塾もない秋田の村が「学力日本一」の秘密は、家庭でできるすごい学習法
■子どもの可能性を広げるための親の役割は…
使い終わった自学ノートは紐で閉じて教室で展示・保管。展示することでお互いを刺激し、保管することで達成感が得られる『「学力日本一!」秋田県東成瀬村のすごい学習法』より
自学ノートはうまく活用すれば、子どもに無理を強いることなく、学習に向かわせるとともに、子どもにいい意味で主体性をもたせることで学ぶ意欲に刺激を与え、子どもの可能性を広げます。
そこで大きな役割を果たすのが親です。みなさん、ここからが親の出番です(笑)。
このノートにおいての親の役割は、子どものやったことをよく見て
丁寧にアドバイスしてあげること。きちんとできていればほめる。抜けていることや間違っているところは、叱らない。まずは必ずいいところをみつけ、「ここはこうしてみたら」と責めるのではなくアドバイスに徹する。
たとえば字が汚かったら、まず「もう少しきれいに書いてみたらかっこいいよ」といったように子どもに提案してみる。ものは言いようです(笑)。
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子どものがんばりを、親がきちんと認めてほめてあげる。じつはこれ、普段の生活では厳しさの方が先に立ってしまい、「ほめる」ことができていないのではないでしょうか? 自学ノートの成功と失敗の分かれ目は、じつは親にかかっているのかもしれません。
たしかにわが身を振り返ってみても、あまりわが子も勉強したノートは見せたがらない。東成瀬村の自学ノートの取り組み方を知ると、それは小言を言われることが明白だからという気が…。裏を返せば、子どもを尊重してあげれば自学ノートは親と子を学習をテーマにしたコミュニケーションツールとなれる予感がします。
■「学び」の本来の意味を親自身が考えるとき
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ただ、注意しておきたいことがあります。おわかりのように、自学ノートは人よりも先に進むことや量を競うものではありません。
子どもが目標をきちんと自分で決め、それをしっかりとやって理解する。この繰り返しがいつしか大きな力になる。ついつい学習に対して、
親は費用対効果や即効性を求めがちですが、自学ノートは一夜にして学力を伸ばしたりするものではありません。
長い時間をかけて学ぶ力を養う。目先ではなく、長い目で東成瀬村は子どもを見ています。
このスタンスは、とても大切ではないでしょうか?
いろいろな知識を得て、物事の理解を深めるのは楽しいこと。
そう、本来、
学びは楽しいことであるはず。でも、人間としての成長よりも、テストでいい点数をとることを優先し、子どもに必要以上に無理を強いている気がしてしまう現代。
私たち親世代は、
本来の「学び」の意味についてもっと考える必要がある気がします。親の意識が変われば、きっと子どもたちとの接し方も変わってくるはず。環境をきちんと整えてあげれば、子どもは学ぶことを嫌がらない。自学ノートをはじめとする東成瀬村の学習の取り組みはそのことを教えてくれます。
■参考書籍
『「学力日本一!」秋田県東成瀬村のすごい学習法』
(主婦の友社/1404円(税込))
2007年に再開された「全国学力テスト」で8年連続1位の秋田県。その秋田県の中でもトップクラスの学力を誇るのが人口2600人、村の93%が山林という、小さな村、東成瀬村。
村にはスーパーマーケットはなくコンビニはも1つだけ。塾もないこの村の子どもたちはなぜ優秀な学力を誇るのか? その驚きの学習方法に迫ります。
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