連載記事:新米ママ歴14年 紫原明子の家族日記
シングルマザーが子どもを預けてデートして何が悪い【新米ママ歴14年 紫原明子の家族日記 第41話】
そもそも日本では離婚後、母親が子どもを引き取るケースが圧倒的に多いという前提があり、その上ほとんどの場合、父親から継続的な養育費が支払われておらず、多くのシングルマザーは仕事と子育てに追われ疲弊しているのだ。
それにも関わらず、その苦労はいたるところで当たり前のことと受け止められる。なぜなら“母は強し”だし、女には“母性”があるから。どんなに辛くても子どもが可愛いでしょ、自分を犠牲にして子どもを育てられるでしょ、というのが世の中に蔓延する空気なのである。
まるで根拠のない重責に黙って耐えているというのに、誰に迷惑もかけずに男と会ったくらいで“自覚がない”と言われるというのはまったくいかがなものか。憤りのあまりタイプする指先も震えてしまう。
シングルマザーの恋愛と、母親のネグレクトによって子どもが犠牲になることと、その間には本来、無数の分岐点があったはずなのだ。そして、そのどこかで母親が適切に救われていれば、子どもは犠牲にならなかった。
恋愛するシングルマザーを自覚がないと責める前に、社会を構成する全員が、自分の老後や福祉を金銭的に負担することとなる子どものケアを、家庭の中の、特に母親にだけ押し付けてそれで良いと思っている、そんな“社会の自覚のなさ”こそ批判され、考え直されるべきである。
恋愛ってチャラチャラしてそうに思われるかもしれないけれど、ただでさえ忙しい最中に子どもをどこに預けて、仕事は何時までに切り上げて、と調整に次ぐ調整を要し、ときには寝る間も惜しんで時間を捻出する。恋愛はマネジメントを必要とする新たなタスクなのである。
その上で、何とか子どもも自分もそして恋人も、三方よしのソリューションを見つけるべく手を尽くしているのである。世間はなかなかやかましい。
イラスト:片岡泉
「サンタさんって…?」 純粋な子どもの質問に親はどう答えれば!?【両手に男児 Vol.68】