連載記事:パパ小児科医の子ども健康事典
【医師監修】熱中症「おう吐、ふらつき、痙攣…」重症化しやすい子ども、3つの予防策<パパ小児科医の子ども健康事典 第22話>
■熱中症の予防「日陰、休憩、水分」3つの約束
イラスト:ぺぷり
熱中症が起こりやすい状況を把握したうえで、具体的にはどのように対策すれば良いでしょうか。
重要なことは、「直射日光を避ける」「休憩をとって涼むこと」「水分を摂取する」です。それぞれ、くわしく見ていきましょう。
1 .直射日光を避ける
外出時に帽子は必須ですし、できる限り日陰を通るようにしましょう。ベビーカーのひさしが短い場合は、日よけカバーを使います。
ラッシュガードは紫外線を防ぐには有効ですが、熱中症の予防をするものではないことに注意してください。
2 .休憩をこまめにとる
子どもは、ついつい夢中になって遊びまわり、気づかないうちに症状が進行するということがあります。水分摂取のタイミングで日陰に入るなど、定期的に休みをとりましょう。
また休憩を取ることで、何度も状態の確認ができます。
どのくらいの間隔が適切かはっきりは決められませんが、少なくとも20~30分以上連続して活動しないようにしたほうがいいでしょう。
3 .水分を摂取する
子どもは自らのどの渇きを訴えませんから、大人が意識的に飲ませなければなりません。休憩ごとにこまめに水分をとらせましょう(大人の水分摂取もお忘れなく)。
飲ませるものは、水分だけではなくミネラルの入った経口補水液(OS-1など)が最も望ましい飲み物です。ミネラルが不足するとだるさや筋肉の痙攣が起こりやすくなります。
ただ、経口補水液が飲みにくい場合は、同様にミネラルを含むイオン飲料を利用します。どうしてもイオン飲料も苦手という場合は、お茶などの水分に加えて塩気のある食べ物などで代用しましょう。
母乳やミルクにはもともとミネラルが含まれているので、赤ちゃんの場合はこれらが飲めていればOKです。
OS-1やイオン飲料は糖分が含まれ虫歯の問題もありますので、胃腸炎の脱水対策や熱中症の予防の使用に限定し、日常的に飲むことは避けるようにしてください。
■熱中症の治療「もしも、おう吐したら? 」
大人が予防しようとしても、子どもはなかなか思い通りには動いてくれません。帽子も外してしまい、水分も拒否して手を焼くことがあります。
結果、熱中症と思われる症状が出てしまったらどうすれば良いでしょう。
【治療】
まずは日陰の涼しいところ、クーラーが効いたところに寝かせて体が温まるのを防ぎます。
子どもは症状が進むのも早いので、おう吐やうとうとするなど症状がすすむ時は、必ず医療機関を受診してください。多くは脱水をともなっており、水分の点滴が必要となります。
熱中症は誰にでも起こりうるもので、突然日常を脅かします。
しかし、暑さ指数を把握したり、適切な水分の取り方を知ることで未然に防ぐことが可能なものです。周りの大人が知識をつけ、理解できる年齢であれば子どもたちにもよく知ってもらうことが大切です。
この夏、熱中症による悲しい出来事が起こることのないことを強く願っています。