子どもは成長するにつれ、いろんなことができるようになりますよね。その変化に驚き、喜び、ときには涙ぐみ…。今年8歳をむかえる息子を持つ私が、今年8歳をむかえる息子を持つ私が、一時とても悩んでいたのが人への「あいさつ」と「ありがとう」という言葉の促し方です。
当時の体験を振り返ってみると「子育てが、自分を大人にしてくれたんだなぁ」と感じます。その体験をご紹介しましょう。
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■子どもができていてうれしかったこと第1位は「あいさつができた」こと
幼児教室「ドラキッズ」を運営する小学館集英社プロダクションが2歳~6歳の子どもを持つ500名の母親に対し行われた
アンケート調査があります。
小学館の幼児教室 ドラキッズ 『幼児と母親の意識調査』 (2016年11月28日~12月5日 )より
「子どもの“できた!”を実感してうれしかったことはありますか?」というアンケートで「実感したことがある」と答えた母親は93.4%。その中でも最も多かったのが「あいさつができた」で57.0%。次いで「お手伝いをしてくれた」が53.6%、「友達と仲良くできた」が50.0%でした。
4歳の女の子を持つ30代のお母さんからは「ある通園バスで登園しているのですが、バスに乗っている先生だけでなく、運転手さんにも『おはようございます』『さようなら』を言えるようになっていてうれしかった」という意見が寄せられていました。
このアンケート結果を見て私は、数年前にわが子がなかなかあいさつできないことに悩んでいたときのことを思い出しました。
■ムラのある「あいさつ」に戸惑う日々
わが子が6歳のとき、スーパーで偶然お隣さん夫婦に会いました。奥さんが「こんにちは」とわが子に声をかけてくれましたが息子は目をあわさず、無言…。私は「もう6歳なのに、あいさつが苦手だなぁ」と思いながら「人と会ったらあいさつしようね」と促しました。
別の日、自転車の後ろに子どもを乗せて走っていると、道の向こうにお隣さんがいるのが見えました。その姿を見つけるなり、大声で「こんにちはー!」と叫んだ息子。「えっ!? スーパーではあいさつしなかったのに、どうして?」と疑問に思う間もなく「郵便局行ってきたよ!」と聞かれてもないのにお隣さんに伝えています。
あいさつするとき、しないときの違いがそのときは分かりませんでしたが「さあ、あいさつをする場面だよ!」という状況で注目されると急に恥ずかしくなることもあるでしょう。嫌な雰囲気だと感じ、押し黙ったままやり過ごそうとしていたのかもしれません。
お膳立てされていない状況であれば、自然にあいさつはできる。子どもの視点にたった考え方が数年後の今、やっとできるようになりました。
あいさつは礼儀。
だから、できないと「ほら、ちゃんとあいさつしなさい」と口酸っぱくなってしまいがちです。でも子どもがどう感じているかを観察し、推測しながら、できたときにはちゃんと褒めてあげる。本当はそれで良かったような気がしています。
■あいさつより「ありがとう」が言えないわが子が気になっていた
実は、私があいさつさせることより難しいと感じていたのが「ありがとう」という感謝の言葉の促し方です。
あいさつ同様すんなり言葉が出てこず、その都度「ちゃんといいなさい」と母親の使命感にかきたてられていましたが、ちょっとしたモヤモヤも感じていました。それは 「あなたは『ありがとう』を言えていますか?」という質問に大きくうなずくことができなかったからです。
あいさつはマナーだからしているけど、誰かに何かしてもらっときにきちんと「ありがとう」と人に感謝できているか。リモコンを取ってくれたわが子に、ゴミ出ししてくれた夫に、エレベーターで最後まで「開」を押してくれた見知らぬ人に感謝の言葉を伝えていたかどうか。
できていないから、こんな自分が子どもに無理やり「ありがとう」を言わせることに後ろめたさを感じていたのかもしれません。
子どもは親をよく見ています。子育ては「自分は大人だから礼儀正しくしているし、感謝は当たり前にできている」という思い込みを、いい具合にゆらがせてくれるときがあります。子どもの存在は親を成長させる、とはよく言いますが、たしかに「初心に立ち返らせてくれる経験」だと思います。
子育てにもし息詰まるときがあったら、本物の大人らしいふるまいができているか、自分を見つめ直してみるのもいいかもしれませんね。
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