連載記事:“生まれ順”で子育てまるわかり!
「一人っ子」ってどんな性格? 人間関係がちょっと苦手“マイペースな帰国子女”【“生まれ順”で子育てまるわかり! 第5回】
■「一人っ子」のママは“積極的に放置する勇気”が大切
―― 5歳の男の子の「一人っ子」ママで、息子さんがあまりお友だちに関心を持たないと心配している方がいました。何か良いアドバイスはありますか?
五百田さん:「一人っ子」は、基本的に「人間関係オンチ」なのです。小さい頃からきょうだいとおもちゃを奪い合ったりケンカをしたりせず、人間関係の細かなニュアンスを体得せずに育つので、人付き合いが苦手です。こういった悩みがある場合は、積極的に家族以外のコミュニティに子どもを入れてはいかがでしょうか?
例えば、「ちょっとくらいのケンカは放置しよう」とルールを作ったうえで、「一人っ子」の子ども同士で集い、お互いに学ぶ機会をつくるとか。…で、今度の相談者のお母さんは、きっと、きょうだいがいる方ですよね?
―― 最後も当てられてしまいましたね(笑)。おっしゃる通り、相談者のお母さんにはきょうだいがいます。やはり、お母さん自身にきょうだいがいて、もまれて育った経験があるからこそ、「一人っ子」のマイペースぶりが理解できず、不安に思ってしまうのでしょう。逆に、「一人っ子」のお母さんであれば、「自分もお友だち関係はそんなものだった」と、それほど気にならないのでしょうね。
五百田さん:親は結局、自分が経験してきたことしか、子どもに教えられません。だからこそ、子どものことを理解するツールとして、この「きょうだい型」を役立ててほしいと思っています。
また、「一人っ子」に関してお母さんは“積極的に放置する勇気”を持つことが大切だと思います。150%子どもに関心を注いでいると、転ぶ前に守ってしまいがちですが、これでは子ども自身の学びの機会が失われてしまいます。
というのは、インタビューをした中で、こんな夫婦の話がありました。その女性の夫は「一人っ子」で、料理にまずそうな顔をするのに、何も言わないそうなんです。
そこで、妻が「まずいと思っているならちゃんと言葉で言って!」とキレたところ、初めて夫は「言わないと通じないんだ」とわかったそうです。小さい頃から、何も言わなくてもお母さんが察してくれる環境に慣れていたのでしょうね。
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―― 快適すぎる環境も考えものですね。さて、そんなユニークなコミュニケーションが特徴の「一人っ子」のやる気を引き出すような、ほめ言葉はありますか?
五百田さん:「さすが!」「〇〇ちゃんらしいね!」などです。「一人っ子」には、その子らしさにフォーカスしてほめる言葉が心に刺さります。
逆に、人間関係に関心の薄い「一人っ子」には、「助かったよ」と感謝を述べたり、「うらやましい」などとあこがれをアピールする言葉はあまり効果がありません。
―― 逆に、叱る時はどうでしょう?
五百田さん:叱るというより、「何がダメだったと思う?」などと言って相手が納得するまで考えさせることです。納得できれば素直に行動を改めるのも、「一人っ子」の良い特徴。
逆に、「しっかりしなさい! あなたならきっとできるから!」などという期待やプレッシャーをかける言葉は、マイペースな彼らにはスルーされてしまうことでしょう。
人間関係にドライでマイペースな「一人っ子」。
お母さんは“積極的に放置する勇気”を持ち、子ども同士のちょっとしたケンカには口を出さず、自分で学ばせることも大切なようです。
5回にわたって連載してきた連載「“生まれ順”で子育てまるわかり!」、いかがだったでしょうか? 「あるある!」と思った方、あるいは「必ずしもそうとは言えないな」と思った方、いろんな感想を持った方がいることでしょう。
今回の連載では、特に、子どもやお母さんとの関係にフォーカスして「きょうだい型」のお話をうかがいました。お母さんにとって子どもは、あまりに距離が近すぎて、客観的にみることが難しい存在です。こういった新しい視点を取り入れることにより、謎だったわが子の特性を理解するきっかけが得られたり、短所だと思っていたことが長所に思えてきたり、そんな新しい発見があったらステキですね!
取材・文/まちとこ出版社N
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