アートで非認知スキルを伸ばす! 週に一度、10分間を親子の対話型鑑賞に捧げよう
日々の生活にそんな習慣を取り入れ、お子さんにとってアート鑑賞が身近なものに感じられるようになるといいですね。そこで第3回目となる今回は、対話のポイント、ご家庭で作品を鑑賞する時の場の設定、頻度や時間などについて、実践例と共にご紹介しましょう。
論理的思考・非認知スキルを伸ばす対話のポイント
冒頭の会話で私が行ったのは、子どもの発言を受け入れた上で、その理由を聞くことです。この問いかけにより、子どもは自分の思いや考えの根拠づけを行うという、論理的な思考を始めます。さらに他の理由を尋ねることによって、複数の根拠を立てるようになります。
同時に、作品を注意深く見直し、他の見え方の可能性を探り、再考することを学びます。最終的には自分自身の見え方を保持しつつ、他の可能性にも目を向けられるようになっていきます。対話を重ねるうちに、子ども自らが進んで発言の根拠を語り始めるようにもなります。
こうした鑑賞を通した対話の積み重ねによって、子どもの論理的思考力を引き出し、促していきましょう。論理的思考の芽生えを見守ってあげることが、子どもの非認知スキル、自立的に学ぶ力、メタ認知能力、コミュニケーション・スキルを培うことにつながっていきます。
ちなみにこの作品には、子どもには馴染みがないと思われる文字(ロシア語)も記されています。どんなことが書かれているのか子どもと一緒に想像してみるのも一興かと思います。
親子双方にメリットが!コツは子どもの視点をたどること
それでは、対話のポイントを踏まえて、実際に親子で対話型鑑賞に挑戦してみましょう。今回は、アーティスト金燦さんによる作品のカードを使います。この4枚を見てください。
お子さんからどんな発言が得られるでしょうか?
鑑賞するとき、まず親御さんに心がけていただきたいのが、子どもに寄り添うこと。できる限り、子どもと同じ視点で作品を鑑賞することをお勧めします。子どもの視点の移動を一緒にたどることで、その子の関心の向け方や思考の動きを知ることができるからです。
お子さんの言葉を受け止め、理解を示してから、「なぜそう思ったの?」と問いかけてあげましょう。お子さんの最初の見方とその根拠、対話を通して見つけた様々な可能性、そして導き出した最終的な結論……。我が子の思考の過程を知ることは、その子自身をより深く理解することにつながります。