コミックエッセイ:こうして赤子を授かった~中村こてつ不妊治療体験記~

いつのまにかもう一人の自分がいました【こうして赤子を授かった~中村こてつ不妊治療体験記~ 第16話】


また追い抜かれちゃった…

おめでとう…

自然にできる人はできるんだなぁ…

なんで私はできない側だったのかなぁ…

〇〇子がお母さんか、楽しみだなぁ…

苦しい…

おめでとう…おめでとうって言わなくちゃ…

…どうしてっ…私だけっ…

動揺を抑えながら、心のドロドロを悟られないようにしながら、慎重に返信したのを覚えています。

いつのまにかもう一人の自分がいました【こうして赤子を授かった~中村こてつ不妊治療体験記~ 第16話】

不妊治療を始めたら、いつのまにかもう一人の自分がいました。

もう一人の私は、時々現れて、憂鬱でネガティブでドロドロしながら、自分自身の存在に傷ついていました。

治療中の方が集うネット上の掲示板では、子持ちの友人と会いたくない・妊娠した友人と距離を置いてしまう・赤ちゃんの載った年賀状がイヤだと思う…、そんな意見もよく見ました。

掲示板の女性たちも私と同様、傷ついていたのでしょうか。

人の幸せを喜べない自分自身に。

私は一体どうしてしまったんだろう。どうなってしまうんだろう。

とてもとても苦しい。

不妊治療のトンネルは一時的に人格さえも変えてしまうのでしょうか。

私は、私たちは、ただ一つの命を育みたいだけなのに。


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