連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】子どもの花粉症「この鼻水はカゼ? アレルギー?」<パパ小児科医の子ども健康事典 第13話>
■子どもの花粉症「診断・治療・予防」
診断
先に述べたような特徴を、まず問診や診察で確認することが最も重要です。そのうえで、鼻の粘膜を直接観察する鼻鏡検査や、鼻水の性質を調べる鼻汁好酸球検査、アレルゲン(原因となる物質)を特定するための皮膚テストなどを組み合わせて総合的に診断します。
これらの検査は一部、小児科でも行っている場合はありますが、通っている小児科で難しいようであれば、耳鼻咽喉科に相談するのがよいでしょう。
ちなみに、アレルギーの血液検査は必須ではありませんが、もし食物アレルギー等で検査をする機会があれば、一緒に花粉やホコリ、動物の毛などを調べると、原因アレルゲンを知ることができます。
治療
主要なものとして内服の抗ヒスタミン薬とステロイド点鼻薬の2つがあります。
まず抗ヒスタミン薬は、いわゆる花粉症の飲み薬として処方されるものです。花粉などのアレルゲンが侵入するとヒスタミンという物質が出てきて、鼻水やくしゃみなどを引き起こしますが、そのヒスタミンをブロックするお薬です。こちらは効き目や副作用の眠気に個人差があるので、合わない時はほかの薬に変更してもらってください。
抗ヒスタミン薬はカゼの時にも処方されることがありますが、花粉症とは鼻水の出る仕組みが異なるため、カゼの場合はあまり効果が期待できません。
もう一つのお薬、ステロイド点鼻薬は鼻の穴にシュッと噴霧するものです。アレルギー反応をおさえ、鼻の粘膜のはれを改善します。効果は大きく、くしゃみや鼻水、鼻づまりがましになってとても快適に過ごせるようになる患者さんも多いです。
これらの治療は、あくまでも症状を改善させる対症療法ですが、最近は、根本的に花粉症を治療する免疫療法も注目を集めています。
これは、スギやダニなど特定のアレルゲンのみが対象になりますが、その成分をお薬として摂取することでアレルギーそのものを治す方法です。
ただし、今のところ治療できる施設や、投与できる年齢に制限があるため、治療を希望する場合はまず医師とご相談ください。
予防
花粉症を予防するには、まずアレルゲンをさける、減らすことです。
イラスト:ぺぷり
花粉情報をチェックして花粉が多い日の外出はさける、マスクやゴーグルを利用する、外出から帰宅したら衣服についた花粉を払ったり、すぐ洗濯機に入れて家の中に持ち込まないようにするなどです。
鼻の穴の中にワセリンを塗ることで、侵入するアレルゲンを減らすという方法(※2)もあります。
ただ、これらの対策には限界があるので、アレルゲンが来ても大丈夫なようにステロイド点鼻薬等で治療をしていくほうが現実的でしょう。
花粉症の症状は、鼻水やくしゃみがつらいだけでなく、学校の授業に集中できない、鼻づまりでよく眠れないなど生活全体に影響をおよぼします。
ここにあげた予防法や治療法を参考にして、快適な春を迎えていただけたら幸いです。
参考資料
※1:『鼻アレルギー診療ガイドライン2016』鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会 編
※2:『Efficacy of pollen blocker cream in the treatment of allergic rhinitis.』National Center for Biotechnology Information