連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典

【医師監修】子どもの3大皮膚トラブル「あせも、虫刺され、とびひ」予防と治療<パパ小児科医の子ども健康事典 第17話>



■子どもの皮膚トラブル3:とびひの症状、予防、治療

【医師監修】子どもの3大皮膚トラブル「あせも、虫刺され、とびひ」予防と治療<パパ小児科医の子ども健康事典 第17話>

イラスト:ぺぷり


とびひについては、これまで解説してきたあせもや虫刺されから発展してなることがあります。

とびひ(=伝染性膿痂疹)は主に黄色ブドウ球菌の感染、ときに溶連菌でも起こります(溶連菌については前回を参照)。

赤い湿疹からさらに、じゅくじゅくして汁がでてきているものがとびひで、たとえばかゆいあせもや虫刺されをかきこわしたところに、手や爪の菌が付着して感染することによって起こります。

黄色ブドウ球菌の感染といっても、この菌は普段私たちの皮膚にいつも付着しているものですから、健康な皮膚なら何も起こりません。

しかし、あせもや虫刺されなど皮膚病変があるところに感染が成立して、とびひを発症するのです。

とびひは伝染性膿痂疹という名前ですので、接触によって感染します。しかし、適切に治療をうけていて、とびひのところをガーゼなどでカバーしていれば、菌がほかの人に接触しにくいため感染性は低いと考えられます。

そのため、必ずしも完全に治るまで登園してはいけないものではありません(ただし、じゅくじゅくした状態でプールに入ることは避けましょう)。


治療は、細菌の感染なので、まずは抗菌薬の軟膏を用います。塗り薬で改善しない場合は、ほかの抗菌薬軟膏に変更したり、内服抗菌薬を併用します。

とびひは、その名のとおり飛ぶものですから、体のほかの場所の皮膚病変にうつることがあります。1カ所が治ってもまた別の場所の治療が必要になることもありますし、ひっかきやすい場所や、繰り返し刺激が加わる場所(たとえば鼻の下)などはなかなか改善しにくい場合があります。

治療にはなかなか時間がかかる場合がありますので、まずは湿疹病変をできにくくするために、あせもの段階で早めに治療したり、虫よけを使用したりして予防しましょう。

このように、あたたかい季節の皮膚トラブルは、とびひの予防まで見越した「攻めの予防」が大切になります。

いよいよ大型10連休がやってきますが、キャンプやハイキングなど外遊びの予定がある方も多いのではないでしょうか? 皮膚トラブルを未然に防いで、楽しいGWをお過ごしくださいませ。

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