」と周囲と比較して、より悩みも深くなったり、ほかのことはできる分、「頑張ってないだけだ」「頑張ればできる」のような評価をされてしまったりすることもあります。ーー小学校高学年になると、より学習も難しくなるので大変さも増すのでしょうか?菅佐原:例えば、テストで「答えは分かっているのに書くことが間に合わない」という場合、学習そのものは習得できていても、答える手段が「書く」であるために、テストでは力を発揮できないということになります。高学年になってくると、学習内容がより複雑になり、これまでのやり方が通じなくなる面も出てくるでしょう。また、思春期は自分に対する見え方が変わる時期でもあり、よりつらさが増すお子さんもいます。ーーそれでは、読み書きの支援で大切なことはどういったことがあるでしょうか?菅佐原:大事なことは「とにかく頑張ってやりなさい」ではなく、「この勉強は何のためにしているのか」という目的を整理することだと思います。例えば、・内容を覚えること・文章を読むことというように、目的を整理することもできるかもしれません。目的によっては、必ずしも「手書き」でなくてはいけないかどうかも検討できるでしょう。目的を整理しないまま、「勉強するのは当然だから」とただ促されるのは、お子さんにとってつらいことですよね。一方で、良かれと思って「勉強しなくていいよ」などと言ってしまうと、自分だけ勉強させてもらえないと感じてしまい、それはそれでつらいものです。また、お子さんが読み書きに対してどのような困りがあるかを、確認していくことも大切です。担任や特別支援教育コーディネーターの先生に相談することや、LITALICOのオンラインサービス「発達ナビPLUS」で配信している発達支援の専門家による読み書き検査の解説動画などを利用して、困りの背景を具体的に把握することで、支援の方向性が見えてくるかもしれません。Upload By 発達ナビPLUSーー「学習の目的を整理する」とは、例えば作文であれば、「繰り返し書いて覚える種類の学習ではないので、書く必要はないからタイピングでもいいかもしれないね」といったイメージでしょうか?菅佐原:はい。作文の際には、書く前に内容を話してボイスレコーダーに録音しておくという方法もあります。録音したものを聞きながら書いていくことで、「内容を考える」と「手書きで書く」を分けて取り組むことができます。また必ずしも「手書き」ではなく、タイピングする方法もあります。作文の目的が「自分の考えたことを人に伝わるように文字の形で残す」だとすれば、「手書きで」「漢字で」というのはプラスアルファの条件と考えることもできます。本質的なことを学ぶのであれば、ボイスレコーダーやタイピングも選択肢になるということです。保護者の方から「うちの学校は手書きしか認めてくれない」といったお声を聞くこともありますが、その場合はタイピングしたものを手書きで清書するのもひとつです。このように、「タイピングか手書き」かの2択ではなく、組合せという選択肢もありますよね。ーー小学校高学年や中学生になると、保護者も勉強を教えるのが難しかったり、反抗期もあってなかなかサポートも難しかったりしますが、サポートのヒントはありますか?菅佐原:小学3年生以降になってくると学習内容がより複雑になり、教科の幅も広がります。そのため、この段階になってくると「やらされる勉強」では続かなくなります。そうすると、「学ぶ必然性」がとても大事になってきます。「将来自分がどんなことをしたいか?」から逆算して、「じゃあ、英語が必要だから英語をより頑張ろう」「将来建築士になりたいなら数学はできたほうがいいね」というように「学ぶ必然性」をお子さんと一緒に確認していきます。「幅広く勉強したほうが、進路の選択肢が広がるのではないか」という疑問もあるかもしれません。しかし、幅広く取り組もうとすることで学習の負荷が高まってしまい、勉強自体を拒否してしまう結果になれば、逆に選択肢は狭まってしまうかもしれません。「今の勉強をサポートしよう」という視点のみですと、このような大事な観点が抜けてしまっているので、お子さんも学ぶ必然性が分からずモチベーションにつながりにくいですし、保護者にとっても勉強の導き方が分からず途方に暮れてしまう……ということになりかねません。Upload By 発達ナビPLUSーー日々、目の前の宿題を終わらせるだけで精一杯で、なかなか支援につながることが難しいこともあると思います。どのようにサポートを考えていけばいいでしょうか?菅佐原:宿題も「目的」を整理することが大切です。例えば「宿題を出されたからする」だと目的を見失ってしまうかもしれません。提出することが目的なのであれば、答えを見ながら解いたり、大人がお手伝いしたりしてでも毎回書きあげて提出したらOK、ということにもなりえます。宿題の本来の目的としては、「学習の定着」も挙げられると思います。しかし宿題に取り組んでも、なかなか学習が定着しないこともあるかもしれません。その場合、お子さん本人は「一生懸命やったけど覚えられない」、保護者も「付き添って取り組んだのにテスト結果につながらない」、先生も「宿題を出したけれど身に付いていない」となり、全員にとって不本意な結果になってしまう可能性もあります。そのため、先ほど挙げたように、お子さんがどのような点で読み書きに困っているかを確認し、例えば「漢字テストで正答するためには何回取り組む必要があるか」などを把握することが大切です。Upload By 発達ナビPLUSーー学校での読み書きの場面は、保護者がサポートすることは難しく、学校にお願いすることになるかと思いますが、学校連携のポイントはありますか?菅佐原:特別支援教育コーディネーターの先生など、知識や経験がある方と一緒に、学校で対応可能な方法を見出していくことが大切です。お子さん・学校と「合意形成」しながら一緒に進めていくことになるかと思います。これまでの支援や配慮の事例を聞いて、参考にされるのも良いでしょう。また、学校の通級指導教室や保育所等訪問支援といった福祉サービスなども選択肢になるでしょう。学校連携に関しても、保護者だけで頑張らず、頼れる先生や支援者を増やしていくのも大切だと思います。ーー外部の機関や支援にはどのようなものがあるでしょうか?菅佐原:各自治体に設置されている教育センターなどで検査を受けて、お子さんに合う学び方を見つける方法などもあります。保育所等訪問支援サービスなどの利用に向けてまず相談支援事業所を利用し、地域資源の中から、どこでどのような支援を利用できそうか整理することもひとつです。大切なことは「相談先の選択肢を複数持つこと」です。学校や地域の支援機関、LITALICOのオンラインサービス「発達ナビPLUS」などをうまく活用しながら、お子さんや保護者にとって安心を増やしていけるとよいでしょう。家庭での学習支援を解説した動画や教材が満載!専門家に直接もできる「発達ナビPLUS」学校では、教科学習の時間だけでなく、朝の会や帰りの会、連絡帳の記載など、多くの場面で「読む」「書く」が求められます。学校で過ごす時間の中で、お子さんにとって「よく分からない」「うまくいかなくてつらい」という経験が重なると、学習全般への意欲の低下や、登校渋りなどにつながることもあります。オンラインサービスの発達ナビPLUSでは、・読み書きが苦手な理由を探る方法・短時間でしっかり覚えられる学習法・学校連携や合理的配慮の依頼の仕方など、お子さんの学習をサポートする手立てを解説した動画のほか、専用フォームから直接専門家にテキストで相談することもできます。お子さんに合った学習方法を知りたい、二次的な困りを予防するために今からできることを検討したい、という方はぜひこの機会に発達ナビPLUSのWebサイトを覗いてみてください。期間限定!「発達ナビPLUS」初月0円のクーポンプレゼント中!今なら初月3,300円(税込)が0円になるクーポンをプレゼント中!クーポンコード:coupon7113有効期限:2024年06月24日 23:59:59※サイト内で取得できるクーポンコードと異なりますのでご注意ください。こちらに記載の特典をご利用いただくには、入会手続きページにて上記クーポンコードをご入力ください。※入会初月は月額利用料3,300円(税込)が0円 、2か月目以降は月額利用料3,300円(税込)で発達ナビPLUSをご利用いただけます。※本サービスは1年プランです。12か月以内の解約の場合には、契約解除料として残存期間の利用料金の20%が発生いたします。※お問合せはinfo_plus@h-navi.jpまで(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
2024年06月11日中学生、高校生…発達障害のある思春期の子どもの悩みって?アンケート結果発表!親のフォローでカバーしていた未就学、小学校時代とは違い、中学・高校に進学すると学習面、生活面、人間関係などまた別の悩みが出てくる頃だと思います。精神面などで変化が大きい時期には、特性による困り事の表れ方にも変化がみられる傾向にあります。今回発達ナビでは「発達障害のある中学生・高校生の悩み」についてのアンケートを実施いたしました。結果は「学習面での悩みがある/あった(勉強、テスト、宿題、受験など)」が46%で一番多い結果となりました。また、アンケート内での読者の方のコメントも紹介させていただきます。Upload By 発達障害のキホン参考:「中学生、高校生の子どもの悩み」アンケート&エピソード募集!中学生になって、教科書のルビが見えていないことがわかりました。慌てて学校に「授業やテストでルーペを使わせて下さい」とお願いしました。スクールカウンセラーの先生に通級指導を勧められ、学校の提案で、次の年から一部の教科で拡大教科書を使うことになりました。最近、盲学校の先生が色々テストしてくれて、視力の問題ではなく、教科書が白くてまぶしいため、文字が消えたりしてしまうらしいことがわかりました。遮光レンズのメガネを作って、だいぶ楽になったようです。(以下略)(なまちゃんさん)引用:「中学生、高校生の子どもの悩み」アンケート&エピソード募集!読者の皆さんも気になる方の多い学習面での悩み。その中でも困り事として多い「家庭学習やテストの悩み」について今回は専門家にお答えいただきました。テスト勉強の仕方が分からない、ケアレスミスが治らない…発達障害のある中学生、高校生の定期テスト対策は?【専門家QA】Q:ASD(自閉スペクトラム症)の中学生がいます。こだわりが強く、テストは必ず順番通りに解かないと気が済まず、途中で分からない問題があるとそこで時間を取られてしまい、後半白紙で提出……ということがよくあります。どのようにアドバイスをしたらよいでしょうか。A:テストの本番ではなく、事前に問題を飛ばして回答する練習をしておきましょう。問題を飛ばしながら解く体験を重ね、それによって回答できる問題数が増えることが理解できると解決につながることが多いと思います。Upload By 発達障害のキホンQ:ADHD(注意欠如多動症)の高校生がいます。問題を解くスピードは早いのですが、見直しが苦手で回答欄がずれていたり、ケアレスミスも多く……本人も注意しているようなのですが中々治らず困っています。A:テストの本番ではなく、見直しのための練習をしておきましょう。最初は口頭で先生が見直し指示を出し、ミスを発見したり修正したりできるようにしておき、徐々に見直し指示がなくても自分でできるようにしていきます。見直し回数や見直しポイントを予め決めておくのも良いと思います。Upload By 発達障害のキホンQ:ASD(自閉スペクトラム症)グレーゾーンの中学生がいます。不器用さもあり、字を書くことが苦手です。テスト前にノートを確認すると解読不能なこともしばしば……。丁寧に書こうとすると時間が足りないようです。どのような支援が受けられるのでしょうか。A:ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんの中にはDCD(発達性協調運動症)や発達性の読み書き障害を併存する子がいます。専門機関でそれらの診断や評価がなされれば宿題をノートに書くことや、板書などに対する合理的配慮が得られると思います。連絡帳などのメモに関しては、本人が読める字であることが最低条件だと思います。本人が理解できるようであれば、単語レベルや記号などで書いていくのも一つの方法です。Upload By 発達障害のキホンQ:ASD(自閉スペクトラム症)の中学生がいます。普段から提出物などを忘れたりして先生からたびたび注意をされています。また、テスト前はテスト範囲を把握していなかったり、間違えていたり……親がフォローすることもできますが自立も大切だと思い、どこまで手を出していいのか悩んでいます。A:発達障害のある大学生の場合、合理的配慮として提出物や試験の範囲などを個別に伝えることも可能です。また、年齢が上がればカレンダーアプリやTODOアプリなどを使って自動的に締め切りなどをアラートで知らせることもできるようになっています。中学生の場合、最初から完璧にできるようにすることを目指すのではなく、その年齢に合わせた親や教師からの指示や支援ツールを活用すること、支援やツールを活用して成功体験をしていけることを目指すのが良いと思います。Upload By 発達障害のキホンテスト、テスト勉強関連コラム(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的発達症(知的障害)、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、コミュニケーション症群、限局性学習症、チック症群、発達性協調運動症、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如・多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年06月09日休み明けが鬼門⁉登校渋り、不登校エピソード、放デイ探し、てんかん寛解までの道のりなどをお届け!【2024年5月】発達ナビでは、発達ナビユーザーの困った経験、こうしたら良かったといった経験を読者体験談としてお届けしています。今回は2024年5月に公開した読者体験談をご紹介いたします。GW明けの登校渋り、不登校の体験談などぜひご覧ください。ASD(自閉スペクトラム症)のまこちゃさんの息子さんは、小学校、中学校で不登校、行き渋りを経験されています。ですが、それぞれ行き渋り、不登校の理由が異なるそうで……。中学生の現在、自ら登校できるように頑張るたくましい姿に感動です。長期休み明けは「学校に行くのがつらい」と感じるお子さんが多くなる時期です。こちらでは、不安感、劣等感、学業トラブル、友達トラブル、いじめ、起立性調節障害など、さまざまな理由で行き渋りや不登校を経験した読者体験談11エピソードをご紹介しています。みなさんがどうして不登校になったのか、またどうやって乗り越えたのか、ぜひご覧ください。エピソードを投稿いただいた苗さんのお住まいの地域には、なんと36の放課後等デイサービスがあったそうです。そこからお子さんにぴったりの放課後等デイサービスを見つける過程を、教えていただきました。これから放課後等デイサービスを探す方、必見です!生後1ヶ月で起こった脳出血(左脳)の後遺症で、長く難治性てんかんを患っていたみったんさんの娘さん。検査、転院、そして2度の手術をし、高校生になった今では服薬も終わったそうです。その長いてんかんとの闘いを、詳細に教えていただきました。ご自身のエピソードを投稿してみませんか?『発達ナビ 読者体験談』はみなさんのご経験を基に制作されています。ご投稿いただいたエピソードは、連載ライターさんのイラスト、専門家の先生からのコメントつけた上で掲載させていただきます。「あの時は悩んでいたけれど、今はこうなった……」など、発達障害のあるお子さんを育児しているみなさんへ、ご自身の経験をお届けいただけないでしょうか。ご応募は以下の応募フォームから受け付けております。みなさまのご投稿を、お待ちしております。【現在の募集テーマ】・障害告知でのトラブル・パートナー(夫婦) との間でのトラブル・両親(義両親)、親族などの間でのトラブル・進学・受験関係でのトラブル・冠婚葬祭関連でのトラブル・お子さまの反抗期、思春期でのトラブル・お子さまの自傷でのトラブル・お子さまの学習関係でのトラブル・不登校、行き渋りでのトラブル・お子さまとゲームの関わりでのトラブル・子さまの不器用さでのトラブル・ママ友や、ほかの保護者の方とのトラブルでのトラブル・ご近所関係でのトラブル(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。
2024年06月08日オンラインで特性を検査する「LITALICO発達特性検査」公認心理師の井上雅彦です。LITALICO発達特性検査では、企画段階から参画し、多動・不注意/情緒・行動/感覚/運動(くせ)の検査結果テキストの監修を担当しました。LITALICO発達特性検査は、お子さまと保護者さまが感じている困りごとに対して、その特性の現れ方や背景、具体的なサポート方法が分かる検査です。オンラインで検査に回答するとすぐに結果が得られることも特徴です。検査結果によって、お子さまの特性の現れ方の傾向や困っている事柄への対応方法のヒントが得られます。LITALICO発達特性検査は、医学的な診断を意味する検査ではありません。また、ほかの心理検査とは違って、発達指数や知能指数が表示されるものではありません。ですが、お子さま本人にとって障害となる困りごとや子育ての課題を解決するためには、この、お子さま本人の特性を理解し、その特性や困りごとに応じた対応方法を保護者さまやご家族、園や学校などの周りの人が理解することが、とても重要です。今回は特性を検査するとはどういう意味を持っているのか、また、特性を検査することで、どのようにお子さまやご家族の困りごとや課題をサポートしていけるのかということをお話ししたいと思います。「特性を検査する」とはどういうことかUpload By LITALICO発達特性検査 編集部LITALICO発達特性検査はお子さまと保護者さまが感じている困りごとに対して、その特性の現れ方や背景、具体的なサポート方法が分かる検査ですが、そもそも「特性」とは何でしょうか。特性は、その人の心身や脳の機能、感覚の受け取り方や考え方のくせなどの現れ方や性質です。個人の中でさまざまな特性があり、複雑に合わさって一人ひとり違うものとなり、結果として得意なことや苦手なこととして現れていると考えられます。概念としては「個性」や「障害」と似ていますが、障害というとネガティブな印象、個性というとポジティブな印象といったように、使われることもあります。私は、特性はそれ自体にはポジティブ、ネガティブ、どちらの色もないもので、環境によって障害や困難になることも、個性や強みとなることもあると考えています。分かりやすくいうと、「集中しやすい」という特性があった時に、ほかの人と同じ活動を一斉にしないといけない場面では、「好きなことに集中して、一緒に活動に参加できない」という困難や弱みになることもありますし、個人の趣味などでは「集中して本1冊読み切った」といった強みとなることもあります。本人にとっては、まずはそういった個別の特性や、個人の中の苦手と得意の差が、困ったこと→障害となって現れないように考えていくことが必要になりますし、そのためにお子さまと保護者さま、周りの方にとって、どのように本人に合ったやり方にしていくのか、できることを増やしていくのかという観点で考えていくことが大切になってきます。その意味で、まずは先入観がつかない「特性」という言葉を使うことが、その子を理解し、サポートしやすくするうえでも馴染む考え方なのではないかとも思っています。特性理解を「診断がないと支援できない」を変えるきっかけにLITALICO発達特性検査のように、特性をキーワードにすることは「困り」をスタート地点とする支援にもつながります。診断のある場合は支援対象とされるけれども、診断がない場合には支援が受けにくいという現状もまだまだありますね。ですが、「診断がないかぎり何もできないのか」というとそうではありません。先ほども言ったように、「その人に特性があって、それが本人にとって困った状況であれば変えていく」、その観点がすごく大事です。身近にいる保護者さまや周りの方が本人のもともと持っている得意や苦手に対して、できることを考えることが重要です。診断がないが、何らかの困りごとや特性がある場合「グレーゾーン」と呼ばれることもあります。現状だと、診断があることでサポートや制度が受けやすくなる傾向があるので、こうした診断がないグレーゾーンの方に、支援が届きにくい場合が出てしまうこと、また、本人の努力不足、あるいは保護者の育て方の問題ではないかとされてしまうこともあります。そうすると診断がないことが支援を遅らせてしまう場合もあるかもしれません。必要な支援が届かず、放置されることによって、困りごとや、生活をしていくうえでの困難が大きくなり、それぞれの特性が診断域になってしまうケースもあります。この問題は、何とかしていくべきではないかと思います。もう一つの課題として、診断名だけにとらわれていると、特性が合併している場合などに、診断のある症状や特性以外に困っていることがあっても、それに対しての支援が見過ごされがちになるということもあります。特性から読み解くことのメリットとして、診断にとらわれず子どものニーズや困りを包括的に見ていくことができるということです。ASD(自閉スペクトラム症)の診断がある人の多くは、ほかの発達障害の診断基準も満たしているという研究も出てきています。そのことから、ASDの診断だけをもとに支援を組み立ててしまうと、その子の診断名以外のさまざまなニーズや困難性を見逃してしまうというリスクや、適切な支援に繋がらないという場合もあるでしょう。よくあるケースをご紹介すると、SLD(限局性学習症)の傾向は、学年が上がってから分かったり、困りごとが強まることもあります。それを見過ごして、ASDの診断名があることにとらわれて、コミュニケーションへの配慮や支援はしたけれども、読み書きに対するサポートがないままで、学校や勉強が嫌いになってしまったというお子さまもいます。こうしたケースでは、診断名にとらわれて、実際のお子さまの状態や困っていること、新たに出てきた課題を見つけることが、難しくなってしまうこともあるのではないかと思います。本人の特性を理解せずに、この診断だからこの支援法、という思い込みで支援すると、実際のお子さまの状態や困っていること、新たに出てきた課題を見つけることが、難しくなってしまうこともあるのではないかと思います。そこで、今のお子さまの状態について評価し、包括的に特性や困りごとを見ていく必要があると考えています。LITALICO発達特性検査は、医学的な診断を意味する検査ではありません。ですが、今言ったような観点で、この「特性を検査する」ということが、一つの方法として選択できるということは、大きな意味があると思います。もちろん、心理検査や知能検査、診断、医学的な支援の重要性は、しっかりお伝えしたいです。LITALICO発達特性検査はそれらを否定するものではありませんし、それぞれのよさや目的、できることがあるので、必要に応じて、それぞれ、あるいは併用して使っていただくことが重要だと思います。いずれにしても、今、支援から取り残されている人を、特性というモデルで考えることで、境目をつくらずに支援の対象としていけることを願っています。そのために、診断の有無にかかわらず、その子にどんな特性があるのか、保護者さまの視点で今どんなことに課題や困りごとがあると感じているかに気づき、理解できるというのはとてもいいと思います。特性を具体的な行動に読み直していくUpload By LITALICO発達特性検査 編集部特性に着目することの意味は、それを「具体的な行動に置き換えて支援の対象にできる」ということにあります。よく保護者さまからの相談で、「うちの子は、わがままなのか障害なのか、どちらでしょう」と聞かれることがあります。「わがままだったらやめてほしい」と感じていることがあるけれども、「特性による障害だったら仕方がないかな」と考える保護者さまも多くおられます。わがままなのか、障害なのか、はっきり分けることが難しいと関わり方もそれでいいのか不安になることもあるでしょう。そうやって迷いながらお子さまと接することはかなりストレスになったり、うまくいかなかったりでつらい状況になることも多いでしょう。でも、「こういう特性があるな」ということに気づいて、それが出やすい状況を客観的に捉え直し、改善することで、その子が困る状況を減らし、結果的にできることが増えていきます。一つひとつの行動は環境との兼ね合いで変わっていくからです。一つひとつの困りごとは、その特性やどんなことに困っているかということについての気づきがあって、環境とのマッチングを修正することで改善することも多いのではないかと考えています。このような環境の調整は、最初の取り組みとして大切です。もう一つ、「特性だったら、変えられないのでしょうか」と言う疑問や、「特性より何より、今困っているんです」と言う保護者さまの声もよく聞きます。変わらないのであれば、検査をする必要があるのか?あるいは、改めて今のつらい状況を確認する必要があるのか?悩まれる方もおられるかもしれません。特性というのは、確かに持って生まれた場合もありますし、特性自体は変わらないこともあります。本人にとっては特性自体をコントロールすることが難しいというものも確かにあると思います。でも、先ほどお話したように、特性は変わりにくくても、そこから生じる行動や環境にアプローチしていくことができます。そのためには、特性という概念の中から、一つの行動に着目していくことです。特性を具体的な行動に読み直していくといいと思います。困っている行動や、その子の行動傾向を一つ見つけたら、その行動に対して適切な対応方法を考えてやってみる。ちょっと例を挙げて考えてみましょう。【特性】眩しさを感じやすい感覚過敏の特性がある【困りごととなる行動】教室で窓側の席に座ると、顔を伏せて授業に参加できない【原因】窓側の席の光の差し方が強すぎて、教科書を開いたり、前を向いて長時間過ごすことが苦痛【行動と環境への働きかけ】・授業に参加するという行動に変えるため、席を光の入りにくい内側にする・授業中はカーテンを引く・サングラスをかけるなどなくなってほしいのは、「授業に参加できない」という困りごとであって、特性ではないという考え方もポイントですよね。個人的には、「障害」という概念を、個々の環境と個人との相互作用である「行動」を単位として捉えることで、「障害者」「~障害のある人」というラベルづけから脱却できると思います。特性から生まれる困りごとや障害自体を具体的行動に落とし込むことで、環境や対応を変化させ、解決していくことはできるのではないかと思います。一つひとつの行動が変わっていくことで、最終的に、特性や困りごとについても、変わったり薄まったりしていくことはあると思います。LITALICO発達特性検査で分かること「特性」を知るための検査として、LITALICO発達特性検査で具体的に分かることをあらためてまとめると、以下が挙げられます。1. お子さまの特性や困りごとの傾向まずはお子さまの特性や困っていることの行動傾向に気づく2.お子さまの特性や困りごとの背景要因いくつかの背景要因が提示されることで理解がより進む3.特性や困りごとに合った対応方法やサポートの方向性サポートを試して本人に合うものを探していくこの3つのステップをセットでやってみることで、特性理解をスタート地点にして、行動に働きかけることができるのではないでしょうか。もちろん家庭でできることには限界もありますし、できることからやってみるだけでもいいので、提案された支援の中から試してみてください。お子さまに合っていたサポートなどを抽出してサポートブックなどに記録したり、プリントしてまとめたりしていくといいですし、もしうまくいかなかったとしても、専門家や周りの人に相談する材料にしたり、より本人や状況に合わせてカスタマイズする方法はないか、考えるのもいいと思います。Upload By LITALICO発達特性検査 編集部特性理解のための最初のツールとしてのLITALICO発達特性検査保護者さまや本人が特性を知り、それに適した対応法を知ることで、周りもサポートがしやすくなり、困りごとが減らしていける。特性が障害になるかどうか、環境に働きかけることで障害や困りごとがなくなる・軽減されることがある。LITALICO発達特性検査はそのような立ち位置から出発しています。私は、特性を検査すること、特性をスタートにして支援をすることは、お子さま自身が自分の特性について自己理解をすることがゴールではないかと考えています。もちろん、お子さまに検査結果を見せるという意味ではないですが、保護者さまや周りが特性を理解し、困っている行動に着目して、それを減らしたり変えたりするにはどうしたらいいか、と考えて対応していく。支援や学校での合理的配慮などを行っていくためのツールとして使っていただきたいと思っています。診断のあるなしによらず、特性が分かるということが本人に合わせた支援のカスタマイズに繋がることを、LITALICO発達特性検査の監修者の一人として、願っています。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年06月07日どう対応したらいいか分からない……発達障害のある子の「学習の難しさ」お子さんの学習について、困りごとを抱えているご家庭も多いのではないでしょうか。「宿題よりゲームに夢中で、取り掛かりに時間がかかる」「読み書きが苦手で学習を嫌がる」など、さまざまなお悩みがあるかと思います。学習の難しさの背景には、・書くことや読むことが、周囲の想像以上に大変・正解へのこだわりから間違いを許容できない・失敗体験が多く自信をなくしているなど、お子さんによってさまざまで、この理由に沿ったサポートがとても大切になります。しかし、「なぜ学習を難しいと感じているのか」の理由を探ることは専門的な部分もあり、何より宿題は毎日のことですので、日々目の前の対応に追われ、なかなか丁寧にお子さんを観察する、といったことも難易度の高いことかもしれません。今回、学習の悩みが軽減したとお話ししてくださった発達ナビPLUS会員の保護者(Aさん)も、当時は大変悩んでいました。そんなAさんの、お子さんの学習サポートについて、どのようなサポートをしたのか、ご紹介します。毎日の「宿題バトル」に親子で疲弊……。子どもに合う学習方法が分からず途方にくれた日々●Aさん(仮名)<お子さん>・小学3年生・ADHD(注意欠如多動症)・放課後等デイサービス利用<お悩み>・宿題に取り組めない・算数の文章題が特に苦手わが子は小学3年生になってから、宿題が終わらず、夜遅くなってもプリントが真っ白という場面が目立つようになりました。早く取り掛かるよう言っても、ダラダラと動画を見つづけ、やり始めるのは寝る前ギリギリ。なかでも算数の文章問題が苦手で、式を作る時点でつまずき、筆算でもミスすることもしばしば……。✕だらけで返ってくる宿題に子どもが「もうやだ!」と泣いてプリントをグチャグチャにしてしまう、それをまた私が怒る……ということをほぼ毎日繰り返していました。Upload By 発達ナビPLUS私がじっくり勉強に付き合ってあげられたらいいのですが、フルタイムで働いているうえ、下の子(年長)もいるので難しい状況でした。放課後等デイサービスにも通ってはいるものの、運動療育メインで勉強の相談にのってもらえるのか微妙で……というより、そもそも私自身気持ちにゆとりが持てず、仕事で体力的にも余力がなかったので、相談しに行く気にはなれませんでした。そんな時に、発達支援の専門家の解説動画や解説記事が読めて、相談フォームから個別相談もできるオンラインサービスの「発達ナビPLUS」の存在を知りました。子どもの学習について家庭でできることを知りたいと思っていたので、すぐ利用を始めました。家事のちょっとした合間で、解説動画をながら視聴していた時に、「内容を理解する以前に、読み書きの行動自体にすごく負担がかかっているんですよね」という先生の一言が耳に入ってきました。「そう言われてみれば、うちの子もそうかも。問題を解く以前に書くことを嫌がってるよな、字もなかなかうまく書けないし……」と感じました。「そもそも『書く』ことへの拒否感が強く、不器用さもあるかも」と、いろいろと腑に落ち、問題の難易度というより、「書字」が苦手なのかもしれないと初めて気づきました。Upload By 発達ナビPLUS解説動画を視聴して数日後、子どもに合った学習のサポート方法を詳しく知りたいと思い、専用フォームからテキストで相談できる「専門家への相談」で直接専門家の先生に相談してみました。悩みを書いているうち、つい勉強とは関係ない私の気持ちまで吐き出してしまい、正直にいろいろ書き過ぎたかもしれないと送ってから落ち込んだりもしました。ですが、届いた回答には学習のアドバイスだけでなく私の思いに寄り添う言葉がつづられていて、すごくホッとしました。正直に言うと、毎日嫌だ、できない、と泣いてばかりいる子どもに「私のほうが泣きたい」「いつもイライラさせられてる」と思うことも多くて……でもそんなことを放課後等デイサービスの先生や学校の先生に言えるわけがなく。顔を合わせる相手には言いにくい気持ちを、発達ナビPLUSの専門家相談で受け止めてもらえたことで、救われたように感じました。Upload By 発達ナビPLUS勉強については、・書字が苦手な子への身体機能的なアプローチの具体的な手立て・書きをサポートするアイテム・わが子が特に苦手な算数の割り算を、特性に合わせてつまずきどころから学び直すステップ(割り算を実感として学ぶ方法も)などが具体的に書かれていました。日常生活のなかで楽しく学ぶアイディアがあることを教えてもらえ、少しだけ肩の荷が下りたような気分になりました。回答にあったように、晩ごはんの取り分けをしながら「割り算ってこういうことだよ」など説明すると、大好きな食べ物が絡む話だからなのか、まじめに聞いてくれました。最近は、「からあげが7個あって、おかあさんとぼくと弟でわけるからー……」と自ら計算しようとする場面も出てきています。子どもとの関わり方のヒントを得られたことで、親子共々、穏やかに過ごせる時間が増えて本当にありがたいです。先のことも含めてまだまだ悩みは尽きませんが、これから少しずつ取り組んでいけたらなと思います。すきま時間に解説動画を見られる!発達支援の専門家に相談もできる「発達ナビPLUS」「発達ナビPLUS」は、ご家庭での子育ての「どう対応すればいいのかな?」「誰かに相談したい」といった悩みをオンラインでサポートするサービスです。心理士や学校現場にも詳しい発達支援の専門家が、解説動画やテキスト相談で保護者の子育てのお悩みに寄り添います。今、子育てに悩みごとがある方、わが子に合った子育てをしたいとお考えの方は、ぜひサイトを覗いてみてください。(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。ADHD(注意欠如多動症)注意欠陥・多動性障害の名称で呼ばれていましたが、現在はADHD、注意欠如多動症と呼ばれるようになりました。ADHDはAttention-Deficit Hyperactivity Disorderの略。ADHDはさらに、不注意優勢に存在するADHD、多動・衝動性優勢に存在するADHD、混合に存在するADHDと呼ばれるようになりました。今までの「ADHD~型」という表現はなくなりましたが、一部では現在も使われています。SLD(限局性学習症)LD、学習障害、などの名称で呼ばれていましたが、現在はSLD、限局性学習症と呼ばれるようになりました。SLDはSpecific Learning Disorderの略。
2024年06月05日CKCネットワーク株式会社(代表取締役:山崎 朋宏、本社:愛知県名古屋市、Preステップオンライン運営支社:福岡県福岡市)が運営する勉強に前向きになれないお子さまのマンツーマン学習サポート『Preステップオンライン』は、4回目となる『出席扱い制度オンライン説明会』を6月29日(土)に開催することを決定しましたので、お知らせいたします。説明会タイトルロゴ【イベント概要】◆名称 : 出席扱い制度オンライン説明会◆会場 : オンライン(Zoom)◆日時 : 2024年6月29日(土)11:00~12:00◆内容 : 出席扱い制度の内容の説明、制度の利用の仕方◆申込 : ※6月28日(金)締め切り◆参加費: 無料◆特典 : 出席扱い制度無料個別相談●不登校児童生徒と出席扱い制度の現状文部科学省の調査によると小・中学校の不登校児童生徒の数は、2022年度に過去最多の299,048人を記録しており、2013年度以降、年々増加しています。(参考資料(1))また不登校児童生徒のうち自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数は、2012年度から2018年度では最も多い年でも2018年度の286人でした。しかし2019年度には608人と約2倍となりました。そこから2020年度は2,626人、2021年度は11,541人と大幅に増加しております。(参考資料(2))しかし不登校児童生徒のうち自宅における学習活動を指導要録上出席扱いとされた割合は、過去最大の2021年度でも全体の約4.7%となっており、出席扱い制度はまだ広く知られていません。家庭学習の取り組み方次第で学校の出席扱いとなることは、生徒の進路選択に大きな影響を与えることが考えられます。参考資料(1)不登校児童生徒数参考資料(2)不登校児童生徒のうち自宅におけるICT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数●実施への思い当社には9年の「学校の授業を受けるのが難しい、勉強に前向きになれないお子さまへの学習サポート・面談実績」があります。その中では、出席扱い制度適用のためのサポートも行っています。不登校のお子さまには、学校に戻ることを希望する方も、しない方もいます。出席扱い制度は、不登校状態にあるお子さまをお持ちの保護者の方々に知っていただきたい制度です。今回の説明会を通して、当社は出席扱い制度を通してお子さまの家庭での頑張りを「出席」という目に見える結果にして自信につなげたい、その自信をもとに未来の選択肢を作り、選んでほしいと考えています。●3月の出席扱い制度オンライン説明会参加者の声・中学卒業後の進路などで不安があったので参加した。活用について動いてみようと思いました。・私の周りにいる不登校のお子さんをお持ちの人にこの制度について教えようと思いました。また以下のような声もありました。・制度を活用するために子どもが勉強をしないといけないがちゃんと継続してできるか不安。・学校や地域によって活用できるかどうか違うので私の子どもは活用できるのか心配。このように活用をするためのサポートや地域間の違いも課題です。出席扱い制度については、活用までの流れやルールについてよくわからないという声を、今までの参加者からもお聞きしました。出席扱い制度はお子さまの状況、地域、学校によって対応が変わる可能性があります。今回のオンライン説明会では特典として無料個別相談を行います。それぞれの悩みに個別に寄り添えるよう行っていきます。【CKCネットワーク株式会社について】『家族に自慢できるサービスを、世の中に提供する。』を理念として1990年に愛知県で創業しました。通信指導実績34年、累計指導会員数50万人以上を誇る総合教育企業です。オンライン個別指導塾「Fit NET STUDY」や、マンツーマン学習サポート「Preステップオンライン」など、幅広い事業を運営しています。CKCネットワーク株式会社URL: PreステップオンラインURL : 詳細はこちら プレスリリース提供元:@Press
2024年06月04日「就学相談」って申し込んだほうがいいの?何気なくママ友に聞いてみると……Upload By プクティ年長になった4月から新しい療育がスタートし、予想以上にハードな療育の親子通所もこなしつつ、長男も徐々に新しい環境に慣れてきてホッとしたのも束の間……ある日保育園から長男が持って帰ってきたプリントの中に「就学相談説明会」の案内が入っていました(長男が通っていた児童発達支援施設は保育園に併設されていたので、保育園から案内が来たのだと思います)。もうそんな時期なのか、とりあえず申し込んでみようかな?とのんびり考えていたのですが……ある日療育の親子通所で一緒になったママさんに聞いてみると、もうすでに就学相談を始めていて、入学先も決まり放課後等デイサービスも決まりつつあるとの話でした。しかも放課後等デイサービスの利用を希望する場合は、人気のところだともう来年度の定員が埋まっている場合もあるとか……。進め方は人それぞれだとは思いますが、何も始めていなかったわが家は焦りを感じ、すぐに就学相談の予約を入れることにしました。いざ就学相談開始!相談員さんからの提案は?Upload By プクティそしていざ就学相談が始まり、1年前に受けた田中ビネー知能検査の結果や長男の現状を伝えたり、時には長男を連れて行って相談員の方に様子を見ていただいたりしました。そうして相談を進めていくと、相談員さんからは知的障害特別支援学級か、通常学級の二択を勧められました。「長男くんには合わないと思う」療育の先生の助言に驚き!Upload By プクティ医師からも軽度の知的障害(知的発達症)と診断されていたので、知的障害特別支援学級への就学を視野に入れ、療育の先生にも相談してみることに。ところが、療育の先生からは、「何度か長男くんの学区の知的障害特別支援学級の見学に行ったことがあるけれど、クラスが騒がしく、周りの音などに敏感な長男くんには合わないのではないか」と言われました。Upload By プクティさらに療育の先生からは「長男くんの特性や学習への意欲を考えると、自閉症・情緒障害特別支援学級のほうが合っていると思う」と学校見学を勧められました。就学相談では自閉症・情緒障害特別支援学級に関しての説明は全くなかったので、特別支援学級にそのような種類があることすら知らなかった私は驚きました。「自閉症・情緒障害特別支援学級」への就学という新たな選択肢Upload By プクティ帰宅後、夫にも療育の先生からのアドバイスを伝えました。たしかに1年前に受けた知能検査の時は集中力もなく、なかなか思うように検査できなかったのもあり、低い数値が出た可能性もあると言われていました。私達夫婦も、長男のIQは、本当はもっと高いのではと感じている部分もありました。改めて検査をしてもらう予定はあったので、その結果も踏まえ、もう一度就学相談を受けて、自閉症・情緒障害特別支援学級への就学についても聞いてみることにしたのでした。執筆/プクティ(監修:室伏先生より)プクティさん、就学相談を始められたタイミングやきっかけ、自閉症・情緒障害特別支援学級への就学のご検討の経緯などについて、詳しく共有してくださり、ありがとうございました。長男さんの困りごとや課題、検査結果や療育の先生のご意見などを踏まえて、丁寧に就学先を検討されるご様子が伝わりました。就学にあたって、特別な配慮・教育を希望される場合(特別支援学校、特別支援学級、通級指導教室など)、もしくは発達に不安があり就学先について相談・検討をしたい場合には、各自治体で行われている就学相談を受ける必要があります。就学時健診とは異なり、就学相談には保護者からの申請が必要となります。面談だけでなく、学級の見学や知能検査なども必要になるので、申し込みのタイミングとしては、入学前年度の春~夏頃に相談を開始されると、余裕を持って進めることができるかと思います。ですが、秋以降でも可能ですので、スタートが遅れてしまったと焦らず、自治体の教育委員会に相談していただくとよいかと思います。プクティさんがおっしゃられた通り、実際に就学を検討されている学級で、どのような授業が行われているのか、どのようなお子さんがいらっしゃるのか、どのような雰囲気なのかというのは、学校によっても異なりますので、実際に学級の見学をされるのもとても大事なことだと思います。お子さんも一緒に見学することが可能であれば、見学時のお子さんの反応というのも検討材料の一つになるでしょう。また、特別支援学級は知的障害(知的発達症)のあるお子さんが通う場所と思われている方もいらっしゃるかと思いますが、知的障害(知的発達症)がなくてもコミュニケーション・対人関係の面や、感情や衝動性のコントロールの面、その他情緒面で援助が必要なお子さんが通われる場合も多く、自治体にもよりますが、知的障害(知的発達症)のあるお子さんのためのクラスと情緒面に困難さのあるお子さん(ASD/自閉スペクトラム症やADHD/注意欠如多動症など)のためのクラスに分かれている場合もあります。プクティさんの例のように、療育先のスタッフの方々、園の先生方などがお詳しいこともありますので、就学相談のみならず、こういった地域のプロフェッショナルの方々に相談してみるのもよいかもしれませんね。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。知的発達症知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
2024年06月04日学校は毎日行くところ?うちの息子タケル(ASD:自閉スペクトラム症)は、小学校に上がってしばらくすると、登校渋りをするようになりました。「何が嫌なの?」と聞いてみても理由を言うわけでもないのです。学校で何か嫌な出来事があったとか、ほかに行きたいところがあるとかもない、ただ「今日はお家がいい」と言うだけでした。Upload By 寺島ヒロ当時はまだ発達障害だとは分かっていませんでしたが、前々から少し年齢より幼いところがある子だと思っていたので「学校は毎日行かなきゃいけないところだって分かってないのかな?」と考え、私はあまり厳しく「学校に行け」とは言いませんでした。というのも、当時のタケルは、登校させたとしても帰りたくなるとすぐ学校を脱走して帰ってきてしまう子だったのです。帰り道で迷子になることもしょっちゅうだったので、それぐらいなら家にいたほうが安全だと思っていました。学校の先生は登校させてくれと言うけれど…始めの頃、学校の先生方には、とにかく学校へ来させてくれと言われました。学校に来れば指導ができる、でも家庭までは介入できないからとのことでした。私もできれば登校させたいとは思っていましたが、タケルが動かないときにはどうしようもありません。また、当時は先生方にも発達障害についてはそれほど知られてなく「起きられない、身体が動かない」と言っても、具体的にどういう状況なのか想像してもらうことは難しかったかなと思います。まさに学校とのすれ違い期でした。些細なことでも「行きたくなくなった…」と体調が悪くもなく、するっと起きられた時でも、些細なことで「行きたくない」と言い出すことがありました。靴下がうまく履けない、不快な音がした、窓の外を犬が通ったなど……私たちには些細なことですが、タケルにとっては一大事。「もう行きたくなくなった」と言って脱力してしまいます。仕方がないので「よいしょ」と立たせて身支度を手伝い、学校のそばまで車で運んで、時には先生に車まで迎えに来てもらったりして、ようやく登校させるのですが、やはりすぐに「お迎えに来てください」と学校から電話がかかってくるのでした。Upload By 寺島ヒロ成長したら分かるようになると思っていたけど2年生になるとタケルも、小学校は「行かなければならないところ」と認識したようでした。学校の先生方にも「早く寝るんだよ」「遅刻すんなよ!」と声掛けをしてもらい、自分でも「早く寝る!明日はちゃんと行く!」と言うようになりました。しかし……これが全くうまくいかなかったのです。ASD(自閉スペクトラム症)のあるタケルにとって、学校は「うるさくて眩しくて、待たされている時間の長いところ」。何かが良くなったわけではなく、我慢しているだけなので、やがて、朝起きたときに体が動かなくなったり、しくしく泣き始めたりする日が続くようになりました。発達障害の診断を受けて通級指導教室へ3年生になるとタケルの身辺に変化が起こりました。それは、3年生になるのと同時ぐらいに発達障害の可能性を考えて通院を始めたこと。そして、4年生から通級指導教室に変更、学校も心理士の先生がいるところに転校したことです。通級指導教室の先生は、タケルの「小学校の環境が苦手」であることを理解してくれて、通常学級にいてつらくなった時はいつでも「通級の教室に来ていいよ」と言ってくれました。学校の中に逃げ場を得たタケルは、学校から脱走しなくなり、朝も体調が悪くない限りは進んで登校するようになりました。山の上の静かな中学校へ通級指導教室の先生やスタッフさんのおかげで学校に行けるようになったタケル。しかし、学校がタケルにとって不快な場所であることは変わりませんでした。大きな変化があったのは、タケルの希望で中学受験をすることになり受験塾に行くようになってから、そして受験に合格し中学に進んでからです。小学6年生になってから、タケルは3ヶ月だけ地元の受験塾に通うことになりました。通い始めてすぐ「もっと授業入れて!週7日でもいいよ!」と言いだしたタケル。塾の環境を大変気に入った様子でした。本人が言うには、「学校と違って静かだから」「行くのが夜なので外がまぶしくない」「みんな一緒じゃなくて終わったら次の課題がどんどんもらえるから退屈にならない」とのこと。そう!ついにタケルは、自力で学校に行くのが嫌になる原因を突き止めたのです!「なるほど、そうだったのか!」と進学先に選んだ中学校は、少人数制の中高一貫校。校舎も深い緑に包まれた山の中。学校はタケルにとって「静かに自分のペースで勉強するところ」となり、今までと比べものにならないほどストレスが少なくなりました。Upload By 寺島ヒロ特に「合理的配慮」とか「障害支援」を謳っている学校ではなかったのですが、明る過ぎるのが苦手なタケルのために、席替えの時にはいつも外の光が直接入りにくい、眩しさに耐えられる程度の明るさの席を選ばせてもらえたそうです。朝身体が動かないことは中学生になっても変わらなかったので、遅刻はそれなりに多かったのですが、この学校では比較的落ち着いた学校生活を送ることができました。何が原因なのか本人には分からないことも...タケルが登校渋りをしていた当時、タケルにASD(自閉スペクトラム症)があることはまだ分かっておらず、眩しさや音で非常にストレスを感じる「感覚過敏」も、私たち親は知りませんでした。タケル自身も、快適な環境を手に入れて初めて「うるさかったんだ!」「眩しかったんだ!」と気が付いたようです。ずっと「何が原因なのか分からないが学校に行くと頭がむにゃむにゃする」という状態だったのです。そりゃあ「何が嫌なの?」と聞いても、理由が出て来るわけないよなあ、と、当時を振り返って思うのでした。執筆/寺島ヒロ(監修:室伏先生より)タケルくんの登校渋りのご様子について詳しく共有くださり、ありがとうございました。定型発達のお子さんでも、ご自身の感覚、感情を表現するというのは難しいこともあります。特に、ASD(自閉スペクトラム症)のお子さんは、自身の気持ちや感じていること、状況などを言語化することが苦手なことが少なくありませんし、困りごとが周囲の人から想像、理解してもらえないことも多いようです。タケルくん、ストレスの多い環境でも頑張って通学されていたのですね、頑張られましたね。通学習慣をつけるためにも大事な小学校低学年の時期、学校に行きたくないというお子さんを休ませてもいいのかどうか、迷われたり、不安になられる親御さんも少なくないと思います。行きたくないといいつつも、頑張って通学を続けていくうちに困りごとが薄れてくることもありますし、頑張って通学を継続したことが自信に繋がることもあります。一方で、行きたくないという訴えが、身体や心の重大なSOSのこともあります。環境の調整や困りごとへの対策ができて、学校での生活がより快適に、楽しくなれば一番よいのですが、それが難しい場合には、通学を促すだけでなく、休むということが必要なお子さんもいらっしゃいます。例えば、お子さんと相談して、フル参加すると疲れ過ぎてしまうから、週の一部はお休みするという対策をとっているご家庭もあります。行き渋りへの対応、環境調整、困りごとへの対策、いずれも特性の理解が助けになることも少なくないと思いますので、スクールカウンセラーや、発達に関する自治体の相談窓口、医療機関などへのご相談を検討してみてください。前の記事はこちら(コラム内の障害名表記について)コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。神経発達症発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。ASD(自閉スペクトラム症)自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。
2024年06月03日たんこんちは ボロボロゆかい
めまぐるしいけど愛おしい、空回り母ちゃんの日々
チッチママ&塩対応旦那さんの胸キュン子育て