すぐにオモチャを買って! という子どもへのベストアンサーは? 親のNG行動って? 金融教育ディレクター橋本長明さんに聞く【後編】

橋本長明さんの著書『すてきな相棒! おかね入門』(リトルモア刊)
キャッシュレス化が進み、
お金の大切さがリアルに感じにくくなってきました。そんな時代だからこそ、幼いうちから
経済のしくみを知ったり、
金銭感覚を身につけておくことが大切です。
お金に苦手意識がある大人も、お子さんといっしょに
お金との上手な付き合い方を楽しく学んでいきましょう。
前編に引き続き、金融教育ディレクターで
『すてきな相棒! おかね入門』(リトルモア刊)の著書である
橋本長明さんにお話を伺います。

前編では、
“生きる力を育む”ためのお金の基礎教育4つについてお伝えしました。
後編の今回は、具体的にお金に関する子どもの質問にどう答えるのがいいのか、親が何気なくやっているお金にまつわる行動でやっていいことやNGなこととは何かについて、QA形式でご紹介します。
オモチャを買って! とねだられたら
Q.オモチャ買って! ○○ちゃんも持ってるから! とねだられたときは、どう対応するのがいい?
A.本人にとってどれだけ必要でどれだけ欲しいのか、プレゼンさせるようにしましょう。
まず、欲しいものが
1、消費=いまの満足のためにお金を使うこと
2、投資=未来の自分(満足)のためにお金を使うこと
3、浪費=必要以上にお金を使って無駄づかいすること
のどれにあたるのか考えさせるようにしましょう。
さらに、
ニーズ(必要なもの)なのか、ウォンツ(欲しいもの)なのかも確認してみてください。未就学児ならここを聞いてみるだけでもOK。本当に欲しいのであれば、一生懸命考えてプレゼンしてくるはずです。
子どもの説明も聞かずに “ダメ!” とか “今回だけよ” と、
与える・与えないという基準がブレてしまうのは避けたほうがいいです。

プレゼンには2つのメリットがあって、1つは欲しいものを手にいれるためには
努力が必要だと体感させられること。
もう1つは、
プレゼン能力を養うことができます。
日本人はプレゼンが苦手といわれますが、社会において必要な能力のひとつです。
「経済格差」のこと、どう伝える?
Q.「○○ちゃんのおうちはお金持ちなんだって!」
経済格差があることは、どう伝えればいい?
A.そもそもお金持ちが偉いわけではないこと、お金にはさまざまな稼ぎ方があり、働く上では“生きがい”という要素も大切であることを伝えましょう。
経済社会のなかで暮らす以上、お金がなければ生きていけないのは事実です。だからといって、お金のある・なしで優劣がつくわけでも、幸か不幸かを決められるわけでもありません。
多くの人は生活に必要なお金を得るために働いています。しかし、私たちはお金のためだけに働いているわけではありません。人生の中でも多くの時間を占めている仕事を通じて、
夢や目標を実現させている人もいます。
海外では
“ikigai”という言葉が注目されていますが、
「収入を得ること」以外に
「好きなこと」「得意なこと」「社会のためになること」の4つの要素が重なったところに
“生きがい”があるとされています。すなわち、生きていく上での張り合いやよろこびです。

橋本さんは選曲家/DJという肩書も持つ。大好きな音楽も大切な“生きがい”。
お金はそこまで稼げなくても好きなことをしたいという人もいれば、お金はたくさん稼いでいても好きなことが全然できずに生きがいを感じないという人もいるかもしれません。人それぞれ、家庭ごとにさまざまな尺度があって、どれも否定すべきものではありません。
“○○ちゃんのパパやママはがんばってたくさんお金がもらえるお仕事をしているんだね。で、あなたは将来どういうお仕事がしたい?”と話してみてもいいかもしれませんね。
「お金の価値」を理解させる方法
Q.キャッシュレス時代にお金の価値をどうわかってもらえばいい?
A.子どもの収入となるお年玉やお小遣い、お手伝いのいずれかもしくは全部を現金であげて、渡したときにありがとうと感謝する心やお金は働く対価であるということを伝えていきましょう。お小遣い帳は学ぶ手段としてもとても有効です。
キャッシュレス化はこれからどんどん進みます。だからこそ、まずは現金によるお金との付き合い方を
肌身で実感させる必要があります。
現金を使ったお買いものを意識してさせるようして、
お釣りをもらうという体験をさせましょう。電子マネーや交通系ICカードを持たせている場合も、
チャージさせるときは現金を渡して、自分でチャージさせるようにするのがおすすめです。

また、お金のやりとりが発生したら
お小遣い帳につけさせるようにすると、お金を
大切にしようとか
欲しいもののために我慢しようとなど考えることができます。

そして、お金は天から降ってくるものではなく、
頭や体を使って働いた対価ということを理解させることも大切。
恩着せがましく感じるかもしれませんが、たとえばご飯を食べるときに、
“パパやママががんばって働いたからおいしいご飯が食べられるんだよ”と伝えることも大事なことです。